JPH10296063A - 血液適合性多孔質膜及びその製造方法 - Google Patents
血液適合性多孔質膜及びその製造方法Info
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- JPH10296063A JPH10296063A JP9110615A JP11061597A JPH10296063A JP H10296063 A JPH10296063 A JP H10296063A JP 9110615 A JP9110615 A JP 9110615A JP 11061597 A JP11061597 A JP 11061597A JP H10296063 A JPH10296063 A JP H10296063A
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Abstract
提供。 【解決手段】A成分として、下記の一般式[1] 【化1】 (ただし、R1、R2、R3は同一又は異なる基であっ
て、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、nは2〜4
の整数を示す)で示される基を側鎖に有する重合体、B
成分としてその他の重合体を均一に溶解し、ついでその
重合体組成物を、A成分の良溶媒でかつB成分の貧溶媒
に浸漬してなることを特徴とする多孔質膜、およびその
製造方法。
Description
膜および該多孔質膜の製造方法に関する。さらに詳しく
は、本発明は、血液透析、血液ろ過、血漿分離等の血液
浄化や人工臓器等に有用で、優れた血液適合性と親水性
を有する多孔質膜とその製造方法に関する。
セルロース、酢酸セルロース、ポリアクリロニトリル、
ポリメチルメタクリレート、ポリスルホン、エチレンビ
ニルアルコール共重合体、ポリアミド、ポリビニルアル
コール、ポリエチレン、ポリプロピレン等の素材が使用
されている。これらのポリマーから膜を製造するときに
製造条件を適当に選ぶことにより、各種目的に応じた孔
径を持った血液浄化膜を得ることができる。これらの血
液浄化膜の形状としては、中空糸型、チューブ状型、平
板状型等の形状で使用されている。これらの血液浄化膜
の孔径としては、一般的に0.01〜1μmものが使用
されている。一般にこれらの血液浄化膜を用いる血液浄
化療法では、患者の血液を体外へ導き出して不要な成分
を除去したりする治療が行われる。このため、血液は生
体にとって異物となる様々な材料と接触することとな
り、例えば、血液凝固反応や、多くの生体の自己防衛反
応が血液中で引き起こされる。そのため血液浄化療法で
は、上記の血液凝固反応により中空糸膜が詰まり血液の
循環が不可能となることが最大の問題点となっている。
血液の凝固反応を抑制するために多量のヘパリンが投与
されている。しかしながらヘパリンの大量投与や長期間
の投与による副作用が指摘されていて、ヘパリンを大量
に投与せずにかつ血液浄化膜の血液凝固反応による目ず
まりをしない多孔質膜が望まれている。また、材料から
溶出する不純物による生体内での種種の不都合が生じ
る。例えば、人工臓器第26巻(1)第126〜129
頁、同157〜160頁(1997年)には、ポリスル
ホンの透析膜を用いた場合の付着蛋白質の検討や洗浄液
への溶出物の検討がなされている。しかし、生体適合性
と安全性の両方に優れた血液適合性多孔質膜について
は、報告されていないのが現状である。
は、優れた血液適合性、親水性を有する多孔質膜を提供
することにある。 本発明の第2の目的は、優れた血液
適合性、親水性を有する該多孔質膜の製造方法を提供す
ることにある。
題点に鑑み、鋭意検討した結果、特定の側鎖を有する重
合体Aを他の重合体Bと良溶媒で溶解して均質とし、つ
いで重合体Aの良溶媒でかつ重合体Bの貧溶媒に入れる
と、特定の側鎖を有する重合体Aの一部が溶解して多孔
質状となり、重合体Aの血液適合性を多孔質表面に有す
る多孔質膜ができることを見いだし、本発明を完成する
に至った。すなわち、本発明は、次の(1)〜(2)で
ある。(1)A成分として、(a1)下記一般式[1]
て、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、nは2〜
4の整数を示す。)で表わされる側鎖を有する重合体A
と、B成分として、他の重合体Bとを含む高分子組成物
からなることを特徴とする血液適合性多孔質膜。
とを特徴とする血液適合性多孔質膜の製造方法。 工程1; A成分として、(a1)下記一般式[1]
て、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、nは2〜
4の整数を示す。)で表わされる基を有する単量体を単
独、または該単量体100モル%未満と(a2)他の単
量体99モル%以下とを含む単量体混合物を重合して重
合体Aを合成する。 工程2;A成分として前記の重合体A、1〜99重量部
と、B成分として、他の重合体Bを少なくとも1種以上
99〜1重量部を良溶媒に溶解して、均質な高分子混合
物を得る。 工程3;前記の高分子混合物を他の重合体Bの貧溶媒で
かつ重合体Aの良溶媒に浸漬させて多孔質膜とする。
は、下記一般式[1]
て、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、nは2〜
4の整数を示す。)で表わされる基を側鎖に有する重合
体である。重合体Aは、(a1)下記一般式[1]
て、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、nは2〜
4の整数を示す。)で表わされる基を有する単量体を単
独、または該単量体100モル%未満と(a2)他の単
量体99モル%以下とを含む単量体混合物をラジカル重
合してなる重合体である。
有する単量体としては、具体的には、分子中に重合性の
二重結合と前記の一般式[1]で表わされる基を有する
単量体であり、その単量体の具体例としては、例えば、
2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−(トリ
メチルアンモニオ)エチルホスフェート、3−(メタ)
アクリロイルオキシプロピル−2’−(トリメチルアン
モニオ)エチルホスフェート、4−(メタ)アクリロイ
ルオキシブチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチ
ルホスフェート、5−(メタ)アクリロイルオキシペン
チル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェ
ート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−
(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート、3−
(メタ)アクリロイルオキシプロピル−2’−(トリエ
チルアンモニオ)エチルホスフェート、4−(メタ)ア
クリロイルオキシブチル−2’−(トリエチルアンモニ
オ)エチルホスフェート、5−(メタ)アクリロイルオ
キシペンチル−2’−(トリエチルアンモニオ)エチル
ホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル
−2’−(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェー
ト、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−2’−
(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェート、4−
(メタ)アクリロイルオキシブチル−2’−(トリプロ
ピルアンモニオ)エチルホスフェート、5−(メタ)ア
クリロイルオキシペンチル−2’−(トリプロピルアン
モニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイ
ルオキシエチル−2’−(トリブチルアンモニオ)エチ
ルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロ
ピル−2’−(トリブチルアンモニオ)エチルホスフェ
ート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル−2’−
(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェート、5−
(メタ)アクリロイルオキシペンチル−2’−(トリブ
チルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)ア
クリロイルオキシエチル−3’−(トリメチルアンモニ
オ)プロピルホスフェート、2−(メタ)アクリロイル
オキシエチル−4’−(トリメチルアンモニオ)ブチル
エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシ
エチル−3’−(トリエチルアンモニオ)プロピルホス
フェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−
4’−(トリエチルアンモニオ)ブチルホスフェート、
2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−3’−(トリ
プロピルアンモニオ)プロピルホスフェート、2−(メ
タ)アクリロイルオキシエチル−4’−(トリプロピル
アンモニオ)ブチルホスフェート、
3’−(トリブチルアンモニオ)プロピルホスフェー
ト、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−4’−
(トリブチルアンモニオ)ブチルホスフェート、3−
(メタ)アクリロイルオキシプロピル−3’−(トリメ
チルアンモニオ)プロピルホスフェート、3−(メタ)
アクリロイルオキシプロピル−4’−(トリメチルアン
モニオ)ブチルホスフェート、3−(メタ)アクリロイ
ルオキシプロピル−3’−(トリエチルアンモニオ)プ
ロピルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシ
プロピル−4’−(トリエチルアンモニオ)ブチルホス
フェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−
3’−(トリプロピルアンモニオ)プロピルホスフェー
ト、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−4’−
(トリプロピルアンモニオ)ブチルホスフェート、3−
(メタ)アクリロイルオキシプロピル−3’−(トリブ
チルアンモニオ)プロピルホスフェート、3−(メタ)
アクリロイルオキシプロピル−4’−(トリブチルアン
モニオ)ブチルホスフェート、4−(メタ)アクリロイ
ルオキシブチル−3’−(トリメチルアンモニオ)プロ
ピルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブ
チル−4’−(トリメチルアンモニオ)ブチルホスフェ
ート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル−3’−
(トリエチルアンモニオ)プロピルエチルホスフェー
ト、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル−4’−
(トリエチルアンモニオ)ブチルホスフェート、4−
(メタ)アクリロイルオキシブチル−3’−(トリプロ
ピルアンモニオ)プロピルホスフェート、4−(メタ)
アクリロイルオキシブチル−4’−(トリプロピルアン
モニオ)ブチルホスフェート、4−(メタ)アクリロイ
ルオキシブチル−3’−(トリブチルアンモニオ)プロ
ピルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブ
チル−4’−(トリブチルアンモニオ)ブチルホスフェ
ートが挙げられる。さらには、一般式[1]の基が1〜
2個エステル化されたマレイン酸、フマル酸、イタコン
酸の単量体の誘導体等を挙げることができる。また、ス
チリル基に一般式[1]の基が1個置換された単量体を
挙げることができる。具体的には次の構造である。
同じであり、aは0または1の数である) 前記の単量体は、これらの一種ないし二種以上を混合し
て用いることができる。入手性等の点から好ましくは、
2−メタクリロイルオキシエチル−2’−(トリメチル
アンモニオ)エチルホスフェートが挙げられる。
ジカル重合するかあるいは前記のa1の単量体と後述の
a2の他の単量体とからなる単量体混合物をラジカル重
合して得られる。(a2)の他の単量体としては、例え
ば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アク
リレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチ
ルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メ
タ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート
等のアルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ
(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ
(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレ
ート;(メタ)アクリル酸アミド、N,N−ジメチル
(メタ)アクリル酸アミド等のアミド系単量体;(メ
タ)アクリル酸を挙げることができる。さらに(a2)
の他の単量体として、例えば、スチレン、メチルスチレ
ン、クロロメチルスチレン等の置換もしくは無置換のス
チレン系単量体;エチルビニルエーテル、ブチルビニル
エーテル等のビニルエーテル系単量体;酢酸ビニル等の
ビニルエステル系単量体;エチレン、プロピレン、イソ
ブチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等の置換もしく
は無置換の炭化水素系単量体;ジエチルフマレート、ジ
エチルマレエート等の二塩基酸エステル系単量体;N−
ビニルピロリドンを挙げることができる。
カル重合でよく、特に好ましくは溶液重合法により30
〜90℃の重合温度で重合を行うことができる。この場
合、使用される溶媒としては、例えば、メタノール、エ
タノール、イソプロパノール等のアルコールや水、ある
いはこれらの混合溶媒が挙げられる。ラジカル重合開始
剤としては、通常使用されるものでよく、具体的には、
アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリ
ル、過酸化ラウロイル、過酸化ベンゾイルなどの油溶性
のもの、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化
水素などの水溶性のものが挙げられる。ラジカル重合開
始剤は、全単量体原料の0.01〜10重量%の割合で
使用される。
で示される基を有する単量体に基づく構成単位を、少な
くとも1モル%以上、好ましくは10モル%以上、さら
に好ましくは、50モル%以上含有する。1モル%未満
の場合には血液適合性を十分発揮させることができなく
なるので好ましくない。重合体Aの分子量としては、数
平均分子量として、1,000〜700,000が好ま
しく挙げられる。分子量が1,000より小さいと、使
用時に樹脂に一部が溶けだすので好ましくなく、分子量
が700,000より大きいと重合体組成物から重合体
Aが溶解しにくくなるので好ましくない。
には、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、スチレ
ンスルホン酸ソーダ、(メタ)アクリル酸、メチル(メ
タ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソ
プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)ア
クリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリ
エチレングリコール(メタ)アクリレート、グリシジル
(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)ア
クリルアミド、ビニルアセテート、ジメチルフマレー
ト、ジエチルフマレート、ジ−n−ブチルフマレート、
ジ−n−ブチルマレート、ジエチルイタコネート、N−
ビニルピロリドン、シアノ(メタ)アクリレート、ビニ
ルクロライド、ビニリデンクロライド等の単官能の重合
体、ポリスルホン、セグメント化ポリウレタン、ポリ塩
化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレ
ン、ABS樹脂、ポリメチルペンテン、スチレン−ブタ
ジエンブロック共重合体、ポリジメチルシロキサン、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリアリルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリカ
ーボネート、ポリアセタール、ナイロン、ナイロン−A
BS樹脂、ポリスルホン−熱可塑性ポリエステル共重合
体、ポリテトラフルオロエチレン、天然ゴム、コラーゲ
ン等の高分子重合体が挙げられる。好ましくはポリスル
ホンが挙げられる。B成分としては、これらの他の重合
体Bを1種または2種以上を併用して用いることができ
る。
する多孔質膜の状態にもよるが、重合体A/重合体Bは
重量比で、1/99〜99/1である。重合体A/重合
体Bの重量比が1/99より少ないと 血液適合性が低
下するので好ましくない。重合体A/重合体Bの重量比
が99/1より多いと膜の強度が低下するので好ましく
ない。重合体A/重合体Bの重量比は、より好ましく
は、5/95〜20/80である。
にして製造することができる。すなわち、次の工程1、
2および3からなる血液適合性多孔質膜の製造方法であ
る。 工程1;A成分として、(a1)下記一般式[1]
て、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、nは2〜
4の整数を示す。)で表わされる基を有する単量体を単
独、または該単量体100モル%未満と(a2)他の単
量体を99モル%以下とを含む単量体混合物を重合して
重合体Aを合成する。 工程2;前記のa成分として重合体Aと、B成分とし
て、他の重合体Bを少なくとも1種以上を、良溶媒に溶
解して、均質な高分子混合物を得る。 工程3;前記の高分子混合物を、他の重合体Bの貧溶媒
でかつ重合体Aの良溶媒に浸漬させて多孔質膜とする。
媒としては、具体的には、例えば塩化メチレン(M
C)、クロロホルム(CHCl3)、メタノール(Me
OH)、エタノール(EtOH)、イソプロパノール
(PrOH)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジ
メチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド
(DMAc)およびこれらの混合溶媒が挙げられる。こ
れらの溶媒の使用量は、重合体AとBの合計量に対し
て、2倍〜20倍(重量)である。2倍より少ないと溶
媒に溶け難くなるので好ましくなく、20倍より多いと
溶媒を除去するのに時間を要するので好ましくない。
には、例えばメタノール(MeOH)、エタノール(E
tOH)、プロパノール(PrOH)、水およびこれら
の混合溶媒が挙げられる。貧溶媒の使用量は、特に限定
されないが、好ましくは、重合体AとBの合計量に対し
て、10倍以上(重量)である。10倍より少ないと膜
の形成が困難となる。
孔径の密度にもよるが、貧溶媒に10〜80℃の温度、
10分〜72時間の浸漬条件が好ましく挙げられる。通
常孔径の大きさは、0.0001〜30μmで、孔径の
密度は0.001〜20,000個/(μm)2であ
る。好ましくは、孔径の大きさは、0.01〜10μm
で孔径の密度は0.01〜15,000個/(μm)2
である。
と配合量により重合体Aの組成や物性を変えることがで
き、また重合体Aと重合体Bの種類と配合量により多孔
質膜の分子設計することができる。本発明の血液適合性
多孔質膜は、平板膜やチューブ状膜に加工したり、湿式
紡糸法を用いて中空糸状に成形して使用することができ
る。
(1)で表わされる側鎖を有する単量体を重合成分とし
て含む重合体Aと、他の重合体Bとの混合物であるの
で、一般式(1)で表わされる側鎖を有する単量体に起
因する優れた血液適合性および親水性と、他の重合体が
備える実用的な機械的強度等の物性とを兼ね備えてい
る。また、他の重合体としてポリスルホンを採用するこ
とにより、特に耐久性を必要とする場合や力学的変形を
受けやすい場合にも使用することができる。したがっ
て、生体適合性、親水性かつ膜強度に優れた血液適合性
多孔質膜を提供することが出来る。また、本発明の製造
方法によれば、重合体組成物の重合体A部分のみが一部
溶出するので、多孔質膜を作成してから血液適合性の処
理をすることなく、一段で血液適合性の膜とすることが
できる。
る。 合成例1;<MPC/BMA=50/50重合体> a1として、2−メタクリロイルオキシエチル−2’−
(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート(以下M
PCと略す)14.8g(50ミリモル)とa2とし
て、ブチルメタクリレート(以下BMAと略す)7.1
g(50ミリモル)をガラス製重合管に秤量し、重合開
始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.82gを加
え、エタノール100mlに溶解した。溶液中にアルゴ
ンガスを5分間吹き込んだ後、重合管を熔封し60℃で
6時間重合反応を行った。反応終了後、反応混合物をエ
ーテル中に滴下し、沈殿した共重合体をろ別し、未反応
の単量体を除去した後減圧乾燥し、MPC−BMA共重
合体を得た。得られた共重合体は、リン定量により、共
重合体中のMPCの組成比を求めた。さらにゲルパーミ
エーションクロマトグラフィー(GPC)により標準ポ
リスチレンを用いて分子量を求めた。結果を表1に示し
た。
30重合体、MPC/BMA=80/20重合体> 合成例1におけるMPCとBMAの重量比率MPC/B
MA=50/50と反応時間6時間を、合成例2では、
MPC/BMA=70/30と反応時間2時間に、合成
例3では、MPC/BMA=80/20と反応時間1時
間に代えた以外は合成例1と同様にしてMPC−BMA
共重合体を得た。結果を表1に示した。
重合体> a2成分として、合成例1の単量体のBMA7.1g
(50ミリモル)の代わりにn−ドデシルメタククリレ
ート(以下DMAと略す)12.7g(50ミリモル)
を用いて、反応時間5時間に代えた以外は、合成例1と
同様に重合反応を行いMPC−DMAの共重合体を得
た。結果を表1に示した。
合体> 合成例1のa2の単量体BMA7.1g(50ミリモ
ル)の代わりにスチレン(以下Stと称す)を5.2g
(50ミリモル)用い、反応時間14時間にした以外
は、合成例1と同様に重合反応を行いMPC−Stの共
重合体を得た。結果を表1に示した。
合体0.5gとを クロロホルム/メタノール(=85
/15、v/v)50mlの溶媒に温度25℃、溶解時
間15時間溶解させ、これをガラス基盤に流延した後、
メタノールに浸漬させて多孔質膜を得た。得られた多孔
質膜は、次の方法により水の接触角、多孔質の孔径を顕
微鏡観察より求めた。 <多孔質膜表面の水に対する接触角の測定方法>;作成
した膜を1.0cm×3.0cmの大きさに切り動的接
触角測定装置(オリエンテック社製、DCA−100)
を用いて、室温(22℃)で測定した。なお、試料膜の
移動速度は15mm/分である。 <孔径の平均粒径を算出方法>;走査型電子顕微鏡(J
EOL)で試料片の観察を行い平均粒径を算出した。
れたMPCの重合体とを混合溶媒を用いて実施例1−1
と同様にして多孔質膜を得た。得られた多孔質膜は実施
例1−1と同様にして水の接触角、多孔質の孔径を顕微
鏡観察より求めた。結果を表2に示した。
mlに温度25℃、溶解時間15時間溶解させ、これを
ガラス基盤に流延した後、メタノールに浸漬させて膜を
得た。得られた膜表面の水に対する接触角を測定し、さ
らに走査型電子顕微鏡で観察を行った。結果を表2に示
した。
き、細胞培養用シャーレに設置し、シリコーンリングで
固定した。リン酸緩衝液(PBS)で24時間平衡化し
た後、PBSを取り除き、ウサギ血小板多血漿(血小板
濃度 1×108個/ml)を0.6ml加えて1時間
37℃で静置した。ウサギ血小板多血漿を取り除き、P
BSで3回洗浄した後に、続いて細胞融解液(Trit
onX−100の0.5%PBS溶液)2mlに浸漬
し、4℃で1晩静置する。体外診断用乳酸脱水素酵素測
定キット溶液を0.3ml加えた後、直ちにかき混ぜ
て、340nmの吸光度変化を測定することにより血小
板数を求めた。結果を表2に示した。
2−2〜2−6 表2に示した実施例1−2〜1−6の膜を用いて実施例
2−1と同様にして血小板の粘着試験を行った。結果を
表2に示した。
を用いた以外は実施例2−1と同様に血小板の粘着試験
を行い、血小板の数を測定した。その結果を表2に示し
た。
査型電子顕微鏡写真をそれぞれ図1、2、3、4、5に
示した。
例1−1〜1−6の多孔質膜は接触角が低く、親水性に
優れていることが明らかである。また、膜の製造条件を
変化させることで平均孔径を調整することが可能である
ことがわかる。またさらに、実施例2−1〜2−6の結
果から、実施例1−1〜1−6で作成した膜すべてにお
いて、血小板がほとんど粘着していないことが明らかと
なり、これらの膜が血液適合性に優れていることがわか
る。
る。
る。
る。
る。
る。
Claims (4)
- 【請求項1】A成分として、下記一般式[1] 【化1】 (式中、R1、R2及びR3は、同一又は異なる基であっ
て、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、nは2〜
4の整数を示す。)で表わされる基を側鎖に有する重合
体Aと、B成分として、他の重合体Bとを含む高分子組
成物からなることを特徴とする血液適合性多孔質膜。 - 【請求項2】A成分として、(a1)下記一般式[1] 【化2】 (式中、R1、R2及びR3は、同一又は異なる基であっ
て、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、nは2〜
4の整数を示す。)で表わされる基を有する単量体を単
独、または該単量体を100モル%未満と(a2)他の
単量体99モル%以下とを含む単量体混合物を重合して
なる重合体A、1〜99重量部と、B成分として、他の
重合体B99〜1重量部とを含む高分子混合物からなる
請求項1記載の血液適合性多孔質膜。 - 【請求項3】次の工程1、2および3からなることを特
徴とする血液適合性多孔質膜の製造方法。 工程1; (a1)下記一般式[1] 【化3】 (式中、R1、R2及びR3は、同一又は異なる基であっ
て、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、nは2〜
4の整数を示す。)で表わされる基を有する単量体を単
独、または該単量体を100モル%未満と(a2)他の
単量体99モル%以下とを含む単量体混合物を重合して
重合体A(A成分)を合成する。 工程2;前記の重合体A、1〜99重量部と、他の重合
体B(B成分)を少なくとも99〜1重量部とを良溶媒
に溶解して、均質な高分子混合物を得る。 工程3;前記の高分子混合物を、他の重合体Bの貧溶媒
でかつ重合体Aの良溶媒に浸漬させて多孔質膜とする。 - 【請求項4】重合体Aが、2−メタクリロイルオキシエ
チル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェ
ートとn−ブチルメタクリレートの共重合体であり、重
合体Bがポリスルホンであり、良溶媒がクロロホルム/
エタノールの重量比50/50〜90/10の混合溶媒
で、貧溶媒がメタノールである請求項3記載の血液適合
性多孔質膜の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11061597A JP3808968B2 (ja) | 1997-04-28 | 1997-04-28 | 血液適合性多孔質膜の製造方法 |
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JPH10296063A true JPH10296063A (ja) | 1998-11-10 |
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JP (1) | JP3808968B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005072753A1 (ja) * | 2004-01-30 | 2005-08-11 | Toray Industries, Inc. | 多血小板血漿からなる組成物 |
JP2009062547A (ja) * | 2008-10-17 | 2009-03-26 | Nof Corp | ポリマーナノスフェア、その用途及び製造方法 |
JP2018027529A (ja) * | 2016-08-19 | 2018-02-22 | 国立大学法人神戸大学 | 水処理用ポリ塩化ビニル製多孔質濾過膜の製造方法 |
-
1997
- 1997-04-28 JP JP11061597A patent/JP3808968B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JP2009062547A (ja) * | 2008-10-17 | 2009-03-26 | Nof Corp | ポリマーナノスフェア、その用途及び製造方法 |
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