JP3677963B2 - 感放射線性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感放射線性樹脂組成物に関わり、さらに詳しくは、紫外線、遠紫外線、X線、荷電粒子線の如き各種放射線を使用する微細加工に好適なレジストとして有用な感放射線性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
集積回路素子の製造に代表される微細加工の分野においては、集積回路のより高い集積度を得るために、リソグラフィーにおけるデザインルールの微細化が急速に進行しており、近年では、線幅0.5μm以下の高精度の微細加工を安定して行なうことができるリソグラフィープロセスの開発が強く推し進められている。
しかしながら、従来の可視光線(波長700〜400nm)や近紫外線(波長400〜300nm)を用いる方法では、このような微細パターンを高精度に形成することが困難であり、そのため、より幅広い焦点深度を達成でき、デザインルールの微細化に有効な短波長(波長300nm以下)の放射線を用いるリソグラフィープロセスが提案されている。
このような短波長の放射線を用いるリソグラフィープロセスとしては、例えば、KrFエキシマレーザー(波長248nm)やArFエキシマレーザー(波長193nm)等の遠紫外線、シンクロトロン放射線等のX線あるいは電子線等の荷電粒子線を使用する方法が提案されている。そして、これらの短波長の放射線に対応する高解像度のレジストとして、インターナショナル・ビジネス・マシーン(IBM)社により「化学増幅型レジスト」が提唱され、現在、この化学増幅型レジストの改良が精力的に進められている。
化学増幅型レジストは、それに含有される感放射線性酸発生剤への放射線の照射(以下、「露光」という。)により酸を発生させ、この酸の触媒作用により、レジスト被膜中で化学反応(例えば極性の変化、化学結合の開裂、架橋反応等)を生起させ、現像液に対する溶解性が露光部において変化する現象を利用して、パターンを形成するものである。
従来、このような化学増幅型レジストのうち比較的良好なレジスト性能を示すものに、樹脂成分として、アルカリ可溶性樹脂中のアルカリ親和性基をケタール基で保護した樹脂(特開平7−140666号公報参照)、アルカリ可溶性樹脂中のアルカリ親和性基をアセタール基で保護した樹脂(特開平2−161436号公報、特開平5−249682号公報参照)等を使用したレジストが知られている。
しかしながら、これらの化学増幅型レジストにはそれぞれ固有の問題があり、実用化に際して種々の困難を伴うことが指摘されている。
その大きな問題として、露光から露光後の加熱処理までの引き置き時間(Post Exposure Time Delay;以下、「PED」という。)により、レジストパターンの線幅が変化したり、あるいはT−型形状となったりすることが挙げられる。また、特に近年、設計寸法0.2μm付近の微細加工を0.5μm以下の膜厚で行なう際に、パターン形成後のレジスト被膜の表面および側面の凹凸が大きくなり、設計寸法どおりの微細加工に支障を来たす、いわゆる「ナノエッジラフネス」あるいは「膜面荒れ」の問題が指摘され始めた。
また近年、ヒドロキシスチレン系繰返し単位、(メタ)アクリル酸t−ブチリからなる繰返し単位および露光後のアルカリ現像液に対する重合体の溶解性を低下させる繰返し単位からなる重合体を用いた化学増幅型の感放射線性樹脂組成物が提案されている(特開平7−209868号公報参照)。
しかしながら、この組成物は、パターン形状やドライエッチング耐性に優れるものの、特に「ナノエッジラフネス」あるいは「膜面荒れ」の面では未だ満足できない。
そこで、感度、解像度、PED安定性、パターン形状等に優れるとともに、「ナノエッジラフネス」あるいは「膜面荒れ」の問題を解決しうる化学増幅型レジストの開発が強く求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、紫外線、遠紫外線、X線、荷電粒子線の如き各種放射線に有効に感応し、解像度、PED安定性が優れるとともに、特に「ナノエッジラフネス」あるいは「膜面荒れ」を生じることがなく、パターン形状にも優れ、高精度の微細なレジストパターンを安定して形成することができる化学増幅型ポジ型レジストとして有用な感放射線性樹脂組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、前記課題は、
(A)下記式(1)で表される繰返し単位(1)と下記式(2)で表される繰返し単位(2)とを有する共重合体、
【0005】
【化1】
【0006】
〔式(1)において、R1 は水素原子またはメチル基を示す。〕、
【0007】
【化2】
【0008】
〔式(2)において、R2 は水素原子またはメチル基を示し、R3 は炭素数4〜10の3級アルキル基を示す。〕、および
(B)2種以上の化合物からなる感放射線性酸発生剤
を含有し、前記(B)成分を構成する化合物の少なくとも1種が、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロブタンスルホネート、4−t−ブチルフェニル−ジフェニルスルホニウムパーフルオロブタンスルホネート、N−(パーフルオロブチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(パーフルオロブチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(パーフルオロブチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(パーフルオロブチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロブチルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロブチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミドおよびN−(パーフルオロブチルスルホニルオキシ)ナフチルイミドの群から選ばれる、放射線の照射により「3つ以上のふっ素原子を有するスルホン酸」を発生する化合物からなり、かつ前記(B)成分を構成する化合物の少なくとも1種が、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムドデシルベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム−p−トルエンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム−10−カンファースルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムオクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムドデシルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウム−p−トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウム−10−カンファースルホネート、ジフェニルヨードニウムオクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムドデシルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウム−10−カンファースルホネート、トリフェニルスルホニウムオクタンスルホネート、4−t−ブトキシフェニル・ジフェニルスルホニウムドデシルベンゼンスルホネート、4−t−ブトキシフェニル・ジフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホネート、4−t−ブトキシフェニル・ジフェニルスルホニウム−10−カンファースルホネート、4−t−ブトキシフェニル・ジフェニルスルホニウムオクタンスルホネート、N−(10−カンファニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(10−カンファニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(10−カンファニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファニルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミドおよびN−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ナフチルイミドの群から選ばれる、放射線の照射により「ふっ素原子を全くもたないスルホン酸」を発生する化合物からなることを特徴とする感放射線性樹脂組成物、
によって達成される。
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
(A)共重合体
本発明において使用される(A)成分は、前記式(1)で表される繰返し単位(1)と前記式(2)で表される繰返し単位(2)とを有する共重合体(以下、「(A)共重合体」という。)からなる。
式(2)において、R3 の炭素数4〜10の3級アルキル基としては、例えば、t−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−メチル−1−エチルプロピル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,1−ジメチルブチル基、1−メチル−1−エチルブチル基、1,1−ジエチルブチル基、1,1−ジメチルペンチル基、1−メチル−1−エチルペンチル基、1,1−ジエチルペンチル基、1,1−ジメチルヘキシル基、1−メチル−1−エチルヘキシル基、1,1−ジエチルヘキシル基、1,1−ジメチルヘプチル基、1−メチル−1−エチルヘプチル基、1,1−ジメチルオクチル基等を挙げることができる。
これらの炭素数4〜10の3級アルキル基のうち、特に、t−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基等が好ましい。
(A)共重合体において、繰返し単位(1)および繰返し単位(2)は、単独でまたは2種以上が存在することができる。
【0010】
また、(A)共重合体は、繰返し単位(1)および繰返し単位(2)以外の繰返し単位(以下、「他の繰返し単位」という。)を1種以上有することもできる。
他の繰返し単位を与える単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、p−t−ブトキシスチレン等の(α−メチル)スチレン類;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、メチル無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸あるいはそれらの酸無水物類;前記不飽和カルボン酸のメチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、i−プロピルエステル、n−ブチルエステル、i−ブチルエステル、sec−ブチルエステル、t−ブチルエステル、n−アミルエステル、n−ヘキシルエステル、シクロヘキシルエステル、2−ヒドロキシエチルエステル、2−ヒドロキシプロピルエステル、3−ヒドロキシプロピルエステル、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピルエステル、ベンジルエステル等のエステル類;(メタ)アクリロニトリル、マレインニトリル、フマロニトリル、メサコンニトリル、シトラコンニトリル、イタコンニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、クロトンアミド、マレインアミド、フマルアミド、メサコンアミド、シトラコンアミド、イタコンアミド等の不飽和アミド類;マレイミド、N−フェニルマレイミド等の不飽和イミド類;(メタ)アリルアルコール等の不飽和アルコール類や、N−ビニルアニリン、ビニルピリジン類、N−ビニル−ε−カプロラクタム、N−ビニルピロリドン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール等を挙げることができる。
これらの他の繰返し単位を与える単量体のうち、(α−メチル)スチレン類、不飽和カルボン酸のエステル類が好ましく、特にスチレン、p−メトキシスチレンが好ましい。
【0011】
(A)共重合体における各繰返し単位の含有率は、繰返し単位(1)の含有率が、繰返し単位(1)と繰返し単位(2)との合計量に対して、通常、10〜90モル%、好ましくは15〜85モル%であり、繰返し単位(2)の含有率が、繰返し単位(1)と繰返し単位(2)との合計量に対して、通常、10〜90モル%、好ましくは15〜85モル%であり、また他の繰返し単位の含有率が、全繰返し単位に対して、通常、50モル%以下、好ましくは40モル%以下である。この場合、繰返し単位(1)と繰返し単位(2)との合計量に対する繰返し単位(1)の含有率が10モル%未満では、レジストとしての解像度が低下する傾向があり、一方90モル%を超えると、レジストとしての感度が低下する傾向がある。
【0012】
(A)共重合体は、例えば、下記(イ)、(ロ)等の方法により製造することができる。
(イ)繰返し単位(1)に対応する単量体と繰返し単位(2)に対応する単量体とを、場合により他の繰返し単位に対応する単量体と共に、例えばラジカル重合開始剤を適宜に選定して、塊状重合、溶液重合、沈殿重合、乳化重合、懸濁重合、塊状−懸濁重合等の適宜の方法により共重合する方法。
(ロ)下記式(3)で表される単量体と繰返し単位(2)に対応する単量体とを、場合により他の繰返し単位に対応する単量体と共に、例えばラジカル重合開始剤を適宜に選定して、塊状重合、溶液重合、沈殿重合、乳化重合、懸濁重合、塊状−懸濁重合等の適宜の方法により共重合したのち、塩基性触媒を用いて、共重合体中のアセチル基を部分的に加水分解および/または加溶媒分解する方法。
【0013】
【化3】
【0014】
〔式(3)において、R4 は水素原子またはメチル基を示す。〕、
(A)共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は、通常、1,000〜100,000、好ましくは3,000〜40,000、さらに好ましくは3,000〜30,000である。この場合、(A)共重合体のMwが1,000未満であると、レジストとしての感度および耐熱性が低下する傾向があり、一方100,000を超えると、現像液に対する溶解性が低下する傾向がある。また、(A)共重合体のMwとゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」という。)との比(Mw/Mn)は、通常、1.0〜5.0、好ましくは1.0〜4.0、さらに好ましくは1.0〜3.0である。
本発明において、(A)共重合体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、本発明においては、基板上に形成される塗膜の均一性を損なわず、(A)共重合体との相溶性が良好な他の樹脂や低分子化合物を、(A)共重合体に配合して用いることもできる。この場合の他の樹脂や低分子化合物の合計配合量は、(A)共重合体100重量部に対して、50重量部以下が好ましい。
【0015】
(B)感放射線性酸発生剤
本発明において使用される(B)成分は、露光により「3つ以上のふっ素原子を有するスルホン酸」を発生する化合物(以下、「酸発生剤(B1)」という。)を少なくとも1種と、露光により「ふっ素原子を全くもたないスルホン酸」を発生する化合物(以下、「酸発生剤(B2)」という。)を少なくとも1種とを含有する感放射線性酸発生剤からなる。
本発明においては、感放射線性酸発生剤として酸発生剤(B1)と酸発生剤(B2)との組み合せを使用することにより、「ナノエッジラフネス」あるいは「膜面荒れ」を顕著に抑制することができる。
【0018】
酸発生剤(B1)は、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロブタンスルホネート、4−t−ブチルフェニル−ジフェニルスルホニウムパーフルオロブタンスルホネート、N−(パーフルオロブチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(パーフルオロブチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(パーフルオロブチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(パーフルオロブチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロブチルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロブチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミドおよびN−(パーフルオロブチルスルホニルオキシ)ナフチルイミドの群から選ばれる。これらの化合物は、常圧における沸点が165℃以上である。
前記酸発生剤(B1)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0033】
酸発生剤(B2)は、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムドデシルベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム−p−トルエンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム−10−カンファースルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムオクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムドデシルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウム−p−トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウム−10−カンファースルホネート、ジフェニルヨードニウムオクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムドデシルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウム−10−カンファースルホネート、トリフェニルスルホニウムオクタンスルホネート、4−t−ブトキシフェニル・ジフェニルスルホニウムドデシルベンゼンスルホネート、4−t−ブトキシフェニル・ジフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホネート、4−t−ブトキシフェニル・ジフェニルスルホニウム−10−カンファースルホネート、4−t−ブトキシフェニル・ジフェニルスルホニウムオクタンスルホネート、N−(10−カンファニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(10−カンファニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(10−カンファニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファニルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミドおよびN−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ナフチルイミドの群から選ばれる。これらの化合物は、常圧における沸点が165℃以上である。
前記酸発生剤(B2)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0034】
本発明における酸発生剤(B1)と酸発生剤(B2)との使用割合は、モル比(B1:B2)で、通常、1:100〜100:1、好ましくは1:20〜20:1、さらに好ましくは1:10〜10:1の範囲にある。この場合、前記使用割合がこの範囲を外れると、「ナノエッジラフネス」あるいは「膜面荒れ」の低減効果が不十分となるおそれがある。
また、本発明における(B)感放射線性酸発生剤の使用量は、(A)共重合体100重量部当たり、通常、5〜20重量部、好ましくは1〜10重量部である。この場合、(B)感放射線性酸発生剤の使用量が5重量部未満では、露光によって発生した酸の触媒作用による化学変化を十分生起させることが困難となるおそれがあり、また20重量部を超えると、組成物を塗布する際に塗布むらが生じたり、現像時にスカム等を発生するおそれがある。
【0035】
酸拡散制御剤
本発明においては、さらに、露光により(B)感放射線性酸発生剤から生じた酸のレジスト被膜中における拡散現象を制御し、未露光領域での好ましくない化学反応を抑制する作用等を有する酸拡散制御剤を配合することが好ましい。このような酸拡散制御剤を使用することにより、組成物の貯蔵安定性が向上し、またレジストとして、解像度が向上するとともに、PEDの変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れたものとなる。
酸拡散制御剤としては、露光や加熱処理により塩基性が変化しない含窒素有機化合物が好ましく、その具体例としては、式R7 R8 R9 N(但し、R7 、R8 およびR9 はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を示す。)で表される化合物(以下、「含窒素化合物(I)」という。)、同一分子内に窒素原子を2個有するジアミノ化合物(以下、「含窒素化合物(II)」という。)、窒素原子を3個以上有する重合体(以下、「含窒素化合物(III)」という。)、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等を挙げることができる。
【0036】
含窒素化合物(I)としては、例えば、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン類;ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−ノニルアミン、ジ−n−デシルアミン等のジアルキルアミン類;トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン等のトリアルキルアミン類;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族アミン類を挙げることができる。
含窒素化合物(II)としては、例えば、エチレンジアミン、N,N,N',N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン等を挙げることができる。
含窒素化合物(III)としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ジメチルアミノエチルアクリルアミドの重合体等を挙げることができる。
前記アミド基含有化合物としては、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。
前記ウレア化合物としては、例えば、尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリブチルチオウレア等を挙げることができる。
前記含窒素複素環化合物としては、例えば、イミダゾール、ベンズイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類;ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、N−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、8−オキシキノリン、アクリジン等のピリジン類のほか、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、4−メチルモルホリン、ピペラジン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ [2.2.2] オクタン等を挙げることができる。
【0037】
これらの含窒素有機化合物のうち、含窒素化合物(I)、含窒素複素環化合物が好ましい。また、含窒素化合物(I)の中では、トリアルキルアミン類が特に好ましく、含窒素複素環化合物の中では、ピリジン類が特に好ましい。
本発明において、酸拡散制御剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
酸拡散制御剤の使用量は、(A)共重合体100重量部当たり、通常、15重量部以下、好ましくは0.001〜10重量部、さらに好ましくは0.005〜5重量部である。この場合、酸拡散制御剤の使用量が15重量部を超えると、レジストとしての感度や露光部の現像性が低下する傾向がある。なお、酸拡散制御剤の使用量が0.001重量部未満であると、プロセス条件によっては、パターン形状や寸法忠実度が低下するおそれがある。
【0038】
他の添加剤
さらに、本発明の感放射線性樹脂組成物には、必要に応じて、界面活性剤、増感剤等の各種の他の添加剤を配合することもできる。
前記界面活性剤は、組成物の塗布性やストリエーション、レジストとしての現像性等を改良する作用を示す。
このような界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレートのほか、市販品として、エフトップEF301,EF303,EF352(トーケムプロダクツ社製)、メガファックスF171,F173(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC430,FC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710,サーフロンSー382,SCー101,SCー102,SCー103,SCー104,SCー105,SCー106(旭硝子(株)製)、KP341(信越化学工業(株)製)、ポリフローNo.75,No.95(共栄社化学(株)製)等を挙げることができる。
これらの界面活性剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
界面活性剤の使用量は、(A)共重合体100重量部当たり、通常、2重量部以下である。
前記増感剤は、放射線のエネルギーを吸収して、そのエネルギーを(B)感放射線性酸発生剤に伝達することにより、露光による酸の生成量を増加する作用を示すもので、レジストとしての見掛けの感度を向上させる効果を有する。
好ましい増感剤としては、例えば、ベンゾフェノン類、ローズベンガル類、アントラセン類等を挙げることができる。
これらの増感剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。増感剤の使用量は、(A)共重合体100重量部当たり、通常、50重量部以下である。
また、染料および/または顔料を配合することにより、露光部の潜像を可視化させて、露光時のハレーションの影響を緩和でき、接着助剤を配合することにより、基板との接着性を改善することができる。
さらに、他の添加剤として、4−ヒドロキシ−4’−メチルカルコン等のハレーション防止剤、形状改良剤、保存安定化剤、消泡剤等を配合することもできる。
【0039】
溶剤
本発明の感放射線性樹脂組成物は、その使用に際して、全固形分の濃度が、例えば、通常、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%となるように、溶剤に均一に溶解したのち、例えば孔径0.2μm程度のフィルターでろ過することによって、組成物溶液として調製される。
前記組成物溶液の調製に使用される溶剤としては、例えば、
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;
プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル等のプロピレングリコールジアルキルエーテル類;
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−プロピル、乳酸i−プロピル等の乳酸エステル類;
ぎ酸n−アミル、ぎ酸i−アミル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸i−プロピル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−ブチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;
ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メチル−3−メトキシブチルブチレート、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等の他のエステル類;
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;
メチルエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルn−ブチルケトン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;
N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;
γ−ブチロラクトン等のラクトン類
等を挙げることができる。
これらの溶剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用される。
【0040】
レジストパターンの形成
本発明の感放射線性樹脂組成物からレジストパターンを形成する際には、前述したようにして調製された組成物溶液を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布手段によって、例えば、シリコンウエハー、アルミニウムで被覆されたウエハー等の基板上に塗布することにより、レジスト被膜を形成し、場合により予め70〜160℃程度の温度で加熱処理(以下、「プレベーク」という。)を行ったのち、所定のマスクパターンを介して該レジスト被膜に露光する。その際に使用される放射線としては、酸発生剤(B1)および/または酸発生剤(B2)の種類に応じて、i線(波長365nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)やKrFエキシマレーザー(波長248nm)等の遠紫外線、シンクロトロン放射線等のX線、電子線等の荷電粒子線等を適宜選択して使用されるが、好ましくは遠紫外線あるいは荷電粒子線である。また、露光量等の露光条件は、感放射線性樹脂組成物の配合組成、各添加剤の種類等に応じて、適宜選定される。
本発明においては、解像度、現像性、パターン形状、PED安定性等に優れ、高精度の微細なレジストパターンを安定して形成するために、露光後に70〜160℃程度の温度、特に120〜160℃の温度で30秒以上加熱処理(以下、「露光後ベーク」という。)を行うことが好ましい。この場合、露光後ベークの加熱温度が70℃未満であると、PED安定性が低下する傾向がある。
次いで、露光されたレジスト被膜をアルカリ現像液により、通常、10〜50℃、30〜200秒の条件で現像することにより、所定のレジストパターンを形成する。
前記アルカリ現像液としては、例えば、アルカリ金属水酸化物;アンモニア水;モノ−、ジ−あるいはトリ−アルキルアミン類;モノ−、ジ−あるいはトリ−アルカノールアミン類;複素環式アミン類;テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド類;コリン;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を、通常、1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%の濃度となるように溶解したアルカリ性水溶液が使用される。
また、前記アルカリ性水溶液からなる現像液には、例えばメタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤を適量添加することもできる。
このようにアルカリ性水溶液からなる現像液を使用する場合には、一般に、現像後、水洗する。
なお、レジストパターンを形成する際に、環境雰囲気中に含まれる塩基性不純物等の影響を防止するため、レジスト被膜上に保護膜を設けることもできる。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
ここで、「部」は重量基準である。
実施例および比較例におけるMwとMw/Mnの測定および各レジストの評価は、下記の要領で行った。
MwおよびMw/Mn
東ソー(株)製GPCカラム(G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本)を用い、流量1.0ミリリットル/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40°Cの分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。
解像度
設計線幅0.26μmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)を形成したとき、1対1の線幅に形成する露光量を、最適露光量とし、最適露光量で露光したときに解像されるレジストパターンの最小寸法(μm)を、解像度とした。
膜面荒れ
設計線幅0.26μmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)のラインパターンを走査型電子顕微鏡にて観察し、図1に示すように、該ラインパターンの横側面に沿って生じた凹凸の最も著しい箇所における線幅と設計線幅0.26μmとの差ΔCDを測定して、下記基準で評価した。図1において、(イ)はレジストパターンの平面図、(ロ)はレジストパターンの側面図であり、凹凸は実際より誇張されている。
ΔCDが0.01μm未満:良好
ΔCDが0.01μm以上:不良
PED安定性
露光直後に露光後ベークを行って現像した場合の最適露光量で露光し、雰囲気中のアンモニア濃度を5ppbに制御したチャンバー内に2時間引き置いたのち、露光後ベークを行い、現像して、設計線幅0.26μmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)を形成したとき、パターン上部の線幅(Ltop)を走査型電子顕微鏡にて測定して、下記基準で評価した。
0.26×0.85<Ltop <0.26×1.1:良好
0.26×0.85≧Ltop :細り不良
0.26×1.1 ≦Ltop :太り不良
【0042】
(A)共重合体の合成
合成例1
p−アセトキシスチレン107g、メタクリル酸t−ブチル50g、アゾビスイソブチロニトリル6.0g、t−ドデシルメルカプタン1gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル160gに溶解し、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して、16時間重合させた。重合後、反応溶液を大量のヘキサン中に滴下して、生成樹脂を凝固精製した。次いで、精製樹脂に、再度プロピレングリコールモノメチルエーテル150gを加えたのち、さらにメタノール300g、トリエチルアミン80g、水15gを加えて、沸点にて還流させつつ、8時間加水分解反応を行なった。反応後、溶媒およびトリエチルアミンを減圧留去し、得られた樹脂をアセトンに溶解したのち、大量の水中に滴下して凝固させ、生成した白色粉末をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥した。
この樹脂は、Mwが12,000、Mw/Mnが1.7であり、13C−NMR分析の結果、p−ヒドロキシスチレンとメタクリル酸t−ブチルとの共重合モル比が、64:36であった。この樹脂を、共重合体(A−1)とする。
【0043】
合成例2
p−アセトキシスチレン100g、アクリル酸t−ブチル25g、スチレン18g、アゾビスイソブチロニトリル6.0g、t−ドデシルメルカプタン1gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル230gに溶解し、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して、16時間重合させた。重合後、反応溶液を大量のヘキサン中に滴下して、生成樹脂を凝固精製した。次いで、精製樹脂に、再度プロピレングリコールモノメチルエーテル150gを加えたのち、さらにメタノール300g、トリエチルアミン80g、水15gを加えて、沸点にて還流させつつ、8時間加水分解反応を行った。反応後、溶媒およびトリエチルアミンを減圧留去し、得られた樹脂をアセトンに溶解したのち、大量の水中に滴下して凝固させ、生成した白色粉末をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥した。
この樹脂は、Mwが11,500、Mw/Mnが1.6であり、13C−NMR分析の結果、p−ヒドロキシスチレンとアクリル酸t−ブチルとスチレンとの共重合モル比が、61:19:20であった。この樹脂を、共重合体(A−2)とする。
【0044】
合成例3
p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン67g、アクリル酸t−ブチル64g、アゾビスイソブチロニトリル8.0gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル130gに溶解し、窒素雰囲気下、反応温度を65℃に保持して、10時間重合させた。重合後、反応溶液を大量のヘキサン中に滴下して、生成樹脂を凝固精製した。次いで、精製樹脂をアセトンに溶解したのち、大量の水中に滴下して凝固させ、生成した白色粉末をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥した。
この樹脂は、Mwが12,400、Mw/Mnが1.7であり、13C−NMR分析の結果、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレンとアクリル酸t−ブチルとの共重合モル比が、50:50であった。この樹脂を、共重合体(A−3)とする。
【0045】
比較合成例1
ポリ(p−ヒドロキシスチレン)12gおよびトリエチルアミン5gをジオキサン50gに溶解した溶液に、攪拌下で、ジ−t−ブチルカーボネート7.0gを加えたのち、室温で6時間攪拌し、その後しゅう酸を加えて、トリエチルアミンを中和した。次いで、反応溶液を、大量の水中に滴下して、樹脂を凝固させ、凝固した樹脂を純水で数回洗浄して、ろ過したのち、減圧下50℃で一晩乾燥した。
この樹脂は、Mwが9,200、Mw/Mnが2.8であり、13C−NMR分析の結果、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)中のフェノール性水酸基の水素原子の30%が、t−ブトキシカルボニル基で置換された構造を有するものであった。この樹脂を、共重合体(a−1)とする。
【0046】
【実施例】
実施例1〜8および比較例1〜3
表1(但し、部は重量に基づく。)に示す各成分を混合して均一溶液としたのち、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過して、組成物溶液を調製した。
その後、各組成物溶液をシリコンウエハー上にスピンコートしたのち、表2に示す条件でプレベークを行って、膜厚0.7μmのレジスト被膜を形成した。
次いで、表2に示す条件で、露光および露光後ベークを行ったのち、2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用い、23℃で1分間、パドル法により現像したのち、純水で洗浄し、乾燥して、レジストパターンを形成した。なお比較例1では、共重合体(a−1)の分解温度が低く、130℃以上でベークを行うと、現像後にパターンが形成されないため、該共重合体に適した温度でベークを行った。
また、PED安定性を評価するため、同じ各レジストを用い、前記と同様にしてスピンコート、プレベークおよび露光を行なったシリコンウエハーを、各レジスト毎に2枚づつ用意し、そのうちの1枚は露光後直ちに露光後ベークを行い、もう1枚は雰囲気中のアンモニア濃度を5ppbに制御したチャンバー内に2時間引き置いたのち、露光後ベークを行った。
各レジストの評価結果を、表3に示す。
【0047】
ここで、実施例および比較例における感放射線性酸発生剤、酸拡散制御剤、他の添加剤および溶剤は、下記のとおりである。
感放射線性酸発生剤
B1−1:ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロブタンスルホネ ート
B1−2:トリフェニルスルホニウムパーフルオロブタンスルホネート
B2−1:ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム−p−トルエンスルホネート B2−2:ジフェニルヨードニウム−10−カンファースルホネート
B2−3:4−t−ブトキシフェニル・ジフェニルスルホニウム−10−カンファース ルホネート
B2−4:N−(10−カンファニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプ タン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド
酸拡散制御剤
C−1:トリ−n−ヘキシルアミン
他の添加剤
D−1:ポリ(p−ヒドロキシスチレン)(Mw=8,000)
D−2:2,2−ビス(4−t−ブトキシフェニル)プロパン
溶剤
EL :乳酸エチル
EEP :3−エトキシプロピオン酸エチル
PGMEA :プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
【発明の効果】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、解像度およびPED安定性が優れるとともに、特に「ナノエッジラフネス」あるいは「膜面荒れ」を生じることがなく、パターン形状に優れており、高精度の微細なレジストパターンを安定して形成することができる。しかも、本発明の感放射線性樹脂組成物は、紫外線、遠紫外線、X線、荷電粒子線の如き各種放射線に有効に感応することができる。したがって、本発明の感放射線性樹脂組成物は、今後さらに微細化が進行すると予想される半導体デバイス製造用の化学増幅型ポジ型レジストとして極めて好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】膜面荒れの評価方法を説明する図である。
【化1】 【化2】
Claims (2)
- (A)下記式(1)で表される繰返し単位(1)と下記式(2)で表される繰返し単位(2)とを有する共重合体、
【式1】
〔式(1)において、R1 は水素原子またはメチル基を示す。〕、
【式2】
〔式(2)において、R2 は水素原子またはメチル基を示し、R3 は炭素数4〜10の3級アルキル基を示す。〕、および
(B)2種以上の化合物からなる感放射線性酸発生剤
を含有し、前記(B)成分を構成する化合物の少なくとも1種が、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロブタンスルホネート、4−t−ブチルフェニル−ジフェニルスルホニウムパーフルオロブタンスルホネート、N−(パーフルオロブチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(パーフルオロブチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(パーフルオロブチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(パーフルオロブチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロブチルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロブチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミドおよびN−(パーフルオロブチルスルホニルオキシ)ナフチルイミドの群から選ばれる、放射線の照射により「3つ以上のふっ素原子を有するスルホン酸」を発生する化合物からなり、かつ前記(B)成分を構成する化合物の少なくとも1種が、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムドデシルベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム−p−トルエンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム−10−カンファースルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムオクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムドデシルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウム−p−トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウム−10−カンファースルホネート、ジフェニルヨードニウムオクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムドデシルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウム−10−カンファースルホネート、トリフェニルスルホニウムオクタンスルホネート、4−t−ブトキシフェニル・ジフェニルスルホニウムドデシルベンゼンスルホネート、4−t−ブトキシフェニル・ジフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホネート、4−t−ブトキシフェニル・ジフェニルスルホニウム−10−カンファースルホネート、4−t−ブトキシフェニル・ジフェニルスルホニウムオクタンスルホネート、N−(10−カンファ ニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(10−カンファニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(10−カンファニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファニルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミドおよびN−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ナフチルイミドの群から選ばれる、放射線の照射により「ふっ素原子を全くもたないスルホン酸」を発生する化合物からなることを特徴とする感放射線性樹脂組成物。 - 繰返し単位(1)の含有率が繰返し単位(1)と繰返し単位(2)との合計量に対して10〜90モル%であり、繰返し単位(2)の含有率が繰返し単位(1)と繰返し単位(2)との合計量に対して10〜90モル%である、請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。
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