JP3395388B2 - 信号適応処理装置及びエコー抑圧装置 - Google Patents

信号適応処理装置及びエコー抑圧装置

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JP3395388B2
JP3395388B2 JP19244194A JP19244194A JP3395388B2 JP 3395388 B2 JP3395388 B2 JP 3395388B2 JP 19244194 A JP19244194 A JP 19244194A JP 19244194 A JP19244194 A JP 19244194A JP 3395388 B2 JP3395388 B2 JP 3395388B2
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    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04BTRANSMISSION
    • H04B3/00Line transmission systems
    • H04B3/02Details
    • H04B3/20Reducing echo effects or singing; Opening or closing transmitting path; Conditioning for transmission in one direction or the other
    • H04B3/23Reducing echo effects or singing; Opening or closing transmitting path; Conditioning for transmission in one direction or the other using a replica of transmitted signal in the time domain, e.g. echo cancellers
    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04MTELEPHONIC COMMUNICATION
    • H04M9/00Arrangements for interconnection not involving centralised switching
    • H04M9/08Two-way loud-speaking telephone systems with means for conditioning the signal, e.g. for suppressing echoes for one or both directions of traffic
    • H04M9/082Two-way loud-speaking telephone systems with means for conditioning the signal, e.g. for suppressing echoes for one or both directions of traffic using echo cancellers

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Signal Processing (AREA)
  • Computer Networks & Wireless Communication (AREA)
  • Filters That Use Time-Delay Elements (AREA)
  • Cable Transmission Systems, Equalization Of Radio And Reduction Of Echo (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、情報として、入力信号
に適応処理を施して出力する、例えばディジタル通信に
用いて好適な信号適応処理装置及び例えばディジタル通
信におけるエコーキャンセラに用いて好適なエコー抑圧
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば衛星通信や海底ケーブル通信、携
帯電話等の通話において2線加入者線と4線中継線を結
ぶハイブリッドトランスのインピーダンス不整合によっ
て加入者側に戻ってくるエコーが発生する。このような
エコーは、通話品質を大きく劣化させるだけでなく、利
用者に違和感を感じさせる。
【0003】このエコーをキャンセルする装置には、例
えば4線区間に挿入されて設置局から加入者線側をみた
エコー経路の伝達特性を適応的に推定し、疑似的なエコ
ーを発生させエコーを含む信号から差し引くように構成
されたものがある。
【0004】適応的に伝達特性を推定するためにシステ
ムのパラメータを逐次的に推定するいわゆる学習機能を
有するアダプティブフィルタが用いられている。また、
このアダプティブフィルタのフィルタ係数を修正する部
分は適応アルゴリズムと呼ばれている。
【0005】従来からエコーキャンセルの適応アルゴリ
ズムは、数多く考えられてきている。この際、適応アル
ゴリズムに対する要求として、収束の高速化、実行速度
の高速化、ハードウェアの小型化等が挙げられている。
適応アルゴリズムは、一般に収束特性がよいものほど処
理量が多くなる傾向を有している。
【0006】このような適応アルゴリズムの中には、2
乗平均誤差を最急降下法に基づいて最小にするようにフ
ィルタ係数を修正するLMSアルゴリズムがある。この
適応アルゴリズムは演算量が少なくて済むという特徴を
有している。
【0007】また、別の適応アルゴリズムとしては学習
同定法がある。この学習同定法は、LMSアルゴリズム
が改良されており、優れた収束特性を有していることか
ら広く製品に適用し実用化されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、学習同定法
による適応アルゴリズムでは、この適応アルゴリズム中
での除算処理を1つの音声サンプル毎に行う必要がある
ことが知られている。この学習同定法は、前述したLM
Sアルゴリズムを改良したものであり、良好な収束特性
により残留エコー量を少なくできるが、トータルな演算
量に関しては1つの音声サンプル毎に除算処理が必要な
ためLMSアルゴリズムに劣ってしまう。このため、学
習同定法を適用した装置において実装されているDSP
(ディジタル信号処理プロセッサ)の負荷は実際少なく
ない。
【0009】さらに、実際の環境において使用される機
会の多い携帯電話では、騒音・話者音声の混入によりエ
コー推定が遅くなりエコーキャンセラの収束特性への影
響が無視できない。このようなとき、結果的に携帯側の
話者の音声を歪ませることになりかねない。
【0010】そこで、本発明は、上述したような実情に
鑑みてなされたものであり、演算処理が軽減すると共
に、信号の歪感を防止することができる信号適応処理装
置及びエコー抑圧装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる信号適応
処理装置は、上記伝送系を介して受信される第1の入力
信号x[n]の電力を計算する電力計算手段と、上記電力
計算手段により算出された電力を正規化する正規化手段
と、上記第1の入力信号x[n]、伝送系に送出すべき第
2の入力信号d[n]から擬似エコー成分の除去された信
号e[n]、上記正規化手段から出力される指数部
Pe、制御定数α及び時刻nにおけるフィルタ係数h
[i]に基づいて時刻n+1で更新するフィルタ係数h
(n+1)[i]をh(n+1)[i]=h(n)[i]+α
(e[n]x[n−i])2Peにより計算するフィルタ係
数更新手段と、上記第1の入力信号x[n]と上記フィル
タ係数更新手段からのフィルタ係数を用いて畳み込み演
算を行う畳み込み演算手段と、上記第2の入力信号d
[n]に含まれるエコー成分を上記畳み込み演算手段から
の出力信号で除去するエコー除去手段とを有することを
特徴とする。
【0012】ここで、第1の入力信号x[n]は送受話
器のスピーカに出力し、第2の入力信号d[n]が送受
話器のマイクから供給されている。また、フィルタ係数
更新部は、初期収束のなされた後エコー除去部の出力信
号レベルが所定の閾値を越えたとき、フィルタ係数の更
新を停止させるようにしている。
【0013】
【0014】ここで、信号適応処理装置は、上記エコー
除去手段からの出力信号と上記第2の入力信号d[n]と
を基にフィルタ係数の収束状況に対応した判定制御を行
う適応判定手段と、この適応判定手段からの判定結果に
応じて上記エコー除去手段からの出力信号e[n]と上記
第2の入力信号d[n]とを切り換える切換手段とを設け
る構成にしてもよい。
【0015】また、フィルタ係数更新部は、従来から知
られている学習同定法に基づいて計算するようにしても
よい。
【0016】本発明に係るエコー抑圧装置は、スピーカ
に供給する第1の入力信号x[n]の電力を計算する電力
計算手段と、上記電力計算手段により算出された電力を
正規化する正規化手段と、上記第1の入力信号x[n]、
伝送系に送出すべき第2の入力信号d[n]から擬似エコ
ー成分の除去された信号e[n]及び上記正規化手段から
出力される指数部2Pe、制御定数α及び時刻nにおけ
るフィルタ係数h[i]に基づいて時刻n+1での更新
するフィルタ係数h(n+1)[i]をh(n+1)[i]
=h(n)[i]+α(e[n]x[n−i])2Peにより
計算するフィルタ係数更新手段と、上記第1の入力信号
x[n]と上記フィルタ係数更新手段からのフィルタ係数
を用いて畳み込み演算を行う畳み込み演算手段と、マイ
クから入力する第2の入力信号d[n]に含まれるエコー
成分を上記畳み込み演算手段からの出力信号で除去する
エコー除去手段とを有することを特徴とする。
【0017】ここで、エコー抑圧装置は、上記エコー除
去手段からの出力信号e[n]と上記第2の入力信号d
[n]とを基にフィルタ係数の収束状況に対応した判定制
御を行う適応判定手段と、この適応判定手段からの判定
結果に応じて上記エコー除去手段からの出力信号e[n]
と上記第2の入力信号d[n]とを切り換える切換手段と
を設ける構成にしてもよい。
【0018】
【作用】本発明に係る信号適応処理装置は、スピーカに
供給する電力を正規化し、この正規化した電力の指数部
を学習同定法の演算式に代入するため、従来の学習同定
法による収束性の良さを有していながら、必要とする演
算処理量を大幅に軽減して、適応処理を高速化する。
【0019】信号適応処理装置は、第1の入力信号x
[n]として供給された受信信号をスピーカに出力し、
第2の入力信号d[n]として話者からマイクを介して
供給される信号に適用して例えば携帯電話等の通信機器
に生じる不具合の一つであるエコー信号をキャンセルし
ている。
【0020】また、フィルタ係数更新部は、フィルタ係
数の収束状況を判別してフィルタ係数が収束していると
判別される状況で、エコー除去部の信号レベルが所定の
閾値を越えたとき、フィルタ係数の更新を停止すること
により、フィルタ係数の更新処理をスキップして話者音
声を歪ませないようにしている。
【0021】さらに、本発明に係るエコー抑圧装置は、
スピーカに供給する電力を正規化し、この正規化した電
力の指数部を学習同定法の演算式に代入するため、従来
の学習同定法による収束性の良さを有していながら、必
要とする演算処理量を大幅に軽減して、適応処理を高速
化する。
【0022】さらに、本発明に係るエコー抑圧装置は、
伝送系から供給された受信信号である第1の入力信号x
[n]をスピーカに出力し、第2の入力信号d[n]と
して話者からマイクを介して供給される信号に適用する
ことにより、例えば携帯電話等の通信機器に生じる不具
合の一つであるエコー信号のキャンセル処理を従来に比
べて演算処理量の軽減を図って高速化させている。
【0023】このエコー抑圧装置は、適応判定部におい
てエコー除去部からの出力信号e[n]と第2の入力信
号d[n]とを基にフィルタ係数の収束状況を適応判定
し、切換スイッチでこの適応判定部からの判定結果に応
じてエコー除去部からの出力信号e[n]と第2の入力
信号d[n]とを切り換えることにより、話者音声の収
束途中の適応フィルタ係数によって合成される疑似エコ
ーの影響による歪んだ音声の発生も防いでいる。
【0024】
【実施例】以下、本発明に係る信号適応処理装置の実施
例及びエコー抑圧装置の一実施例について、図面を参照
しながら説明する。ここで、この信号適応処理装置及び
エコー抑圧装置は、携帯電話機に適用して好ましい例を
挙げて説明する。
【0025】この携帯電話機では、通信相手の話者から
受信してスピーカに送る信号をこの装置に入力される第
1の入力信号としてスピーカ出力信号と呼び、話者の話
すマイク入力による信号を第2の入力信号としている。
このマイク入力による信号には、エコー成分が含まれて
おり、この入力信号は、d[n]で表す。また、スピー
カ出力信号は、x[n]で表す。ただし、変数nは、時
刻に相当するサンプリング番号を示している。
【0026】信号適応処理装置は、例えば図1に示すよ
うに、マイク入力信号d[n]から疑似エコー成分を除
去するエコー除去部1と、伝送系を介して受信されるス
ピーカ出力信号x[n]の電力を計算する電力計算部2
と、フィルタ係数の更新を演算するフィルタ係数更新部
3と、このフィルタ係数更新部3により更新されたフィ
ルタ係数に基づいて畳込み演算を行って疑似エコーを生
成する疑似エコー合成部4と、信号に含まれるダブルト
ーク量の検出を行うダブルトーク検出部5とで構成され
ている。
【0027】エコー除去部1は、マイク入力信号d
[n]と疑似エコー合成部4から出力される疑似エコー
信号d’[n]との差を入力誤差信号e[n]として出
力する。入力誤差信号e[n]は、マイク入力信号d
[n]からエコー成分の除去された残留成分の信号であ
る。入力誤差信号e[n]は、通話相手に送出されると
共に、フィルタ係数更新部3にも供給される。
【0028】なお、疑似エコー信号d’[n]は、後述
するように観測信号であるスピーカ出力信号x[n]を
入力とする推定システムの出力である。
【0029】電力計算部2は、スピーカ出力信号x
[n]の電力、すなわちこの信号の2乗和を計算する。
この計算結果はフィルタ係数更新部3に供給される。
【0030】フィルタ係数更新部3は、後述する適応ア
ルゴリズムに沿って各フィルタ係数を求めている。この
フィルタ係数更新部3は、フィルタ係数h[n]を逐次
修正して疑似エコー合成部4に出力する。このフィルタ
係数h[n]は、実際のエコーパスのインパルス応答を
推定したものである。フィルタ係数更新部3について
は、後段でさらに計算における適応アルゴリズムを詳述
する。
【0031】疑似エコー合成部4は、フィルタ係数更新
部3からのフィルタ係数h[n]とスピーカ出力信号x
[n]に基づき疑似エコー信号d’[n]を畳込み演算
により合成している。疑似エコー合成部4は、この疑似
エコー信号d’[n]をエコー除去部1に供給してい
る。
【0032】次に、フィルタ係数更新部3において行わ
れる適応アルゴリズムについて説明する。
【0033】いま、時刻nでのエコー成分を含むマイク
入力信号d[n]、スピーカ出力信号x[n]、エコー
を発生させる経路でのインパルス応答の信号w[n]と
すると、マイク入力信号d[n]は、式(1)
【0034】
【数1】
【0035】となる。
【0036】また、疑似エコー合成部4では、疑似エコ
ーのインパルス応答の疑似エコー信号d’[n]は、式
(2)
【0037】
【数2】
【0038】と表される。
【0039】このとき、残留するエコー成分を含んだ信
号e[n]を表す式(3)は、式(1)から式(2)を
差し引いて
【0040】
【数3】
【0041】となる。ただし、式(3)におけるw
[i]は、i番目のインパルス応答の信号(以下、イン
パルス応答という)を示し、h[i]は、i番目のフィ
ルタ係数を示している。
【0042】ここで、本発明の信号適応処理装置におけ
る適応アルゴリズムでは、フィルタ係数更新部3から出
力されるフィルタ係数h[i]がインパルス応答w
[i]に近付くようにしなければならない。このための
従来からの実用的な適応処理方法としては学習同定法が
ある。学習同定法では、時刻nでの前述において各種規
定した信号を用いて時刻n+1におけるフィルタ係数h
(n+1) [i]を求めると、式(4)
【0043】
【数4】
【0044】と表される。ここで、αは、制御定数であ
る。
【0045】ところで、式(4)を見ると、式(4)の
分母は、スピーカ出力信号x[n]の電力計算結果であ
る。学習同定法による式(4)は、この電力計算結果で
除算することによって更新するフィルタ係数を算出して
いるため、例えばエコーキャンセラのような1サンプル
毎の逐次処理において大きな負荷になっている。学習同
定法の適応アルゴリズムは、LMSアルゴリズムの係数
修正項をフィルタの状態ベクトルノルム、すなわち上記
電力計算結果で正規化(normalized)した形になってい
る。学習同定法は、収束特性の面で非常に優れた収束性
を示すが、LMSアルゴリズムに比べて演算処理量の点
でやや劣っている。本発明の信号適応処理装置は、この
演算処理量でも略々同等の処理能力をもたせるため、フ
ィルタ係数更新部3の式(4)で表される演算処理を次
のように設定する。
【0046】ここで、式(4)の説明を簡単にするた
め、スピーカ出力信号x[n]の電力をPとおいて式
(5)で表す。
【0047】
【数5】
【0048】また、スピーカ出力信号x[n]の電力P
は、例えば正規化命令により2を底とする指数部Pe
仮数部Pm に分けることができる(式(6)を参照)。
【0049】
【数6】
【0050】この式(5)を式(6)に変形する操作
は、正規化命令で簡単に行うことができる。ここで、式
(6)における仮数部Pm は、0.5≦Pm <1の範囲
の値に設定する。式(6)を式(4)に代入すると、式
(4)は、式(7)
【0051】
【数7】
【0052】となる。
【0053】さらに、式(7)の簡略化を図るために仮
数部Pm を省略する。この省略によって式(7)は、式
(8)
【0054】
【数8】
【0055】と表される。この式(8)に基づいて更新
するフィルタ係数を計算すると、式(8)の右辺第2項
の変化率が、式(4)に比べて1〜2倍になって収束特
性が多少劣化してしまう。しかしながら、実際の使用環
境ではエコー経路の変動が極端に大きくないものと考え
られる。このことから、実際の使用時における収束特性
は、式(4)で表される従来からの学習同定法に比べて
極端に劣化してしまうわけではない。
【0056】また、最近のDSPには、正規化命令をサ
ポートしているものが多くあり、式(6)の変形は容易
に行うことができ、式(8)におけるスピーカ出力信号
x[n]の電力Pの指数項の乗算処理は、単純なシフト
演算で行うことができる。
【0057】ダブルトーク検出部5は、フィルタ係数更
新部3がフィルタ係数の初期収束を判定後フィルタ係数
の逐次更新を行っている中で、エコー除去部1の出力信
号レベルが所定の閾値を越えたとき、フィルタ係数の更
新を中断するよう指示する。これにより、騒音等の混入
による収束特性の悪化防止を図っている。
【0058】つぎに、本発明の信号適応処理装置におけ
る他の実施例について図2のブロック図を参照しながら
説明する。この実施例も信号適応処理装置を携帯電話機
に適用した場合を例に挙げて説明する。
【0059】信号適応処理装置は、例えば図2に示すよ
うに、マイク入力信号から疑似エコー成分を除去するエ
コー除去部1と、伝送系を介して受信されるスピーカ出
力信号x[n]の電力を計算する電力計算部2と、フィ
ルタ係数の更新を演算するフィルタ係数更新部3と、こ
のフィルタ係数更新部3により更新されたフィルタ係数
に基づいて疑似エコーを生成する疑似エコー合成部4
と、信号に含まれるダブルトーク量の検出を行うダブル
トーク検出部5と、フィルタ係数の収束状況に対応した
判定制御を行う適応判定部6と、適応判定部6からの判
定結果に応じて出力信号の切換選択を行う切換スイッチ
SWとで構成されている。
【0060】ここで、エコー除去部1、電力計算部2、
疑似エコー合成部4及びダブルトーク検出部5の構成
は、前述した実施例の構成と全く同じ構成を用いている
ことから共通する部分に同じ参照番号を付して説明を省
略する。また、フィルタ係数更新部3は、前述の実施例
と同じ式(8)に基づく演算を行う構成であってもよい
が、この実施例におけるフィルタ係数更新部3は、この
フィルタ構成に限定されることなく従来の学習同定法で
用いていたフィルタ構成、すなわち式(4)を実現させ
る構成であってもよい。
【0061】信号適応処理装置において従来から行われ
ている学習同定法を含めた構成のフィルタ係数更新部3
は、フィルタ係数の初期設定に2つの方法のいずれか一
方を採用している。これらの方法には、初期状態のフィ
ルタ係数h(0) [i]を0としてスタートする方法と予
め何らかの初期値を持たされたフィルタ係数h
(0) [i]を基にスタートする方法とがある。
【0062】ところで、この信号適応処理装置を適用す
る携帯電話機等は、使用に各種の状況が考えられ、さら
に端末間のばらつき等を考慮すると初期状態のフィルタ
係数h(0) [i]を0としてスタートさせる方が無難で
ある。
【0063】ところが、携帯電話機のような装置は、周
囲の騒音や話者音声が様々に存在する状況によって伝送
する信号に含まれるエコー成分をキャンセルさせる際の
収束性に影響を受けてしまう。特に、携帯電話機では、
エコーを収束させる途中に話者音声が入力された場合、
話者音声が歪んでしまいかねない。
【0064】この信号適応処理装置は、このような問題
に鑑み、エコーの収束結果を示すエコー抑圧量が所定の
レベルに到達するまで入力誤差信号e[n]の出力を抑
えて話者音声の歪感を未然に防ぐために適応判定部6と
切換スイッチSWとが設けている。
【0065】この適応判定部6は、エコー抑圧量が所定
のレベルに達しているか状況を判定し、この判定結果に
応じて制御信号を出力する。
【0066】切換スイッチSWは、この適応判定部6か
らの切換制御信号に応じてマイク入力信号d[n]とエ
コー除去部4から出力される入力誤差信号e[n]とを
切り換えるように設けている。
【0067】この信号適応処理装置で使用する式(3)
を変形させることによって式(9)
【0068】
【数9】
【0069】が得られる。この式(9)を用いて伝送系
に出力される信号におけるエコーキャンセルの収束度を
表す指標としてのエコー抑圧量ERLEを設ける。エコ
ー抑圧量ERLEは、式(10) ERLE=入力エコー電力/残留エコー電力 (10) によって定義される。
【0070】ここで、入力エコー電力は、マイク入力信
号d[n]の2乗和であり、残留エコー電力は、入力誤
差信号e[n]の2乗和である。
【0071】適応判定部6は、この式(10)で表され
る関係式を用い、エコー抑圧量ERLEを予め設定した
閾値と値の比較を行う。適応判定部6は、エコー抑圧量
ERLEが所定の閾値を越えたと判定したとき、切換ス
イッチSWに端子b側に切り換えるように切換制御信号
を出力する。この状態に達するまでの間、適応判定部6
は、切換スイッチSWの端子a側から信号が得られるよ
うに変更なし「切換制御」のままにしている。
【0072】さらに、この適応判定部6におけるエコー
抑圧量ERLE算出のより具体的なメモリ節約方法につ
いて図3を参照しながら説明する。
【0073】携帯電話機の音声コーデックでは、例えば
160サンプルを1つの単位として処理を行っている。
従って、マイク入力信号d[n]、スピーカ出力信号x
[n]に対してメモリは、図3(a)、(b)に示すよ
うに設定される。
【0074】ここで、図3の記号Nは、適応フィルタの
タップ数を示している。
【0075】マイク入力信号d[n]のメモリは、図3
(a)に示すように、n=0〜159を単位とし、d
[0・・・159]と表している。また、スピーカ出力
信号x[n]のメモリは、適応フィルタのタップ数も含
めた容量を確保している。従って、スピーカ出力信号x
[n]のメモリにおいてタップ数Nの分が負の整数値で
表すようにすると、メモリ容量は、n=−N、・・・、
0、・・・、159からx[−N・・・159]と表
す。
【0076】式(9)に基づいて検討すると、時刻nに
おいて第1項のx[n−i]から明らかなように、メモ
リは、x[n]〜x[n−N]を使う。しかしながら、
時刻n+1では、x[n+1−N]までしか使われず、
メモリにおけるx[n−N]の領域は不要になる。この
ようにしていらなくなった領域に入力誤差信号e[n]
を書き込むと、メモリを有効に使える。この手法を基に
160サンプル分の処理後にメモリには、図3(c)に
示すように、入力誤差信号e[0・・・159]とx
[159−N・・・159]とに分けて書き込まれる。
【0077】これにより、適応判定部6は、マイク入力
信号d[0・・・159]と入力誤差信号e[0・・・
159]のデータからそれぞれの電力の計算を行う。適
応判定部6は、それぞれ求めた電力を式(10)に代入
してエコー抑圧量ERLEという比を求める。そして、
適応判定部6は、このエコー抑圧量ERLEが初期状態
における収束状態を示す比を越える値に達したかどうか
の判定を行う。適応判定部6は、この判定結果に応じて
切換制御信号を切換スイッチSWに出力する。
【0078】このように動作させることにより、携帯電
話機では、話者音声に生じる歪みを未然に防いで伝送系
の通信を良好に行わせることができる。
【0079】なお、x[159−N・・・159]は、
次のフレームのために保存しておく。
【0080】つぎに、本発明のエコー抑圧装置について
図2のブロック図と図4及び図5のフローチャートを参
照しながら説明する。この実施例は、エコー抑圧装置を
例えば携帯電話機に適用した一例を示すものである。
【0081】エコー抑圧装置は、例えば図2に示すよう
に、マイク入力信号から疑似エコー成分を除去するエコ
ー除去部1と、伝送系を介して受信されるスピーカ出力
信号x[n]の電力を計算する電力計算部2と、フィル
タ係数の更新を演算するフィルタ係数更新部3と、この
フィルタ係数更新部3により更新されたフィルタ係数に
基づいて疑似エコーを生成する疑似エコー合成部4と、
信号に含まれるダブルトーク量の検出を行うダブルトー
ク検出部5と、フィルタ係数の収束状況に対応した判定
制御を行う適応判定部6と、適応判定部6からの判定結
果に応じて出力信号の切換選択を行う切換スイッチSW
とで構成されている。
【0082】エコー除去部1、電力計算部2、疑似エコ
ー合成部4及びダブルトーク検出部5の構成は、前述し
た実施例の構成と全く同じ構成を用いていることから共
通する部分に同じ参照番号を付して説明を省略する。ま
た、フィルタ係数更新部3は、式(8)に基づく演算を
行う構成になっている。
【0083】次に、このエコー抑圧装置の動作について
説明する。
【0084】エコー抑圧装置には、エコーに対する適応
が成されたことを示すフラグadpt_flag が設けられてい
る。エコーキャンセラ・ルーチンが呼び出されると、エ
コー抑圧装置は、このルーチンを開始する。上記フラグ
adpt_flag は、初期値0にセットしておく。
【0085】ステップS10では、ループカウンタL
n、Lmをそれぞれ0、1に設定してステップS11に
進む。
【0086】ステップS11では、入力誤差信号e
[n]に関する電力‖e‖2 の値を0に設定する。
【0087】次に、ステップS12では、時刻nにおけ
るスピーカ出力信号x[n]の電力を電力計算部2で計
算する。ここでの電力は、‖x‖2 で表す。電力計算部
2は、演算結果‖x‖2 の指数項をフィルタ係数更新部
3に出力する。フィルタ係数更新部3では、フィルタ係
数が、初期状態では0に設定されている。
【0088】次に、ステップS13では、疑似エコー合
成部4で疑似エコー信号d’[n]の合成処理を行う
(式(2)を参照)。疑似エコー信号d’[n]は、式
(2)から明らかなように、スピーカ出力信号x[n]
とフィルタ係数h[n]に基づく畳込み演算によって計
算される。
【0089】ステップS14では、この携帯電話機に入
力される話者音声であるマイク入力信号d[n]からス
テップS12で計算した疑似エコー信号d’[n]を差
し引く処理をエコー除去部1で行っている(式(3)を
参照)。これによって、マイク入力信号d[n]からエ
コー成分の除去処理が行われる。この処理の後に、ステ
ップ15に進む。
【0090】ステップS15では、ステップS12で求
めたスピーカ出力信号x[n]の電力‖x‖2 の大きさ
を所定の信号電力値TH1との比較判定を行う。電力‖
x‖2 が所定の信号電力値TH1より大きいとき(Ye
s)、フィルタ係数の更新に必要な出力信号レベルを有
しているとしてステップS16に進む。また、電力‖x
2 が所定の信号電力値TH1以下のとき(No)、フ
ィルタ係数の更新に必要な出力信号レベルがスピーカ出
力信号x[n]にないと判断してフィルタ係数更新に関
するステップをスキップしてステップS20に移行す
る。
【0091】ステップS16では、フラグadapt_flag
が0かどうかの判定を行っている。フラグadapt_flag
が0のとき(Yes)、ステップS19に進む。また、
フラグadapt_flag が0でないとき(No)、エコーに
対する適応処理が初期収束していることを示し、ステッ
プS17に進む。
【0092】ステップS17では、入力誤差信号e
[n]に基づいて後段のステップにおいて算出された電
力‖e‖2 が予め設定しておいた閾値TH2より大きい
かどうかの判定を行っている。電力‖e‖2 が閾値TH
2より大きいとき(Yes)、フィルタ係数の更新を行
わずにステップS20までスキップする。また、電力‖
e‖2 が閾値TH2以下のとき(No)、ステップS1
8に進む。
【0093】ステップS18では、音声コーデックにお
ける1つ前のサブフレームの入力誤差信号epre の電力
‖epre 2 を所定の閾値TH2と比較判定している。
電力‖epre 2 が所定の閾値TH2より大きいとき
(Yes)、フィルタ係数の更新を行わず、ステップS
20にスキップする。また、電力‖epre 2 が所定の
閾値TH2以下のとき(No)、ステップS19に進
む。
【0094】ここで、上記サブフレームとは、1フレー
ムを構成する160サンプル中の40サンプルをサブグ
ループとする構成を示している。従って、このステップ
では、サブフレームにおける電力を所定の閾値TH2と
比較判定していることになる。
【0095】このステップS17、S18の処理は、図
2に示すダブルトーク検出部5で行っている。ダブルト
ークとは、例えば通話時等において相手話者音声と話者
音声とが重なる現象でこの状態ではフィルタ係数の収束
の悪化を引き起こす。このステップS17、S18によ
ってダブルトークが発生したとき、強制的にフィルタ係
数の更新を停止させて話者音声に歪みが発生しないよう
にしている。
【0096】ステップS19では、フィルタ係数の更新
を行う。このフィルタ係数の更新処理は、図2に示すフ
ィルタ係数更新部3で式(6)により電力に対する正規
化を行い、得られた結果を式(8)に代入して時刻nの
フィルタ係数から時刻n+1でのフィルタ係数を算出し
ている。
【0097】このフローチャートにあらわに表してはい
ないが、図2の疑似エコー合成部4では、この更新され
たフィルタ係数と入力されたスピーカ出力信号x[n]
とを用いて畳込み演算を行ってエコー経路に対して推定
した疑似エコー信号d’[n]をエコー除去部1に供給
する。エコー除去部1では、話者によるマイク入力信号
d[n]から疑似エコー信号d’[n]を差し引いて入
力誤差信号e[n]を算出する。この入力誤差信号e
[n]は、切換スイッチSWの端子bに供給されると共
に、適応判定部6にも供給されている。
【0098】次に、ステップS20では、適応判定部6
で入力誤差信号e[n]の電力‖e‖2 の計算を行って
いる。この電力‖e‖2 は、40サンプル、すなわちサ
ブフレーム毎に更新するように計算されている。
【0099】次に、ステップS21では、サンプル数を
示すループカウンタLnの値を1だけ歩進させ、ステッ
プS22に進ませている。
【0100】ステップS22ではサブフレームのカウン
ト数を示すループカウンタLmにサブフレームのサンプ
ル数である40を掛けた結果がループカウンタLnに一
致するかどうか判定している。判定結果が不一致のとき
(No)、ステップS12に戻して前述した処理を繰り
返す。また、判定結果が一致のとき(Yes)、手順を
ステップS23に進める。このステップによってサブフ
レーム毎の演算処理が行われるようになっている。
【0101】ステップS23では、ループカウンタLm
の値を1だけ歩進させ、ステップS20で求めた電力‖
e‖2 を1つ前のサブフレームの電力‖epre 2 とし
て代入して電力‖epre 2 の値を更新している。この
更新処理の後に、ステップS24に進む。
【0102】ステップS24では、サンプル数が160
に達したかどうかループカウンタLnによって判定して
いる。まだループカウンタLnが160に達していない
とき(No)、ステップS11に戻して前述した処理を
繰り返す。また、ループカウンタLnが160に達した
とき(Yes)、1フレームの処理が終了したとして接
続子Aと図5の接続子を介してステップS25に進め
る。
【0103】ステップS25では、適応判定部6におい
てフラグadapt_flag が0かどうか判定を行っている。
フラグadapt_flag が0のとき(Yes)、ステップS
26に進む。
【0104】ステップS26では、式(10)によって
得られるエコー抑圧量ERLEを計算している。
【0105】次に、ステップS27では、適応判定部6
において求めたエコー抑圧量ERLEが予め設定してお
いた閾値TH3との大小比較が行われている。エコー抑
圧量ERLEが閾値TH3より大きいとき(Yes)、
ステップS28に進む。また、エコー抑圧量ERLEが
閾値TH3以下のとき(N0)、ステップS29に進
む。
【0106】ステップS28では、ステップS27の結
果を受けてフラグadpt_flag の値を1に設定してステッ
プS29に進む。
【0107】ステップS29では、適応判定部6がまだ
収束性が不十分であるとしてマイク入力信号d[n]を
送出するように切換制御信号を切換スイッチSWに出力
する。切換スイッチSWは、切換制御信号に応じてマイ
ク入力信号d[n]が供給されている端子a側に切換選
択して出力する。このステップS29でのマイク入力信
号d[n]の出力により、このエコーキャンセラ・ルー
チンを終了する。
【0108】また、ステップS25におけるフラグadap
t_flag の値が0でないのとき(No)、適応処理を行
った結果、入力誤差信号e[n]が収束した状態になっ
たものとして手順をステップS30に進める。
【0109】ステップS30では、適応判定部6から入
力誤差信号e[n]が送出されるように切換制御信号を
切換スイッチSWに出力する。切換スイッチSWは、切
換制御信号に応じて端子b側に切換選択して入力誤差信
号e[n]を出力する。このステップS30での入力誤
差信号e[n]の出力により、このエコーキャンセラ・
ルーチンを終了する。
【0110】このような手順で話者からの入力信号に含
まれるエコー抑圧処理を行うことにより、従来の処理に
比べて演算処理量を少なくさせている。これにより、例
えばDSPの処理を軽減させることができ、消費電力を
抑えることができる。
【0111】また、適応判定部6による結果に基づき初
期収束に達するまでエコーキャンセラを動作させないよ
うに制御することにより、送出される話者音声に歪みを
生じさせないようにすることができる。
【0112】さらに、所定の閾値に対する判定に応じて
フィルタ係数の更新を停止することによっても不適切な
フィルタ係数により生じる上記話者音声への歪みをなく
すことができる。
【0113】以上のように構成することにより、フィル
タ係数更新部3での演算が従来の学習同定法に比べて除
算処理を省略して簡略化を図って、従来の学習同定法に
よる収束性の良さを有していながら、必要とする演算処
理量を大幅に軽減して例えばDSPの負荷を軽減するこ
とにより、装置の消費電力を抑えることができ、従来に
比べて適応処理をより一層の高速化させることができ
る。
【0114】第1の入力信号x[n]として供給された
受信信号をスピーカに出力し、第2の入力信号d[n]
として話者からマイクを介して供給される信号に適用し
て例えば携帯電話等の通信機器に生じる不具合の一つで
あるエコー信号をキャンセルすることができる。
【0115】フィルタ係数更新部3は、フィルタ係数の
収束状況を判別してフィルタ係数が収束していると判別
される状況で、エコー除去部1の信号レベルが所定の閾
値を越えたとき、フィルタ係数の更新を停止させて、不
適切なフィルタ係数を用いたエコーキャンセル処理によ
り、話者音声に生じる歪みを未然に防止することができ
る。
【0116】また、信号適応処理装置は、適応判定部6
においてエコー除去部1からの出力信号e[n]と第2
の入力信号d[n]とを基にフィルタ係数の収束状況を
適応判定し、切換スイッチSWでこの適応判定部6から
の判定結果に応じてエコー除去部1からの出力信号e
[n]と第2の入力信号d[n]とを切り換えることに
より、話者音声等の混入による収束性低下に基づいた収
束途中の適応フィルタ係数によって生じていた歪んだ音
声の発生を防ぐことができる。
【0117】さらに、エコー抑圧装置は、供給された受
信信号である第1の入力信号x[n]をスピーカに出力
し、第2の入力信号d[n]として話者からマイクを介
して供給される信号に適用して、例えば携帯電話等の通
信機器に生じる不具合の一つであるエコー信号のキャン
セル処理を従来に比べて演算処理量の軽減させることに
より、装置の消費電力を抑えることができる。
【0118】また、適応判定部6による結果に基づき初
期収束に達するまでエコーキャンセラを動作させないよ
うに制御することにより、送出される話者音声に歪みを
生じさせないようにすることができる。
【0119】そして、所定の閾値に対する判定に応じて
フィルタ係数の更新を停止することによっても不適切な
フィルタ係数により生じる上記話者音声への歪みをなく
すことができる。
【0120】
【発明の効果】本発明に係る信号適応処理装置によれ
ば、スピーカに供給する電力を正規化し、この正規化し
た電力の指数部を学習同定法の演算式に代入して、フィ
ルタ係数の演算を行うため、学習同定法に用いられる演
算量が減少し、適応処理を高速化することができる。
【0121】第1の入力信号x[n]として供給された
受信信号を送受話器のスピーカに出力し、第2の入力信
号d[n]として話者から送受話器のマイクを介して供
給される信号に適用して例えば携帯電話等の通信機器に
生じる不具合の一つであるエコー信号をキャンセルする
ことができる。
【0122】フィルタ係数更新手段は、フィルタ係数の
収束状況を判別してフィルタ係数が収束していると判別
される状況で、エコー除去手段の信号レベルが所定の閾
値を越えたとき、フィルタ係数の更新を停止させて、不
適切なフィルタ係数を用いたエコーキャンセル処理によ
り、話者音声に生じる歪みを未然に防止することができ
る。
【0123】また、信号適応処理装置は、適応判定手段
においてエコー除去手段からの出力信号e[n]と第2
の入力信号d[n]とを基にフィルタ係数の収束状況を
適応判定し、切換手段でこの適応判定手段からの判定結
果に応じてエコー除去手段からの出力信号e[n]と第
2の入力信号d[n]とを切り換えることにより、話者
音声等の混入による収束性低下に基づいた収束途中の適
応フィルタ係数によって生じていた歪んだ音声の発生を
防ぐことができる。
【0124】エコー抑圧装置は、スピーカに供給する電
力を正規化し、この正規化した電力の指数部を学習同定
法の演算式に代入することにより、学習同定法に用いら
れる演算量が減少し、適応処理を高速化することができ
る。
【0125】また、適応判定手段による結果に基づき初
期収束に達するまでエコーキャンセラを動作させないよ
うに制御することにより、送出される話者音声に歪みを
生じさせないようにすることができ、所定の閾値に対す
る判定に応じてフィルタ係数の更新を停止することによ
っても不適切なフィルタ係数により生じる上記話者音声
への歪みをなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る信号適応処理装置の概略的な構成
を示すブロック図である。
【図2】上記信号適応処理装置における他の実施例及び
本発明に係るエコー抑圧装置における実施例の概略的な
構成を示すブロック図である。
【図3】上記信号適応処理装置の適応判定部におけるエ
コー抑圧量ERLE算出でのより具体的なメモリ節約方
法を説明する模式図である。
【図4】エコー抑圧装置における動作を説明するための
フローチャートである。
【図5】エコー抑圧装置における動作を説明するための
フローチャートである。
【符号の説明】
1 エコー除去部 2 電力計算部 3 フィルタ係数更新部 4 疑似エコー合成部 5 ダブルトーク検出部 6 適応判定部 SW 切換スイッチ
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04B 3/00 - 3/44 H03H 21/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 伝送系における信号の伝達特性を適応的
    に推定し、この推定に応じた信号処理を行う信号適応処
    理装置において、 上記伝送系を介して受信される第1の入力信号x[n]の
    電力を計算する電力計算手段と、 上記電力計算手段により算出された電力を正規化する正
    規化手段と、 上記第1の入力信号x[n]、伝送系に送出すべき第2の
    入力信号d[n]から擬似エコー成分の除去された信号e
    [n]、上記正規化手段から出力される指数部2Pe、制
    御定数α及び時刻nにおけるフィルタ係数h[i]に基
    づいて時刻n+1で更新するフィルタ係数h(n+1)
    [i]を h(n+1)[i]=h(n)[i]+α(e[n]x[n−i])2Pe により計算するフィルタ係数更新手段と、 上記第1の入力信号x[n]と上記フィルタ係数更新手段
    からのフィルタ係数を用いて畳み込み演算を行う畳み込
    み演算手段と、 上記第2の入力信号d[n]に含まれるエコー成分を上記
    畳み込み演算手段からの出力信号で除去するエコー除去
    手段とを有することを特徴とする信号適応処理装置。
  2. 【請求項2】 上記第1の入力信号x[n]は送受話器の
    スピーカに出力し、上記第2の入力信号d[n]が上記送
    受話器のマイクから供給されることを特徴とする請求項
    1記載の信号適応処理装置。
  3. 【請求項3】 上記フィルタ係数更新手段は、上記エコ
    ー除去手段の信号レベルが所定の閾値を超えたとき、フ
    ィルタ係数の更新を停止することを特徴とする請求項1
    記載の信号適用処理装置。
  4. 【請求項4】 上記エコー除去手段からの出力信号と上
    記第2の入力信号d[n]とを基にフィルタ係数の収束状
    況に対応した判定制御を行う適応判定手段と、 この適応判定手段からの判定結果に応じて上記エコー除
    去手段からの出力信号e[n]と上記第2の入力信号d
    [n]とを切り換える切換手段とを有することを特徴とす
    る請求項1記載の信号適応処理装置。
  5. 【請求項5】 入力信号に含まれるエコー成分を抑圧し
    て送出するエコー抑圧装置において、 スピーカに供給する第1の入力信号x[n]の電力を計算
    する電力計算手段と、 上記電力計算手段により算出された電力を正規化する正
    規化手段と、 上記第1の入力信号x[n]、伝送系に送出すべき第2の
    入力信号d[n]から擬似エコー成分の除去された信号e
    [n]及び上記正規化手段から出力される指数部2Pe
    制御定数α及び時刻nにおけるフィルタ係数h[i]に
    基づいて時刻n+1での更新するフィルタ係数h
    (n+1)[i]を h(n+1)[i]=h(n)[i]+α(e[n]x[n−i])2Pe により計算するフィルタ係数更新手段と、 上記第1の入力信号x[n]と上記フィルタ係数更新手段
    からのフィルタ係数を用いて畳み込み演算を行う畳み込
    み演算手段と、 マイクから入力する第2の入力信号d[n]に含まれるエ
    コー成分を上記畳み込み演算手段からの出力信号で除去
    するエコー除去手段とを有することを特徴とするエコー
    抑圧装置。
  6. 【請求項6】 上記エコー除去手段からの出力信号e
    [n]と上記第2の入力信号d[n]とを基にフィルタ係数
    の収束状況に対応した判定制御を行う適応判定手段と、 この適応判定手段からの判定結果に応じて上記エコー除
    去手段からの出力信号e[n]と上記第2の入力信号d
    [n]とを切り換える切換手段とを有することを特徴とす
    る請求項5記載のエコー抑圧装置。
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