JP3808292B2 - 車両用フード装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はフードを持上げることによりフードの変形量を充分に確保して衝撃を吸収する車両用フード装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用フード装置のなかには、走行中の車両が障害物に衝突したときに、フードを所定量持上げ、その持上げた位置で保持させるものがある。フードを持上げることで、下方への変形可能量を増大させ、衝突エネルギーの吸収量を増加させることができる。この種の車両用フード装置としては、例えば、特開平10−258774号公報「跳ね上げ式フード」が知られており、この技術を次図で説明する。
【0003】
図12は従来の車両用フード装置の側面図であり、フードを閉じた状態を示す。
車両用フード装置100は、車体101にブラケット102を取り付け、ブラケット102に案内孔102aを形成し、案内孔102aに下部ピン103でリンク105の下端を取り付け、リンク105の上端を上部ピン106でフードアーム107に連結したものである。
【0004】
ブラケット102には、固定ピン110でロック片111を取り付け、ロック片111に引張りばね114を掛け、引張りばね114のばね力でロック片111の爪112を上部ピン106に押し付ける。
これにより、上部ピン106をブラケット102のU字溝102bに保持して、リンク105の上昇を防ぐことができる。リンク105の上昇を防ぐことで、通常時でのフード108の浮上がりを防止してフード108のがたつきを防ぐことができる。
また、上部ピン106をブラケット102のU字溝102bに保持することで、エンジンルームの保守・点検を行う場合に、上部ピン106を軸にしてフード108を矢印の如く開くことができる。
【0005】
一方、車両が障害物に衝突したときには、ロック片111の爪112を上部ピン106から外してリンク105をフリーにすることにより、フード108を所定の持上げ位置まで持上げることができる。次図で、フード108を持上げる例を説明する。
【0006】
図13は従来の車両用フード装置の作用説明図であり、フードを持上げる状態を示す。
車両が障害物に衝突するとアクチュエータ(図示せず)が作動してフード108に持上げ力がかかる。同時に、ロック片111に矢印の如くロック解除力Fをかけて、ロック片111を固定ピン110を中心にして矢印aの如く回転する。ロック片111の爪112が上部ピン106から外れて、リンク105がフリーになる。
【0007】
このため、フード108に合せて上部ピン106が矢印bの如く上昇すると共に下部ピン103が矢印cの如く案内孔102aに沿って移動する。この結果、フード108が所定量持上がり、フード108の下方への変形可能量を増大させて、衝突エネルギーの吸収量を増加させることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、エンジンルームの保守・点検のためにフード108を開ける際には、フード108前部のフードロック機構(図示しない)のロックを解除して、図12に示すように、フード108の後端側の上部ピン106を軸にして矢印の如く開ける。
このとき、フード108を所定量以上開かないようにフード108の開きを制限する必要がある。従って、フード108の開きを制限するためにフード開き防止手段を専用部材として備える必要があり、そのことが車両用フード装置100の小型化や軽量化を図る上で妨げになる。
【0009】
そこで、本発明の目的は、小型化や軽量化を図ることができる車両用フード装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために請求項1は、車体側のブラケットにピンを介して第1リンクをスイング可能に取付け、この第1リンクに連結ピンを介して第2リンクをスイング可能に取付け、この第2リンクにヒンジピンを介して車両前部のフードを取付け、通常時には第2リンクとフードとを結ぶヒンジピンをヒンジ中心として、フードの開閉を行い、車両に障害物が衝突したときにはアクチュエータの作用でフードを持ち上げ、伸張した第1・第2リンクでフードの上昇位置を決める如くに、連結リンク機構兼用のヒンジを備えた車両用フード装置において、アクチュエータが作動したときに、前記第2リンクが前記連結ピンを軸にしてスイングするとともに前記第1リンクが前記ピンを軸にしてスイングして第1・第2リンクの伸張を許容し、通常時には第1・第2リンクの伸張を抑える機械的な結合を施すとともに、通常時にフードが一定角度開いたときに当ってフードのそれ以上の開きを防止するストッパ機構をフードとブラケットとの間に設けた車両用フード装置であって、前記第1・第2リンクが伸張して前記フードを持ち上げたときに、互いに当たって前記第1リンクの倒れを防止する一対のストッパを前記ブラケットおよび前記第1リンクにそれぞれ設け、前記ストッパ機構は、前記フードが通常時に一定角度開いたときに、互いに当たってフードのそれ以上の開きを防止する第1、第2の開き防止ストッパを前記ブラケットおよび前記フード側にそれぞれ設け、前記フードを閉じた状態において、前記第1リンクのストッパを前記ブラケットのストッパに対して車体前方に配置するとともに、これらのストッパの間に前記ブラケットの第1開き防止ストッパを配置したことを特徴とする。
【0011】
フードとブラケットとの間にストッパ機構を設けた。このストッパ機構を設けることにより、通常時にフードを一定角度開いたときに、フードのそれ以上の開きを防止することができる。
このように、フードとブラケットとの間にストッパ機構を設けるだけの構成で、フードの一定角度以上の開きを防止することができるので、車両用フード装置の構成を簡単にすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図面に基づいて以下に説明する。ここで、「前」、「後」は運転者から見た方向に従い、図中のFrは前側、Rrは後側を示す。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【0013】
図1は本発明に係る車両用フード装置(第1実施の形態)を取り付けた車両の側面図である。
車両10は、左右のフロントフェンダ12(左側のみ図示する)間にエンジンルーム14を形成し、エンジンルーム14の上方で且つフロントガラス16の前方に衝撃を吸収する車両用フード装置20を配置したものである。
この車両用フード装置20は、車両10が障害物18に衝突したときに、車両前部のフード21を想像線で示す位置まで持上げるとともに、その持上げた位置にフード21を保持するものである。以下、車両用フード装置20について詳しく説明する。
【0014】
車両用フード装置20は、エンジンルーム14の上部開口を塞ぐ前開き形式のフード21と、フード21の左右後端を押上げてフード21を想像線で示す位置まで持上げる左右のアクチュエータ24(左側のみを示す)と、車両10が障害物18に衝突したことを検出するバンパセンサ26と、センサ26からの検出信号に基づいてアクチュエータ24に駆動信号を伝える制御部29と、フード21の左右後端を支えてフード21を想像線で示す持上げ位置に保持する左右のヒンジ(ヒンジ手段)30(左側のみを示す)とからなる。
【0015】
なお、アクチュエータ24は左右共通部品であり、ヒンジ手段30も左右共通部品である。以下、左側のアクチュエータ24及び左側のヒンジ手段30について説明して、右側のアクチュエータ24及び右側のヒンジ手段30の説明は省略する。
【0016】
フード21は、例えばエンジンルーム14の修理点検のために後部のヒンジピンを支点にして前部を開放可能に構成し、車体フレーム17にロックするためのフードロック22を前部に取り付けたものである。
アクチュエータ24は、車体フレーム17に取付けたものであって、インフレータのガス発生剤を点火してガスを発生させ、そのガスでロッド25を上昇させることにより、ロッド25でフード21を想像線の位置まで持ち上げるものである。
【0017】
図2は本発明に係る車両用フード装置(第1実施の形態)の側面図である。
ヒンジ手段30は、車体フレーム17に下部ブラケット31を取付け、フード21の後端に上部ブラケット41を取付け、上部ブラケット41と下部ブラケット31とに第1リンク50及び第2リンク60を掛け渡したものである。
以下、ヒンジ手段30について詳しく説明する。
【0018】
ヒンジ手段30は、下部ブラケット31に第1リンク50の下端50aをピン55を介してスイング可能に取付け、この第1リンク50の上端50bに第2リンク60の下端60aを連結ピン66を介してスイング可能に取付け、この第2リンク60の上端60bを上部ブラケット41にヒンジピン68を介して取付けたものである。
【0019】
このヒンジ手段30は、通常時には下部ブラケット31の第1ストッパ38aに第2リンク60の載せ部64を載せ、この第2リンク60とフード21とを結ぶヒンジピン68をヒンジ中心として、フード21の開閉を行い、図1に示す車両10に障害物18が衝突したときにはアクチュエータ24の作用でフード21を持ち上げ、伸張した第1・第2リンク50,60でフード21の上昇位置を決める連結リンク機構兼用のヒンジである。
【0020】
加えて、ヒンジ手段30は、アクチュエータ24が作動したときに第1・第2リンク50,60の伸張を許容し、通常時には第1・第2リンク50,60の伸張を抑える機械的な結合を施すとともに、通常時にフード21が一定角度開いたときに当ってフード21のそれ以上の開きを防止するストッパ機構45をフード21(詳しくは、上部ブラケット41)と下部ブラケット31との間に設けた。ストッパ機構45は、下部ブラケット31に設けた第1開き防止ストッパ38aと、上部ブラケット41に設けた第2開き防止ストッパ44とからなる。
【0021】
図3は本発明に係る車両用フード装置(第1実施の形態)に備えたヒンジ手段の分解斜視図である。
下部ブラケット31は、車体フレーム17(図2に示す)にボルト32,32(一個のみを示す)で取り付ける座33と、座33から車体フレーム17の外側に向けて斜め上方に延した第1折曲部34と、第1折曲部34から鉛直に立上げた第2折曲部35と、第2折曲部35から車体フレーム17の内側に向けて斜め上方に延した第3折曲部36と、第3折曲部36から鉛直に立上げた略台形状の第4折曲部37と、第4折曲部37の上端から上方に延し車体内側に折曲形成した第1開き防止ストッパ38aと、第1開き防止ストッパ38aに隣接したストッパ38bと、第4折曲部37の傾斜部から上方に突出した突出片39とからなる。
加えて、下部ブラケット31は、第4折曲部37にピン55を差し込むための孔37aを備え、突出片39にストッパピン40を差し込むためのストッパ孔39aを備える。
【0022】
上部ブラケット41は、フード21(図2に示す)の裏面にボルト42,42で取り付けるために略L字形に形成した部材であって、鉛直部43の後部にヒンジピン68を差し込むための孔43aを備え、孔43aの近傍に折曲形成した第2開き防止ストッパ44を備える。
第1リンク50は、略L字形に形成した部材(図2も参照)で、下端50aの下孔にピン55を差し込むとともにストッパ53を備え、上端50bの上孔に連結ピン66を差し込んだものである。
【0023】
第2リンク60は、略L字形に形成した部材(図2も参照)で、下端60aに連結ピン66を差し込む下孔61aを開け、この下孔61aの近傍にストッパピン40を差し込むストッパ孔63を開け、下孔61aの近傍にストッパ62を備え、上端60bにヒンジピン68を差し込む上孔61bを開け、上孔61bの近傍に下部ブラケット31の第1開き防止ストッパ38aに載置可能な載せ部64を備える。
なお、第1、第2開き防止ストッパ38a,44、及びその他のストッパ38b,53,62の役割については図5〜図9で詳しく説明する。
【0024】
次に、図3に基づいてヒンジ手段30の組付け手順の一例を説明する。
先ず、第1リンク50の下孔にピン55を差し込み、このピン55を下部ブラケット31の孔37aに差し込んで加締める。これにより、第1リンク50を下部ブラケット31にスイング自在に取付ける。
次に、上部ブラケット41の孔43aにヒンジピン68を差し込み、このヒンジピン68を第2リンク60の上孔61bに差し込んで加締める。これにより、第2リンク60を上部ブラケット41にスイング自在に取付ける。
【0025】
次いで、第1リンク50及び第2リンク60を連結ピン66で連結して連結ピン66を加締める。これにより、第1リンク50及び第2リンク60を互いにスイング自在に連結する。続いて、ストッパピン40を下部ブラケット31のストッパ孔39a及び第2リンク60のストッパ孔63に差し込みストッパピン40を加締める。これにより、ストッパピン40で第2リンク60を下部ブラケット31につなぐ。
【0026】
このように、第1、第2リンク50,60及び上部ブラケット41を下部ブラケット31に組付けた状態で、下部ブラケット31をボルト32,32で車体フレーム17(図2に示す)に取付ける。
最後に、上部ブラケット41をボルト42,42でフード21(図2に示す)に取付ける。これで、ヒンジ手段30の組付けを完了する。
【0027】
このヒンジ手段30は、図2に示す第1・第2リンク50,60の折り畳み状態において、第2リンク60の載せ部64を下部ブラケット31の第1開き防止ストッパ38aに載せた状態とすることができる。このため、第2リンク60の下方への移動を第1開き防止ストッパ38aで規制して、フード21を安定した状態に支えることができる。
【0028】
このヒンジ手段30は、図2に示すように第2リンク60を下部ブラケット31につなぐストッパピン40を備える。ストッパピン40は、アクチュエータ24が作動したときには切断するが、通常のフード開閉力では切断しない強度を有し、通常時でのフード21の浮上りを防止する。
【0029】
また、ヒンジ手段30は、図2に示す第1・第2リンク50,60を各々略L形に形成することで、第2リンク60を下部ブラケット31の傾斜部31aに沿わせ、第1リンク50を傾斜部31aから離して取付けることができる。これにより、傾斜部31a近傍にストッパピン40を備える場所を確保することができる。
【0030】
さらに、ヒンジ手段30は、図2に示すように下部リンク31の傾斜部31aに沿って第2リンク60を配置することで、第2リンク60を車両前方に向けて下向きに傾斜させることができる。このため、下部ブラケット31のピン55取付け位置を車体フレーム17(図2に示す)から比較的高い位置に設定することができる。
これにより、フード21に障害物が当った際に潰れやすいように下部ブラケット31の形状を決めることができる。なお、下部ブラケット31の形状については図4で詳しく説明する。
【0031】
図4(a),(b)は本発明に係る車両用フード装置(第1実施の形態)の断面図であり、(a)は図2の4(a)−(a)線断面図、(b)は図2の4(b)−(b)線断面図を示す。
(a)は、下部ブラケット31の第4折曲部37にピン55で第1リンク50を取り付け、上部ブラケット41にヒンジピン68で第2リンク60を取り付けた状態を示す。
下部ブラケット31は、例えば軟鋼で形成した部材で、第2折曲部35、第3折曲部36及び第4折曲37部を略逆コ字形に折り曲げて潰れやすい形状にした。このため、下部ブラケット31に上方からの荷重がかかったとき、第2折曲部35、第3折曲部36及び第4折曲部37を潰して衝撃を吸収することができる。
【0032】
(b)は、ストッパピン40を下部ブラケット31のストッパ孔39a及び第2リンク60のストッパ孔63に差し込みストッパピン40を加締めた状態を示す。このストッパピン40は、アクチュエータ24(図2に示す)が作動したときには切断するが、通常のフード開閉力では切断しない強度を有する。
よって、通常時にはストッパピン40で第2リンク60を下部ブラケット31につなぐことで、第1・第2リンク50,60の伸張を抑える機械的な結合を施し、通常時でのフード21の浮上りを防止することができる。
【0033】
次に、車両用フード装置20の作用を説明する。
先ず、図1に戻って、車両10の走行中に障害物18に衝突すると、バンパセンサ26が衝突を検出してセンサ26から制御部29に検出信号を伝える。制御部29からアクチュエータ24に駆動信号を伝え、アクチュエータ24にロッド25を突出させようとするガス圧がかかる。アクチュエータ24のロッド25にガス圧が作用することにより、ロッド25をガス圧で瞬時に上昇させてフード21に矢印の如くF1の持上げ力をかける。
【0034】
次に、図4(b)に示すようにフード21にF1の持上げ力をかけることで、上部ブラケット41、ヒンジピン68(図4(a)に示す)及び第2リンク60のストッパ孔63を介してストッパピン40の小径部40bを上方に持ち上げようとする力F2がかかる。これにより、ストッパピン40は段部40dで切断する。
【0035】
図5(a),(b)は本発明に係る車両用フード装置(第1実施の形態)の第1作用説明図であり、(b)は(a)のb−b線断面図を示す。
(a)において、ストッパピン40が切断することにより、第2リンク60が連結ピン66を軸にして反時計廻り方向にスイングし、同時に第1リンク50がピン55を軸にして時計廻り方向にスイングする。
よって、第1・第2リンク50,60が伸張を開始することにより、フード21をフードロック機構22(図1に示す)を軸にして矢印▲1▼の如く上昇をする。
(b)は、ストッパピン40が段部40dで切断した状態を示す。
【0036】
図6は本発明に係る車両用フード装置(第1実施の形態)の第2作用説明図である。
第1・第2リンク50,60が伸張してピン55、連結ピン66及びヒンジピン68が直線70上に位置する。これにより、第1・第2リンク50,60でフード21の上昇を規制し、フード21を上限位置P1に静止させる。
【0037】
この状態で、障害物18がフード21に落下して矢印の如く外力F3がかかる。これにより、第1リンク50をピン55を軸にして車両後方へ倒そうとする力がかかるが、下部ブラケット31のストッパ38bに第1リンク50のストッパ53を当てることで、第1リンク50が車両後方へ倒れることを阻止することができる。
【0038】
同時に、第2リンク50を連結ピン66を軸にして車両前方へ倒そうとする力がかかるが、第1リンク50に第2リンク60のストッパ62を当てることで、第2リンク60が車両前方へ倒れることを阻止することができる。
従って、第1・第2リンク50,60を伸張状態に維持することができるので、ヒンジ手段30でフード21を所定量持ち上げた上限位置P1に保持することができる。
【0039】
図7は本発明に係る車両用フード装置(第1実施の形態)の第3作用説明図である。
フード21を想像線で示す位置から実線で示す位置まで所定量持ち上げることにより、フード21からエンジンルーム14に収納したエンジン等の機器19までの距離を大きくすることができる。従って、フード21の下向きの変形量を充分に確保することができる。
このため、障害物18がフード21に落下して矢印の如く外力F3がかかっても、フード21の凹み部21aを想像線で示すように大きく確保することができる。従って、障害物18に及ぼす衝撃を確実に吸収することができる。
【0040】
加えて、図4(a)に示すように下部ブラケット31の第2折曲部35、第3折曲部36及び第4折曲37部を略逆コ字形に折り曲げて潰れやすい形状にした。よって、障害物18がフード21に落下して矢印の如く外力F3がかかった際に、第2折曲部35、第3折曲部36及び第4折曲部37を潰して衝撃を吸収することができる。従って、障害物18に及ぼす衝撃をより確実に吸収することができる。
【0041】
また、フード21に生じた凹み部21aの凹み量を想像線で示すように大きくしても、凹み部21aがエンジンルームの機器19に当ることがないので、機器19を障害物18から保護することができる。
【0042】
次に、エンジンルームの保守・点検のためにフード21を開ける例について説明する。
図8(a),(b)は本発明に係る車両用フード装置(第1実施の形態)の第4作用説明図である。
(a)において、第2リンク60の載せ部64を下部ブラケット31の第1開き防止ストッパ38aに載せ、ストッパピン40を、図4(b)に示す下部ブラケット31のストッパ孔39a及び第2リンク60のストッパ孔63に差し込んだ状態に保ち、フード21前部のフードロック機構22(図1に示す)を解除し、フード21の後端側のヒンジピン68を軸にして矢印▲2▼の如く開ける。
【0043】
(b)において、フード21を全開位置まで開けることにより、上部ブラケット41の第2開き防止ストッパ44が下部ブラケット31の第1開き防止ストッパ38aに当り、フード21のそれ以上の開放を規制する。
フード21を開くことにより、エンジンルーム内の機器を上方から保守・点検を行うことができる。
【0044】
なお、フード21を開放することで第2開き防止ストッパ44が第1開き防止ストッパ38aに当ると、第2リンク60をヒンジピン68を軸にして時計廻り方向に回転させようとする力が働く。しかし、載せ部64を下部ブラケット31の第1開き防止ストッパ38aに載せ、かつストッパピン40をストッパ孔63に差し込むことで、第2リンク60を静止状態に保つことができる。
【0045】
上部ブラケット41に第2開き防止ストッパ44を設け、下部ブラケット31に第1開き防止ストッパ38aを設けることで、通常時にフード21を一定角度開いたときに、ストッパ機構45が当って、すなわち第2開き防止ストッパ44が第1開き防止ストッパ38aに当って、フード21のそれ以上の開きを防止することができる。
ストッパ機構45(第2開き防止ストッパ44及び第1開き防止ストッパ38a)を備え、第2開き防止ストッパ44を第1開き防止ストッパ38aに当てるだけで、フード21の一定角度以上の開きを防止することができる。
【0046】
このように、第2開き防止ストッパ44及び第1開き防止ストッパ38aを設けるだけの構成で、フード21の一定角度以上の開きを防止することができるので、車両用フード装置20のヒンジ機構30の構成を簡単にすることができる。従って、装置の小型化や軽量化を図ることができる。
【0047】
図9は本発明に係る車両用フード装置(第1実施の形態)の第5作用説明図であり、フード21を開放した状態の斜視図を示す。
第2開き防止ストッパ44を、上部ブラケット41の鉛直部43を折り曲げることで形成し、第1開き防止ストッパ38aを、下部ブラケット31の第4折曲部37を折り曲げることで形成した。
従って、第2開き防止ストッパ44と第1開き防止ストッパ38aとの接触面積、すなわちストッパ機構45の接触面積を大きく確保することができるので、フード21の開放を確実に規制することができる。
【0048】
なお、第2開き防止ストッパ44及び第1開き防止ストッパ38aを折り曲げるだけで形成することができるので、第2開き防止ストッパ44及び第1開き防止ストッパ38aをより簡単は構成にすることができる。
【0049】
次に、第2、第3実施の形態について説明する。なお、第1実施の形態と同一部材については同一符号を付して説明を省略する。
図10は本発明に係る車両用フード装置(第2実施の形態)の斜視図であり、フード21を開放した状態を示す。
第2実施の形態の車両用フード装置80はヒンジ手段81を備える。ヒンジ手段81は、下部ブラケット82の第1開き防止ストッパ83を、下部ブラケット82を折り曲げないで形成することにより、第1開き防止ストッパ83及び第2開き防止ストッパ44でストッパ機構84を構成する。なお、その他の構成はヒンジ手段30と同じである。
【0050】
第1開き防止ストッパ83を下部ブラケット82を折り曲げないで形成したので、下部ブラケット82を折り曲げる手間を省くことができる。従って、下部ブラケット82の加工が簡単になり、生産性をより高めることができる。
【0051】
図11は本発明に係る車両用フード装置(第3実施の形態)の斜視図であり、フード21を開放した状態を示す。
第3実施の形態の車両用フード装置90はヒンジ手段91を備える。ヒンジ手段91は、上部ブラケット92の第2開き防止ストッパ93を、上部ブラケット92を折り曲げないで形成することにより、第1開き防止ストッパ38a及び第2開き防止ストッパ93でストッパ機構94を構成する。なお、その他の構成はヒンジ手段30と同じである。
【0052】
第2開き防止ストッパ93を上部ブラケット92を折り曲げないで形成したので、上部ブラケット92を折り曲げる手間を省くことができる。従って、上部ブラケット92の加工が簡単になり、生産性をより高めることができる。
【0053】
なお、フード21の開きを防止するための第1、第2開き防止ストッパは、第1〜第3実施の形態で説明した形状にかぎるものではなく、その他の形状に形成することも可能である。
【0054】
また、前記実施の形態では、アクチュエータ24やヒンジ手段30を車体フレーム17の左右側に各々2個取り付けた例を説明したが、アクチュエータ24及びヒンジ手段30は車体フレーム17の一方の側に取り付けるだけでもよい。これにより、部品点数をより減らしてコストアップをより抑えることができる。
さらに、アクチュエータ24を車体フレーム17に取り付けたが、例えばアクチュエータ24をフード21側に取り付けてもよい。
【0055】
また、前記実施の形態では、フード21が上限位置P1に到達するまでアクチュエータ24のロッド25で持上げる例について説明したが、アクチュエータ24のロッド25でフード21を上限位置P1まで蹴り上げるようにしてもよい。ロッド25のストロークを小さくすることができるので、アクチュエータ24の小型化を図ることができる。
【0056】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1は、フードとブラケットとの間にストッパ機構を設けた。このストッパ機構を設けることにより、通常時にフードを一定角度開いたときに、フードのそれ以上の開きを防止することができる。
このように、フードとブラケットとの間にストッパ機構を設けるだけの構成で、フードの一定角度以上の開きを防止することができるので、車両用フード装置の構成を簡単にすることができる。従って、装置の小型化や軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両用フード装置(第1実施の形態)を取り付けた車両の側面図
【図2】本発明に係る車両用フード装置(第1実施の形態)の側面図
【図3】本発明に係る車両用フード装置(第1実施の形態)に備えたヒンジ手段の分解斜視図
【図4】本発明に係る車両用フード装置(第1実施の形態)の断面図
【図5】本発明に係る車両用フード装置(第1実施の形態)の第1作用説明図
【図6】本発明に係る車両用フード装置(第1実施の形態)の第2作用説明図
【図7】本発明に係る車両用フード装置(第1実施の形態)の第3作用説明図
【図8】本発明に係る車両用フード装置(第1実施の形態)の第4作用説明図
【図9】本発明に係る車両用フード装置(第1実施の形態)の第5作用説明図
【図10】本発明に係る車両用フード装置(第2実施の形態)の斜視図
【図11】本発明に係る車両用フード装置(第3実施の形態)の斜視図
【図12】従来の車両用フード装置の側面図
【図13】従来の車両用フード装置の作用説明図
【符号の説明】
10…車両、17…車体(車体フレーム)、18…障害物、20,80,90…車両用フード保持装置、21…フード、24…アクチュエータ、30,81,91…ヒンジ(ヒンジ手段)、31,82…ブラケット(下部ブラケット)、38b,53…ストッパ、38a,83…第1開き防止ストッパ、44,93…第2開き防止ストッパ、45,84,94…ストッパ機構、50…第1リンク、55…ピン、60…第2リンク、66…連結ピン、68…ヒンジピン。
Claims (1)
- 車体側のブラケットにピンを介して第1リンクをスイング可能に取付け、この第1リンクに連結ピンを介して第2リンクをスイング可能に取付け、この第2リンクにヒンジピンを介して車両前部のフードを取付け、通常時には第2リンクとフードとを結ぶヒンジピンをヒンジ中心として、フードの開閉を行い、車両に障害物が衝突したときにはアクチュエータの作用でフードを持ち上げ、伸張した第1・第2リンクでフードの上昇位置を決める如くに、連結リンク機構兼用のヒンジを備えた車両用フード装置において、
アクチュエータが作動したときに、前記第2リンクが前記連結ピンを軸にしてスイングするとともに前記第1リンクが前記ピンを軸にしてスイングして第1・第2リンクの伸張を許容し、
通常時には第1・第2リンクの伸張を抑える機械的な結合を施すとともに、通常時にフードが一定角度開いたときに当ってフードのそれ以上の開きを防止するストッパ機構をフードとブラケットとの間に設けた車両用フード装置であって、
前記第1・第2リンクが伸張して前記フードを持ち上げたときに、互いに当たって前記第1リンクの倒れを防止する一対のストッパを前記ブラケットおよび前記第1リンクにそれぞれ設け、
前記ストッパ機構は、前記フードが通常時に一定角度開いたときに、互いに当たってフードのそれ以上の開きを防止する第1、第2の開き防止ストッパを前記ブラケットおよび前記フード側にそれぞれ設け、
前記フードを閉じた状態において、前記第1リンクのストッパを前記ブラケットのストッパに対して車体前方に配置するとともに、これらのストッパの間に前記ブラケットの第1開き防止ストッパを配置したことを特徴とする車両用フード装置。
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