JP3637565B2 - 揺変性湿気硬化型ウレタン組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬化時に炭酸ガスによる発泡がなく、耐水性、硬化性、貯蔵安定性に優れた揺変性湿気硬化型ウレタン組成物及びそれを用いたコーティング材、シーリング材、接着剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の湿気硬化型ウレタン組成物としては、特開昭57−94056号公報が知られているが、硬化時に水分とイソシアネート基が反応する際に発生する炭酸ガスのためにしばしば塗膜の膨れが発生する問題がある。膨れの原因となる炭酸ガスの発生を抑えるためにケチミン、エナミン等の湿気解離型の架橋剤が提案されており、その中でも特開平6−293821号公報、特開平7−33852号公報、特開平7−10949号公報等で提案されるオキサゾリジン化合物を用いた組成物は炭酸ガスの発生がなく比較的性能バランスのとれた材料である。
【0003】
その中でも特許2837346号、特許2881091号ではオキサゾリジンを含有する組成物中に特定の表面処理剤で表面処理した無機充填剤を配合することで沈降がない組成物が提案されている。しかしながら、表面処理した無機充填剤だけで垂直面等に塗布可能な揺変性を付与しようとすると表面処理充填剤の含有量が必然的に多くなり、充填剤の表面処理剤の影響で貯蔵後のスランプ発生や粘度変化が大きく、時として塗膜表面にその表面処理剤がブリードし、表面性不良や接着性不良を起こすことがある等の問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、硬化時に炭酸ガスによる発泡がなく、耐水性、硬化性、貯蔵安定性に優れ、垂直面等に塗布してもスランプやタレが発生することがなく、コーティング材、シーリング材、接着剤に有用である揺変性湿気硬化型ウレタン組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、こうした課題について鋭意研究の結果、(A)ブチレンエーテル結合を5〜80重量%、エチレンエーテル結合0〜10重量%及びプロピレンエーテル結合10〜95重量%有するポリオキシアルキレンポリオールを用いて得られ、且つ末端にイソシアネート基を2個以上有するウレタンプレポリマー、(B)(b1)ポリイソシアネート又はポリイソシアネートとポリオキシアルキレンポリオールを反応させて得られる末端にイソシアネート基を2個以上含有するウレタンプレポリマーと(b2)N−2−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンとを反応させて得られる末端に少なくとも一つ以上のオキサゾリジン基を有するオキサゾリジン基含有ウレタン化合物、(C)微粉末シリカ、特にベット比表面積20m2/g以上のもの、及び(D)炭酸カルシウム、特にベット比表面積8m2/g以上のものを含有することを特徴とする揺変性湿気硬化型ウレタン組成物を提供する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に使用されるブチレンエーテル結合を有するウレタンプレポリマー(以下、BO成分含有ウレタンプレポリマーという)(A)は、ブチレンエーテル結合を5〜80重量%、エチレンエーテル結合0〜10重量%及びプロピレンエーテル結合10〜95重量%有するポリオキシアルキレンポリオールを用いて得られ、末端にイソシアネート基を2個以上有するものであり、好ましくは該ポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネート又は末端にイソシアネート基を2個以上有するウレタンプレポリマーとを反応せしめて得られるものである。
該ポリオキシアルキレンポリオールは、特にブチレンオキサイドを必須成分とし、必要によりエチレングリコール、プロピレングリコール、水、グリセリン、TMP、ペンタエリスリトール、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドの2種以上を公知の方法で付加して得られるポリオールが好ましい。
また、上記ポリオキシアルキレンポリオールは、好ましくは数平均分子量500〜16000であり、ポリエーテルトリオールを本発明の効果を損なわない限り併用できる。また、該プレポリマー(A)に使用されるポリオキシアルキレンポリオールは、ブチレンエーテル結合を5〜80重量%、好ましくは10〜70重量%含有するものである。かかるブチレンエーテル結合の含有量であれば、吸水性に優れ、且つ耐水試験後の物性が満足できるものとなる。
【0007】
とりわけ、ウレタンプレポリマー(A)でのポリオキシアルキレンポリオールはブチレンエーテル結合5〜80重量%、エチレンエーテル結合0〜10重量%及びプロピレンエーテル結合10〜95重量%の範囲からなるものである。
【0008】
本発明に使用されるポリイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、一部をカルボジイミド化されたジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート1種又は2種以上の混合物が挙げられる。
【0009】
BO成分含有ウレタンプレポリマー(A)の構成成分であるポリオキシアルキレンポリオールは、好ましくは数平均分子量500〜16000であり、ポリエーテルトリオールを本発明の効果を損なわない限り併用できる。また、該プレポリマー(A)は、ポリオキシアルキレンポリオールとしてブチレンエーテル結合を5〜80重量%、好ましくは10〜70重量%含有するものである。かかるブチレンエーテル結合の含有量であれば、吸水性に優れ、且つ耐水試験後の物性が満足できるものとなる。
【0010】
特に、ウレタンプレポリマー(A)のポリオキシアルキレンポリオール成分がブチレンエーテル結合5〜80重量%、エチレンエーテル結合0〜10重量%及びプロピレンエーテル結合10〜95重量%の範囲である。
【0011】
BO成分含有ウレタンプレポリマー(A)の末端イソシアネート基数は、好ましくは2以上、より好ましくは2〜3である。更にイソシアネートとポリオールとのNCO/OH比は好ましくは1.4以上、更に好ましくは1.4〜5.0である。残存NCO%は、好ましくは1〜20重量%である。
【0012】
一方、オキサゾリジン基含有ウレタン化合物(B)は、ポリイソシアネート又はポリイソシアネートとポリオキシアルキレンポリオールを反応させて得られる末端にイソシアネート基を2個以上含有するウレタンプレポリマー(b1)とN−2−ヒドロキシアルキルオキサゾリジン(b2)とを反応させて得られる末端に少なくとも一つ以上のオキサゾリジン基を有するものである。
【0013】
かかるウレタンプレポリマーのポリオキシアルキレンポリオールは、オキシエチレン鎖を有することが好ましい。但し、オキシエチレン鎖を有さないポリオールとオキシエチレン鎖を有するポリオールとを混合したポリオールであっても(b1)成分として使用することが出来る。また、好ましくはオキシアルキレン鎖中のオキシエチレン鎖の平均含有量が1〜30重量%のものである。オキシエチレン鎖の含有量が上記の範囲であると硬化速度が高く、しかも硬化性、耐水性に優れている。ただし、(A)成分、(B)成分のオキシエチレン鎖量を計算して合計し、そのオキシエチレン鎖の含有量が(A)成分と(B)成分の合計量に対して10重量%未満であることが好ましい。この範囲であれば好ましい耐水性となる。
【0014】
ウレタンプレポリマー(b1)は、好ましくは数平均分子量が500〜8000のものである。分子量が、500〜8000の場合、下地追従性、硬化速度が満足される。また、ウレタンプレポリマー(b1)の末端の平均NCO基数は2.0〜2.6が好ましい。かかるNCO基数であれば、硬化性及び下地追従性によりよい結果となる。更にイソシアネートとポリオールとのNCO/OH比は好ましくは1.6以上、更に好ましくは1.8〜4.0である。残存NCO%は、好ましくは1〜15重量%である。
【0015】
又、ウレタンプレポリマー(b1)とN−2−ヒドロキシアルキルオキサゾリジン(b2)との反応比は、NCO/0H=0.95〜3.0が好ましい。NCO/0Hがかかる範囲であれば、未反応のN−2−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンが残存する傾向が低く、貯蔵安定性に好結果を与え、しかも硬化速度の低下や粘度の上昇を抑えることが容易である。
【0016】
また、オキサゾリジン基含有ウレタン化合物(B)の合成に用いられるN−2−ヒドロキシアルキルオキサゾリジン(b2)は、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類と例えばジエタノールアミン、ジプロパノールアミン等のジヒドロキシアルキルアミン類との公知の縮合反応により得られる化合物である。
【0017】
オキサゾリジン基含有ウレタン化合物(B)の末端オキサゾリジン基の数は好ましくは1〜3である。この範囲であると、硬化後の伸張性が高くなり好ましい。尚、オキサゾリジン基含有ウレタン化合物(B)の末端にオキサゾリジン基は1個以上あれば、その他の末端がイソシアネート基であってもよいことは言うまでもない。
【0018】
BO成分含有プレポリマー(A)とオキサゾリジン基含有ウレタン化合物(B)の割合は、プレポリマー(A)のNCO基とオキサゾリジン基含有ウレタン化合物(B)が水で開環して発生する活性水素基との比が、0.4〜4.0の範囲が好ましい。この範囲であれば、炭酸ガスの発生が低く塗膜に膨れを抑えることができ、貯蔵安定性に優れる。この様な点を考慮すると(A)と(B)の混合比は重量比で60:1〜1:30の範囲が好ましい。
【0019】
本発明で使用される微粉末シリカ(C)としては、好ましくはベット比表面積20m2/g以上であり、更に好ましくはベット比表面積20〜450m2/gで、一次粒子径3〜100nmのもので、例えば火炎加水分解法、アーク法、プラズマ法、湿式法等の公知の技術で製造することができるシリカである。かかる微粉末シリカを例示すると、日本アエロジル製のアエロジル90G(ベット比表面積約90m2/g、一次粒子径約20nm)、アエロジル200(ベット比表面積約200m2/g、一次粒子径約12nm)、アエロジル300(ベット比表面積約300m2/g、一次粒子径約7nm)等の親水性シリカが使用できるが、表面をジメチルジクロロシラン化合物、トリメチルシモノクロロシラン化合物等で処理した疎水性シリカを用いることがより好ましい。疎水性シリカの具体的なものとしては、例えば日本アエロジル製のRY−202(ベット比表面積約120m2/g、一次粒子径約12nm)、RY−200(ベット比表面積約120m2/g、一次粒子径約12nm)、RY−50(ベット比表面積約40m2/g、一次粒子径約40nm)等があげられ、疎水性シリカの方が親水性シリカに比べて貯蔵後の粘度変化が少なく、好ましく用いることができる。微粉末シリカ(C)の本発明組成物中の含有量は、0.5〜5重量%が好ましく、かかる重量割合であると揺変性付与の効果がより高く、適当な粘度で作業性が良好である。
【0020】
本発明で使用される炭酸カルシウム(D)は、好ましくはベット比表面積8m2/g以上であり、更に好ましくはベット比表面積8〜40m2/gで、一次粒子径0.05〜0.2ミクロンである炭酸カルシウムである。例えば白石工業製の白艶化シリーズ、ホモカルシリーズ、ヴィスコライトシリーズ、EDSシリーズ等が使用される。炭酸カルシウムの本発明組成物中の含有量は、10〜40重量%の範囲が好ましく、かかる重量割合であると揺変性付与の効果がより高く、適当な粘度で作業性が良好である。炭酸カルシウム(D)は表面処理されてもされていなくても良いが、できれば有機物等により表面処理されたもが好ましい。
【0021】
微粉末シリカ(C)と炭酸カルシウム(D)との組成物中の比率は、重量比で好ましくは(C)/(D)=1/50〜1/5である。
【0022】
本発明の組成物は、これらの用途で使用する際に必要に応じて硬化触媒としての酸、溶剤、無機充填剤、小量のプロセスオイル、可塑剤、その他の揺変剤、体質顔料、耐侯性維持向上のための紫外線防止剤、安定剤等各種添加剤などを含んでいてもよい。これら混合物が均一に混合でき、且つ保存性が確保できるのに十分なる混合、混練装置により製造する事ができる。
【0023】
硬化触媒としての酸については燐酸、サリチル酸、燐酸塩または無水フタル酸等を使用することが出来る。
【0024】
溶剤類としては、トルエン、キシレン、ターペン、酢酸エチル等の通常のウレタン用溶剤が使用できる。
【0025】
その他の揺変剤は、ポリ塩化ビニルパウダー、ベントナイト等があげられる。このほか本発明の組成物には石油系高沸点芳香族系留分,石油樹脂等を混合しても良い。
【0026】
可塑剤としては、例えばジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジラウリルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジオクチルアゼレート、ジオクチルセバケート等のエステル系可塑剤やトリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート等の燐酸エステル系可塑剤が挙げられる。
【0027】
安定剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。無機充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、酸化カルシウム、クレー、タルク、酸化チタン、硫酸アルミニウム、カオリン、ゼオライト、硅そう土、ガラスバルーン等の無機化合物の粉粒体が挙げられる。その添加量は、組成物中に好ましくは1〜20重量%である。
【0028】
本発明の組成物は、代表される用途として揺変性を必要とするコーテイング材、シーリング材、接着剤に使用することができる。
【0029】
コーテイング材とは、塗料、建築物の屋根防水材、壁面防水材、駐車場防水材、競技場の表面舗装材等に利用できるものである。又、シーリング材とは、コンクリート、サイジングボード、金属等土木用建築用シーリング材に利用できるものである。更に、接着剤としては、プラスチック床材等建築物内装材の接着剤、屋上防水シートの接着剤、タイル、シートの接着剤、;自然石、セラミック、ゴム、木等の粒状物、繊維状物の接着剤(バインダー)として利用できるものである。
【0030】
【実施例】
次に、本発明を、実施例、比較例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下において部および%は特に断りのない限り、すべて重量基準であるものとする。
【0031】
<(A)成分の合成>
(ウレタンプレポリマーの作製例1)
数平均分子量2000のポリブチレンエーテルジオール700g(0.35モル)、数平均分子量3000のポリプロピレンエーテルトリオール300g(0.1モル)に2,4−トリレンジイソシアネート191.4g(1.1モル)、すなわちNCO/OHの当量比2.2にて窒素気流下で80℃にて20時間フラスコ中で撹拌しながら反応させNCO%が4.25%のウレタンプレポリマー(A−1)を得た。
【0032】
(ウレタンプレポリマーの作製例2)
ウレタンプレポリマーの作成例1において数平均分子量2000のポリブチレンエーテルジオール700g(0.35モル)の代わりにエチレンオキサイド含有量20%で数平均分子量2000ポリエチレンプロピレンエーテルジオール700g(0.35モル)を用いたこと以外は同様の方法で合成し、NCO%が4.23%のウレタンプレポリマー(A−2)を得た。
【0033】
<B成分の合成>
(ウレタンオキサゾリジンプレポリマーの作製例1)
数平均分子量4800、オキシエチレン鎖の含有量15%のポリエチレンプロピレンエーテルトリオール500g(0.104モル)と数平均分子量2000のポリプロピレンエーテルジオール500g(0.25モル)を混合してオキシエチレン鎖の平均含有量7.5%、平均官能基数2.29、数平均分子量2820のポリオールを得た。さらにヘキサメチレンジイソシアネート143.3g(0.853モル)、すなわちNCO/OHの当量比2.1にて窒素気流下で80℃にて48時間フラスコ中で撹拌しながら反応させNCO%が3.29%、1分子当たりの末端NCO基数2.29のウレタンプレポリマー(b1−1)を得た。
【0034】
ウレタンプレポリマー(b1−1)140.8gと2ーイソプロピル3(2ヒドロキシエチル)1,3オキサゾリジン15.9g、すなわちNCO/OHの当量比1.1にて窒素気流下で60℃にて48時間フラスコ中で撹拌しながら反応させ、ウレタンオキサゾリジンプレポリマー(OXZ−1)を得た。本組成物のGPCを測定した結果、残存している2−イソプロピル3(2ヒドロキシエチル)1,3オキサゾリジンの含有率は1%以下であることを確認した。
【0035】
(ウレタンオキサゾリジンプレポリマーの作製例2)
数平均分子量600、オキシエチレン鎖の含有量30%のポリエチレンプロピレンエーテルトリオール20g(0.033モル)と数平均分子量600のポリプロピレンエーテルジオール270g(0.45モル)を混合してオキシエチレン鎖の平均含有量2.1%、平均官能基数2.07、数平均分子量600のポリオールを得た。さらに2,4トリレンジイソシアネート174g(1.0モル)、すなわちNCO/OHの当量比2.0にて窒素気流下で60℃にて48時間フラスコ中で撹拌しながら反応させNCO%が9.07%、1分子当たりの末端NCO基数2.07のウレタンプレポリマー(b1−2)を得た。
【0036】
ウレタンプレポリマー(b1−2)48.7gと2−イソプロピル3(2ヒドロキシエチル)1,3オキサゾリジン15.9g、すなわちNCO/OHの当量比1.05にて窒素気流下で60℃にて48時間フラスコ中で撹拌しながら反応させ、ウレタンオキサゾリジンプレポリマー(OXZ−2)を得た。本組成物のGPCを測定した結果、残存している2−イソプロピル3(2ヒドロキシエチル)1,3オキサゾリジンの含有率は1%以下であることを確認した。
【0037】
<コンパウンドの配合>
次に密閉型プラネタリーミキサー中に120℃で5時間減圧乾燥し、水分を0・05%以下に調整した(D)成分を所定量、ジオクチルフタレート90部、サリチル酸0.1部、微粉末にしたテレフタル酸5部、下表に示すプレポリマー成分及び110℃で2時間常圧で混合乾燥して水分を0・05%以下に調整した(C)成分を所定量及びキシレン80部を加え均一に混合した後、60トールの減圧下で脱泡して湿気硬化型ウレタンコンパウンドを得た。
【0038】
[試験方法]
(硬化性試験)
硬化性は四方を枠で囲い離型紙を貼ったガラス板(30*30cm)上に厚さ1.5mmの割合で試料を流し、25℃×50%の条件下で放置し、指で触り塗膜の動きが無くなるまでの時間を測定した。
【0039】
(非発泡性試験)
非発泡性は四方を枠で囲ったスレート板(30×30cm)上に厚さ2mmの割合で試料を流し、50℃×90%の条件下で硬化させた後、塗膜表面のフクレ、ピンホールの有無を観察した。フクレ、ピンホールの無いものは○、フクレ、ピンホールが有るものは×とした。
【0040】
(粘度安定性試験)
予め25℃に調整した試料をジフィミキサーを用いて回転速度1400rpm/minで60秒間攪拌した後、BH型回転粘度計で粘度を測定し、初期粘度(cps/25℃)とする。
同一ロットの試料を別途500CC容器に充填、密閉し、50℃乾燥機中に7日間放置後、25℃雰囲気下で15時間以上放置する。試料を取り出し、初期粘度の測定方法と同一の手法で粘度を測定する。
粘度変化率(%)は(貯蔵後粘度)÷(貯蔵前粘度)×100で求める。
【0041】
(スランプ安定性試験)
試料を別途500CC容器に充填、密閉し、50℃乾燥機中に7日間放置後、25℃雰囲気下で15時間以上放置する。試料をジフィミキサーを用いて回転速度1400rpm/minで60秒間攪拌した後、予め3mm厚の枠で囲ったスレート板(15×15cm)に試料を流し込み、3mm厚の塗膜を作製した後、直ちに垂直に立てかけ下端の枠を取り外す。30分間放置し、試料のタレ長さ(mm)を測定する。
【0042】
(引張物性試験)
引張物性は四方を枠で囲い離型紙を貼ったガラス板(30×30cm)上に厚さ1.5mmの割合で試料を流し、25℃×50%の条件下で14日間放置し硬化させた後、引張試験機を用い引張速度500mm/minの条件で常態の引張強度(kg/cm2)、破断伸度(%)を測定した。
【0043】
(耐水性試験)
常態引張物性試験法に準じて作製したダンベル3号型試験片を60℃で30日間浸漬した後取り出し直ちに重量を測定し、浸漬前と比べての重量変化率(%)を測定する。更に25℃×50%の条件下で4時間放置後に常態引張物性試験法に準じて引張強度(kg/cm2)、破断伸度(%)を測定した。
【0044】
【表1】
【0045】
【0046】
【表2】
【0047】
比較例1の(C)成分を含まない組成物はスランプを発生した。比較例2の(D)成分をふくまない組成物もスランプを発生した。
比較例3のブチレンエーテル結合を含まない組成物は耐水後の重量変化率が大きく、物性の低下も大きい結果となった。
【0048】
【発明の効果】
本発明の湿気硬化性ウレタン組成物は、硬化時に炭酸ガスによる発泡がなく、耐水性、硬化性、貯蔵安定性に優れ、垂直面等に塗布してもスランプやタレが発生することがない優れた揺変性を有するものである。
Claims (4)
- (A)ブチレンエーテル結合を5〜80重量%、エチレンエーテル結合0〜10重量%及びプロピレンエーテル結合10〜95重量%有するポリオキシアルキレンポリオールを用いて得られ、且つ末端にイソシアネート基を2個以上有するウレタンプレポリマー、(B)(b1)ポリイソシアネート又はポリイソシアネートとポリオキシアルキレンポリオールを反応させて得られる末端にイソシアネート基を2個以上含有するウレタンプレポリマーと(b2)N−2−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンとを反応させて得られる末端に少なくとも一つ以上のオキサゾリジン基を有するオキサゾリジン基含有ウレタン化合物、(C)微粉末シリカ及び(D)炭酸カルシウムを含有することを特徴とする揺変性湿気硬化型ウレタン組成物。
- 前記(C)微粉末シリカのベット比表面積が20m2/g以上であり、含有量が0.5〜5重量%であることを特徴とする請求項1に記載の揺変性湿気硬化性ウレタン組成物。
- 前記(D)炭酸カルシウムのベット比表面積が8m2/g以上であり、含有量が10〜40重量%であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の揺変性湿気硬化性ウレタン組成物。
- 前記微粉末シリカ(C)が、シラン化合物で表面を疎水処理された微粉末シリカであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の揺変性湿気硬化型ウレタン組成物。
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