JP4474522B2 - 残差抑圧可変型エコーキャンセラ - Google Patents

残差抑圧可変型エコーキャンセラ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は残差抑圧可変型エコーキャンセラに関し、特に残留エコーの抑圧量を可変し残留エコーを低減すると共に、2線式回線を4線式回線に変換するハイブリッド手段に備えた複数のバランスネットワークを選択し、更に残留エコーの低減を図る残差抑圧可変型エコーキャンセラに関する。
【0002】
【従来の技術】
電話回線の構成として通常、加入者回線には2線式回線を、又、中継回線には4線式回線が用いられており、2線式回線を4線式回線に変換するためにハイブリッド手段が用いられる。このハイブリッド手段には、例えばハイブリッドトランス(以降、HYBトランスと称す)があり、このHYBトランスには、2線式回線の特性インピーダンスとインピーダンス整合を行うバランスネットワーク(以降、BNWと称す)が設けられることが多い。つまり、BNWにより前記HYBトランスにおけるインピーダンス整合を図ることで、4線式回線の受信側から送信側への音声信号の回り込み成分であるエコーを防ぐよう機能している。又、2線式回線の特性インピーダンスとBNWのインピーダンスとは完全に一致させることは不可能であり、不一致の程度に応じてエコーは発生してしまうものである。このエコーは、中継回線における音声信号の遅延時間が十数msec程度以下であると通話時に大きな影響を与えることはないが、中継回線に衛星回線を経由させる等して遅延時間が大幅に増加すると、送話者の音声信号が、相手側HYBトランスを経由し時間遅れを伴なって送話者自身に還流されるため、通話品質が著しく低下する。そのため、中継回線の遅延時間が所定の遅延時間より大きい場合、エコーキャンセラを挿入してエコーの消去を行う。
【0003】
図3は、従来のエコーキャンセラを電話回線に挿入した際の構成例である。同図は、A地区に設置した電話機1aと、2線式回線/4線式回線変換を行うHYBトランス2aと、エコーキャンセラ3aと、B地区に設置した電話機1bと、2線式回線/4線式回線変換を行うHYBトランス2bと、エコーキャンセラ3bと、中継回線7とにより構成し、エコーキャンセラ2a、2bには、擬似エコー生成部4a、4bと、擬似エコーを用いてエコーを消去する減算器5a、5bと、残留成分を抑圧する残差抑圧部6a、6bとを備えている。
【0004】
図3の動作を説明する。先ず、構成例に示したエコーキャンセラ3a、3bが挿入されていない場合を仮定し、A地区の送話者が電話機1aを用いて通話を行うと、音声信号は、中継回線を経由してB地区の電話機1bに到達する。更に、音声信号は、HYBトランス2bを介してHYBトランスのインピーダンス不整合に起因して生じるエコーBとなり、A地区の送話者が発した音声信号が自己の電話機1aに還流する。エコーは、中継回線7により往復遅延時間が数十msec〜数百msec以上発生すると、エコーにより送話者の通話品質は著しく低下する。そこで、エコーを消去するためエコーキャンセラ3a、3bを挿入し、HYBトランスにおいて生じるエコーを夫々の端末側において消去する。
【0005】
エコーキャンセラの動作を、A地区の送話者が発した音声信号のエコーであるエコーBを消去するエコーキャンセラ3bにより説明すると、擬似エコー生成部4bにおいて、到来する受信信号とエコー消去した後の残留エコーとを基にエコー経路の特性を推定し、推定したエコー経路の特性に合わせた擬似エコーを生成する。そして、擬似エコー生成部4bは、残留エコーが低減するよう逐次擬似エコーの特性を可変し最適な擬似エコーを生成するよう動作する。次に、減算部5bは、HYBトランス2bを介して回り込むエコーBから、前記生成した擬似エコーを減算し、エコー消去を行う。なお、エコー消去の手順として、仮に、エコーとは極性を反転させた疑似エコーを生成するとすれば、前記減算器5bに代って加算器を用いることになることは言うまでもない。
更に、減算の後残留するエコーを残差抑圧部6bにより抑圧する。なお、前記残差抑圧部6bの抑圧量は固定値となっており、残留エコーは前記固定の抑圧量分だけ抑圧される。
【0006】
このように、4線式回線と2線式回線の変換を行なうハイブリッド手段におけるインピーダンス不整合により生ずるエコーを、疑似エコー生成部により逐次疑似エコーの特性を可変して最適な疑似エコーを生成すると共に、減算部により前記疑似エコーを用いて前記エコーを打ち消すことによりエコー消去を行ない、且つ、前記エコー消去の後に残留した残留エコーを残差抑圧部により抑圧するエコーキャンセラを残差抑圧型エコーキャンセラと言う。
また、前記エコーキャンセラは、HYBトランスに接続する2線式回線が、例えば交換回線の如く通話の都度異なり、その特性インピーダンスが変化する場合においてもエコーの消去が行われるように、擬似エコー生成部に備えている擬似エコー生成手段の一つであるFIRフィルタの係数を、残留エコー等から推定することにより常時更新しており、エコーキャンセラがエコー経路の特性変化に追従できるようにしている。
従って、上述の例に示したエコーキャンセラを用いれば、A地区の送話者が発した音声信号は、自己の電話機に相手側HYBトランスを介して還流するのを防止することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のエコーキャンセラは、HYBトランスに接続する2線式回線の特性インピーダンスが大きく変化して、HYBトランスに設けたBNWのインピーダンスとの整合が十分とれず、4線式回線の受信側から送信側への音声信号の回り込み成分であるエコー量が増大した際に、十分にエコーを消去しきれないという問題が生じていた。
本発明は、上述したような従来のエコーキャンセラの問題を解決するためになされたものであって、HYBトランスに接続する2線式回線の特性インピーダンスが大きく変化してもエコーの消去量を十分確保可能な残差抑圧可変型エコーキャンセラを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明に係る残差抑圧可変型エコーキャンセラは以下の構成をとる。請求項1記載の残差抑圧可変型エコーキャンセラは、4線式回線と2線式回線の変換を行なうハイブリッド手段におけるインピーダンス不整合により生ずるエコーを、疑似エコー生成部により逐次疑似エコーの特性を可変して最適な疑似エコーを生成すると共に、減算部により前記疑似エコーを用いて前記エコーを打ち消すことによりエコー消去を行ない、且つ、前記エコー消去の後に残留した残留エコーを残差抑圧部により抑圧する残差抑圧型エコーキャンセラにおいて、残留エコーを抑圧する抑圧値を可変可能な残差抑圧部と、前記残差抑圧部から出力される残留エコーのレベルを測定するレベル測定部とを備え、前記レベル測定部は予め定められた所定のしきい値(第1のしきい値)を有し、前記残差抑圧部から出力される残留エコーのレベルと前記第1のしきい値とを比較し、残留エコーのレベルが第1のしきい値よりも高い場合には、前記レベル測定部は前記残差抑圧部に抑圧値を大きくするよう抑圧制御し、前記ハイブリッド手段に、異なる特性を有する複数のバランスネットワークを切替可能に接続し、前記レベル測定部は、予め定められた所定のしきい値(第2のしきい値)を有し、前記残差抑圧部による抑圧制御を所定回数或いは所定量行なった後に、前記レベル測定部は、前記残差抑圧部から出力される残留エコーのレベルと前記第2のしきい値とを比較し、残留エコーのレベルが第2のしきい値よりも高い場合には、前記バランスネットワークの切替制御を行なうことを特徴とする。また、本発明に係わる残差抑圧可変型エコーキャンセラの請求項2記載の発明は、前記請求項1記載の残差抑圧可変型エコーキャンセラにおいて、前記擬似エコー生成部はFIRフィルタを含むものであり、前記受信データと前記エコーとのレベル比較を行うことにより近端音声を検出する近端音声検出部及びリファレンスデータ格納部の出力と前記減算部の出力から更新すべき最適な前記FIRフィルタのフィルタ係数を求めるフィルタ係数更新部を備え、前記近端音声検出部が近端音声を検出したときには、前記フィルタ係数の更新及び残差抑圧制御及びバランスネットワーク切替制御を禁止するようにしたことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図示した実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明に係る残差抑圧可変型エコーキャンセラの一実施例を示す構成図である。同図は、2線式回線に接続し4線式回線への変換を行うHYBトランス8を介して、4線式回線(R)から4線式回線(S)に回り込むエコーを消去するためのエコーキャンセラを示す。
【0010】
この例に示す残差抑圧可変型エコーキャンセラは、4線式回線(R)から分岐したアナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換部9と、前記A/D変換部9からの受信入力データを一時格納し基準値として出力するリファレンスデータ格納部10と、前記リファレンスデータ格納部10の出力と減算器15の出力から更新すべき最適なフィルタ係数を求めるフィルタ係数更新部11と、前記フィルタ係数更新部11により更新されたフィルタ係数を格納し出力するフィルタ係数格納部12と、前記フィルタ係数格納部12からのフィルタ係数に基づいてフィルタリング演算を行い擬似エコーを生成するFIRフィルタ13と、前記HYBトランス8からのアナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換部14と、前記A/D変換器14からのエコー成分を含む出力信号から前記FIRフィルタ13の疑似エコー出力信号を減算する減算器15と、前記リファレンスデータ格納部10からの出力と前記A/D変換部14からの出力を比較して近端話者(前記HYBトランス8の2線式回線に接続された端末機)から送話が行われたか否かを検出する近端音声検出部16と、前記近端音声検出部16の検出出力に基づき、近端話者から送話が行われている際にはエコーキャンセラの適応修正動作(フィルタ係数の更新)を禁止する切替器17と、前記近端音声検出部16の検出出力に基づき、近端話者から送話が行われていない際には、減算器15によるエコー消去後の残留エコーを抑圧する残差抑圧部18と、前記残差抑圧部18が出力する残留エコー抑圧後のレベルを測定し残差抑圧部18の残差抑圧量を制御するレベル測定部19と、レベル測定部19が出力する信号に基づいてBNW21が有する複数のバランスネットワークの中から適宜選択するよう切り替えを行なうBNW切替部20と、HYBトランス8に接続し2線式回線の特性インピーダンスとのインピーダンス整合を図るための複数のバランスネットワークを備えたBNW21と、前記残差抑圧部18が出力するディジタル信号をアナログ信号に変換するD/A変換部22とにより構成する。
【0011】
図1の動作を説明すると、先ずエコーキャンセラはディジタル処理により実現しているので、アナログ信号を処理する場合には、エコーキャンセラへの入力にはA/D変換部を、また逆に、出力にはD/A変換部を備えている。そこで、4線式回線(R)から入力する受信データをA/D変換部9によりディジタルデータに変換し、ディジタルデータに変換した受信データは、リファレンスデータ格納部10に入力する。このリファレンスデータ格納部10は、後述するフィルタリング演算に必要な128個のサンプルデータを、図示を省略したレジスタ(第1のレジスタ)に格納する。格納したサンプルデータはフィルタ係数更新部11に入力し、フィルタ係数更新部11は、入力されたサンプルデータと後述するエコーから擬似エコーを減算して得られる残留エコーとを基にして最適なフィルタ係数となるようフィルタ係数の修正を行ない、FIRフィルタ13の128タップからなるフィルタ係数の更新すべき値を求める。このようにして求められた更新すべきフィルタ係数は、フィルタ係数格納部12に入力され、フィルタ係数格納部12はFIRフィルタ13の128タップからなるフィルタ係数として図示を省略したレジスタ(第2のレジスタ)に格納する。そして、FIRフィルタ13は、前記リファレンスデータ格納部10のレジスタ(第1のレジスタ)に格納した128個の受信データと、前記フィルタ係数格納部12のレジスタ(第2のレジスタ)に格納した128タップからなるフィルタ係数とをたたみ込み演算し、擬似エコーを生成する。FIRフィルタを実現する手段としては、通常トランスバーサルフィルタが用いられる。
【0012】
次に、HYBトランス8を介して回り込むエコーは、A/D変換部14によりディジタルデータに変換された後に減算器15において、前記FIRフィルタ13にて生成した擬似エコーを減算することにより、エコーの消去が行われる。
こうしてエコーのキャンセルが行われるわけであるが、エコーは、BNW21と2線式回線とのインピーダンス整合の度合い、或いは、ディジタル処理における演算精度や外部雑音等により、これを完全に零にすることは非常に困難であり、多少なりとも残留エコーが生ずることになる。そこで、これを抑圧するために残差抑圧部18とレベル測定部19を設けている。
【0013】
この例に示すレベル測定部19は、二つのしきい値を有しており、それぞれ第一のしきい値、第二のしきい値として示す。前記第一のしきい値は、残差抑圧部18を動作させるか否かの判定値とし、これを可変とする。即ち、残留エコーの抑圧を実行するか否かを決定するしきい値を、残留エコー量の大小に応じて適宜選択することで最適な残差抑圧が可能となるよう構成する。また、前記第二のしきい値は、残差抑圧の結果出力される残留エコーの所望値とするレベル値であり、前記残差抑圧を動作させても第二のしきい値のレベル以下に残留エコーを低下させることができないときには、BNW切替部20を動作させる。このように構成した残差抑圧可変型エコーキャンセラは、まず、減算器15によりエコーから擬似エコーを減算した残留エコーが、レベル測定部19に設定した第一のしきい値以上であると、レベル測定部19は残差抑圧部18に対して抑圧を行なうよう制御信号を出力し、残差抑圧部18は残留エコーを第一のしきい値と同レベルに抑圧する。なお、抑圧方式は種々のものがあるが、ここでは減算器15からの入力信号のレベルにおいて、第1のしきい値よりも大きい部分をカットすることにより残留エコーを抑圧する方式を例にしている。
【0014】
更に、残留エコー抑圧後、残差抑圧部18の出力レベルをレベル測定部19により測定し、測定レベルが第二のしきい値以上であると、第一のしきい値を当初のレベルより低く再設定し、次の処理リサイクルにて、通常のエコーキャンセル処理を行った後、前記の低く再設定した第一のしきい値と残留エコーを比較する。そして、残留エコーが設定した第一のしきい値以上であると、残留エコーを第一のしきい値と同レベルを抑圧する。又、残留エコーが、設定した第一のしきい値以下である場合は、そのまま次のステップに移行する。
【0015】
このようにして、残留エコー抑圧後、残差抑圧部18の出力レベルをレベル測定部19により測定し、測定レベルが第二のしきい値以上であると、第一のしきい値を前記再設定した第一のしきい値より更に低く設定し、次の処理リサイクルにて、通常のエコーキャンセル処理を行った後、前記の更に低く設定した第一のしきい値と残留エコーを比較し、残留エコーが第一のしきい値以上であると、残留エコーを第一のしきい値と同レベルを抑圧することが、残留エコーの測定レベルが所望の第二のしきい値以下となるまで何度か繰り返して行われる。
【0016】
一方、所定量或いは所定回数の残差抑圧を行った結果、測定レベルが所望の第二のしきい値以下とならない場合、または、残差抑圧部18における最大抑圧量に達しても測定レベルが所望の第二のしきい値以下とならない場合、次に、レベル測定部19は、BNW切替部20を動作させ、HYBトランス8に設けたBNW21の設定変更を行う。BNW21には、HYBトランス8を2線式回線の特性インピーダンスと整合させるため複数のバランスネットワークが用意され、前述の残差抑圧において、第一のしきい値レベルを所定の回数変更しても第二のしきい値以下とならない場合、BNW切替部20の設定を別のバランスネットワークに切り換えるのである。
そして、次の処理サイクルにおいて、通常のエコーキャンセル処理を行った後レベル測定部19は、測定レベルが所望の第二のしきい値以下となるかの判定を行い、以下とならない場合は、BNW切替部20の設定を更に次のネットワークに切り換え、測定レベルが第二のしきい値以下となるまで最適なネットワークが選択できるよう制御する。
【0017】
こうして、最適なバランスネットワークの設定が得られると、HYBトランス8は2線式回線の特性インピーダンスに十分整合がとれ、その結果エコー量は低下し、残留エコー量も低下する。尚、全てのバランスネットワークを切り換え接続しても第二のしきい値以下に残留エコーが低下しない場合は、バランスネットワークを切り換え接続した際にの測定結果を記憶しておき、その中で、残留エコーが最低値を示したバランスネットワークに設定する。けれども、前記BNW21に備えた複数のバランスネットワークは、各種既存ケーブルの特性インピーダンスが分布しているであろう範囲を推定し、その範囲を複数の幅で分割し、夫々の分割範囲を近似したものであるから、これらの複数のバランスネットワークを選択することにより、大抵の場合において各種既存ケーブルの特性インピーダンスと等価なバランスネットワークを得ることができる。
【0018】
上述の残差抑圧方式とは別の方式にて、残差抑圧制御を行なう場合について具体的に説明する。ここでは減算器15から残差抑圧部18に入力される入力信号のレベルを残差抑圧部18において、減衰させることにより抑圧する場合の例を示す。前記第1のしきい値と第2のしきい値を同じ値に設定しておき、この設定したしきい値は固定しておく。つまり、残差抑圧制御のために用いるしきい値と、バランスネットワーク選択制御のために用いるしきい値とで、便宜上の使い分けをするだけのことで、実質の所望とするしきい値は一つであるとする。即ち、図1に示す例のエコーキャンセラは、先ず、残差抑圧制御を行なってみて、残留エコーが所望のレベル(しきい値)より小さくならなければ、HYBトランス8のインピーダンス不整合が大きいものと推定し、バランスネットワークの切替を試みるというものである。
【0019】
したがって、前記残差抑圧制御においては、残差抑圧部18の出力信号レベルをレベル測定部19により測定し、レベル測定部19は測定値としきい値とを比較し、しきい値より測定値レベルが大きければ、レベル測定部19から残差抑圧部18に抑圧量制御信号を出力し、残差抑圧部18は前記抑圧量制御信号に基づいて、抑圧量を更に増やすのである。この残差抑圧制御を何度か行ない、予め定めた所定回数に達したとき、或いは、残差抑圧制御部18のもつ最大抑圧量に達したときに、レベル測定部19はBNW切替部20に対し切替制御信号を出力し始める。こうしてバランスネットワークの切替に移行したときには、残差抑圧部18の抑圧量は一定の抑圧量にしておき、レベル測定部19は、切替えられたバランスネットワーク毎の残留エコーレベルを測定し、記憶していく。このとき、全てのバランスネットワークの切替を実施して選られた記憶されたレベル値の中から、残留エコーが最小のレベル値を示すバランスネットワークを選択するのが、HYBトランス8のインピーダンス整合を図る上で好ましいが、バランスネットワークの切替実施の途中において、レベル測定部19のしきい値よりも残留エコーのレベルが低くなるバランスネットワークを選択するようにしてもよい。
【0020】
他方、上述の如く逐次フィルタ係数の更新動作及び残差抑圧動作をしている際に、例えば、2線式回線に接続された電話機の送話器等から会話音声が送出され、近端話者も送話をしたような双方向通話の状態になると、フィルタ係数を更新する際の演算要素である残留エコーに近端通話データが加算されるため、フィルタ係数更新部11はエコー経路の推定を誤ることになり、FIRフィルタ13は誤った疑似エコーを生成してしまい通話品質を著しく劣化させる。このため、双方向通話の状態が発生した際は、フィルタ係数の更新を停止させる必要が生じる。更に、双方向通話状態においては、残留エコーを抑圧する残差抑圧は、不要であるのでこれを禁止すると同時にバランスネットワークの切替も禁止する。そこで、近端音声検出部16においては、リファレンスデータ格納部10が出力する受信データと、A/D変換部14が出力する送信側入力データとを比較し、送信側入力データが所定の受信データを上回る場合に双方向通話と判定し、切替器17を動作させ、フィルタ係数更新部11をフィルタ係数格納部12より切り離すことにより、フィルタ係数の更新を停止させると共に、残差抑圧部18の動作を禁止するのである。
【0021】
図2は、本発明に係る残差抑圧可変型エコーキャンセラの動作の流れを示すフローチャートである。同図を説明すると、先ず、残差抑圧可変型エコーキャンセラの電源を投入して動作をスタートした後(ステップ1)、4線式回線(R)側からデータを受信すると、A/D変換部9により受信データをディジタル化して128個のデータをリファレンスデータ格納部10のレジスタに格納する(ステップ2)。前記レジスタに格納した受信データと別途所定の方法により得られる128タップのフィルタ係数とをフィルタ係数更新部11にて、たたみ込み演算を行うことによりFIRフィルタ13が擬似エコーを生成し(ステップ3)、減算器15にて、HYBトランスを介して回り込むエコーから前記疑似エコーを減算してエコーの消去を行う(ステップ4)。
【0022】
次に、前記レジスタに格納してある受信データと送信側入力データとのレベルを近端音声検出部16にて比較し、送信側入力データのレベルが大きい場合、双方向通話状態にあることを検出判定し(ステップ5)、この場合は、次段のステップ6において実行するフィルタ係数の更新を停止すると共に、ステップ7の残差抑圧を禁止する。一方、前記受信データのレベルが大きい場合には、前記レジスタに格納してある受信データとステップ4において得られた残留エコー特性とを基にフィルタ係数更新部11にてエコー経路の特性を推定しフィルタ係数の更新を行い、新たな係数値をフィルタ係数格納部12に格納する(ステップ6)。更に、エコー消去後においてレベル測定部19が測定する残留エコーが所定のしきい値以上であったならば、残差抑圧部18は更に所定量の残留エコーを抑圧し(ステップ7)、4線式回線(S)側へデータを送信する。
【0023】
なお、ステップ7において実施する残差抑圧は、残留エコーが設定した第一のしきい値より大きい場合のみ実施するよう機能し、第一のしきい値より小さい場合は、残留エコーは十分小さいと判断されるので、残差抑圧は実施しない。
次のステップ8において、レベル測定部19が残差抑圧したレベルを測定し、第二のしきい値より小さい場合(NO)は、残留エコーは十分小さいと判断され、そのままスタート後のステップ(以下、次の処理サイクルと示す)に移行する。また、残差抑圧したレベルが第二のしきい値より大きい場合(YES)、残差抑圧を制御するため次のステップ9に移行する(ステップ8)。
【0024】
ステップ9においては、残差抑圧制御を所定の回数実施したかをカウントし、前記所定回数未満の実施の場合(NO)は、第一のしきい値を当初のレベルより低く再設定し、次の処理サイクルに移行する(ステップ10)。次の処理リサイクルにおいて、通常のエコーキャンセル処理を行った後(ステップ4)、前記低く再設定した第一のしきい値と残留エコーを比較し、残留エコーが再設定した第一のしきい値以上であると、残留エコーを第一のしきい値と同レベルを抑圧し(ステップ7)、残差抑圧した結果が第二のしきい値より小さくなるかを判定する(ステップ8)。
【0025】
なお、前記ステップ10による残差抑圧制御は、制御後次のデータから有効となり、新たに残差抑圧が行われるのである。こうしてステップ2乃至10の処理サイクルが繰り返され、所定の回数第一のしきい値を変更しても第二のしきい値を超える場合は(ステップ9)、ステップ11に移行し、HYBトランス8に接続したインピーダンス整合用のBNW21の設定変更を行う。BNW21は、複数のバランスネットワークを備えており、BNW制御は、BNW切替部20により前記バランスネットワークを所定の順序により切り換え接続した後、次の処理サイクルにおいて、残留エコーが第二のしきい値より小さくなるかを判定する(ステップ8)。ステップ11によるBNW制御は、制御後次のデータから有効である。以降、残留エコーが第二のしきい値以上である場合はネットワークを順次切り換え、残留エコーが第二のしきい値以下となるようBNWの設定変更をおこなう。尚、全てのバランスネットワークを切り換え接続しても第二のしきい値以下に残留エコーが低下しない場合は、バランスネットワークを切り換え接続した際に測定した残留エコー値を記憶しておき、記憶してある残留エコーが最低値を示したバランスネットワークに設定する。
【0026】
以上説明した如く、上述の実施例にあっては、リファレンスデータ格納部10の第一のレジスタに格納した複数の受信データと、フィルタ係数格納部12の第二のレジスタに格納した複数のフィルタ係数とをFIRフィルタ13にて所定の演算式により演算して得られる擬似エコーを用い、減算器15にてハイブリッド手段(HYBトランス8)を介して回り込むエコーから前記疑似エコーを減算してエコーを消去し、前記減算の結果残留する残留エコーと前記受信データとを用い最適フィルタ係数を求めて逐次フィルタ係数の更新を行なうエコーキャンセラにおいて、前記残留エコーのレベル測定手段を設け、前記レベル測定手段は前記残留エコーと別途定めた可変可能な所定のしきい値とのレベル比較を行い、前記残留エコーが前記しきい値以上のレベルである場合は所定量の残差抑圧を実施し、以降、残留エコーが所望のレベル以下に低下する迄、或いは、しきい値変更に伴う残差抑圧の実施が所定回数に達する迄、繰り返ししきい値を低下させつつ残差抑圧制御するようにし、更に、前記ハイブリッド手段のインピーダンス整合を図るためのバランスネットワークを複数設けると共に前記複数のバランスネットワークを選択可能に構成し、前記残差抑圧制御手段により残留エコーを所望値以下に制御不可能な際に、前記バランスネットワークを選択切替し、該残留エコーが所望値以下に低下するよう制御するようにし、また更に、前記受信データと前記エコーとのレベル比較を行うことにより近端音声を検出する近端音声検出部16を備え、近端音声を検出したときには、前記フィルタ係数の更新及び残差抑圧制御を禁止するように残差抑圧可変型エコーキャンセラを構成したので、残留エコーを更に低減することが可能となる。
尚、本実施例においては、エコーキャンセラの構成を、音声電話系の信号を処理する場合について説明したが、本発明は、モデム、ディジタル通信等データ通信系の信号処理においても適応可能である。
【0027】
【発明の効果】
本発明は上述した如く、請求項1記載の残差抑圧可変型エコーキャンセラは、HYBトランスを回り込むエコーからFIRフィルタにより生成した擬似エコーを減算した結果である残留エコーを低減するため、残差抑圧が最適に実施されるよう抑圧量の制御を行い、又、HYBトランスから回り込むエコーを減ずるためにBNWに備えた複数のネットワークの調整を行うことにより、共にエコーキャンセラの性能が高まり、2線式回線/4線式回線の変換を行う上で大きな効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る残差抑圧可変型エコーキャンセラの一実施例を示す構成図である。
【図2】本発明に係る残差抑圧可変型エコーキャンセラの動作の流れを示すフローチャートである。
【図3】従来のエコーキャンセラを電話回線に挿入した際の構成例である。
【符号の説明】
1a、1b・・電話機、 2a、2b・・HYBトランス、
3a、3b・・エコーキャンセラ、 4a、4b・・擬似エコー生成部、
5a、5b・・減算器、 6a、6b・・残差抑圧部、
7・・中継回線、 8・・HYBトランス、
9・・A/D変換部、 10・・リファレンスデータ格納部、
11・・フィルタ係数更新部、 12・・フィルタ係数格納部、
13・・FIRフィルタ、 14・・A/D変換部、
15・・減算部、 16・・近端音声検出部、
17・・切替器、 18・・残差抑圧部、
19・・レベル測定部、 20・・BNW切替部、
21・・BNW、 22・・D/A変換部

Claims (2)

  1. 4線式回線と2線式回線の変換を行なうハイブリッド手段におけるインピーダンス不整合により生ずるエコーを、疑似エコー生成部により逐次疑似エコーの特性を可変して最適な疑似エコーを生成すると共に、減算部により前記疑似エコーを用いて前記エコーを打ち消すことによりエコー消去を行ない、且つ、前記エコー消去の後に残留した残留エコーを残差抑圧部により抑圧する残差抑圧型エコーキャンセラにおいて、残留エコーを抑圧する抑圧値を可変可能な残差抑圧部と、前記残差抑圧部から出力される残留エコーのレベルを測定するレベル測定部とを備え、前記レベル測定部は予め定められた所定のしきい値(第1のしきい値)を有し、前記残差抑圧部から出力される残留エコーのレベルと前記第1のしきい値とを比較し、残留エコーのレベルが第1のしきい値よりも高い場合には、前記レベル測定部は前記残差抑圧部に抑圧値を大きくするよう抑圧制御し、前記ハイブリッド手段に、異なる特性を有する複数のバランスネットワークを切替可能に接続し、前記レベル測定部は、予め定められた所定のしきい値(第2のしきい値)を有し、前記残差抑圧部による抑圧制御を所定回数或いは所定量行なった後に、前記レベル測定部は、前記残差抑圧部から出力される残留エコーのレベルと前記第2のしきい値とを比較し、残留エコーのレベルが第2のしきい値よりも高い場合には、前記バランスネットワークの切替制御を行なうことを特徴とする残差抑圧可変型エコーキャンセラ。
  2. 前記擬似エコー生成部はFIRフィルタを含むものであり、前記受信データと前記エコーとのレベル比較を行うことにより近端音声を検出する近端音声検出部及びリファレンスデータ格納部の出力と前記減算部の出力から更新すべき最適な前記FIRフィルタのフィルタ係数を求めるフィルタ係数更新部を備え、前記近端音声検出部が近端音声を検出したときには、前記フィルタ係数の更新及び残差抑圧制御及びバランスネットワーク切替制御を禁止するようにしたことを特徴とする前記請求項1記載の残差抑圧可変型エコーキャンセラ。
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