JP3808968B2 - 血液適合性多孔質膜の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、血液適合性多孔質膜および該多孔質膜の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、血液透析、血液ろ過、血漿分離等の血液浄化や人工臓器等に有用で、優れた血液適合性と親水性を有する多孔質膜とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、血液浄化膜の材料としては、再生セルロース、酢酸セルロース、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホン、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン等の素材が使用されている。これらのポリマーから膜を製造するときに製造条件を適当に選ぶことにより、各種目的に応じた孔径を持った血液浄化膜を得ることができる。これらの血液浄化膜の形状としては、中空糸型、チューブ状型、平板状型等の形状で使用されている。
これらの血液浄化膜の孔径としては、一般的に0.01〜1μmものが使用されている。
一般にこれらの血液浄化膜を用いる血液浄化療法では、患者の血液を体外へ導き出して不要な成分を除去したりする治療が行われる。このため、血液は生体にとって異物となる様々な材料と接触することとなり、例えば、血液凝固反応や、多くの生体の自己防衛反応が血液中で引き起こされる。
そのため血液浄化療法では、上記の血液凝固反応により中空糸膜が詰まり血液の循環が不可能となることが最大の問題点となっている。血液の凝固反応を抑制するために多量のヘパリンが投与されている。しかしながらヘパリンの大量投与や長期間の投与による副作用が指摘されていて、ヘパリンを大量に投与せずにかつ血液浄化膜の血液凝固反応による目ずまりをしない多孔質膜が望まれている。
また、材料から溶出する不純物による生体内での種種の不都合が生じる。
例えば、人工臓器第26巻(1)第126〜129頁、同157〜160頁(1997年)には、ポリスルホンの透析膜を用いた場合の付着蛋白質の検討や洗浄液への溶出物の検討がなされている。
しかし、生体適合性と安全性の両方に優れた血液適合性多孔質膜については、報告されていないのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、優れた血液適合性、親水性を有する多孔質膜を提供することにある。 本発明の第2の目的は、優れた血液適合性、親水性を有する該多孔質膜の製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の問題点に鑑み、鋭意検討した結果、特定の側鎖を有する重合体Aを、重合体Bと、良溶媒で溶解して均質とし、ついで重合体Aの良溶媒でかつ重合体Bの貧溶媒に入れると、特定の側鎖を有する重合体Aの一部が溶解して多孔質状となり、重合体Aの血液適合性を多孔質表面に有する多孔質膜ができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、次の(1)である。
【0005】
(1)次の工程1、2および3からなることを特徴とする血液適合性多孔質膜の製造方法。
工程1;(a1)下記一般式[1]
【化2】
(式中、R1、R2及びR3は、同一又は異なる基であって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、nは2〜4の整数を示す。)
で表される基を有する単量体を単独、または該単量体を100モル%未満と(a2)他の単量体99モル%以下とを含む単量体混合物を重合して数平均分子量1,000〜700,000の重合体Aを合成する。
工程2;前記の重合体Aと、他の重合体Bであるポリスルホンとを重合体A/重合体Bの重量比5/95〜20/80で良溶媒に溶解して、均質な高分子混合物を得る。
工程3;前記の高分子混合物を、重合体Bの貧溶媒でかつ重合体Aの良溶媒に浸漬させて多孔質膜とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる重合体Aは、下記一般式[1]
【化3】
(式中、R1、R2及びR3は、同一又は異なる基であって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、nは2〜4の整数を示す。)
で表される基を側鎖に有する重合体である。
重合体Aは、(a1)下記一般式[1]
【化4】
(式中、R1、R2及びR3は、同一又は異なる基であって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、nは2〜4の整数を示す。)
で表される基を有する単量体を単独、または該単量体100モル%未満と(a2)他の単量体99モル%以下とを含む単量体混合物をラジカル重合してなる重合体である。
【0007】
a1の下記一般式[1]で表わされる基を有する単量体としては、具体的には、分子中に重合性の二重結合と前記の一般式[1]で表わされる基を有する単量体であり、その単量体の具体例としては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−2’−(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル−2’−(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチル−2’−(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−2’−(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル−2’−(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェート、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチル−2’−(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−(トリブチルアンモニオ)エチルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−2’−(トリブチルアンモニオ)エチルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル−2’−(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェート、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチル−2’−(トリブチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−3’−(トリメチルアンモニオ)プロピルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−4’−(トリメチルアンモニオ)ブチルエチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−3’−(トリエチルアンモニオ)プロピルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−4’−(トリエチルアンモニオ)ブチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−3’−(トリプロピルアンモニオ)プロピルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−4’−(トリプロピルアンモニオ)ブチルホスフェート、
【0008】
2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−3’−(トリブチルアンモニオ)プロピルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−4’−(トリブチルアンモニオ)ブチルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−3’−(トリメチルアンモニオ)プロピルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−4’−(トリメチルアンモニオ)ブチルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−3’−(トリエチルアンモニオ)プロピルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−4’−(トリエチルアンモニオ)ブチルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−3’−(トリプロピルアンモニオ)プロピルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−4’−(トリプロピルアンモニオ)ブチルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−3’−(トリブチルアンモニオ)プロピルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−4’−(トリブチルアンモニオ)ブチルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル−3’−(トリメチルアンモニオ)プロピルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル−4’−(トリメチルアンモニオ)ブチルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル−3’−(トリエチルアンモニオ)プロピルエチルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル−4’−(トリエチルアンモニオ)ブチルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル−3’−(トリプロピルアンモニオ)プロピルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル−4’−(トリプロピルアンモニオ)ブチルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル−3’−(トリブチルアンモニオ)プロピルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル−4’−(トリブチルアンモニオ)ブチルホスフェートが挙げられる。
さらには、一般式[1]の基が1〜2個エステル化されたマレイン酸、フマル酸、イタコン酸の単量体の誘導体等を挙げることができる。
また、スチリル基に一般式[1]の基が1個置換された単量体を挙げることができる。具体的には次の構造である。
【0009】
【化5】
(ただし、R1、R2、R3、nは前記の一般式[1]に同じであり、aは0または1の数である)
前記の単量体は、これらの一種ないし二種以上を混合して用いることができる。
入手性等の点から好ましくは、2−メタクリロイルオキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートが挙げられる。
【0010】
重合体Aは前記のa1の単量体を単独でラジカル重合するかあるいは前記のa1の単量体と後述のa2の他の単量体とからなる単量体混合物をラジカル重合して得られる。
(a2)の他の単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸アミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリル酸アミド等のアミド系単量体;(メタ)アクリル酸を挙げることができる。
さらに(a2)の他の単量体として、例えば、スチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等の置換もしくは無置換のスチレン系単量体;エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル系単量体;酢酸ビニル等のビニルエステル系単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等の置換もしくは無置換の炭化水素系単量体;ジエチルフマレート、ジエチルマレエート等の二塩基酸エステル系単量体;N−ビニルピロリドンを挙げることができる。
【0011】
重合体Aの重合方法としては、通常のラジカル重合でよく、特に好ましくは溶液重合法により30〜90℃の重合温度で重合を行うことができる。
この場合、使用される溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコールや水、あるいはこれらの混合溶媒が挙げられる。
ラジカル重合開始剤としては、通常使用されるものでよく、具体的には、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリル、過酸化ラウロイル、過酸化ベンゾイルなどの油溶性のもの、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素などの水溶性のものが挙げられる。ラジカル重合開始剤は、全単量体原料の0.01〜10重量%の割合で使用される。
【0012】
本発明に用いる重合体Aは、一般式[1]で示される基を有する単量体に基づく構成単位を、少なくとも1モル%以上、好ましくは10モル%以上、さらに好ましくは、50モル%以上含有する。1モル%未満の場合には血液適合性を十分発揮させることができなくなるので好ましくない。
重合体Aの分子量としては、数平均分子量として、1,000〜700,000が好ましく挙げられる。分子量が1,000より小さいと、使用時に樹脂に一部が溶けだすので好ましくなく、分子量が700,000より大きいと重合体組成物から重合体Aが溶解しにくくなるので好ましくない。
【0013】
また、本発明で用いる重合体Bは、具体的には、ポリスルホンが挙げられる。
【0014】
重合体Aと重合体Bの配合割合は、目的とする多孔質膜の状態にもよるが、重合体A/重合体Bは重量比で、1/99〜99/1である。重合体A/重合体Bの重量比が1/99より少ないと 血液適合性が低下するので好ましくない。重合体A/重合体Bの重量比が99/1より多いと膜の強度が低下するので好ましくない。重合体A/重合体Bの重量比は、より好ましくは、5/95〜20/80である。
【0015】
本発明の血液適合性多孔質膜は、次のようにして製造することができる。すなわち、次の工程1、2および3からなる血液適合性多孔質膜の製造方法である。
工程1;(a1)下記一般式[1]
【化6】
(式中、R1、R2及びR3は、同一又は異なる基であって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、nは2〜4の整数を示す。)
で表される基を有する単量体を単独、または該単量体を100モル%未満と(a2)他の単量体99モル%以下とを含む単量体混合物を重合して数平均分子量1,000〜700,000の重合体Aを合成する。
工程2;前記の重合体Aと、他の重合体Bであるポリスルホンとを重合体A/重合体Bの重量比5/95〜20/80で良溶媒に溶解して、均質な高分子混合物を得る。
工程3;前記の高分子混合物を、重合体Bの貧溶媒でかつ重合体Aの良溶媒に浸漬させて多孔質膜とする。
【0016】
前記の重合体Aと重合体Bを溶解する良溶媒としては、具体的には、例えば塩化メチレン(MC)、クロロホルム(CHCl3)、メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、イソプロパノール(PrOH)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)およびこれらの混合溶媒が挙げられる。これらの溶媒の使用量は、重合体AとBの合計量に対して、2倍〜20倍(重量)である。2倍より少ないと溶媒に溶け難くなるので好ましくなく、20倍より多いと溶媒を除去するのに時間を要するので好ましくない。
【0017】
また、重合体Bの貧溶媒としては、具体的には、例えばメタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、プロパノール(PrOH)、水およびこれらの混合溶媒が挙げられる。
貧溶媒の使用量は、特に限定されないが、好ましくは、重合体AとBの合計量に対して、10倍以上(重量)である。10倍より少ないと膜の形成が困難となる。
【0018】
重合体組成物は目的とする孔径の大きさや孔径の密度にもよるが、貧溶媒に10〜80℃の温度、10分〜72時間の浸漬条件が好ましく挙げられる。
通常孔径の大きさは、0.0001〜30μmで、孔径の密度は0.001〜20,000個/(μm)2である。好ましくは、孔径の大きさは、0.01〜10μmで孔径の密度は0.01〜15,000個/(μm)2である。
【0019】
a1単量体の配合量および共単量体の種類と配合量により重合体Aの組成や物性を変えることができ、また重合体Aと重合体Bの種類と配合量により多孔質膜の分子設計することができる。
本発明の血液適合性多孔質膜は、平板膜やチューブ状膜に加工したり、湿式紡糸法を用いて中空糸状に成形して使用することができる。
【0020】
【発明の効果】
本発明の血液適合性多孔質膜は、一般式(1)で表わされる側鎖を有する単量体を重合成分として含む重合体Aと、他の重合体Bとの混合物であるので、一般式(1)で表わされる側鎖を有する単量体に起因する優れた血液適合性および親水性と、他の重合体が備える実用的な機械的強度等の物性とを兼ね備えている。また、他の重合体としてポリスルホンを採用することにより、特に耐久性を必要とする場合や力学的変形を受けやすい場合にも使用することができる。
したがって、生体適合性、親水性かつ膜強度に優れた血液適合性多孔質膜を提供することが出来る。
また、本発明の製造方法によれば、重合体組成物の重合体A部分のみが一部溶出するので、多孔質膜を作成してから血液適合性の処理をすることなく、一段で血液適合性の膜とすることができる。
【0021】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
合成例1;<MPC/BMA=50/50重合体>
a1として、2−メタクリロイルオキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート(以下MPCと略す)14.8g(50ミリモル)とa2として、ブチルメタクリレート(以下BMAと略す)7.1g(50ミリモル)をガラス製重合管に秤量し、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.82gを加え、エタノール100mlに溶解した。溶液中にアルゴンガスを5分間吹き込んだ後、重合管を熔封し60℃で6時間重合反応を行った。反応終了後、反応混合物をエーテル中に滴下し、沈殿した共重合体をろ別し、未反応の単量体を除去した後減圧乾燥し、MPC−BMA共重合体を得た。
得られた共重合体は、リン定量により、共重合体中のMPCの組成比を求めた。さらにゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレンを用いて分子量を求めた。結果を表1に示した。
【0022】
合成例2、3;<MPC/BMA=70/30重合体、MPC/BMA=80/20重合体>
合成例1におけるMPCとBMAの重量比率MPC/BMA=50/50と反応時間6時間を、合成例2では、MPC/BMA=70/30と反応時間2時間に、合成例3では、MPC/BMA=80/20と反応時間1時間に代えた以外は合成例1と同様にしてMPC−BMA共重合体を得た。結果を表1に示した。
【0023】
合成例4;<MPC/DMA=50/50重合体>
a2成分として、合成例1の単量体のBMA7.1g(50ミリモル)の代わりにn−ドデシルメタククリレート(以下DMAと略す)12.7g(50ミリモル)を用いて、反応時間5時間に代えた以外は、合成例1と同様に重合反応を行いMPC−DMAの共重合体を得た。結果を表1に示した。
【0024】
合成例5;<MPC/St=70/30重合体>
合成例1のa2の単量体BMA7.1g(50ミリモル)の代わりにスチレン(以下Stと称す)を5.2g(50ミリモル)用い、反応時間14時間にした以外は、合成例1と同様に重合反応を行いMPC−Stの共重合体を得た。結果を表1に示した。
【0025】
実施例1−1
ポリスルホン9.5gと合成例1で得られたMPC共重合体0.5gとを クロロホルム/メタノール(=85/15、v/v)50mlの溶媒に温度25℃、溶解時間15時間溶解させ、これをガラス基盤に流延した後、メタノールに浸漬させて多孔質膜を得た。
得られた多孔質膜は、次の方法により水の接触角、多孔質の孔径を顕微鏡観察より求めた。
<多孔質膜表面の水に対する接触角の測定方法>;
作成した膜を1.0cm×3.0cmの大きさに切り動的接触角測定装置(オリエンテック社製、DCA−100)を用いて、室温(22℃)で測定した。
なお、試料膜の移動速度は15mm/分である。
<孔径の平均粒径を算出方法>;
走査型電子顕微鏡(JEOL)で試料片の観察を行い平均粒径を算出した。
【0026】
実施例1−2〜1−6
表2に示したようにポリスルホンと合成例2〜5で得られたMPCの重合体とを混合溶媒を用いて実施例1−1と同様にして多孔質膜を得た。
得られた多孔質膜は実施例1−1と同様にして水の接触角、多孔質の孔径を顕微鏡観察より求めた。結果を表2に示した。
【0027】
比較例1−1
ポリスルホン10gをN−メチル−2−ピロリドン50mlに温度25℃、溶解時間15時間溶解させ、これをガラス基盤に流延した後、メタノールに浸漬させて膜を得た。
得られた膜表面の水に対する接触角を測定し、さらに走査型電子顕微鏡で観察を行った。結果を表2に示した。
【0028】
実施例2−1;血小板の粘着試験2−1
実施例1−1で得られた膜を直径1.5cmに打ち抜き、細胞培養用シャーレに設置し、シリコーンリングで固定した。リン酸緩衝液(PBS)で24時間平衡化した後、PBSを取り除き、ウサギ血小板多血漿(血小板濃度 1×108個/ml)を0.6ml加えて1時間37℃で静置した。ウサギ血小板多血漿を取り除き、PBSで3回洗浄した後に、続いて細胞融解液(TritonX−100の0.5%PBS溶液)2mlに浸漬し、4℃で1晩静置する。体外診断用乳酸脱水素酵素測定キット溶液を0.3ml加えた後、直ちにかき混ぜて、340nmの吸光度変化を測定することにより血小板数を求めた。結果を表2に示した。
【0029】
実施例2−2〜2−6;血小板の粘着試験2−2〜2−6
表2に示した実施例1−2〜1−6の膜を用いて実施例2−1と同様にして血小板の粘着試験を行った。結果を表2に示した。
【0030】
比較例2−1;
比較例1−1で作成した膜を用いた以外は実施例2−1と同様に血小板の粘着試験を行い、血小板の数を測定した。その結果を表2に示した。
【0031】
また、実施例1−1、2、3、5、6の走査型電子顕微鏡写真をそれぞれ図1、2、3、4、5に示した。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
以上の表2の結果、顕微鏡写真から、実施例1−1〜1−6の多孔質膜は接触角が低く、親水性に優れていることが明らかである。また、膜の製造条件を変化させることで平均孔径を調整することが可能であることがわかる。
またさらに、実施例2−1〜2−6の結果から、実施例1−1〜1−6で作成した膜すべてにおいて、血小板がほとんど粘着していないことが明らかとなり、これらの膜が血液適合性に優れていることがわかる。
【0035】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1−1の走査型電子顕微鏡写真の図である。
【図2】実施例1−2の走査型電子顕微鏡写真の図である。
【図3】実施例1−3の走査型電子顕微鏡写真の図である。
【図4】実施例1−5の走査型電子顕微鏡写真の図である。
【図5】実施例1−6の走査型電子顕微鏡写真の図である。
Claims (1)
- 次の工程1、2および3からなることを特徴とする血液適合性多孔質膜の製造方法。
工程1;(a1)下記一般式[1]
で表される基を有する単量体を単独、または該単量体を100モル%未満と(a2)他の単量体99モル%以下とを含む単量体混合物を重合して数平均分子量1,000〜700,000の重合体Aを合成する。
工程2;前記の重合体Aと、他の重合体Bであるポリスルホンとを重合体A/重合体Bの重量比5/95〜20/80で良溶媒に溶解して、均質な高分子混合物を得る。
工程3;前記の高分子混合物を、重合体Bの貧溶媒でかつ重合体Aの良溶媒に浸漬させて多孔質膜とする。
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