JP3631459B2 - エコーキャンセラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、衛星通信、拡声電話等の通話品質の劣化要因となるエコー信号を消去するためのエコーキャンセラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のエコーキャンセラにおける適応化制御手段としては、例えば、(1)「エコーキャンセラ技術」(昭61−12−20)日本工業技術センターp129−p130に記載されているものが、また、従来のエコーキャンセラのフィルタ係数置換方法としては、例えば、(2)特開昭62−24726号公報に記載されているものがある。以下、その構成を図を用いて説明する。
図8は、前記文献(1)に記載された従来のエコーキャンセラのブロック図である。
kはディジタル信号の時刻であり、Rin(k)は時刻kにおける受信信号、即ち、遠端話者の音声を表している。エコー経路1は、拡声電話用のエコーキャンセラの場合には、スピーカから再生された遠端話者の音声がスピーカから音響空間を経由してマイクへ回り込む経路に相当し、また、衛星通信の回線用エコーキャンセラの場合には、2線4線変換のハイブリッドトランスのインピーダンス不整合により、遠端話者の音声が遠端側へ漏洩する経路に相当する。
受信信号Rin(k)は、エコー経路1を経ることでエコー信号となって近端音声Nin(k)に重畳する。従って、送信信号Tin(k)は近端音声のみではなく、遠端音声のエコーが重畳した信号になっており、このまま遠端側に送信されると通信品質が劣化する。エコーキャンセラでは適応フィルタ3により疑似エコー信号Tin’(k)を生成しエコー減算器2で送信信号Tin(k)から疑似エコー信号Tin’(k)を差し引くことで残差信号、即ち、エコー消去後の残差信号Res(k)を生成し、遠端側へ送信する。
適応化制御手段4は適応フィルタ3の適応化の制御を行うもので、ダブルトーク検出時、即ち、遠端話者と近端話者が同時に発話している時には、適応フィルタの適応化を停止させ、遠端話者のみが発話している時には、適応化を実行させるために、適応化制御フラグFLGを適応フィルタへ出力する。
【0003】
次に、図9を用いて前記適応化制御手段4をさらに詳しく説明する。
図9は、前記文献(1)に記載された従来のエコーキャンセラの適応化制御手段4のブロック図である。
レベル計算手段5は、受信信号Rin(k)の対数変換されたパワー、即ち、受信信号レベルLrin(k)を式(1)に従って計算して出力し、レベル計算手段6は、残差信号Res(k)の対数変換されたパワー、即ち、残差信号レベルLres(k)を式(2)に従って計算して出力する。そして、レベル差計算手段7は、受信信号レベルLrin(k)と残差信号レベルLres(k)のレベル差DL(k)を、式(3)に従って計算する。
【0004】
【数1】
【0005】
レベル差DL(k)は、エコー経路1によるエコーの損失量とエコーキャンセラによるエコー消去量の和を意味する。レベル補正手段8は、推定残差信号レベルLres’(k)を、式(4)に従って計算する。
ここで推定残差信号レベルLres’(k)は、送信信号Tin(k)に受信信号のエコー信号のみが存在する時、即ち、遠端話者のみが発話している時の残差信号レベルLres(k)の推定値に相当する。
比較手段9は、残差信号レベルLres(k)と推定残差信号レベルLres’(k)を比較し、以下の条件式(5)を満たす時には遠端話者、近端話者双方が発話状態、即ち、ダブルトーク状態であると判定し、適応フィルタの適応化を停止させるために適応化制御フラグFLGを0に設定する。
Lres(k)>Lres’(k) (5)
ここでFLG=1は、適応フィルタに対する適応化の実行指示を示し、FLG=0は、適応化の停止指示を示す。
【0006】
適応化制御は、近端音声が適応化処理の妨害となるレベルであるか否かを判定し、適応化の実行、停止を制御する処理である。近端音声が適応化処理の妨害となるのは、そのレベルが遠端信号によるエコー信号のレベルを上回った時であるから、適応化の実行と停止は、送信信号Tin(k)中のエコー信号レベルと近端音声のレベルの大小関係により制御するべきものである。即ち、図10で示すように、エコー信号レベルが近端音声のレベルを越えた時、或いは、近端音声のレベルにマージンを加えた値を越えた時に適応化を実行すべきである。
しかし、従来の技術では、残差信号レベルLres(k)と推定残差信号レベルLres’(k)からダブルトーク状態を検知するものであるが、図11または図12に示すように残差信号レベルLres(k)と推定残差信号レベルLres’(k)は、ほぼ同じ値をとるため、区間aのように、送信信号Tin(k)にエコー信号しか含まれていない区間においても、部分的にダブルトーク状態と誤検知して適応化を停止してしまう。また、ダブルトーク時には、残差信号レベルLres(k)は、推定残差信号レベルLres’(k)を上回るため、図11または図12の区間bのように、エコー信号レベルが近端音声のレベルを越えていて適応化が可能な区間でも、適応化を停止してしまう。
【0007】
次に、従来のエコーキャンセラのフィルタ係数置換方法の構成を図を用いて説明する。
図13は、前記文献(2)に記載された従来のエコーキャンセラのブロック図である。
図13の従来例が図8の従来例と構成上異なる点は、適応化制御手段4を備えず、切り替え手段12、待避用メモリ13、係数置換制御手段15を備える点である。また、図13の適応用メモリ10、積和演算手段11及びフィルタ係数更新手段14は、図8における適応フィルタを機能毎に分割して示したものであるので、これらは図13の従来例と図8の従来例の構成上の相違点ではない。なお、以後の説明で図8と重複する部分については、説明を省略する。
適応用メモリ10は、送信信号とエコー消去後の残差信号からアルゴリズムを用いて更新される適応化のためのフィルタ係数を記憶する。
待避メモリ13は、適応化が妥当と判断される間は上記適応用メモリ10のフィルタ係数を所定の区間分平行して記憶する。
係数置換制御手段15は、上記送信信号レベルと上記残差信号レベルとの差をみて適応フィルタの適応化のためのフィルタ係数の更新の適否を制御する。
まず、フィルタ係数更新手段14は、送信信号Tin(k)及び残差信号Res(k)から例えば、N−LMS法(学習同定法)などの適応フィルタアルゴリズムに従って、適応用メモリ10の第1のフィルタ係数H(j)を更新する。積和演算手段11は、受信信号Rin(k)と適応用メモリ10の第1のフィルタ係数H(j)の畳み込み演算を行うことで、疑似エコー信号を生成する。
一方、係数置換制御手段15は送信信号レベルLtin(k)と残差信号レベルLres(k)を、それぞれ式(6)、式(2)に従って計算し、さらに、Ltin(k)とLres(k)の差のDs(k)を、式(7)に従って計算する。
【0008】
【数2】
【0009】
さらに、係数置換制御手段15は、Ds(k)の時系列を観察し、Ds(k)が大きくなる時には、適応フィルタの適応化が正しく進行していると判断し、適応用メモリ10の第1のフィルタ係数を待避用メモリ13に転送する指令を切り替え手段12に与え、切り替え手段12は、指令に従った転送を行い、その結果適応用メモリ10の第1のフィルタ係数と同一の値が、待避用メモリ13の第2のフィルタ係数として保存される。
また、係数置換制御手段15は、Ds(k)が小さくなる時には、適応フィルタの適応化が誤って進行していると判断し、適応用メモリ10の第1のフィルタ係数を待避用メモリ13に保存されている第2のフィルタ係数の値で置換する指令を切り替え手段12に与え、切り替え手段12は、指令に従った転送を行う。
図14は、Ds(k)の時間変化と切り替え手段12による転送処理と置換処理のタイミングを示している。
図中のH(j)は適応用メモリ10の第1のフィルタ係数であり、Hm(j)は待避用メモリ13の第2のフィルタ係数である。
図中では、Ds(k)が大きくなり、適応用メモリ10の第1のフィルタ係数H(j)が待避用メモリ13の第2のフィルタ係数Hm(j)へ保存のために転送されるタイミングを「H(j)からHm(j)への保存タイミング」のパルスで示し、また、Ds(k)が小さくなり、待避用メモリ13の第2のフィルタ係数Hm(j)が適応用メモリ10の第1のフィルタ係数H(j)へ転送されるタイミングを「H(j)のHm(j)による置換タイミング」のパルスで示している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従来の適応用メモリのフィルタ係数を待避値で置換する構成は、置換対象の値が大きく違っている場合には、置換の瞬間に適応用メモリのフィルタ係数が瞬時に大きく変化するため、その瞬間に積和演算器の出力が不連続になり、その結果残差信号に異音が生じるという課題があった。
【0011】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、適応用メモリのフィルタ係数を待避値で置換しても置換の瞬間に値が不連続でなく異音が生じない音質の優れたエコーキャンセラを得ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るエコーキャンセラは、送信信号とエコー消去後の残差信号からアルゴリズムを用いて更新される適応化のためのフィルタ係数を記憶する適応用メモリと、適応化が妥当と判断される間は適応用メモリのフィルタ係数を所定の区間分平行して記憶する待避用メモリと、送信信号レベルと残差信号レベルとの差をみて適応フィルタの適応化のためのフィルタ係数の更新の適否を制御する係数置換制御手段と、上記適応用メモリ中の第1のフィルタ係数の値と、上記待避用メモリ中の第2のフィルタ係数の値を比較して補間する補間手段を備え、係数置換制御手段が適応化が妥当ではなくて上記第1のフィルタ係数の値を上記第2のフィルタ係数の値で置換するよう制御すると、補間手段は第1のフィルタ係数の値と第2のフィルタ係数の値とが連続な値となるよう所定のタイミング回数で補間して順次更新するようにした。
【0013】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
適応フィルタの適応化制御を改良した実施の形態について述べる。
図1は、本発明の実施の形態1における適応化制御手段のブロック図である。
この図において、図9と同一の部分については、同一の符号を付し説明を省略する。
適応化制御手段は、図8のエコーキャンセラに設けられる手段であり、ディジタル信号である受信信号Rin(k)、送信信号Tin(k)、残差信号Res(k)を入力とし、適応化制御フラグFLGaを出力する。
また、レベル計算手段5,16,6は、受信信号レベルLrin(k)、送信信号レベルLtin(k)、残差信号レベルLres(k)を計算して出力する。ここでレベルとは、例えば、パワーの対数変換値を指す。
エコーゲイン推定手段17は、受信信号レベルLrin(k)が明らかに有音である閾値を越えた時に、受信信号レベルLrin(k)と送信信号レベルLtin(k)から推定エコーゲインEGを、式(8)に従って計算する。つまり、受信信号がエコー経路で送信端に表れる等価利得を、前区間いくつかの平均値として求める。これは通常は、システムで決まった値であるが、これを時として計算する。
適応化制御手段は、受信信号が明らかに有音である時の受信信号と送信信号のレベル差の平均値を用いるので、エコーゲインを精度良く推定できる。
【0014】
【数3】
【0015】
エコーレベル推定手段18は、推定エコーレベルLech(k)を、式(9)に従って計算する。即ち、近端信号がないとしたときに、送信信号の中に受信信号がエコーとして表れる量を推定することになる。
Lech(k)=Lrin(k)+EG (9)
比較手段19は、残差信号レベルLres(k)にマージンαを加えた値を推定エコーレベルLech(k)と比較し、以下の条件式(10)を満たす時に適応化制御フラグFLGaを1に、満たさない時に0に設定し出力する。
Lech(k)≧Lres(k)+α (10)
【0016】
本発明の動作をエコー消去量の大きい場合、即ち、適応化が進んでエコーが十分にキャンセルされる場合を示した図2を用いて説明する。
本発明における適応化制御フラグFLGaの設定には、条件式(10)に示すように残差信号レベルLres(k)を推定エコーレベルLech(k)と比較する。図2は、残差信号レベルLres(k)と推定エコーレベルLech(k)の時間変化を示している。
残差信号レベルLres(k)は、エコー消去量が大きい場合は、近端音声レベルとほぼ等しく、また推定エコーレベルLech(k)は、エコー信号レベルとほぼ等しい。前述したように、適応化の制御に用いる理想的なパラメータは、近端音声レベルとエコー信号レベルであるので、本発明では、従来例で使用した残差信号レベルLres(k)と推定残差信号レベルLres’(k)よりも、望ましいパラメータを使用している。
そのため、従来例を説明した図11に比べ、多くの区間で適応化を実行することができる。即ち、図2の区間aのように、送信信号Tin(k)にエコー信号しか含まれていない区間では、推定エコーレベルLech(k)が近端音声レベルの近似である残差信号レベルを常に上回るので、継続的に適応化制御フラグFLGaを1に設定する動作となる。また、図2の区間bのように、ダブルトーク区間中のエコー信号レベルが近端音声レベルを上回っている区間でも、区間aと同様に推定エコーレベルLech(k)が残差信号レベルを上回るので、適応化制御フラグFLGaを1に設定する動作となる。
【0017】
なお、比較の条件式(10)におけるマージンαは、近端音声レベルを残差信号レベルLres(k)で近似した誤差と、推定エコーレベルLech(k)が推定値であるために、真のエコーレベルに対して持つ誤差を吸収するためのものである。
以上説明したように、本発明によれば、エコー消去量の大きい場合には、上記構成の信号比較により良好な適応化制御を行うことができる。
【0018】
実施の形態2.
適応フィルタの適応化制御を改良した他の実施の形態を述べる。
図3は、本発明の実施の形態2における適応化制御手段のブロック図である。この図において、図1及び図9と同一の部分については、同一の符号を付し説明を省略する。
この適応化制御手段は、図8のエコーキャンセラに設けられる手段であり、ディジタル信号である受信信号Rin(k)、送信信号Tin(k)を入力とし、適応化制御フラグFLGbを出力する。
また、レベル計算手段5,16は、実施の形態1と同様に、受信信号レベルLrin(k)と送信信号レベルLtin(k)を計算して出力する。
エコーゲイン推定手段17とエコーレベル推定手段18は、実施の形態1と同様に、推定エコーゲインEGと推定エコーレベルLech(k)を計算する。
比較手段20は、送信信号レベルLtin(k)、マージンβ、推定エコーレベルLech(k)による以下の条件式(11)を満たす時に適応化制御フラグFLGbを1に、満たさない時に0に設定し出力する。
Lech(k)≧Ltin(k)−β (11)
【0019】
本発明の動作をエコー消去量の小さい場合、即ち、適応化が未だ進まずにエコーのキャンセルが充分でない場合を示した図4を用いて説明する。
本発明における適応化制御フラグFLGbの設定には、条件式(11)に示すように、送信信号レベルLtin(k)を推定エコーレベルLech(k)と比較する。図4は、送信信号レベルLtin(k)と推定エコーレベルLech(k)の時間変化を示している。
送信信号レベルLtin(k)は、送信信号中に近端音声が含まれていない場合は、エコー信号レベルを表すため、推定エコーレベルLech(k)とほぼ等しくなり、また、近端音声と遠端音声が重なるダブルトーク時には、近端音声とエコー信号が重畳した信号のレベルを表すため、推定エコーレベルLech(k)を上回る。そのため、送信信号レベルLtin(k)と推定エコーレベルLech(k)を比較することで、送信信号Tin(k)にエコー信号しか含まれていない区間を推定し、適応化制御フラグFLGbを1に設定する。従来例を説明した図12と比較してわかるように、図4ではより多くの区間で適応化を実行する動作となる。
【0020】
なお、比較の条件式(11)におけるマージンβは、推定エコーレベルLech(k)が推定値であるために、真のエコーレベルに対して持つ誤差を吸収するためのものである。
以上説明したように、本発明によれば、エコー消去量の小さい場合には、上記構成の信号比較により良好な適応化制御を行うことができる。
【0021】
実施の形態3.
更に、他の改良された適応フィルタの適応化制御の形態について述べる。
図5は、本発明の実施の形態3における適応化制御手段のブロック図である。
この図において、図9及び図1と同一の部分については、同一の符号を付し説明を省略する。
この適応化制御手段も、図8のエコーキャンセラに設けられる手段であり、入出力は、図1,図3の構成と同様である。レベル計算手段5,16,6は、実施の形態1と同様に、受信信号レベルLrin(k)、送信信号レベルLtin(k)、残差信号レベルLres(k)を計算して出力する。ここでレベルとは、例えば、パワーの対数変換値を指す。
エコーゲイン推定手段17とエコーレベル推定手段18は、上記実施の形態と同様に、推定エコーゲインEGと推定エコーレベルLech(k)を計算する。適応化制御手段は、受信信号が明らかに有音である時の受信信号と残差信号のレベル差の平均値を用いるので、エコー消去量を精度良く推定できる。
比較手段19,20は、それぞれ実施の形態1,実施の形態2と同様に、適応化制御フラグFLGa,FLGbを設定しフラグ選択手段22に出力する。
また、エコー消去量推定手段21は、受信信号レベルLrin(k)が明らかに有音である閾値を越えた時に、送信信号レベルLtin(k)と残差信号レベルLres(k)から推定エコー消去量ERLEを、式(12)に従って計算する。
【0022】
【数4】
【0023】
フラグ選択手段22は、推定エコー消去量ERLEが閾値を越えた時、即ち、大きい時には、比較手段19の出力する適応化制御フラグFLGaを、また、推定エコー消去量ERLEが閾値を越えない時、即ち、小さい時には、比較手段20の出力する適応化制御フラグFLGbを、最終的な適応化制御フラグFLGとして出力する。ここでFLG=1は、適応フィルタに対する適応化の実行指示を示し、FLG=0は、適応化の停止指示を示す。
ここで適応フィルタによるエコー消去量に応じて適応化制御フラグFLGaとFLGbを使い分けるのは、エコー消去量の大小に関わらず、良好な適応化制御を行うためである。
既に、実施の形態1と実施の形態2で説明したように、良好な適応化制御のためにはエコー消去量が大きい時には、適応化制御フラグFLGaが有効であり、エコー消去量が小さい時には、適応化制御フラグFLGbが有効である。
【0024】
以上説明したように、本発明によれば、エコー消去量に応じて適応化制御フラグFLGaとFLGbを使い分けるので、エコー消去量の大小に関わらず、良好な適応化制御を行うことができる。
なお、α,βのマージンは、それぞれ近端音声レベルを残差信号レベルLres(k)で近似した誤差と推定エコーレベルが推定値としたために持つ誤差を吸収する効果がある。
【0025】
実施の形態4.
適応化制御による積和演算器のフィルタ係数切換時の異音発生をなくす構成と動作を説明する。
図6は、本発明の実施の形態4におけるフィルタ係数置換手段を備えるエコーキャンセラのブロック図である。
この図において、図13と同一の動作をする部分については説明を省略する。
図において、切り替え手段12は、係数置換制御手段15より適応用メモリ10の第1のフィルタ係数の値を待避用メモリ13に転送する指令を受けるとその指令に従った転送を行う点は従来例と同一であるが、適応用メモリ10の第1のフィルタ係数の値を待避用メモリ13の第2のフィルタ係数値で置換する指令を受けた時には何もしない点は従来例とは異なる。
新しい要素である補間手段23は、係数置換制御手段15より適応用メモリ10の第1のフィルタ係数の値を待避用メモリ13の値で置換する指令を受けた時には、即ち、現在の適応化が妥当でなくフィルタ係数を置換する時には、適応用メモリ10の第1のフィルタ係数H(j)と待避用メモリ13の第2のフィルタ係数Hm(j)を比較し、その値の差分を計算し、M回に分割して補間する場合の1回の変更幅DL(j),j=1,2,...,Jを、式(13)に従って計算し、待避用メモリ13に変更幅DL(j),j=1,2,...,Jを保存する。なお、ここでJは適応フィルタのtap数である。
【0026】
図7は、Ds(k)の時間変化と切り替え手段12による転送処理のタイミングと補間手段23による補間処理のタイミングを示している。
すなわち、Ds(k)が大きくなり、適応用メモリ10の第1のフィルタ係数H(j)が待避用メモリ13の第2のフィルタ係数Hm(j)へ保存のために転送されるタイミングを「H(j)からHm(j)への保存タイミング」のパルスで示し、また、Ds(k)が小さくなり、適応用メモリ10の第1をフィルタ係数H(j)の待避用メモリ13に保存されている第2のフィルタ係数Hm(j)へ変更するためのM回の補間のタイミングを「H(j)の補間タイミング」のパルスで示している。
従来例を説明した図14では、適応用メモリ10の第1のフィルタ係数H(j)を待避用メモリ13の第2のフィルタ係数Hm(j)へ変更する処理が1回の置換であったのに対し、本発明を説明した図8ではこの変更する処理がM回の補間であるので、本発明で補間前の第1のフィルタ係数と第2のフィルタ係数とが大きく異なっている場合でも、適応用メモリ10の第1のフィルタ係数を徐々に変更することができる。
次に、補間手段23は、1回目の補間時には適応用メモリ10の第1のフィルタ係数H(j)に変更幅DL(j)の値を加算する処理を、j=1,2,...,Jについて行う。以降、M回目の補間時まで適応用メモリ10の第1のフィルタ係数に、変更幅DL(j),j=1,2,...,Jの値を加算する動作を繰り返す。
その結果、M回目の補間が終了する時には、適応用メモリ10の第1のフィルタ係数の値は、補間開始前の待避用メモリ13の第2のフィルタ係数Hm(j),j=1,2,...,Jと同一の値になる。
【0027】
実施の形態5.
実施の形態1,2,3におけるレベル計算手段5,16,6で計算される受信信号レベルLrin(k)、送信信号レベルLtin(k)、残差信号レベルLres(k)は、パワーの対数変換値としたが、これをパワーで代用しても良い。本実施の形態では、適応化制御手段に実施の形態1,2,3と同じ動作をさせるために、式(8)の計算は式(14)に、式(9)の計算は式(15)に、条件式(10)の計算は式(16)に、条件式(11)の計算は式(18)に、式(12)の計算は式(20)にそれぞれ変更される。
ただし、α’は、以下の式(17)で表される。
ただし、β’は、以下の式(19)で表される。
【0028】
【数5】
【0029】
また更に、推定エコーゲインEGの計算式(14)及び推定エコー消去量ERLEの計算式(20)は、それぞれ式(21)、式(22)で代用しても良い。
【0030】
【数6】
【0031】
【発明の効果】
以上のように、フィルタ係数置換の際に、置換前の適応用メモリのフィルタ係数と待避用メモリのフィルタ係数の値を補間しながら置換するので、置換前の適応用メモリのフィルタ係数の値と待避用メモリのフィルタ係数の値が大きく違っていても、積和演算器の出力信号が不連続とならず、その結果残差信号に異音を生じなくなるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1における適応化制御手段の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1における適応化制御手段の動作を説明する図である。
【図3】この発明の実施の形態2における適応化制御手段の構成を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態2における適応化制御手段の動作を説明する図である。
【図5】この発明の実施の形態3における適応化制御手段の構成を示すブロック図である。
【図6】この発明の実施の形態4におけるフィルタ係数置換手段を含むエコーキャンセラを示すブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態4における係数置換手段の動作を説明する図である。
【図8】エコーキャンセラの全体構成を示すブロック図である。
【図9】従来の適応化制御手段の構成を示すブロック図である。
【図10】適応フィルタの適応化を実行すべき区間の例を示した図である。
【図11】従来の適応フィルタの適応化の実行区間の例を示した図である。
【図12】従来の適応フィルタの適応化の実行区間の例を示した図である。
【図13】従来のフィルタ係数置換方法を含むエコーキャンセラを示すブロック図である。
【図14】従来の係数置換方法の動作を説明する図である。
【符号の説明】
1 エコー経路、2 エコー減算器、3 適応フィルタ、4 適応化制御手段、5,6,16 レベル計算手段、7 レベル差計算手段、8 レベル補正手段、9 比較手段、10 適応用メモリ、11 積和演算手段、12 切り替え手段、13 待避用メモリ、14 フィルタ係数更新手段、15 係数置換制御手段、17 エコーゲイン推定手段、18 エコーレベル推定手段、19,20 比較手段、21 エコー消去量推定手段、22 フラグ選択手段、23 補間手段。
Claims (1)
- 送信信号とエコー消去後の残差信号からアルゴリズムを用いて更新される適応化のためのフィルタ係数を記憶する適応用メモリと、
適応化が妥当と判断される間は上記適応用メモリのフィルタ係数を所定の区間分平行して記憶する待避用メモリと、
上記送信信号レベルと上記残差信号レベルとの差をみて適応フィルタの適応化のためのフィルタ係数の更新の適否を制御する係数置換制御手段と、
上記適応用メモリ中の第1のフィルタ係数の値と上記待避用メモリ中の第2のフィルタ係数の値を比較して補間する補間手段を備え、
上記係数置換制御手段が適応化が妥当ではなくて上記第1のフィルタ係数の値を上記第2のフィルタ係数の値で置換するよう制御すると、補間手段は上記第1のフィルタ係数の値と第2のフィルタ係数の値とが連続な値となるよう所定のタイミング回数で補間して順次更新するようにしたエコーキャンセラ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001344026A JP3631459B2 (ja) | 1996-04-25 | 2001-11-09 | エコーキャンセラ |
Applications Claiming Priority (3)
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