JP3761197B2 - 新規dnaポリメラーゼ - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は遺伝子工学用試薬として有用なDNAポリメラーゼ及びその製造方法、さらにそれをコードする遺伝子に関する。
背景技術
DNAポリメラーゼは遺伝子工学用試薬として有用な酵素であり、DNA塩基配列決定法、標識化、部位特異的変異導入法などに広く利用されている。また最近ではポリメラーゼ チェーン リアクション(PCR)法の開発により、耐熱性DNAポリメラーゼが注目を集め、PCR法に適した種々のDNAポリメラーゼが開発され、商品化されている。
現在知られているDNAポリメラーゼはそのアミノ酸配列の共通性から大きく4つのファミリーに分類することができ、中でもファミリーA(ポルI型酵素)とファミリーB(α型酵素)が大多数を占めている。それぞれのファミリーに属するDNAポリメラーゼは概ね類似した生化学的特性を有しているが、詳細に比較すると個々の酵素によって基質特異性、基質アナログの取込み、プライマー伸長性の強さ及び速度、DNA合成の様式、エキソヌクレアーゼ活性の付随、温度、pHなどの至適反応条件、また阻害剤に対する感受性などについて異なる性質を有している。したがってこれまで実験操作に応じてそれぞれ現存する中で最も適した性質を有するDNAポリメラーゼが選ばれ利用されている。
発明の開示
本発明の目的は、上記のどのファミリーにも属さず、現存するDNAポリメラーゼが有しない生化学的特性をもった新規なDNAポリメラーゼを提供することにある。例えばプライマー伸長活性と3’→5’エキソヌクレアーゼ活性は相反する性質とされており、現存するDNAポリメラーゼでプライマー伸長活性の強い酵素は合成の忠実性にとって重要な校正機能である3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有しない。また校正機能が優れているものはプライマー伸長活性が弱い。したがって、強い3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有しながらプライマー伸長活性が強いDNAポリメラーゼの開発は、試験管内でのDNA合成に大いに役立つものである。
本発明の他の目的は、このような新規なDNAポリメラーゼの製造方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、本発明のDNAポリメラーゼをコードする遺伝子を提供することにある。
本発明者らは鋭意研究の結果、超好熱性古細菌であるピロコッカス フリオサスから新規のDNAポリメラーゼ遺伝子を見出し、これをクローニングすることによって2種の新規タンパク質が共存により活性を示す新規DNAポリメラーゼ活性を持つことを明らかにした。更にこれらの遺伝子を導入した形質転換体を作製してこの複合型DNAポリメラーゼを大量生産することに成功し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、
(1) 以下の性質を有することを特徴とするDNAポリメラーゼ、
▲1▼ 一本鎖の鋳型DNAにプライマーがアニーリングした複合体を基質としてポリメラーゼ活性を測定した場合に、活性化DNAを基質とした場合に比べて高い活性を示す。
▲2▼ 3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。
▲3▼ λ−DNAを鋳型としたポリメラーゼ チェーン リアクション(PCR)反応を以下の条件で行った場合、約20キロ塩基対のDNA断片を増幅することが可能である。
PCRの条件:
(a)反応液組成:10mM トリス−塩酸(pH9.2)、3.5mM MgCl2、75mM KCl、400μM dATP,dCTP,dGTP,dTTP、0.01% ウシ血清アルブミン、0.1% トリトンX−100、5.0ng/50μl λ−DNA、10pmole/50μl プライマーλ1(配列表の配列番号8)、およびプライマーλ11(配列表の配列番号9)、3.7単位/50μl DNAポリメラーゼを含む。
(b)反応条件:98℃、10秒〜68℃、10分を1サイクルとした30サイクルのPCR反応を行う。
(2) TaqDNAポリメラーゼと比較してDNA合成時の誤りの頻度が低いことを特徴とする前記(1)記載のDNAポリメラーゼ、
(3) ゲルろ過法による分子量が約220キロダルトン、あるいは約385キロダルトンである前記(1)又は(2)記載のDNAポリメラーゼ、
(4) 2種のDNAポリメラーゼ構成タンパク(第1のDNAポリメラーゼ構成タンパクおよび第2のDNAポリメラーゼ構成タンパク)の共存により活性を示すことを特徴とする前記(1)〜(3)いずれか記載のDNAポリメラーゼ、
(5) 第1のDNAポリメラーゼ構成タンパクおよび第2のDNAポリメラーゼ構成タンパクのSDS−PAGEによる分子量が、それぞれ約90,000ダルトン、約140,000ダルトンであることを特徴とする前記(4)記載のDNAポリメラーゼ、
(6) 前記(4)又は(5)に記載のDNAポリメラーゼを構成する第1のDNAポリメラーゼ構成タンパクが、配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるか、あるいは該アミノ酸配列において1以上のアミノ酸が欠失、挿入、付加、又は置換した実質的に同等の活性を有する機能的同等物であることを特徴とする前記(4)又は(5)記載のDNAポリメラーゼ、
(7) 前記(4)又は(5)に記載のDNAポリメラーゼを構成する第2のDNAポリメラーゼ構成タンパクが、配列表の配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるか、あるいは該アミノ酸配列において1以上のアミノ酸が欠失、挿入、付加、又は置換した実質的に同等の活性を有する機能的同等物であることを特徴とする前記(4)又は(5)記載のDNAポリメラーゼ、
(8) 前記(4)又は(5)に記載のDNAポリメラーゼを構成する第1のDNAポリメラーゼ構成タンパクが、配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるか、あるいは該アミノ酸配列において1以上のアミノ酸が欠失、挿入、付加、又は置換した実質的に同等の活性を有する機能的同等物であり、かつ前記(4)又は(5)に記載のDNAポリメラーゼを構成する第2のDNAポリメラーゼ構成タンパクが、配列表の配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるか、あるいは該アミノ酸配列において1以上のアミノ酸が欠失、挿入、付加、又は置換した実質的に同等の活性を有する機能的同等物であることを特徴とする前記(4)又は(5)記載のDNAポリメラーゼ、
(9) 配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるか、あるいは該アミノ酸配列において1以上のアミノ酸が欠失、挿入、付加、又は置換した実質的に同等の活性を有する機能的同等物としてのアミノ酸配列からなる、前記(4)又は(5)に記載のDNAポリメラーゼを構成する第1のDNAポリメラーゼ構成タンパク、
(10) 配列表の配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるか、あるいは該アミノ酸配列において1以上のアミノ酸が欠失、挿入、付加、又は置換した実質的に同等の活性を有する機能的同等物としてのアミノ酸配列からなる、前記(4)又は(5)に記載のDNAポリメラーゼを構成する第2のDNAポリメラーゼ構成タンパク、
(11) 配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列の全部又は一部を含むか、あるいは配列番号1のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、挿入、付加または置換されたアミノ酸配列からなり、かつ第1のDNAポリメラーゼ構成タンパクとしての機能を有するタンパクをコードすることを特徴とする、前記(9)に記載の第1のDNAポリメラーゼ構成タンパクをコードする塩基配列を含むDNA、
(12) 配列表の配列番号2に示される塩基配列の全部又は一部を含むか、あるいはこの配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能な塩基配列からなることを特徴とする、前記(9)に記載の第1のDNAポリメラーゼ構成タンパクをコードする塩基配列を含むDNA、
(13) 配列表の配列番号3に示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列の全部又は一部を含むか、あるいは配列番号3のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、挿入、付加または置換されたアミノ酸配列からなり、かつ第2のDNAポリメラーゼ構成タンパクとしての機能を有するタンパクをコードすることを特徴とする、前記(10)に記載の第2のDNAポリメラーゼ構成タンパクをコードする塩基配列を含むDNA、
(14) 配列表の配列番号4に示される塩基配列の全部又は一部を含むか、あるいはこの配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能な塩基配列からなることを特徴とする、前記(10)に記載の第2のDNAポリメラーゼ構成タンパクをコードする塩基配列を含むDNA、
(15) 前記(11)又は(12)に記載の第1のDNAポリメラーゼ構成タンパクをコードする遺伝子と、前記(13)又は(14)に記載の第2のDNAポリメラーゼ構成タンパクをコードする遺伝子の両方を含有する形質転換体を培養し、該培養物からDNAポリメラーゼを採取することを特徴とするDNAポリメラーゼの製造方法、並びに
(16) 前記(11)又は(12)に記載の第1のDNAポリメラーゼ構成タンパクをコードする遺伝子を含有する形質転換体と、前記(13)又は(14)に記載の第2のDNAポリメラーゼ構成タンパクをコードする遺伝子を含有する形質転換体とをそれぞれ個別に培養し、該培養物中に含まれるDNAポリメラーゼ構成タンパクを混合してDNAポリメラーゼを採取することを特徴とするDNAポリメラーゼの製造方法、に関する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例1で得られたコスミドクローンNo.264とコスミドクローンNo.491に挿入されたDNA断片の制限酵素地図を示す図である。
第2図は、プラスミドpFU1001に挿入されたXbaI−XbaI DNA断片の制限酵素地図を示す図である。
第3図は、本発明のDNAポリメラーゼの至適pHを示す図である。
第4図は、本発明のDNAポリメラーゼの熱安定性を示す図である。
第5図は、本発明のDNAポリメラーゼの3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を示す図である。
第6図は、本発明のDNAポリメラーゼのプライマー伸長活性を示すオートラジオグラムの図である。
発明を実施するための最良の形態
(1)本発明のDNAポリメラーゼおよびその構成タンパク
本発明のDNAポリメラーゼの一例は、以下の性質を有するものである。
▲1▼ 一本鎖の鋳型DNAにプライマーがアニーリングした複合体を基質としてポリメラーゼ活性を測定した場合に、活性化DNA(DNase I処理仔牛胸腺DNA)を基質とした場合に比べて高い活性を示す。
▲2▼ 3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。
▲3▼ 至適pH:6.5〜7.0(リン酸カリウム緩衝液中、75℃)。
▲4▼ 80℃、30分の熱処理後に約80%の残存活性を示す。
▲5▼ また、λ−DNAを鋳型としたポリメラーゼ チェーン リアクション(PCR)反応を行った場合、他の酵素の添加なしに約20キロ塩基対のDNA断片を増幅することが可能である。PCRの条件は次のとおりである。
(イ) PCR反応液組成:10mMトリス−塩酸(pH9.2),3.5mM MgCl2,75mM KCl,400μM dATP,dCTP,dGTP,dTTP,0.01%ウシ血清アルブミン(BSA),0.1%トリトンX−100(Triton X-100)、5.0ng/50μl λ−DNA、10pmole/50μl プライマーλ1(配列表の配列番号8)、およびプライマーλ11(配列表の配列番号9)、3.7単位/50μl DNAポリメラーゼを含む。ここで、DNAポリメラーゼの1単位は、次のようにして決定される。活性を測定しようとする試料を含む反応液[20mMトリス−塩酸(pH7.7),15mM MgCl2,2mM 2−メルカプトエタノール,0.2mg/ml活性化DNA,40μM dATP,dCTP,dGTP,dTTP,60nM[3H]dTTP(アマシャム社製)]50μlを調製し、75℃で15分間反応させ、そのうちの40μlをDEペーパー(ワットマン社製)にスポットし、5%Na2HPO4で洗浄を5回行った後にDEペーパー上に残存する放射活性を液体シンチレーションカウンターで測定し、30分間あたりに10nmolの[3H]dTMPを基質DNAに取り込む酵素量を酵素1単位とする。
(ロ) PCR反応条件:98℃、10秒〜68℃、10分を1サイクルとした30サイクルのPCR反応を行なう。
▲6▼ 本発明のDNAポリメラーゼは、プライマー伸長活性、DNA合成の正確性のいずれもがTaqDNAポリメラーゼと比較して優れている。即ち、本発明のDNAポリメラーゼのDNA合成反応の伸長性、例えばPCR法において増幅できるDNAの鎖長や、その反応の正確性(DNA合成時に起こる誤りの頻度が低いこと)は、ともに代表的な耐熱性DNAポリメラーゼであるTaqDNAポリメラーゼ(例えば宝酒造社製のTakaRa Taq)に比べ優れている。
本発明のDNAポリメラーゼの分子量は、ゲルろ過法により約220キロダルトン、あるいは約385キロダルトンであり、SDS−PAGE上では約90,000ダルトン、約140,000ダルトンに相当する2本のバンドで示され、2種のタンパクより構成される酵素である。本発明では約90,000ダルトンのもの(後述のORF3に相当する)を第1のDNAポリメラーゼ構成タンパクと呼び、約140,000ダルトンのもの(後述のORF4に相当する)を第2のDNAポリメラーゼ構成タンパクと呼ぶ。本発明のDNAポリメラーゼは、第1のDNAポリメラーゼ構成タンパクと第2のDNAポリメラーゼ構成タンパクとが、1:1又は1:2のモル比で非共有結合的に複合体を形成しているものと推定される。
本発明のDNAポリメラーゼを構成する第1のDNAポリメラーゼ構成タンパクは、配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるか、あるいはこれと実質的に同等の活性を有する機能的同等物であってもよい。また、第2のDNAポリメラーゼ構成タンパクは、配列表の配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるか、あるいはこれと実質的に同等の活性を有する機能的同等物であってもよい。
ここで本明細書に記載の「機能的同等物」とは、以下のようなものをいう。天然に存在するタンパクにはそれをコードする遺伝子の多形や変異の他、生成後のタンパクの生体内および精製中の修飾反応などによってそのアミノ酸配列中にアミノ酸の欠失、挿入、付加、置換等の変異が起こりうるが、それにもかかわらず変異を有しないタンパクと実質的に同等の生理学的活性、生物学的活性を示すものがあることが知られている。このように構造的に差異があってもその機能や活性については大きな違いが認められないものを機能的同等物と呼ぶ。ここで変異したアミノ酸の数は、実質的に同等の生理学的活性、生物学的活性を示すものであるかぎり特に限定されるものではないが、1以上、例えば1又は数個、より具体的には1〜約10個の変異(欠失、挿入、付加、置換等)などが例示される。
人為的にタンパクのアミノ酸配列に上記のような変異を導入した場合も同様であり、この場合にはさらに多種多様の変異体を作製することが可能である。たとえば、大腸菌で発現されたタンパクのN末端に存在するメチオニン残基は多くの場合メチオニンアミノペプチダーゼの作用により除去されるとされているが、タンパクの種類によってはその除去が完全には行われず、メチオニン残基を持つもの、持たないものの両方が生成される。しかしこのメチオニン残基の有無はタンパクの活性には影響を与えない場合が多い。また、ヒトインターロイキン2(IL−2)のアミノ酸配列中のあるシステイン残基をセリンに置換したポリペプチドがインターロイキン2活性を保持することが知られている[サイエンス(Science)、第224巻、1431頁(1984)]。
さらに、遺伝子工学的にタンパクの生産を行う際には融合タンパクとして発現させることがしばしば行われる。たとえば目的タンパクの発現量を増加させるためにN末端に他のタンパク由来のN末端ペプチド鎖を付加したり、目的タンパクのN末端、あるいはC末端に適当なペプチド鎖を付加して発現させ、このペプチド鎖に親和性を持つ担体を使用することによる目的タンパクの精製を容易にすることなどが行われている。したがって本発明のDNAポリメラーゼとは一部異なったアミノ酸配列を有するDNAポリメラーゼであっても、それが本発明のDNAポリメラーゼと本質的に同等の活性を示す限りにおいて、該酵素は「機能的同等物」として本発明の範囲内に属するものである。
(2)本発明のDNAポリメラーゼの遺伝子
本発明のDNAポリメラーゼを構成する第1のDNAポリメラーゼ構成タンパクをコードするDNAとしては、配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列の全部又は一部を含むDNA、例えば、配列表の配列番号2に示される塩基配列の全部又は一部を含むDNAが挙げられる。即ち、配列番号1に示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列の一部を含むDNA、例えば、配列表の配列番号2に示される塩基配列の一部を含むDNAであっても、第1のDNAポリメラーゼ構成タンパクとしての機能を有するタンパクをコードする塩基配列は本発明の範囲内である。また、配列番号1のアミノ酸配列において、1以上の例えば1又は数個のアミノ酸が欠失、挿入、付加または置換などされたアミノ酸配列からなり、かつ第1のDNAポリメラーゼ構成タンパクとしての機能を有するタンパクをコードするDNAも挙げられる。また、さらにこれらの配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能で、かつ第1のDNAポリメラーゼ構成タンパクとしての機能を有するタンパクをコードする塩基配列も本発明の範囲内である。また、第2のDNAポリメラーゼ構成タンパクをコードするDNAとしては、配列表の配列番号3に示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列の全部又は一部を含むDNA、例えば、配列表の配列番号4に示される塩基配列の全部又は一部を含むDNAが挙げられる。即ち、配列番号3に示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列の一部を含むDNA、例えば、配列表の配列番号4に示される塩基配列の一部を含むDNAであっても、第2のDNAポリメラーゼ構成タンパクとしての機能を有するタンパクをコードする塩基配列は本発明の範囲内である。また、配列番号3のアミノ酸配列において、1以上の例えば1又は数個のアミノ酸が欠失、挿入、付加または置換などされたアミノ酸配列からなり、かつ第2のDNAポリメラーゼ構成タンパクとしての機能を有するタンパクをコードするDNAも挙げられる。また、さらにこれらの配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能で、かつ第2のDNAポリメラーゼ構成タンパクとしての機能を有するタンパクをコードする塩基配列も本発明の範囲内である。
ここで、「第1のDNAポリメラーゼ構成タンパクとしての機能を有するタンパク」、あるいは「第2のDNAポリメラーゼ構成タンパクとしての機能を有するタンパク」とは、これらの2種のタンパク質が共存した場合、前記の▲1▼〜▲6▼に示された各種の理化学的性質を有するDNAポリメラーゼ活性を与える性質を有するタンパクをいう。
ここで、「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能」とは、プローブとともに0.5%SDS、0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)、0.1%ポリビニルピロリドン、0.1%フィコール400、0.01%変性サケ***DNAを含む6×SSC(1×SSCは0.15M NaCl、0.015Mクエン酸ナトリウム、pH7.0を示す)中、50℃にて12〜20時間インキュベートした後に、プローブとハイブリダイズしていることをいう。
ここで本明細書に記載の「アミノ酸配列をコードする塩基配列を含むDNA」なる用語について説明する。遺伝子上でアミノ酸を指定するコドン(3つの塩基の組み合わせ)はアミノ酸の種類ごとに1〜6種類づつが存在することが知られている。したがってあるアミノ酸配列をコードするDNAは、そのアミノ酸配列にもよるが多数存在することができる。遺伝子は自然界において必ずしも安定に存在しているものではなく、その塩基配列に変異が起こることはまれではない。遺伝子上の塩基配列に変異が起こってもそこにコードされたアミノ酸配列には変化を与えない場合(サイレント変異と呼ばれる)もあり、この場合には同じアミノ酸配列をコードする異なる遺伝子が生じたといえる。したがってある特定のアミノ酸配列をコードする遺伝子が単離されても、それを含有する生物が継代されていくうちに同じアミノ酸配列をコードする多種類の遺伝子ができていく可能性は否定できない。
さらに、同じアミノ酸配列をコードする多種類の遺伝子を人為的に作製することは種々の遺伝子工学的手法を用いれば困難なことではない。たとえば遺伝子工学的なタンパクの生産において、目的のタンパクをコードする本来の遺伝子上で使用されているコドンが宿主中では使用頻度の低いものであった場合にはタンパクの発現量が低いことがある。このような場合にはコードされているアミノ酸配列に変化を与えることなく、コドンを宿主で繁用されているものに人為的に変換することにより、目的タンパクの高発現を図ることが行われている(例えば、特公平7−102146号公報)。このように特定のアミノ酸配列をコードする多種類の遺伝子は、人為的に作製可能なことは言うまでもなく、自然界においても生成されうるものである。したがって本発明中に開示された塩基配列と同一の塩基配列を有する遺伝子ではなくても、それが本発明中に開示されたアミノ酸配列をコードする限り該遺伝子は本発明に包含されるものである。
(3)本発明のDNAポリメラーゼの製造方法
本発明者らは、超好熱性古細菌であるピロコッカス フリオサスから新規のDNAポリメラーゼ遺伝子を見出し、これをクローニングすることによって該遺伝子上に2種のタンパク質が共存により活性を示す新規なDNAポリメラーゼがコードされていることを明らかにした。本発明では、これらの遺伝子を導入した形質転換体を作製して本発明のDNAポリメラーゼを大量生産することが可能である。この場合、前記のような第1のDNAポリメラーゼ構成タンパクをコードする遺伝子と、第2のDNAポリメラーゼ構成タンパクをコードする遺伝子の両方を含有する形質転換体を培養し、培養物からDNAポリメラーゼを採取する方法でもよく、また、第1のDNAポリメラーゼ構成タンパクをコードする遺伝子を含有する形質転換体と、第2のDNAポリメラーゼ構成タンパクをコードする遺伝子を含有する形質転換体とをそれぞれ個別に培養し、培養物中に含まれるDNAポリメラーゼ構成タンパクを混合することによりDNAポリメラーゼを採取する方法であってもよい。
ここで、「第1のDNAポリメラーゼ構成タンパクをコードする遺伝子と、第2のDNAポリメラーゼ構成タンパクをコードする遺伝子の両方を含有する形質転換体」とは、それぞれの遺伝子を含有する2つの発現ベクターで同時形質転換されたものであってもよく、あるいは両方の遺伝子が1つの発現ベクターに組み込まれてそれぞれのタンパクが発現できるように調製された形質転換体であってもよい。
(4)本発明のDNAポリメラーゼ遺伝子のクローニング、得られたクローンの解析、発現産物であるDNAポリメラーゼの理化学性質、活性、PCR法への適用などについて、以下に詳細に説明する。
本発明に使用する菌株としては、特に限定されるものではないが、例えば、ピロコッカス属に属する菌株としてピロコッカス フリオサス(Pyrococcus furiosus)DSM3638株が挙げられ、該菌株はドイッチェ ザムルンク フォン ミクロオルガニスメン ウント ツェルクルチェウレンGmbHより入手可能である。本発明者らは該菌株を適当な増殖培地で培養し、培養物の粗抽出液を調製してポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った場合に、ゲル内でDNAポリメラーゼ活性を示すタンパク質のバンドが数種類存在することを発見した事から、それぞれに対応する遺伝子が存在すると考えられた。即ち、新規DNAポリメラーゼ遺伝子及びその産物は次に例示する工程によりクローニングすることができる。
▲1▼ ピロコッカス フリオサスからDNAを抽出する、
▲2▼ ▲1▼のDNAを適当な制限酵素で消化し、プラスミド、コスミドなどをベクターとしてDNAライブラリーを作製する、
▲3▼ ▲2▼で調製したライブラリーを大腸菌に導入し、外来遺伝子を発現させることにより各クローンの粗抽出液を集めたプロテインライブラリーを作製する、
▲4▼ ▲3▼で調製したプロテインライブラリーを用いてDNAポリメラーゼ活性を測定し、活性を有する粗抽出液を与えた大腸菌クローンから外来DNAを取り出す、
▲5▼ 取り出したプラスミドまたはコスミド中に含まれているピロコッカス フリオサスDNA断片を解析し、DNAポリメラーゼ活性を示すタンパク質がコードされている領域を絞っていく、
▲6▼ DNAポリメラーゼ活性を示すタンパク質がコードされていると考えられる領域の塩基配列を決定し、タンパク質の一次構造を推定する、
▲7▼ ▲6▼で推定したタンパク質が大腸菌中でより発現しやすい型になるように発現用プラスミドを構築し、産生されたタンパク質を精製して性質を解析する。
上記DNA供与体であるピロコッカス フリオサスDSM3638は超好熱性古細菌であり、95℃で嫌気培養する。増殖した菌体を破砕してDNAを抽出、精製する方法、また得られたDNAを制限酵素で切断する方法等は公知の方法を用いる事ができ、当該方法の詳細は1982年コールドスプリングハーバー ラボラトリー発行、T.マニアティス(T.Maniatis)ほか著、モレキュラー クローニング,ア ラボラトリー マニュアル(Molecular Cloning, A Laboratory Manual)第75〜178頁に記載されている。
DNAライブラリーを作製するにあたっては、例えば、トリペルヘリックスコスミドベクター(ストラタジーン社製)を使用することができる。ピロコッカス フリオサスのDNAをSau3AI(宝酒造社製)で部分消化し、密度勾配遠心分離を行って得られる長鎖のDNA断片を該ベクターのBamHIサイトにライゲーションし、イン・ビトロ・パッケージングを行う。こうして作製されたDNAライブラリーより得られた形質転換体をそれぞれ個別に培養し、集菌後、超音波処理により菌体を破砕し、熱処理を行って宿主大腸菌の有するDNAポリメラーゼを失活させた後、遠心分離を行って耐熱性タンパクを含む上清を得ることができる。該上清はコスミドプロテインライブラリーと命名され、その一部を用いてDNAポリメラーゼ活性を測定することによりピロコッカス フリオサス由来のDNAポリメラーゼを発現するクローンを得ることができる。DNAポリメラーゼ活性の測定法は公知の方法を用いることができ、当該方法はハーパー アンド ロー社発行、D.R.デービス(D.R.Davis)編集のDNAポリメラーゼ フロム エシェリヒア コリ(DNA polymerase from Escherichia coli)第263〜276頁(C.C.リチャードソン著)に記載されている。
ピロコッカス フリオサスのDNAポリメラーゼ遺伝子としてはすでにそのうちの一種類を本発明者らがクローニングし、その構造を明らかにしており、ヌクレイック アシッズ リサーチ(Nucleic Acids Research)第21巻259−265頁(1993)に記載されている。該遺伝子による翻訳産物は775アミノ酸からなる分子量約90,000ダルトンのポリペプチドであり、そのアミノ酸配列中には明らかにα型DNAポリメラーゼの保存配列が含まれている。また実際にこの遺伝子産物の示すDNAポリメラーゼ活性はα型DNAポリメラーゼの特異的阻害剤であるアフィディコリンによって阻害されるという性質を有するものであり、本発明のDNAポリメラーゼとは異なる。したがって、得られた耐熱性DNAポリメラーゼ活性を示すクローンの中から上記の既存の遺伝子を除去するには各クローンの含有するコスミドを分解し、上記の遺伝子をプローブとしてハイブリダイゼーションを行い、ハイブリダイズしないクローンを選択すればよい。こうして得られた新規なDNAポリメラーゼ遺伝子を含有するクローンより分解されるコスミドについてその挿入DNA断片の制限酵素地図を作製することができる。次に、得られた制限酵素地図をもとに該DNA断片を種々の領域に分断し、それぞれをプラスミドベクターにサブクローニングし、大腸菌に導入して発現される耐熱性DNAポリメラーゼ活性を測定することによって該DNA断片上のDNAポリメラーゼ遺伝子の位置を調べることができる。こうしてDNAポリメラーゼ遺伝子が含まれる約10キロ塩基対のXbaI−XbaIDNA断片を得ることができる。
該DNA断片が組み込まれたプラスミドを有する組換え大腸菌は、その粗抽出液中に90℃20分間処理後も十分量のDNA合成活性を有し、該DNA断片が組み込まれていないプラスミドはこのような活性を有しないことより、該DNA断片上に耐熱性ポリメラーゼ産生情報が存在し、かつ大腸菌内で該情報を有する遺伝子が発現していると結論される。該DNA断片がpTV118Nベクター(宝酒造社製)に組み込まれたプラスミドはプラスミドpFU1001と命名され、また、該プラスミドで形質転換された大腸菌JM109はEscherichia coli JM109/pFU1001と命名、表示され、平成7年8月11日(原寄託日)より、ブタペスト条約のもと、日本国茨城県つくば市東1丁目1番3号(郵便番号305)の通産省工業技術院生命工学工業技術研究所に受託番号FERM BP−5579として寄託されている。
プラスミドpFU1001に挿入されたDNA断片の塩基配列は通常の方法、たとえばジデオキシ法によって決定することができる。さらに、得られた塩基配列を解析することにより、その塩基配列中のタンパクをコードしうる領域、オープンリーディングフレーム(ORF)を推定することができる。
プラスミドpFU1001に挿入された約10キロ塩基対のXbaI−XbaIDNA断片の塩基配列のうち8450塩基対分の配列を配列表の配列番号5に示す。該塩基配列中には6ケの連続したORFが存在しており、5’側より順にORF1,ORF2,ORF3,ORF4,ORF5,ORF6と命名されている。図2に上記XbaI−XbaI断片の制限酵素地図、および該断片上に存在するORFの位置を示す(図中左側よりORF1〜ORF6)。
上記の6つのORFのどれにもこれまでに知られているDNAポリメラーゼのどれかと相同性を示す配列は見られない。しかしながらORF1とORF2中にはサッカロミセス セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)で発見されているCDC6タンパク質、またシゾサッカロミセス ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)で発見されているCDC18タンパク質と相同性のある配列が存在している。CDC6,CDC18は酵母菌において細胞周期のDNA合成期(S期)への移行に必要なタンパク質でDNA複製開始を調節するタンパク質ではないかと予想されている。またORF6は酵母のDNA障害の修復及び体細胞***期、減数***期の組換えに働くことが知られているRAD51タンパク質とその減数***期特異的ホモログであるDmc1タンパク質と相同性がある配列を有している。RAD51タンパク質をコードする遺伝子も細胞周期のG1期からS期に移行するところでその発現が誘導されることが知られている。他のORF3,ORF4,ORF5については相同性のある配列を有する既知のタンパク質は発見されない。
耐熱性DNAポリメラーゼの活性が上記のどのORFに由来するかを、各種領域を欠失させたDNA断片を挿入した組換えプラスミドを作製し、該プラスミドで形質転換した形質転換体の耐熱性ポリメラーゼ活性を測定することにより、調べることができる。上記の約10キロ塩基対のXbaI−XbaIDNA断片よりORF1,ORF2を欠いたもの、あるいはORF5,ORF6を欠いたものを挿入した組換えプラスミドで形質転換された形質転換体は耐熱性DNAポリメラーゼ活性を保持しているが、ORF3、あるいはORF4が欠けたものでは活性が失われる。このことからORF3、あるいはORF4にDNAポリメラーゼ活性がコードされていることが予想される。
ORF3,ORF4のどちらにDNAポリメラーゼがコードされているかは、それぞれのORFを別々に挿入した組換えプラスミドを作製し、得られる形質転換体について耐熱性DNAポリメラーゼ活性の発現を調べることによって調べることができる。意外にも、ORF3、あるいはORF4を単独で含む形質転換体のどちらから得られた粗抽出液にもごくわずかのDNAポリメラーゼ活性しか認められない。しかし両抽出液を混合した場合にはORF3,ORF4の両方を含む形質転換体と同様の耐熱性DNAポリメラーゼ活性が得られることから、本発明の新規DNAポリメラーゼはこの2つのORFの翻訳産物の働きを必要とするものであることが示される。この2種のタンパクが複合体を形成してDNAポリメラーゼ活性を示すのか、あるいはその一方が他方を修飾して活性型の酵素に変換するのかはDNAポリメラーゼの分子量を測定することによって知ることができる。該DNAポリメラーゼの分子量をゲル濾過法で測定した結果より、上記の2種のタンパクが複合体を形成していることがわかる。
配列表の配列番号2にORF3の塩基配列、配列番号1に該塩基配列より推定されるORF3由来の翻訳産物、すなわち第1のDNAポリメラーゼ構成タンパクのアミノ酸配列をそれぞれ示す。また、配列表の配列番号4にORF4の塩基配列、配列番号3に該塩基配列より推定されるORF4由来の翻訳産物、すなわち第2のDNAポリメラーゼ構成タンパクのアミノ酸配列をそれぞれ示す。
本発明のDNAポリメラーゼはORF3およびORF4を組み込まれた組換えプラスミドで形質転換された形質転換体、たとえばEscherichia coli JM109/pFU1001を通常の培養条件、たとえば100μg/mlのアンピシリンを含むLB培地(トリプトン10g/リットル,酵母エキス5g/リットル,NaCl 5g/リットル,pH7.2)中で培養することにより、その菌体内に発現させることができる。該ポリメラーゼは上記の培養菌体より、たとえば超音波処理、熱処理、および陰イオン交換カラム(RESOURCE Q カラム,ファルマシア社製)、ヘパリンセファロースカラム(HiTrap Heparin,ファルマシア社製)、ゲル濾過カラム(Superose 6HR,ファルマシア社製)などを用いたクロマトグラフィーを行うことにより、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)でほぼ2種のDNAポリメラーゼ構成タンパクの2本のバンドだけを示すまで精製することができる。また、上記のようにORF3,ORF4をそれぞれ単独で含む形質転換体を個別に培養した後、得られた培養菌体、それらの粗抽出液、あるいは精製されたDNAポリメラーゼ構成タンパクを混合することによっても目的のDNAポリメラーゼを得ることができる。2種のDNAポリメラーゼ構成タンパクを混合する場合には特別な操作は必要なく、それぞれの形質転換体の抽出液、またはそれらから精製された両タンパク質を適当量ずつ、単に混ぜ合わせるだけで活性を有するDNAポリメラーゼを得ることができる。
このようにして得られた本発明のDNAポリメラーゼは、SDS−PAGE上で約90,000ダルトン、約140,000ダルトンに相当する2本のバンドを示し、これらはそれぞれ第1および第2のDNAポリメラーゼ構成タンパクに対応する。
本発明のDNAポリメラーゼは、図3に示されるようにリン酸カリウム緩衝液中、75℃においてpH6.5〜7.0付近に至適pHを示す。また、該DNAポリメラーゼの酵素活性を種々の温度で測定した場合には75〜80℃で高い活性を示すが、これより高い温度では活性測定の基質に用いる活性化DNAの二重鎖構造が破壊されるため、該酵素の活性にとっての正確な至適温度は測定されていない。該DNAポリメラーゼは高い熱安定性を有しており、図4に示されるように80℃、30分間の熱処理の後も80%以上の残存活性を保持している。この熱安定性は該酵素のPCR法での使用を可能にする。また、α型DNAポリメラーゼの特異的阻害剤として知られているアフィディコリン(aphidicolin)の影響を調べた場合、該DNAポリメラーゼの活性は2mMのアフィディコリン存在下においても阻害を受けない。
精製されたDNAポリメラーゼの生化学的特性を解析したところ、本発明のDNAポリメラーゼは試験管内で非常に優れたプライマー伸長活性を有している。表1に示されるように一本鎖DNAにプライマーがアニーリングした形の基質(M13−HT Primer)を用いてDNAポリメラーゼ活性を測定した場合には、通常の活性測定に用いられる活性化DNA(DNase I処理仔牛胸腺DNA)に比べて高いヌクレオチド取り込み活性が得られる。上記のM13−HT Primer基質を使用した他のDNAポリメラーゼとのプライマー伸長能力の比較を行なうと、本発明のDNAポリメラーゼは既知のピロコッカス フリオサス由来DNAポリメラーゼ(Pfu DNAポリメラーゼ,ストラタジーン社製)やサーマス アクアティカス(Thermus aquaticus)由来のTaq DNAポリメラーゼ(TaKaRa Taq,宝酒造社製)に比べて優れた伸長活性を示す。更にこの反応系中に競合基質となる活性化DNAを加えた場合には、上記の2種のDNAポリメラーゼのプライマー伸長活性が強く阻害されるのに対して本発明のDNAポリメラーゼはより軽度の阻害しか受けず、該酵素がプライマー伸長型の基質に高い親和性を持つことが示される(図6)。
Figure 0003761197
また、本発明のDNAポリメラーゼをPCR法に使用した場合には極めて優れた性能を示す。PCR法に繁用されるサーマス アクアティカス由来のDNAポリメラーゼは単独では10キロ塩基対以上のDNA断片を増幅することは困難であり、他のDNAポリメラーゼと組み合わせることによってのみ20キロ塩基対以上のDNA断片の増幅を行なうことができる[プロシーディングス オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンス オブ ザ USA(Proceedings of the National Academy of Science of the USA),第91巻,第2216−2220頁(1994)]。また、Pfu DNAポリメラーゼを利用して増幅できるDNAの鎖長は最大でも3キロ塩基対程度までと言われている。これに対して本発明のDNAポリメラーゼを使用した場合には、他の酵素の添加なしに該酵素単独で20キロ塩基対のDNA断片の増幅が可能である。
さらに本発明のDNAポリメラーゼは3’→5’エキソヌクレアーゼ活性が付随しており、DNAポリメラーゼ活性に対するエキソヌクレアーゼ活性の強さは、その活性が強いためにDNA合成の正確性が非常に高いことが知られているPfu DNAポリメラーゼの活性比に匹敵する(図5)。また、本発明のDNAポリメラーゼについて測定されたDNA合成反応中に起こる誤りの頻度は、TaqDNAポリメラーゼのものよりも低い。上記した種々の性質は本発明のDNAポリメラーゼがPCR法などの遺伝子工学用試薬として非常に優れたものであることを示すものである。
また本発明により新規DNAポリメラーゼ遺伝子が発見されたことは、以下のような興味深い知見も提供する。本発明者らは新規DNAポリメラーゼをコードするORF3,4の遺伝子を含む領域が細胞内でどの様に転写されるのかを知るため、ピロコッカス フリオサス細胞より調製したRNA画分をノザンブロット法、RT−PCR法及びプライマー伸長法により分析すると、ORF1〜ORF6は一つのメッセンジャーRNA(mRNA)としてORF1のすぐ上流から転写されていることが確認される。この事からORF1,2の細胞内での産生はORF3,4と同じ制御を受けていると予想され、ORF1,2,5,6が酵母のDNA複製開始の調節に関与するCDC6,CDC18と配列上の相同性があることと考え合わせると本発明の新規DNAポリメラーゼはDNA複製にとって重要なDNAポリメラーゼである可能性が高い。更にピロコッカス フリオサスの属する古細菌のDNA複製系は真核細胞のそれに近いことが予想されるので真核生物ではこれまでにまだ発見されていない複製にとって重要なDNAポリメラーゼとして本発明のDNAポリメラーゼに類似した酵素が存在する事も考えられる。
さらに、本発明のDNAポリメラーゼに類似の耐熱性DNAポリメラーゼは、ピロコッカス フリオサスと同じ超好熱性古細菌に属する細菌、たとえばピロコッカス(Pyrococcus)属に属するピロコッカス フリオサス以外の菌、ピロディクティウム(Pyrodictium)属、サーモコッカス(Thermococcus)属、スタフィロサーマス(Staphylothermus)属等に属する細菌においても生産されていることが期待される。これらの酵素が本発明のDNAポリメラーゼと同様に2つのDNAポリメラーゼ構成タンパクより構成されている場合には、これらの酵素のDNAポリメラーゼ構成タンパクの一方と、もう一方のDNAポリメラーゼ構成タンパクに相当する本発明のDNAポリメラーゼ構成タンパクとを組み合わせることによっても同様のDNAポリメラーゼ活性が発現されることが期待される。
上記の超好熱性古細菌の生産する、本発明のDNAポリメラーゼに類似の耐熱性DNAポリメラーゼはそのアミノ酸配列、およびそれをコードする遺伝子の塩基配列に関して、本発明のDNAポリメラーゼのアミノ酸配列、およびそれをコードする遺伝子の塩基配列との間に相同性が存在することが期待される。したがって本発明により単離された遺伝子、もしくはその塩基配列の一部をプローブとしたハイブリダイゼーションによって上記の好熱性古細菌より得られたDNA断片を適当な微生物に導入し、前記のコスミドプロテインライブラリーと同様の方法で調製した熱処理ライゼート中のDNAポリメラーゼ活性を適当な方法で調べることにより、本発明のDNAポリメラーゼの塩基配列と同一ではないが同様の酵素活性を持つ本酵素類似の耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を得ることができる。
上記のハイブリダイゼーションは以下の条件で行うことができる。すなわち、DNAを固定したメンブレンを0.5%SDS、0.1%ウシ血清アルブミン、0.1%ポリビニルピロリドン、0.1%フィコール400、0.01%変性サケ***DNAを含む6×SSC(1×SSCは0.15MNaCl,0.015Mクエン酸ナトリウム、pH7.0を示す)中で、50℃にて12〜20時間、プローブとともにインキュベートする。インキュベート終了後、0.5%SDSを含む2×SSC中、37℃での洗浄から始めて、SSC濃度は0.1×までの範囲で、また、温度は50℃までの範囲で変化させ、固定されたDNA由来のシグナルがバックグラウンドと区別できるようになるまで洗浄する。
さらに、本発明により単離された遺伝子、もしくはその塩基配列の一部をプライマーに用い、上記の好熱性古細菌より得られたDNAを鋳型とした遺伝子増幅反応で得られたDNA断片、あるいが該断片をプローブとしたハイブリダイゼーションによって上記の好熱性古細菌より得られたDNA断片を適当な微生物に導入し、上記と同様にDNAポリメラーゼ活性を調べることにより、本発明のDNAポリメラーゼの活性と同一ではないが、同様の活性を持つ、本酵素類似の耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を得ることができる。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例中の%は重量%を意味する。
実施例1
(1)ピロコッカス フリオサスのゲノムDNAの調製
ピロコッカス フリオサスDSM3638の培養は以下のとおりに行った。
トリプトン1%、酵母エキス0.5%、可溶性デンプン1%、ジャマリンS・ソリッド(ジャマリンラボラトリー社製)3.5%、ジャマリンS・リキッド(ジャマリンラボラトリー社製)0.5%、MgSO40.003%、NaCl 0.001%、FeSO4・7H2O 0.0001%、CoSO40.0001%、CaCl2・7H2O 0.0001%、ZnSO40.0001%、CuSO4・5H2O 0.1ppm、KAl(SO420.1ppm、H3BO30.1ppm、Na2MoO4・2H2O 0.1ppm、NiCl2・6H2O 0.25ppmの組成の培地を2リットル容のメディウムボトルに入れ、120℃、20分間殺菌した後、窒素ガスを吹込み、溶存酵素を除去した後、これに上記菌株を接種して95℃、16時間静置培養した。培養後、遠心分離によって菌体を集めた。
つぎに、集菌体を25%スクロースを含む0.05Mトリス−HCl(pH8.0)4mlに懸濁し、この懸濁液に0.8mlのリゾチーム[5mg/ml、0.25Mトリス−HCl(pH8.0)]、2mlの0.2M EDTAを加えて、20℃で1時間保温した後、24mlのSET溶液[150mM NaCl、1mM EDTA、20mMトリス−HCl(pH8.0)]を加え、さらに、5%SDS4ml、プロティナーゼK(10mg/ml)400μlを加え、37℃、1時間反応させた。反応終了後、フェノール−クロロホルム抽出、続いてエタノール沈殿を行い、約3.2mgのゲノムDNAを調製した。
(2)コスミドプロテインライブラリーの作製
ピロコッカス フリオサスDSM3638のゲノムDNA400μgをSau3A1で部分消化し、密度勾配超遠心法により、35〜50kbにサイズ分画した。つぎに、トリプルヘリックスコスミドベクター(ストラタジーン社製)1μgをXbaI消化した後、アルカリフォスファターゼ(宝酒造社製)を用いて脱リン酸化し、さらに、BamHI消化して上記の分画された35〜50kbのDNA140μgと混合してライゲーションを行い、ガイガーパック・ゴールド(ストラタジーン社製)を用いたイン・ビトロ・パッケージング法によってピロコッカス フリオサスのゲノムDNAのフラグメントをラムダファージ粒子中にパッケージングし、ライブラリーを調製した。ついで、得られたライブラリーの一部を用いてイー・コリDH5αMCRに形質導入し、得られた形質転換体のうち数個を選んでコスミドDNAを調製し、適当な大きさの挿入断片があることを確認したのち、改めて、上記のライブラリー中から約500個の形質転換体を選び、それぞれ別個に100μg/mlのアンピシリンを含む150mlのLB培地(トリプトン10g/リットル、酵母エキス5g/リットル、NaClの5g/リットル、pH7.2)中で培養した。該培養物を遠心し、回収した菌体を20mMトリス−HCl、pH8.0 1mlに懸濁し、100℃で10分間熱処理した。続いて超音波処理を行い、さらに、もう一度100℃、10分間熱処理した。遠心後の上清として得られるライゼートをコスミドプロテインライブラリーとした。
(3)DNAポリメラーゼ活性の測定
DNAポリメラーゼ活性測定には仔牛胸腺DNA(ワージントン社製)をDNase I処理によって活性化したもの(活性化DNA)を基質として用いた。DNAの活性化およびDNAポリメラーゼ活性の測定は、ハーパー アンド ロー社発行、D.R.デービス(D.R.Davis)編集のDNAポリメラーゼ フロム エシェリヒア コリ(DNA polymerase from Escherichia coli)第263−276頁(C.C.リチャードソン著)に記載の方法で行った。
酵素活性測定は以下の方法で行った。すなわち、活性を測定しようとする試料を含む反応液[20mMトリス−塩酸(pH7.7),15mM MgCl2,2mM 2−メルカプトエタノール,0.2mg/ml活性化DNA,40μM dATP,dCTP,dGTP,dTTP,60nM[3H]dTTP(アマシャム社製)]50μlを調製し、75℃で15分間反応させた。そのうちの40μlをDEペーパー(ワットマン社製)にスポットし、5%Na2HPO4で洗浄を5回行った後にDEペーパー上に残存する放射活性を液体シンチレーションカウンターで測定した。上記の酵素活性測定方法によって30分間あたりに10nmolの[3H]dTMPを基質DNAに取り込む酵素量を酵素1単位とした。
(4)DNAポリメラーゼ遺伝子を含むコスミドクローンの選択
反応溶液として20mMトリス−塩酸(pH7.7),2mM MgCl2,2mM 2−メルカプトエタノール,0.2mg/ml活性化DNA,40μM dATP,dCTP,dGTP,dTTP,60nM[3H]dTTP(アマシャム社製)を用意し、この溶液45μlに対してコスミドプロテインライブラリーの各抽出液より1μlを5クローンずつ、即ち5μlを1反応分として加え、75℃で15分反応させた後、各40μl分をDEペーパーにスポットし、5%Na2HPO4で洗浄を5回行い、DEペーパー上に残っている放射活性を液体シンチレーションカウンターで測定した。5クローンを1グループとした一次測定により活性が認められたグループは、続いて5クローンを1クローンずつに分け二次測定を行った。コスミドDNAライブラリー中に既知のDNAポリメラーゼ遺伝子を含むものは予め該遺伝子をプローブとしたハイブリダイゼーションテストより、クローンNo.57,154,162,363であることが分かっていることから、これら以外のクローンでDNA合成活性を含むクローンとしてNo.41,153,264,462,491の5クローンが発見された。
(5)制限酵素地図の作製
上記の5クローンについてコスミドを分離し、それぞれをBamHIで分解してその泳動パターンを調べてみると互いに共通するバンドが何本か見られ、この5クローンはオーバーラップしながらすこしずつずれた領域を組込んでいることが予想された。そこでクローンNo.264と491の挿入DNA断片について制限酵素地図を作製した。両クローンから調製したコスミドを各種制限酵素で切断した結果、適当な大きさの断片に切断されたKpnI,NotI,PstI,SmaI,XbaI,XhoI(いずれも宝酒造社製)についてそれぞれ切断位置を決定した結果、図1に示すような地図が得られた。
(6)DNAポリメラーゼ遺伝子のサブクローニング
図1に示した制限酵素地図をもとにクローン264あるいは491由来のコスミドより10キロ塩基対前後の種々のDNA断片を切り出し、pTV118NまたはpTV119Nベクター(宝酒造社製)にサブクローニングした。得られた組換えプラスミドによる形質転換体について耐熱性DNAポリメラーゼ活性を測定した結果、約10キロ塩基対のXbaI−XbaI断片に強い耐熱性DNAポリメラーゼを産生する遺伝子があることが判明した。そこで該XbaI−XbaI断片がpTV118Nベクターに組み込まれたものをプラスミドpFU1001と命名し、該プラスミドで形質転換された大腸菌JM109をEscherichia coli JM109/pFU1001と命名した。
実施例2
新規DNAポリメラーゼ遺伝子を含むDNA断片の塩基配列の決定
実施例1で得られたプラスミドpFU1001よりDNAポリメラーゼ遺伝子を含む上記XbaI−XbaI断片をもう一度XbaIで切り出し、DNAブランティングキット(宝酒造社製)を用いて平滑末端化した後、新たなpTV118NベクターをSmaIで開環したものと連結して欠損変異体作製用プラスミドを調製し、挿入断片の方向性によってそれぞれpFU1002,pFU1003と命名した。これらプラスミドを用いて挿入DNA断片の両端から順次欠損変異体を作製した。作製にはHenikoffの方法(ジーン(Gene)第28巻、第351−359頁)を応用したKilo-Sequence用Deletion kit(宝酒造社製)を利用した。3’突出型、5’突出型制限酵素としてはそれぞれPstI,XbaIを利用した。得られた種々の欠損変異体を鋳型としてBcaBESTジデオキシシークエンスキット(宝酒造社製)を用いたジデオキシ法により挿入断片の塩基配列を決定した。
配列表の配列番号5に得られた塩基配列のうち8450塩基対分の配列を示す。該塩基配列を解析した結果、タンパクをコードしうる6つのオープンリーディングフレーム(ORF)が見い出され、配列表の配列番号5に示される塩基配列の塩基番号123−614(ORF1),611−1381(ORF2),1384−3222(ORF3),3225−7013(ORF4),7068−7697(ORF5),7711−8385(ORF6)の位置にそれぞれ存在していた。図2にプラスミドpFU1001に組み込まれた約10キロ塩基対のXbaI−XbaIDNA断片の制限酵素地図、および該断片上の上記のORFの位置を示す。
また、上記の種々の欠損変異体を用いて耐熱性DNAポリメラーゼ活性を測定したところ、上流から欠損させても下流から欠損させてもORF3およびORF4の領域まで欠損がおよぶとDNAポリメラーゼ活性が失なわれることが示された。これよりORF3およびORF4の翻訳産物がDNAポリメラーゼ活性の発現に重要であることが示された。配列表の配列番号2にORF3の塩基配列、配列番号1に該塩基配列から推定されるORF3の翻訳産物のアミノ酸配列をそれぞれ示す。また、配列表の配列番号4にORF4の塩基配列、配列番号3に該塩基配列から推定されるORF4の翻訳産物のアミノ酸配列をそれぞれ示す。
実施例3
精製DNAポリメラーゼ標品の調製
実施例1で得られたEscherichia coli JM109/pFU1001をアンピシリンが100μg/mlの濃度で存在するLB培地(トリプトン10g/リットル、酵母エキス5g/リットル、NaCl 5g/リットル、pH7.2)500mlで培養した。培養液の濁度が0.6A600に達した時、誘導物質であるイソプロピル−β−D−チオガラクトシド(IPTG)を添加し、さらに16時間培養を行った。集菌後、菌体を37mlのソニケーションバッファー(50mMトリス−塩酸、pH8.0、2mM 2−メルカプトエタノール、10%グリセロール、2.4mM PMSF(フェニルメタンスルフォニルフルオライド)に懸濁し、超音波破砕機にかけた。12000rpm、10分の遠心分離により42mlの粗抽出液を上清として回収し、これを80℃、15分間の熱処理にかけた。その後再度12000rpm、10分の遠心分離を行って33mlの熱処理酵素液を得た。次にこの溶液をバッファーA(50mMリン酸カリウム,pH6.5,2mM 2−メルカプトエタノール,10%グリセロール)800mlを外液として2時間×4回透析した。透析後の酵素液32mlをバッファーAで平衡化したRESOURSE Qカラム(ファルマシア社製)に供し、FPLCシステム(ファルマシア社製)を用いてクロマトグラフィーを行った。展開は0→500mMのNaCl直線濃度勾配により行った。DNAポリメラーゼ活性は340mM NaClのところで溶出された。
活性のある画分を集めて得られた10mlの酵素溶液を限外濾過により脱塩、濃縮し、バッファーA+150mM NaClに溶解した3.5mlの酵素溶液とし、同じバッファーで平衡化したHi Trap Heparinカラム(ファルマシア社製)に供した。FPLCシステムを用いて150→650mM NaCl直線濃度勾配により展開し、400mM NaClのところに溶出された活性画分を得た。この画分5mlを限外濾過により脱塩、濃縮を繰り返し、120μlの50mMリン酸カリウム、pH6.5、2mM 2−メルカプトエタノール、75mM NaCl溶液にまで濃縮した。この溶液を同じバッファーで平衡化したSuperose6ゲル濾過カラム(ファルマシア社製)に供し、同じバッファーで溶出を行った結果、DNAポリメラーゼ活性は保持時間34.7分および38.3分の位置に溶出された。同一条件での分子量マーカーの溶出位置との比較の結果より、これらの活性はそれぞれ約385キロダルトン、約220キロダルトンの分子量を持つと予想された。これらの分子量はORF3の翻訳産物とORF4の翻訳産物とが1:2のモル比で複合体を形成した場合、および1:1のモル比で複合体を形成した場合に相当する。しかしながら高分子量になるほど分子量の測定誤差が大きくなることから、前者については2種の翻訳産物が2:2のモル比で複合体を形成している可能性も否定できない。
実施例4
(1)DNAポリメラーゼの生化学的特性
実施例3で得られた、ORF3とORF4の翻訳産物、すなわち第1のDNAポリメラーゼ構成タンパクと第2のDNAポリメラーゼ構成タンパクとが1:1で複合体を形成したDNAポリメラーゼ標品について、まず至適MgCl2およびKCl濃度を求めた。反応系は20mMトリス−塩酸,pH7.7,2mM 2−メルカプトエタノール,0.2mg/ml活性化DNA,40μM dATP,dGTP,dCTP,dTTPに2mM MgCl2の存在下で0〜200mMの範囲で20mMずつKCl濃度を上げていき、DNAポリメラーゼ活性を測定した。その結果、KClは60mMのとき最大活性を示した。次に上記反応系に60mMKClの存在下、今度はMgCl2を0.5〜25mMまで2.5mM毎に比較したところ10mMで最大活性を示したが、KClを含まない場合と比較してみるとその場合は17.5mMで最大活性を示した。
次に至適pHを調べた。各種pHのリン酸カリウム緩衝液を用い、20mMリン酸カリウム,15mM MgCl2,2mM 2−メルカプトエタノール,0.2mg/ml活性化DNA,40μM dATP,dCTP,dGTP,dTTP,60nM[3H]dTTPからなる反応液を調製し、これを用いて75℃でDNAポリメラーゼ活性を測定した。図3にその結果を示す。図中横軸はpH、縦軸は高分子DNAに取り込まれた放射活性を示す。図に示されるように本発明のDNAポリメラーゼはpH6.5〜7.0で最大活性を示した。リン酸カリウムにかえてトリス−塩酸を用いた場合にはアルカリ側にいくほど活性が高く、測定に用いた最も高いpHであるpH8.02で最大の活性を示した。
本発明のDNAポリメラーゼの熱安定性を以下のようにして調べた。精製されたDNAポリメラーゼを20mMトリス−塩酸(pH7.7),2mM 2−メルカプトエタノール,10%グリセリン,0.1%ウシ血清アルブミン溶液として調製し、種々の温度で30分間保温した後、残存するDNAポリメラーゼ活性を測定した。図4にその結果を示す。図中横軸は保温温度、縦軸は残存活性を示す。図に示されるように本酵素は80℃、30分間の熱処理の後も80%以上の残存活性を保持していた。
インヒビターの阻害様式を比較するため、α型DNAポリメラーゼの特異的阻害剤であるアフィディコリン(aphidicolin)を用いてすでに知られているピロコッカス フリオサス由来のα型DNAポリメラーゼ(Pfu DNAポリメラーゼ、ストラタジーン社製)といっしょに阻害のされ方を比べた。20mMトリス−塩酸,pH7.7,15mM MgCl2,2mM 2−メルトカプトエタノール,0.2mg/ml活性化DNA,40μM dATP,dGTP,dCTP,dTTP存在下でアフィディコリンを0〜2.0mMまで増やしていき、活性の変化を調べたところ、Pfu DNAポリメラーゼは1.0mMで20%まで活性が減少するのに対して本発明の新規DNAポリメラーゼは2.0mMでも全く阻害されなかった。
(2)プライマー伸長反応
次に本発明のDNAポリメラーゼの基質DNAの形に対する選択性を比較するため、以下の様な鋳型−プライマーについて調べた。通常の活性測定に用いられる活性化DNAの他、活性化DNAを85℃ 5分間処理して熱変性させたもの(熱変性DNA)、M13ファージ一本鎖DNA(M13mp18ssDNA、宝酒造社製)に配列表の配列番号6に示す配列の45塩基の合成デオキシリボオリゴヌクレオチドをプライマーとしてアニーリングさせたもの(M13−HT Primer)、同じくM13ファージ一本鎖DNAに配列表の配列番号7に示す配列の17塩基の合成リボオリゴヌクレオチドをプライマーとしてアニーリングさせたもの(M13−RNA Primer)、ポリデオキシアデノシン(PolydA,ファルマシア社製)とオリゴデオキシチミジン(OligodT,ファルマシア社製)を20:1のモル比で混合したもの(PolydA−OligodT),ポリアデノシン(PolyA,ファルマシア社製)とオリゴデオキシチミジンを20:1のモル比で混合したもの(PolyA−OligodT)を基質として調製した。
これらの基質を活性化DNAのかわりに用いてDNAポリメラーゼ活性を測定し、活性化DNAを基質に用いた場合に得られる活性を100とした時の各基質での相対活性を表1に示す。比較のためにPfu DNAポリメラーゼ、サーマス アクアティカス由来のTaq DNAポリメラーゼ(TaKaRa Taq,宝酒造社製)についても同様に調べた。表1に示されるように本発明の新規DNAポリメラーゼは他のDNAポリメラーゼと比較すると活性化DNAを基質とした場合よりもM13−HT Primerを用いて得られる活性の方が高く、プライマー伸長反応に対し特に高い適性を有していた。
さらにプライマー伸長活性について詳細な検討を行った。基質としてM13−HT Primerを用い、プライマーの5’−末端を[γ−32P]ATP(アマシャム社製)とT4ポリヌクレオチドキナーゼ(宝酒造社製)によって標識したうえで使用した。終濃度0.05μg/μlの上記基質と、活性化DNAを基質とした活性測定で0.05単位を示す量の各種DNAポリメラーゼを含む10μlの反応液(20mM トリス−塩酸(pH7.7),15mM MgCl2,2mM 2−メルカプトエタノール,270μM dATP,dGTP,dCTP,dTTP)を調製し、75℃で1,2,3,4分間反応させた。反応終了後、2μlの反応停止液(95%ホルムアミド,20mM EDTA,0.05%ブロモフェノールブルー,0.05%キシレンシアノール)を加えて95℃、3分間の熱変性処理後、反応液のうち2μlを8M尿素を含むポリアクリルアミドゲルを用いて電気泳動した後、オートラジオグラムを作製した。また、競合基質となる活性化DNA存在下での伸長活性を調べるため、上記の反応液に終濃度0.4μg/μlの活性化DNAを加えたものを準備し、上記同様に操作してオートラジオグラムを作製した。得られたオートラジオグラムを図6に示す。
図中、Pol,Pfu,Taqはそれぞれ本発明のDNAポリメラーゼ,PfuDNAポリメラーゼ,TaqDNAポリメラーゼについて得られた結果を示し、1、2、3、4はそれぞれ反応時間(分)を示す。また、図中−、+の表示はそれぞれ活性化DNA非存在下、および存在下で得られた結果を示す。さらに図中左端のG,A,T,Cで示されたレーンは上記と同じ基質を用いたジデオキシ法による鎖停止反応で得られた反応物を泳動したものであり、伸長産物の長さを推定するのに使用した。図に示されるように本発明のDNAポリメラーゼはPfuDNAポリメラーゼ,TaqDNAポリメラーゼに比べてより優れたプライマー伸長活性を示した。また、活性化DNA非存在下では比較的高いプライマー伸長活性を示すTaqDNAポリメラーゼが大過剰量の活性化DNAの添加によって顕著に阻害されるのに対し、本発明のDNAポリメラーゼは活性化DNAによる阻害を受けにくいことが示された。このことから本発明のDNAポリメラーゼが、特に一本鎖の鋳型DNAにプライマーがひとつアニーリングした形のプライマー伸長型の基質に対して高い親和性を有していることが確かめられた。
(3)付随するエキソヌクレアーゼ活性の有無
本発明のDNAポリメラーゼに付随するエキソヌクレアーゼ活性を以下のようにして調べた。5’→3’エキソヌクレアーゼ活性検出用基質として、pUC119ベクター(宝酒造社製)をSspI(宝酒造社製)で消化して得られる386塩基対のDNA断片をアガロースゲル電気泳動で分離した後、精製し、[γ−32P]ATPとポリヌクレオチドキナーゼを用いて5’−末端が32Pで標識されたDNA断片を調製した。また3’→5’エキソヌクレアーゼ活性検出用基質としてpUC119ベクターをSau3AIで消化して得られる341塩基対のDNA断片をアガロースゲル電気泳動で分離した後、精製し、[γ−32P]CTP(アマシャム社製)とクレノウフラグメント(宝酒造社製)を用いたfill-in反応により3’−末端が32P標識されたDNA断片を調製した。標識DNAはNlCKカラム(ファルマシア社製)でゲル濾過して精製し、以下の反応に用いた。これらの標識DNA1ngを含む反応液(20mMトリス−塩酸(pH7.7),15mM MgCl2,2mM 2−メルカプトエタノール)に0.015単位のDNAポリメラーゼを加えて75℃で2.5、5、7.5分間反応させた後、エタノールを加えてDNAを沈殿させた。上清中に存在する放射活性を液体シンチレーションカウンターで測定し、エキソヌクレアーゼ活性による分解量を求めた。本発明のDNAポリメラーゼには5’→3’エキソヌクレアーゼ活性は認められなかったが強い3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を持つことが示された。3’→5’エキソヌクレアーゼ活性が強いことが知られているPfuDNAポリメラーゼを用いて同様にして3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を測定し、これらの結果を合わせて図5に示す。
図中横軸は反応時間を、縦軸は反応液全体に含まれる放射活性に対する上清に遊離した放射活性の割合を示す。また図中白丸は本発明のDNAポリメラーゼ、黒丸はPfuDNAポリメラーゼについて得られた結果を示す。図に示されるように本発明のDNAポリメラーゼは3’→5’エキソヌクレアーゼ活性が強いためにDNA合成の忠実度が高いことが知られているPfuDNAポリメラーゼと同程度の3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有することが示された。
(4)DNA合成反応の正確性の比較
DNAポリメラーゼによるDNA合成反応の正確性を、pUC118ベクター(宝酒造社製)の一部を一本鎖化したもの(ギャップ形成二本鎖プラスミド)を鋳型として調べた。一本鎖pUC118は大腸菌MV1184(宝酒造社製)を宿主とし、ヘルパーファージM13KO7(宝酒造社製)を用いて、1989年コールド スプリング ハーバー ラボラトリー発行、T.マニアティス(T.Maniatis)ら編集、モレキュラー クローニング:ア ラボラトリー マニュアル第2版(Molecular Cloning:A Laboratoly Manual 2nd ed.)4.44〜4.48に記載の方法で調製した。また二本鎖DNAはpUC118ベクターをPvuII(宝酒造社製)消化した後にアガロースゲル電気泳動を行い、約2.8キロ塩基対のDNA断片を回収して調製した。
上記の一本鎖DNA1μgと、二本鎖DNA2μgとを混合して180μlの滅菌蒸留水溶液とし、70℃、10分間保温した後、20μlの20×SSCを加えてさらに60℃、10分間静置した。エタノール沈殿を行ってDNAを回収し、その一部をアガロースゲル電気泳動に供してギャップ形成二本鎖プラスミドが得られていることを確認した。得られたギャップ形成二本鎖プラスミドのうち、1/10量を含む30μlの反応液(10mM トリス−HCl、pH8.5、50mM KCl、10mM MgCl2、1mM dATP,dCTP,dGTP,dTTP)を調製し、これを70℃で3分間保温した後、0.5単位のDNAポリメラーゼを加えて70℃、10分間のDNA合成反応を行った。反応終了後、反応液のうち10μlを用いて大腸菌DH5α(BRL社製)を形質転換し、100μg/mlのアンピシリン、0.1mMのIPTG、40μg/mlの5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシドを含むLBプレート上で37℃、18時間培養した。プレート上に出現した白色、および青色にコロニーの数を調べ、DNA合成時に誤りが起こっている白色コロニーの出現率を算出した。その結果、DNAポリメラーゼとしてTaqDNAポリメラーゼを用いた場合の出現率(%)は、3.18%であったのに対し、本発明のDNAポリメラーゼを用いた場合には、出現率が1.61%とそれよりも低い値を示した。
(5)PCRへの利用
本発明のDNAポリメラーゼのPCR反応における性能をTaqDNAポリメラーゼと比較するためにλ−DNAを鋳型としたPCR反応を行った。本発明のDNAポリメラーゼ用の反応液組成は10mMトリス−塩酸(pH9.2),3.5mM MgCl2,75mM KCl,400μM dATP,dCTP,dGTP,dTTP,0.01%ウシ血清アルブミン(BSA),0.1%トリトンX−100(Triton X-100)とし、TaqDNAポリメラーゼ用の反応液組成は10mMトリス−塩酸(pH8.3),1.5mM MgCl2,50mM KCl,400μM dATP,dCTP,dGTP,dTTPとし、5.0ng/50μl λ−DNA(宝酒造社製)10pmole/50μl プライマーλ1、およびプライマーλ11、3.7単位/50μl DNAポリメラーゼを含む反応液50μlを調製した。プライマーλ1、およびプライマーλ11の塩基配列を配列表の配列番号8、および配列番号9にそれぞれ示す。上記の反応液について98℃、10秒〜68℃、10分を1サイクルとした30サイクルのPCR反応を行った後、反応液のうちの5μlをアガロースゲル電気泳動に供し、エチジウムブロマイド染色によって増幅されたDNA断片を確認した。この結果、TaqDNAポリメラーゼを用いたものではDNA断片の増幅が認められないのに対し、本発明のDNAポリメラーゼでは約20キロ塩基対のDNA断片の増幅が確認された。
次に、プライマーをプライマーλ1、及びプライマーλ10に変更して実験を行った。プライマーλ10の塩基配列を配列表の配列番号10に示す。上記同様の反応液組成で2.5ngのλ−DNA,10pmoleのプライマーλ1、及びプライマーλ10、3.7単位のDNAポリメラーゼを含む25μlの反応液を調製し、上記同様の反応条件で5サイクル反応させた後、反応液のうちの5μlをアガロースゲル電気泳動し、エチジウムブロマイド染色を行なうと、TaqDNAポリメラーゼでは特異的な増幅が見られないのに対し、本発明のDNAポリメラーゼでは約15キロ塩基対のDNA断片が増幅していることが示された。
実施例5
(1)ORF3翻訳産物のみを発現するためのプラスミドの構築
実施例2に記載のプラスミドpFU1002(該プラスミドにはベクター上のlacプロモーター下流にORF1〜ORF6が位置している)をもとにその挿入DNA断片のうちORF3直後より下流部分を欠失させて作製した変異体プラスミド6−82を鋳型とし、プライマーM4(宝酒造社製)、および配列表の配列番号11にその塩基配列を示すプライマーNO3を用いたPCR反応を行った。なおPCR反応に使用するDNAポリメラーゼには合成反応の正確性が高いPfu DNAポリメラーゼ(ストラタジーン社製)を用いた。1ngの鋳型DNA、25pmolずつの両プライマー、および2.5単位のPfu DNAポリメラーゼを含む100μlのPCR反応液[20mM トリス−HCl、pH8.2、10mM KCl、20mM MgCl2、6mM (NH42SO4、0.2mM dATP,dCTP,dGTP,dTTP、1% トリトンX−100、0.01% BSA]を調製し、94℃、0.5分〜55℃、0.5分〜72℃、2分を1サイクルとした25サイクルの反応を行った。増幅された約2キロ塩基対のDNA断片をNcoI、SphI(ともに宝酒造社製)で消化した後、pTV118Nベクター(宝酒造社製)のNcoI−SphIサイト間に組み込んだプラスミドpFU−ORF3を作製した。該プラスミドの挿入DNA断片はORF3のみを翻訳可能な状態で含んでいる。
(2)ORF4翻訳産物のみを発現するためのプラスミドの構築
上記のプラスミドpFU1002をもとにその挿入DNA断片のうちORF4中央部より下流部分を欠失させて作製した変異体プラスミド6−2を鋳型とし、プライマーM4、および配列表の配列番号12にその塩基配列を示すプライマーNO4を用いたPCR反応を行った。鋳型DNAをプラスミド6−2に、またプライマーNO3をプライマーNO4にそれぞれ変更した他は上記の実施例5−(1)と同じ条件で反応を行った。増幅されたDNA断片をNcoI、NheI(宝酒造社製)で消化して得られる約1.6キロ塩基対のDNA断片を、上記のプラスミドpFU1002より単離される約3.3キロ塩基対のNheI−Sal断片(ORF4の後半部分を含む)とともにpET15bベクター(ノバジェン社製)のNcoI−XhoIサイト間に組み込んだプラスミドpFU−ORF4を作製した。該プラスミドの挿入DNA断片はORF4のみを翻訳可能な状態で含んでいる。
(3)ORF3、ORF4翻訳産物からのDNAポリメラーゼの再構成
上記のプラスミドpFU−ORF3で形質転換された大腸菌JM109、Escherichia coli JM109/pFU−ORF3、および上記のプラスミドpFU−ORF4で形質転換された大腸菌HMS174、Escherichia coli HMS174/pFU−ORF4をそれぞれ個別に培養し、菌体中に発現された両ORFの翻訳産物を精製した。形質転換体の培養、および粗抽出液の調製は実施例3に記載の方法によった。また両翻訳産物の精製はRESOURCE Q、HiTrap Heparin、Superose 6などのカラムを用い、SDS−PAGE上で翻訳産物の挙動を確認することによって行った。こうして精製された両ORFの翻訳産物はどちらも単独ではDNAポリメラーゼ活性を示さなかったが、この2つを混合した場合には耐熱性のDNAポリメラーゼ活性が出現することが確認された。
産業上の利用可能性
本発明により、高いプライマー伸長性と3’→5’エキソヌクレアーゼ活性とを合わせ持つ新規なDNAポリメラーゼが提供される。該酵素はPCR法への利用に適しており、遺伝子工学研究用試薬として有用である。また、本発明のDNAポリメラーゼをコードする遺伝子を用いた遺伝子工学的な該酵素の製造も可能となった。
配列表
配列番号:1
配列の長さ:613
配列の型:アミノ酸
鎖の数:1本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:ペプチド
配列:
Figure 0003761197
Figure 0003761197
Figure 0003761197
Figure 0003761197
配列番号:2
配列の長さ:1839
配列の型:核酸
鎖の数:2本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:Genomic DNA
配列:
Figure 0003761197
Figure 0003761197
配列番号:3
配列の長さ:1263
配列の型:アミノ酸
鎖の数:1本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:ペプチド
配列:
Figure 0003761197
Figure 0003761197
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Figure 0003761197
Figure 0003761197
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Figure 0003761197
配列番号:4
配列の長さ:3789
配列の型:核酸
鎖の数:2本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:Genomic DNA
配列:
Figure 0003761197
Figure 0003761197
Figure 0003761197
配列番号:5
配列の長さ:8450
配列の型:核酸
鎖の数:2本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:Genomic DNA
配列:
Figure 0003761197
Figure 0003761197
Figure 0003761197
Figure 0003761197
Figure 0003761197
Figure 0003761197
Figure 0003761197
配列番号:6
配列の長さ:45
配列の型:核酸
鎖の数:1本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸(合成DNA)
配列:
Figure 0003761197
配列番号:7
配列の長さ:17
配列の型:核酸
鎖の数:1本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸(合成RNA)
配列:
Figure 0003761197
配列番号:8
配列の長さ:23
配列の型:核酸
鎖の数:1本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸(合成DNA)
配列:
Figure 0003761197
配列番号:9
配列の長さ:22
配列の型:核酸
鎖の数:1本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸(合成DNA)
配列:
Figure 0003761197
配列番号:10
配列の長さ:22
配列の型:核酸
鎖の数:1本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸(合成DNA)
配列:
Figure 0003761197
配列番号:11
配列の長さ:32
配列の型:核酸
鎖の数:1本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸(合成DNA)
配列:
Figure 0003761197
配列番号:12
配列の長さ:32
配列の型:核酸
鎖の数:1本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸(合成DNA)
配列:
Figure 0003761197

Claims (8)

  1. 配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるか、あるいは該アミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、挿入、付加、又は置換したアミノ酸配列からなる第1のDNAポリメラーゼ構成タンパクと、配列表の配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるか、あるいは該アミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、挿入、付加、又は置換したアミノ酸配列からなる第2のDNAポリメラーゼ構成タンパクとから構成され、該2種のDNAポリメラーゼ構成タンパクの共存により、DNAポリメラーゼ活性を示すDNAポリメラーゼであって、以下の性質を有することを特徴とするDNAポリメラーゼ。
    (1) 一本鎖の鋳型DNAにプライマーがアニーリングした複合体を基質としてポリメラーゼ活性を測定した場合に、活性化DNAを基質とした場合に比べて高い活性を示す。
    (2) 3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。
    (3) λ−DNAを鋳型としたポリメラーゼ チェーン リアクション(PCR)反応を以下の条件で行った場合、約20キロ塩基対のDNA断片を増幅することが可能である。
    PCRの条件:
    (a)反応液組成:10mM トリス−塩酸(pH9.2)、3.5mM MgCl2、75mM KCl、400μM dATP,dCTP,dGTP,dTTP、0.01% ウシ血清アルブミン、0.1% トリトンX−100、5.0ng/50μl λ−DNA、10pmole/50μl プライマーλ1(配列表の配列番号8)、およびプライマーλ11(配列表の配列番号9)、3.7単位/50μl DNAポリメラーゼを含む。
    (b)反応条件:98℃、10秒〜68℃、10分を1サイクルとした30サイクルのPCR反応を行う。
  2. 配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるか、あるいは該アミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、挿入、付加、又は置換したアミノ酸配列からなる第1のDNAポリメラーゼ構成タンパクであって、配列表の配列番号3に示されるアミノ酸配列からなる第2のDNAポリメラーゼ構成タンパクとの共存により請求項1記載のDNAポリメラーゼとして作用する、第1のDNAポリメラーゼ構成タンパク。
  3. 配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列、あるいは配列番号1のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、挿入、付加または置換されたアミノ酸配列をコードする塩基配列を含むDNAであって、配列表の配列番号3に示されるアミノ酸配列からなる第2のDNAポリメラーゼ構成タンパクとの共存により請求項1記載のDNAポリメラーゼとして作用する第1のDNAポリメラーゼ構成タンパクをコードする塩基配列を含むDNA。
  4. 配列表の配列番号2に示される塩基配列、あるいはこの配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能な塩基配列を含むDNAであって、配列表の配列番号3に示されるアミノ酸配列からなる第2のDNAポリメラーゼ構成タンパクとの共存により請求項1記載のDNAポリメラーゼとして作用する第1のDNAポリメラーゼ構成タンパクをコードする塩基配列を含むDNA。
  5. 配列表の配列番号3に示されるアミノ酸配列、あるいは配列番号3のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、挿入、付加または置換されたアミノ酸配列をコードする塩基配列を含むDNAであって、配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列からなる第1のDNAポリメラーゼ構成タンパクとの共存により請求項1記載のDNAポリメラーゼとして作用する第2のDNAポリメラーゼ構成タンパクをコードする塩基配列を含むDNA。
  6. 配列表の配列番号4に示される塩基配列、あるいはこの配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能な塩基配列を含むDNAであって、配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列からなる第1のDNAポリメラーゼ構成タンパクとの共存により請求項1記載のDNAポリメラーゼとして作用する第2のDNAポリメラーゼ構成タンパクをコードする塩基配列を含むDNA。
  7. 請求項又はに記載の第1のDNAポリメラーゼ構成タンパクをコードする遺伝子と、請求項又はに記載の第2のDNAポリメラーゼ構成タンパクをコードする遺伝子の両方を含有する形質転換体を培養し、該培養物からDNAポリメラーゼを採取することを特徴とするDNAポリメラーゼの製造方法。
  8. 請求項又はに記載の第1のDNAポリメラーゼ構成タンパクをコードする遺伝子を含有する形質転換体と、請求項又はに記載の第2のDNAポリメラーゼ構成タンパクをコードする遺伝子を含有する形質転換体とをそれぞれ個別に培養し、該培養物中に含まれるDNAポリメラーゼ構成タンパクを混合してDNAポリメラーゼを採取することを特徴とするDNAポリメラーゼの製造方法。
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