JP3632383B2 - 化学増幅型ポジ型レジスト用感放射線性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、紫外線、遠紫外線、X線、荷電粒子線の如き各種の放射線を用いる微細加工に好適な半導体デバイス製造用感放射線性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
集積回路素子の製造に代表される微細加工の分野においては、より高い集積度を得るために、リソグラフィーにおける加工サイズの微細化が進んでおり、近年では、0.5μm以下の微細加工を安定して行なうことができるリソグラフィープロセスの開発が強く進められている。
しかしながら、従来の可視光線(波長700〜400nm)や近紫外線(波長400〜300nm)を用いる方法では、このような微細パターンを高精度に形成することが困難であり、そのため、より幅広い焦点深度を達成でき、デザインルールの微細化に有効な短波長(波長300nm以下)の放射線を用いるリソグラフィープロセスが提案されている。
このような短波長の放射線としては、例えば、KrFエキシマレーザー(波長248nm)あるいはArFエキシマレーザー(波長193nm)等の遠紫外線、シンクロトロン放射線等のX線、電子線等の荷電粒子線等を挙げることができる。そして、これらの短波長の放射線に対応する高解像度のレジストとして、インターナショナル・ビジネス・マシーン(IBM)社により、「化学増幅型レジスト」が提唱され、現在、この化学増幅型レジストの改良が精力的に進められている。
化学増幅型レジストは、それに含有される感放射線性酸発生剤への放射線の照射(以下、「露光」という。)により酸を発生させ、この酸の触媒作用により、レジスト被膜中で化学変化(例えば、極性の変化、化学結合の分解、架橋反応等)を生起させ、現像液に対する溶解性が露光部において変化する現象を利用して、レジストパターンを形成するものである。
従来の化学増幅型レジストのうち、比較的良好なレジスト性能を示すものに、樹脂成分として、アルカリ可溶性樹脂中のアルカリ親和性基をt−ブチルエステル基やt−ブトキシカルボニル基で保護した樹脂(特公平2−27660号公報参照)、アルカリ可溶性樹脂中のアルカリ親和性基をシリル基で保護し樹脂(特公平3−44290号公報参照)、アルカリ可溶性樹脂中のアルカリ親和性基をケタール基で保護した樹脂(特開平7−140666号公報参照)、アルカリ可溶性樹脂中のアルカリ親和性基をアセタール基で保護した樹脂(特開平2−161436号公報および特開平5−249682号公報参照)等を使用したレジストが知られている。
また、これらの化学増幅型レジストに使用される感放射線性酸発生剤としては、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート等のオニウム塩や、2,6−ジニトロベンジルのスルホン酸エステル、トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン等が使用されている。
しかしながら、これらの感放射線性酸発生剤では、種々の問題が指摘されている。例えば、オニウム塩は、一般にレジスト用溶剤に対する溶解性が低いため、レジストの調製時に細心の注意が必要とされ、品質管理に多大の労力を要するという問題があり、またパターン形成時に露光部の溶解残渣(スカム)が発生する場合もあり、さらにはレジストパターンの頭部の矩形性も不十分であり、実用上満足できない。また2,6−ジニトロベンジルのスルホン酸エステル、トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼンやビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタンは、レジスト用溶剤に対する溶解性は良好であるが、感度が低く、化学増幅型レジストの感光剤として適当ではない。
ところで、レジストの感度としては、パターン形成に必要な露光量が10〜100mJ/cm2 の範囲が好ましく、さらに好ましくは15〜70mJ/cm2 の範囲である。パターン形成に必要な露光量が多すぎると、デバイスの生産性が低下し、また逆に少なすぎても、露光量のコントロールが困難となり、レジストパターンの線幅のコントロールも困難となる。
このような状況から、優れたレジスト性能(高解像度、良好なパターン形状、良好な感度等)をもたらしうるのみならず、レジスト用溶剤に対する溶解性に優れた感放射線性酸発生剤の開発も強く望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況に鑑み、特に化学増幅型レジストを構成する感放射線性酸発生剤成分について鋭意検討した結果なされたもので、その課題は、各種のレジスト用溶剤を使用でき、特に解像度、パターン形状が優れるとともに、スカムを生じることがない半導体デバイス製造用感放射線性樹脂組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、前記課題は、
(A)下記式(2)、式(3)、式(4)、式(5)、式(6)または式(7)で表される重合体から選ばれる、酸により分解しうる置換基を有し、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する重合体、および
(B)下記式(1)で表される感放射線性酸発生剤を含有することを特徴とする半導体デバイス製造用感放射線性樹脂組成物、により達成される。
下記式(2)で表される、ポリヒドロキシ(α−メチル)スチレンの部分t−ブトキシカルボニル化誘導体、
【化2】
〔式(2)において、R 5 およびR 6 は相互に独立に水素原子またはメチル基を示し、nおよびmは各繰返し単位の数である。〕;
下記式(3)で表される、ポリヒドロキシ(α−メチル)スチレンの部分t−ブトキシカルボニルメチル化誘導体、
【化3】
〔式(3)において、R 5 およびR 6 は相互に独立に水素原子またはメチル基を示し、nおよびmは各繰返し単位の数である。〕;
下記式(4)で表される、ポリヒドロキシ(α−メチル)スチレンの部分t−ブチル化誘導体、
【化4】
〔式(4)において、R 5 およびR 6 は相互に独立に水素原子またはメチル基を示し、nおよびmは各繰返し単位の数である。〕;
下記式(5)で表される、ポリヒドロキシ(α−メチル)スチレンの部分(アルコキシ・置換メチル)化誘導体または部分(アリーロキシ・置換メチル)化誘導体、
【化5】
〔式(5)において、R 3 は炭素数1〜6のアルキル基もしくはフェニル基を示し、R 4 は炭素数1〜10のアルキル基もしくは炭素数6〜10のアリール基を示すか、または
R 3 とR 4 とが結合して5〜7員環の環状構造を形成しており、R 5 およびR 6 は相互に独立に水素原子またはメチル基を示し、nおよびmは各繰返し単位の数である。〕;
下記式(6)で表される、ヒドロキシ(α−メチル)スチレン/t−ブチル(メタ)アクリレート共重合体、
【化6】
〔式(6)において、R 5 およびR 6 は相互に独立に水素原子またはメチル基を示し、nおよびmは各繰返し単位の数である。〕;
下記式(7)で表される、ヒドロキシ(α−メチル)スチレン/アルコキシ・置換メチル(メタ)アクリレート共重合体またはヒドロキシ(α−メチル)スチレン/アリーロキシ・置換メチル(メタ)アクリレート共重合体、
【化7】
〔式(7)において、R 3 は炭素数1〜6のアルキル基もしくはフェニル基を示し、R 4 は炭素数1〜10のアルキル基もしくは炭素数6〜10のアリール基を示すか、または
R 3 とR 4 とが結合して5〜7員環の環状構造を形成しており、R 5 およびR 6 は相互に独立に水素原子またはメチル基を示し、nおよびmは各繰返し単位の数である。〕;
【0005】
【化1】
【0006】
〔式(1)において、R1 はメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基またはフェニル基を示し、3個のR1 は相互に同一でも異なってもよく、R2 は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基または炭素数4〜12の脂環式骨格を有する基を示す。〕。
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
(A)成分
本発明における(A)成分は、前記式(2)、式(3)、式(4)、式(5)、式(6)または式(7)で表される重合体から選ばれる、酸により分解しうる置換基を有し、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する重合体(以下、「重合体(A)」という。)からなる。
前記式(2)〜(5)で表される重合体(A)は、例えば、各重合体中の繰返し単位に対応する各単量体を共重合する方法、ポリヒドロキシ(α−メチル)スチレン中のフェノール性水酸基を酸により分解しうる置換基で修飾する方法等により製造することができ、また前記式(6)〜(7)で表される重合体(A)は、例えば、各重合体中の繰返し単位に対応する各単量体を共重合する方法、ヒドロキシ(α−メチル)スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体中のカルボキシル基を酸により分解しうる置換基で修飾する方法等により製造することができる。 前記式(2)〜(7)で表される重合体(A)において、各繰返し単位はランダム状またはブロック状に結合することができる。
また、前記式(2)〜(7)で表される重合体(A)においては、前述した各繰返し単位以外の繰返し単位をさらに含有することもできる。
前記式(2)〜(7)で表される重合体(A)において、各繰返し単位数の割合は、n/(n+m)が、通常、0.40〜0.90、好ましくは0.60〜0.85で、m/(n+m)が、通常、0.10〜0.60、好ましくは0.15〜0.40である。
前記式(2)〜(7)で表される重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という。)によるポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は、通常、1,000〜100,000、好ましくは3,000〜40,000であり、またMwとGPCによるポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」という。)との比(Mw/Mn)は、通常、1〜3、好ましくは1〜2.5である。
本発明において、重合体(A)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0008】
【化2】
【0009】
〔式(2)において、R5 およびR6 は相互に独立に水素原子またはメチル基を示し、nおよびmは各繰返し単位の数である。〕;
下記式(3)で表される、ポリヒドロキシ(α−メチル)スチレンの部分t−ブトキシカルボニルメチル化誘導体、
【0010】
【化3】
【0011】
〔式(3)において、R5 およびR6 は相互に独立に水素原子またはメチル基を示し、nおよびmは各繰返し単位の数である。〕;
下記式(4)で表される、ポリヒドロキシ(α−メチル)スチレンの部分t−ブチル化誘導体、
【0012】
【化4】
【0013】
〔式(4)において、R5 およびR6 は相互に独立に水素原子またはメチル基を示し、nおよびmは各繰返し単位の数である。〕;
下記式(5)で表される、ポリヒドロキシ(α−メチル)スチレンの部分(アルコキシ・置換メチル)化誘導体または部分(アリーロキシ・置換メチル)化誘導体、
【0014】
【化5】
【0015】
〔式(5)において、R3 は炭素数1〜6のアルキル基もしくはフェニル基を示し、R4 は炭素数1〜10のアルキル基もしくは炭素数6〜10のアリール基を示すか、またはR3 とR4 とが結合して5〜7員環の環状構造を形成しており、R5 およびR6 は相互に独立に水素原子またはメチル基を示し、nおよびmは各繰返し単位の数である。〕;
下記式(6)で表される、ヒドロキシ(α−メチル)スチレン/t−ブチル(メタ)アクリレート共重合体、
【0016】
【化6】
【0017】
〔式(6)において、R5 およびR6 は相互に独立に水素原子またはメチル基を示し、nおよびmは各繰返し単位の数である。〕;
下記式(7)で表される、ヒドロキシ(α−メチル)スチレン/アルコキシ・置換メチル(メタ)アクリレート共重合体またはヒドロキシ(α−メチル)スチレン/アリーロキシ・置換メチル(メタ)アクリレート共重合体、
【0018】
【化7】
【0019】
〔式(7)において、R3 は炭素数1〜6のアルキル基もしくはフェニル基を示し、R4 は炭素数1〜10のアルキル基もしくは炭素数6〜10のアリール基を示すか、またはR3 とR4 とが結合して5〜7員環の環状構造を形成しており、R5 およびR6 は相互に独立に水素原子またはメチル基を示し、nおよびmは各繰返し単位の数である。〕
等を挙げることができる。
前記式(2)〜(5)で表される重合体(A)は、例えば、各重合体中の繰返し単位に対応する各単量体を共重合する方法、ポリヒドロキシ(α−メチル)スチレン中のフェノール性水酸基を酸により分解しうる置換基で修飾する方法等により製造することができ、また前記式(6)〜(7)で表される重合体(A)は、例えば、各重合体中の繰返し単位に対応する各単量体を共重合する方法、ヒドロキシ(α−メチル)スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体中のカルボキシル基を酸により分解しうる置換基で修飾する方法等により製造することができる。
前記式(2)〜(7)で表される重合体(A)において、各繰返し単位はランダム状またはブロック状に結合することができる。
また、前記式(2)〜(7)で表される重合体(A)においては、前述した各繰返し単位以外の繰返し単位をさらに含有することもできる。
前記式(2)〜(7)で表される重合体(A)において、各繰返し単位数の割合は、n/(n+m)が、通常、0.40〜0.90、好ましくは0.60〜0.85で、m/(n+m)が、通常、0.10〜0.60、好ましくは0.15〜0.40である。
前記式(2)〜(7)で表される重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という。)によるポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は、通常、1,000〜100,000、好ましくは3,000〜40,000であり、またMwとGPCによるポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」という。)との比(Mw/Mn)は、通常、1〜3、好ましくは1〜2.5である。
本発明において、重合体(A)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0020】
(B)成分
本発明における(B)成分は、前記式(1)で表される化合物の少なくとも1種からなり、露光により化学反応を生じて、酸を発生する感放射線性酸発生剤(以下、「酸発生剤(B)」という。)である。
酸発生剤(B)において、R1 としては、メチル基、エチル基、n−ブチル基、フェニル基が好ましい。
【0021】
また、R2 の炭素数1〜10のアルキル基は直鎖状または分岐状であることができ、その例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基等を挙げることができ、炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基は直鎖状、分岐状または環状であることができ、その例としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロ−n−プロピル基、パーフルオロ−i−プロピル基、パーフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−i−ブチル基、パーフルオロ−sec−ブチル基、パーフルオロ−t−ブチル基、パーフルオロ−n−ペンチル基、パーフルオロネオペンチル基、パーフルオロ−n−ヘキシル基、パーフルオロ−n−オクチル基、パーフルオロ−2−エチルヘキシル基、パーフルオロ−n−デシル基、パーフルオロシクロペンチル基、パーフルオロシクロヘキシル基、パーフルオロシクロオクチル基等を挙げることができ、炭素数6〜10のアリール基は非置換でも置換されていてもよく、その例としては、フェニル基、o−メチルフェニル基、m−メチルフェニル基、p−メチルフェニル基、p−エチルフェニル基、o−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、p−メトキシフェニル基、p−エトキシフェニル基、p−n−プロポキシフェニル基、p−n−ブトキシフェニル基、p−t−ブトキシフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等を挙げることができ、炭素数7〜10のアラルキル基は非置換でも置換されていてもよく、その例としては、ベンジル基、p−メチルベンジル基、p−エチルベンジル基、1−フェニルエチル基、1−(p−メチルフェニル)エチル基、2−フェニルエチル基、2−(p−メチルフェニル)エチル基、1−フェニルプロピル基、2−フェニルプロピル基、2−フェニル−2−プロピル基、3−フェニルプロピル基等を挙げることができ、炭素数4〜12の脂環式骨格を有する基の例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、カンファニル基等を挙げることができる。る。
R2 のアルキル基、パーフルオロアルキル基、アリール基、アラルキル基および炭素数4〜12の脂環式骨格を有する基としては、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロ−n−プロピル基、パーフルオロ−n−ブチル基、フェニル基、p−メチルフェニル基、カンファニル基が好ましい。
【0022】
本発明において、前記式(1)で表される化合物のうち、好ましい化合物は下記式(8)または式(9)で表される化合物であり、特に好ましい化合物は下記式(8)で表される化合物である。
【0023】
【化8】
【0024】
【化9】
【0025】
本発明において、特に好ましい酸発生剤(B)の具体例としては、トリ(p−メトキシフェニル)スルホニルトリフルオロメタンスルホネート、トリ(p−メトキシフェニル)スルホニルノナフルオロブタンスルホネート、トリ(p−メトキシフェニル)スルホニルp−トルエンスルホネート、トリ(p−メトキシフェニル)スルホニルナフタレンスルホネート、トリ(p−メトキシフェニル)スルホニルカンファースルホネート、トリ(p−メトキシフェニル)スルホニルシクロヘキシルスルホネート、トリ(p−エトキシフェニル)スルホニルトリフルオロメタンスルホネート、トリ(p−エトキシフェニル)スルホニルノナフルオロブタンスルホネート、トリ(p−エトキシフェニル)スルホニルカンファースルホネート、トリ(p−フェノキシフェニル)スルホニルノナフルオロブタンスルホネート等を挙げることができる。
【0026】
本発明における酸発生剤(B)の使用量は、重合体(A)100重量部当たり、通常、0.1〜30重量部、好ましくは0.5〜20重量部、さらに好ましくは1〜15重量部である。この場合、酸発生剤(B)の使用量が0.1重量部未満では、感度が低下する傾向があり、また30重量部を超えると、パターン形状が劣化する傾向がある。
【0027】
アルカリ可溶性樹脂
本発明においては、必要に応じて、重合体(A)および酸発生剤(B)以外にアルカリ可溶性樹脂を添加することができる。
このアルカリ可溶性樹脂は、アルカリ水溶液に対して親和性を示す官能基、例えば、フェノール性水酸基、カルボキシル基等の酸性官能基を1種以上有する、アルカリ現像液に可溶な樹脂である。このようなアルカリ可溶性樹脂を使用することにより、本発明の半導体デバイス製造用感放射線性樹脂組成物から形成されたレジスト被膜のアルカリ現像液への溶解速度の制御が容易となる結果、現像性をさらに向上させることができる。
アルカリ可溶性樹脂は、アルカリ現像液に可溶である限り特に限定されるものではないが、好ましいアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、ヒドロキシスチレン類、ヒドロキシ−α−メチルスチレン類、ビニル安息香酸類、カルボキシメチルスチレン類、カルボキシメトキシスチレン類、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、けい皮酸等の酸性官能基を有する単量体の重合性二重結合が開裂した繰返し単位を少なくとも1種含有する付加重合系樹脂や、ノボラック樹脂に代表される酸性官能基を有する縮合系繰返し単位を少なくとも1種含有する重縮合系樹脂等を挙げることができる。
前記付加重合系樹脂からなるアルカリ可溶性樹脂は、前記酸性官能基を有する単量体の重合性二重結合が開裂した繰返し単位のみから構成されていてもよいが、生成した樹脂がアルカリ可溶性である限りでは、さらに他の繰返し単位を1種以上含有することもできる。
このような他の繰返し単位としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、無水マレイン酸、(メタ)アクリロニトリル、クロトンニトリル、マレインニトリル、フマロニトリル、メサコンニトリル、シトラコンニトリル、イタコンニトリル、(メタ)アクリルアミド、クロトンアミド、マレインアミド、フマルアミド、メサコンアミド、シトラコンアミド、イタコンアミド、ビニルアニリン、ビニルピリジン、ビニル−ε−カプロラクタム、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール等の単量体の重合性二重結合が開裂した単位を挙げることができる。
前記付加重合系樹脂のうち、レジスト被膜としたときの放射線の透過性が高く、またドライエッチング耐性にも優れるという観点から、特にポリ(ヒドロキシスチレン)類およびヒドロキシ−α−メチルスチレン共重合体類が好ましい。
【0028】
また、前記重縮合系樹脂からなるアルカリ可溶性樹脂は、酸性官能基を有する縮合系繰返し単位のみから構成されていてもよいが、生成した樹脂がアルカリ現像液に可溶である限りでは、他の縮合系繰返し単位をさらに有することもできる。
このような重縮合系樹脂は、例えば、1種以上のフェノール類と1種以上のアルデヒド類とを、場合により他の縮合系繰返し単位を形成しうる重縮合成分とともに、酸性触媒の存在下、水媒質中または水と親水性溶媒との混合媒質中で(共)重縮合することによって製造することができる。
前記フェノール類としては、例えば、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール等を挙げることができ、また前記アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、トリオキサン、パラホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド等を挙げることができる。
アルカリ可溶性樹脂のMwは、通常、1,000〜150,000、好ましくは3,000〜100,000である。
これらのアルカリ可溶性樹脂は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
アルカリ可溶性樹脂の使用量は、重合体(A)と酸発生剤(B)との合計100重量部当たり、200重量部以下である。
【0029】
酸拡散制御剤
本発明においては、露光により酸発生剤(B)から生じた酸のレジスト被膜中における拡散現象を制御し、未露光領域での好ましくない化学反応を抑制する作用等を有する酸拡散制御剤を配合することが好ましい。このような酸拡散制御剤を使用することにより、組成物の貯蔵安定性が向上し、レジストとしての解像度がさらに向上するとともに、レジストパターンの線幅の経時変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れた組成物を得ることができる。
酸拡散制御剤としては、露光やベークにより塩基性が変化しない含窒素有機化合物が好ましい。
このような含窒素有機化合物としては、例えば、下記式(8)
R6 R7 R8 N ...(8)
〔式(8)において、R6 、R7 およびR8 は相互に独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を示す。〕で表される化合物(以下、「含窒素化合物(I)」という。)、同一分子内に窒素原子を2個有するジアミノ化合物(以下、「含窒素化合物(II)」という。)、窒素原子を3個以上有する重合体(以下、「含窒素化合物(III)」という。)、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等を挙げることができる。
【0030】
含窒素化合物(I)としては、例えば、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン類;ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−ノニルアミン、ジ−n−デシルアミン等のジアルキルアミン類;トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン等のトリアルキルアミン類;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族アミン類を挙げることができる。
含窒素化合物(II)としては、例えば、エチレンジアミン、
N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン等を挙げることができる。
含窒素化合物(III)としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ジメチルアミノエチルアクリルアミドの重合体等を挙げることができる。
前記アミド基含有化合物としては、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。
前記ウレア化合物としては、例えば、尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリn−ブチルチオウレア等を挙げることができる。
前記含窒素複素環化合物としては、例えば、イミダゾール、ベンズイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類;ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、N−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、8−オキシキノリン、アクリジン等のピリジン類のほか、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、4−メチルモルホリン、ピペラジン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[ 2.2.2 ]オクタン等を挙げることができる。
これらの含窒素有機化合物のうち、含窒素化合物(I)、含窒素複素環化合物等が好ましい。また、含窒素化合物(I)の中では、トリアルキルアミン類が特に好ましく、含窒素複素環化合物の中では、ピリジン類が特に好ましい。
【0031】
本発明において、酸拡散制御剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
酸拡散制御剤の使用量は、重合体(A)100重量部当たり、通常、5重量部以下、好ましくは0.001〜3重量部、さらに好ましくは0.005〜2重量部である。この場合、酸拡散制御剤の使用量が5重量部を超えると、レジストとしての感度や現像性が低下する傾向がある。なお、酸拡散制御剤の使用量が0.001未満では、レジストとしての解像度、プロセス安定性等の改善効果が不十分となる場合がある。
【0032】
各種添加剤
さらに、本発明においては、必要に応じて、界面活性剤、増感剤等の各種添加剤を配合することもできる。
前記界面活性剤は、組成物の塗布性やストリエーション、レジストとしての現像性等を改良する作用を示す。
このような界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレートのほか、以下商品名で、エフトップEF301,EF303,EF352(トーケムプロダクツ社製)、メガファックF171,F173(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC430,FC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710,サーフロンS−382,SC−101,SC−102,SC−103,SC−104,SC−105,SC−106(旭硝子(株)製)、KP341(信越化学工業(株)製)、ポリフローNo.75,No.95(共栄社油脂化学工業(株)製)等を挙げることができる。
これらの界面活性剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
界面活性剤の配合量は、重合体(A)、酸発生剤(B)および場合により配合されるアルカリ可溶性樹脂の合計100重量部当たり、通常、2重量部以下である。
また、前記増感剤は、放射線のエネルギーを吸収して、そのエネルギーを酸発生剤(B)に伝達することにより、露光による酸の生成量を増加する作用を示すもので、レジストとしての見掛けの感度を向上させる効果を有する。
好ましい増感剤としては、例えば、アセトン、ベンゼン、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ナフタレン類、ビアセチル類、エオシン、ローズベンガル、ピレン類、アントラセン類、フェノチアジン類等を挙げることができる。
これらの増感剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。 増感剤の配合量は、感放射線性樹脂組成物の全固形分100重量部当たり、通常、50重量部以下、好ましくは30重量部以下である。
さらに、本発明の半導体デバイス製造用感放射線性樹脂組成物は、染料および/または顔料を配合することにより、露光部の潜像を可視化させて、露光時のハレーションの影響を緩和でき、接着助剤を配合することにより、基板との接着性をさらに改善することができる。
また、他の添加剤として、4−ヒドロキシ−4’−メチルカルコン等のハレーション防止剤、形状改良剤、保存安定化剤、消泡剤等を配合することもできる。
【0033】
溶剤
本発明の半導体デバイス製造用感放射線性樹脂組成物は、その使用に際して、全固形分の濃度が、例えば5〜50重量%、好ましくは15〜40重量%となるように、溶剤に均一に溶解したのち、例えば孔径0.2μm程度のフィルターでろ過することによって、組成物溶液として調製される。
前記組成物溶液の調製に使用される溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル等のジエチレングリコールジアルキルエーテルアセテート類;
プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル等のプロピレングリコールジアルキルエーテル類;
乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−プロピル、乳酸i−プロピル、乳酸n−ブチル、乳酸i−ブチル等の乳酸エステル類;ぎ酸メチル、ぎ酸エチル、ぎ酸n−プロピル、ぎ酸i−プロピル、ぎ酸n−ブチル、ぎ酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、ぎ酸i−アミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸n−アミル、酢酸i−アミル、酢酸n−ヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−プロピル、プロピオン酸i−プロピル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、酪酸i−ブチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;
ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メチル−3−メトキシブチルブチレート、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等の他のエステル類;
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルn−ブチルケトン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類
等を挙げることができる。
これらの溶剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用される。
【0034】
レジストパターンの形成
本発明の半導体デバイス製造用感放射線性樹脂組成物からレジストパターンを形成する際には、前記のようにして調製された組成物溶液を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布手段によって、例えば、シリコンウエハー、アルミニウムで被覆されたウエハー等の基板上に塗布することにより、レジスト被膜を形成し、場合により予め加熱処理(以下、「PB」という。)を行ったのち、所定のマスクパターンを介して露光する。その際に使用される放射線としては、酸発生剤(B)の種類に応じて、例えば、i線(波長365nm)等の紫外線、ArFエキシマレーザー(波長193nm)やKrFエキシマレーザー(波長248nm)等の遠紫外線、シンクロトロン放射線等のX線、電子線等の荷電粒子線等を適宜選択して使用される。また、露光量等の露光条件は、組成物の配合組成、各添加剤の種類等に応じて、適宜選定される。
本発明においては、露光後に加熱処理(以下、「PEB」という。)を行うことが好ましい。その加熱条件は、組成物の配合組成、各添加剤の種類等により変わるが、通常、30〜200℃、好ましくは40〜150℃である。
次いで、露光されたレジスト被膜をアルカリ現像液で現像することにより、所定のレジストパターンを形成する。
前記アルカリ現像液としては、例えば、アルカリ金属水酸化物;アンモニア水;モノ−、ジ−あるいはトリ−アルキルアミン類;モノ−、ジ−あるいはトリ−アルカノールアミン類;複素環式アミン類;テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド類や、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4,3,0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を、通常、1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%の濃度となるように溶解したアルカリ性水溶液が使用される。
また、前記アルカリ性水溶液からなる現像液には、例えばメタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤を適量添加することもできる。
このようにアルカリ性水溶液からなる現像液を使用する場合には、一般に、現像後水洗する。
なお、レジストパターンを形成する際には、環境雰囲気中に含まれる塩基性不純物等の影響を防止するため、レジスト被膜上に保護膜を設けることもできる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
ここで、MwとMnの測定および各レジストの評価は、下記の要領で実施した。
MwおよびMn
東ソー(株)製GPCカラム(G2000HXL2本、G3000HXL1本、G4000HXL1本)を用い、流量1.0ミリリットル/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするGPCにより測定した。
感度
シリコンウエハー上に形成したレジスト被膜に露光し、直ちに露光後ベークを行って、アルカリ現像したのち、水洗し、乾燥して、レジストパターンを形成したとき、線幅0.26μmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)を1対1の線幅に形成する露光量を最適露光量とし、この最適露光量により感度を評価した。
解像度
最適露光量で露光したときに解像されるライン・アンド・スペースパターンの最小寸法(μm)を解像度とした。
パターン形状
線幅0.26μmのライン・アンド・スペースパターンにおいて、パターン断面を走査型電子顕微鏡を用いて測定し、パターン断面の上部の線幅をLa 、下部の線幅をLb としたとき、0.9<La/Lb<1.1の場合を、パターン形状が“良好”とし、0.9≧La/Lbの場合を、パターン形状が“ラウンドトップ”とし、La/Lb≧1.1の場合を、パターン形状が“T−型”として評価した。
【0036】
【実施例】
合成例1
ポリ(p−ヒドロキシスチレン)(Mw=12,000)24gをアセトン96ミリリットルに溶解させたのち、ブロモ酢酸t−ブチル9.7gおよび炭酸カリウム7.6gを加え、攪拌しつつ還流下で8時間反応させた。次いで、反応溶液を酢酸エチルで抽出し、5重量%酢酸水溶液および水で洗浄したのち、減圧下で酢酸エチル等を留去した。次いで、得られた重合体をアセトンに再溶解させ、この溶液を水中に滴下して、重合体を沈殿させたのち、この重合体を50℃の真空乾燥器内で一晩乾燥した。
得られた重合体は、Mwが12,000、Mw/Mnが1.8であった。また、この重合体の13C−NMRを測定したところ、フェノール性水酸基中の水素原子の23%がt−ブトキシカルボニル基で置換された構造を有するものであった。この重合体を、重合体(A−1)とする。
【0037】
合成例2
ポリ(p−ヒドロキシスチレン)(Mw=12,000)300gをテトラヒドロフラン1200ミリリットルに溶解させ、トリエチルアミン650gを加えたのち、攪拌下60℃で、ジ−t−ブチルカーボネート200gを加えて、6時間反応させた。次いで、反応溶液を水中に滴下して、重合体を析出させたのち、この重合体を50℃の真空乾燥器内で一晩乾燥した。
得られた重合体は、Mwが7,000、Mw/Mnが1.7であった。また、この重合体の13C−NMRを測定したところ、フェノール性水酸基中の水素原子の25%がt−ブトキシカルボニル基で置換された構造を有するものであった。この重合体を、重合体(A−2)とする。
【0038】
合成例3
p−ヒドロキシスチレン24g、t−ブチルアクリレート17gおよびプロピレングリコールモノメチルエーテル50gを混合して均一溶液とした。次いで、この溶液を30分間窒素ガスによりバブリングしたのち、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)1.9gを加えて、窒素ガスによるバブリングを継続しつつ、反応温度を40℃に維持して、7時間重合させた。重合終了後、反応溶液を多量のn−ヘキサンと混合して、重合体を凝固させた。次いで、この重合体をアセトンに再溶解させたのち、再度n−ヘキサンにより凝固させる操作を数回繰り返して、未反応モノマーを除去し、50℃の真空乾燥器内で一晩乾燥して、白色の重合体(収率55重量%)を得た。
得られた重合体は、Mwが31,000、Mw/Mnが2.0であった。また、この重合体の13C−NMRを測定したところ、p−ヒドロキシスチレンとt−ブチルアクリレートとの共重合モル比が60:40の共重合体であった。この共重合体を、重合体(A−3)とする。
【0039】
合成例4
ポリ(p−ヒドロキシスチレン)(Mw=12,000)24gをジオキサン100ミリリットルに溶解させたのち、窒素ガスにより30分間バブリングした。この溶液にエチルビニルエーテル8gおよびp−トルエンスルホン酸ピリジニウム塩1gを加え、攪拌下で12時間反応させた。次いで、反応溶液を1重量%アンモニア水溶液に滴下して、重合体を沈殿させたのち、この重合体を50℃の真空乾燥器内で一晩乾燥した。
得られた重合体は、Mwが12,000、Mw/Mnが1.6であった。また、この重合体の13C−NMRを測定したところ、フェノール性水酸基中の水素原子の45%が1−エトキシエチル基で置換された構造を有するものであった。この重合体を、重合体(A−4)とする。
【0040】
合成例5
p−ヒドロキシスチレン78g、p−ブトキシスチレン62gおよびプロピレングリコールモノメチルエーテル150gを混合して均一溶液とした。次いで、この溶液を30分間窒素ガスによりバブリングしたのち、アゾビスイソブチロニトリル7gを加えて、窒素ガスによるバブリングを継続しつつ、反応温度を70℃に維持して、7時間重合させた。重合終了後、反応溶液を多量のn−ヘキサンと混合して、重合体を凝固させた。次いで、この重合体をアセトンに再溶解させたのち、再度n−ヘキサンにより凝固させる操作を数回繰り返して、未反応モノマーを除去し、50℃の真空乾燥器内で一晩乾燥して、白色の重合体(収率89重量%)を得た。
得られた重合体は、Mwが15,000、Mw/Mnが1.67であった。また、この重合体の13C−NMRを測定したところ、p−ヒドロキシスチレンとp−ブトキシスチレンとの共重合モル比が65:35の共重合体であった。この共重合体を、重合体(A−5)とする。
【0041】
実施例1〜5および比較例1〜2
表1(但し、部は重量に基づく。)に示す各成分を混合して均一溶液としたのち、孔径0.2μmのメンブレンフィルターでろ過して、組成物溶液を調製した。
次いで、各組成物溶液を、シリコーンウエハー上に回転塗布したのち、表2に示す温度で90秒間PBを行って、膜厚0.7μmのレジスト被膜を形成した。次いで、このレジスト被膜に、(株)ニコン製KrFエキシマレーザーステッパー(商品名NSR−2005 EX8A)を用いて露光したのち、表2に示す温度で90秒間PEBを行った。次いで、2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用い、23℃で1分間、浸漬法によりアルカリ現像を行ったのち、純水で水洗し、乾燥して、レジストパターンを形成した。
各レジストの評価結果を、表2に示す。
表1に示す酸発生剤(B)と他の酸発生剤、酸拡散制御剤および溶剤は、次のとおりである。
酸発生剤(B)
【0042】
B−1:
【化10】
【0043】
B−2:
【化11】
【0044】
他の酸発生剤
【0045】
b−1:
【化12】
【0046】
b−2:
【化13】
【0047】
酸拡散制御剤
C−1:トリ−n−オクチルアミン
C−2:4−フェニルピリジン
溶剤
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
EL :乳酸エチル
EEP :1−エトキシ−2−プロピオン酸エチル
MAK :メチルn−アミルケトン
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【発明の効果】
本発明の半導体デバイス製造用感放射線性樹脂組成物は、各種のレジスト用溶剤を使用でき、特に解像度およびパターン形状が優れるとともに、スカムを生じることがなく、高精度の微細パターンを安定して形成することができる。しかも、本発明の半導体デバイス製造用感放射線性樹脂組成物は、紫外線、遠紫外線、X線、荷電粒子線の如き各種の放射線に対して有効に感応することができる。
Claims (2)
- (A)下記式(2)、式(3)、式(4)、式(5)、式(6)または式(7)で表される重合体から選ばれる、酸により分解しうる置換基を有し、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する重合体、および(B)下記式(1)で表される感放射線性酸発生剤を含有することを特徴とする半導体デバイス製造用感放射線性樹脂組成物。
下記式(2)で表される、ポリヒドロキシ(α−メチル)スチレンの部分t−ブトキシカルボニル化誘導体、
下記式(3)で表される、ポリヒドロキシ(α−メチル)スチレンの部分t−ブトキシカルボニルメチル化誘導体、
下記式(4)で表される、ポリヒドロキシ(α−メチル)スチレンの部分t−ブチル化誘導体、
下記式(5)で表される、ポリヒドロキシ(α−メチル)スチレンの部分(アルコキシ・置換メチル)化誘導体または部分(アリーロキシ・置換メチル)化誘導体、
R 3 とR 4 とが結合して5〜7員環の環状構造を形成しており、R 5 およびR 6 は相互に独立に水素原子またはメチル基を示し、nおよびmは各繰返し単位の数である。〕;
下記式(6)で表される、ヒドロキシ(α−メチル)スチレン/t−ブチル(メタ)アクリレート共重合体、
下記式(7)で表される、ヒドロキシ(α−メチル)スチレン/アルコキシ・置換メチル(メタ)アクリレート共重合体またはヒドロキシ(α−メチル)スチレン/アリーロキシ・置換メチル(メタ)アクリレート共重合体、
R 3 とR 4 とが結合して5〜7員環の環状構造を形成しており、R 5 およびR 6 は相互に独立に水素原子またはメチル基を示し、nおよびmは各繰返し単位の数である。〕;
- さらにアルカリ可溶性樹脂を、(A)成分と(B)成分との合計100重量部当たり200重量部以下の量で含有する、請求項1に記載の半導体デバイス製造用感放射線性樹脂組成物。
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