JP3587026B2 - 導電性ロール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機やプリンター等の電子写真装置に用いられる導電性ロールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電子写真複写機による複写はつぎのようにして行われる。すなわち、軸中心に回転する感光ドラムに原稿像を静電潜像として形成し、これにトナーを付着させてトナー像を形成する。ついで、このトナー像を複写紙に転写することにより複写が行われる。この場合、上記感光ドラム表面に対して静電潜像を形成させるためには、予め感光ドラム表面を帯電させ、この帯電部分に対して原稿像を光学系を介して投射し、光の当たった部分の帯電を打ち消すことにより静電潜像をつくるということが行われている。そして、上記静電潜像の形成に先立って感光ドラム表面を帯電させる方式としては、最近では、帯電ロールを感光ドラム表面に直接接触させて感光ドラム表面を帯電させるロール帯電方式が採用されている。さらに、このようにして感光ドラム表面に形成された静電潜像にトナー像を形成させる方法としては、現像ロールを用いた方式(接触現像方式)が採られている。すなわち、摩擦帯電して現像ロール表面にトナーが付着し、このトナーが現像ロールから感光ドラム表面の静電潜像に転写されることにより、感光ドラム表面にトナー像が形成される。このトナー像が、複写紙上に定着されることにより複写が行われる。
【0003】
上記電子写真複写機における帯電ロールや現像ロール等のロールとしては、例えば、軸体の外周に低硬度の弾性体層が形成された弾性ロール基体表面に、導電性被膜層が形成されたロールがあげられる。上記導電性被膜層は、例えば、ポリウレタン、ポリエステル等を溶解したベース樹脂溶液に、導電性カーボン等の導電性物質を分散させた後、さらにシリコーン化合物を添加した混合溶液を均一に塗布し乾燥することにより形成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記ロールを用い現像ロールとして、コピーやFAX等の通紙耐久試験に供した場合、現像ロール表面の導電性被膜層からシリコーン化合物が徐々に滲出して(ブリードアウト)、初期の画質を維持することが困難となり、濃度むら等が発生して、現像ロールとして要求される性能を維持することができないのが実情である。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、初期の良好な画質を長期間にわたって維持することができ、トナーフィルミング性に優れた導電性ロールの提供をその目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の導電性ロールは、軸体の外周面に、二層以上の層が形成された導電性ロールであって、上記層のうち最外層が、厚み0.5μm以下の非導電性シリコーン樹脂層によって形成され、上記最外層を除くロールの電気抵抗値が1×109 Ω以下に設定されているとともに、ロール全体の電気抵抗値が4×10 8 〜5×10 11 Ωの範囲に設定されているという構成をとる。
【0007】
本発明者らは、長期間の使用にわたって良好な画質を得ることのできる導電性ロールを得るために一連の研究を重ねた。そして、まず、従来のロールの問題点であった、現像ロール表面の導電性被膜層からシリコーン化合物が抜け出てくる原因を突き止めるべく研究を行った。その結果、導電性被膜層の形成材料において、ベース樹脂とシリコーン化合物との間に水素結合が生じることからある程度はシリコーン化合物のブリードアウトを抑制することはできるが、長期にわたっての使用において決して充分ではなく、しかもこのシリコーン化合物とベース樹脂との相溶性は決してよいとはいえないものであることを突き止めた。この知見から、本発明者らは、ベース樹脂にシリコーン化合物を添加するという従来の発想とは全く異なる発想に想到した。すなわち、最外層部分をシリコーン樹脂で形成すると、従来のようにシリコーン化合物がブリードアウトすることもなく、長期間にわたって良好な画質が得られることを見出した。さらに、このシリコーン樹脂からなる最外層の厚みを0.5μm以下の薄層に形成するとともに、この最外層が形成されるまでのロールの電気抵抗を特定値以下に設定し、かつ、この最外層が形成された後のロール全体の電気抵抗値を特定の範囲に設定することにより、導電性ロールとして好ましい特性が付与されることを見出し本発明に到達した。
【0008】
そして、最外層を形成するシリコーン樹脂としては、前記一般式(1)で表されるシリコーン樹脂を用いることが最外層形成材料として特に好ましいことを突き止めた。
【0009】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0010】
本発明の導電性ロールは、軸体の外周に二層以上の層が形成され、しかも、上記層のうち最外層が、特定の厚みの非導電性シリコーン樹脂層によって形成されたものである。
【0011】
本発明の導電性ロールの一例を図1に基づいて説明する。この導電性ロールは、軸体10と、この軸体10の外周面に沿って形成される最内層11と、この最内層11の外周面に沿って形成される中間層12と、この中間層12の外周面に沿って形成される最外層13とから形成される。
【0012】
上記軸体10としては、導電性を有するものであれば特に限定するものではなく、金属製の中実体からなる芯金や、内部を中空にくり抜いた金属製の円筒体が用いられる。上記軸体10の材料としては、アルミニウム、ステンレス等があげられる。
【0013】
上記軸体10の外周面に形成される最内層11の形成材料としては、例えば、ポリウレタン等があげられる。このポリウレタンは、例えば、ポリイソシアネートとポリオールとを用いて得られる。
【0014】
上記ポリイソシアネートとしては、特に限定するものではなく従来公知のものがあげられ、例えば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、カルボジイミド変性MDI、ポリメチレンフェニルポリイソシアネート(PAPI)、オルトトルイジンジイソシアネート(TODI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PDI)、リジンジイソシアネートメチルエステル(LDI)、ジメチルジイソシアネート(DDI)等があげられる。なかでも、MDI、TODI等を用いることが好ましい。
【0015】
上記ポリイソシアネートとともに用いられるポリオールとしては、特に限定するものではなく、例えば、ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリヘキシレンアジペート、ポリジエチレンアジペート(PDA)、ポリプロピレンアジペート(PPA)、ポリネオペンチルアジペート(PNA)、エチレンアジペートとブチレンアジペートとの共重合体、ポリ−ε−カプロラクタン等のポリエステルポリオールや、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコール等のポリエーテルポリオール、ジメチルシリコーンポリオール、フッ化アルキルポリオール、ポリヘキサメチレンカーボネート等のカーボネート系ポリオールがあげられる。
【0016】
上記最内層11の形成材料としては、通常、上記ポリウレタンに導電性物質が配合される。上記導電性物質としては、従来から用いられているカーボンブラック、グラファイト、チタン酸カリウム、酸化鉄、c−TiO2 、c−ZnO、c−SnO2 、イオン導電剤(四級アンモニウム塩、ホウ酸塩、界面活性剤等)等があげられる。なお、上記「c−」は、導電性を有するという意味を表すものである。
【0017】
上記最内層11の外周面に形成される中間層12の形成材料としては、例えば、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、ヒドリンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル、ポリアミド、N−メトキシメチル化ナイロン、フッ素樹脂等に、導電性物質を配合したものが好ましく用いられる。上記導電性物質としては、前記最内層11の形成材料で述べた導電性物質と同様のものが用いられる。なかでも、接着性や塗料としての安定性等の点から、水素化ニトリルゴムにカーボンブラックを配合したものがより好ましい。
【0018】
上記中間層12の外周面に形成される最外層13の形成材料には、シリコーン樹脂が用いられる。すなわち、本発明においては、最外層13の形成材料としてシリコーン樹脂を用いることが最大の特徴である。上記シリコーン樹脂としては、例えば、下記の一般式(1)で表されるシリコーン樹脂が好適に用いられる。なお、本発明でいうシリコーン樹脂とは、分子内に3官能性、あるいは4官能性のシロキサン単位を含有するポリオルガノシロキサンをいい、シリコーンオイルやシリコーンゴム等に比べ格段に架橋密度が高いものである。
【0019】
【化2】
【0020】
上記一般式(1)で表されるシリコーン樹脂としては、一液タイプと二液タイプとがあり、さらに、その硬化反応タイプとしては、加熱硬化型と室温(湿気)硬化型がある。
【0021】
上記一般式(1)で表されるシリコーン樹脂は、下記の式(2)で表されるものと、下記の式(3)で表されるものとを混合して得られる。
【0022】
【化3】
【0023】
本発明の導電性ロールは、例えば、つぎのようにして製造される。すなわち、まず、前記最内層11形成材料を構成する各成分をニーダー等の混練機を用いて混練し、コンパウンド状の最内層11形成材料を調製する。また、上記中間層12形成材料および最外層13形成材料となる各コーティング液を作製する。上記各コーティング液は、前記各成分をボールミルやロール等の混練機を用いて混練し、この混合物に有機溶剤を加えて混合し、攪拌することにより調製される。
【0024】
上記有機溶剤としては、メチルエチルケトン(MEK)、メタノール、トルエン、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、メチルイソブチルケトン、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル、酢酸ブチル等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0025】
つぎに、金属製の軸体(芯金)を準備し、図2に示すように、上記金属製の軸体10をセットした下蓋21および円筒型22内に、前記コンパウンド状の最内層11形成材料を注型し、上蓋23を上記円筒型22に外嵌する。ついで、上記ロール型全体を加熱して上記コンパウンド状の最内層11形成材料を架橋させて最内層11を形成する。つぎに、この最内層11が形成された軸体10を脱型した後、上記最内層11の外周面に、中間層12形成材料となるコーティング液を塗布し、もしくは上記最内層11形成済みのロールをコーティング液中に浸漬して引き上げた後、乾燥および加熱処理を行うことにより、最内層11の外周面に中間層12を形成する。さらに、上記中間層12の外周面に、最外層13形成材料となるコーティング液を塗布し、もしくは上記中間層12形成済みのロールをコーティング液中に浸漬して引き上げた後、乾燥および加熱処理を行うことにより、中間層12の外周面に最外層13を形成する。上記コーティング液の塗布方法は、特に制限するものではなく、従来公知のディッピング法、スプレーコーティング法、ロールコート法等があげられる。このようにして、軸体10の外周に、最内層11、中間層12および最外層13がこの順で形成された導電性ロールが製造される。
【0026】
このようにして得られる本発明の導電性ロールにおいて、前記最内層11の電気抵抗は1×103 〜1×1010Ω・cmの範囲になるよう調整することが好ましく、特に好ましくは1×104 〜1×108 Ω・cmの範囲である。また、上記中間層12の電気抵抗は、1×102 〜1×108 Ω・cmの範囲に調整することが好ましく、特に好ましくは1×104 〜1×107 Ω・cmの範囲である。そして、前記軸体10と最内層11と中間層12とからなるロール(最外層13を除く)の電気抵抗は、1×109 Ω以下となるよう調整することが必要であり、好ましくは1×103 〜1×108 Ωの範囲である。このように、最外層13を形成するシリコーン樹脂が電気絶縁性を有するため、この最外層13が形成されるまでのロールの電気抵抗をある程度低く設定して導電性に設定し、最外層13の形成により半導電性とする必要がある。すなわち、上記ロール(最外層13を除く)の電気抵抗が1×109 Ωを超えると、導電性ロール全体として所望の導電性が得られず、結果、良好な複写画像が得られなくなるからである。
【0027】
なお、上記各層の電気抵抗は、JIS K 6911に記載の方法に準じて測定した値である。より詳しく述べると、上記各層の電気抵抗は、つぎのようにして測定される。すなわち、各層形成材料によるシートを作製し、このシート外表面上に銀ペーストで10mm四方の電極を描き(ガード電極付)、シートの反対側の面に対抗電極を設け、電極間の電気抵抗を測定する。なお、電極間には直流電圧10Vを印加する。
【0028】
上記導電性ロールにおいて、最内層11の厚みは2〜10mmの範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは3〜6mmの範囲である。また、上記中間層12の厚みは1〜90μmの範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは5〜15μmの範囲である。そして、上記最外層13の厚みは0.5μm以下に設定する必要がある。好ましくは0.2〜0.5μmの範囲である。すなわち、最外層13の厚みが0.5μmを超え層が厚くなると、硬度が高くなって低硬度のロールが得られず、しかも、絶縁性のシリコーン樹脂によって形成されるために、電気抵抗が高くなりすぎて、所望の導電性を有するロールが得られなくなるからである。
【0029】
本発明の導電性ロールは、上記のように、3層構造に限定するものではなく、芯金の外周に、少なくとも2層が形成されていればよい。そして、その層のうち、最外層となる層が、先に述べたように、厚み0.5μm以下の非導電性シリコーン樹脂層によって形成され、しかも、上記最外層を除くロールの電気抵抗値が1×109 Ω以下に設定されていなければならない。
【0030】
本発明の導電性ロールの、他の例を図3に示す。この導電性ロールは、軸体10と、この軸体10の外周面に沿って形成される最内層15と、この最内層15の外周面に沿って形成されるシリコーン樹脂製の最外層16とから形成される2層構造からなるロールである。このような2層構造のロールにおいて、最内層15の形成材料としては、特に限定するものではないが、例えば、先に述べた3層構造のロールの最内層形成材料のポリウレタンをベースとし、これに前記導電性物質を配合した導電性ポリウレタン、あるいは導電性シリコーンゴム等があげられる。上記最内層15形成材料として導電性ポリウレタンを用いた場合、様々な用途に適した材料が豊富に存在し、導電剤もいろいろと使用可能なため、幅広い電気抵抗のベースロールを作製することができる。また、上記最内層15形成材料として導電性シリコーンゴムを用いた場合、硬度の面で広い範囲の選択が可能なため、低硬度(JIS A 20°以下)も可能であり、また圧縮永久歪みも良好である。
【0031】
そして、このような2層構造の導電性ロールにおいても、先に述べたように、最外層となる層が、厚み0.5μm以下の非導電性シリコーン樹脂層、好ましくは厚み0.2〜0.5μmの非導電性シリコーン樹脂層によって形成され、しかも、上記最外層を除くロールの電気抵抗値が1×109 Ω以下に、好ましくは1×103 〜1×108 Ωの範囲に設定される。
【0032】
このような導電性ロールは、例えば、給紙ロール、帯電ロール、現像ロール、転写ロールとして用いることができる。
【0033】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0034】
【実施例1〜8、比較例1〜9】
まず、SUS303製芯金(直径10mm)を準備した。また、後記の表1〜表6に示す各成分を同表に示す割合で配合して、各層の形成材料を調製した。まず、ポリエステルポリオール(ニッポランN−4032、日本ポリウレタン工業社製)100重量部(以下「部」と略す)に導電性カーボン1部を添加して均一分散させた後、これを140℃に昇温し10〜20mmHgの減圧下で攪拌しながら12時間充分に脱水乾燥させた。これをさらに110〜120℃に温度調整しポリオール100部にトリレンジイソシアネート(コロネートT−65、日本ポリウレタン工業社製)7部を加え、2分間激しく混合した後、110℃に加熱した上記芯金セット済み円筒金型に流し込み、2時間硬化させた。型から取り出した後、さらに110℃で24時間二次架橋を行うことにより、芯金の外周面に最内層が形成されたロールを作製した。一方、実施例8においては、下記の表1に示すように、最内層形成材料としてシリコーンゴムを用いた。
【0035】
ついで、上記中間層形成材料および最外層形成材料を用い、上記最内層の外周表面にロールコートのコーティング方法により中間層および最外層を順次形成し、目的とする3層構造の導電性ロールを作製した。なお、実施例7,8においては、中間層は形成せず、最内層と最外層の2層構造の導電性ロールを作製した。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】
【表6】
【0042】
このようにして得られた導電性ロールの各層の厚みおよび電気抵抗(最外層を除くロール、最外層を形成したロール全体)を、後記の表7〜表10に併せて示した。また、導電性ロールを用い、下記の方法に従って耐溶剤性テストを行い後記の表7〜表10に併せて示した。
【0043】
〔電気抵抗〕
各導電性ロールについて、最内層、中間層および最外層の各層の電気抵抗と、最外層を除くロール(最外層形成前)および最外層を形成したロール全体の電気抵抗をつぎの方法により測定した。すなわち、測定対象となる層表面に銀ペーストにて10mm角電極(ガード付)を設け、芯金との間の抵抗を、JIS K 6911の方法に準じて測定した。
【0044】
〔耐溶剤性〕
イソプロピルアルコール(IPA)をベンコットリントフリーCT−8(旭化成社製)にしみ込ませ、各導電性ロール表面を軽く擦った。そして、そのロール表面を目視した。その結果、ロール表面状態に変化がみられなかったものを○、ロール表面が少し削れた状態(傷がつく等)のものを△、ロール表面が溶けて表層部分が無くなった状態のものを×として表示した。
【0045】
さらに、各導電性ロールを市販の電子写真複写機に組み込み、実際に複写を行った。そして、下記の基準に従い画出し評価を行った。その結果を後記の表7〜表10に併せて示した。
【0046】
〔感材汚染性〕
ロール両端の軸体部に各500gの荷重をかけて、感光体に押し付け、45℃×90%の温湿度環境下に1ケ月間放置した。そして、この感光体を電子写真複写機に組み込み、画像出しを行い、10枚目までにロール跡が認められないものを○、認められたものを×として表示した。
【0047】
〔画質〕
複写初期および3000枚複写後における複写画像の画質を目視評価した。すなわち、文字を複写し、複写画像に問題がなく、細線が鮮明に複写されたものを○、かすれやかぶり等がわずかに発生したものを△、かすれやかぶり等が多量に発生したものを×としてそれぞれ表示した。なお、かすれとは細線がとぎれたものをいい、かぶりとはイメージのないところにトナーが飛んでいるものをいう。
【0048】
〔耐フィルミング性〕
導電性ロール表面にトナーが厚く付着した部分は、帯電性が悪くなり複写画像に不良が生じる。具体的には、導電性ロール表面に表面にトナー成分の一部が1μm以上の厚みで付着すると、画像が著しく悪化する。そこで、トナー付着の厚みが1μm以上であったものをトナーフィルミングが発生したものとした。そして、トナーフィルミングの発生したものを×、発生しなかったものを○として表示した。
【0049】
【表7】
【0050】
【表8】
【0051】
【表9】
【0052】
【表10】
【0053】
上記表7〜表10の結果から、実施例品の導電性ロールは、最外層の厚みが0.5μm以下であり、かつ最外層形成前のロールの電気抵抗が1×109 Ω以下に設定されているため、複写初期および複写耐久後のいずれにおいても良好な画質が得られた。しかも、耐溶剤性、感材汚染性および耐フィルミング性においても全て良好な結果が得られた。
【0054】
これに対して、比較例1〜7品の導電性ロールは、その最外層がベース樹脂に各種のシリコーンオイルを添加した形成材料によって形成されたものであり、しかも最外層の厚みが厚いため、感材汚染性および耐フィルミング性に劣り、3000枚複写後の画質評価においても劣っていた。また、比較例8品は、最外層がシリコーン樹脂で形成されたものであるが、厚みが0.6μmと0.5μmを上回っており、結果、画質評価、特に3000枚複写後の画質評価に劣っていた。また、比較例9品は最外層形成前のロールの電気抵抗値が1×109 Ωを上回っており、初期および3000枚複写後のいずれにおいても画質評価が劣っていた。
【0055】
【発明の効果】
以上のように、本発明の導電性ロールは、最外層が厚み0.5μm以下の非導電性シリコーン樹脂層によって形成され、しかも上記最外層を除くロールの電気抵抗値が1×109 Ω以下に設定されているとともに、ロール全体の電気抵抗値が4×10 8 〜5×10 11 Ωの範囲に設定されているため、従来のように、ベース樹脂に添加したシリコーン化合物がブリードアウトして初期の良好な画質を維持できないというような問題も生じず、適正な電気抵抗を備えることと相俟って長期間にわたって優れた画質を得ることができる。しかも、濃度むら等の不都合が発生することもない。
【0056】
そして、最外層を形成するシリコーン樹脂としては、前記一般式(1)で表されるシリコーン樹脂を用いることが、最外層となる薄膜を形成するという観点から特に好ましい。
【0057】
このような本発明の導電性ロールとしては、導電性シリコーンゴムからなる最内層が形成され、この最内層の外周面に、最外層となる厚み0.5μm以下の非導電性シリコーン樹脂層が形成された、または、導電性ポリウレタンからなる最内層が形成され、上記最内層の外周面に、最外層となる厚み0.5μm以下の非導電性シリコーン樹脂層が形成された2層構造の導電性ロールがあげられる。このような2層構造の導電性ロールは、構造がシンプルであって製造工程が容易となり、ベースゴム材料(最内層形成材料)の特性を最大限に生かしたロールとなる。
【0058】
さらに、上記2層構造の導電性ロールの他に、導電性シリコーンゴムや導電性ポリウレタンからなる最内層が形成され、上記最内層の外周面に、水素化ニトリルゴムに導電性物質を加えた形成材料を用いて形成された中間層が形成され、上記中間層の外周面に、最外層となる厚み0.5μm以下の非導電性シリコーン樹脂層が形成された3層構造の導電性ロールがあげられる。このような3層構造の導電性ロールは、中間層の電気抵抗を任意に変えることにより、最外層形成前のロールの電気抵抗を調整して、様々なベースゴム材料に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の導電性ロールの一例を示す断面図であり、(B)はそのA−A矢視断面図である。
【図2】本発明の導電性ロールの製法の一例を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明の導電性ロールの他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
10 軸体
11 最内層
12 中間層
13 最外層
Claims (6)
- 軸体の外周面に、二層以上の層が形成された導電性ロールであって、上記層のうち最外層が、厚み0.5μm以下の非導電性シリコーン樹脂層によって形成され、上記最外層を除くロールの電気抵抗値が1×109 Ω以下に設定されているとともに、ロール全体の電気抵抗値が4×10 8 〜5×10 11 Ωの範囲に設定されていることを特徴とする導電性ロール。
- 上記非導電性シリコーン樹脂層が、下記の一般式(1)で表されるシリコーン樹脂によって形成されている請求項1記載の導電性ロール。
- 軸体の外周面に、導電性シリコーンゴムからなる最内層が形成され、上記最内層の外周面に、最外層となる厚み0.5μm以下の非導電性シリコーン樹脂層が形成されている請求項1または2記載の導電性ロール。
- 軸体の外周面に、導電性ポリウレタンからなる最内層が形成され、上記最内層の外周面に、最外層となる厚み0.5μm以下の非導電性シリコーン樹脂層が形成されている請求項1または2記載の導電性ロール。
- 軸体の外周面に、導電性ポリウレタンからなる最内層が形成され、上記最内層の外周面に、水素化ニトリルゴムに導電性物質を加えた形成材料を用いて形成された中間層が形成され、上記中間層の外周面に、最外層となる厚み0.5μm以下の非導電性シリコーン樹脂層が形成されている請求項1または2記載の導電性ロール。
- 軸体の外周面に、導電性シリコーンゴムからなる最内層が形成され、上記最内層の外周面に、水素化ニトリルゴムに導電性物質を加えた形成材料を用いて形成された中間層が形成され、上記中間層の外周面に、最外層となる厚み0.5μm以下の非導電性シリコーン樹脂層が形成されている請求項1または2記載の導電性ロール。
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