JP3590277B2 - 半導体レーザ - Google Patents

半導体レーザ Download PDF

Info

Publication number
JP3590277B2
JP3590277B2 JP32417698A JP32417698A JP3590277B2 JP 3590277 B2 JP3590277 B2 JP 3590277B2 JP 32417698 A JP32417698 A JP 32417698A JP 32417698 A JP32417698 A JP 32417698A JP 3590277 B2 JP3590277 B2 JP 3590277B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
composition
refractive index
semiconductor laser
sch
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP32417698A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000151018A (ja
Inventor
清行 横山
達也 竹下
満 須郷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Telegraph and Telephone Corp filed Critical Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority to JP32417698A priority Critical patent/JP3590277B2/ja
Publication of JP2000151018A publication Critical patent/JP2000151018A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3590277B2 publication Critical patent/JP3590277B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Semiconductor Lasers (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信などの分野において光ファイバ増幅器用励起光源などに用いて好適な半導体レーザに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、波長多重通信では、ファイバ内の光信号が異なる波長で多重化されているため、使用する多重度が増すに従い、広範囲の波長領域をカバーし、かつ高出力のファイバアンプが必要となる。1.55μm帯でのファイバ増幅としては、Er3+イオンがドープされている光ファイバが用いられ、1.3μm帯では、Pr3+イオンドープの光ファイバが用いられる。
【0003】
前者のEr3+イオンドープ光ファイバに対しては、Er3+イオンを励起するための光源として、1.48μm,0.98μm,0.82μmなどの波長を持つ光源が有望である。これら波長の光源の内、波長がファイバアンプの出力波長に近い方が励起効率が良いので、その意味から1.48μm帯の高出力励起用光源の開発が盛んである。しかし、この1.48μm帯の光源は、逆に0.98μm帯の光源と比較してノイズ指標で劣る。このために、ファイバアンプの前段では0.98μm帯励起用光源を用いて、後段では1.48μm帯励起用光源を用いる、などの工夫がなされている。
【0004】
また、波長が0.98μm、1.02μm帯の励起用光源は、1.3μm帯のファイバアンプのPr3+イオンを励起するための光源として、注目されている。上記の波長帯の光源として、図5に示すような構造の半導体レーザが知られている。この半導体レーザの構成を見ると、図5に示すように、まず、n −GaAs基板1の上に、n−Al Ga1−x Asクラッド層2が形成され、その上にn−Al Ga1−y As光導波路層3が形成され、さらに、その上に組成Al Ga1−z AsのSCH(Separate−Confinement Heterostructure;分離閉じこめヘテロ構造)層4が形成されている。そして、前記SCH層4の上に、活性層100が形成され、この活性層100の上に、順次、組成Al Ga1−z AsのSCH層8および組成p−Al Ga1−y Asの第2の光導波路層9が形成されている。前記第2の光導波路層9の上部は、リッジ構造を成しており、そのリッジの上に、組成p−Al Ga1−x Asの第2のクラッド層10が形成され、その上の最外層にp −GaAsキャップ層11が形成されている。前記活性層100は、順次積層された3つの層、In Ga1−q As量子井戸層5、Al Ga1−r As障壁層6、およびIn Ga1−q As量子井戸層7から構成されている。このように図5(a)に示した半導体レーザは、InGaAsを活性層とする0.98μm/1.02μmの歪量子井戸構造半導体レーザであり、この従来の半導体レーザは、小型、低ノイズであるために注目されており、近年の波長多重の要請から、この半導体レーザの高出力化の検討が盛んに行われている。この半導体レーザは、活性層の埋め込みを伴わず、製造が簡単であることから、図5に示したように、主にリッジ型が採用されている。このリッジ型の半導体レーザは、リーク電流が殆どなく、かつ高効率であるために、高出力動作においても、利点がある。しかしながら、この半導体レーザでは、(Uniphase Laser Enterprise 社 980L−NS Series Device SU3673C CO532)に報告されている遠視野像(FFP:Far Field Pattern )の半値全幅(FWHM:Full Width at Half Maximum)が、水平6.8度に対して垂直30.2度であるように、アンバランスが大きく、シングルモードファイバとの結合効率が十分でない。また、そのままのデバイス構成で、この結合効率を高めるには、非球面レンズで集光しなければならず、モジュールが高価になるという問題点があった。さらに、駆動電流を増加させて高出力動作をさせると、横モードが安定せず、シングルモードファイバとの結合が十分でない、という問題があった。
【0005】
シングルモードファイバとの光結合を改善するには、レーザ出射端の近視野像(NFP:Near Field Pattern)をファイバ中を伝搬するガウス型の分布に近づければ良く、このことは、遠視野像が真円に近くなることを意味している。このような改善のために、多くの取り組みがなされてきた。例えば、Al Ga1−y sのAlの含有量yを調整し、低屈折率層を上下のクラッドと導波路層の間にそれぞれ一層づつ挿入することにより、従来、23°あった垂直方向の遠視野像の半値全幅が18°と改善され、この時の水平方向の遠視野像の半値全幅としては9°が得られている(J.Temmyo and M.Sugo,Electronics Letters,vol.31,pp.642−644,April.1995)。しかし、垂直方向の遠視野像の半値全幅値は、水平方向の遠視野像の半値全幅値と比較して、まだ2倍程度大きい、という問題がある。また、InGaAs/GaAsP/InGaP系で、上下のクラッド層の間に高屈折率のGaAs層をそれぞれ一層づつ挿入し、光強度分布を上下に引っ張ることで、垂直方向の遠視野像の半値全幅が17°、水平方向の遠視野像の半値全幅が15°というように、真円に近い値が得られている(D.Vakhoori et al. Electronics Letters,vol.32,pp.1007−1008,May 1996)。
【0006】
この従来例では、材料系の組み合わせが複雑であること、さらに、クラッド層としてInGaPが用いられており、GaAs/InGaP界面では、特に価電子帯のバンド不連続性が増し、直列抵抗が大きくなり、高出力特性が問題であり、結合効率が90%にも達しているにもかかわらず、レーザの出力は120mWに過ぎない。また、光閉じこめを弱くして出射ビームを単に広げる手法では、有効なゲインも減少してしまう。したがって、前記従来の半導体レーザでは、光閉じこめを大きく変えることなく、光ファイバとの結合を改善することが課題であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の半導体レーザでは、光ファイバと結合して容易に高出力特性を実現することは困難であった。また、上記の問題を解決するためのInGaPを用いて高結合効率を実現した従来例もあるが、パワーの出力値が十分でないこと、材料系が複雑で量産に適さない、という問題があった。
【0008】
本発明の課題は、前記従来技術の問題点を解決し、光ファイバとの結合において、高結合効率を有するとともに、高い出力を持つ半導体レーザを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の特徴は、従来材料の枠組みの中で、深さ方向の層構造を変化させるという構成上の変更が容易にもかかわらず、改善効果の高い方法によって、高結合効率を有し、高い出力を持つ半導体レーザを得たことにある。
【0011】
すなわち、前記課題を解決するための本発明の半導体レーザは、半導体基板と、この半導体基板の上に形成された第1のクラッド層と、この第1のクラッド層の上に形成された第1の光導波路層と、この第1の光導波路層の上に形成された第1のSCH層と、この第1のSCH層の上に形成された活性層と、この活性層の上に形成された第2のSCH層と、この第2のSCH層の上に形成された第2の光導波路層と、第2の導波路層の上に形成された第2のクラッド層と、第2のクラッド層の上に形成されたキャップ層とを有し、前記第2の導波路層、第2のクラッド層およびキャップ層がリッジ型に加工された半導体レーザにおいて、前記第2のSCH層と第2の導波路層との間にその両者よりも屈折率が高い高屈折率層が設けられたことを特徴とする。
【0012】
本発明の半導体レーザの別の形態は、前記半導体レーザの第1の光導波路層と第1のクラッド層との間にその両者よりも屈折率が低い低屈折率層がさらに設けられたことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図を用いて説明する。
【0014】
(第1の実施の形態:参考例
図1(a)は、本発明に係るリッジ型半導体レーザの参考例である第1の実施形態を示す断面図であり、同図(b)は、図1(a)の積層構造に対応して示した積層中のAl組成とIn組成の濃度分布を示すグラフである。図1(a)において、図5(a)と同一構成要素には同一符号を付して説明を簡略化する。
【0015】
本実施形態の半導体レーザでは、図1(a)に示すように、n −GaAs基板1上に組成n−Al Ga1−x Asの第1のクラッド層2が設けられている。そして、この第1のクラッド層2の上に、深さ方向の光強度分布を上部に押し上げるために、n−Al Ga1−s As低屈折率層12が設けられ、その上に、第1の光導波路層3が設けられている。この第1の光導波路層3の上には、SCH層4が設けられ、さらに、その上には、活性層100が設けられている。この活性層は、In Ga1−q As量子井戸層5,7と、これらに挟まれているAl1−r As障壁層6とから構成されている。
【0016】
このように、本実施形態の半導体レーザの特徴は、前記従来の図5(a)に示した半導体レーザに比較すると、組成n−Al Ga1−s Asの低屈折率層12を介装することによって第1の光導波路層3を構成するn−Al Ga1−y Asとの界面での屈折率差を大きくした構造にあり、前述のように、SCH層4は導波路層3の上部に位置し、活性層100はSCH層4の上に位置している。なお、結晶性の観点から、n−GaAs基板1の一部にバッファ層としてのn −GaAs層を含んでもよい。
【0017】
本参考例では、活性層100は、InGa1−qAs量子井戸層5,7と、AlGa1−rAs障壁層6からなっているが、発振波長が所望のものであれば、量子井戸の多重度には自由度があり、バルク構造でも構わない。活性層100上部には、組成AlGa1−zAsのSCH層8、組成p−AlGa1−yAsの第2の光導波路層9があり、さらに、組成p−AlGa1−xAsの第2のクラッド層10と、組成p−GaAsのキャップ層11から構成され、前記キャップ層11および第2のクラッド層10と、第2の光導波路層9の一部とが、1.5〜3.5μm程度のリッジを形成している。
【0018】
また、組成n−Al Ga1−x Asの第1のクラッド層2と、組成n−Al1−s Asの低屈折率層12と、組成n−Al Ga1−y Asの第1の光導波路層3との屈折率の関係を実現するには、組成で、以下の関係があれば良い。
【0019】
s≧x≧y
また、典型例では、これらは0.1〜0.3の組成が用いられる。
【0020】
図5に示す従来の半導体レーザは、低屈折率層12を含まない組成、層厚を調整し、それにより、遠視野像の半値全幅の水平値に対する垂直値(扁平率)を改善した従来構造である。従来構造における遠視野像の半値全幅値は水平方向で9.7度、垂直方向で19.5度であった。この構造に対して、図1(a)のように、s=0.25の低屈折率層12を挿入して、この挿入層の厚さと、遠視野像の半値全幅とを水平、垂直で調べ、扁平率を算出した。この得られた扁平率をプロットした結果が、図2である。低屈折率層12の厚さが600nmの構造における遠視野像の半値全幅値は、水平方向で12.1度、垂直方向で14.9度であり、扁平率は、従来構造の2.0から1.2へ大きく改善され、真円に近いものとなった。もちろん、これらの遠視野像の値は、第2の光導波路層9のエッチングで残された部分の深さにも依存する。
【0021】
本参考例では、光強度分布をリッジ面方向に引っ張り、引っ張り上げられた光分布が、横方向に空気、半導体、空気と屈折率差が大きいリッジによって、真円に近い遠視野像へと整形するものである。そして、本参考例では、低屈折率層12の挿入によって、本質的には大きく光閉じこめを変化させるものではなく、図5の従来構造と同様に、光閉じこめは2.1%であった。さらに、挿入した低屈折率層は、低ロスのため、活性層の閉じこめが小さく、しみ出し光強度が大きいこの種のデバイスでは、トータルロスを下げる効果もある。
【0022】
以上のように、本参考例は、従来構造で単に光強度分布(NFP)を深さ方向に広げて、FFP値を改善しようとした従来の試みと大きく異なる。すなわち、従来の光強度分布を広げる手法では、光閉じこめが小さくなり、垂直方向の遠視野像の半値全幅値を実現しようとすれば、光閉じこめは、約1.5%と落ちてしまい、ゲイン媒質を十分に活用することができなく、トータルで高出力を達成する妨げとなっていた。すなわち、本参考例によれば、発振しきい値の劣化、温度特性には全く影響されずに、従来、480mW、530mAであったシングルモード発振限界が、590mW、650mAにまでになり、高出力化が図れることが確認された。
【0023】
また、シングルモードファイバとの結合効率については、位置合わせ精度が大幅に緩和され、球面レンズを用いても、80〜90%の結合効率が容易に得られるようになった。以上述べたように、本参考例によれば、高出力、低価格な0.98μm/1.02μm帯でのファイバアンプ励起用レーザを実現することができた。
【0024】
(第2の実施の形態)
図3(a)は、本発明に係るリッジ型半導体レーザの第2の実施形態を示す断面図であり、同図(b)は、図3(a)の積層構造に対応して示した積層中のAl組成とIn組成の濃度分布を示すグラフである。図3(a)において、図5(a)および図2(a)と同一構成要素には同一符号を付して説明を簡略化する。図3(a)に示すように、n −GaAs基板1上に、順次、組成n−Al1−x Asの第1のクラッド層2、第1の光導波路層3を構成するn−Al Ga1−y As、活性層100への光閉じこめを促進するSCH層4が積層されており、活性層100は前記SCH層4の上部に位置している。なお、結晶性の観点から、基板1の一部にバッファ層としてのn−GaAs層を含んでもよい。
【0025】
本実施例では、活性層100は、組成In Ga1−q Asの量子井戸層5,7と、Al Ga1−r As障壁層6からなっているが、発振波長が所望のものであればシングル井戸構造でも、バルク構造でも構わない。活性層100の上部には、順次、組成Al Ga1−z AsのSCH層8と、深さ方向の光強度分布を上部に押し上げるための組成p−Al Ga1−t Asの高屈折率層13とを設け、その上に、さらに、組成p−Al Ga1−y Asの第2の光導波路層9が設けられ、さらに、組成p−Al Ga1−x Asの第2のクラッド層10と、組成p −GaAsのキャップ層11が形成されている。前記キャップ層11および第2のクラッド層10と、第2の光導波路層9の一部とが、1.5〜3.5μm程度のリッジを形成している。なお、SCH層8,高屈折率層13,および第2の光導波路層9の屈折率の関係を実現するには、組成で、以下の関係があれば良い。
【0026】
y≧z≧t
また、典型例では、これらは、0.0〜0.25の組成が用いられる。
【0027】
図5に示した従来の半導体レーザでは、高屈折率層13を含まない組成であり、層厚を調整して、遠視野像(FFP)の半値全幅(FWHM)の扁平率を改善していた。この従来構造における遠視野像の半値全幅値は、水平方向で9.7度、垂直方向で19.5度であった。この従来構造に対して、図3(a)のように、t=0.09、厚さ20nmの高屈折率層13を挿入すると、遠視野像の半値全幅値は、水平方向で10.5度、垂直方向で18.2度であり、扁平率は、従来構造が2.0であったものから、1.7へと改善された。もちろん、これらの遠視野像の値は、第2の光導波路層9のエッチングで残された部分の深さにも依存する。高屈折率層13の挿入は、漏れた光のロスを上げるけれども、層の厚さが20nmと十分に狭いために、この領域でのロス増は、レーザのしきい値には影響を与えない。
【0028】
本実施形態の半導体レーザでは、高屈折率層13によって、光強度分布をリッジ面方向に引っ張り、引っ張り上げられた光分布が、リッジによってより真円に近い遠視野像へと整形するものである。そして、本実施形態の半導体レーザは、本質的には大きく光閉じこめを変化させるものではなく、図5の従来構造同様に光閉じこめは、2.1%であった。これは、実施形態例1と同様に、単に光強度分布(NFP)を深さ方向に広げて、FFP値を改善しようとした従来の試みと大きく異なる。すなわち、従来のNFPを広げる手法では、光閉じこめが小さくなり、垂直方向の遠視野像の半値全幅値を実現しようとすれば、光閉じこめは約1.5%と落ちてしまい、ゲイン媒質を十分に活用することができなくなり、トータルで高出力を達成する妨げとなっていた。
【0029】
すなわち、本発明によれば、発振しきい値の劣化、温度特性には全く影響されずに、従来構造の半導体レーザでは、480mW、530mAのシングルモード発振限界が、520mW、565mAにまで高出力化が図れることが確認された。
【0030】
また、シングルモードファイバとの結合効率については、位置合わせ精度が緩和され、球面レンズを用いても、75〜85%の結合効率が容易に得られるようになった。以上述べたように、本実施例によれば、高出力、低価格な0.98μm/1.02μm帯でのファイバアンプ励起用レーザを実現できた。
【0031】
(第3の実施の形態)
図4(a)は、本発明に係るリッジ型半導体レーザの第3の実施形態を示す断面図であり、同図(b)は、図4(a)の積層構造に対応して示した積層中のAl組成とIn組成の濃度分布を示すグラフである。図4(a)において、図5(a)、図2(a)および図3(a)と同一構成要素には同一符号を付して説明を簡略化する。
【0032】
図4(a)に示すように、本実施例の半導体レーザは、n −GaAs基板1上に、順次、組成n−Al Ga1−x Asの第1のクラッド層2、深さ方向の光強度分布を上部に押し上げるための組成n−Al Ga1−s Asの低屈折率層12が設けられており、第1の光導波路層3を構成するn−Al Ga1−y Asとの界面での屈折率差を大きくした構造に特徴がある。そして、前記第1の光導波路層3の上部にはSCH層4が位置し、このSCH層4の上には、活性層100が位置している。なお、結晶性の観点から、基板1の一部にバッファ層としてのn−GaAs層を含んでもよい。
【0033】
本実施例では、活性層100は、組成In Ga1−q Asの量子井戸層5、7と、組成Al Ga1−r Asの障壁層6とからなっているが、発振波長が所望のものであれば、量子井戸構造には自由度があり、バルク構造でも構わない。
【0034】
本実施例では、さらに、前記活性層100の上部には、順次、組成Al Ga1−z AsのSCH層8、相乗効果で深さ方向の光強度分布を上部に押し上げるための組成p−Al Ga1−t Asの高屈折率層13を設け、その上に、組成p−Al Ga1−y Asの第2の光導波路層9が設けられ、さらに、組成p−Al1−x Asの第2のクラッド層10と、組成p −GaAsのキャップ層11が形成されている。前記キャップ層11および第2のクラッド層10と、第2の光導波路層9の一部とが、1.5〜3.5μm程度のリッジを形成している。
【0035】
また、組成n−Al Ga1−x Asの第1のクラッド層2、組成n−Al Ga1−s Asの低屈折率層12、組成n−Al Ga1−y Asの第1の光導波路層3、組成Al Ga1−z AsのSCH層8、組成p−Al Ga1−t Asの高屈折率層13、および組成p−Al Ga1−y Asの第2の光導波路層9の屈折率の関係を実現するには、組成で、以下の関係があれば良い。
【0036】
s≧x≧y≧z≧t
また、典型例では、これらは、0.0〜0.3の組成が用いられる。
【0037】
図5に示した従来の半導体レーザでは、低屈折率層12および高屈折率層13を含まないで、組成、層厚を調整して、遠視野像の半値全幅の扁平率を改善していた。この従来構造における遠視野像の半値全幅値は、水平方向で9.7度、垂直方向で19.5度であった。この従来構造に対して、図4(a)のように、s=0.25組成である低屈折率層12の厚さが600nm、t=0.09組成である高屈折率層13の厚さが20nmの各層を挿入すると、遠視野像の半値全幅値は水平方向で12.5度、垂直方向で13.8度であり、扁平率は、従来構造で2.0であったものから1.1へと大幅に改善された。もちろん、これらの遠視野像の値は、第2の光導波路層9のエッチングで残された部分の深さにも依存する。
【0038】
本実施形態例では、第1の実施形態と同様に、光強度分布をリッジ面方向に引っ張り、引っ張り上げられた光分布がリッジによってより真円に近い遠視野像へと整形するものであり、本質的には、大きく光閉じこめを変化させるものではなく、本実施形態例では、図5の従来構造同様に光閉じこめは2.1%であった。これは、単に光強度分布(NFP)を深さ方向に広げて、FFP値を改善しようとした従来の試みと、大きく異なる。すなわち、従来のNFPを広げる手法では、光閉じこめが小さくなり、垂直方向の遠視野像の半値全幅値を実現しようとすれば、光閉じこめは約1.5%と落ちてしまい、ゲイン媒質を十分に活用することができなくなり、トータルで高出力を達成する妨げとなっていた。これに対して、本発明によれば、発振しきい値の劣化、温度特性には全く影響されずに、従来、480mW、530mAであったシングルモード発振限界が、605mW、668mAにまで高出力化が図れることが確認された。
【0039】
また、シングルモードファイバとの結合効率については、位置合わせ精度が緩和され、球面レンズを用いても、85〜93%の結合効率が容易に得られるようになった。
【0040】
以上述べたように、本実施形態によれば、高出力、低価格な0.98μm/1.02μm帯でのファイバアンプ励起用レーザを実現できる。
【0041】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これら実施の形態では、上部リッジ構造部分の周囲は、空気層とした構成であった。これは、リッジ部分と周囲との間で屈折率差を生じさせて、素子特性の向上を図るためである。この目的を達するために、本発明では、上部にリッジを形成したものであり、このリッジ部分と屈折率差を生じさせる周囲の媒質は、空気に限らず、他の液体や固体材料であっても良い。
【0042】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の半導体レーザは、深さ方向の光強度分布を上部(リッジ方向)に引き上げるために、第2のSCH層と第2の導波路との間に高屈折率層を挿入した構成、あるいは、第1の導波路と第1のクラッド層の間に低屈折率層を挿入するとともに、第2のSCH層と第2の導波路との間に高屈折率層を挿入した構成を特徴としており、引っ張られた分布がリッジを構成する横方向の空気・半導体・空気からなる大きな屈折率差で整形されて、真円に近い遠視野像を実現するものである。本発明の半導体レーザでは、遠視野像の水平、垂直方向の扁平比が小さいために、シングルモードファイバとの結合は、球面レンズを用いた高精度な位置合わせを要することなく、高効率に行うことができる。また、活性層領域の光閉じこめを減少させることなく、ゲイン媒質を有効に利用でき、デバイス全体としてのロスの低減効果でより高出力特性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の半導体レーザの参考例である第1の実施の形態を示す断面図であり、(b)は同半導体レーザの積層構造に対応して示した積層中のAlとInの組成分布を示すグラフである。
【図2】1の実施形態にかかる半導体レーザの低屈折率層の厚さと、水平および垂直方向の遠視野像(FFP)の半値全幅(FWHM)値と、これらの水平および垂直値の比の値で定義される扁平率との関係を示すグラフである。
【図3】(a)は本発明の半導体レーザの第2の実施の形態を示す断面図であり、(b)は同半導体レーザの積層構造に対応して示した積層中のAlとInの組成分布を示すグラフである。
【図4】(a)は本発明の第3の実施の形態を示す断面図であり、(b)は同半導体レーザの積層構造に対応して示した積層中のAlとInの組成分布を示すグラフである。
【図5】(a)は半導体レーザの従来構造の形態を示す断面図であり、(b)は同半導体レーザの積層構造に対応して示した積層中のAlとInの組成分布を示すグラフである。
【符号の説明】
1 n −GaAs基板
2 n−Al Ga1−x Asクラッド層(第1のクラッド層)
3 n−Al Ga1−y As光導波路層(第1の光導波路層)
4 組成Al Ga1−z AsのSCH層
5 In Ga1−q As量子井戸層(活性層)
6 Al Ga1−r As障壁層(活性層)
7 In Ga1−q As量子井戸層(活性層)
8 組成Al Ga1−z AsのSCH層
9 p−Al Ga1−y As光導波路層(第2の光導波路層)
10 p−Al Ga1−x Asクラッド層(第2のクラッド層)
11 p −GaAsキャップ層
12 n−Al Ga1−s As低屈折率層
13 p−Al Ga1−t As高屈折率層
100 活性層

Claims (2)

  1. 半導体基板と、この半導体基板の上に形成された第1のクラッド層と、この第1のクラッド層の上に形成された第1の光導波路層と、この第1の光導波路層の上に形成された第1のSCH層と、この第1のSCH層の上に形成された活性層と、この活性層の上に形成された第2のSCH層と、この第2のSCH層の上に形成された第2の光導波路層と、第2の導波路層の上に形成された第2のクラッド層と、第2のクラッド層の上に形成されたキャップ層とを有し、前記第2の導波路層、第2のクラッド層およびキャップ層がリッジ型に加工された半導体レーザにおいて、
    前記第2のSCH層と第2の導波路層との間にその両者よりも屈折率が高い高屈折率層が設けられたことを特徴とする半導体レーザ。
  2. 半導体基板と、この半導体基板の上に形成された第1のクラッド層と、この第1のクラッド層の上に形成された第1の光導波路層と、この第1の光導波路層の上に形成された第1のSCH層と、この第1のSCH層の上に形成された活性層と、この活性層の上に形成された第2のSCH層と、この第2のSCH層の上に形成された第2の光導波路層と、第2の導波路層の上に形成された第2のクラッド層と、第2のクラッド層の上に形成されたキャップ層とを有し、前記第2の導波路層、第2のクラッド層およびキャップ層がリッジ型に加工された半導体レーザにおいて、
    前記第2のSCH層と第2の導波路層との間にその両者よりも屈折率が高い高屈折率層が設けられ、前記第1の光導波路と第1のクラッド層との間にその両者者よりも屈折率が低い低屈折率層が設けられたことを特徴とする半導体レーザ。
JP32417698A 1998-11-13 1998-11-13 半導体レーザ Expired - Fee Related JP3590277B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32417698A JP3590277B2 (ja) 1998-11-13 1998-11-13 半導体レーザ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32417698A JP3590277B2 (ja) 1998-11-13 1998-11-13 半導体レーザ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000151018A JP2000151018A (ja) 2000-05-30
JP3590277B2 true JP3590277B2 (ja) 2004-11-17

Family

ID=18162945

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP32417698A Expired - Fee Related JP3590277B2 (ja) 1998-11-13 1998-11-13 半導体レーザ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3590277B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4163343B2 (ja) * 1999-09-22 2008-10-08 三菱化学株式会社 発光素子および発光素子モジュール
JP2004111535A (ja) * 2002-09-17 2004-04-08 Mitsubishi Electric Corp 半導体レーザ装置
DE102007061458A1 (de) * 2007-11-30 2009-06-04 Osram Opto Semiconductors Gmbh Verfahren zur Herstellung eines strahlungsemittierenden Bauelements und strahlungsemittierendes Bauelement
JP6123427B2 (ja) 2013-03-29 2017-05-10 三菱電機株式会社 半導体レーザ装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000151018A (ja) 2000-05-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4743867B2 (ja) 面発光レーザ
US7463663B2 (en) Semiconductor laser diode and integrated semiconductor optical waveguide device
JPH08116124A (ja) 半導体光素子
US6873635B2 (en) Nitride semiconductor laser device and optical information reproduction apparatus using the same
EP0790685B1 (en) Semiconductor laser with low beam divergence
JP2010232424A (ja) 半導体光増幅装置及び光モジュール
JPH05235470A (ja) レーザダイオード
JPH08195529A (ja) 半導体レーザエピタキシャル結晶積層体および半導体レーザ
JP2003168844A (ja) 半導体レーザ装置および光増幅装置
JP3183683B2 (ja) 窓型半導体レーザ素子
JP3590277B2 (ja) 半導体レーザ
JP2004281826A (ja) 半導体レーザ装置およびそれを用いた光ピックアップ装置
JP3472177B2 (ja) 垂直共振器型半導体レーザ素子の製造方法および垂直共振器型半導体レーザ
JPH0856045A (ja) 半導体レーザ装置
WO2009119131A1 (ja) 半導体発光素子及びその製造方法
US5394424A (en) Semiconductor laser device
JP2004266095A (ja) 半導体光増幅器
JP4345673B2 (ja) 半導体レーザ
JP2000357841A (ja) 半導体レーザ素子、半導体レーザモジュール、希土類添加光ファイバ増幅器、およびファイバレーザ
JP3766738B2 (ja) 半導体レーザ装置の製造方法
JPH0974243A (ja) 半導体レーザ
JPH10270791A (ja) 光情報処理装置およびこれに適した半導体発光装置
JP2000232254A (ja) 半導体レーザおよび半導体レーザの製造方法
JP2002237657A (ja) 半導体レーザアレイおよび電子写真システムおよび光通信システムおよび光ピックアップシステム
JP3071031B2 (ja) 半導体レーザ装置

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040210

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040412

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040813

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040819

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080827

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080827

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090827

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090827

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100827

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100827

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110827

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120827

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130827

Year of fee payment: 9

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees