JP3690561B2 - 搬送車 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、走行レール上を走行自在な複数の車輪と、前記走行レールに対する車体横幅方向での位置を規制するように前記走行レールに係合する規制部材とを備えると共に、前記複数の車輪のうちの少なくとも一部が、駆動装置にて駆動される推進用の駆動輪に構成されて、前記走行レールに沿って自走自在に構成された搬送車に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記搬送車は、規制部材によって走行レールに対する車体横幅方向での位置が規制されながら、駆動装置にて駆動される推進用の駆動輪で走行レールに沿って自走するものであり、その駆動装置になんらかのトラブル、例えば、駆動装置が電動式の駆動モータを備えたものであって、その駆動モータに必要な電力を供給できない停電時や、駆動装置の故障等のトラブルが発生すると自走させることができなくなり、この場合は、手押し式形態等の手動力にて搬送車を走行レールに沿って走行させる必要がある。
そして、上記のようなトラブル発生時に手動力にて搬送車を走行させるにあたり、従来、駆動輪を走行レールに接当させた状態で手動力にて走行させている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この為、搬送車を走行させるに必要な手動力が大きなものとなり、搬送車を小さな手動力にて簡便に走行させることができない欠点がある。
つまり、駆動装置と駆動輪は減速ギア等を介して連動されており、駆動輪を手動力で強制的に回転させて搬送車を走行レールに沿って走行させるには、駆動輪の回転に伴ってその駆動装置を強制的に動かす必要があり、駆動装置が搬送車の走行の抵抗になるからである。
この欠点を解決するために、例えば、駆動装置と駆動輪との間に電動断続用のクラッチを設けておいて、トラブル発生時には駆動装置と駆動輪との連動を断つことで、搬送車を小さな手動力にて走行させることができるように構成することが考えられるが、この場合は、必要な推進力を駆動装置から駆動輪に伝達できるように、伝動トルクが大きな大型で高価なクラッチを設けなければならない欠点が新たに生じる。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、トラブル発生時に手動力にて搬送車を走行レールに沿って走行させるにあたり、その搬送車を小さな手動力にて簡便に走行させることができ、しかも、構成の簡素化を図ることができるようにすることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の搬送車は、遊転式の補助輪を手動操作にて昇降調節して、トラブル発生時には、補助輪が走行レールに接当する支持作用状態に切り換えると、規制部材の走行レールに対する係合を維持する範囲、つまり、規制部材によって走行レールに対する車体横幅方向での位置が規制されている状態で、推進用の駆動輪が走行レールから浮上し、トラブルが発生していない通常の走行時には、補助輪が走行レールから浮上する非支持作用状態に切り換えると、駆動輪が走行レールに接当して、駆動装置による駆動で自走させることができる。
従って、トラブル発生時に手動力にて搬送車を走行レールに沿って走行させるにあたり、駆動輪に代えて補助輪にて走行レール上を走行させることができるので、駆動輪を手動力で強制的に回転させる必要がなく、駆動装置が手動力による搬送車の走行の抵抗にならないので、搬送車を従来に比べて小さな手動力にて簡便に走行させることができる。
しかも、規制部材の規制機能を利用しながら、トラブル発生時に駆動輪に代えて走行レールに接当させる補助輪を単に設けるものであるから、構成の簡素化を図り易いものとなる。
また、請求項1記載の搬送車は、上下揺動操作される操作ハンドルにて、屈伸リンクを屈折状態と伸展状態とに屈伸操作して、補助輪を支持作用状態と非支持作用状態とに切り換えることができる。
従って、操作ハンドルの梃作用により操作力の軽減を図りながらも、螺進機構等を用いる場合に比べて、支持作用状態と非支持作用状態との切換を迅速に行い易い。
請求項2記載の搬送車は、補助輪を支持作用状態に切り換えるに伴って、車体前後方向の他端側の従動輪を支点として車体が揺動し、車体前後方向の一端側の駆動輪が浮上する。
従って、駆動輪が車体前後方向の両端側夫々に設けられていて、トラブル発生時に車体を補助輪だけで支持するような場合に比べて、車体を従動輪と補助輪とで安定に支持して確実に走行させ易い。
請求項3記載の搬送車は、収納棚の長手方向に沿って設置された走行レールに沿っての走行と、荷移載用の昇降台の駆動昇降操作とによって、収納棚に対して物品を入出庫することができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
図1は自動倉庫等の物品保管設備を示し、この物品保管設備には、物品出し入れ方向が互いに対向するように間隔を隔てて設置した二基の収納棚Aと、それらの収納棚Aどうしの間に形成した作業通路Bを自動走行する本発明による搬送車の一例としてのスタッカークレーンCとが設けられ、各収納棚Aには多数の物品収納部Dが上下多段かつ左右に並設されている。
【0006】
前記作業通路Bには、収納棚Aの長手方向に沿って単一の走行レール1が設置され、作業通路Bの一端側に設置した物品搬出入部Eには、入出庫指令をスタッカークレーンCに入力するコントローラE1と、走行レール1を挟んで一対の荷載置台E2とが設けられ、スタッカークレーンCは、入出庫指令に基づいて走行レール1に沿って走行して、荷載置台E2と物品収納部Dとの間でのパレットPに載せた物品Fの出し入れを行う入出庫用の搬送車として構成されている。
【0007】
前記スタッカークレーンCは、図2に示すように、走行レール1に沿って走行する走行車体2に、荷移載用の昇降台としての昇降キャレッジ3と、その昇降キャレッジ3を昇降操作自在に案内支持する前後一対の支柱4とを設けて構成され、昇降キャレッジ3には物品移載用のフォーク装置5が設けられている。
【0008】
前記各支柱4の下端部は、走行車体2に固定した支柱固定用ブラケット4aにボルト固定され、各支柱4の上端部どうしは、作業通路上方に設置したガイドレール6に沿って案内支持される上部フレーム7にて連結されている。
【0009】
前記昇降キャレッジ3は、その左右両側に連結した昇降用チェーン8にて吊下げ支持され、この昇降用チェーン8は、上部フレーム7に設けた案内スプロケット9と一方の支柱4に設けた案内スプロケット10とに巻き掛けられて、走行車体2の一端に装備した巻き取りドラム11に連結されている。
そして、巻き取りドラム11を昇降用電動モータM1にて正逆に駆動回転させて、昇降用チェーン8の繰り出しや巻き取り操作で昇降キャレッジ3を駆動昇降させるように構成されている。
【0010】
前記走行車体2には、図3,図4に示すように、走行レール1上を走行自在な前後二つの車輪12と、走行レール1に対する車体横幅方向での位置を規制するように走行レール1に係合する前後二箇所に設けた規制部材13と、走行用電動モータM2を備えた走行用駆動装置14と、走行車体2に対する昇降によって、走行レール1に接当される支持作用状態と走行レール1から浮上される非支持作用状態とに切換えられる遊転式の補助輪15を備えた補助輪昇降ユニット16とが設けられ、更に、床面側に設置した給電装置から集電する図外の集電装置やスタッカークレーンCの作動を制御する図外の制御装置が設けられている。
【0011】
前記規制部材13の各々は、車輪12近くの左右横側方において、走行レール1を左右から挟み込んで、スタッカークレーンCの走行に伴って、その側面に沿って上下軸周りで転動する左右一対の下部遊転ローラ13aを設けて構成されている。
また、上部フレーム7には、ガイドレール6を左右から挟み込んで、スタッカークレーンCの走行に伴って、その側面に沿って上下軸周りで転動する左右一対の上部遊転ローラ17が走行方向の前後端部に設けられている。
【0012】
そして、二つの車輪12のうちの車体前後方向の一端側の車輪が、走行用駆動装置14にて駆動される推進用の駆動輪12aに構成され、車体前後方向の他端側の車輪が、遊転自在な従動輪12bとして構成され、スタッカークレーンCは、上部フレーム7に設けた上部遊転ローラ17にて倒れ止めされながら、走行用駆動装置14による駆動で走行レール1に沿って自走自在に構成されている。
【0013】
前記補助輪昇降ユニット16は、図5,図6に示すように、走行車体2の駆動輪12a側前面に設けた固定部18に固定され、補助輪15を走行方向に直交する横軸芯X1周りで回転自在に支持する車輪支持枠20と、その車輪支持枠20を手動操作にて昇降させて補助輪15を昇降調節する昇降操作具21とをベースフレーム22に組付けて構成され、ベースフレーム22には、固定部18に対する固定用のベース板23が設けられている。
【0014】
前記固定部18には、ベース板23が車体横方向から挿脱自在に嵌め込まれる蟻溝状のガイド溝19が形成され、このガイド溝19に嵌め込んだベース板23をボルト等で固定部18に固定して、補助輪昇降ユニット16が走行車体2に対して着脱自在に固定されている。
従って、通常の走行時には補助輪昇降ユニット16を走行車体2から外しておき、走行用電動モータM2に電力を供給出来ない停電等のトラブル発生時には、補助輪昇降ユニット16を走行車体2に装着することができる。
【0015】
前記昇降操作具21は、図7にも示すように、上下揺動操作される手動式の操作ハンドル24と、その操作ハンドル24の上下揺動操作で屈折状態と伸展状態とに屈伸操作される屈伸リンク25と、車輪支持枠20の上面に固定したスライド軸部材26とを備え、屈伸リンク25は上下一対のリンク部材25a,25bを連結ピン29にて横軸芯X2周りで揺動自在に連結して構成され、スライド軸部材26の上下スライド移動を案内するガイド部材27がベースフレーム22に設けられている。
【0016】
前記ベースフレーム22には左右一対のブラケット28が固定され、操作ハンドル24は、ブラケット28に横軸芯X3周りで上下揺動自在に支持され、上下一対のリンク部材のうちの上部リンク部材25aの上端部がブラケット28に横軸芯X4周りで上下揺動自在に連結され、下部リンク部材25bの下端部がスライド軸部材26の上端部に横軸芯X4周りで上下揺動自在に連結されている。
【0017】
前記操作ハンドル24には、屈伸リンク25の連結ピン29が挿通され、かつ、その連結ピン29の外径よりも大径のピン挿通孔30が、操作ハンドル24の上下揺動操作に伴って一体に揺動するように設けられている。
そして、操作ハンドル24によるピン挿通孔30の揺動に伴う連結ピン29の押し引きで、屈伸リンク25を屈折状態と伸展状態とに屈伸操作するとともに、スライド軸部材26を車輪支持枠20と共に上下にスライド移動させて、補助輪15が屈伸リンク25に屈伸により昇降調節されるように連係されている。
【0018】
そして、補助輪15は、屈伸リンク25の伸展状態では支持作用状態に切り換えられて、規制部材13の走行レール1に対する係合を維持する範囲で駆動輪12aが走行レール1から浮上し、屈伸リンク25の屈折状態では非支持作用状態に切り換えられて、駆動輪12aが走行レール1に接当する。
尚、操作ハンドル24には、その揺動範囲の端部位置において、操作ハンドル24の操作位置を固定する図外の固定具が、固定状態と固定解除状態とに切換自在に設けられている。
【0019】
次に、昇降操作具21による補助輪15の走行車体2に対する昇降操作について説明する。
図7(イ)は、操作ハンドル24を押し下げて補助輪15が非支持作用状態に切り換えられている状態を示し、連結ピン29が車体前方側に引き出されて屈伸リンク25が屈折状態に操作され、これによってスライド軸部材26が車輪支持枠20と共に上方にスライド移動されて、補助輪15が走行レール1から浮上している。
【0020】
上記の補助輪15が走行レール1から浮上している支持作用状態から、操作ハンドル24を押し上げるに伴って、連結ピン29が支柱4側に向けて押し込まれ、スライド軸部材26が下方にスライド移動して、補助輪15が走行レール1に接当する。
【0021】
そして、補助輪15が走行レール1に接当している状態で、操作ハンドル24を更に押し上げて、屈伸リンク25が伸展状態になるように操作すると、図5に示すように、補助輪15が、従動輪12bを支点にして走行車体2を上下に揺動させ、図7(ロ)に示すように、補助輪15が支持作用状態に切り換えられて、駆動輪12aが走行レール1から僅かな浮上量H(本実施形態では約1mm)で浮上し、スタッカークレーンCは従動輪12bと補助輪15とで走行レール1に支持される。
【0022】
前記補助輪15を支持作用状態に切り換えるに伴って、走行車体2が従動輪12bを支点にして上揺動されるので、規制部材13の各々に設けた下部遊転ローラ13aは走行レール1の側面に沿って上方向に摺動するが、駆動輪12aの浮上量Hは、下部遊転ローラ13aによる走行レール1に対する上下方向での係合量に比べて小さく、駆動輪12aは、規制部材13の走行レール1に対する係合を維持する範囲で走行レール1から浮上している。
【0023】
また、補助輪15を支持作用状態に切り換えるに伴って、ガイドレール6を挟み込んでいる上部遊転ローラ17もガイドレール6の側面に沿って上方向に摺動するが、駆動輪12aの浮上量Hは、上部遊転ローラ17のガイドレール6に対する上下方向での挟み込み量に比べて小さく、上部遊転ローラ17はガイドレール6の側面に沿って転動できる状態に維持されている。
【0024】
従って、走行用電動モータM2に電力を供給できない停電等のトラブル発生時には、上部遊転ローラ17にて倒れ止めされているスタッカークレーンCを、小さな手動力で走行レール1に沿って走行させることができる。
【0025】
〔その他の実施形態〕
1.上記実施形態では、走行方向の前後に設けた2個の車輪で単一の走行レールに沿って走行する搬送車を示したが、走行方向の前後に左右対称に設けた3個以上の車輪で複数の走行レールに沿って走行する搬送車であっても良い。
2.上記実施形態では、走行レール上を走行自在な二個の車輪のうちの一個を駆動装置にて駆動される推進用の駆動輪に構成したが、複数の車輪の全部が推進用の駆動輪に構成されていても良い。
3.上記実施形態では、床面等の地上側から供給される電力で駆動される駆動装置を設けた搬送車を示したが、バッテリーを搭載していて、そのバッテリーから供給される電力で駆動される駆動装置を設けた搬送車であっても良い。
この場合、バッテリーが消耗して駆動装置を駆動できなくなるトラブルが発生すると、補助輪にて走行させることができる。
4.搬送車の走行レールに対する車体横幅方向での位置を規制するように走行レールに係合する規制部材は、車輪の外周部に一体形成した脱輪防止用の鍔であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】物品保管設備の斜視図
【図2】搬送車(スタッカークレーン)の一部省略側面図
【図3】搬送車(スタッカークレーン)の要部側面図
【図4】搬送車(スタッカークレーン)の要部平面図
【図5】要部の側面図
【図6】要部の正面図
【図7】要部の拡大側面図
【符号の説明】
1 走行レール
2 車体
3 昇降台
12 車輪
12a 駆動輪
12b 従動輪
13 規制部材
14 駆動装置
15 補助輪
24 操作ハンドル
25 屈伸リンク
A 収納棚
F 物品
Claims (3)
- 走行レール上を走行自在な複数の車輪と、前記走行レールに対する車体横幅方向での位置を規制するように前記走行レールに係合する規制部材とを備えると共に、前記複数の車輪のうちの少なくとも一部が、駆動装置にて駆動される推進用の駆動輪に構成されて、前記走行レールに沿って自走自在に構成された搬送車であって、
車体に対する昇降によって、前記規制部材の前記走行レールに対する係合を維持する範囲で前記駆動輪を前記走行レールから浮上させるように、前記走行レールに接当される支持作用状態と、前記駆動輪を前記走行レールに接当させるように、前記走行レールから浮上される非支持作用状態に切換えられる遊転式の補助輪が、手動操作にて昇降調節されるように前記車体に設けられ、
上下揺動操作される操作ハンドルにて屈折状態と伸展状態とに屈伸操作される屈伸リンクに、その屈伸により昇降調節されるように前記補助輪が連係されている搬送車。 - 前記複数の車輪のうちの車体前後方向の一端側の車輪が、前記駆動装置にて駆動される推進用の駆動輪に構成され、車体前後方向の他端側の車輪が、遊転自在な従動輪として構成され、
前記補助輪が、前記従動輪を支点として車体を上下揺動させるように設けられている請求項1記載の搬送車。 - 駆動昇降操作自在な荷移載用の昇降台を備えて、収納棚の長手方向に沿って設置された前記走行レールに沿って走行して、前記収納棚に対する物品の出し入れを行う入出庫用の搬送車として構成されている請求項1又は2に記載の搬送車。
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