JP3899960B2 - 現像ロール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真複写機、プリンター等の電子写真装置に用いられる現像ロールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電子写真複写機による複写はつぎのようにして行われる。すなわち、回転する感光ドラムに原稿像を静電潜像として形成し、これにトナーを付着させてトナー像を形成し、このトナー像を複写紙に転写することにより複写を行うものである。この場合、上記感光ドラム表面に対して静電潜像を形成させるためには、予め感光ドラム表面を帯電させ、この帯電部分に対して原稿像を光学系を介して投射し、光の当たった部分の帯電を打ち消すことにより静電潜像をつくるということが行われている。そして、感光ドラム上の静電潜像を現像し、可視像を形成する現像方法としては、その使用する現像剤の種類に応じて、従来より各種の方法が提案されている。その一例として、トナーのみを現像剤として用いる一成分現像方式が知られている。
【0003】
上記一成分現像方式に用いられる現像装置としては、例えば、図5に示すような現像装置1が提案されている。この現像装置1では、一成分現像剤(トナー)2を担持する現像ロール3が、感光ドラム4と当接しており、かつ感光ドラム4側に開口したトナーボックス5の内部に収容されている。また、上記現像ロール3は、ポリウレタンフォーム,スポンジ等からなる発泡体を用いた弾性ロール6に当接しており、この弾性ロール6の矢印方向への回転により、現像ロール3の外周にトナー2の層が形成されるようになっている。一方、上記トナーボックス5には、層形成部材7が設けられている。そして、この層形成部材7が現像ロール3の外周面に圧接している。
【0004】
このような現像装置1において、つぎのようにして感光ドラム4の外周面にトナー像が形成される。すなわち、まず現像ロール3と感光ドラム4とが図示の矢印のとおり回転する。これにともない、層形成部材7と現像ロール3の外周面の摩擦によりトナー2が摩擦帯電し、かつ現像ロール3の外周面に均一厚なトナー層が形成される。そして、このトナー層のトナー2が、感光ドラム4の外周面に形成された静電潜像(上記トナー2とは逆の極性に帯電されている)の電気的吸引力によって、静電潜像がトナー像として顕在化する。このようにして、感光ドラム4の外周面にトナー像が形成される。なお、トナー像形成に参加しなかったトナーは、トナーボックス5内に回収され、繰り返し使用される。
【0005】
ここで、上記現像ロール3は、例えば、軸体の外周面にシリコーンゴム等の弾性体からなるベースゴム層が形成され、その外周面に樹脂材あるいはゴム材からなる最外層が形成されて構成される。このような構成により、上記ベースゴム層の形成材料であるシリコーンゴム等から低分子量分がブリードアウトするのを上記最外層によって防いでいる。また、上記現像ロール3の最外層形成材料を、使用されるトナーに最適な最外層となるよう適宜選択することにより、トナー帯電性、トナー搬送性、耐トナーフィルミング性等が確保されるようになる。そして、このような最外層形成材料としては、従来から、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂等が用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の最外層形成材料を用いた場合、現像ロール3の使用の継続によって上記層形成部材7にトナー成分が固着し、均一なトナー層の形成ができず、画像不具合を生じるといった難点および回収されるトナーが熱により劣化されているという難点がある。これは、上記従来の最外層形成材料を用いた場合では、ロール表面の摩擦抵抗が大きく、使用の継続によって、層形成部材7の現像ロール3との圧接部分が局部的に発熱し、その熱によってトナーが融着ないし劣化してしまうためと考えられる。特に、近年では、低電力化を達成するためにトナーの融点が低下される傾向にあるため、発熱によるトナー劣化等が進行しやすい状況にあるといえる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、トナー帯電性、トナー搬送性等に優れているとともに、トナー劣化を生じさせず、良好な画質が得られる現像ロールの提供をその目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の現像ロールは、軸体の外周面に少なくとも一つの層が形成された現像ロールであって、その最外層が、下記の樹脂組成物(X)によって形成されているという構成をとる。
(X)下記の(A)および(B)を主成分とし、かつ(A)成分および(B)成分の含有割合が、重量比で、(A)/(B)=90/10〜60/40の範囲に設定されている樹脂組成物。
(A)ポリビニルブチラール。
(B)ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)系ポリウレタンおよびアジペート系ポリウレタンの少なくとも一方。
【0009】
すなわち、本発明者らは、前記課題を解決するため一連の研究を重ねた。その過程で、ポリビニルブチラール(以下、「PVB」と略す)を現像ロールの最外層形成材料に用いると、ロール表面の摩擦抵抗を低く抑えることができるとの知見を得たため、本発明者らは、従来の現像ロールの欠点であるロール表面の摩擦抵抗を、PVBを用いて改善すべく研究を重ねた。その結果、PVBは、ポリウレタンに対して高い相溶性を示すことがわかった。そして、PVBを、特定のポリウレタンに対し特定の割合で配合し、これを最外層形成材料としたところ、トナー帯電性やトナー搬送性を損なうことなく低摩擦化がなされるようになることを見出し、本発明に到達した。
【0010】
特に、最外層表面の静動摩擦係数が特定の範囲に設定されていれば、摩擦熱がより抑えられるようになるため、トナー劣化がさらに生じにくくなり、画質が一層向上するようになる。
【0011】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0012】
本発明の現像ロールは、例えば、図1に示すように、軸体11の外周面に沿ってベースゴム層12が形成され、その外周面に中間層13が形成され、さらにその外周面に最外層14が形成された構造になったものをあげることができる。そして、本発明では、上記最外層14が、PVBおよび特定のポリウレタンを主成分とし、かつこれらが特定の割合で含有されてなる樹脂組成物によって形成されていることが最大の特徴である。ここで「主成分」とは、組成物の特性に大きな影響を与えるもののことであり、通常は、全体の50重量%以上を意味し、全体が主成分のみからなる場合も含まれる。
【0013】
上記軸体11としては、導電性を有するものであれば特に限定されるものではなく、金属製の中実体からなる芯金や、内部を中空にくり抜いた金属製の円筒体が用いられる。上記軸体11の材料としては、アルミニウム、ステンレス等があげられる。また、必要に応じ軸体11上に接着剤、プライマー等を塗布することができる。なお、接着剤、プライマー等は必要に応じて導電化してもよい。
【0014】
上記軸体11の外周面に形成されるベースゴム層12形成材料としては、特に限定されるものではなく、例えば、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリウレタン系エラストマー等があげられ、単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかでも、低硬度でへたりが少ないという点から、シリコーンゴムが好ましい。また、導電性付与のため、カーボンブラック、グラファイト、チタン酸カリウム、酸化鉄、c−TiO2 、c−ZnO、c−SnO2 、イオン導電剤(四級アンモニウム塩、ホウ酸塩、界面活性剤等)等の従来公知の導電剤を、上記ベースゴム層12形成材料中に適宜に添加してもよい。
【0015】
上記ベースゴム層12の外周面に形成される中間層13形成材料としては、特に限定されるものではなく、例えば、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)、ポリウレタン系エラストマー、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、ヒドリンゴム、ナイロン等があげられ、単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかでも、接着性およびコーティング液の安定性の点から、H−NBRが特に好ましい。
【0016】
上記中間層13の外周面に形成される最外層14形成材料としては、先に述べたように、PVBおよび特定のポリウレタンを主成分とし、かつこれらが特定の割合で含有されてなる樹脂組成物が用いられる。
【0017】
上記PVBは、ポリビニルアルコールを酸触媒の存在下でブチルアルデヒドと反応させることによって得られる環状アセタール構造を有する樹脂であり、見掛け上、ビニルブチラール単位、酢酸ビニル単位及びビニルアルコール単位からなるターポリマー構造を有するものである。
【0018】
上記特定のポリウレタンとしては、(現像ロールの性能において)特性が優れている、摩擦係数が低い、溶剤可溶性である等の点で、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)系ポリウレタンおよびアジペート系ポリウレタンの少なくとも一方(PTMG系ポリウレタンおよび/またはアジペート系ポリウレタン)が使用される。また、上記ポリウレタンは、直鎖状のものが好ましいが、必要に応じ、末端または側鎖に−OH、−NCO、−NH2 等の官能基を持たせ、イソシアネート化合物、アミン化合物、エポキシ化合物等により架橋するものであってもよい。
【0019】
上記最外層14形成材料である樹脂組成物におけるPVB(A成分)およびポリウレタン(B成分)の含有割合は、重量比で、(A)/(B)=90/10〜60/40の範囲に設定されている。すなわち、上記割合において、(A)成分が多過ぎると、トナー帯電性やトナー搬送性が損なわれるようになるからであり、逆に、(A)成分が少な過ぎると、ロール表面の低摩擦化がなされなくなるからである。そして、上記含有割合(重量比)は、(A)/(B)=80/20〜70/30の範囲であると好ましい。すなわち、このような範囲内に設定することにより、ロール表面の低摩擦化とトナー帯電性等との両立において、好ましい結果が得られるようになるからである。
【0020】
なお、上記特殊な最外層14形成材料には、上記(A)成分および(B)成分以外にも、必要に応じて他の添加剤を適宜に配合することができる。上記他の添加剤としては、カーボンブラック,グラファイト,チタン酸カリウム等の導電剤、酸化チタン,炭酸カルシウム,タルク,クレー,シリカ等の充填剤や、安定剤、紫外線吸収剤、帯電制御剤、補強剤、滑剤、離型剤、染料、顔料、難燃剤、オイル等があげられる。
【0021】
本発明の現像ロールは、例えば、つぎのようにして作製することができる。
【0022】
すなわち、まず、前記ベースゴム層12形成材料用の各成分をニーダー等の混練機で混練し、ベースゴム層12形成材料を作製する。また、前記中間層13形成材料用の各成分をロール等の混練機を用いて混練し、この混合物に有機溶剤を加えて混合、攪拌することにより、中間層13形成材料(コーティング液)を作製する。さらに、前記最外層14形成材料用の各成分を有機溶剤に溶解し、サンドミル等で分散することにより、最外層14形成材料(コーティング液)を作製する。
【0023】
ついで、円筒状金型の中空部に、金属製の軸体11をセットし、上記円筒状金型と軸体11との空隙部に、上記ベースゴム層12形成材料を注型した後、金型に蓋をし、加熱して、ベースゴム層12形成材料を架橋させる。その後、上記円筒状金型から脱型することにより、軸体11の外周面にベースゴム層12が形成されてなるベースロールを取り出す。なお、必要に応じ上記ベースロール表面にコロナ放電処理やプラズマ処理を行う。さらに必要に応じ上記ベースロール表面にカップリング剤の塗布を行う。そして、上記ベースロールの、ベースゴム層12の外周に中間層13形成材料となるコーティング液を塗布し、もしくは上記ベースロールを前記コーティング液中に浸漬して引き上げた後、乾燥および加熱処理を行うことにより、ベースゴム層12の外周に中間層13を形成する。さらに、上記中間層13の外周に、上記最外層14形成用溶液を塗工する。この塗工法は、特に制限するものではなく、ディッピング法、スプレー法、ロールコート法等の従来の方法が適用できる。そして、塗工後、乾燥および加熱処理(加硫処理、条件:120〜200℃×20〜90分)を行うことにより、上記最外層14形成用溶液中の溶剤の除去および架橋するものについては架橋を行う。このようにして、図1に示すような三層構造のロールを作製することができる。
【0024】
この現像ロールにおいて、ベースゴム層12の厚みは、通常0.5〜10mmの範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは厚み1〜6mmである。また、中間層13の厚みは、3〜90μmの範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは厚み5〜40μmである。そして、最外層14の厚みは、3〜100μmの範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは厚み5〜50μmである。
【0025】
このようにして得られた本発明の現像ロールにおいて、その最外層表面の動摩擦係数μkが、μk<0.35で、静摩擦係数μsが、μs<0.40に設定されていると好ましい。より好ましくは、μk<0.30、μs<0.35である。すなわち、静動摩擦係数をこのような範囲に設定すれば、ロール表面の摩擦熱がより抑えられるようになるため、トナー劣化がさらに生じにくくなり、その結果、画質が一層向上するようになるからである。なお、上記静動摩擦係数は、例えば、協和界面科学社製の静動摩擦係数計により測定することができる。
【0026】
なお、本発明の現像ロールの例として、図1において三層構造のものをあげたが、軸体11の外周に形成される層は必ずしも三層でなくてもよく、ロールの用途等に応じ、適宜の数の層が形成される。ただし、必ず最外層(単層の場合にはその層)が、上記最外層14形成用溶液で形成されている必要がある。
【0027】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0028】
【実施例1】
〔ベースゴム層形成材料〕
シリコーンゴム(X34−264、信越化学工業社製)。
【0029】
〔中間層形成材料〕
H−NBR(ゼットポール0020、日本ゼオン社製)100重量部(以下「部」と略す)と、ステアリン酸0.5部と、亜鉛華(ZnO)5部と、カーボンブラック(デンカブラックHS−100、電気化学工業社製)40部と、架橋促進剤BZを1部と、架橋促進剤CZを2部と、硫黄1部とを混練した後、有機溶媒に分散させることにより、中間層形成用溶液を調製した。
【0030】
〔最外層形成材料〕
PVB(デンカブチラール#2000、電気化学工業社製)90部と、ポリウレタン(ミラセンE−34、TSE社製)10部と、カーボンブラック(デンカブラックHS−100、電気化学工業社製)10部とを混合した後、メチルエチルケトンに分散させることにより、最外層形成用溶液を調製した。
【0031】
〔現像ロールの作製〕
つぎに、軸体としてSUS303製芯金(直径10mm)を準備し、この外周面に接着剤を塗布したものを、ロール型内部にセットし、上記軸体とロール型内周面の間の空隙部に上記ベースゴム層形成材料であるコンパウンドを注型し、加熱加硫(150℃×30分)させた後、脱型することにより軸体の外周にベースゴム層(厚み4mm)を形成した。このようにして得られたベースゴム層付き軸体を上記金型から脱型し、必要に応じて反応を完結させる(200℃×4時間)。ついで、上記ベースゴム層外周面に、上記中間層形成材料からなるコーティング液を塗布後、乾燥および加熱処理を行うことによりベースゴム層の外周面に中間層(厚み20μm)を形成し、さらに、上記中間層の外周面に、上記最外層形成材料からなるコーティング液を塗布後、乾燥および加熱処理を行うことにより中間層の外周面に最外層(厚み10μm)を形成し、三層構造の現像ロールを得た(図1参照)。
【0032】
【実施例2】
上記最外層形成材料におけるPVBの配合割合を80部とし、ポリウレタンの配合割合を20部としたこと以外は、実施例1と同様にして、最外層形成材料を調製した。そして、それ以外は、実施例1と同様(製法や各層の厚みも実施例1と同様)にして、現像ロールを作製した。
【0033】
【実施例3】
上記最外層形成材料におけるPVBの配合割合を70部とし、ポリウレタンの配合割合を30部としたこと以外は、実施例1と同様にして、最外層形成材料を調製した。そして、それ以外は、実施例1と同様(製法や各層の厚みも実施例1と同様)にして、現像ロールを作製した。
【0034】
【実施例4】
上記最外層形成材料におけるPVBの配合割合を60部とし、ポリウレタンの配合割合を40部としたこと以外は、実施例1と同様にして、最外層形成材料を調製した。そして、それ以外は、実施例1と同様(製法や各層の厚みも実施例1と同様)にして、現像ロールを作製した。
【0035】
【比較例1】
上記最外層形成材料におけるPVBの配合割合を95部とし、ポリウレタンの配合割合を5部としたこと以外は、実施例1と同様にして、最外層形成材料を調製した。そして、それ以外は、実施例1と同様(製法や各層の厚みも実施例1と同様)にして、現像ロールを作製した。
【0036】
【比較例2】
上記最外層形成材料におけるPVBの配合割合を50部とし、ポリウレタンの配合割合を50部としたこと以外は、実施例1と同様にして、最外層形成材料を調製した。そして、それ以外は、実施例1と同様(製法や各層の厚みも実施例1と同様)にして、現像ロールを作製した。
【0037】
【比較例3】
上記最外層形成材料におけるPVBの配合割合を100部(ポリウレタンは不含)としたこと以外は、実施例1と同様にして、最外層形成材料を調製した。そして、それ以外は、実施例1と同様(製法や各層の厚みも実施例1と同様)にして、現像ロールを作製した。
【0038】
【比較例4】
上記最外層形成材料におけるPVBの配合割合を40部とし、ポリウレタンの配合割合を60部としたこと以外は、実施例1と同様にして、最外層形成材料を調製した。そして、それ以外は、実施例1と同様(製法や各層の厚みも実施例1と同様)にして、現像ロールを作製した。
【0039】
【比較例5】
最外層形成材料のポリマーとして、ポリウレタン(エラストランET1040、三井武田ケミカル社製)を用いた。そして、それ以外は、実施例1と同様(製法や各層の厚みも実施例1と同様)にして、現像ロールを作製した。
【0040】
【比較例6】
最外層形成材料のポリマーとして、アクリル樹脂(ハイパールD−100E、根上工業社製)を用いた。そして、それ以外は、実施例1と同様(製法や各層の厚みも実施例1と同様)にして、現像ロールを作製した。
【0041】
このようにして得られた各現像ロールについて、下記の基準に従い、各特性の比較評価および測定を行った。これらの結果を後記の表1および表2に併せて示した。
【0042】
〔表面硬度〕
現像ロールの表面硬度を、マイクロゴム硬度計MD−1型(高分子計器社製)を用いて測定した。
【0043】
〔ロール電気抵抗〕
ロール電気抵抗は、図2に示すような装置を用いて、金属ロール電極法により測定した。すなわち、ステンレス製の金属ロール61上に現像ロール62を接触させ、現像ロール62の両端を荷重1000g(9.8N)で押圧し、この状態で現像ロール62の一端に100Vの電圧を印加して電気抵抗を測定した。
【0044】
〔表面粗さ(Rz)〕
現像ロール表面の表面粗さ(周方向)を、サーフコム(東京精密社製)にて、JIS B 0601に準拠して測定した。なお、Rzは、凸凹に直角な平面で切断したとき、その切り口に現れる輪郭(これを断面曲線という)から、所定の波長より長い表面うねり成分をカットオフした粗さ曲線より求められる十点平均粗さであることを示す。
【0045】
〔動摩擦係数(μk)、静摩擦係数(μs)〕
図3に示すような、静動摩擦係数計(協和界面科学社製)を用いて測定した。すなわち、現像ロールの最外層形成材料となる樹脂組成物を用いて、厚み50〜100μmの塗膜11を作製し、これを固定台12の上にセットし、移動速度0.3cm/秒、荷重100gの条件下で測定した。図3において、13は圧接子、14は零点調整用天秤、15はロードセル、16は荷重(100g)を示す。なお、図4(a)は上記圧接子13の断面図であり、図4(b)は上記圧接子13の正面図である。
【0046】
〔トナー帯電量〕
Q/M測定器(MODEL210HS、Trek社製)にて、現像ロール上に層形成されたトナーの単位重量当たりの帯電量を測定した。
【0047】
〔トナー搬送量〕
上記現像ロール上に層形成されたトナーをテープ転写し、これの単位面積当たりの重量を測定することにより求めた。
【0048】
〔耐久後表面温度〕
得られた現像ロールを実機にて3時間空回しし、実機内に組み込まれた層形成部材との摩擦熱によるロール表面の温度変化を、放射温度計(IT−330、堀場製作所社製)を用いて測定した。
【0049】
〔画像評価〕
得られた現像ロールを電子写真プリンターに組み込み、実際にプリントを行った。そして、プリント画像の画質を、初期と1万枚プリント後(耐久後)において目視評価した。すなわち、文字を印刷し、プリント画像に問題がなく、細線にいたるまで鮮明にプリントされたものを○とし、以下、画像の良好な順に、△、×で評価した。
【0050】
〔トナーフィルミング性〕
上記1万枚プリント後(耐久後)、現像ロールへのトナーフィルミングの発生の有無を目視で判定した。そして、トナーフィルミングが発生しなかったものを○、トナーフィルミングが発生したものを×として評価した。
【0051】
〔トナー固着〕
上記1万枚プリント後(耐久後)、電子写真プリンター内の層形成部材へのトナー固着の発生の有無を目視で判定した。そして、トナー固着が発生しなかったものを○、トナー固着が若干発生したものを△、トナー固着が発生したものを×として評価した。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
上記表の結果から、実施例品はいずれも、トナー帯電性、トナー搬送性に優れているとともに、トナーフィルミング等も生じず、耐久後であってもプリント画像の劣化がほとんどみられないことがわかる。これに対し、最外層形成材料中のPVBとポリウレタンとの配合割合が、本願発明に規定の範囲から若干外れる比較例1品および比較例2品では、1万枚プリント後(耐久後)のプリント画像の画質が劣っていたり、トナー固着の評価が劣っていることがわかる。そして、最外層のポリマーがPVBのみからなる比較例3品では、表面硬度が高すぎ、鮮明なプリント画像が得られないことがわかる。また、PVBの配合割合の低すぎる比較例4品では、摩擦によるロール表面温度の上昇により、トナー劣化が生じ、耐久後の画質に悪影響が出ていることがわかる。そして、最外層のポリマーがポリウレタンのみからなる比較例5品や、アクリルのみからなる比較例6品の場合も、耐久後の画質が悪いことがわかる。
【0055】
【発明の効果】
以上のように、本発明の現像ロールは、その最外層が、PVBおよび特定のポリウレタンを主成分とし、かつこれらが特定の割合で含有されてなる樹脂組成物によって形成されている。そのため、現像ロールの性能であるトナー帯電性やトナー搬送性を損なうことなく、低摩擦化がなされるようになる。その結果、層形成部材との摩擦による熱の発生が抑えられるようになるため、使用を継続しても、熱によって層形成部材にトナーが融着したり、熱劣化したりすることがなくなり、優れたプリント画像を得ることができるようになる。また、融点の低いトナーを使用した場合であっても、上記の融着等が生じないことから、画像の不具合を生じずに低電力化を達成することもできる。
【0056】
特に、最外層表面の静動摩擦係数が特定の範囲に設定されていると、摩擦熱がより抑えられるようになるため、トナー劣化がさらに生じにくくなり、より優れたプリント画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の現像ロールの一例を示す断面図である。
【図2】 ロール電気抵抗の測定方法を示す説明図である。
【図3】 静動摩擦係数計による摩擦係数の測定状態を示す説明図である。
【図4】 (a)は上記摩擦係数の測定に用いる圧接子の断面図であり、(b)は上記圧接子の正面図である。
【図5】 上記現像ロールの使用状態を示す説明図である。
【符号の説明】
11 軸体
12 ベースゴム層
13 中間層
14 最外層
Claims (1)
- 軸体の外周面に少なくとも一つの層が形成された現像ロールであって、その最外層が、下記の樹脂組成物(X)によって形成されていることを特徴とする現像ロール。
(X)下記の(A)および(B)を主成分とし、かつ(A)成分および(B)成分の含有割合が、重量比で、(A)/(B)=90/10〜60/40の範囲に設定されている樹脂組成物。
(A)ポリビニルブチラール。
(B)ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)系ポリウレタンおよびアジペート系ポリウレタンの少なくとも一方。
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