JP3789735B2 - 車両用フード装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はフードを持上げることによりフードの変形量を充分に確保して衝撃を吸収する車両用フード装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用フード装置のなかには、走行中の車両が障害物に衝突したときに、フードを所定量持上げ、その持上げた位置で保持させるものがある。フードを持上げることで、下方への変形可能量を増大させ、衝突エネルギーの吸収量を増加させることができる。この種の車両用フード装置としては、例えば、特開平10−258774号公報「跳ね上げ式フード」が知られており、この技術を次図で説明する。
【0003】
図9は従来の車両用フード装置の側面図であり、フードを閉じた状態を示す。
車両用フード装置100は、車体101にブラケット102を取り付け、ブラケット102に案内孔102aを形成し、案内孔102aに下部ピン103でリンク105の下端を取り付け、リンク105の上端を上部ピン106でフードアーム107に連結したものである。
【0004】
ブラケット102には、固定ピン110でロック片111を取り付け、ロック片111に引張りばね114を掛け、引張りばね114のばね力でロック片111の爪112を上部ピン106に押し付ける。
これにより、上部ピン106をブラケット102のU字溝102bに保持して、リンク105の上昇を防ぐことができる。リンク105の上昇を防ぐことで、通常時でのフード108の浮上がりを防止してフード108のがたつきを防ぐことができる。
【0005】
一方、車両が障害物に衝突したときには、ロック片111の爪112を上部ピン106から外してリンク105をフリーにすることにより、フード108を所定の持上げ位置まで持上げることができる。次図で、フード108を持上げる例を説明する。
【0006】
図10は従来の車両用フード装置の作用説明図であり、フードを持上げる状態を示す。
車両が障害物に衝突するとアクチュエータ(図示せず)が作動してフード108に持上げ力がかかる。同時に、ロック片111に矢印の如くロック解除力Fをかけて、ロック片111を固定ピン110を中心にして矢印aの如く回転する。ロック片111の爪112が上部ピン106から外れて、リンク105がフリーになる。
【0007】
このため、フード108に合せて上部ピン106が矢印bの如く上昇すると共に下部ピン103が矢印cの如く案内孔102aに沿って移動する。この結果、フード108が所定量持上がり、フード108の下方への変形可能量を増大させて、衝突エネルギーの吸収量を増加させることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、通常時のフード108のがたつきをなくすためには、上部ピン106をロック片111の爪112でロックしなければならない。このため、ロック片111やロック片111をロック位置に保持する引張りばね114が必要である。
一方、車両が衝突したときにフード108を持上げるためには、ロック位置のロック片111をアンロック位置に操作しなければならない。このため、ロック片111をアンロック状態に操作する操作機構が必要である。
従って、車両用フード装置100の部品点数が多くなり、そのことがコストアップの要因になる。
【0009】
そこで、本発明の目的は、部品点数を減らしてコストアップを抑えることができる車両用フード装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、車体側のブラケットにピンを介して第1リンクをスイング可能に取付け、この第1リンクに連結ピンを介して第2リンクをスイング可能に取付け、この第2リンクにヒンジピンを介して車両前部のフードを取付け、通常時には第2リンクとフードとを結ぶヒンジピンをヒンジ中心として、フードの開閉を行い、車両に障害物が衝突したときにはアクチュエータの作用でフードを持ち上げ、伸張した第1・第2リンクでフードの上昇位置を決める如くに、連結リンク機構兼用のヒンジを備えた車両用フード装置において、車体側の前記ブラケットにはストッパ爪を設け、該ブラケットのストッパ爪を前記第2リンクの中間部につなぎ、前記ブラケットのストッパ爪と第2リンクとのつながりは、前記アクチュエータが作動したときに、該アクチュエータの持ち上げ力で前記ストッパ爪は変形して前記第2リンクから外れるが、通常のフード開閉力では第2リンクとブラケットとの結合状態を維持する剛性を有するように構成したことを特徴とする。
【0011】
第2リンクをストッパ爪でブラケットにつなぐことにより、通常時でのフードの浮上りを防止する。ストッパ爪を備えるだけで、フードの浮き上がりによるがたつきことを防ぐことができる。従って、簡単な構成でフードの浮上りによるがたつきを防ぐことができるので部品点数を減らすことができる。
【0012】
ところで、従来技術によれば連結リンクを伸張する際に、操作機構でロックを解除する必要がある。このため、ロック解除用の専用部材として操作機構が必要になり部品点数が多くなる。
この点、請求項1は、アクチュエータが作動したときに、その持上げ力でストッパ爪を第2リンクから外すことで、ロックを解除するので、ロックを解除するための特別な操作機構が不要となる。そのため、部品点数をさらに減らすことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図面に基づいて以下に説明する。ここで、「前」、「後」は運転者から見た方向に従い、図中のFrは前側、Rrは後側を示す。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【0014】
図1は本発明に係る車両用フード装置を取り付けた車両の側面図である。
車両10は、左右のフロントフェンダ12(左側のみ図示する)間にエンジンルーム14を形成し、エンジンルーム14の上方で且つフロントガラス16の前方に衝撃を吸収する車両用フード装置20を配置したものである。
この車両用フード装置20は、車両10が障害物18に衝突したときに、車両前部のフード21を想像線で示す位置まで持上げるとともに、その持上げた位置にフード21を保持するものである。以下、車両用フード装置20について詳しく説明する。
【0015】
車両用フード装置20は、エンジンルーム14の上部開口を塞ぐ前開き形式のフード21と、フード21の左右後端を押上げてフード21を想像線で示す位置まで持上げる左右のアクチュエータ24(左側のみを示す)と、車両10が障害物18に衝突したことを検出するバンパセンサ26と、センサ26からの検出信号に基づいてアクチュエータ24に駆動信号を伝える制御部29と、フード21の左右後端を支えてフード21を想像線で示す持上げ位置に保持する左右のヒンジ(ヒンジ手段)30(左側のみを示す)とからなる。
【0016】
なお、アクチュエータ24は左右共通部品であり、ヒンジ手段30も左右共通部品である。以下、左側のアクチュエータ24及び左側のヒンジ手段30について説明して、右側のアクチュエータ24及び右側のヒンジ手段30の説明は省略する。
【0017】
フード21は、例えばエンジンルーム14の修理点検のために後部のヒンジピンを支点にして前部を開放可能に構成し、車体フレーム17にロックするためのフードロック22を前部に取り付けたものである。
アクチュエータ24は、車体フレーム17に取付けたものであって、インフレータのガス発生剤を点火してガスを発生させ、そのガスでロッド25を上昇させることにより、ロッド25でフード21を想像線の位置まで持ち上げるものである。
【0018】
図2は本発明に係る車両用フード装置の側面図である。
ヒンジ手段30は、車体フレーム17に下部ブラケット31を取付け、フード21の後端に上部ブラケット41を取付け、上部ブラケット41と下部ブラケット31とに第1リンク50及び第2リンク60を掛け渡したものである。
以下、ヒンジ手段30について詳しく説明する。
【0019】
ヒンジ手段30は、下部ブラケット31に第1リンク50の下端50aをピン55を介してスイング可能に取付け、この第1リンク50の上端50bに第2リンク60の下端60aを連結ピン66を介してスイング可能に取付け、この第2リンク60の上端60bを上部ブラケット41にヒンジピン68を介して取付けたものである。
【0020】
このヒンジ手段30は、通常時には下部ブラケット31の第1ストッパ38に第2リンク60の載せ部64を載せ、この第2リンク60とフード21とを結ぶヒンジピン68をヒンジ中心として、フード21の開閉を行い、図1に示す車両10に障害物18が衝突したときにはアクチュエータ24の作用でフード21を持ち上げ、伸張した第1・第2リンク50,60でフード21の上昇位置を決める連結リンク機構兼用のヒンジである。
【0021】
加えて、ヒンジ手段30は、第2リンク60を下部ブラケット31につなぐストッパ爪40を下部ブラケット31に備える。ストッパ爪40は、アクチュエータ24が作動したときには第2リンク60から外れるが、通常のフード開閉力では結合状態を維持する剛性を有し、通常時でのフード21の浮上りを防止する。
【0022】
図3は本発明に係る車両用フード装置に備えたヒンジ手段の分解斜視図である。
下部ブラケット31は、車体フレーム17(図2示す)にボルト32,32(一個のみ図示する)で取り付ける座33と、座33から車体フレーム17の外側に向けて斜め上方に延した第1折曲部34と、第1折曲部34から鉛直に立上げた第2折曲部35と、第2折曲部35から車体フレーム17の内側に向けて斜め上方に延した第3折曲部36と、第3折曲部36から鉛直に立上げた略台形状の第4折曲部37と、第4折曲部37の上端から上方に延し車体内側に折り曲げた第1ストッパ38と、第1ストッパ38に隣接した第2ストッパ39と、第4折曲部37の上端から上方に延し車体フレーム17の内側に折り曲げたストッパ爪40とからなる。
第4折曲部37はピン55を差し込むための孔37aを備える。
【0023】
上部ブラケット41は、フード21(図2に示す)の裏面にボルト42,42で取り付けるために略L字形に形成した部材であって、鉛直部43の後部にヒンジピン68を差し込むための孔43aを備え、孔43aの近傍に折曲片からなるストッパ44を備える。
第1リンク50は、図2に示すように略L字形に形成した部材で、下端50aの下孔にピン55を差し込むとともにストッパ53を備え、上端50bの上孔に連結ピン66を差し込んだものである。
【0024】
第2リンク60は、図2に示すように略L字形に形成した部材で、下端60aに連結ピン66を差し込む下孔61aを開け、この下孔61aの近傍にストッパ62を備え、上端60bにヒンジピン68を差し込む上孔61bを開け、この上孔61bの近傍にストッパ爪40を差し込むストッパ孔63を開け、ストッパ孔63の近傍に下部ブラケット31の第1ストッパ38に載置可能な載せ部64を備える。
なお、それぞれのストッパ38,39,44,53,62の役割については図5〜図8で詳しく説明する。
【0025】
次に、図3に基づいてヒンジ手段30の組付け手順の一例を説明する。
先ず、第1リンク50の下孔にピン55を差し込み、このピン55を下部ブラケット31の孔37aに差し込んで加締める。これにより、第1リンク50を下部ブラケット31にスイング自在に取付ける。
次に、上部ブラケット41の孔43aにヒンジピン68を差し込み、このヒンジピン68を第2リンク60の上孔61bに差し込んで加締める。これにより、第2リンク60を上部ブラケット41にスイング自在に取付ける。
【0026】
次いで、第2リンクのストッパ孔63にストッパ爪40を差し込むとともに、連結ピン66で第1リンク50及び第2リンク60を連結し、連結ピン66を加締める。これにより、第1リンク50及び第2リンク60を互いにスイング自在に連結し、かつストッパ爪40で第2リンク60を下部ブラケット31につなぐ。
【0027】
このように、第1、第2リンク50,60及び上部ブラケット41を下部ブラケット31に組付けた状態で、下部ブラケット31をボルト32,32で車体フレーム17(図2に示す)に取付ける。
最後に、上部ブラケット41をボルト42,42でフード21(図2に示す)に取付ける。これで、ヒンジ手段30を図2の状態、すなわち第1・第2リンク50,60を折り畳んだ状態に組み付ける作業を完了する。
【0028】
このヒンジ手段30は、図2に示す第1・第2リンク50,60の折り畳み状態において、第2リンク60の載せ部64を下部ブラケット31の第1ストッパ38に載せた状態とすることができる。このため、第2リンク60の下方への移動を第1ストッパ38で規制して、フード21を安定した状態に支えることができる。
【0029】
また、ヒンジ手段30は、図2に示すように下部リンク31の傾斜部31aに沿って第2リンク60を配置することで、第2リンク60を車両前方に向けて下向きに傾斜させることができる。このため、下部ブラケット31のピン55取付け位置を車体フレーム17から比較的高い位置に設定することができる。
これにより、フード21に障害物が当った際に潰れやすいように下部ブラケット31の形状を決めることができる。なお、下部ブラケット31の形状については図4で詳しく説明する。
【0030】
図4は図2の4−4線断面図である。
下部ブラケット31は、例えば軟鋼で形成した部材で、第2折曲部35、第3折曲部36及び第4折曲37部を略逆コ字形に折り曲げて潰れやすい形状にした。このため、下部ブラケット31に上方からの荷重がかかったとき、第2折曲部35、第3折曲部36及び第4折曲部37を潰して衝撃を吸収することができる。
【0031】
また、下部ブラケット31の第4折曲部37にピン55で第1リンク50を取り付け、下部ブラケット31のストッパ爪40を第2リンク60のストッパ孔63に差し込み、第2リンク60をヒンジピン68で上部ブラケット41に取り付けた状態を示す。
【0032】
ストッパ爪40は、下部ブラケット31と同じ軟鋼で形成した部材であり、通常のフード開閉力や通常の車両走行時にはストッパ孔63に差し込んだ結合状態を維持することができ、アクチュエータ24が作動したときには変形してストッパ孔63から外れるように剛性を設定した部材である。
【0033】
このため、ストッパ爪40で第2リンク60を下部ブラケット31につなぐこと、すなわちストッパ爪40をストッパ孔63に差し込むことにより、第1・第2リンク50,60の伸張を防いで、通常時でのフード21の浮上りを防止することができる。
ストッパ爪40を備えるだけで、例えば車両走行中にフード21の浮上りによるがたつきことを防ぐことができるので部品点数を減らすことができる。
【0034】
一方、ストッパ爪40は、アクチュエータ24(図2に示す)が作動したときには、アクチュエータ24の持上げ力で変形して第2リンク60のストッパ孔63から外れるので、従来技術のロック解除用の操作機構を省くことができる。このため、部品点数をさらに減らすことができる。
【0035】
図5(a),(b)は本発明に係る車両用フード装置の第1作用説明図であり、エンジンルームの修理点検のためにフードを開ける例を説明する。
(a)において、ストッパ爪40をストッパ孔63に差し込むことで第1・第2リンク50,60を折り畳んだ状態に保ち、この状態でフード21前部のフードロック機構22(図1に示す)を解除して、フード21の後端側のヒンジピン68を軸にして矢印▲1▼の如く開ける。
【0036】
(b)において、フード21を全開位置まで開けることにより、上部ブラケット41のストッパ44が下部ブラケット31の第1ストッパ38に当り、フード21のそれ以上の開放を規制する。この場合、第2リンク60をヒンジピン68を軸にして時計廻り方向に回転させようとする力が働くが、ストッパ爪40をストッパ孔63に差し込んであるので第2リンク60の回転を阻止することができる。
フード21を開くことにより、エンジンルーム内の機器を上方から保守・点検を行うことができる。
【0037】
次に、車両用フード装置20の作用を説明する。
先ず、図1に戻って、車両10の走行中に障害物18に衝突すると、バンパセンサ26が衝突を検出してセンサ26から制御部29に検出信号を伝える。制御部29からアクチュエータ24に駆動信号を伝え、アクチュエータ24にロッド25を突出させようとするガス圧がかかる。アクチュエータ24のロッド25にガス圧が作用することにより、ロッド25をガス圧で瞬時に上昇させてフード21に矢印の如くF1の持上げ力をかける。
【0038】
次に、図4に示すようにフード21にF1の持上げ力をかけることで、上部ブラケット41、ヒンジピン68及び第2リンク60のストッパ孔63を介してストッパ爪40を上方に持ち上げようとする力F2がかかる。
これにより、ストッパ爪40を上方に延びるように変形させてストッパ孔63から外す。
【0039】
図6(a),(b)は本発明に係る車両用フード装置の第2作用説明図であり、(b)は(a)のb−b線断面図を示す。
(a)において、ストッパ爪40がストッパ孔63から外れることにより、第2リンク60が連結ピン66を軸にして反時計廻り方向にスイングし、同時に第1リンク50がピン55を軸にして時計廻り方向にスイングする。
よって、第1・第2リンク50,60が伸張を開始することにより、フード21をフードロック機構22(図1に示す)を軸にして矢印▲2▼の如く上昇をする。(b)は、ストッパ爪40が上方に延びることで変形し、ストッパ孔63から外れた状態を示す。
【0040】
図7は本発明に係る車両用フード装置の第3作用説明図である。
第1・第2リンク50,60が伸張してピン55、連結ピン66及びヒンジピン68が直線70上に位置する。これにより、第1・第2リンク50,60でフード21の上昇を規制し、フード21を上限位置P1に静止させる。
【0041】
フード21が静止した後、フード21の自重でフードが下降しようとする。よって、フード21の自重が第1・第2リンク50,60にかかり、第1・第2リンク50,60を折り畳もうとする。
しかし、ピン55、連結ピン66及びヒンジピン68が直線70上に位置しているので、フード21の自重がかかっても第1・第2リンク50,60は折り畳まれない。このため、第1・第2リンク50,60でフード21を保持することができる。
【0042】
この状態で、フード21に障害物18が落下すると、外力F3が矢印の如くかかる。これにより、第1リンク50をピン55を軸にして車両後方へ倒そうとする力がかかるが、下部ブラケット31の第2ストッパ39に第1リンク50のストッパ53を当てることで、第1リンク50が車両後方へ倒れることを阻止することができる。
【0043】
同時に、第2リンク50を連結ピン66を軸にして車両前方へ倒そうする力がかかるが、第1リンク50に第2リンク60のストッパ62を当てることで、第2リンク60が車両前方へ倒れることを阻止することができる。
従って、第1・第2リンク50,60を伸張状態に維持することができるので、ヒンジ手段30でフード21を所定量持ち上げた上限位置P1に保持することができる。
【0044】
図8は本発明に係る車両用フード装置の第4作用説明図である。
フード21を想像線で示す位置から実線で示す位置まで所定量持ち上げることにより、フード21からエンジンルーム14に収納したエンジン等の機器19までの距離を大きくすることができる。従って、フード21の下向きの変形量を充分に確保することができる。
このため、障害物18がフード21に落下して矢印の如く外力F3がかかっても、フード21の凹み部21aを想像線で示すように大きく確保することができる。従って、障害物18に及ぼす衝撃を確実に吸収することができる。
【0045】
加えて、図4に示すように下部ブラケット31の第2折曲部35、第3折曲部36及び第4折曲37部を略逆コ字形に折り曲げて潰れやすい形状にした。よって、障害物18がフード21に落下して矢印の如く外力F3がかかった際に、第2折曲部35、第3折曲部36及び第4折曲部37を潰して衝撃を吸収することができる。従って、障害物18に及ぼす衝撃をより確実に吸収することができる。
【0046】
また、フード21に生じる凹み部21aの凹み量を想像線で示すように大きくしても、凹み部21aがエンジンルームの機器19に当ることがないので、機器19を障害物18から保護することができる。
【0047】
なお、前記実施の形態では、下部ブラケット31の上端にストッパ爪40を形成した例について説明したが、ストッパ爪40の配置箇所は任意に設定してもよい。
また、第2リンク60を下部ブラケット31につなぐ手段として、ストッパ爪40を第2リンク60のストッパ孔63に差し込む例について説明したが、ストッパ爪40を第2リンク60の上辺にかけて、第2リンク60を下部ブラケット31につなぐことも可能である。
さらに、ストッパ爪40を第1リンク50及び第2リンク60の両方のリンクにストッパ爪を差し込むようにしてもよい。
また、前記実施の形態では、下部ブラケット31及びストッパ爪40を軟鋼で形成した例について説明したが、材料はこれに限らない。
【0048】
前記実施の形態では、アクチュエータ24やヒンジ手段30を車体フレーム17の左右側に各々2個取り付けた例を説明したが、アクチュエータ24及びヒンジ手段30は車体フレーム17の一方の側に取り付けるだけでもよい。これにより、部品点数をより減らしてコストアップをより抑えることができる。
また、アクチュエータ24を車体フレーム17に取り付けたが、例えばアクチュエータ24をフード21側に取り付けてもよい。
【0049】
前記実施の形態では、フード21が上限位置P1に到達するまでアクチュエータ24のロッド25で持上げる例について説明したが、アクチュエータ24のロッド25でフード21を蹴り上げるようにしてもよい。ロッド25のストロークを小さくすることができるので、アクチュエータ24の小型化を図ることができる。
【0050】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1は、車体側のブラケットにピンを介して第1リンクをスイング可能に取付け、この第1リンクに連結ピンを介して第2リンクをスイング可能に取付け、この第2リンクにヒンジピンを介して車両前部のフードを取付け、通常時には第2リンクとフードとを結ぶヒンジピンをヒンジ中心として、フードの開閉を行い、車両に障害物が衝突したときにはアクチュエータの作用でフードを持ち上げ、伸張した第1・第2リンクでフードの上昇位置を決める如くに、連結リンク機構兼用のヒンジを備えた車両用フード装置において、車体側のブラケットにはストッパ爪を設け、ブラケットのストッパ爪を第2リンクの中間部につなぎ、ブラケットのストッパ爪と第2リンクとのつながりは、アクチュエータが作動したときに、アクチュエータの持ち上げ力でストッパ爪は変形して第2リンクから外れるが、通常のフード開閉力では第2リンクとブラケットとの結合状態を維持する剛性を有するように構成したことを特徴とする。
請求項1では、第2リンクをストッパ爪でブラケットにつなぐことにより、アクチュエータが作動したときに、アクチュエータの持ち上げ力でストッパ爪は変形して第2リンクから外れるが、通常時でのフードの浮上りを防止する。ストッパ爪を備えるだけで、フードの浮き上がりによるがたつきを防ぐことができる。従って、簡単な構成でフードの浮き上がりによるがたつきを防ぐことができるので部品点数を減らすことができる。
【0051】
また、アクチュエータが作動したときに、その持上げ力でストッパ爪を第2リンクから外すことで、ロックを解除するので、ロックを解除するための特別な操作機構が不要となる。そのため、構成をより簡単にして部品点数をさらに減らすことができる。従って、車両用フード装置のコストアップを抑えることができる。
【0052】
加えて、部品点数を減らすことにより、フードのがたつき防止用装置を小型にすることができるので、設計の自由度が増す。
さらに、部品点数を減らすことにより組付け作業を簡単にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両用フード装置を取り付けた車両の側面図
【図2】本発明に係る車両用フード装置の側面図
【図3】本発明に係る車両用フード装置に備えたヒンジ手段の分解斜視図
【図4】図2の4−4線断面図
【図5】本発明に係る車両用フード装置の第1作用説明図
【図6】本発明に係る車両用フード装置の第2作用説明図
【図7】本発明に係る車両用フード装置の第3作用説明図
【図8】本発明に係る車両用フード装置の第4作用説明図
【図9】従来の車両用フード装置の側面図
【図10】従来の車両用フード装置の作用説明図
【符号の説明】
10…車両、17…車体(車体フレーム)、18…障害物、20…車両用フード保持装置、21…フード、24…アクチュエータ、30…ヒンジ(ヒンジ手段)、31…ブラケット(下部ブラケット)、40…ストッパ爪、50…第1リンク、55…ピン、60…第2リンク、63…ストッパ孔、66…連結ピン、68…ヒンジピン。
Claims (1)
- 車体側のブラケットにピンを介して第1リンクをスイング可能に取付け、この第1リンクに連結ピンを介して第2リンクをスイング可能に取付け、この第2リンクにヒンジピンを介して車両前部のフードを取付け、通常時には第2リンクとフードとを結ぶヒンジピンをヒンジ中心として、フードの開閉を行い、車両に障害物が衝突したときにはアクチュエータの作用でフードを持ち上げ、伸張した第1・第2リンクでフードの上昇位置を決める如くに、連結リンク機構兼用のヒンジを備えた車両用フード装置において、
車体側の前記ブラケットにはストッパ爪を設け、該ブラケットのストッパ爪を前記第2リンクの中間部につなぎ、
前記ブラケットのストッパ爪と第2リンクとのつながりは、前記アクチュエータが作動したときに、該アクチュエータの持ち上げ力で前記ストッパ爪は変形して前記第2リンクから外れるが、通常のフード開閉力では第2リンクとブラケットとの結合状態を維持する剛性を有するように構成した、
ことを特徴とする車両用フード装置。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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