JP3751922B2 - 反射防止フィルム、およびこれを用いたディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置 - Google Patents

反射防止フィルム、およびこれを用いたディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は反射防止フィルム、およびこれを用いたディスプレイ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、CRTなどのコンピューター、ワープロ、テレビ、表示板等に使用される各種ディスプレイや、計器等の表示体、バックミラー、ゴーグル、窓ガラスなどには、ガラスやプラスチックなどの透明な基板が使用されている。そして、それらの透明な基板を通して、文字や図形その他の情報を読み取るため、透明な基板の表面で光が反射するとそれらの情報が読み取り難くなるという欠点がある。
【0003】
現在では、上記欠点を解決するために、基材と、ハードコート層と、互いに屈折率の異なる複数の薄層を積層することにより形成される積層体と、からなる反射防止フィルムを用い、当該反射防止フィルムを前記透明な基板表面に貼ることにより光の反射を防止することが行われている。
【0004】
このような反射防止フィルムにおける積層体の形成方法としては、従来からスパッタリング法または蒸着法により形成する方法が知られている。
【0005】
しかしながら、スパッタリング法により積層体を形成した場合においては、層形成の精度においては良好であるが、その形成速度が非常に遅いため生産性が悪いという問題があった。また、蒸着法により積層体を形成した場合においては、層形成の速度においては問題ないが、その形成精度が悪く、したがって歩留まりが悪く、これは反射防止フィルムのコスト高にもつながり問題があった。
【0006】
上記の問題を解決するために、現在においては、積層体をプラズマCVD法により形成する方法が開発されている。プラズマCVD法により積層体を形成することにより、スパッタリング法等により形成するのに比べ、飛躍的に形成速度を高めることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、プラズマCVD法により積層体を形成した場合においては、以下のような問題が新たに生じる。
【0008】
まず第1の問題点としては、積層体を形成するそれぞれの薄層同士の密着性がスパッタリング法や蒸着法を用いて形成した場合に比べて悪くなる。
【0009】
また第2の問題点としては、積層体を形成する薄層のうちで、高屈折率層として機能する酸化チタン層をプラズマCVD法により形成した場合には、当該酸化チタン層は、耐湿熱性が悪く、屈折率も安定しない場合がある。
【0010】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、積層体を有する反射防止フィルムにおいて、積層体を構成する各薄層の耐湿熱性がよく、従って各薄層の屈折率が安定していることから光学特性に優れ、さらに形成速度が速く、各薄層の密着性にも優れた反射防止フィルム、およびこれを用いたディスプレイ装置を提供することを主目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、基材と、基材上に位置するハードコート層と、ハードコート層上に位置し、複数の薄層が積層されてなる積層体と、を有する反射防止フィルムにおいて、当該積層体は、プラズマCVD法により形成される薄層と、スパッタリング法または蒸着法により形成される薄層とを積層することにより形成されていることに特徴を有する。
【0012】
本発明の反射防止フィルムによれば、本発明の反射防止フィルムを構成する積層体は、プラズマCVD法により形成される薄層と、スパッタリング法または蒸着法により形成される薄層とを積層することにより形成されているので、積層体を形成する薄層の全てをスパッタリング法、または蒸着法で形成するのに比べて、生産性を向上することができ、一方、プラズマCVD法により全ての薄層を形成するのに比べて、各薄層の耐湿熱性を向上することができるとともに、各薄層間の密着性を向上せしめることができる。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、前記積層体を形成する薄層のうち、プラズマCVD法により形成される薄層が低屈折率層または中屈折率層であり、スパッタリング法または蒸着法により形成される薄層が高屈折率層であることに特徴を有する。
【0014】
本発明の反射防止フィルムによれば、積層体を形成する薄層のうち、プラズマCVD法により形成される薄層が低屈折率層または中屈折率層であり、スパッタリング法または蒸着法により形成される薄層が高屈折率層であるので、プラズマCVD法により形成しても特に問題を生じない(つまり、耐湿熱性に問題を生じることがない)低屈折率層または中屈折率層は、プラズマCVD法で形成することで形成速度を速くすることができ、一方、プラズマCVD法によって形成した場合に、耐湿熱性が悪いため屈折率が安定しない場合がある高屈折率層のみは、スパッタリング法または蒸着法で形成することで、高屈折率層の屈折率を安定化することができる。
【0015】
さらに、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記プラズマCVD法により形成される低屈折率層が、屈折率が1.40〜1.46(λ=550nm)であり、かつ、2800〜3000cm-1でのC−H伸縮振動による赤外線吸収、及び1200〜1400cm-1でのSi−CH3伸縮振動による赤外線吸収が、それぞれ0.1cm-1以下のシリカ層であることに特徴を有する。
【0016】
この発明によれば、積層体の低屈折率層として用いるシリカ層の屈折率が1.40〜1.46(λ=550nm)であるので、当該シリカ層は密着性に優れ、かつ形成速度も早い。また、当該シリカ層は光学特性に優れ、効率よく光の反射を防止することができるとともに、反射防止フィルムの積層体における低屈折率層として用いることができる。さらに、2800〜3000cm-1でのC−H伸縮振動による赤外線吸収、及び1200〜1400cm-1でのSi−CH3伸縮振動による赤外線吸収がそれぞれ0.1cm-1以下、つまり検出感度以下であることから、シリカ層中に有機成分がほとんど含有されていないことが明らかであり、その結果、プラズマCVD法により形成されたシリカ層でありながら耐薬品性に優れていると考えられる。低屈折率層は、積層体の最表面層として用いる場合が多いため、反射防止フィルム製造後にアルカリ処理などを行った場合に、アルカリ溶液に溶解する場合があったが、本発明によれば、上記低屈折率層としてのシリカ層は耐薬品性に優れているため溶解することはない。
【0017】
さらに、請求項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の発明において、前記積層体の層構成が、ハードコート層側から、プラズマCVD法により形成される中屈折率層、スパッタリング法または蒸着法により形成される高屈折率層、プラズマCVD法により形成される低屈折率層、であることに特徴を有する。
【0018】
本発明の反射防止フィルムによれば、前記積層体の層構成が、ハードコート層側から、プラズマCVD法により形成される中屈折率層、スパッタリング法または蒸着法により形成される高屈折率層、プラズマCVD法により形成される低屈折率層であるので、当該層構成により効率的に反射を防止することができるとともに、低屈折率層と中屈折率層をプラズマCVD法により形成し、高屈折率層をスパッタリング法または蒸着法により形成しているので、前記請求項1及び請求項2に記載する発明と同様の効果をも奏することができる。
【0019】
また、請求項5に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の発明において、前記積層体の層構成が、ハードコート層側から、スパッタリング法または蒸着法により形成される高屈折率層、プラズマCVD法により形成される低屈折率層、スパッタリング法または蒸着法により形成される高屈折率層、プラズマCVD法により形成される低屈折率層、であることに特徴を有する。
【0020】
本発明の反射防止フィルムによれば、前記積層体の層構成が、ハードコート層側から、スパッタリング法または蒸着法により形成される高屈折率層、プラズマCVD法により形成される低屈折率層、スパッタリング法または蒸着法により形成される高屈折率層、プラズマCVD法により形成される低屈折率層であるので、当該層構成により効率的に反射を防止することができるとともに、低屈折率層をプラズマCVD法により形成し、高屈折率層をスパッタリング法または蒸着法により形成しているので、前記請求項1及び請求項2に記載する発明と同様の効果をも奏することができる。
【0021】
請求項6に記載の発明は、請求項2乃至請求項6のいずれか一の請求項に記載の発明において、前記プラズマCVD法により形成される低屈折率層または中屈折率層が酸化シリコン層であり、スパッタリング法または蒸着法により形成される高屈折率層が酸化チタン層、又は高抵抗を示すITO層であることに特徴を有する。
【0022】
本発明の反射防止フィルムによれば、まず、前記プラズマCVD法により形成される低屈折率層または中屈折率層が酸化シリコン層であるので、低屈折率層または中屈折率層に適した屈折率を有する薄層を形成することが可能である。また、スパッタリング法または蒸着法により形成される高屈折率層が酸化チタン層、又は高抵抗を示すITO層であるので、高屈折率層に適した屈折率層を有する薄層を形成することが可能であり、かつ、ITO層を高屈折率層として用いた場合においても、当該ITO層は高抵抗であるため、当該ITO層の上に低屈折率層をプラズマCVD法で形成することが可能である。
また、請求項7に記載の発明は、ディスプレイ装置であって、前記請求項1乃至請求項6のいずれか一の請求項に記載の反射防止フィルムが用いられていることに特徴を有し、また請求項8に記載の発明は、液晶ディスプレイ装置であって、前記請求項1乃至請求項6のいずれか一の請求項に記載の反射防止フィルムが用いられていることに特徴を有する。
【0023】
【実施の形態】
以下に、本発明の反射防止フィルムについて図面を用いて具体的に説明する。
【0024】
図1は、本発明の反射防止フィルムの概略断面図である。
【0025】
図1に示すように、本発明の反射防止フィルム1は、基材2と、基材2上に位置するハードコート層3と、ハードコート層3上に位置し、複数の薄層(5〜7)が積層されてなる積層体4とから形成されている。そして、前記積層体4は、プラズマCVD法により形成される薄層(5、7)と、スパッタリング法または蒸着法で形成される薄層(6)から形成されていることに特徴を有している。
【0026】
このように、積層体4を形成する薄層の全てをプラズマCVD法のみ、またはスパッタリング法や蒸着法のみで形成するのではなく、形成する薄層に応じて、プラズマCVD法、スパッタリング法、または蒸着法を使い分けることにより、プラズマCVD法の利点(薄層の形成速度が早い)と、スパッタリング法や蒸着法の利点(薄層同士の密着性がよく、高屈折率層を形成した場合であっても、当該層が耐湿熱性を有し、屈折率が安定する)の両方を組み合わせることができ、反射防止機能に優れた反射防止フィルムとすることができる。
【0027】
以下に、本発明の反射防止フィルム1を構成する基材2、ハードコート層3、積層体4を構成するそれぞれの薄層(低屈折率層7、中屈折率層5、高屈折率層6)、および積層体4の構造についてそれぞれ説明する。
[1]基材
まず、基材2について説明する。本発明の反射防止フィルム1において、基材2は、反射防止フィルム1の土台となる部分である。基材2は、可視光域で透明な高分子フィルムであれば特に限定されるものではない。前記高分子フィルムとしては、例えば、トリアセチルセルロースフィルム、ジアセチルセルロースフィルム、アセテートブチレートセルロースフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリアクリル系フィルム、ポリウレタン系フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネイトフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、トリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、アクリロニトリルフィルム、メタクリロニトリルフィルム等が挙げられる。さらには、無色のフィルムがより好ましく使用できる。中でも、一軸または二軸延伸ポリエステルフィルムが透明性、耐熱性に優れていることから好適に用いられ、特にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好ましい。また、光学異方性のない点でトリアセチルセルロースも好適に用いられる。高分子フィルムの厚みは、通常は6μm〜188μm程度のものが好適に用いられる。
[2]ハードコート層
次に、ハードコート層3について説明する。本発明の反射防止フィルム1において、ハードコート層3は、反射防止フィルム1に強度を持たせることを目的として形成される層である。
【0028】
当該発明における反射防止フィルム1におけるハードコート層3を形成するための材料としては、前記基材2と同様に可視光域で透明な材料であって、反射防止フィルム1に強度をもたせることができるものであることが必要であり、その強度としては、JISK5400で示す鉛筆高度試験でH以上の高度を示すことが好ましい。
【0029】
具体的には、熱硬化型樹脂及び/又は電離放射線型樹脂(これらを総称して本発明では反応硬化型樹脂と称することがある。)を用いることが好ましく、さらに具体的には、アクリレート系の官能基をもつもの、例えば、比較的低分子量のポリエステル、ポリエーテル、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン、ポリチオールポリエン系樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アクリレート(以下本明細書では、アクリレートとメタクリレートとを(メタ)アクリレートと記載する。)等のオリゴマー又はプレポリマー及び反応性の希釈剤であるエチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルトルエン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー、並びに多官能モノマー、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、へキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等を比較的多量に含むものが使用される。
【0030】
更に、上記の電離放射線硬化型樹脂を紫外線硬化型樹脂として使用するときは、これらの中に光重合開始剤として、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、チオキサントン類や、光増感剤としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等を混合して使用することが好ましい。
【0031】
上記の電離放射線硬化型樹脂には、一般式RmSi(OR′)nで表される反応性有機ケイ素化合物(式中のR、R′は炭素数1〜10のアルキル基を表し、m+n=4であり、そしてm及びnはそれぞれ整数である。)を含ませることもできる。このようなケイ素化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラペンタエトキシシラン、テトラペンタ−iso−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−ブトキシシラン、テトラペンタ−sec−ブトキシシラン、テトラペンタ−tert−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルプロポキシシラン、ジメチルブトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、へキシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0032】
このようなハードコート層3の層厚は、通常1〜30μmの範囲内であり、その製造方法は、通常のコーティング方法を用いることも可能であり、特に限定されるものではない。
[3]積層体
本発明の反射防止フィルム1における積層体4は、光学特性がそれぞれ異なる薄層が積層されることにより形成されており、各薄層の光学特性(特に屈折率)や層構成により積層体4全体として効果的に反射を防止するように構成されているものである。
【0033】
通常、積層体4を構成する薄層は、その屈折率により、低屈折率層、中屈折率層、および高屈折率層に大別される。ここで、本発明において低屈折率層、中屈折率層、および高屈折率層とは、積層体4を構成する薄層をそれぞれの屈折率により各薄層を相対的に比較した場合において、それぞれの薄層を区別するための名称であり、比較的屈折率の高い層を高屈折率層、比較的屈折率の低い層を低屈折率層とし、前記高屈折率層と低屈折率層の中間の屈折率を有する層を中屈折率層としている。一般的には、屈折率が1.80以上を高屈折率層、1.55以上1.80未満を中屈折率層、1.55未満を低屈折率層とする場合が多く、従って本発明においても、屈折率が1.80以上を高屈折率層、1.55以上1.80未満を中屈折率層、1.55未満を低屈折率層とする。
【0034】
以下に、各薄層について具体的に説明する。
【0035】
(3−1)低屈折率層
本発明の反射防止フィルム1において、低屈折率層(7)とは、積層体3を形成する薄層の中の1つであり、その屈折率は、1.55未満(λ=550nm)の薄層である。このように、比較的屈折率の低い層を積層体4中の薄層として用いることにより、積層体4全体として効率よく反射を防止することができる。本発明の反射防止フィルム1においては、当該低屈折率層(7)が積層体4中に占める位置について、特に限定するものではないが、通常低屈折率層(7)は、図1に示すように積層体4の最外層(ハードコート層3の反対側)に用いることが好ましい。
【0036】
本発明において、低屈折率層(7)として用いることが可能な薄層としては、透明性を有し、その屈折率が1.55未満(λ=550nm)である薄層であれば特に限定されるものではないが、本発明においては、プラズマCVD法によって形成することができる薄層であることが特に好ましい。
【0037】
このような低屈折率層(7)としては、具体的には、酸化シリコン層、フッ化マグネシウム層、酸フッ化ケイ素層、等を挙げることができ、この中でも特に酸化シリコン層を低屈折率層として用いることが好ましい。
【0038】
酸化シリコン層は、その屈折率を1.55未満(λ=550nm)とすることが比較的容易であり、また、プラズマCVD法により形成しても、耐湿熱性に優れ、屈折率の安定した薄層を得ることができ、さらに、プラズマCVD法は薄層の形成速度が速いからである。なお、当該酸化シリコン層の組成は、単純にSiOxである必要はなく、炭素を含有する酸化シリコン層(SiOxCy)であっても良い。このように、酸化シリコン層に炭素を含有することにより、酸化シリコン層の屈折率を所望の屈折率とすることがさらに容易にできるからである。
【0039】
このような低屈折率層の層厚は、特に限定されないが、10〜1000nmであることが好ましく、特に、50〜150nmの範囲内が好ましい。上記範囲より層厚が薄い場合には、反射防止効果を奏しない場合があり、また上記範囲より層厚が厚い場合には、層全体が脆くなってしまい成形性に欠ける場合があるからである。
【0040】
ここで、本発明の反射防止フィルム1における低屈折率層(7)を形成する際に用いられるプラズマCVD法について具体的に説明する。
【0041】
本発明においてプラズマCVD法とは、所定のガスが導入された反応室内でプラズマ生成することにより原子または分子ラジカル種が生成されて固体表面に付着し、多くの場合、表面反応によってさらに揮発性分子を放出して固体表面に取り込まれる現象を利用した成層方法である。プラズマCVD法を用いて本発明の反射防止フィルムを形成することにより、複数の層を一括して効率よく形成することができる。また、当該プラズマCVD法には、プラズマを発生するために用いる電力の印加方法の違いにより、容量結合型プラズマCVD法と、誘導結合型のプラズマCVD法の2種類があるが、本発明においてはどちらのプラズマCVD法を用いることも可能である。
【0042】
ここで、本発明においては上記のようなプラズマCVD法の中でも、図2に示すようなプラズマCVD装置を用いることが特に好ましい。当該プラズマCVD装置により本発明の反射防止フィルムを連続的に製造でき、かつ基材となる高分子フィルムの温度制御も正確に行うことができるからである。
【0043】
図2に示すプラズマCVD装置20は、容量結合型のプラズマCVD装置であり、ウエッブ状の高分子フィルム21は基材巻き出し部22より巻きだされて、真空容器23中の反応室(a,b,c)に導入される。そして、当該反応室内の成層用ドラム24上で所定の層が形成され、基材巻き取り部26により巻き取られる。
【0044】
当該プラズマCVD装置20は、複数(3つ)の反応室を有している点に特徴を有し、夫々の反応室(a,b,c)は隔離壁25で隔離されることで形成されている。ここで、以下の説明の便宜上、当該3つの反応室を右側から反応室a、反応室b、反応室cとする。そして、各反応室には、夫々電極板a1、b1、c1及び原料ガス導入口a2、b2、c2が設置されている。各反応室(a,b,c)は、成層用ドラム24の外周に沿って設置されている。これは、反射防止積層体が形成される高分子フィルムは、成層用ドラム24と同期しながら反応室内に挿入され、かつ成層用ドラム上において反射防止積層体を形成するものであることから、このように配置することにより連続して各層を積層することができるからである。
【0045】
上述したようなプラズマCVD装置によれば、各反応室へ導入する原料ガスを変化させることにより、夫々の反応室内で独立して層を形成することが可能である。
【0046】
本発明において、上述のようなプラズマCVD装置(例えば反応室a)を用いて低屈折率層(7)としての酸化シリコン層を形成する場合、原料ガスとしては有機シリコーンを用いることが好ましく、具体的には、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、テトラメチルジシロキサン(TMDSO)、メチルトリメトキシシラン(MTMOS)、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、テトラメトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、テトラエトキシシラン等を用いることができる。
【0047】
また、本発明においては、上述のようなプラズマCVD法により形成される低屈折率層の中でも特に、屈折率が1.40〜1.46(λ=550nm)であり、かつ、2800〜3000cm-1でのC−H伸縮振動による赤外線吸収、及び1200〜1400cm-1でのSi−CH3伸縮振動による赤外線吸収が、それぞれ0.1cm-1以下のシリカ層を低屈折率層として用いることが好ましい。
【0048】
反射防止フィルムにおいて、前記積層体中の低屈折率層の屈折率は小さいほどよく、屈折率が当該範囲内であれば、低屈折率層として好適だからである。
【0049】
また、前記シリカ層は、2800〜3000cm-1でのC−H伸縮振動による赤外線吸収、及び1200〜1400cm-1でのSi−CH3伸縮振動による赤外線吸収が0.1cm-1以下である、つまり検出感度以下であることに特徴を有している。
【0050】
2800〜3000cm-1でのC−H伸縮振動による赤外線吸収、及び1200〜1400cm-1でのSi−CH3伸縮振動による赤外線吸収が0.1cm-1以下であるということは、シリカ層中に、C−H結合やSi−CH3結合がほとんど存在していないことを意味している。つまり、本発明のシリカ層中には、炭素化合物(有機物)が含有されていないと考えられ、したがって耐薬品性に優れていると考えられる。
【0051】
ここで上記赤外線の吸収は、公知のIRスペクトル透過法により測定したものであり、各ストレッチング振動の赤外線吸収における∫(α/f)dfの値を算出したものである(α:吸収係数、f:周波数)。
【0052】
(3−2)中屈折率層
次に中屈折率層について説明する。
【0053】
本発明の反射防止フィルム1において、中屈折率層(5)とは、積層体3を形成する薄層の中の1つであり、その屈折率は、1.55以上1.80未満の薄層である。このような屈折率を有する中屈折率層(5)は反射防止機能を高めるために用いられる薄層であり、積層体4中に必ずしも必要な薄層ではない。そして、当該中屈折率層を設ける位置についても特に限定されず、積層体4全体として反射防止機能が向上するような位置であればいかなる位置に設けることも可能である。しかしながら、前記低屈折率層(7)と高屈折率層(6)とは互いに接触している方が効率よく光の反射を防止することができるため(図1参照)、当該中屈折率層(5)は低屈折率層と高屈折率層との間以外の部分、例えば図1に示すように高屈折率層の下に設けるのが好ましい。
【0054】
本発明において、中屈折率層(5)として用いることが可能な薄層としては、可視光域で透明性を有し、その屈折率が1.55以上1.80未満(λ=550nm)である薄層であれば特に限定されるものではないが、本発明においては、前記の低屈折率層と同様に、プラズマCVD法によって形成することができる薄層であることが特に好ましい。
【0055】
このような中屈折率層(5)としては、例えば、炭素含有酸化シリコン層や、Al23、SiN、SiONや、ZrO2、SiO2、ZnO2の微粒子を酸化シリコン層に分散したもの等が好適に用いられる。酸化シリコン層に前記の微粒子を混合することにより、その屈折率を1.55以上1.80未満(λ=550nm)とすることが比較的容易であり、また、酸化シリコン層は、プラズマCVD法により形成しても、耐湿熱性に優れ、屈折率の安定した薄層を得ることができるからである。プラズマCVD法は薄層の形成速度が速いため、反射防止フィルム製造の歩留まりを向上することができる。
【0056】
このような中屈折率層の層厚は特に限定されないが、5〜300nmであることが好ましく、10〜150nmが特に好ましい。層の厚さが5nmより薄いと、反射防止効果をほとんど期待できないからであり、逆に層の厚さが300nmより厚いと、層の応力による基材変形や層剥れが発生する場合があるからである。
【0057】
ここで、本発明の反射防止フィルム1における中屈折率層(5)を形成する際に用いられるプラズマCVD法については、前記低屈折率層(7)の場合と同様であるため説明は省略する。なお、図2に示すプラズマCVD装置を用いた場合には、当該中屈折率層(5)を形成するのに、例えば反応室bを使用することで、一つのプラズマCVD装置で、光学特性の異なる(屈折率の異なる)薄層を形成することができる。
【0058】
(3−3)高屈折率層
次に、高屈折率層について説明する。
【0059】
本発明の反射防止フィルム1において、高屈折率層(6)とは、積層体3を形成する薄層の中の1つであり、その屈折率が1.80以上(λ=550nm)の薄層である。前述した低屈折率層と合わせて、屈折率が1.80以上(λ=550nm)の薄層を積層体4中に設けることにより、それぞれの屈折率の違いにより光の反射を効率よく防止することができる。本発明の反射防止フィルム1においては、当該高屈折率層(6)が積層体4中に占める位置について、特に限定するものではないが、前述したとおり、低屈折率層(7)と高屈折率層(6)とは互いに接触している方が効率よく光の反射を防止することができるため、低屈折率層の下に設けるのが好ましい。
【0060】
本発明において、高屈折率層(6)として用いることが可能な薄層としては、可視光域で透明性を有し、その屈折率を1.80以上(λ=550nm)である薄層であれば特に限定されるものではないが、本発明においては、スパッタリング法または蒸着法において形成されている薄層であることが特に好ましい。このように、高屈折率層(6)をスパッタリング法または蒸着法において形成することにより、プラズマCVD法により形成する場合と比べ、その形成速度は劣るが、耐湿熱性に優れ、従って屈折率が安定しており、さらに他の薄層との密着性にも優れた高屈折率層とすることができるからである。
【0061】
このような高屈折率層(7)としては、具体的には、酸化チタン層、ITO(インジウム/スズ酸化物)層、Y23層、In23層、Si34層、SnO2層、ZrO2層、HfO2層、Sb23層、Ta25層、ZnO層、WO3層、等を挙げることができ、この中でも特に酸化チタン層または高抵抗を示すITO層を高屈折率層として用いることが好ましい。
【0062】
従来から酸化チタン層は、反射防止フィルムにおける積層体の高屈折率層として用いられているが、酸化チタン層を、上述した低屈折率層や中屈折率層と同様にプラズマCVD法により形成した場合には、形成された酸化チタン層は耐湿熱性が良くないため、空気中の湿気等により屈折率が変化してしまうといった問題が生じていたが、本発明によれば、高屈折率層としての酸化チタン層をスパッタリング法または蒸着法において形成するため、このような問題が生じることがない。また、スパッタリング法や蒸着法において形成することにより、他の薄層(低屈折率層や中屈折率層)またはハードコート層との密着性も向上することができる。
【0063】
また、ITO層は通常伝導性を有しているため、スパッタリング法や蒸着法で形成したITO層の上にはプラズマCVD法により薄層を形成することが困難であるが、本発明において高屈折率層として用いられるITO層は、高抵抗を示すITO層なので、この上にプラズマCVD法で薄層を形成することが可能である。このように、本発明で高屈折率層として用いられるITO層が高抵抗を示すのは、スパッタリング法や蒸着法により当該ITO層を形成する際に、酸素過剰な条件で形成することで当該ITO層の酸素充填率を高くしているからである。ここで、本発明において「高抵抗」とは、そのシート抵抗が1×104〜1×1014Ω/sqであることを言う。
【0064】
このような高屈折率層の層厚は、特に限定されるものではないが、5〜300nmであることが好ましく、10〜150nmが特に好ましい。層の厚さが5nmより薄いと、反射防止効果をほとんど期待できないからであり、逆に層の厚さが300nmより厚いと、層の応力による基材変形や層剥れが発生する場合があるからである。
【0065】
ここで、本発明の反射防止フィルム1における高屈折率層(6)を形成する際に用いられるスパッタリング法、および蒸着法について具体的に説明する。
【0066】
本発明においてスパッタリング法とは、高エネルギーの粒子をターゲットと呼ばれる薄層の母材となる固体にたたきつけ、その母材の構成原子を固体表面から放出させることにより、当該放出された原子を基板上に堆積させて薄層を形成する方法である。通常はアルゴンなどの不活性ガスのグロー放電によってできた陽イオンを陰極降下電圧で加速して負にバイアスされたターゲットに衝突させることで、その表面から原子をはじき飛ばして薄層を堆積する方法が一般的である。
【0067】
本発明の反射防止フィルム1における高屈折率層(6)を形成する際に用いられるスパッタリング法については、従来から用いられているスパッタリング法の全てを用いることができ、具体的には、イオンビームスパッタリング法、高周波スパッタリング法、直流スパッタリング法、ECRスパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法、反応性スパッタリング法、等の方法を用いることができ、特に限定されるものではない。
【0068】
図3は、前記種々のスパッタリング法のうち、直流スパッタリング法を行うための直流スパッタリング装置の概略図である。本発明においては、このような装置を用いて、高屈折率層を形成することが可能である。
【0069】
図3に示す直流スパッタリング装置30においては、基材としてのウエッブ状の高分子フィルム31は基材巻き出し部32より巻きだされて、反応室33に導入される。そして、当該反応室33内の成層用ドラム34上で所定の層が形成され、基材巻き取り部36により巻き取られる。
【0070】
当該直流スパッタリング装置30における反応室33内には、成層用ドラム34に対抗してターゲット35が設置されており、成層用ドラム34は陽極、ターゲット35は陰極となっている。そして、反応室33内を真空状態(10-3Pa程度)とし、その後アルゴンなどの不活性ガスや酸素ガスを1〜10Pa入れる。成層用ドラム34とターゲット35との間に直流高電圧を加えることにより、正イオンが陰極(ターゲット35)に衝突し、これによりターゲットがはじき飛ばされて成層用ドラム34上の高分子樹脂に堆積する。
【0071】
本発明において、スパッタリング法を用いて高屈折率層(6)としての酸化チタン層を形成する場合、そのターゲットとしては、Ti、Ti23、TiO2、TiOを用いるのが好ましい。また、高屈折率層(6)としてのITO層を形成する場合、ターゲットとしては、ITOまたはインジウム/スズ合金を用いるのが好ましい。
【0072】
また、本発明において蒸着法とは、主に、10-6〜10-11Torrの真空中において固体を過熱蒸発させ、この蒸気を一定の温度に保持した基板上に冷却凝縮させることにより薄層を形成する方法である。本発明においては、従来から用いられている蒸着法の全てを用いることができ、特に限定されることはない。当該蒸着法において、高屈折率層(6)としての酸化チタン層を形成する場合、その原料としては、Ti、Ti23、TiO2、TiOを用いるのが好ましい。また、高屈折率層(6)としてのITO層を形成する場合、その原料としてはとしては、ITOまたはインジウム/スズ合金を用いるのが好ましい。
【0073】
このように、本発明の反射防止フィルム1においては、積層体4を構成する各薄層をプラズマCVD法やスパッタリング法のみで形成するのではなく、各薄層に応じて、具体的には、低屈折率層と中屈折率層においては、薄層の形成速度が速いプラズマCVD法を用い、高屈折率層においては、耐湿熱性に優れ、屈折率が安定した薄層を形成することが可能なスパッタリング法や蒸着法を用いることにより、反射防止フィルムの製造に際し、その歩留まりもよく、かつ反射防止機能に優れた反射防止フィルムを提供することが可能となる。
【0074】
(3−4)層構成
次に、本発明の反射防止フィルム1における積層体4の層構成について図面を用いて具体的に説明する。
【0075】
本発明の反射防止フィルム1においては、その積層体4の層構成について特に限定するものではなく、その層構成中にプラズマCVD法により形成された薄層と、スパッタリング法または蒸着法により形成された薄層とが含まれており、積層体全体として反射防止機能を奏することが可能であればよい。
【0076】
しかしながら、積層体4としては、図1に示すように、ハードコート層3側から、プラズマCVD法により形成された中屈折率層5、スパッタリング法または蒸着法により形成された高屈折率層6、プラズマCVD法により形成された低屈折率層7の順で積層されていることが好ましい。このように積層することにより、それぞれの薄層の屈折率の違いから効果的に光の反射を防止することができるとともに、高屈折率層6はスパッタリング法または蒸着法により形成されているため、耐湿熱性に優れているとともに、当該高屈折率層6の下層である中屈折率層5や、上層である低屈折率層7との密着性もよいからである。
【0077】
また、図4に示すような積層体4’も本発明の反射防止フィルムとしては好ましい。図4に示すように、ハードコート層3側から、スパッタリング法または蒸着法により形成された高屈折率層6’とプラズマCVD法により形成された低屈折率層7’とを交互に2回積層することにより、反射防止効果を向上することができるからである。
【0078】
なお、本発明は、上述してきた反射防止フィルム及びその製造方法に限定されるものではない。上記実施の形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的範囲と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
また、本発明の反射防止フィルムはディスプレイ装置、例えば、液晶ディスプレイ装置に好適に用いることが可能である。
【0079】
【実施例】
本発明を実施例により更に詳細に説明する。
(実施例1)
図3に示すスパッタリング装置を使用し、基材のプラスチックフィルムである厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にITO層を形成した。本実施例における連続成層時の基材の高分子フィルムの送り速度は、0.1m/minとした。その他の条件は以下の通りである。
<成層条件>
印加電力 1.0kW
酸素ガス流量 27sccm
成層用ドラム表面温度(成層温度) 30℃
前記ガス流量単位sccmは、standard cubic cm perminuteのことである。
【0080】
以上の条件でポリエチレンテレフタレートフィルム上に形成したITO層の測定結果を以下に示す。
【0081】
<ITO層測定結果>
層厚 55nm
成層速度 5.5nm・m/min
屈折率(λ=550nm) 2.0
シート抵抗 1011Ω/sq
<ITO層測定に使用した装置>
層厚測定:エリプソメーター(型番:UVISELTM、メーカー:JOBINYVON)
シート抵抗測定:MCP−HT450(メーカー:三菱化学株式会社)
屈折率測定:エリプソメーター(型番:UVISELTM、メーカー:JOBIN YVON)
以上に示したITO層の形成結果のごとく、成層温度30℃において、屈折率2.0の均質かつ絶縁性の高い酸化チタン層が、成層速度5.5nm・m/minで、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に形成できた。また、このITO層はエリプソメーターによる測定結果から、λ=550nmでの消衰係数が0.003であり透明性の高い薄層であった。加えて、ITO層形成後の、ポリエチレンテレフタレートフィルムは、わずかな伸び、変形も無く良好な状態であった。
(実施例2)
図3に示すスパッタリング装置を使用し、基材のプラスチックフィルムである厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にITO層を形成した。本実施例における連続成層時の基材の高分子フィルムの送り速度は、0.1m/minとした。その他の条件は以下の通りである。
<成層条件>
印加電力 1.0kW
酸素ガス流量 90sccm
成層用ドラム表面温度(成層温度) 30℃
以上の条件でポリエチレンテレフタレートフィルム上に形成したITO層の測定結果を以下に示す。
【0082】
<ITO層測定結果>
層厚 14nm
成層速度 1.4nm・m/min
屈折率(λ=550nm) 2.0
シート抵抗 1011Ω/sq以上
<ITO層測定に使用した装置>
層厚測定:エリプソメーター(型番:UVISELTM、メーカー:JOBINYVON)
シート抵抗測定:MCP−HT450(メーカー:三菱化学株式会社)
屈折率測定:エリプソメーター(型番:UVISELTM、メーカー:JOBIN YVON)
以上に示したITO層の形成結果のごとく、成層温度30℃において、屈折率2.0の均質かつ絶縁性の高い酸化チタン層が、成層速度1.4nm・m/minで、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に形成できた。また、このITO層はエリプソメーターによる測定結果から、λ=550nmでの消衰係数が0.003であり透明性の高い薄層であった。加えて、ITO層形成後の、ポリエチレンテレフタレートフィルムは、わずかな伸び、変形も無く良好な状態であった。
【0083】
以上の実施例1、2から、基材上にスパッタリング法を用いて反射防止フィルムにおける積層体に適した薄層(ITO層)を形成することが可能であることが明らかとなった。
(実施例3)
図1に示すような、基材としての高分子フィルム2上にハードコート層3、プラズマCVD法により形成した中屈折率層5、スパッタリング法により形成した高屈折率層6、プラズマCVD法により形成した低屈折率層7、からなる積層体4を形成し、反射防止フィルムを作成した。各層の形成条件を以下に記す。
<高分子フィルム(2)>
トリアセチルセルロース 厚さ80μm
<ハードコート層(3)>
紫外線硬化型樹脂 PET−D31(大日精化工業(株))
塗工により形成
紫外線硬化条件 480mJ
厚さ 6μm
<中屈折率層(5)>
炭素含有酸化シリコン層を図2に示すプラズマCVD装置により形成した。
<高屈折率層(6)>
前記実施例1と同様のITO層を同一条件で形成した。
<低屈折率層(7)>
酸化シリコン層を図2に示すプラズマCVD装置により作成した。
【0084】
上記条件で形成した反射防止フィルムは、高分子フィルムのわずかな伸び、変形も無く、良好な状態であった。上記条件で作成した反射防止フィルムの反射分光特性を図5に示す。図5より、人間が感知し易い550nm近傍での反射率が低く、反射防止効果が良好であった。このときの視感度反射率は、0.3%と良好な値を示した。
【0085】
分光反射率は、以下の装置で測定した。
分光反射率測定:分光光度計(型番:UV−3100PC、メーカー:島津製作所)
なお、上記の実施例おいて形成された積層膜の膜厚は、各層の光学特性を考慮して視感度反射率が最小になるように設定した。例えば、実施例2に示す中屈折率層、高屈折率層及び低屈折率層においては、これを形成する各装置を用いてそれぞれの薄層を形成する際にフィルム送り速度の調整により所望の膜厚を得ている。
【0086】
【発明の効果】
本発明の反射防止フィルムによれば、本発明の反射防止フィルムを構成する積層体は、プラズマCVD法により形成される薄層と、スパッタリング法または蒸着法により形成される薄層とを積層することにより形成されているので、積層体を形成する薄層の全てをスパッタリング法や蒸着法で形成するのに比べて、形成速度を早くすることができ、一方、プラズマCVD法により全ての薄層を形成するのに比べて、各薄層間の密着性を向上せしめることができる。
【0087】
さらに、積層体を形成する薄層のうち、プラズマCVD法により形成される薄層を低屈折率層または中屈折率層とし、スパッタリング法または蒸着法により形成される薄層を高屈折率層とすることにより、プラズマCVD法により形成しても特に問題を生じない(耐湿熱性に問題を生じることがない)低屈折率層または中屈折率層は、プラズマCVD法で形成することで形成速度を速くすることができ、一方、プラズマCVD法によって形成した場合に、耐湿熱性が悪いため屈折率が安定しない場合がある高屈折率層のみは、スパッタリング法または蒸着法で形成することで、高屈折率層の屈折率を安定化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の反射防止フィルムの一例を示す概略断面図である。
【図2】プラズマCVD装置の概略図である。
【図3】スパッタリング装置の概略図である。
【図4】本発明の反射防止フィルムの一例を示す概略断面図である。
【図5】実施例3の反射防止フィルムの反射分光特性を示す図である。
【符号の説明】
1、1’…反射防止フィルム
2、2’…基材
3、3’…ハードコート層
4、4’…積層体
5…中屈折率層
6、6’…高屈折率層
7、7’…低屈折率層
20…プラズマCVD装置
30…直流スパッタリング装置

Claims (6)

  1. 基材と、基材上に位置するハードコート層と、ハードコート層上に位置し、複数の薄層が積層されてなる積層体と、を有する反射防止フィルムにおいて、
    前記積層体を形成する薄層のうち、プラズマCVD法により形成される薄層が、酸化シリコンからなる低屈折率層または中屈折率層であり、スパッタリング法または蒸着法により形成される薄層が、シート抵抗が1×10 〜1×10 14 Ω/sqのITOからなる高屈折率層であることを特徴とする反射防止フィルム。
  2. 前記プラズマCVD法により形成される低屈折率層が、屈折率が1.40〜1.46(λ=550nm)であり、かつ、2800〜3000cm-1でのC−H伸縮振動による赤外線吸収、及び1200〜1400cm-1でのSi−CH3伸縮振動による赤外線吸収が、それぞれ0.1cm-1以下のシリカ層を特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。
  3. 前記積層体の層構成が、ハードコート層側から、プラズマCVD法により形成される中屈折率層、スパッタリング法または蒸着法により形成される高屈折率層、プラズマCVD法により形成される低屈折率層、であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の反射防止フィルム。
  4. 前記積層体の層構成が、ハードコート層側から、スパッタリング法または蒸着法により形成される高屈折率層、プラズマCVD法により形成される低屈折率層、スパッタリング法または蒸着法により形成される高屈折率層、プラズマCVD法により形成される低屈折率層、であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の反射防止フィルム。
  5. 前記請求項1乃至請求項4のいずれか一の請求項に記載の反射防止フィルムが用いられていることを特徴とするディスプレイ装置。
  6. 前記請求項1乃至請求項4のいずれか一の請求項に記載の反射防止フィルムが用いられていることを特徴とする液晶ディスプレイ装置。
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