JP3734898B2 - 熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性エラストマー及びその製造方法に関するものである。更に詳しくは低温時の優れた耐衝撃性と、熱可塑性樹脂の特徴である良好な成形加工性を併せ持つゴム弾性に優れた新規な熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、架橋工程を必要とせず熱可塑性プラスチックと同様に成形できるゴム弾性材料、すなわち熱可塑性エラストマーが自動車部品、家電部品、電線被覆材、医療部品、雑貨、履物等の分野で用いられている。
熱可塑性エラストマーとしては特開昭61−34050号公報には共重合体鎖中にビニル芳香族化合物ブロック(ハードセグメント)及び共役ジエン化合物ブロック(ソフトセグメント)を交互に含有する熱可塑性エラストマーがあげられている。この熱可塑性エラストマーは各セグメントの割合を適宜変えることにより柔軟性に富むものから、剛性のあるものまで各種の規格の製品を製造する事ができる。しかしながら、ソフトセグメントを多量に含む熱可塑性エラストマー組成物は、引っ張り強度が小さく、耐熱性、流動性、耐油性が低いため、幅の広い用途に用いることはできない。
【0003】
また、特公昭53−21021号公報には、モノオレフィン共重合体ゴム及びポリオレフィン樹脂に対してゴムの架橋助剤として有機過酸化物を用いて溶融混練を行い部分架橋を行った組成物が記載されている。
このような熱可塑性エラストマーは、モノオレフィン共重合体ゴムが部分架橋であるため低温耐衝撃性等が不足しており、幅広い用途に用いることができない。また、架橋に用いる有機過酸化物より生ずるラジカルによりポリマー鎖の切断が起こり機械的強度が低下を招く。
【0004】
さらに特公昭58−46138号公報にはこのような欠点を解消するため、熱反応性アルキルフェノール樹脂を架橋剤として用い、モノオレフィン共重合体ゴムの架橋のみを優先的に架橋することが記載されている。すなわち、ここには熱可塑性樹脂中でEPDMゴムを選択的にフェノール系加硫剤で架橋させた熱可塑性エラストマーが記載されている。かかる製法により得られる熱可塑性エラストマーは、ゴム成分が完全に架橋されているため、形状回復性が向上しているが、低温時の耐衝撃性については、加硫ゴムに比べてまだ不充分である。
【0005】
また、米国特許第4803244号には、オルガノシロキサン化合物を用いてモノオレフィン共重合体からなるゴム成分の架橋を行った熱可塑性エラストマーが記載されている。しかしながら、ここに記載の熱可塑性エラストマーのマトリックス成分は、結晶性のポリプロピレンやポリエチレン等であり、低温時の耐衝撃性が加硫ゴムに比べてまだ不充分である。
このように、現状では良好な低温耐衝撃性と成形加工性を有しつつゴム弾性に優れた熱可塑性エラストマーは提案されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は低温時の優れた耐衝撃性と熱可塑性樹脂並の成形加工性を有し、ゴム弾性に優れた熱可塑性エラストマー組成物を提供する事にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは熱可塑性エラストマー組成物の連続相の樹脂の種類及び分散ゴム相の架橋方法について種々の検討を行ってきた。その結果、連続相の樹脂として非晶性エラストマーを用い、これに分子内にSiH基を2つ以上持つシリコン系架橋剤により架橋したゴム成分を高分散させて得られた熱可塑性エラストマー組成物は、優れた特性を有するという知見を得て本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は
(a)エチレン−α・オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴム、
(b)分子内にSiH基を2つ以上持つシリコン系架橋剤、
(c)ハイドロシリル化触媒、及び
(d)非晶性エラストマー
からなる混合物を動的に熱処理してなる熱可塑性エラストマー組成物及びその製造法を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられるゴム成分は、エチレン−α・オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴム(a)である。
α・オレフィンは炭素数3〜15のものが好ましい。具体的なα・オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1、4−メチルヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1、ノネン−1、デセン−1、ウンデセン−1、ドデセン−1、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセンが好ましく、入手の容易さ、耐衝撃性改良の観点から特にプロピレンが好ましい。
【0009】
非共役ジエンとしてはジシクロペンタジエン(DCPD)、5−(2−メチル−2−ブテニル)−2−ノルボルネン(MBN)、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、メチルテトラヒドロインデン(MTHI)、及び1,4−ヘキサジエン(HD)を用いることが好ましい。この中で入手の容易さから、DCPD、ENB、HDが特に好ましく、さらにこの中でジエンを最も多く導入することが出来るENBが最も好ましい。即ち、本発明で用いられるエチレン−α・オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴムとしては、エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体ゴムが最も好ましい。
【0010】
共重合体ゴムのエチレン/α・オレフィン比は好ましいゴム弾性を得るためには重量比で50/50〜90/10、さらに好適には60/40〜80/20が適する。ここで、用いられるゴムのムーニ粘度、ML1+4(125℃)は10〜120、好ましくは40〜100である。ここで、ムーニ粘度が10未満のものはゴム分子量が非常に小さいことを意味しており、架橋ゴムの分子量が小さくなり、圧縮永久歪みが大きくなる傾向がある。逆に120を超えたものは成形加工性が著しく悪化する傾向があるが、ゴム成分にパラフィン系オイルを予め溶融混練(油展)し、見掛けのムーニ粘度を120以下に調整を施したものが市販されており、それを用いることもできる。また、ゴムのヨウ素価は反応性の指標であり、値が大きいほど高活性を意味するが、本発明で用いられるゴム種では10〜30、特に15〜30の高活性種が好ましい。
【0011】
次に本発明で用いられる分子内にSiH基を2つ以上持つシリコン系架橋剤(b)及びハイドロシリル化触媒(c)はゴム成分を架橋し、ゴム弾性を発現させるために添加される。ここで、架橋触媒というのは、架橋剤が架橋反応を起こすために用いられる触媒、あるいは架橋反応を助けるような架橋助剤のことを意味している。架橋触媒を用いることにより、実用的な速度で架橋剤が架橋反応を起こすことができる。
【0012】
分子内にSiH基を2つ以上持つシリコン系架橋剤(b)による架橋とは、SiH基のゴム成分中の不飽和炭化水素への選択的な付加反応(ハイドロシリル化)を利用したものである。架橋剤となり得るためには2分子以上のゴムに付加することが必要条件であるから分子中に2つ以上のSiH基を持つ必要がある。このようなシリコン系架橋剤の好ましい具体例としては、環状オルガノハイドロジェンシロキサン(I)、線状オルガノハイドロジェンシロキサン(II)、四面体オルガノハイドロジェンシロキサン(III)などのオルガノハイドロジェンシロキサン構造を持つ化合物及び該化合物から誘導された化合物を挙げることが出来る。
【0013】
ゴムの架橋密度を上げる観点からSiH基は多いほど好ましく、この中でも分子内にSiH基を5個以上、より好ましくは10個以上、最も好ましくは15個以上持つ線状ポリオルガノハイドロジェンシロキサン(II)を用いることが好ましい。さらに、好ましくはII−▲2▼または、II−▲4▼のようなSiH基を含有するユニットのみで構成されている線状オルガノハイドロジェンシロキサンが挙げられる。
【0014】
【化1】
【0015】
【化2】
【0016】
【化3】
【0017】
(式中、Rはそれぞれ独立に炭素数が1から24のアルキル基及びアルコキシ基、フェニル基、アリール基、アリールオキシ基の中から選ばれた1種もしくは2種以上の置換基、好ましくはメチル基を表し、nは2から100好ましくは5から80、mは1から100、sは0から2の整数である。各置換基のRは同じものであっても異なっていてもよい。)
このようなエラストマーを得るため、前記(b)の配合量は、ゴム成分(a)100重量部に対して0.5〜30重量部、好ましくは1〜20重量部さらに好ましくは3〜7重量部である。
【0018】
前記のハイドロシリル化触媒(c)は、ハイドロシリル化反応を促進する触媒であり、代表例はパラジウム、ロジウム、白金などの第VIII族遷移金属あるいはそれらの化合物、錯体が挙げられる。具体的にはジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)、塩化白金酸等がある。この中では塩化白金酸や白金のビニルシロキサン錯体(カールステッド触媒)のような白金系触媒を用いることが好ましい。
【0019】
ハイドロシリル化触媒(c)をゴムに分散させるにあたっては液体成分に溶解して用いる方法や固体成分に担持して用いる方法があるが、分散性、作業性の観点からは、固体成分1種以上に担持させたものを用いることが好ましい。具体的な方法とすれば、アルコール溶媒等に溶かした状態でシリカのような固体成分に担持させる手法がある。ここで固体成分としては吸着能力を有することが必要であり、炭酸カルシウム、カーボンブラック、タルク、マイカ、硫酸バリウム、天然ケイ酸、合成けい酸(ホワイトカーボン)、酸化チタン等の無機フィラーがあり、この中でも合成けい酸(ホワイトカーボン)を用いることが好ましい。担持触媒の調製法は公知の方法を用いることが出来る。
【0020】
また前記(c)の配合量はゴム成分(a)100重量部に対して0.001〜2重量部を好適に採用できる。配合量が下限値未満の場合には、反応速度が遅くなり十分な架橋が起こる時間が長くなる傾向があり、また、上限値を越えた場合は増量する効果はほとんどないばかりか最終製品の異物となってしまう傾向がある。
【0021】
本発明に用いられている非晶性エラストマー(d)は得られるエラストマー組成物の良好な低温耐衝撃性と成形加工性を付与するために添加する。本発明のエラストマー組成物は優れた低温耐衝撃性や良好な成形加工性と共に、優れたゴム弾性を有しているが、このような相反する特徴を両立させるため、海成分としてはエチレン−α・オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴム(a)との相溶性が良い非晶性エラストマーが好ましく、具体的にはスチレン系ブロック共重合体又はその水添物や、スチレン系ランダム共重合体又はその水添物や、エチレン/α−オレフィン共重合体を用いることが好ましい。
【0022】
ここでスチレン系ランダム共重合体の例としては、 ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物のランダム共重合体又はその水添物が挙げられる。より具体的に説明するとすれば、スチレン・ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、水添スチレン・ブタジエン共重合体ゴム(HSBR)があり、特に、ゴム成分のみを選択的にSiH基を持つ化合物で架橋を行うためには、ポリマー内に不飽和結合をなるべく含まないことが好ましく、HSBRが好ましい。、特にHSBRとしては成形性の観点からスチレン含量が10〜30%でMFRが0.5〜20g/10minのものが特に好ましく、最も好ましくは1〜10g/10minである。
【0023】
また、スチレン系ブロック共重合体の例としては、少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックと、少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックよりなるブロック共重合体又はその水添物を用いることが出来る。より具体的に説明すると、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水添スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、水添スチレン−イソプレンブロック共重合体等が挙げられる。特に、ゴム成分のみを選択的にSiH基を持つ化合物で架橋を行うためには、ポリマー内に不飽和結合をなるべく含まないことが好ましく、水添スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水添スチレン−イソプレンブロック共重合体等が好ましい。
【0024】
さらに好ましくはスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)のようなマルチブロックタイプの水添スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン(SEPS)のようなマルチブロックタイプの水添スチレン−イソプレンブロック共重合体等が特に好ましい。SEBSやSEPSとしてはスチレン含量が20〜60%でMFRが160g/10min以下のものが好ましく、特に好ましいのは、50g/10min以下である。また、MFRが1以下のものを用いる場合には油展して用いることが好ましい。
【0025】
エチレン/α・オレフィン共重合体のα・オレフィンは炭素数3〜15のものが好ましい。具体的なα・オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1、4−メチルヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1、ノネン−1、デセン−1、ウンデセン−1、ドデセン−1、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセンが好ましく、入手の容易さ、耐衝撃性改良の観点から特にプロピレンが好ましい。
即ち、本発明で用いられるエチレン/α・オレフィン共重合体としては、エチレン/プロピレン共重合体が最も好ましい。
エチレン/プロピレンの組成比としては、Tgを低下させ、機械強度を向上させるといった理由より、85/15〜50/50のものさらには70/30〜80/20のものが好ましい。またMFRは0.5〜50g/10minのものが好ましい。
【0026】
非晶性エラストマー(d)の配合量は、該共重合体ゴム(a)100重量部に対し10〜120重量部の範囲内で配合され、好ましくは15〜50重量部の範囲で配合される。120重量部を越えた配合では、得られるエラストマー組成物のゴム弾性が悪化する傾向があり、10重量部未満の配合では加工性が悪くなる傾向がある。
【0027】
本発明においては、得られる組成物の硬度を調整し、柔軟性を与える目的でパラフィン系オイルを必要に応じて添加する事が出来る。用いるパラフィン系オイルとしては、性状は37.8℃における動粘度が20〜500cst、流動点が−10〜−15℃および引火点が170〜300℃を示すものが好ましい。
パラフィン系オイルの好ましい配合量はゴム成分(a)100重量部に対して0〜160重量部であり、さらに好ましくは20〜100重量部である。160重量部をこえた配合のものは、軟化剤のブリードアウトを生じやすく、最終製品に粘着性を生じる恐れがあり、機械的性質を低下させる傾向がある。
【0028】
上記した成分のほかに、本発明のエラストマーにおいてはさらに必要に応じて、無機充填剤を配合することも可能である。この無機充鎮剤は、増量剤として製品コストの低下をはかることの利益があるばかりでなく、品質改良(耐熱保形、難燃性付与等)に積極的効果を付与する利点もある。無機充鎮剤としては、例えば炭酸カルシウム、カーボンブラック、タルク、水酸化マグネシウム、マイカ、硫酸バリウム、天然ケイ酸、合成けい酸(ホワイトカーボン)、酸化チタン等があり、カーボンプラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック等が使用できる。これらの無機充填剤のうちタルク、炭酸カルシウムは経済的にも有利で好ましい。
【0029】
さらに必要に応じて、各種添加剤を添加することができる。添加剤の例をあげると、造核剤、外滑剤、内滑剤、ヒンダードアミン系光安定剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、着色剤、難燃剤、シリコン系オイル(オルガノシロキサン、シランカップリング剤等)が該当する。また、ポリプロピレン、熱可塑性ウレタン樹脂のような他の熱可塑性樹脂、各種の相溶化剤をブレンドすることもできる。
【0030】
本発明のゴム成分(a)、SiH基を2つ以上持つシリコン系架橋剤(b)、ハイドロシリル化触媒(c)及び非晶性エラストマー(d)を混合し、動的に熱処理させる方法としては、通常の樹脂組成物、ゴム組成物の製造に用いられる一般的な全ての方法を採用できる。
基本的には機械的溶融混練方法であり、これらには単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、各種ニーダー、ブラベンダー、ロール等が用いられる。この際、各成分の添加順序には制限がなく、例えば、ゴム、樹脂成分を前もってヘンシェルミキサー、ブレンダー等の混合機で予備混合し上記の混練機で溶融混練し、次いで架橋剤、触媒成分を添加し動的架橋したり、使用するゴムのスコーチ時間が十分長い場合は触媒以外の成分を前もって溶融混練し、さらに触媒を添加し溶融混練する等の添加方法も採用できる。また、この際溶融混練する温度は180〜300℃、剪断速度は100〜5000/secのなかから好適に選ぶことが出来る。特にゴムの高分散を達成させるには、1.0〜5.5mmのクリアランスを有し、150〜500m/分という極めて高い先端速度で、異方向に回転する二軸混練機によって溶融混練することが望ましい。
【0031】
シラノール縮合触媒を添加した前記の組成物は、熱可塑性樹脂成形機を用いて所望の形状に成形することが可能である。即ち、射出成形、押出成形、カレンダー成形、ブロー成形等の各種の成形方法が適用可能である。
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0032】
【実施例】
以下に示す実施例及び比較例において配合した各成分は以下の通りである。
<成分a(1):EPDM▲1▼>
エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体ゴム
出光DSM株式会社製ケルタンK712
[プロピレン含量:40重量%,ムーニ粘度ML1+4(125℃):63,ヨウ素価:16]
【0033】
<成分a(2):EPDM▲2▼>
エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体ゴム
日本合成ゴム株式会社製EP43
[プロピレン含量:43重量%,ムーニ粘度ML1+4(100℃):47,ヨウ素価:6]
【0034】
<成分b(1):架橋剤▲1▼>
日本ユニカー株式会社製
【化4】
【0035】
<成分b(2):架橋剤▲2▼>
日本ユニカー株式会社製
【化5】
【0036】
<成分b(3):架橋剤▲3▼>
日本ユニカー株式会社製
【化6】
【0037】
<成分c(1):担持触媒>
塩化白金酸6水和物(安田薬品社製)の3重量%2−プロパノール溶液を調製し、この溶液10gをコロイダルシリカ(日本アエロジル製 アエロジル200)100g中に担持させて調製した。
<成分c(2):ロジウム触媒>
ビス−シクロオクタジエンロジウム塩1gを500g中の低密度ポリエチレン(比重0.923)中に溶融混練することにより調製した。
【0038】
<成分d(1):SEBS▲1▼>
水添ポリ(スチレン・ブタジエン)ブロック共重合体、旭化成工業株式会社製タフテックH1041[スチレン含量:30重量%,MFR(230℃)=5.0g/10分]
<成分d(2):SEBS▲2▼>
水添ポリ(スチレン・ブタジエン)ブロック共重合体、旭化成工業株式会社製タフテックH1052[スチレン含量:30重量%,MFR(230℃)=12g/10分]
【0039】
<成分d(3):HSBR▲1▼>
水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体、日本合成ゴム株式会社製ダイナロン1320P[スチレン含量:10重量%,MFR(230℃)=3.5g/10分]
<成分d(4):HSBR▲2▼>
水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体、日本合成ゴム株式会社製ダイナロン1910P[スチレン含量:30重量%,MFR(230℃)=5.3g/10分]
【0040】
<成分d(5):EPR>
エチレン/プロピレン共重合体、日本合成ゴム株式会社製EP912P[MFR(230℃)=8.6g/10分]
<成分d(6):PP>
ポリプロピレン樹脂、住友化学工業株式会社製W501
[MFR(230℃)=3.1g/10分]
【0041】
<成分e:オイル>
出光興産製ダイアナプロセスオイルPW−380[パラフィン系プロセスオイル、動粘度:381.6cst(40℃)、30.1(100℃)、平均分子量746、環分析値:CA=0%、CN=27%、CP=73%]
【0042】
《実施例1〜6》
ハイドロシリル化触媒を除く表1記載の成分を十分ドライブレンドした後、ニーダにて約200℃で20分溶融混練し、ロールシート化した後室温まで冷却し、シートペレタイザーでペレット化し動的架橋する前の熱可塑性組成物を得た。このペレットに表1記載のハイドロシリル化触媒を添加配合し、日本製鋼所製同方向型二軸混練機TEX44を使用して、800/secの剪断速度で樹脂温200〜220℃になるように溶融混練して熱可塑性エラストマー組成物を得た。しかる後、一部は射出成形を行い、得られた成形品について(1)〜(3)の諸物性の評価を行い、一部は押出成形を行い(4)の成形性を評価した。
全ての成分をドライブレンドした後、、ゴムの動架橋工程を実施し、成形可能なエラストマー組成物を得た。その後、φ50mm,L/D=20の押出機を用いて混練温度180℃、内径φ4.0mm、肉厚2.5mm、長さ400mmのチューブを作成した。
【0043】
《実施例7〜12》
ハイドロシリル化触媒を除く表2記載の成分を十分ドライブレンドした後、ニーダにて約200℃で20分溶融混練し、ロールシート化した後室温まで冷却し、シートペレタイザーでペレット化し動的架橋する前の熱可塑性組成物を得た。このペレットに表1,2記載のハイドロシリル化触媒を添加配合し、株式会社神戸製鋼所製二軸混練機NCM−50を使用して、1.6mmのクリアランスに対し、回転数が1200rpm即ち先端速度(50mm*π*1200rpm=188.5m/分)、樹脂温度:190〜230℃で溶融混練して熱可塑性エラストマー組成物を得た。しかる後、一部は射出成形を行い、得られた成形品について(1)〜(3)の諸物性の評価を行い、一部は押出成形を行い(4)の成形性を評価した。
【0044】
《比較例1〜4》
比較例1〜4には、USP4803244号公報に記載されている配合、即ち(c)成分としてロジウム触媒を、(d)成分として熱可塑性樹脂のポリプロピレンを用いた例を記載した。その他の条件は実施例1〜6と同じである。また、得られたエラストマーの評価項目を以下に示した。
(1) 硬度(JIS K6301 Aタイプ)
(2) 圧縮永久歪みCS[%](JIS K6301、25%圧縮 25℃×100HRS、−40℃×100HRS)
(3) 低温耐衝撃性
75mm×75mm×1mm厚みの試験片を−60℃のドライアイス−メタノール溶液中に10分間浸漬後、デュポン式落球衝撃試験を5回実施した。5回の試験のうち、試験後亀裂が生じなかった回数を表中に記載した。[試験条件 錘重量:500g先端球R:3/16 落下高さ:1m]
(4) 成形性
φ50mm押出機を用いてL/D=20、C/R=3.0のスクリュー、100mm幅×0.5mm間隙のダイスを用いて、混練温度200℃、回転数100rpmにて、150×500mmのテープを作成し、目視にて表面を観察し、直径100ミクロン以上のブツを10つ以上観察した場合は×、2〜9つ観察した場合は△、1つ以下のブツしか観察しなかった場合は○とした。
【0045】
【発明の効果】
本発明のエラストマー組成物は、低温耐衝撃性にも優れながら、広い温度範囲でのゴム弾性に優れ、なおかつ成形性にも優れていることが明らかとなった。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
Claims (5)
- (a)エチレン−α・オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴム、(b)分子内にSiH基を2つ以上持つシリコン系架橋剤、(c)ハイドロシリル化触媒、及び(d)非晶性エラストマーからなる混合物を動的に熱処理してなる熱可塑性エラストマー組成物であって、混合物中の非晶性エラストマー(d)の配合量がエチレン−α・オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴム(a)100重量部に対し、25〜120重量部であり、非晶性エラストマー(d)が水添スチレン・ブタジエンブロック共重合体、水添スチレン・ブタジエン共重合体ゴム、又はエチレン/α−オレフィン共重合体であり、かつ非晶性エラストマー(d)が連続相を形成している熱可塑性エラストマー組成物。
- 1.0〜5.5mmのクリアランスを有し150〜500m/分の先端速度で異方向に回転する二軸混練機によって混練することを特徴とする請求項1記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
- エチレン−α・オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴム(a)がエチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体ゴムである請求項1記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 分子内にSiH基を2つ以上持つシリコン系架橋剤(b)がオルガノハイドロジェンシロキサンである請求項1又は3記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- ハイドロシリル化触媒(c)が、固体成分に担持されている請求項1、3又は4記載の熱可塑性エラストマー組成物。
Priority Applications (1)
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