JP3330464B2 - 低クリープ性及び低温耐衝撃性を有する熱可塑性エラストマー - Google Patents

低クリープ性及び低温耐衝撃性を有する熱可塑性エラストマー

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JP3330464B2 JP08143095A JP8143095A JP3330464B2 JP 3330464 B2 JP3330464 B2 JP 3330464B2 JP 08143095 A JP08143095 A JP 08143095A JP 8143095 A JP8143095 A JP 8143095A JP 3330464 B2 JP3330464 B2 JP 3330464B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、安定した低クリープ特
性及び低温耐衝撃性を有する熱可塑性エラストマーに関
するものである。更に詳しくは柔軟性に富み、広い温度
範囲にわたるゴム弾性、高温クリープ性能、低温耐衝撃
性、機械強度、成形加工性に優れ、かつ熱可塑性エラス
トマーでありながら、耐油性、耐光変色性が良好で調色
性に非常に優れており、各種成形物の素材として使用で
きる新規な熱可塑性エラストマーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ゴム的な軟質材料であって加硫工
程を必要とせず、熱可塑性樹脂と同様な成形加工性を有
する熱可塑性エラストマーが自動車部品、家電部品、電
線被覆材、医療部品、雑貨、履物等の分野で利用されて
いる。熱可塑性エラストマーの構造の代表的な例として
は特開昭61−34050等に開示されているように共
重合体鎖中にハードセグメント及びソフトセグメントを
交互に含有している種類のものがある。そして、これら
は各セグメントの割合を変えることにより柔軟性に富む
ものから、剛性のあるものまで各種のグレードが製造さ
れている。更に、安価でそして容易に入手できる原料物
質から導かれた別種類の熱可塑性エラストマーもある。
即ち、特公昭53−21021等に開示されているよう
に有機過酸化物を用いて部分架橋したモノオレフィン共
重合体ゴムとポリオレフィン樹脂との熱可塑性ブレンド
あるいはモノオレフィン共重合体ゴムとポリオレフィン
樹脂に架橋助剤として有機過酸化物を用いて溶融混練を
行い、部分架橋した組成物がこれに該当する。しかしな
がら、前者の共重合体鎖中にハードセグメント及びソフ
トセグメントを交互に含有している構造を持つ熱可塑性
エラストマーの場合、柔軟性のある熱可塑性エラストマ
ーとするためにはソフトセグメントを多量に含むことが
必要となる。通常、ソフトセグメントは引張強度が弱
く、耐熱性、流動性、耐油性が悪いことからこのような
ソフトセグメントを多量に含む柔軟性のある熱可塑性エ
ラストマー組成物はやはり、引張強度が弱く、耐熱性、
流動性、耐油性が悪いといった欠点を持ち、広範囲にわ
たっての各種用途に用いる事が出来ない。また、柔軟性
グレードを多段合成法により合成する場合は、ハードセ
グメントとソフトセグメントを別々に合成する必要があ
るため、重合装置が非常に複雑になるとともに、重合段
階での各セグメントの性状や割合のコントロールが非常
に難しく、またグレードの切り替え時に不良品が発生す
る事もある。さらに生成したポリマーの回収もゴム的な
性状のものが多量に含まれることから非常に困難であ
る。
【0003】後者の、成分中のモノオレフィン共重合体
ゴムに部分架橋を施した構造の熱可塑性エラストマーの
場合は、部分架橋であるために耐油性及び高温下での形
状回復性等が不十分であるために広範囲にわたっての各
種用途に用いる事が出来ない。また、有機過酸化物を用
いているために、架橋と同時に有機過酸化物に起因する
ラジカルによりポリマー鎖の切断が起こり機械的強度の
低下もみられるという欠点も有している。この欠点を克
服する手段が特公昭58−46138等に開示されてい
る。即ち架橋剤として熱反応性アルキルフェノール樹脂
を用いる事によりモノオレフィン共重合体ゴムの架橋の
みを優先的に進めるという手段である。この手段で得ら
れる熱可塑性エラストマーは完全架橋であるため耐油性
及び高温下での形状回復性は改善されているとはいえ、
加硫ゴムに比べるとまだ不十分である。また、架橋剤と
してアルキルフェノール樹脂の代わりにオルガノシロキ
サン化合物を用いる手法がUSP4803244に提案
されている。この方法ではアルキルフェノール樹脂架橋
と同様にモノオレフィン共重合体ゴムの架橋のみを優先
的に進めることができ、耐油性、高温下での形状回復性
及び耐光変色性等に非常に優れた材料が得られるので、
調色の自由度が求められる家電用部品、電線被覆等の用
途に用いる事ができる。しかしながら、この手法では相
溶化剤を添加していないためゴムと樹脂の接着性が必ず
しも十分でないため、低温耐衝撃性が特に要求される自
動車部品の用途、例えば自動車のエアーバッグカバー用
材料等には使用できない。又、特公平7−15031に
反応性ポリオレフィンの架橋方法として特定の構造をも
つオルガノシロキサンとロジウム系触媒を用いる方法が
記載されている。この特許の目的は成形物内部に泡形成
をもたらさないことであるが、該特許の架橋剤とロジウ
ム系触媒を用いた場合でも同様に、熱処理を行うとクリ
ープ性が著しく悪化し加硫ゴム並みの低クリープ性を有
するエラストマーは製造できない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従来の熱可塑
性エラストマー組成物では困難であった加硫ゴム並みの
安定した低クリープ性及び低温衝撃性を発現させるため
になされたものであり、広い温度範囲にわたって良好な
ゴム特性を維持しつつ、特に低温耐衝撃性に優れ、さら
に広い着色自由度、低い残留重金属物等の特徴を有して
いるため、調色が求められる用途、衛生性、長期信頼性
が求められる用途も含めての広範囲にわたっての各種用
途に用いることができる熱可塑性エラストマーを提供す
ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、エチレン
−α・オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴム(a)1
00重量部に対して、結晶性オレフィン系樹脂(b)5
〜300重量部、分子内にSiH基を持つオルガノシロ
キサン系架橋剤(c)0.5〜30重量部、第8族遷移
金属系ハイドロシリル化触媒(d)0.001〜2重量
部、及び相溶化剤(e)0.5〜20重量部を混合し、
動的に熱処理させてなる熱可塑性エラストマーにおい
て、分子内にSiH基を持つオルガノシロキサン系架橋
剤(c)として下記の構造で表記される構造を持つ化合
物を用いることを特徴とする熱可塑性エラストマーであ
(1)mは5以上400以下の整数 (2)R1〜R7は、水素、アルキル基、アルコキシ基、
アリール基またはアリールオキシ基 又は上記組成にさらにパラフィン系オイル(f)を30
〜300重量部を用いることを特徴とする熱可塑性エラ
ストマーである。
【0006】本発明は、架橋剤として耐光変色性及び生
体適合性に優れ、ゴムを選択的に架橋する特性を有する
分子内にSiH基を持つオルガノシロキサン化合物類の
うち、特に架橋密度を向上でき、且つその架橋密度を安
定維持できる特定の分子構造を有するものを、また、ハ
イドロシリル化触媒を用いて溶融混練しながら架橋させ
ることによりゴムの選択的な架橋を行い、さらに相溶化
剤により、機械的剪断力のみでは到底達成することので
きなかった、低クリープ特性及び低温耐衝撃性発現に不
可欠なゴム粒子の高分散化を達成し、加えて界面の接着
強度を向上させるという技術思想のもとに研究を展開
し、その結果、広い温度範囲にわたって加硫ゴム同等以
上の良好なゴム特性を有しつつ、低クリープ性、低温耐
衝撃性、調色、良好な成形外観が求められる用途も含め
ての広範囲にわたっての各種用途に適用でき、しかも、
通常の混練機で、剪断速度は100〜1000/sec
といった極めて常識的な溶融混練条件で達成できるとい
う知見を見いだし、その知見に基づき、さらに種々の研
究を進めて本発明を完成するに至ったものである。又、
本発明により製造される熱可塑性エラストマー組成物は
相溶化手法を施しているため、アニーリング処理をして
もモルフォロジー変化は起こしにくく、その結果長期信
頼性にも非常に優れるということを見い出した。以下に
本発明についてより具体的且つ詳細な説明を行ってい
く。
【0007】本発明で用いられるエチレン−α・オレフ
ィン−非共役ジエン共重合体ゴム(a)は、エチレン、
α・オレフィン及び非共役ジエンからなり、α・オレフ
ィンは炭素数3〜15のものが適する。非共役ジエンと
してはジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、
エチリデンノルボルネン、及びメチレンノルボルネン等
が使用できる。本発明においては入手の容易さ、耐衝撃
性改良の観点からα・オレフィンとしてはプロピレンが
適する。従って、EPDMが好適となる。共重合ゴムの
エチレン/α・オレフィン比は重量比で50/50〜9
0/10、さらに60/40〜80/20がより好まし
い。ここで、用いられるゴムのムーニ粘度、ML1+4
(125℃)は10〜120、好ましくは40〜100
の範囲から選ぶ事が出来る。このムーニ粘度はゴムの分
子量と加工特性の指標となっている。ここで、ゴム自身
のムーニ粘度10未満のものはゴム分子量が非常に小さ
いことを意味しており、架橋ゴムの分子量が小さくなり
圧縮永久歪みが大きくなる傾向がある。逆に、120を
超えたものは成形加工性が著しく悪化するが、ゴムに
(e)成分を予め溶融混練(油展)し、見かけのムーニ
粘度を120以下に調整したものが市販されている。ま
た、ゴムのヨウ素価は反応性の指標となっており値が大
きいほど高活性を意味するが、本発明で用いられるゴム
種では10〜30、特に10〜20の高活性種が好まし
い。
【0008】次に、本発明に用いられている結晶性オレ
フィン系樹脂(b)は、得られる組成物の加工性、耐熱
性向上に有効である。ここで、結晶性オレフィン系樹脂
(b)は、例えばポリエチレン、ポリプロピレンやプロ
ピレンと他の少量のα−オレフィンのランダムまたは及
びブロック共重合体、具体的にはポリプロピレン−エチ
レン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プ
ロピレン−4−メチルー1ペンテン共重合体、及びポリ
4−メチル−1−ペンテン、ポリブテン−1等をあげる
ことができる。その中でもポリプロピレンまたはその共
重合体が好ましく、さらにそのMFR(ASTM-D-1238L条
件、230℃)は0.1〜50g/10分特に0.5〜30
g/10分の範囲のものが好適に使用できる。結晶性オ
レフィン系樹脂(b)の配合量は、ゴム成分(a)10
0重量部に対し5〜300重量部の範囲内で配合され、
好ましくは10〜200重量部の範囲で配合される。3
00重量部を越えた配合では、得られるエラストマー状
組成物の硬度が高くなり柔軟性が失われる傾向にあり、
5重量部未満の配合では加工性が悪くなる。
【0009】次に本発明で用いられるゴムの架橋剤
(c)はSiH基を持ち且つ特に架橋密度を向上できる
特定の分子構造を有するオルガノシロキサン化合物類で
ある。本発明ではゴムの架橋法としてSiH基のゴム成
分中の不飽和炭化水素への選択的な付加反応(ハイドロ
シリル化)を利用している。一般に低クリープ特性を有
する熱可塑性エラストマーを製造するためには、架橋密
度を1×106mol/ml以上にすることが必要である
と言われている。又、安定した低クリープ特性を有する
ためにはその架橋密度を安定して保持することが必要で
ある。この架橋密度を達成するためには、種々の分子構
造を有するオルガノシロキサン化合物を検討し、その結
果、下記構造を有するオルガノシロキサン化合物が該当
することを見い出した。
【0010】 (1)mは5以上400以下の整数 (2)R1〜R7は、水素、アルキル基、アルコキシ基、
アリール基またはアリールオキシ基 即ち、オルガノシロキサン化合物1分子で、架橋点をあ
る程度、リジッドにするためにはSiH基を有するユニ
ットが5以上400以下であることが必要である。即ち
mが4以下の場合は架橋点の数が少なくなるので架橋密
度が低下し、400以上ではオルガノシロキサン自体の
粘度が高くなり過ぎ流動性が悪化する。またSiH基を
有しないユニットが1つでも有ると、ゴムのジエン部分
に付加出来ないユニットを有することになり架橋構造が
リジッドとならず、特に熱履歴によりクリープ特性が著
しく悪化する。なお、この構造を有するオルガノシロキ
サン化合物を何種類かブレンドして用いることはなんら
不都合はない。
【0011】本発明に用いられる第8族遷移金属系ハイ
ドロシリル化触媒(d)はハイドロシリル化反応を促進
する触媒のうち、パラジウム、ロジウム、白金などの第
8族遷移金属あるいはそれらの化合物、錯体が挙げられ
る。最も一般的な触媒とすればジクロロビス(アセトニ
トリル)パラジウム(II)、クロロトリス(トリフェニ
ルホスフィン)ロジウム(I)、塩化白金酸等が有名で
ある。また、架橋剤及び触媒をより高分散させるために
はゴムの架橋剤(c)、第8族遷移金属系ハイドロシリ
ル化触媒(d)を液体成分、固体成分の中から選ばれる
1種以上に溶解又は担持させたものを用いることが好ま
しい。具体的な方法とすれば、アセトン、イソプロパノ
ールのようなの溶媒に溶解させたり、炭酸カルシウム、
シリカのような無機フィラーに担持させたり、又はアル
コール溶媒に溶かした状態でシリカのような無機フィラ
ーに担持させる手法がある。ここで用いられる溶媒は特
に限定されることはないが、ハイドロシリル化反応に対
して比較的不活性であることが必要である。溶媒種の例
とすれば、炭化水素系、アルコール系、ケトン系、エス
テル系等が挙げられる。調製すべき溶液の濃度は特に制
限は無い。また、無機フィラーは吸着能力を有すること
が必要であり、炭酸カルシウム、カーボンブラック、タ
ルク、マイカ、硫酸バリウム、天然ケイ酸、合成ケイ酸
(ホワイトカーボン)、酸化チタン等が例示できる。担
持触媒の調製法は公知の方法を用いることが出来る。
【0012】ここで動的架橋された熱可塑性エラストマ
ー組成物とは、本発明で得られた組成物1gを沸騰キシ
レンを用いてソックスレー抽出器で10時間リフラック
スし、残留物を80メッシュの金網で濾過し、メッシュ
上に残留した不溶物乾燥重量(g)/組成物1g中に含
まれるa成分の重量の比を100倍した値で示されるゲ
ル含量が少なくとも30%、好ましくは50%以上(た
だし、無機充填物等の不溶成分はこれに含まない)とな
るように架橋したものであり、かつ該架橋が熱可塑性エ
ラストマー組成物の溶融混練中に行われることを特徴と
する。このような動的架橋された熱可塑性エラストマー
組成物を得るため、オルガノシロキサン系架橋剤(c)
の配合量は、成分(a)100重量部に対して0.5〜
30重量部、好ましくは1〜20重量部の中から好適に
選ぶことができ、そのゲル含量を調節することができ
る。また触媒(d)の添加量はゴム成分100重量部に
対して0.001〜2重量部の触媒を任意に添加するこ
とができる。触媒として第8族遷移金属系触媒では添加
量0.005〜1重量部が好ましく、さらに好ましくは
0.01〜0.5重量部である。ここで、0.001重量
部未満の場合、実用的速度で架橋が進まない。また、2
重量部超では増量する効果がないばかりか失活した触媒
が黒色状ブツとなり外観不良となったり、熱処理をする
と好ましくない副反応(未反応のSiH基の分解等)を
引きおこす傾向がある。
【0013】本発明で用いられる相溶化剤(e)とは、
同一分子内にゴムと熱可塑性樹脂とそれぞれに対して親
和性を持つ成分を有し、これが界面活性剤的な働きをす
ることにより、結果として通常の混練条件(剪断速度:
100〜1000/sec)で架橋されたゴムを30ミ
クロン以下まで微細に分散させ、また架橋されたゴムと
熱可塑性樹脂との界面の接着強度を向上させ、また低温
耐衝撃性を著しく改善させることを目的に添加する。一
般に、機械強度及び低クリープ性はゴムの分散粒径を数
〜サブμm程度に分散できれば著しく向上するといわれ
ている。上記目的に合致すれば、どのような構造のモノ
マー、オリゴマー、ポリマーであろうと特に限定される
ものではない。相溶化剤の一般的な構造的としては同一
分子内にエチレン−α・オレフィン−非共役ジエン共重
合体ゴム(a)と結晶性オレフィン系樹脂(b)とそれ
ぞれ分子相溶する成分を有することが必要であり、一般
的には相溶化剤は2種以上のモノマーから重合されたブ
ロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体
が好ましい。このような共重合体は、市販のものを用い
ても良いし、自ら調製することもできる。例えば、市販
の共重合体の例とすれば、スチレン系共重合体が挙げら
れる。即ち、スチレンーブタジエン共重合体及びその水
添物(ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト
共重合体などすべて含まれる。)が挙げられ、より具体
的にはスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SB
S)、水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体
(SEBS)、イソプレン−スチレン共重合体、水添イ
ソプレン−スチレン共重合体(SEP)、スチレン−イ
ソプレン−スチレン共重合体(SIS)、水添スチレン
−イソプレン−スチレン共重合体(SEPS)などが挙
げられる。中でも、低温時耐衝撃性を著しく改善させ、
好ましく用いられるスチレン系エラストマーはSEB
S、SEP、SEPSであり、中でも好ましいスチレン
含量は、10〜80重量%、更に好ましくは、30〜7
0重量%であり、より好ましいのは40〜70重量%で
ある。
【0014】また、相溶化剤を調製する方法の例として
は下記に示す(e−3)、(e−4)、(e−5)が挙
げられる。 (e−3)エポキシ基を有するポリプロピレン樹脂を必
須成分とし、分子内にカルボン酸無水物及び/またはカ
ルボン酸基を有するポリエチレン、エチレン系共重合
体、スチレンブロック共重合体及びまたはその水添物、
スチレンランダム共重合体及びまたはその水添物等のカ
ルボン酸変性樹脂のうちから選ばれた少なくとも1種を
溶融反応させてなることを特徴とする相溶化剤 (e−4)分子内に無水マレイン酸基を有するポリプロ
ピレンを必須成分とし、エポキシ基を有するポリエチレ
ン、エチレン系共重合体、スチレンブロック共重合体及
びまたはその水添物、スチレンランダム共重合体及びま
たはその水添物等のエポキシ変性樹脂のうちから選ばれ
た少なくとも1種を溶融反応させてなることを特徴とす
る相溶化剤 (e−5)ポリプロピレンを必須成分とし、ポリエチレ
ン、エチレン系共重合体、スチレンブロック共重合体及
びまたはその水添物、スチレンランダム共重合体及びま
たはその水添物のうちから選ばれた少なくとも1種以上
の樹脂とのブレンド物を過酸化物存在下で動的に熱処理
させてなる相溶化剤 相溶化剤(e−3)(e−4)の原料として用いられる
無水マレイン酸基を有する変性樹脂、エポキシ基を有す
る変性樹脂は、公知の技術で容易に得ることができる。
即ち過酸化物等を用いてグラフト共重合する方法あるい
は樹脂モノマー成分と共重合することにより得られる。
またこれらは市販品を用いてもよい。本発明で用いられ
る無水マレイン酸基を有する変性樹脂としてエチレン・
アクリル酸・無水マレイン酸3元共重合体、エチレン・
エチルアクリレート・無水マレイン酸3元共重合体、エ
チレン・メタクリル酸・無水マレイン酸3元共重合体、
無水マレイン酸をグラフトしたポリプロピレン、無水マ
レイン酸をグラフトしたポリエチレン、無水マレイン酸
をグラフトしたエチレン−プロピレン共重合体、無水マ
レイン酸をグラフトしたスチレン−エチレン・ブチレン
−スチレンブロック共重合体、無水マレイン酸をグラフ
トしたスチレン−エチレン・ブチレン−スチレンランダ
ム共重合体等が例示される。
【0015】本発明で用いられるエポキシ変性樹脂とし
てはエチレン・グリシジルメタアクリレート共重合体あ
るいはエチレン・アクリル酸・グリシジルアクリレート
3元共重合体、エチレン・アクリレート・アリルグリシ
ジルエーテル3元共重合体、エチレン・メタクリレート
・グリシジルアクリレート3元共重合体、エチレン・プ
ロピレン・グリシジルメタアクリレート3元共重合体、
グリシジルメタアクリレートをグラフトしたポリプロピ
レン、グリシジルメタアクリレートをグラフトしたスチ
レン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合
体、グリシジルアクリレートをグラフトしたスチレン−
エチレン・ブチレン−スチレンランダム共重合体等が例
示される。
【0016】本発明の相溶化剤(e−3)(e−4)は
上記の分子内に無水マレイン酸基を有する変性樹脂とエ
ポキシ基を有する樹脂からなる組成物をバッチ式混練機
にて150〜250℃で5〜30分溶融反応させること
により得られる。溶融混練の際、顕著なトルク上昇が生
じることから、分子内に無水マレイン酸基を有する変性
樹脂とエポキシ基を有する樹脂との間に何らかの反応が
生じていると考えられる。また相溶化剤(e−3)(e
−4)の赤外線吸収スペクトルを調べると原料に含まれ
るエポキシ基、無水マレイン酸基の特性吸収が消失して
おり、エポキシ基と無水マレイン酸基との間に反応が生
じたと考えられる。本発明の相溶化剤(e−5)はポリ
プロピレンを必須成分とし、ポリエチレン、エチレンプ
ロピレン共重合ゴム、スチレンブロック共重合体及びま
たはその水添物、スチレンランダム共重合体及びまたは
その水添物のうちから選ばれた少なくとも1種以上の樹
脂とのブレンド物及び有機ペルオキシド、有機ペルエス
テル、アゾ化合物等の有機過酸化物、必要に応じてビス
マレイミド系化合物のような助触媒をバッチ式混練機に
て150〜250℃で5〜30分溶融反応させ、共架橋
させることにより得られる。ここで有機過酸化物触媒の
添加量はブレンド物100重量部に対して0.0001
〜2重量部が好適である。ここで過酸化物触媒0.00
01重量部未満の場合、実用的速度で反応が進まない。
また、2重量部超では増量する効果がないばかりか好ま
しくない副反応(ポリプロピレンの分解、ゲル化反応
等)を引き起こす傾向がある。
【0017】ここで相溶化剤(e−3)(e−4)につ
いてはエポキシ変性樹脂と無水マレイン酸変性樹脂との
比率が、また、(e−5)についてはポリプロピレンと
特定の群の中から選ばれた1種以上の樹脂との比率が1
0:90〜90:10重量%、好ましくは70:30〜
30:70重量%、更に好ましくは60:40〜40:
60重量%の範囲で配合される。どちらかの成分の比率
が10重量%未満では界面の接着強度改善効果が不十分
となり、本発明の熱可塑性エラストマーの低温耐衝撃性
を改良する効果が不十分となる傾向がある。また、相溶
化剤(e)の添加量はゴム成分(a)+樹脂成分(b)
の合計100重量部に対して0.5重量部〜20重量
部、好適には1重量部〜15重量部、更に好適には2重
量部〜10重量部の範囲で配合される。0.5重量部未
満の場合、界面張力を低下させる効果が低下する傾向に
あり、故に界面の接着強度改善効果が低下し、また加硫
ゴムの分散粒子が大きくなる傾向があり、従って本発明
の熱可塑性エラストマーの低温耐衝撃性の改良効果が不
十分となり、また、成形品の外観が悪化する傾向にあ
る。また、20重量部超では本発明の熱可塑性エラスト
マーの硬度が硬くなり低温耐衝撃性が悪くなるばかりか
エラストマーとしてのゴム弾性を示さなくなる傾向にあ
る。
【0018】本発明で用いるパラフィン系オイル(f)
は、得られる組成物の硬度を調整し、柔軟性を与える作
用を持ち、必要に応じて添加される。一般にゴムの軟
化、増容、加工性向上に用いられるプロセスオイルまた
はエクステンダーオイルとよばれる鉱物油系ゴム用軟化
剤は芳香族環、ナフテン環、パラフィン鎖の3者を組あ
わせた混合物であり、パラフィン鎖の炭素数が全炭素数
の50%以上占めるものがパラフィン系と呼ばれ、ナフ
テン環炭素数が30から45%のものがナフテン系、芳
香環炭素数が30%を越えるものが芳香族系とされる。
本発明で用いられるオイルは上記区分でパラフィン系の
ものが好ましく、ナフテン系、芳香族系のものは分散
性、溶解性の点で好ましくない。パラフィン系ゴム用軟
化剤の性状は37.8℃における動粘度はが20〜50
0cst、流動点が−10〜−15℃および引火点が1
70〜300℃を示す。パラフィン系オイル(f)の好
ましい配合量はゴム成分(a)100重量部に対して3
0〜300重量部であり、さらに好ましくは30〜25
0重量部である。300重量部をこえた配合のものは、
軟化剤のブリードアウトを生じやすく、最終製品に粘着
性を生じる恐れがあり、機械的性質を低下させる傾向が
ある。また、30重量部未満だと添加する意味がない。
また、パラフィンオイルで油展した(a)成分が市販さ
れており、これを用いて所定量添加する方式も好適に採
用できる。
【0019】本発明で得られる熱可塑性エラストマー組
成物は公知技術の有機過酸化物を用いて部分架橋した熱
可塑性エラストマー組成物に比べ、機械強度及び高温で
の圧縮永久歪みに優れた性能をしめす組成物を与える。
また、公知技術の熱反応性アルキルフェノール樹脂を用
いて完全架橋した熱可塑性エラストマー組成物に比べ、
耐光変色性に著しく優れた組成物を与える。また、界面
の接着性が著しく改善されており、公知技術のように、
塩化白金酸のような第 族遷移金属系触媒を用いてハイ
ドロシリル化することにより架橋させて得ただけの熱可
塑性エラストマー組成物に比べ、低温耐衝撃性が著しく
向上し、成形品の外観が著しく向上する。上記した成分
のほかに、本発明の組成物はさらに必要に応じて、特に
調色が不必要な用途には、無機充填剤を配合することも
可能である。この無機充填剤は、増量剤として製品コス
トの低下をはかることの利益があるばかりでなく、品質
改良(耐熱保形、難燃性付与等)に積極的効果を付与す
る利点もある。無機充填剤としては、例えば炭酸カルシ
ウム、カーボンブラック、タルク、水酸化マグネシウ
ム、マイカ、硫酸バリウム、天然ケイ酸、合成ケイ酸
(ホワイトカーボン)、酸化チタン等があり、カーボン
ブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラ
ック等が使用できる。これらの無機充填剤のうちタル
ク、炭酸カルシウムは経済的にも有利で好ましいもので
ある。さらに必要に応じて、各種添加剤を添加すること
ができる。添加剤の例をあげると、造核剤、外滑剤、内
滑剤、ヒンダードアミン系光安定剤、ヒンダードフェノ
ール系酸化防止剤、着色剤、難燃剤、シリコンオイル
(オルガノシロキサン、シランカップリング剤等)を添
加しても良い。また、スチレン系ブロックコポリマー
(SBC)、エチレン−α・オレフィン共重合体、熱可
塑性ウレタン樹脂のような他の熱可塑性樹脂をブレンド
することもできる。
【0020】本発明の組成物を製造する方法としては、
通常の樹脂組成物、ゴム組成物の製造に用いられる一般
的な全ての方法を採用できる。基本的には機械的溶融混
練方法であり、これらには単軸押出機、二軸押出機、バ
ンバリーミキサー、各種ニーダー、ブラベンダー、ロー
ル等が用いられる。この際、各成分の添加順序には制限
がなく、例えば、ゴム、樹脂成分を前もってヘンシェル
ミキサー、ブレンダー等の混合機で予備混合し上記の混
練機で溶融混練し、次いで架橋剤、触媒成分を添加し動
的架橋したり、使用するゴムのスコーチ時間が十分長い
場合は触媒以外の成分を前もって溶融混練し、さらに触
媒を添加し溶融混練する等の添加方法も採用できる。ま
た、この際溶融混練する温度は180℃〜300℃、剪
断速度は100〜1000/secのなかから好適に選
ぶことが出来る。さらに、先に(a)(c)(d)
(e)成分を用いて先にゴムの架橋物を製造し、ゴム架
橋物の粗砕物を残りの成分に添加し、溶融混練しても本
発明の熱可塑性エラストマーを得ることができる。ゴム
の架橋物を得る方法は特に限定されることなく、通常の
熱硬化型樹脂組成物、熱硬化型ゴム組成物の製造に用い
られるすべての方法を採用できる。上記の工程を経て製
造された架橋されたゴムを粗砕するには、通常の粉砕方
法で達成できる。即ち、粉砕器、特にドライアイス、液
体窒素を用いた冷凍粉砕の方法が好適に用いられる。ま
た、無機フィラー等を打粉剤として用いることもでき
る。この時、ニーダのようなバッチ式混練機を用いた場
合は、ゴムが充分に硬化した場合は組成物は熱硬化性で
あり、粉砕工程を設けることなく、ニーダ内で粗砕され
るので、特に好適に用いられる。
【0021】ここで得られた動的架橋したエラストマー
組成物は熱可塑性であるので一般に使用される熱可塑性
樹脂成形機を用いて成形することが可能であって、射出
成形、押出成形、カレンダー成形、ブロー成形等の各種
の成形方法が適用可能である。即ち、溶融粘度の剪断速
度依存性が特に大きく、高剪断速度の射出成形領域では
低粘度高流動となり、汎用樹脂と同様に容易に射出成形
が出来る。また、中剪断速度の押出・ブロー成形領域で
はある程度高粘度となり、これが低ドローダウンにつな
がるため、押出・ブロー成形も容易である。以下、本発
明を実施例によって更に詳細に説明するが、本発明は、
これら実施例に限定されるものではない。
【0022】
【実施例】以下に示す実施例及び比較例において配合し
た各成分は以下の通りである。 <成分a(1):EPDM > エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合
体ゴム 出光DSM(株)製ケルタンK712 [プロピレン含量:40重量%,ムーニ粘度ML1+4
(125℃):63,ヨウ素価:16,Tg:−53
℃] <成分a(2):EPDM > 油展エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共
重合体ゴム 出光DSM(株)製ケルタンK509X100 [プロピレン含量:30重量%,ムーニ粘度ML1+4
(125℃):100,ヨウ素価:26,Tg:−45
℃,パラフィンオイル油展量:100重量部] <成分b(1):H−PP> ホモタイプポリプロピレン樹脂、住友化学工業(株)製W
501 [MFR(230℃)=8.0g/10分,熱変形温
度:115℃] <成分b(2):B−PP> ブロックタイプポリプロピレン樹脂、住友化学工業(株)
製AV664B [MFR(230℃)=5.0g/10分,熱変形温
度:122℃]
【0023】<成分c(1):SiH:m=50> 日本ユニカー(株)製 <成分c(2):SiH:m=15> 日本ユニカー(株)製 <成分c(3):SiH> 日本ユニカー(株)製 <成分c(4):SiH> 日本ユニカー(株)製 <成分c(5):SiH> 日本ユニカー(株)製
【0024】<成分d(1):触媒 > 安田薬品社製塩化白金酸6水和物 <成分d(2):触媒 >成分d(1)の3重量%2−
プロパノール溶液を調製し、この溶液10gをシリカ
(日本シリカー製 ニップシル VN3)100g中に
担持させて調製した。 <成分d(3):触媒 >ビス−シクロオクタジエンロ
ジウム塩1gを500g中の低密度ポリエチレン(比
重;0.923)中に溶融混練することにより調製し
た。 <成分e−1:SEBS> スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(S
EBS) 旭化成工業(株)製タフテック H1041 <成分e−4:PP-SEBS>平均分子量4000のポリプ
ロピレンオリゴマーの末端を無水マレイン酸変性したも
の(PP−MAH)100重量部に対して、エポキシ変
性スチレンブロック共重合体タフテックZ514[旭化
成製]80重量部を加え、ヘンシェルミキサーで十分混
合した後、ニーダにて約200℃で20分溶融混練し、
ロールシート化した後室温まで冷却し、シートペレタイ
ザーでペレット化して本発明の相溶化剤e−4を得た。
相溶化剤e−4の赤外線吸収スペクトルを調べた結果、
原料に含まれるエポキシ基、酸無水物基の特性吸収が消
失しており、エポキシ基と酸無水物基との間に反応が生
じたものと思われる。 <成分f:オイル>出光興産製ダイアナプロセスオイル
PW−380[パラフィン系プロセスオイル、動粘度:
381.6cst(40℃)、30.1(100℃)、平
均分子量746、環分析値:CA=0%、CN=27%、
CP=73%]
【0025】《実施例1〜18及び比較例1〜12》c
成分及びd成分を除く全ての成分を十分ドライブレンド
した後、ニーダにて約200℃で20分溶融混練し、ロ
ールシート化した後室温まで冷却し、シートペレタイザ
ーでペレット化し動的架橋する前の熱可塑性組成物を得
た。このペレットに相当量のc成分及びd成分を添加配
合し再び二軸混練機を使用して、800/secの剪断
速度で樹脂温190〜230℃になるように混練して動
的架橋した熱可塑性エラストマー組成物を得た。この組
成物を用い射出成形及び押出成形を行い、以下の諸物性
の評価を行い、実施例については表1、表2に載せ、比
較例については表3、表4に載せた。 (1) 硬度(JIS K6301 Aタイプ) (2) 引張強度TS[MPa]及び伸びEb[%](JI
S K6301、3号ダンベル) (3) 圧縮永久歪みCS[%](JIS K6301、2
5%圧縮 −40℃×22HR、70℃×22Hr及び
100℃×400Hr) (4) 耐油性[%](JIS K6301、No3試験油
(潤滑油)を使用し、70℃で2時間、50×50×t
2の試験片を浸漬し、浸漬前後の重量変化化(%)を求
めた) (5) 成形性試験(φ50mm押出機を用いてL/D=2
0のスクリュー、100mm×t0.5のダイスを用い
てC/R=3.0、混練温度200℃、回転数100r
pmにて、150×500mmのテープを作成し、目視
にて表面を観察し、直径100ミクロン以上のブツを2
つ以上観察した場合は×、1つ観察した場合は△、観察
しなかった場合は○とした。) (7) 低温耐衝撃性(75×75×t1の試験片を−60
℃のドライアイスメタノール溶液に10分間浸漬後、デ
ュポン式落球衝撃試験を行い、試験後亀裂が生じなかっ
た場合は○、亀裂が生じたものは×とした。[試験条件
つり重量:500g 先端球R:3/16 落下高さ:
1m]) (8) 長期信頼性(100℃×1000hr処理後に(3)
に準じて永久圧縮歪み測定を行った。(JIS K63
01、25%圧縮 70℃×22Hr)80%以上の残
率絶対値が30%以下でしかも80%以上の性能を保持
した場合は○、それ以外の場合は×とした。) (9) 耐光変色性(サンシャインウェザオメーターを用い
て、83℃×1000Hrの暴露処理を行い、処理前と
比べ色差が3以内であれば○、3を超える場合は×とし
た。)
【0026】また、比較例1、2では動的架橋を有機過
酸化物[ジクミルペルオキシド(DCP)]を2重量部
及びジビニルベンゼン(DVB)3重量部を用いた他は
実施例と同様な方法で行った。さらに比較例3、4では
動的架橋を熱反応性アルキルフェノール樹脂[Schenect
ady Chemicals社 SP1045]を5重量部及び架橋助剤[塩
化第1錫]2重量部を用いた他は実施例と同様な方法で
行った。また、比較例5〜12では架橋剤としてオルガ
ノシロキサンを用いて、触媒として実施例に示した成分
d(3)を用いた。この結果から、本発明の特定構造を
持つオルガノシロキサン化合物を用いて動的架橋し、相
溶化剤を添加した熱可塑性エラストマー組成物は公知技
術の有機ペルオキシド系を配合して動的架橋した熱可塑
性エラストマー組成物よりも機械強度及び70℃、10
0℃の圧縮永久歪みさらに耐油性に優れ、加硫ゴム同等
以上の組成物を与えることが明らかになった。また、低
温耐衝撃性にも優れていることがわかった。そしてさら
に、本発明の組成物は耐光変色性が良好であるので調色
の自由度が大きく、安定した低クリープ性を有し、長期
信頼性に著しく優れることが判明した。
【0027】 表 1 実 施 例 1 2 3 4 5 6 組成(重量部) EPDM 100 100 100 100 100 100 H−PP 20 100 270 20 50 50 SiH 1 5 25 1 5 28 触媒 0.005 0.5 1.8 触媒 7 7 7 SEBS 1 5 18 5 5 5 OIL 100 250 100 100 物 性 硬度 94 85 90 98 62 65 TS(MPa) 20 18 18 24 15 16 Eb(%) 250 300 400 200 570 550 CS(%)-40℃ 19 19 21 21 21 19 CS(%) 70℃ 17 18 18 16 13 12 CS(%)100℃ 21 19 20 22 16 17 耐油性(%) 15 19 10 10 11 9 成形性試験 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 低温耐衝撃性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 長期信頼性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 耐光変色性 ○ ○ ○ ○ ○ ○
【0028】 表 2 実 施 例 7 8 9 10 11 12 組成(重量部) EPDM 100 200 200 200 200 200 B−PP 10 100 270 50 50 50 SiH 0.5 5 25 1 5 25 触媒 0.5 10 80 10 10 10 PP-SEBS 1 5 18 5 5 5 OIL 150 50 150 物 性 硬度 97 87 93 82 67 55 TS(MPa) 23 21 21 20 18 16 Eb(%) 200 250 300 370 420 470 CS(%)-40℃ 22 21 22 23 21 21 CS(%) 70℃ 20 19 18 19 13 11 CS(%)100℃ 25 18 22 20 17 14 耐油性(%) 15 19 10 10 11 10 成形性試験 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 低温耐衝撃性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 長期信頼性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 耐光変色性 ○ ○ ○ ○ ○ ○
【0029】 表 3 比 較 例 1 2 3 4 5 6 組成(重量部) EPDM 100 100 100 100 100 100 H−PP 20 50 20 50 20 50 DVB 3 3 DCP 2 2 SP1045 5 5 塩化第1錫 2 2 SiH 7 7 触媒 7 7 OIL 100 100 100 物 性 硬度 93 64 96 56 95 64 TS(MPa) 10 8 11 10 12 14 Eb(%) 180 600 240 500 210 530 CS(%)-40℃ 40 30 28 20 25 19 CS(%) 70℃ 30 35 18 21 18 12 CS(%)100℃ 40 47 28 23 22 19 耐油性(%) 35 24 17 15 12 10 成形性試験 ○ ○ ○ ○ △ △ 低温耐衝撃性 × × × × × × 長期信頼性 × × × × × × 耐光変色性 ○ ○ × × ○ ○
【0030】 表 4 比 較 例 7 8 9 10 11 12 組成(重量部) EPDM 100 100 100 100 100 100 H−PP 20 50 20 50 20 50 SiH 7 28 SiH 7 28 SiH 7 28 触媒 7 7 7 7 7 7 SEBS 5 5 5 PP-SEBS 5 5 5 OIL 100 100 100 物 性 硬度 93 64 96 65 94 63 TS(MPa) 12 14 18 15 13 11 Eb(%) 230 420 210 400 240 450 CS(%)-40℃ 27 30 29 28 30 28 CS(%) 70℃ 28 27 24 23 28 27 CS(%)100℃ 32 34 31 32 34 34 耐油性(%) 15 14 13 11 12 10 成形性試験 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 低温耐衝撃性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 長期信頼性 × × × × × × 耐光変色性 ○ ○ ○ ○ ○ ○
【0031】
【発明の効果】本発明では安定した低クリープ性及び低
温耐衝撃性を有する熱可塑性エラストマー組成物を得る
ことができる。即ち、該エラストマー組成物は熱可塑性
でありながら、柔軟性、耐熱クリープ性能、低温耐衝撃
性、機械的強度に優れ、広い温度範囲にわたって加硫ゴ
ム同等以上のゴム弾性を長期にわたって安定して発現
し、さらに耐油性が良好、調色が自由なため、耐油性、
ゴム弾性、機械強度及び成形速度、成形歩留まり、調色
の自由度等の改善が望まれている自動車部品、家電部
品、各種電線被覆(絶縁、シース)及び各種工業部品に
好適に成形し用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 23/00 - 23/36

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エチレン−α・オレフィン−非共役ジエン
    共重合体ゴム(a)100重量部に対して、結晶性オレ
    フィン系樹脂(b)5〜300重量部、分子内にSiH
    基を持つオルガノシロキサン系架橋剤(c)0.5〜3
    0重量部、第8族遷移金属系ハイドロシリル化触媒
    (d)0.001〜2重量部、及び相溶化剤(e)0.
    5〜20重量部を混合し、動的に熱処理させてなる熱可
    塑性エラストマーにおいて、分子内にSiH基を持つオ
    ルガノシロキサン系架橋剤(c)として下記の構造で表
    記される構造を持つ化合物を用いることを特徴とする熱
    可塑性エラストマー。 (1)mは5以上400以下の整数 (2)R1〜R7は、水素、アルキル基、アルコキシ基、
    アリール基またはアリールオキシ基
  2. 【請求項2】エチレン−α・オレフィン−非共役ジエン
    共重合体ゴム(a)100重量部に対して、結晶性オレ
    フィン系樹脂(b)5〜300重量部、分子内にSiH
    基を持つオルガノシロキサン系架橋剤(c)0.5〜3
    0重量部、第8族遷移金属系ハイドロシリル化触媒
    (d)0.001〜2重量部、相溶化剤(e)0.5〜
    20重量部、及びパラフィン系オイル(f)を30〜3
    00重量部含む請求項1記載の熱可塑性エラストマー。
  3. 【請求項3】分子内にSiH基を持つオルガノシロキサ
    ン系架橋剤(c)または第8族遷移金属系ハイドロシリ
    ル化触媒(d)が液体成分、固体成分の中から選ばれる
    1種以上に溶解又は担持されていることを特徴とする請
    求項1又は2記載の熱可塑性エラストマー。
  4. 【請求項4】相溶化剤(e)が下記の相溶化剤(e−
    1)、(e−2)の中から1種以上選ばれた請求項1、
    2又は3記載の熱可塑性エラストマー。 (e−1)少なくとも2個のビニル芳香族化合物を主体
    とする末端ブロックAと、少なくとも1個の共役ジエン
    化合物を主体とする中間重合体ブロック共重合体を水素
    添加して得られる水添ブロック共重合体 (e−2)エチレン−α・オレフィン共重合体
  5. 【請求項5】相溶化剤(e)が下記の(e−3)(e−
    4)(e−5)の中から1種以上選ばれた請求項1、2
    又は3記載の熱可塑性エラストマー。 (e−3)エポキシ基を有するポリプロピレン樹脂を必
    須成分とし、分子内に無水マレイン酸基を有するポリエ
    チレン、エチレン系共重合体、スチレンブロック共重合
    体及びまたはその水添物、スチレンランダム共重合体及
    びまたはその水添物等の無水マレイン酸変性樹脂のうち
    から選ばれた少なくとも1種を溶融反応させてなること
    を特徴とする相溶化剤 (e−4)分子内に無水マレイン酸基を有するポリプロ
    ピレンを必須成分とし、エポキシ基を有するポリエチレ
    ン、エチレン系共重合体、スチレンブロック共重合体及
    びまたはその水添物、スチレンランダム共重合体及びま
    たはその水添物等のエポキシ変性樹脂のうちから選ばれ
    た少なくとも1種を溶融反応させてなることを特徴とす
    る相溶化剤 (e−5)ポリプロピレンを必須成分とし、ポリエチレ
    ン、エチレン系共重合体、スチレンブロック共重合体及
    びまたはその水添物、スチレンランダム共重合体及びま
    たはその水添物のうちから選ばれた少なくとも1種以上
    の樹脂とのブレンド物を過酸化物存在下で動的に熱処理
    させてなる相溶化剤
  6. 【請求項6】相溶化剤(e−3)(e−4)については
    エポキシ変性樹脂と無水マレイン酸変性樹脂の比率が、
    また(e−5)についてはポリプロピレンと特定の群の
    中から選ばれた1種以上の樹脂成分の比率が10:90
    〜90:10重量%である相溶化剤(e)をゴム成分
    (a)+樹脂成分(b)の合計100重量部に対して
    0.5重量部〜20重量部添加することを特徴とする請
    求項5記載の熱可塑性エラストマー。
  7. 【請求項7】エチレン−α・オレフィン−非共役ジエン
    共重合体(a)がエチレン−プロピレン−エチリデンノ
    ルボルネン共重合体ゴムである請求項1、2、3、4、
    5又は6記載の熱可塑性エラストマー。
  8. 【請求項8】エチレン−α・オレフィン−非共役ジエン
    共重合体(a)がエチレン/プロピレン重量比が50/
    50〜90/10で且つヨウ素価が10以上でさらにゴ
    ム自体のムーニ粘度ML1+4(125℃)が10以上で
    あるエチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共
    重合体ゴムである請求項1、2、3、4、5又は6記載
    の熱可塑性エラストマー。
  9. 【請求項9】結晶性オレフィン系樹脂(b)がMFR
    (ASTM-D-1238L条件、230℃)0.1〜50g/10分
    の範囲のポリプロピレン又はその共重合体である請求項
    1、2、3、4、5、6、7又は8記載の熱可塑性エラ
    ストマー。
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