JP3799643B2 - ペンタフェノール系化合物、その製法及び用途 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なペンタフェノール系化合物、それの製造方法、及びそれのレジスト分野への適用に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、フェノール性水酸基を有する化合物をキノンジアジドスルホン酸エステル化して、半導体微細加工用の感光性樹脂組成物における感光剤として用いることは公知である。すなわち、キノンジアジド基を有する化合物とアルカリ可溶性樹脂を含む組成物を金属基板上に塗布し、これに300〜500nmの波長の光を照射すると、キノンジアジド基が分解してカルボキシル基を生じ、アルカリ不溶の状態からアルカリ可溶の状態になることを利用して、かかる組成物はポジ型レジストとして用いられる。このポジ型レジストは、ネガ型レジストに比べて解像力に優れるという特徴を有することから、半導体用の各種集積回路の製作に利用されている。そして、半導体産業における集積回路は近年、高集積化に伴う微細化が進み、今やサブミクロンのパターン形成が要求されるに至っている。そのなかでも、リソグラフィープロセスは、集積回路製作時の重要な地位を占めており、ポジ型レジストについても、一層優れた解像度、すなわち高いγ値が求められるようになっている。
【0003】
キノンジアジド化合物とアルカリ可溶性樹脂を含有するレジスト材料については、各成分の組合せについて従来から数多くの提案がなされてきている。例えば特開平 1-189644 号公報(=USP 5,153,096)には、フェノール性水酸基を少なくとも2個有するトリフェニルメタン系の化合物をキノンジアジドスルホン酸エステル化したものを、感光剤として用いることが記載されている。しかしながらこうした公知の感光剤を用いても、現在の超高集積回路作製のための超微細加工用、いわゆるサブミクロンリソグラフィー用のレジストとしては限界があった。そこで、感度、解像力、耐熱性等のレジスト性能を向上させるための感光剤について種々の研究が行われている。
【0004】
一方、フェノール性水酸基を有する化合物を、キノンジアジド化合物とアルカリ可溶性樹脂を含有する感光性樹脂組成物におけるアルカリ可溶性低分子量添加剤として用い、レジストの高感度化を図る研究も行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、感光性樹脂組成物におけるアルカリ可溶性低分子量添加剤として用いることができ、またキノンジアジドスルホン酸エステル化したものが感光性樹脂組成物の感光剤成分として有用である新規なフェノール系化合物を提供することにある。
【0006】
本発明の別の目的は、かかるフェノール系化合物又はそのキノンジアジドスルホン酸エステルを用いて、高い感度、高い解像力、高い耐熱性、良好なプロファイル、良好なフォーカス許容性、少ない現像残渣など、レジスト諸性能のバランスがとれた感光性樹脂組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究を続けた結果、フェノール性水酸基を5個有する特定構造のフェノール系化合物を見出し、そしてこの化合物は感光性樹脂組成物におけるアルカリ可溶性低分子量添加剤として有用であるとともに、この化合物をキノンジアジドスルホン酸エステル化したものを感光剤として用いた場合にも、優れた結果が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
したがって本発明は、次式(I)で示されるペンタフェノール系化合物を提供するものである。
【0009】
【0010】
式中、R1 、R2 、R3 、R4 及びR5 は互いに独立に、水素又は1,2−ナフトキノンジアジド−4−若しくは−5−スルホニルを表し、R6 、R7 、R8 、R9 、R10、R11、R12、R13及びR14は互いに独立に、水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数2〜6のアルケニル又は炭素数6以下のシクロアルキルを表し、R15は水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数2〜6のアルケニル又は炭素数6以下のシクロアルキルを表す。
【0011】
式(I)において、R1 、R2 、R3 、R4 及びR5 がすべて水素である化合物、すなわち次式(Ia)
【0012】
【0013】
(式中、R6 、R7 、R8 、R9 、R10、R11、R12、R13、R14及びR15は前記の意味を表す)
で示されるペンタフェノール系化合物は、次式(II)
【0014】
【0015】
(式中、R6 、R7 、R8 、R9 、R10及びR15は前記の意味を表す)
で示されるジメチロール化合物を、式(Ia)の化合物を得るのに必要なフェノール系化合物と反応させることにより、製造することができる。
【0016】
また、式(Ia)のペンタフェノール系化合物を、1,2−ナフトキノンジアジド−4−又は−5−スルホニルハライドと反応させることにより、式(I)で示され、R1 、R2 、R3 、R4 及びR5 のうちの少なくとも一つが1,2−ナフトキノンジアジド−4−又は−5−スルホニルとなったエステルを製造することができる。
【0017】
前記式(Ia)で示されるペンタフェノール系化合物は、キノンジアジドスルホン酸エステル化するための前駆体として有用であるとともに、この化合物自体を感光性樹脂組成物のアルカリ可溶性低分子量添加剤として用いることもできる。また、式(I)において、R1 、R2 、R3 、R4 及びR5 の一つが1,2−ナフトキノンジアジド−4−又は−5−スルホニルであり、残りが互いに独立に、水素又は1,2−ナフトキノンジアジド−4−若しくは−5−スルホニルであるペンタフェノール系エステルは、感光性樹脂組成物の感光剤として有用である。
【0018】
【発明の実施の形態】
式(I)において、R6 、R7 、R8 、R9 、R10、R11、R12、R13、R14及びR15で表されるアルキルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、tert−ブチルなど、炭素数1〜6のものであることができ、 同じくアルケニルは、ビニル、アリルなど、炭素数2〜6のものであることができ、同じくシクロアルキルは、シクロペンチル、シクロヘキシルなど、炭素数6以下のものであることができる。また、R6 、R7 、R8 、R9 、R10、R11、R12、R13及びR14で表されるアルコキシは、メトキシ、エトキシ、プロポキシなど、炭素数1〜6のものであることができる。 R6 、R7 、R8 、R9 、R10、R11、R12、R13及びR14はそれぞれ独立に、水素、アルキル又はアルコキシであるのが有利であり、なかでも水素又は炭素数1〜4のアルキルであるのが有利である。またR6 及びR7 の少なくとも一方、そしてR8 及びR9 の少なくとも一方は、それぞれアルキルであるのが有利である。さらにR15は、水素又はアルキル、とりわけ水素又はメチルであるのが有利である。
【0019】
式(I)において、R1 、R2 、R3 、R4 及びR5 のうちの少なくとも一つが1,2−ナフトキノンジアジド−4−又は−5−スルホニルであるペンタフェノール系エステルは、近又は中程度の紫外線や遠紫外線(エキシマーレーザーなどを含む)のような放射線に感応する感光剤として有用であり、アルカリ可溶性樹脂とともにかかる感光剤を含有する感光性樹脂組成物とすることができる。また、式(I)中のR1 、R2 、R3 、R4 及びR5 がすべて水素であり、前記式(Ia)で示されるペンタフェノール系化合物は、かかる感光剤の前駆体として有用であるとともに、この化合物自体を、アルカリ可溶性樹脂及びキノンジアジド系感光剤を含有する感光性樹脂組成物のアルカリ可溶性低分子量添加剤として用いることもできる。
【0020】
式(I)中のR1 、R2 、R3 、R4 及びR5 がすべて水素である化合物、すなわち前記式(Ia)で示されるペンタフェノール系化合物は、前記式(II)で示されるジメチロール化合物を、酸性触媒の存在下に、式(Ia)の化合物を得るのに必要なフェノール系化合物と縮合反応させることにより、製造できる。ここでいう式(Ia)の化合物を得るのに必要なフェノール系化合物とは、具体的には次式(III) 及び(IV)で示される。
【0021】
【0022】
式中、R11、R12、R13及びR14は前記の意味を表す。式(III) 及び(IV)で示される2種類の異なるフェノール系化合物を用いることにより、式(Ia)においてR11及びR12が結合するベンゼン環と、R13及びR14が結合するベンゼン環とが異なった化合物を製造することができるが、一般には、式(III) 又は(IV)で示されるただ1種のフェノール系化合物を用いることにより、式(Ia)においてR11及びR12が結合するベンゼン環と、R13及びR14が結合するベンゼン環とが同じになった化合物が有利に製造される。
【0023】
この反応の原料となる前記式(II)で示されるジメチロール化合物は、 次式(V)
【0024】
(式中、R6 、R7 、R8 、R9 、R10及びR15は前記の意味を表す)
で示されるフェノール系3核体化合物を、アルカリ触媒の存在下にホルムアルデヒドと反応させてジメチロール化することにより得られる。また、式(V)で示されるフェノール系3核体化合物は、次式(VI)
【0025】
【0026】
(式中、R10及びR15は前記の意味を表す)
で示されるカルボニル化合物を、酸性触媒の存在下、式(V)の3核体化合物を得るのに必要なフェノール系化合物と縮合反応させることにより、製造できる。ここでいう式(V)の3核体化合物を得るのに必要なフェノール系化合物とは、具体的には次式(VII) 及び(VIII)で示される。
【0027】
【0028】
式中、R6 、R7 、R8 及びR9 は前記の意味を表す。式(VII) 及び(VIII)で示される2種類の異なるフェノール系化合物を用いることにより、式(V)においてR6 及びR7 が結合するベンゼン環と、R8 及びR9 が結合するベンゼン環とが異なった化合物を製造することができるが、一般には、式(VII) 又は(VIII)で示されるただ1種のフェノール系化合物を用いることにより、式(V)においてR6 及びR7 が結合するベンゼン環と、R8 及びR9 が結合するベンゼン環とが同じになった化合物が有利に製造される。
【0029】
式(VI)で示されるカルボニル化合物との縮合反応に式(VII) で示されるフェノール系化合物のみを用いて、式(V)のフェノール系3核体化合物を製造し、これをジメチロール化したあと、式(III) で示されるフェノール系化合物のみと縮合反応させた場合には、次式(Ib)で示されるペンタフェノール系化合物が得られる。
【0030】
【0031】
式中、R6 、R7 、R10、R11、R12及びR15は前記の意味を表す。
【0032】
以下、式(VI)のカルボニル化合物から出発して、式(Ia)のペンタフェノール系化合物、さらにはそのエステル体へと導く反応を順次説明していく。
【0033】
式(V)のフェノール系3核体化合物を製造する反応に用いられる式(VI)のカルボニル化合物としては、この式の定義に該当する範囲で、それぞれベンゼン環がアルキルなどで置換されていてもよい、ヒドロキシベンズアルデヒド類、アルキルヒドロキシフェニルケトン類、アルケニルヒドロキシフェニルケトン類及びシクロアルキルヒドロキシフェニルケトン類が挙げられるが、なかでも2−、3−又は4−ヒドロキシベンズアルデヒド(さらにベンゼン環がアルキルなどで置換されていてもよい)のようなヒドロキシベンズアルデヒド類、2−、3−又は4−ヒドロキシアセトフェノン(さらにベンゼン環がアルキルなどで置換されていてもよい)のようなヒドロキシアセトフェノン類などが有利に使用される。また、このカルボニル化合物と縮合される式(VII) 及び/又は(VIII)で示されるフェノール系化合物としては、やはりこれらの式の定義に該当する範囲で、フェノール及びその核アルキル、アルコキシ、アルケニル又はシクロアルキル置換体が挙げられるが、 なかでもクレゾール、キシレノール、tert−ブチルフェノール、tert−ブチルクレゾールなどが有利に使用される。
【0034】
この反応においては、式(VI)のカルボニル化合物に対して、式(VII) 及び/又は(VIII)のフェノール系化合物を好ましくは2〜10のモル比で、より好ましくは2〜5のモル比で用いる。このモル比が低すぎると反応の選択性が低下し、また高すぎると原料費が高くなるので、好ましくない。フェノール系化合物として、式(VII) 又は(VIII)で示される1種の化合物を用いる場合は、そのフェノール系化合物を上記のモル比で用いればよく、また式(VII) 及び(VIII)で示される2種の化合物を用い、式(V)においてR6 及びR7 が結合するベンゼン環と、R8 及びR9 が結合するベンゼン環とが異なった化合物を製造する場合は、これら2種類のフェノール系化合物をほぼ等モル用い、両者の合計が式(VI)のカルボニル化合物に対して上記のモル比となるようにするのが好ましい。
【0035】
この反応は通常、酸触媒の存在下で行われる。酸触媒は、塩酸や硫酸のような無機酸、及びp−トルエンスルホン酸のような有機酸のいずれでもよい。酸触媒は、式(VI)のカルボニル化合物に対し、通常1当量以下、好ましくは0.01〜0.5当量の範囲で用いられる。この反応は溶媒中で行うのが好ましく、この場合の反応溶媒は、芳香族溶媒、それも芳香族炭化水素溶媒、又はアルコール溶媒であるのが好ましい。芳香族炭化水素溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられ、なかでもトルエンが好ましく用いられる。またアルコール溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどが挙げられ、なかでもメタノールが好ましく用いられる。反応溶媒は、フェノール系化合物の量を基準に、一般的には0.5〜5重量倍の範囲で、好ましくは1〜3重量倍、さらに好ましくは1〜2重量倍の範囲で使用される。
【0036】
式(VI)で示されるカルボニル化合物と式(VII) 及び/又は(VIII)で示されるフェノール系化合物との反応は通常、40〜120℃の範囲、好ましくは60〜100℃の範囲の温度で、2〜10時間程度行われる。この反応は、通常大気圧下で進行する。
【0037】
こうした反応により式(V)で示されるフェノール系3核体化合物が得られ、それのジメチロール化は、アルカリ触媒の存在下にホルムアルデヒドと反応させることにより行うことができる。ここで用いるアルカリ触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウムのような無機塩基、及びテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドのような有機塩基が挙げられ、なかでも水酸化ナトリウムなどの無機塩基が好ましく用いられる。 アルカリ触媒の量は、式(V)で示されるフェノール系3核体化合物に対して、通常0.5〜6モル倍、さらには1〜4モル倍の範囲が好ましい。アルカリ触媒の量が少なすぎると反応時間が長くなり、またその量が多すぎると反応の選択性が悪くなる。ホルムアルデヒドは、式(V)のフェノール系3核体化合物に対して、通常1〜8モル倍、好ましくは3〜6モル倍使用される。
【0038】
この反応は通常、溶媒中で行われる。 反応溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、水、メタノールなどの極性溶媒が好ましく、なかでも、水又は水と他の極性溶媒との混合溶媒が好ましく使用される。反応溶媒は、式(V)で示されるフェノール系3核体化合物に対して、通常1〜10重量倍、好ましくは2〜6重量倍使用される。この反応は、通常0〜80℃の範囲、好ましくは30〜50℃の範囲の温度で行われる。反応温度が高すぎると反応の選択性が悪くなり、また低すぎると反応が遅くなる。
【0039】
こうした反応により、式(II)で示されるジメチロール化合物が得られる。このジメチロール化合物を式(III) 及び/又は(IV)で示されるフェノール系化合物と反応させることにより、式(Ia) のペンタフェノール系化合物へと導くことができる。この反応に用いるフェノール系化合物は、式(III) 又は(IV)の定義に該当する範囲で、フェノール又はその核アルキル、アルコキシ、アルケニル若しくはシクロアルキル置換体であることができ、具体的には、フェノール、クレゾール、キシレノール、tert−ブチルフェノール、tert−ブチルクレゾールなどが挙げられる。
【0040】
式(II)のジメチロール化合物と式(III) 及び/又は(IV)のフェノール系化合物との反応にあたり、フェノール系化合物は、式(II)のジメチロール化合物に対して、一般的には2〜50のモル比、好ましくは4〜20のモル比で用いられる。フェノール系化合物として、式(III) 又は(IV)で示されるただ1種の化合物を用いる場合は、そのフェノール系化合物を上記のモル比で用いればよく、また式(III) 及び(IV)で示される2種の化合物を用い、式(Ia)中のR11及びR12が結合するベンゼン環と、R13及びR14が結合するベンゼン環とが異なった化合物を製造する場合は、 これら2種類のフェノール系化合物をほぼ等モル用い、両者の合計が式(II)のジメチロール化合物に対して上記のモル比となるようにするのが好ましい。
【0041】
この反応は通常、酸触媒の存在下で行われ、酸触媒は、塩酸、硫酸のような無機酸又は、p−トルエンスルホン酸のような有機酸のいずれでもよいが、なかでもp−トルエンスルホン酸が好ましく用いられる。酸触媒は、式(II)のジメチロール化合物に対し、通常1当量以下、好ましくは0.1〜0.5当量の範囲で用いられる。
【0042】
またこの反応は、溶媒中で行うのが好ましく、この場合の反応溶媒は、メタノールのようなアルコール溶媒、又は芳香族溶媒であるのが好ましい。芳香族溶媒としては、芳香族炭化水素類、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられ、なかでもトルエンが好ましく用いられる。反応溶媒、例えば芳香族溶媒は、反応原料であるフェノール系化合物の量を基準に、一般的には0.5〜5重量倍、好ましくは1〜3重量倍、さらに好ましくは1〜2重量倍の範囲で使用される。反応は通常、10℃から沸点までの範囲、好ましくは15〜60℃の範囲の温度で、2〜3時間程度行われる。この反応は通常、大気圧下で進行する。
【0043】
芳香族溶媒中、室温付近で反応を行った場合は、反応の進行とともに、またそれより高い温度で反応を行った場合は、反応終了後室温付近まで冷却することにより、目的物である式(Ia)のペンタフェノール系化合物が結晶として析出してくる。この結晶を取り出すことにより、粗生成物が得られ、その後任意の精製操作を施すことができる。例えば、この化合物は常温で芳香族溶媒への溶解度が小さいので、芳香族溶媒からの晶析を行うことにより、あるいは必要に応じてそれを繰り返すことにより、精製することができる。この際に用いる晶析溶媒は、反応に用いたものと同じであっても異なっていてもよい。
【0044】
式(Ia)のペンタフェノール系化合物をそのままアルカリ可溶性低分子量添加剤として、又はキノンジアジドスルホン酸エステル化したものを感光剤として、半導体製作用の感光性樹脂組成物に用いる場合は、水への溶解度が9g/100g以下である溶媒に上記粗生成物を溶解したあと、水洗分液することにより、金属分を低減させておくのが好ましい。ここで、水への溶解度が9g/100g以下とは、20℃の水100gに溶ける最大量が9g以下であることを意味する。またここで用いる溶媒は、20℃において、式(Ia)で示されるペンタフェノール系化合物の溶解度が1g/100g以上であるのが好ましい。かかる溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミルのような酢酸エステル類、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノンのようなケトン類などが挙げられ、なかでも酢酸エチルが好ましく用いられる。このようにして金属の低減化を図った式(Ia)のペンタフェノール系化合物を含む溶液は、さらに芳香族溶媒を加えて、目的物を晶析させることができる。ここで用いる芳香族溶媒は、反応に用いたものと同じであっても異なっていてもよいが、好ましくはトルエンが用いられる。
【0045】
こうして得られる式(Ia)のペンタフェノール系化合物として、具体的には例えば、以下に示すようなものが挙げられる。
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
式(Ia)で示されるペンタフェノール系化合物は、アルカリ可溶性樹脂及びキノンジアジド系感光剤を含有する感光性樹脂組成物におけるアルカリ可溶性低分子量添加剤として用いることができ、また例えば、キノンジアジドスルホン酸エステル化して、感光剤とすることもできる。
【0051】
キノンジアジドスルホン酸エステル化する場合は、1,2−キノンジアジド骨格を有する各種のスルホン酸誘導体がエステル化剤として用いられるが、好ましくは、1,2−ナフトキノンジアジド−4−又は−5−スルホニルハライドが用いられる。スルホニルハライドを構成するハロゲンは、例えば塩素や臭素などであることができるが、通常は塩素であるのが好ましく、したがって1,2−ナフトキノンジアジド−4−又は−5−スルホニルクロライドが、エステル化剤として好ましく用いられる。また、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニルハライドと1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルハライドの混合物を用いることもできる。エステル化反応において、1,2−ナフトキノンジアジド−4−及び/又は−5−スルホニルハライドは、式(Ia)で示されるペンタフェノール系化合物に対し、通常1.2〜5のモル比、好ましくは1.4〜2.5のモル比で用いられる。
【0052】
このエステル化反応は通常、脱ハロゲン化水素剤の存在下で行われる。脱ハロゲン化水素剤としては、一般的に塩基性の化合物、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムのような無機塩基、エチルアミン、エタノールアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリンのようなアミン類が挙げられる。 脱ハロゲン化水素剤は、1,2−ナフトキノンジアジド−4−又は−5−スルホニルハライドに対して、通常1.05〜1.5のモル比、好ましくは1.05〜1.2、さらに好ましくは1.1〜1.2のモル比で用いられる。
【0053】
エステル化反応は通常、溶媒中で行われる。反応溶媒としては、エーテル類、ラクトン類、脂肪族ケトン類などが挙げられ、なかでも、ジオキソラン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン、アセトン及び2−ヘプタノンから選ぶのが好ましい。これらをそれぞれ単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができるが、とりわけ1,4−ジオキサンが好ましい。反応溶媒は、式(Ia)で示されるペンタフェノール系化合物とキノンジアジドスルホニルハライドの合計量を基準に、通常は2〜6重量倍の範囲で、好ましくは3〜5重量倍、さらに好ましくは4〜5重量倍の範囲で使用される。
【0054】
このエステル化反応は、常圧下、常温付近でも十分進行し、一般的には20〜30℃の範囲の温度が採用され、2〜10時間程度行われる。
【0055】
反応終了後は、酢酸のような酸で中和し、固形物を濾過したあと、濾液を薄い酸水溶液、例えば0.1〜2重量%程度の濃度の酢酸水溶液と混合すれば、目的物であるエステルが析出してくる。これを濾過、洗浄及び乾燥することにより、エステルを取り出すことができる。
【0056】
このエステル化反応においては、用いる1,2−ナフトキノンジアジドスルホニルハライドのモル比にもよるが、通常は式(I)におけるR1 、R2 、R3 、R4 及びR5 のいずれか一つがキノンジアジドスルホニルとなったもの(モノエステル)、それらのいずれか二つがキノンジアジドスルホニルとなったもの(ジエステル)、 それらのいずれか三つがキノンジアジドスルホニルとなったもの(トリエステル)、それらのいずれか四つがキノンジアジドスルホニルとなったもの(テトラエステル)、及びそれら五つのすべてがキノンジアジドスルホニルとなったもの(ペンタエステル)のうち、2種以上の混合物として得られる。この混合物は、通常そのまま感光剤として用いることができる。
【0057】
こうしてエステル化された化合物は、近ないし中程度の紫外線や遠紫外線(エキシマーレーザーなどを含む)のような放射線に感応する感光剤として、有利に使用することができる。この感光剤は、ノボラック樹脂などのアルカリ可溶性樹脂と組み合わせて、ポジ型レジスト用の感光性樹脂組成物とした場合に、特に高い効果を発揮する。
【0058】
式(I)において、R1 、R2 、R3 、R4 及びR5 がすべて水素である化合物、すなわち式(Ia)で示されるペンタフェノール系化合物を、感光性樹脂組成物におけるアルカリ可溶性低分子量添加剤として用いる場合、この添加剤は、アルカリ可溶性樹脂及びキノンジアジド系感光剤と組み合わせて用いられる。
【0059】
式(Ia)のペンタフェノール系化合物をアルカリ可溶性低分子量添加剤として用いる場合、あるいはそれをキノンジアジドスルホン酸エステル化して感光剤として用いる場合のいずれにおいても、感光性樹脂組成物を構成するアルカリ可溶性樹脂は、フェノール性水酸基を少なくとも1個有する化合物とアルデヒドとを酸触媒の存在下に縮合させて得られるノボラック樹脂であるのが好ましい。ノボラック樹脂の種類は特に限定されず、レジスト分野で用いられる各種のものであることができる。ノボラック樹脂の原料となるフェノール系化合物としては、例えば、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、3,4−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、2−tert−ブチル−5−メチルフェノール、tert−ブチルハイドロキノンなどが挙げられる。また、ノボラック樹脂のもう一方の原料であるアルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、グリオキサール、サリチルアルデヒドなどが挙げられる。特にホルムアルデヒドは、約37重量%の水溶液として工業的に量産されており、好都合である。
【0060】
こうしたフェノール系化合物の1種又は2種以上と、アルデヒドの1種又は2種以上とを、酸触媒の存在下に縮合させることにより、ノボラック樹脂が得られる。酸触媒としては、有機酸、無機酸、二価金属塩などが用いられ、具体例としては、シュウ酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸亜鉛などが挙げられる。 縮合反応は常法に従って行うことができ、例えば60〜120℃の範囲の温度で2〜30時間程度行われる。また、反応はバルクで行っても、適当な溶媒中で行ってもよい。
【0061】
得られるノボラック樹脂は、レジストの現像残渣を少なくするなどの目的で、例えば分別などの操作を施して、 そのゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(UV254nmの検出器を使用)によるパターンにおいて、ポリスチレン換算分子量で900以下の成分の面積比が、未反応のフェノール系化合物のパターン面積を除く全パターン面積に対して25%以下、さらには20%以下となるようにしておくのが好ましい。分別を行う場合は、ノボラック樹脂を、良溶媒、例えばメタノールやエタノールのようなアルコール、アセトンやメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン、エチルセロソルブのようなエチレングリコールエーテル、エチルセロソルブアセテートのようなエチレングリコールエーテルエステル、テトラヒドロフランのような環状エーテルなどに溶解し、この溶液を水中に注いで高分子量成分を沈澱させる方法、あるいはこの溶液を、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンのような貧溶媒と混合して分液する方法などが採用できる。
【0062】
こうした分別操作を施して高分子量成分を多くしたノボラック樹脂に、分子量900以下のアルカリ可溶性フェノール系化合物を加えるのが有効であり、かかるアルカリ可溶性化合物として、式(Ia)のペンタフェノール系化合物を用いることができる。また、式(Ia)のペンタフェノール系化合物をキノンジアジドスルホン酸エステル化して感光剤として用いる場合は、分子量900以下の他のフェノール系化合物を添加剤として用いることもでき、かかるアルカリ可溶性フェノール系化合物としては、分子構造中にフェノール性水酸基を少なくとも2個有するものが好ましく、例えば特開平 2-275955 号公報(=EP-A-358,871) や特開平 2-2560 号公報に記載のものなどが挙げられる。分子量900以下のアルカリ可溶性フェノール系化合物を用いる場合は、感光性樹脂組成物中の全固形分の量を基準として、3〜40重量%の範囲で含有させるのが好ましい。
【0063】
式(Ia)のペンタフェノール系化合物を感光性樹脂組成物におけるアルカリ可溶性低分子量添加剤として用いる場合、感光性樹脂組成物を構成するキノンジアジド系感光剤は、フェノール性水酸基を有する化合物のo−キノンジアジドスルホン酸エステルであることができる。キノンジアジドスルホン酸エステル化されるフェノール系化合物は、フェノール性水酸基を分子内に少なくとも2個有するものが好ましく、例えば、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ペンタヒドロキシベンゾフェノンのようなポリヒドロキシベンゾフェノン類、 2,4,4−トリメチル−2′,4′,7−トリヒドロキシフラバン、2,4,4−トリメチル−2′,3′,4′,7,8−ペンタヒドロキシフラバン、 4−(1′,2′,3′,4′,4′a,9′a−ヘキサヒドロ−6′−ヒドロキシスピロ[シクロヘキサン−1,9′−キサンテン]−4′a−イル)レゾルシノール、4−(1′,2′,3′,4′,4′a,9′a−ヘキサヒドロ−6′−ヒドロキシ−5′−メチルスピロ[シクロヘキサン−1,9′−キサンテン]−4′a−イル)−2−メチルレゾルシノールのようなポリヒドロキシフラバン類、その他、2〜6個のベンゼン環を脂肪族炭化水素系の連結基で結合し、フェノール性水酸基を分子内に少なくとも2個有する化合物などであることができる。このようなフェノール系化合物を、o−キノンジアジドスルホニルハライド、例えば、1,2−ナフトキノンジアジド−4−又は−5−スルホニルクロライドなどと縮合させたものが、感光剤となりうる。またもちろん、式(Ia)のペンタフェノール系化合物をアルカリ可溶性低分子量添加剤として用いる場合であっても、式(Ia)のペンタフェノール系化合物をキノンジアジドスルホン酸エステル化したものを、感光剤として用いることもできる。これらの感光剤は、それぞれ単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0064】
また、式(Ia)のペンタフェノール系化合物をキノンジアジドスルホン酸エステル化して感光剤として用いる場合も、必要に応じて、他のフェノール系化合物の1,2−キノンジアジドスルホン酸エステルを併用することができる。併用されるキノンジアジドスルホン酸エステルも、上に例示したフェノール系化合物のキノンジアジドスルホン酸エステルであることができ、さらに具体的には、特開平 5-204148 号公報に記載の化合物、特開平 5-323597 号公報(=EP-A-570,884) に記載の化合物、特開平 6-167805 号公報(=EP-A-573,056) に記載の化合物などが挙げられる。
【0065】
本発明においては、複数の感光剤を併用する場合も含めて、感光剤は合計で、感光性樹脂組成物中の全固形分の量を基準に、10〜50重量%の範囲で含有するのが好ましい。
【0066】
感光性樹脂組成物を含むレジスト液の調製は、各成分を溶剤に混合溶解することにより行われる。ここで用いる溶剤は、各成分を溶解し、適当な乾燥速度を有し、溶剤が蒸発したあとに均一で平滑な塗膜を与えるものが好ましい。このような溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテートのようなグリコールエーテルエステル類、ピルビン酸エチル、酢酸n−アミル、乳酸エチルのようなエステル類、2−ヘプタノンのようなケトン類、γ−ブチロラクトンのような環状エステル類、その他、特開平 2-220056 号公報に記載のもの、特開平 4-362645 号公報に記載のもの、特開平 4-367863 号公報に記載のものなどが挙げられる。溶剤としては、それぞれの化合物を単独で、又は2種以上混合して用いることができる。
【0067】
こうして得られるレジスト液ないしは感光性樹脂組成物は、必要に応じてさらに、添加物として少量の樹脂や染料を含有することもできる。
【0068】
【実施例】
次に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%及び部は、特にことわらないかぎり重量基準である。
【0069】
合成例1: 4,4′−(4−ヒドロキシベンジリデン)ジ−2,6−キシレノールの製造
1リットルの四つ口フラスコに、2,6−キシレノール145.30g、p−ヒドロキシベンズアルデヒド36.31g、p−トルエンスルホン酸5.66g及びメタノール236.10gを仕込んで溶解し、還流温度まで昇温したあと、さらにその温度で8時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチル600gを仕込み、水洗してから濃縮した。濃縮マスにトルエン500gを仕込んで20℃まで冷却し、濾過後、濾過物をトルエン400gでリンスした。この濾過物を60℃で一昼夜減圧乾燥して、4,4′−(4−ヒドロキシベンジリデン)ジ−2,6−キシレノール103.49g(純度96.8%)を得た。収率96.7%。
【0070】
合成例2: 4,4′−(4−ヒドロキシベンジリデン)ジ−2,6−キシレノールのジメチロール化
500mlの四つ口フラスコに、合成例1で得られた純度96.8%の4,4′−(4−ヒドロキシベンジリデン)ジ−2,6−キシレノール34.84g、水酸化ナトリウム6.0g、水69.69g及びメタノール29.87gを仕込んで溶解し、45℃に調温した。そこへ、37.3%ホルマリン24.13gを1時間かけて滴下し、滴下終了後さらに7時間攪拌した。反応終了後、氷酢酸27.0gで中和し、25℃に冷却してから濾過した。濾過物を水100gでリンスし、次に60℃で一昼夜減圧乾燥して、4,4′−〔4−ヒドロキシ−3,5−ビス(ヒドロキシメチル)ベンジリデン〕ジ−2,6−キシレノール36.8g(純度65.5%)を得た。収率60.7%。
【0071】
合成例3: 式(9)の化合物の製造
100mlの四つ口フラスコに、p−トルエンスルホン酸0.76g、p−クレゾール21.63g及びトルエン21.63gを仕込んで40℃に調温し、 そこへ、合成例2で得られた純度65.5%の4,4′−〔4−ヒドロキシ−3,5−ビス(ヒドロキシメチル)ベンジリデン〕ジ−2,6−キシレノール8.17gを10分割して1時間で投入し、その後さらに同温度で2時間反応させた。反応終了後濾過し、トルエン100gでリンスした。得られた濾過物を、トルエン100gと酢酸エチル200gの混合液に60℃で仕込んで溶解し、さらにイオン交換水200gを加えて攪拌し、分液した。その後、1%シュウ酸水溶液200gを仕込んで攪拌し、分液することにより脱金属を行った。次にイオン交換水200gでの洗浄を4回行ったあと、オイル層を濃縮した。濃縮マスにトルエン100gを加えて20℃まで冷却し、濾過後、トルエン100gでリンスした。得られた濾過物を60℃で一昼夜減圧乾燥して、4,4′−〔4−ヒドロキシ−3,5−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)ベンジリデン〕ジ−2,6−キシレノール〔前記式(9)で示される化合物:以下、「化合物(9)」という〕を4.16g(定量純度93.29%)得た。4,4′−〔4−ヒドロキシ−3,5−ビス(ヒドロキシメチル)ベンジリデン〕ジ−2,6−キシレノール基準の収率は50.3%であった。
【0072】
質量分析: FD−MS 588
1H−NMR(ジメチルスルホキシド) δ(ppm) :
2.03 (s, 12H); 2.10 (s, 6H); 3.72 (s, 4H);
4.92 (s, 1H); 6.52 (s, 4H); 6.66 (s, 2H);
6.68 (d, J = 8.25 Hz, 2H);
6.69 (d, J = 1.65 Hz, 2H);
6.78 (dd, J = 1.65 Hz, 8.25 Hz, 2H);
7.92 (s, 2H); 8.20 (s, 1H); 9.31 (s, 2H).
【0073】
合成例4: 式(7)の化合物の製造
合成例3におけるp−クレゾールに代えてフェノールを同モル用い、他は合成例3と同様に操作して、4,4′−〔4−ヒドロキシ−3,5−ビス(4−ヒドロキシベンジル)ベンジリデン〕ジ−2,6−キシレノール〔前記式(7)で示される化合物:以下、「化合物(7)」という〕を得た。構造は、質量分析及び核磁気共鳴スペクトルにより確認した。
【0074】
合成例5: 化合物(7)のキノンジアジドスルホン酸エステル化
100mlの四つ口フラスコに、合成例4で得られた化合物(7)0.408g、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロライド0.392g及び1,4−ジオキサン4.0gを仕込んで、25℃に調温した。そこへ、トリエチルアミン0.177gを1時間かけて滴下し、その後さらに3時間反応させた。反応終了後、酢酸0.04gで中和し、濾過した。その濾液を酢酸0.25gとイオン交換水25gの混合液に加えて1時間攪拌し、析出した結晶を濾過し、水洗した。得られた濾過物を45℃で一昼夜減圧乾燥して、0.70gの感光剤を得た。これを感光剤(7')とする。化合物(7)基準の収率は93.7%であった。
【0075】
参考例: ノボラック樹脂の製造
四つ口フラスコに、m−クレゾール148.5部、p−クレゾール121.5部、メチルイソブチルケトン252部、10%シュウ酸水溶液37.0部及び90%酢酸水溶液84.8部を仕込み、100℃の油浴で加熱攪拌しながら、37.0%ホルマリン129.5部を40分かけて滴下し、その後さらに15時間反応させた。次に水洗、脱水して、ノボラック樹脂を42.3%含有するメチルイソブチルケトン溶液466部を得た。GPCによるポリスチレン換算重量平均分子量は4300であった。
【0076】
この溶液450部を、底抜きセパラブルフラスコに仕込み、さらにメチルイソブチルケトン909.6部及びn−ヘプタン996.1部を加えて、60℃で30分間攪拌したあと、静置し、分液した。分液で得られた下層のマスに、2−ヘプタノンを380部加え、メチルイソブチルケトン及びn−ヘプタンをエバポレーターにより除去して、ノボラック樹脂の2−ヘプタノン溶液を得た。GPCによるポリスチレン換算重量平均分子量は9000であり、ポリスチレン換算分子量で900以下の範囲の面積比は、全パターン面積に対して14%であった。
【0077】
適用例1
参考例で得たノボラック樹脂の2−ヘプタノン溶液を固形分換算で15部、添加剤として化合物(9)を3.9部、感光剤として4,4′−メチレンビス〔2−(4−ヒドロキシベンジル)−3,6−ジメチルフェノール〕(下式の構造を有する)
【0078】
【0079】
と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロライドとのモル比1:2の縮合物を5部、 別の感光剤として4−(1′,2′,3′,4′,4′a,9′a−ヘキサヒドロ−6′−ヒドロキシスピロ[シクロヘキサン−1,9′−キサンテン]−4′a−イル)レゾルシノール(下式の構造を有する)
【0080】
【0081】
と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロライドとのモル比1:3の縮合物を1部、及び2−ヘプタノンを用い、2−ヘプタノンが合計で50部となるように混合し、溶解した。この液を孔径0.2μm のフッ素樹脂製フィルターで濾過して、レジスト液を調製した。
【0082】
常法により洗浄したシリコンウェハーに、回転塗布機を用いて上記レジスト液を、乾燥後の膜厚が1.1μm となるように塗布し、ホットプレートにて90℃で1分間ベークした。次いで、365nm(i線)の露光波長を有する縮小投影露光機〔(株)ニコン製品、NSR 2005i 9C、NA=0.57 〕を用いて、露光量を段階的に変化させて露光した。次にこのウェハーを、ホットプレートにて110℃で1分間ベークした。これを現像液“SOPD"〔住友化学工業(株)製品〕で1分間現像して、ポジ型パターンを得た。得られたポジ型パターンについて、以下のようにして評価し、結果を表1に示した。
【0083】
実効感度: 0.50μm のラインアンドスペースパターンが1:1になる露光量で表示した。
【0084】
解像度: ラインアンドスペースパターンが1:1になる露光量(実効感度)で、膜減りなく分離するラインアンドスペースパターンの寸法を、走査型電子顕微鏡で観察して測定した。
【0085】
フォーカス(焦点深度): 実効感度において0.40μm ラインアンドスペースパターンが膜減りなく分離する焦点の幅を、走査型電子顕微鏡で観察して測定した。
【0086】
スカム: 走査型電子顕微鏡でスカム(現像残渣)の有無を観察した。
【0087】
また、実効感度における0.45μm ラインアンドスペースパターンのプロファイル(断面形状)を走査型電子顕微鏡で観察したところ、パターンが垂直に切れていた。
【0088】
適用例2
参考例で得たノボラック樹脂の2−ヘプタノン溶液を固形分換算で15部、添加剤として1,3−ビス〔1−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン(下式の構造を有する)
【0089】
【0090】
を3部、感光剤(7')を5部、別の感光剤として適用例1で用いたのと同じ4−(1′,2′,3′,4′,4′a,9′a−ヘキサヒドロ−6′−ヒドロキシスピロ[シクロヘキサン−1,9′−キサンテン]−4′a−イル)レゾルシノールと1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロライドとのモル比1:3の縮合物を1部、及び2−ヘプタノンを用い、2−ヘプタノンが合計で50部となるように混合し、溶解した。この液を孔径0.2μm のフッ素樹脂製フィルターで濾過して、レジスト液を調製した。
【0091】
このレジスト液を用いて適用例1と同じ方法でポジ型パターンを作製して評価し、結果を表1に示した。 また、実効感度における0.45μm ラインアンドスペースパターンのプロファイル(断面形状)を走査型電子顕微鏡で観察したところ、パターンが垂直に切れていた。
【0092】
【表1】
【0093】
【発明の効果】
本発明による式(I)で示されるペンタフェノール系化合物のなかで、R1 、R2 、R3 、R4 及びR5 の少なくとも一つが1,2−ナフトキノンジアジドスルホニルであるものは、感光性樹脂組成物用の感光剤として有用であり、また、R1 、R2 、R3 、R4 及びR5 がすべて水素であるものは、上記感光剤の前駆体として有用であるほか、感光性樹脂組成物用のアルカリ可溶性低分子量添加剤としても有用である。そして、このアルカリ可溶性低分子量添加剤を含む感光性樹脂組成物、あるいは1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化された上記感光剤を含む感光性樹脂組成物は、半導体微細加工用として、感度及び解像力に優れ、また現像残渣がないなど、レジスト諸性能のバランスがとれたものとなる。
Claims (12)
- R1 、R2 、R3 、R4 及びR5 がすべて水素である請求項1記載の化合物。
- R1 、R2 、R3 、R4 及びR5 の少なくとも一つが1,2−ナフトキノンジアジド−4−又は−5−スルホニルである請求項1記載の化合物。
- R15が水素又はメチルである請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
- 式(Ia)
(式中、R6 、R7 、R8 、R9 、R10、R11、R12、R13及びR14は互いに独立に、水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数2〜6のアルケニル又は炭素数6以下のシクロアルキルを表し、R15は水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数2〜6のアルケニル又は炭素数6以下のシクロアルキルを表す)
で示されるペンタフェノール系化合物を製造する方法であって、式(II)
(式中、R6 、R7 、R8 、R9 、R10及びR15は前記の意味を表す)
で示されるジメチロール化合物を、式(Ia)の化合物を得るのに必要なフェノール系化合物と反応させることを特徴とする、前記方法。 - 式(I)
(式中、R1 、R2 、R3 、R4 及びR5 の一つは1,2−ナフトキノンジアジド−4−又は−5−スルホニルを表し、残りは互いに独立に、水素又は1,2−ナフトキノンジアジド−4−若しくは−5−スルホニルを表し、R6 、R7 、R8 、R9 、R10、R11、R12、R13及びR14は互いに独立に、水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数2〜6のアルケニル又は炭素数6以下のシクロアルキルを表し、R15は水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数2〜6のアルケニル又は炭素数6以下のシクロアルキルを表す)
で示されるペンタフェノール系エステルを製造する方法であって、式(Ia)
(式中、R6 、R7 、R8 、R9 、R10、R11、R12、R13、R14及びR15は前記の意味を表す)
で示されるペンタフェノール系化合物を、1,2−ナフトキノンジアジド−4−又は−5−スルホニルハライドと反応させることを特徴とする、前記方法。 - アルカリ可溶性樹脂と混合して用いられる請求項7記載の感光剤。
- アルカリ可溶性樹脂及び請求項7記載の感光剤を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
- アルカリ可溶性樹脂が、フェノール系化合物とアルデヒドとの縮合によって得られるノボラック樹脂であって、そのゲル浸透クロマトグラフィーパターンにおけるポリスチレン換算分子量で900以下の範囲の面積比が、未反応のフェノール系化合物のパターン面積を除く全パターン面積に対して25%以下である請求項9記載の組成物。
- アルカリ可溶性樹脂、キノンジアジド系感光剤及び請求項11記載のアルカリ可溶性添加剤を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
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