以下に、本発明の導電性ローラを、図を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の導電性ローラの一例の断面図である。図示例の導電性ローラ1は、シャフト2と、該シャフト2の外周に形成された弾性層3と、該弾性層3の外周面に形成された第1樹脂被覆層4と、該第1樹脂被覆層4の外周面に形成された第2樹脂被覆層5とを備える。ここで、第1樹脂被覆層4は体積抵抗率が106Ω・cm以下であり、第2樹脂被覆層5は体積抵抗率が1010Ω・cm以上であり、また、第1樹脂被覆層4及び第2樹脂被覆層5の少なくとも一方は電子線硬化型樹脂を含む。
本発明の導電性ローラ1においては、第1樹脂被覆層4及び第2樹脂被覆層5の少なくとも一方に電子線硬化型樹脂を用いることで、電子線硬化型樹脂を用いた樹脂被覆層の形成において長時間乾燥する必要が無くなるため、量産における乾燥工程を省略又は短縮できる。即ち、本発明の導電性ローラ1の第1樹脂被覆層4及び/又は第2樹脂被覆層5は、例えば、電子線により重合可能な樹脂及び/又は化合物を含む塗工液(第1樹脂被覆層4を形成する場合は、更に導電剤を含むのが好ましい)を弾性層3及び/又は第1樹脂被覆層4の外表面に塗布した後、電子線照射して、電子線により重合可能な樹脂及び/又は化合物を硬化させて形成されるため、乾燥工程が必須ではなく、更に、電子線を照射した段階で、第1樹脂被覆層4及び/又は第2樹脂被覆層5が形成されるため、乾操ライン内の温度分布及び風量等のバラツキによる第1樹脂被覆層4及び/又は第2樹脂被覆層5の性能のバラツキを排除することができる。
また、本発明の導電性ローラ1においては、電子線照射により第1樹脂被覆層4及び/又は第2樹脂被覆層5を形成するため、電子線の照射量を適正化することにより、未反応化合物の残留を抑制することができる。また、電子線の加速電圧を制御して、第1樹脂被覆層4及び/又は第2樹脂被覆層5の架橋密度を調整することもできる。更に、電子線はカーボン系電子導電剤に吸収され難いため、第1樹脂被覆層4にカーボン系電子導電剤を用いた場合でも、電子線照射によって電子線硬化型樹脂を十分に生成させることができ、未反応化合物の残留を防止することができる。
更に、本発明の導電性ローラ1においては、第1樹脂被覆層4の体積抵抗率が106Ω・cm以下であり、且つ第2樹脂被覆層5の体積抵抗率が1010Ω・cm以上であるため、導電性ローラ1のトナー或いは感光ドラムに対する帯電性が大幅に向上している。ここで、第1樹脂被覆層4は導電剤を含むのが好ましく、第2樹脂被覆層5は導電剤を含まないのが好ましい。
また更に、本発明の導電性ローラ1の一好適実施態様においては、第2樹脂被覆層5にフッ素含有樹脂及び化合物並びにケイ素含有樹脂及び化合物からなる群から選択される少なくとも一種(電子線硬化型であっても、非電子線硬化型であってもよい)を含ませることで、第2樹脂被覆層5の表面エネルギーを低減することができ、かかる導電性ローラ1は、表面の摩擦抵抗が低く、長期間使用しても摩耗し難く、耐久性に優れる。
本発明の導電性ローラのシャフトとしては、良好な導電性を有する限り特に制限はなく、例えば、鉄、ステンレススチール、アルミニウム等の金属製の中実体からなる芯金や、内部を中空にくりぬいた金属製円筒体等の金属製シャフトを用いることができる。
本発明の導電性ローラの弾性層は、エラストマーと導電剤とを含み、必要に応じて充填剤等の他の成分を含む。該弾性層に用いるエラストマーとしては、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム(ECO)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリウレタン及びこれらの混合物等が挙げられ、これらの中でも、シリコーンゴム、EPDM、ECO及びポリウレタンが好ましい。上記弾性層には、上記エラストマーを発泡剤を用いて化学的に発泡させたり、ポリウレタンフォームのように空気を機械的に巻き込んで発泡させる等して、上記エラストマーを発泡体として用いてもよい。
上記シャフトと弾性層とは、反応射出成形法(RIM成形法)を用いて一体化してもよい。即ち、弾性層の原料成分を構成する2種のモノマー成分を筒状型内に混合射出し、重合反応させて、シャフトと弾性層とを一体化することができる。これにより原料の注入から脱型までの所要時間を短縮し、生産コストを大幅に削減することができる。
また、上記弾性層にシリコーンゴムを用いる場合、該シリコーンゴムは、一般的なミラブル型シリコーンゴム(HCR)でも液状シリコーンゴム(LSR)でもよい。なお、液状シリコーンゴムを用いる場合、液状射出成形(LIM:Liquid injection Molding)で弾性層を形成するのが好ましい。上記液状シリコーンゴムは、ビニル基含有ポリオルガノシロキサンに対して、オルガノハイドロジェンポリシロキサン、シリカ等の補強性充填剤、導電剤、白金系触媒、反応抑制剤、シリコーンオイル、その他各種添加剤を配合してなり、所定の形状のモールドに注入された後、加熱硬化によって成形される。
上記ビニル基含有ポリオルガノシロキサンは、分子中に2個以上の反応基を有し、該反応基としてはアルケニル基及び水酸基が挙げられる。該ビニル基含有ポリオルガノシロキサンとしては、下記式(I):
(式中、R
1は、それぞれ独立して一価の炭化水素基であり、nは100〜10,000の整数である)で表される化合物が好ましい。ここで、R
1における、一価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基及びペンチル基等のアルキル基、ビニル基及びアリル基等のアルケニル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基等が挙げられる。
また、上記オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、下記式(II):
(式中、R
2は、それぞれ独立して水素又は一価の炭化水素基であり、mは10〜1,000の整数である)で表され、分子中に2個以上のケイ素−水素結合を有する化合物が好ましい。ここで、R
2における、一価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基及びペンチル基等のアルキル基、ビニル基及びアリル基等のアルケニル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基等が挙げられる。
また、液状シリコーンゴムに含まれる導電剤としては、後述する弾性層に一般に用いられる導電剤を使用することができ、白金系触媒としては、塩化第二白金、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸等が挙げられ、反応抑制剤としては、メチルビニルシクロテトラシロキサン、アセチレンアルコール類、シロキサン変性アセチレンアルコール、ハイドロパーオキサイト等が挙げられる。
上記弾性層に用いる導電剤としては、電子導電剤、イオン導電剤等が挙げられる。電子導電剤としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボン、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボンブラック、酸化処理等を施したカラー用カーボンブラック、熱分解カーボンブラック、天然グラファイト、人造グラファイト、アンチモンドープ酸化スズ、ITO、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物、ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム等の金属、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマー、カーボンウィスカー、黒鉛ウィスカー、炭化チタンウィスカー、導電性チタン酸カリウムウィスカー、導電性チタン酸バリウムウィスカー、導電性酸化チタンウィスカー、導電性酸化亜鉛ウィスカー等の導電性ウィスカー等が挙げられる。上記電子導電剤の配合量は、上記エラストマー100質量部に対して1〜50質量部の範囲が好ましく、5〜40質量部の範囲が更に好ましい。
また、上記イオン導電剤としては、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸ジメチルエチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、エチル硫酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等のアンモニウム塩;リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、トリフルオロメチル硫酸塩、スルホン酸塩等が挙げられる。上記イオン導電剤の配合量は、上記エラストマー100質量部に対して0.01〜10質量部の範囲が好ましく、0.05〜5質量部の範囲が更に好ましい。上記導電剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、電子導電剤とイオン導電剤とを組み合わせてもよい。
上記弾性層は、上記導電剤の配合により、その抵抗値を103〜1010Ωcmとすることが好ましく、104〜108Ωcmとすることが更に好ましい。弾性層の抵抗値が103Ωcm未満では、電荷が感光ドラム等にリークしたり、電圧により導電性ローラ自体が破壊する場合があり、1010Ωcmを超えると、地かぶりが発生しやすくなる。
上記弾性層は、必要に応じて上記エラストマーをゴム状物質とするために、有機過酸化物等の架橋剤、硫黄等の加硫剤を含有してもよく、更に加硫助剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤等を含有してもよい。また、上記弾性層は、更に、充填剤、しゃく解剤、発泡剤、可塑剤、軟化剤、粘着付与剤、粘着防止剤、分離剤、離型剤、増量剤、着色剤等のゴム用配合剤を含有してもよい。
また、ポリウレタン又はEPDMを基材として上記弾性層を形成する場合、表面上のトナー帯電量をコントロールするために、ニグロシン、トリアミノフェニルメタン、カチオン染料等の各種荷電制御剤、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、ナイロン等の微粉体を添加してもよい。ここで、上記荷電制御剤の添加量は、上記ポリウレタン又はEPDM 100質量部に対して1〜5質量部の範囲が好ましく、上記微粉体の添加量は、上記ポリウレタン又はEPDM 100質量部に対して1〜10質量部の範囲が好ましい。
上記弾性層の硬度は、特に限定されるものではないが、アスカーC硬度で80度以下であるのが好ましく、20〜70度であるのが更に好ましい。弾性層のアスカーC硬度が80度を超えると、導電性ローラと感光ドラム等との接触面積が小さくなり、良好な現像が行えなくなるおそれがあり、また、導電性ローラを現像ローラとして用いた場合、トナーに損傷を与え、感光ドラムや成層ブレードヘのトナー固着等が発生して画像不良が起こり易い。一方、弾性層が低硬度過ぎると、導電性ローラを現像ローラとして用いた場合、感光ドラムや成層ブレードとの摩擦力が大きくなり、ジッター等の画像不良が発生するおそれがある。なお、上記弾性層は、感光ドラムや成層ブレード等に当接して使用されるため、硬度を低硬度に設定する場合でも、圧縮永久歪をなるべく小さくすることが好ましく、具体的には20%以下とすることが好ましい。
上記弾性層の表面粗さは、特に限定されるものではないが、JIS 10点平均粗さ(Rz)が30μm以下であるのが好ましく、1〜20μmであるのが更に好ましい。弾性層の表面粗さ(Rz)が30μmを超えると、トナー層の層厚や帯電の均一性が損なわれる場合があり、30μm以下とすることにより、トナーの付着性を向上させることができ、また、長期使用時におけるローラの摩耗による画像劣化をより確実に防止することができる。なお、適切な表面粗さを得るために、ローラ表面を研摩してもよいが、研摩工程を設けるとローラの生産性が悪くなり、製造コストが上昇する。そのため、弾性層の成形用のモールド表面を適度に粗面化し、成形される弾性層の表面にモールド表面の粗面を転写させて上記の表面粗さとすることが好ましい。
本発明の導電性ローラにおいては、第1樹脂被覆層及び第2樹脂被覆層の少なくとも一方が電子線硬化型樹脂を含むことを要し、また、第1樹脂被覆層は好ましくは導電剤を含み、第2樹脂被覆層は好ましくは導電剤を含まず、更に、第1樹脂被覆層及び第2樹脂被覆層は、必要に応じて公知の添加剤を含んでもよい。また、本発明の導電性ローラにおいては、第1樹脂被覆層の体積抵抗率は、106Ω・cm以下であり、103〜106Ω・cmであるのが好ましく、上記第2樹脂被覆層の体積抵抗率は、1010Ω・cm以上であり、1010〜1016Ω・cmであるのが好ましい。第1樹脂被覆層の体積抵抗率が106Ω・cmを超えると、かぶりが発生しやすくなり、第2樹脂被覆層の体積抵抗率が1010Ω・cm以上とすることで、トナー或いは感光ドラムに対する帯電性が向上し、画質を大幅に改善することができる。ここで、樹脂被覆層の体積抵抗率は、例えば、樹脂被覆層の形成に用いた塗工液を銅板上に塗布、塗工液を硬化させた後、銅板と測定電極との間の抵抗を測定することで求めることができる。
上記第1樹脂被覆層の体積抵抗率を106Ω・cm以下にするには、通常、導電剤を用いる必要があり、該導電剤としては、上記弾性層用導電剤として例示した電子導電剤及びイオン導電剤を好適に用いることができる。なお、電子線は、カーボン系の電子導電剤に吸収され難いため、本発明においては、カーボン系の電子導電剤も第1樹脂被覆層に好適に用いることができる。ここで、カーボン系電子導電剤としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボン、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボンブラック、酸化処理等を施したカラー用カーボンブラック、熱分解カーボンブラック、天然グラファイト、人造グラファイト、カーボンウィスカー、黒鉛ウィスカー等が挙げられる。上記電子導電剤の配合量は、第1樹脂被覆層を構成する樹脂(即ち、電子線硬化型樹脂及び非電子線硬化型樹脂の合計)100質量部に対して100質量部以下が好ましく、1〜80質量部の範囲が更に好ましく、10〜50質量部の範囲がより一層好ましい。一方、上記イオン導電剤の配合量は、第1樹脂被覆層を構成する樹脂100質量部に対して20質量部以下が好ましく、0.01〜20質量部の範囲が更に好ましく、1〜10質量部の範囲がより一層好ましい。
上記第1樹脂被覆層が電子線硬化型樹脂を含む場合、該第1樹脂被覆層は、例えば、導電剤と、電子線により重合可能な樹脂及び/又は化合物とを含む塗工液を弾性層の外表面に塗布した後、電子線照射して、電子線により重合可能な樹脂及び/又は化合物を硬化させて形成される。また、上記第2樹脂被覆層が電子線硬化型樹脂を含む場合、該第2樹脂被覆層は、例えば、電子線により重合可能な樹脂及び/又は化合物を含む塗工液を第1樹脂被覆層の外表面に塗布した後、電子線照射して、電子線により重合可能な樹脂及び/又は化合物を硬化させて形成される。電子線により重合可能な樹脂及び/又は化合物を含む塗工液を硬化させて第1樹脂被覆層及び/又は第2樹脂被覆層を形成することで、第1樹脂被覆層及び/又は第2樹脂被覆層の形成に長い乾燥ラインを準備する必要が無くなり、更に、乾燥工程の諸条件のバラツキに起因する第1樹脂被覆層及び/又は第2樹脂被覆層の特性のバラツキを排除することができる。ここで、上記塗工液は、更に反応性希釈剤を含むのが好ましく、その他、必要に応じて公知の添加剤を含んでもよく、また、溶剤を含まないのが好ましい。なお、塗工液を弾性層及び/又は第1樹脂被覆層の表面に塗布する方法としては、スプレー法、ロールコーター法、ディッピング法、ダイコート法等が挙げられる。また、電子線照射の条件は、電子線硬化型樹脂の種類や塗布量に応じて適宜選択される。
上記電子線硬化型樹脂を含む樹脂被覆層において、電子線硬化型樹脂と非電子線硬化型樹脂及び/又は化合物との割合は、非電子線硬化型樹脂及び化合物の合計100質量部に対して電子線硬化型樹脂が10〜10000質量部の範囲が好ましく、30〜5000質量部の範囲が更に好ましい。非電子線硬化型樹脂及び化合物の合計100質量部に対する電子線硬化型樹脂の配合量が10質量部未満では、電子線硬化による架橋度が不足し、塗膜強度が低くなる場合があり、10000質量部を超えると、目的の性能が発揮されない。
上記第1樹脂被覆層及び/又は第2樹脂被覆層に用いる電子線硬化型樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ビニルエステル系樹脂及びこれら樹脂に特定の官能基を導入した変性樹脂等が挙げられ、これら樹脂は、1種単独でも、2種以上を混合して用いてもよい。また、上記第1樹脂被覆層及び/又は第2樹脂被覆層には、力学的強度、耐環境特性を改善するために架橋構造を導入することが好ましい。
上記電子線硬化型樹脂は、電子線により重合可能な樹脂及び/又は化合物、好ましくは、電子線により重合可能な炭素原子間二重結合を有する樹脂及び/又は化合物を電子線照射により硬化させてなる。なお、上記電子線により重合可能な樹脂及び/又は化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を混合して用いてもよい。
上記電子線硬化型樹脂の形成に用いられる重合可能な炭素原子間二重結合を有する樹脂及び/又は化合物としては、(メタ)アクリレートモノマー及びオリゴマーが好ましい。ここで、(メタ)アクリレートモノマー及びオリゴマーとしては、ウレタン系(メタ)アクリレート、エポキシ系(メタ)アクリレート、エーテル系(メタ)アクリレート、エステル系(メタ)アクリレート、ポリカーボネート系(メタ)アクリレート、フッ素系(メタ)アクリレート、シリコーン系(メタ)アクリレート等のモノマー及びオリゴマーが挙げられる。上記(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、多価アルコールとε-カプロラクトンの付加物等と、(メタ)アクリル酸との反応により、或いはポリイソシアネート化合物及び水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物をウレタン化することにより合成することができる。
上記ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリオール、イソシアネート化合物と水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とをウレタン化することによって得られる。また、上記エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、グリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物が好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環、スピロ環、ジシクロペンタジエン、トリシクロデカン等の環状構造を有し且つグリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物が更に好ましい。更に、上記エーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル系(メタ)アクリレートオリゴマー及びポリカーボネート系(メタ)アクリレートオリゴマーは、各々に対するポリオール(ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリカーボネートポリオール)と(メタ)アクリル酸との反応によって得られる。
また、本発明の導電性ローラの第2樹脂被覆層は、フッ素含有樹脂、フッ素含有化合物、ケイ素含有樹脂及びケイ素含有化合物の少なくともいずれかを含むのが好ましい。第2樹脂被覆層が電子線硬化型樹脂を含み且つフッ素及び/又はケイ素含有樹脂及び/又は化合物を含む場合、該第2樹脂被覆層は、例えば、(1)電子線により重合可能なフッ素含有樹脂及び化合物並びにケイ素含有樹脂及び化合物からなる群から選択される少なくとも一種を含む塗工液、(2)非電子線硬化型のフッ素含有樹脂及び化合物並びにケイ素含有樹脂及び化合物からなる群から選択される少なくとも一種と、電子線により重合可能でフッ素及びケイ素を含まない樹脂及び/又は化合物とを含む塗工液、並びに(3)非電子線硬化型のフッ素含有樹脂及び化合物並びにケイ素含有樹脂及び化合物からなる群から選択される少なくとも一種と、電子線により重合可能なフッ素含有樹脂及び化合物並びにケイ素含有樹脂及び化合物からなる群から選択される少なくとも一種とを含む塗工液のいずれかを第1樹脂被覆層の外周面に塗布した後、電子線照射により前記電子線により重合可能な樹脂及び/又は化合物(即ち、電子線により重合可能なフッ素含有樹脂及び/又は化合物、ケイ素含有樹脂及び/又は化合物、フッ素及びケイ素を含まない樹脂及び/又は化合物)を硬化させて形成される。一方、第2樹脂被覆層が電子線硬化型樹脂を含まず且つフッ素及び/又はケイ素含有樹脂及び/又は化合物を含む場合、該第2樹脂被覆層は、例えば、非電子線硬化型のフッ素含有樹脂及び化合物並びにケイ素含有樹脂及び化合物からなる群から選択される少なくとも一種を含む塗工液を第1樹脂被覆層の外周面に塗布した後、加熱・乾燥して形成される。第2樹脂被覆層にフッ素含有樹脂及び化合物並びにケイ素含有樹脂及び化合物からなる群から選択される少なくとも一種(電子線硬化型であっても、非電子線硬化型であってもよい)を含ませることで、第2樹脂被覆層の表面エネルギーが低下し、第2樹脂被覆層の摩擦力を大幅に低減できるため、導電性ローラの耐久性を大幅に向上させることができる。ここで、電子線により重合可能な樹脂及び/又は化合物は、電子線により重合可能な炭素原子間二重結合を有するのが好ましい。
上記フッ素含有樹脂及び化合物並びにケイ素含有樹脂及び化合物からなる群から選択される少なくとも一種を含む第2樹脂被覆層中のフッ素及びケイ素の総含有率は、0.1〜50質量%の範囲が好ましく、0.5〜30質量%の範囲が更に好ましい。第2樹脂被覆層中のフッ素及びケイ素の総含有率が0.1質量%未満では、ケイ素およびフッ素の特性が充分に発揮されないため耐久性が不足する場合があり、50質量%を超えると、塗膜と下層間の密着性が悪くなったり、溶解性、分散性が悪くなる場合がある。
上記電子線により重合可能な炭素原子間二重結合を有しフッ素及びケイ素を含まない樹脂及び/又は化合物としては、フッ素及びケイ素を含まない(メタ)アクリレートモノマー及びオリゴマーが好ましく、例えば、ウレタン系(メタ)アクリレート、エポキシ系(メタ)アクリレート、エーテル系(メタ)アクリレート、エステル系(メタ)アクリレート、ポリカーボネート系(メタ)アクリレート等のモノマー及びオリゴマーが挙げられる。これら(メタ)アクリレートオリゴマーは、上述のようにして合成することができる。
上記電子線により重合可能な炭素原子間二重結合を有しフッ素を含む樹脂及び/又は化合物としては、フルオロオレフィン類から誘導される化合物、フルオロ(メタ)アクリレート類が好ましい。これら重合可能な炭素原子間二重結合を有するフッ素含有樹脂及び/又は化合物は、モノマーでも、オリゴマーでもよく、更にはモノマー及びオリゴマーの混合物であってもよい。また、重合可能な炭素原子間二重結合を有するフッ素含有樹脂及び/又は化合物のフッ素含有率は、0.05〜80質量%の範囲が好ましく、0.08〜80質量%の範囲が更に好ましく、0.1〜80質量%の範囲が特に好ましい。
上記フルオロオレフィンから誘導される化合物に用いられるフルオロオレフィン類としては、水素原子の1つ以上がフッ素で置換された炭素数2〜12のオレフィン類が好ましく、具体的には、ビニルフロライド[CFH=CH2,フッ素含有率41質量%]、ビニリデンフロライド[CF2=CH2,フッ素含有率59質量%]、トリフルオロエチレン[CF2=CFH,フッ素含有率70質量%]、テトラフルオロエチレン[CF2=CF2,フッ素含有率76質量%]、ヘキサフルオロプロペン[CF3CF=CF2,フッ素含有率76質量%]、(パーフルオロブチル)エチレン[CF3(CF2)3CH=CH2,フッ素含有率69質量%]、(パーフルオロヘキシル)エチレン[CF3(CF2)5CH=CH2,フッ素含有率71質量%]、(パーフルオロオクチル)エチレン[CF3(CF2)7CH=CH2,フッ素含有率72質量%]、(パーフルオロデシル)エチレン[CF3(CF2)9CH=CH2,フッ素含有率73質量%]、クロロトリフルオロエチレン[CF2=CFCl,フッ素含有率49質量%]、1-メトキシ-(パーフルオロ-2-メチル-1-プロペン)[(CF3)2C=CFOCH3,フッ素含有率63質量%]、1,4-ジビニルオクタフルオロブタン[CH2=CH−(CF2)4−CH=CH2,フッ素含有率60質量%]、1,6-ジビニルドデカフルオロヘキサン[CH2=CH−(CF2)6−CH=CH2,フッ素含有率64質量%]、1,8-ジビニルヘキサデカフルオロオクタン[CH2=CH−(CF2)8−CH=CH2,フッ素含有率67質量%]等が挙げられる。
また、上記フルオロ(メタ)アクリレート類としては、水素原子の1つ以上がフッ素で置換された炭素数5〜16のアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、具体的には、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート[CF3CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率37質量%]、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルアクリレート[CF3CF2CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率47質量%]、2-(パーフルオロブチル)エチルアクリレート[CF3(CF2)3CH2CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率54質量%]、3-(パーフルオロブチル)-2-ヒドロキシプロピルアクリレート[CF3(CF2)3CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率49質量%]、2-(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート[CF3(CF2)5CH2CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率59質量%]、3-(パーフルオロヘキシル)-2-ヒドロキシプロピルアクリレート[CF3(CF2)5CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率55質量%]、2-(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート[CF3(CF2)7CH2CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率62質量%]、3-(パーフルオロオクチル)-2-ヒドロキシプロピルアクリレート[CF3(CF2)7CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率59質量%]、2-(パーフルオロデシル)エチルアクリレート[CF3(CF2)9CH2CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率65質量%]、2-(パーフルオロ-3-メチルブチル)エチルアクリレート[(CF3)2CF(CF2)2CH2CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率57質量%]、3-(パーフルオロ-3-メチルブチル)-2-ヒドロキシプロピルアクリレート[(CF3)2CF(CF2)2CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率52質量%]、2-(パーフルオロ-5-メチルヘキシル)エチルアクリレート[(CF3)2CF(CF2)4CH2CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率61質量%]、3-(パーフルオロ-5-メチルヘキシル)-2-ヒドロキシプロピルアクリレート[(CF3)2CF(CF2)4CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率57質量%]、2-(パーフルオロ-7-メチルオクチル)エチルアクリレート[(CF3)2CF(CF2)6CH2CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率64質量]、3-(パーフルオロ-7-メチルオクチル)-2-ヒドロキシプロピルアクリレート[(CF3)2CF(CF2)6CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率60質量%]、1H,1H,3H-テトラフルオロプロピルアクリレート[CHF2CF2CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率41質量%]、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチルアクリレート[CHF2(CF2)3CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率53質量%]、1H,1H,7H-ドデカフルオロヘプチルアクリレート[CHF2(CF2)5CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率59質量%]、1H,1H,9H-ヘキサデカフルオロノニルアクリレート[CHF2(CF2)7CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率63質量%]、1H-1-(トリフルオロメチル)トリフルオロエチルアクリレート[(CF3)2CHOCOCH=CH2,フッ素含有率51質量%]、1H,1H,3H-ヘキサフルオロブチルアクリレート[CF3CHFCF2CH2OCOCH=CH2,フッ素含有率48質量%]、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート[CF3CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率34質量%]、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルメタクリレート[CF3CF2CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率44質量%]、2-(パーフルオロブチル)エチルメタクリレート[CF3(CF2)3CH2CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率51質量%]、3-(パーフルオロブチル)-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート[CF3(CF2)3CH2CH(OH)CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率47質量%]、2-(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート[CF3(CF2)5CH2CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率57質量%]、3-(パーフルオロヘキシル)-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート[CF3(CF2)5CH2CH(OH)CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率53質量%]、2-(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート[CF3(CF2)7CH2CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率61質量%]、3-パーフルオロオクチル-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート[CF3(CF2)7CH2CH(OH)CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率57質量%]、2-(パーフルオロデシル)エチルメタクリレート[CF3(CF2)9CH2CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率63質量%]、2-(パーフルオロ-3-メチルブチル)エチルメタクリレート[(CF3)2CF(CF2)2CH2CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率55質量%]、3-(パーフルオロ-3-メチルブチル)-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート[(CF3)2CF(CF2)2CH2CH(OH)CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率51質量%]、2-(パーフルオロ-5-メチルヘキシル)エチルメタクリレート[(CF3)2CF(CF2)4CH2CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率59質量%]、3-(パーフルオロ-5-メチルヘキシル)-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート[(CF3)2CF(CF2)4CH2CH(OH)CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率56質量%]、2-(パーフルオロ-7-メチルオクチル)エチルメタクリレート[(CF3)2CF(CF2)6CH2CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率62質量%]、3-(パーフルオロ-7-メチルオクチル)-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート[(CF3)2CF(CF2)6CH2CH(OH)CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率59質量%]、1H,1H,3H-テトラフルオロプロピルメタクリレート[CHF2CF2CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率51質量%]、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチルメタクリレート[CHF2(CF2)3CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率51質量%]、1H,1H,7H-ドデカフルオロヘプチルメタクリレート[CHF2(CF2)5CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率57質量%]、1H,1H,9H-ヘキサデカフルオロノニルメタクリレート[CHF2(CF2)7CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率61質量%]、1H-1-(トリフルオロメチル)トリフルオロエチルメタクリレート[(CF3)2CHOCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率48質量%]、1H,1H,3H-ヘキサフルオロブチルメタクリレート[CF3CHFCF2CH2OCOC(CH3)=CH2,フッ素含有率46質量%]等が挙げられる。
上記電子線により重合可能な炭素原子間二重結合を有しケイ素を含む樹脂及び/又は化合物としては、両末端反応性シリコーンオイル類、片末端反応性シリコーンオイル類、(メタ)アクリロキシアルキルシラン類が好ましい。また、反応性シリコーンオイル類としては、末端に(メタ)アクリル基を導入したものが好ましい。なお、重合可能な炭素原子間二重結合を有するケイ素含有樹脂及び/又は化合物のケイ素含有率は、0.01〜40質量%の範囲が好ましく、0.05〜35質量%の範囲が更に好ましく、0.1〜30質量%の範囲が特に好ましい。
上記両末端反応性シリコーンオイル類としては、下記式(III):
(式中、pは繰り返し単位数である)で表されるシリコーンオイルが挙げられる。該両末端反応性シリコーンオイル類としては、市販品を利用することができ、例えば、信越化学工業(株)製の品名「X-22-164A」(粘度25mm
2/s、官能基当量860g/mol)、品名「X-22-164B」(粘度55mm
2/s、官能基当量1630g/mol)、品名「X-22-164C」(粘度90mm
2/s、官能基当量2370g/mol)、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製の品番「BX16-152B」(粘度40cs/25℃、メタクリル基当量1300g/mol、25℃での比重0.97)、品番「BY16-152」(粘度85cs/25℃、メタクリル基当量2800g/mol、25℃での比重0.97)、品番「BX2-152C」(粘度330cs/25℃、メタクリル基当量5100g/mol、25℃での比重0.97)等を用いることができる。
また、上記片末端反応性シリコーンオイル類としては、下記式(IV):
(式中、R
3は、メチル基又はブチル基であり、qは繰り返し単位数である)で表されるシリコーンオイル及び下記式(V):
で表されるシリコーンオイルが挙げられる。該片末端反応性シリコーンオイル類としては、市販品を利用することができ、例えば、信越化学工業(株)製の品名「X-24-8201」(粘度25mm
2/s、官能基当量2100g/mol)、品名「X-22-174DX」(粘度60mm
2/s、官能基当量4600g/mol)、品名「X-22-2426」(粘度180mm
2/s、官能基当量12000g/mol)、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製の品番「BX16-122A」(粘度5cs/25℃、屈折率1.417、25℃での比重0.92)等を用いることができる。
更に、上記(メタ)アクリロキシアルキルシラン類としては、3-メタクリロキシプロピルジクロロメチルシラン[CH2=C(CH3)COO(CH2)3SiCl2CH3]、3-アクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン[CH2=CHCOO(CH2)3Si(OCH3)2CH3]、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン[CH2=CHCOO(CH2)3Si(OCH3)3]、3-メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン[CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OCH3)2CH3]、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン[CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OCH3)3]、3-メタクリロキシプロピルジエトキシメチルシラン[CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OC2H5)2CH3]、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン[CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OC2H5)3]等が挙げられる。該(メタ)アクリロキシアルキルシラン類としては、市販品を利用することができ、例えば、信越化学工業(株)製の品番「LS-2080」、「LS-2826」、「LS-2827」、「LS-3375」、「LS-3380」、「LS-4548」、「LS-5118」等を用いることができる。
一方、上記第2樹脂被覆層に非電子線硬化型のフッ素含有樹脂及び化合物並びにケイ素含有樹脂及び化合物からなる群から選択される少なくとも一種を用いる場合、該非電子線硬化型フッ素含有樹脂及び化合物並びにケイ素含有樹脂及び化合物としては、塗工液に分散又は溶解するものが好まし。ここで、非電子線硬化型フッ素含有樹脂及び/又は化合物として、具体的には、フッ素含有(メタ)アクリレート系樹脂及び/又は化合物、フッ素含有オレフィン系樹脂及び/又は化合物、フッ素含有エーテル系樹脂及び/又は化合物、フッ素含有エステル系樹脂及び/又は化合物、フッ素含有エポキシ系樹脂及び/又は化合物、フッ素含有ウレタン系樹脂及び/又は化合物が挙げられ、非電子線硬化型ケイ素含有樹脂及び/又は化合物として、具体的には、シロキサン結合を複数有するケイ素含有(メタ)アクリレート系樹脂及び化合物、シリコーン樹脂、アルコキシシラン類及びその重合物が挙げられる。これら非電子線硬化型フッ素含有樹脂及び化合物並びにケイ素含有樹脂及び化合物は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
上記非電子線硬化型フッ素含有樹脂及び/又は化合物のフッ素含有率は、2〜80質量%の範囲が好ましく、2〜70質量%の範囲が更に好ましい。非電子線硬化型フッ素含有樹脂及び/又は化合物のフッ素含有率が2質量%未満では、フッ素の効果が不十分であり、80質量%を超えると、相溶性および分散性が問題である。また、上記非電子線硬化型ケイ素含有樹脂及び/又は化合物のケイ素含有率は、2〜70質量%の範囲が好ましく、2〜50質量%の範囲が更に好ましい。非電子線硬化型ケイ素含有樹脂及び/又は化合物のケイ素含有率が2質量%未満では、ケイ素の含有量が低くなるため目的の性能を発揮出来なくなる場合があり、70質量%を超えると、相溶性が低下したり、分散性が低下する場合があるため不適切である。
上記非電子線硬化型のフッ素含有(メタ)アクリレート系樹脂としては、(メタ)アクリル酸のパーフルオロアルキルエステル及び部分フッ素化アルキルエステル、並びにパーフルオロアルキル基又は部分フッ素化アルキル基が有機連結基を介して連結された(メタ)アクリル酸エステル等のフッ素含有(メタ)アクリレートの単独重合体の他、該フッ素含有(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリル酸のメチル、エチル、ブチル、オクチル、ドデシル等のアルキルエステル;ヒドロキシエチル、ヒドロキシブチル等のヒドロキシアルキルエステル;グリシジルエステル等のフッ素を含まない(メタ)アクリレートとの共重合体等が挙げられる。該共重合体には、更に、ポリシロキサン基含有(メタ)アクリレートを少量共重合させてもよい。ここで、フッ素含有(メタ)アクリレート中のパーフルオロアルキル基又は部分フッ素化アルキル基の炭素数は、1〜20の範囲が好ましい。また、上記フッ素含有(メタ)アクリレートとしては、下記式(VI):
(式中、Xは、炭素数1〜20のアルキレン基、パーフルオロアルキレン基又は部分フッ素化アルキレン基で、直鎖状及び分岐状のいずれでもよく、更には、これらアルキレン基、パーフルオロアルキレン基及び部分フッ素化アルキレン基中の主鎖又は側鎖中に酸素原子が介在したものであってもよく;R
4は、水素、メチル基、塩素、フッ素又はシアノ基である)で表される化合物が好ましい。ここで、第2樹脂被覆層の耐久性を向上させる観点から、式(VI)中のXが炭素数4以上のアルキレン基、パーフルオロアルキレン基又は部分フッ素化アルキレン基であるのが好ましく、炭素数6以上のアルキレン基、パーフルオロアルキレン基又は部分フッ素化アルキレン基であるのが更に好ましく、−(CH
2)
2−(CF
2)
7−であるのが特に好ましい。
上記非電子線硬化型のフッ素含有(メタ)アクリレート系樹脂は、分子中に架橋反応可能な官能基を有していてもよく、該架橋反応可能な官能基としては、水酸基、チオール基、カルボキシル基、アミノ基、イソシアネート基、アジリジニル基、グリシジル基、アルコキシシリル基、シラノール基、シクロカーボネート基、酸無水物基、ビニル基、エノールエーテル基、チオエーテル基、活性エステル基、アセトアセテート基、金属塩、金属酸化物及びこれら官能基を各種ブロック化剤でブロック化したもの等が挙げられる。これら架橋反応可能な官能基と反応する化合物としては、分子中に2つ以上の反応性官能基を有する反応性多官能化合物を用いることができ、該反応性官能基としては、上述の架橋反応可能な官能基と同様の官能基が挙げられる。上記反応性多官能化合物としては、工業的有用性の観点から、有機エポキシ化合物及び有機ポリイソシアネート化合物が好ましい。
上記有機エポキシ化合物としては、グリシジル基を2個以上有する化合物が挙げられ、具体的には、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、スピログリコールジグリシジルエーテル、各種エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、上記有機ポリイソシアネート化合物として、具体的には、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2'-ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3'-ジメチル-4,4'-ビフェニレンジイソシアネート、3,3'-ジメトキシ-4,4'-フェニレンジイソシアネート、3,3'-ジクロロ-4,4'-ビフェニレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、1,5-テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3-シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3'-ジメチル-4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等及びこれらの2量体、3量体、並びにこれら化合物のイソシアネート基をフェノール類、オキシム類、アルコール類、活性メチレン類、メルカプタン類、酸アミド類、イミド類、アミン類、イミダゾール類、尿素類、カルバミン酸塩類、イミン類若しくは亜硫酸塩類で部分的にブロック化されたポリイソシアネート等が挙げられる。
上記非電子線硬化型のフッ素含有オレフィン系樹脂として、具体的には、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン三元共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニルエーテル、フッ化ビニルエーテル−テトラフルオロエチレン共重合体等が挙げられる。該フッ素含有ポリオレフィン系樹脂は、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニルエーテル等のフッ素含有オレフィン系モノマーを重合又は共重合して得られる。
上記非電子線硬化型のケイ素含有(メタ)アクリレート系樹脂としては、ポリシロキサン基含有(メタ)アクリレート等のケイ素含有(メタ)アクリレートの単独重合体の他、該ケイ素含有(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリル酸のメチル、エチル、ブチル、オクチル、ドデシル等のアルキルエステル;ヒドロキシエチル、ヒドロキシブチル等のヒドロキシアルキルエステル;グリシジルエステル等のケイ素を含まない(メタ)アクリレートとの共重合体等が挙げられる。該共重合体には、更に、(メタ)アクリル酸のパーフルオロアルキルエステル及び部分フッ素化アルキルエステル、並びにパーフルオロアルキル基又は部分フッ素化アルキル基が有機連結基を介して連結された(メタ)アクリル酸エステル等のフッ素含有(メタ)アクリレートを少量共重合させてもよい。また、上記ポリシロキサン基含有(メタ)アクリレートとしては、ポリシロキサン鎖の片末端又は両末端に2価の連結基を介して、(メタ)アクリロイル基が連結された(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
上記非電子線硬化型のシリコーン樹脂は、例えば、オルガノクロロシラン類を加水分解し、重合して得られる三次元網目構造を有するポリマーであり、メチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン等の3官能性モノマーを主たるモノマーとし、任意にジメチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン等の2官能性モノマー、クロロシラン等の単官能性モノマーを組み合わせて製造される。また、該シリコーン樹脂をアルキッド変性、ポリエステル変性、エポキシ変性又はフェノール変性等して得た変性シリコーン樹脂を用いることもできる。また、非電子線硬化型ケイ素含有樹脂及び/又は化合物としては、アルコキシシラン(珪酸エステル)類であるシリケートおよびそれらを重合して得られる重合物も使用でき、これらシリケート類としてはメチルシリケート、エチルシリケート、プロピルシリケート、およびブチルシリケート等が挙げられる。これら非電子線硬化型ケイ素含有樹脂及び/又は化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
上記塗工液に電子線により重合可能な樹脂及び/又は化合物を配合する場合、該塗工液には、更に必要に応じて重合性二重結合を有する反応性希釈剤を配合してもよい。塗工液に重合性二重結合を有する反応性希釈剤を配合することで、塗工液の粘度を調整することができる。該反応性希釈剤としては、アミノ酸や水酸基を含む化合物に、(メタ)アクリル酸がエステル化反応及びアミド化反応で結合した構造の単官能、2官能または多官能の重合性化合物等を使用することができる。上記反応性希釈剤の配合量は、上記電子線により重合可能な樹脂及び化合物の合計100質量部に対して10〜200質量部の範囲が好ましい。
上記第1樹脂被覆層に電子線硬化型樹脂を用いない場合、該第1樹脂被覆層を形成する樹脂としては、従来樹脂被覆層に用いられている樹脂を用いることができ、特に限定されるものではないが、例えば、アルコール可溶性共重合ポリアミド、水溶性アクリル樹脂、水溶性ブチラール樹脂、アクリルエマルション、ウレタンディスパージョン、ゴムラテックス等を用いるのが好ましい。一方、上記第2樹脂被覆層に電子線硬化型樹脂を用いない場合、該第2樹脂被覆層を形成する樹脂としては、従来樹脂被覆層に用いられている樹脂を用いることができ、特に限定されるものではないが、例えば、上述した非電子線硬化型のフッ素含有樹脂及びケイ素含有樹脂の他、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等を用いるのが好ましい。電子線硬化型樹脂を含まない第1樹脂被覆層及び第2樹脂被覆層は、上記樹脂を含む塗工液を、弾性層又は第1樹脂被覆層の外周面に塗布した後、加熱・乾燥して形成される。
上記第1樹脂被覆層の厚さは、3〜30μmの範囲が好ましく、5〜20μmの範囲が更に好ましい。一方、上記第2樹脂被覆層の厚さは、1〜20μmの範囲が好ましく、3〜10μmの範囲が更に好ましい。第2樹脂被覆層の厚さが1μm未満では、局所的な放電が起こり、画像に白スジが発生し易くなる傾向があり、20μmを超えると、抵抗値が著しく上昇して、現像バイアスを十分に確保することができず、画像不良が発生する場合がある。
本発明の導電性ローラは、電気抵抗が103〜1010Ωであるのが好ましく、104〜108Ωであるのが更に好ましい。例えば、該導電性ローラを現像ローラとして用いた場合、導電性ローラの抵抗値が103Ω未満では、階調性コントロールが難しく、また、感光ドラム等に欠陥があった場合、バイアスリークが生じることがあり、一方、導電性ローラの抵抗値が1010Ωを超えると、トナーを感光ドラム等に現像する際に、現像バイアスが導電性ローラ自体の高抵抗により電圧降下を起こし、現像に十分な現像バイアスが確保できなくなって、十分な画像濃度が得られなくなる。なお、抵抗値の測定は、例えば、平板又は円筒状の対極に導電性ローラの外周面を所定圧力で押し当て、シャフトと対極との間に100Vの電圧を印加し、その際の電流値から求めることができる。なお、導電性ローラの抵抗値を適正且つ均一に制御することは、トナーが移動するための電界強度を適正且つ均一に保つ点で重要である。
本発明の画像形成装置は、他の部品を汚染することが無く、トナー或いは感光ドラムに対する帯電性が従来よりも大幅に改善された上述の導電性ローラを備えることを特徴とし、優れた画像を安定的に形成することができる。本発明の画像形成装置は、上記導電性ローラを用いる以外、特に制限はなく、公知の方法で製造することができる。ここで、本発明の画像形成装置においては、上記導電性ローラを、現像ローラ、帯電ローラ、トナー供給ローラ、転写ローラ及びクリーニングローラの一つ以上に用いるのが好ましく、現像ローラに用いるのが特に好ましい。
以下に、図を参照して本発明の画像形成装置を詳細に説明する。図2は、本発明の画像形成装置の一例の部分断面図である。図示例の画像形成装置は、静電潜像を保持した感光ドラム6と、感光ドラム6の近傍(図では上方)に位置し感光ドラム6を帯電させるための帯電ローラ7と、トナー8を供給するためのトナー供給ローラ9と、トナー供給ローラ9と感光ドラム6との間に配置された現像ローラ10と、現像ローラ10の近傍(図では上部)に設けられた成層ブレード11と、感光ドラム6の近傍(図では下方)に位置する転写ローラ12と、感光ドラム6に隣接して配置されたクリーニングローラ13とを備える。なお、本発明の画像形成装置は、更に画層形成装置に通常用いられる公知の部品(図示せず)を備えることができる。
図示例の画像形成装置においては、感光ドラム6に帯電ローラ7を当接させて、感光ドラム6と帯電ローラ7との間に電圧を印加して、感光ドラム6を一定電位に帯電させた後、露光機(図示せず)により静電潜像を感光ドラム6上に形成する。次に、感光ドラム6と、トナー供給ローラ9と、現像ローラ10とが、図中の矢印方向に回転することで、トナー供給ローラ9上のトナー8が現像ローラ10を経て感光ドラム6に送られる。現像ローラ10上のトナー8は、成層ブレード11により、均一な薄層に整えられ、現像ローラ10と感光ドラム6とが接触しながら回転することにより、トナー8が現像ローラ10から感光ドラム6の静電潜像に付着し、該潜像が可視化する。潜像に付着したトナー8は、転写ローラ12で紙等の記録媒体に転写され、また、転写後に感光ドラム6上に残留するトナー8は、クリーニングローラ13によって除去される。ここで、本発明の画像形成装置においては、帯電ローラ7、トナー供給ローラ9、現像ローラ10、転写ローラ12及びクリーニングローラ13の一つ以上に、上述した第1樹脂被覆層4及び/又は第2樹脂被覆層5中の未反応化合物の残留が十分に抑制され且つ性能が安定しており、トナー帯電性の優れた導電性ローラを用いることで、長期に渡って優れた画像を安定的に形成することが可能となる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
サンニックスFA952[三洋化成工業株式会社製ポリエーテルポリオール、OH価=37]100質量部、SRX274C[東レダウコーニングシリコーン株式会社製整泡剤]1質量部、TOYOCAT NP[東ソー株式会社製アミン触媒]2.8質量部、TOYOCAT EP[東ソー株式会社製アミン触媒]1.5質量部及びサンフォームIC-716[三洋化成株式会社トリレンジイソシアネート]59質量部を機械的に撹拌して発泡させた。
次に、内径16mm、長さ250mmで、表面をフッ素加工した金属製円筒型モールドの片側開口部から、外径8.0mm、長さ240mmの金属製シャフトを配置し、上記の発泡ポリウレタン原料8.0gを発泡機から注入した。
次に、発泡ポリウレタン原料が注入されたモールドを80℃のオーブン中で20分間加熱した後脱型し、外径16mm、フォーム部分の全長が230mmのウレタンフォームからなる弾性層を備えたローラ本体を作製した。
上記ローラ本体の外周面に表1に示す第1層樹脂被覆層配合の塗工液をロールコーターで塗布し、熱風循環式加熱オーブンで100℃で1時間加熱乾燥硬化し、次いで表1に示す第2樹脂被覆層配合の塗工液をロールコーターで塗布し、ウシオ電機(株)製Min−EB装置を用いてローラを回転させながら、加速電圧30kV、管電流300μA、照射距離100mm、窒素雰囲気760Torr、照射時間1分の条件で電子線照射したところ、塗工液が瞬時に硬化して弾力性のある樹脂被覆層が形成され、ローラ本体の外周面に樹脂被覆層を備えた現像ローラが得られた。得られた現像ローラのトナー帯電量、トナー搬送量を公知の方法で評価し、また、現像ローラを画像形成装置に組み込み、画像濃度、ハーフトーン斑の有無、かぶりの有無、先後端濃度差を公知の方法で評価し、更に10000枚印刷した後の現像ローラ表面のトナー付着、また現像ローラ画像形成装置に組み込み、画像濃度、ハーフトーン斑の有無、かぶりの有無、先後端濃度差を調べた。これらの結果を表1に示す。
(実施例2)
ムーニー粘度ML1+4(100℃)が70のNipol IR2200L(日本ゼオン製)100質量部、平均分子量29000のLIR-30(クラレ製)60質量部、カーボンブラックTB#5500(東海カーボン製)28質量部、亜鉛華5質量部、ステアリン酸1質量部、パーヘキサC-40(日本油脂製)9質量部を55Lニーダーを用いて混錬し、ゴム組成物を準備した。接着剤を付けた外径寸法φ8mmの芯金にゴム組成物を三葉製作所のクロスヘッド式押し出し機を用いて円筒状に押し出し、未加硫ゴム/芯金一体成型物を得た。これを円筒状の金型内にセットし、3.2×106Paの圧力をかけ175℃で20分間、加硫を行った。割り金型の圧力を開放し、ゴムローラを得、さらに180℃のオーブン中で4時間加硫を行った。得られたローラを回転砥石によりφ16mmの径にプランジ式研磨を行い、ゴムローラを得た。上記ローラ本体の外周面に表1に示す配合の塗工液を用いて樹脂被覆層を形成する以外は実施例1と同様にして現像ローラを製造した。得られた現像ローラの物性及び性能を表1に示す。
(実施例3)
ヨウ素価が36、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が39のEPDM100質量部に対してカーボンブラックTB#5500(東海カーボン製)50質量部、炭酸カルシウムとしてノーベライトA(日本粉化工業製)36質量部、ダイアナプロセスオイルPW90(出光興産製)60質量部、亜鉛華3質量部、ステアリン酸2質量部、加硫促進剤2-メルカプトチアゾール1質量部、硫黄1.5質量部、発泡剤ネオセルボンN#1000M(永和化成工業製)6質量部を55Lニーダーを用いて混錬し、発泡ゴム組成物を準備した。接着剤を付けた外径寸法φ8mmの芯金に発泡ゴム組成物を三葉製作所のクロスヘッド式押し出し機を用いて円筒状に押し出し未加硫ゴム/芯金一体成型物を得た。これを円筒状の金型内にセットし、3.2×106Paの圧力をかけ175℃で20分間、加硫・発泡を行った。割り金型の圧力を開放し、スキン層付きの発泡ゴムローラを得、さらに180℃のオーブン中で4時間加硫を行った。得られたローラを回転砥石によりφ16mmの径にプランジ式研磨を行い、発泡ゴムローラを得た。上記ローラ本体の外周面に表1に示す配合の塗工液を用いて樹脂被覆層を形成したが、第1樹脂被覆層の硬化を実施例1の第2樹脂被覆層の電子線による硬化と同様に行った以外は実施例1と同様にして現像ローラを製造した。得られた現像ローラの物性及び性能を表1に示す。
(実施例4)
グリセリンにプロピレンオキサイドを付加した3官能で分子量9,000のポリエーテルポリオール100質量部に導電性カーボン1.6質量部とジブチル錫ジラウレート0.15質量部を加え十分に撹拌混合した後、減圧下で撹拌しながら20分間脱泡して、これをポリオール成分とした。ポリオール成分の水酸基価は19mgKOH/gであった。一方、NCO含有率が11%のポリプロピレングリコール変性ポリメリックMDIをイソシアネート成分として減圧下で撹拌しながら20分間脱泡して、これをイソシアネート成分とした。ポリオール成分とイソシアネート成分の比率が101.75/13.70(イソシアネートインデックス:103)の割合になるようにして2成分注型機にてポリオールとイソシアネートを3000rpmで高速撹拌混合し、混合したウレタン原液を外径寸法がφ8mmの芯金をセットした筒形状のモールド金型に注入し、90℃で60分間熱風循環オーブンにて加熱キュアーした。筒形状のモールドから芯金つきウレタン・ローラを取り出しローラを得た。上記ローラ本体の外周面に表1に示す配合の塗工液を用いて樹脂被覆層を形成する以外は実施例3と同様にして現像ローラを製造した。得られた現像ローラの物性及び性能を表1に示す。
(実施例5)
サンニックスFA952[三洋化成工業株式会社製ポリエーテルポリオール、OH価=37]100質量部、SRX274C[東レダウコーニングシリコーン株式会社製整泡剤]1質量部、TOYOCAT NP[東ソー株式会社製アミン触媒]2.8質量部、TOYOCAT EP[東ソー株式会社製アミン触媒]1.5質量部及びサンフォームIC-716[三洋化成株式会社トリレンジイソシアネート]59質量部を機械的に撹拌して発泡させた。
次に、内径12mm、長さ250mmで、表面をフッ素加工した金属製円筒型モールドの片側開口部から、外径6.0mm、長さ240mmの金属製シャフトを配置し、上記の発泡ポリウレタン原料8.0gを発泡機から注入した。
次に、発泡ポリウレタン原料が注入されたモールドを80℃のオーブン中で20分間加熱した後脱型し、外径12mm、フォーム部分の全長が230mmのウレタンフォームからなる弾性層を備えたローラ本体を作製した。
上記ローラ本体の外周面に表1に示す第1層樹脂被覆層配合の塗工液をロールコーターで塗布し、熱風循環式加熱オーブンで100℃で1時間加熱乾燥硬化し、次いで表1に示す第2樹脂被覆層配合の塗工液をロールコーターで塗布し、ウシオ電機(株)製Min−EB装置を用いてローラを回転させながら、加速電圧30kV、管電流300μA、照射距離100mm、窒素雰囲気760Torr、照射時間1分の条件で電子線照射したところ、塗工液が瞬時に硬化して弾力性のある樹脂被覆層が形成され、ローラ本体の外周面に樹脂被覆層を備えた帯電ローラが得られた。得られた帯電ローラを公知の方法で評価し、また、帯電ローラを画像形成装置に組み込み、画像濃度、ハーフトーン斑の有無、かぶりの有無、先後端濃度差を公知の方法で評価し、更に10000枚印刷した後の帯電ローラ表面のトナー付着、また帯電ローラ画を像形成装置に組み込み、画像濃度、ハーフトーン斑の有無、かぶりの有無、先後端濃度差を調べた。これらの結果を表1に示す。
(実施例6)
ムーニー粘度ML1+4(100℃)が70のNipol IR2200L(日本ゼオン製)100質量部、平均分子量29000のLIR-30(クラレ製)60質量部、カーボンブラックTB#5500(東海カーボン製)28質量部、亜鉛華5質量部、ステアリン酸1質量部、パーヘキサC-40(日本油脂製)9質量部を55Lニーダーを用いて混錬し、ゴム組成物を準備した。接着剤を付けた外径寸法φ6mmの芯金にゴム組成物を三葉製作所のクロスヘッド式押し出し機を用いて円筒状に押し出し、未加硫ゴム/芯金一体成型物を得た。これを円筒状の金型内にセットし、3.2×106Paの圧力をかけ175℃で20分間、加硫を行った。割り金型の圧力を開放し、ゴムローラを得、さらに180℃のオーブン中で4時間加硫を行った。得られたローラを回転砥石によりφ12mmの径にプランジ式研磨を行い、ゴムローラを得た。上記ローラ本体の外周面に表2に示す配合の塗工液を用いて樹脂被覆層を形成する以外は実施例5と同様にして帯電ローラを製造した。得られた帯電ローラの物性及び性能を表2に示す。
(実施例7)
ヨウ素価が36、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が39のEPDM100質量部に対してカーボンブラックTB#5500(東海カーボン製)50質量部、炭酸カルシウムとしてノーベライトA(日本粉化工業製)36質量部、ダイアナプロセスオイルPW90(出光興産製)60質量部、亜鉛華3質量部、ステアリン酸2質量部、加硫促進剤2-メルカプトチアゾール1質量部、硫黄1.5質量部、発泡剤ネオセルボンN#1000M(永和化成工業製)6質量部を55Lニーダーを用いて混錬し、発泡ゴム組成物を準備した。接着剤を付けた外径寸法φ6mmの芯金に発泡ゴム組成物を三葉製作所のクロスヘッド式押し出し機を用いて円筒状に押し出し未加硫ゴム/芯金一体成型物を得た。これを円筒状の金型内にセットし、3.2×106Paの圧力をかけ175℃で20分間、加硫・発泡を行った。割り金型の圧力を開放し、スキン層付きの発泡ゴムローラを得、さらに180℃のオーブン中で4時間加硫を行った。得られたローラを回転砥石によりφ12mmの径にプランジ式研磨を行い、発泡ゴムローラを得た。上記ローラ本体の外周面に表2に示す配合の塗工液を用いて樹脂被覆層を形成したが、第1樹脂被覆層の硬化を実施例5の第2樹脂被覆層の電子線による硬化と同様に行った以外は実施例5と同様にして帯電ローラを製造した。得られた帯電ローラの物性及び性能を表2に示す。
(実施例8)
液状シリコーンLIM液#2090(東レ・ダウコーニング・シリコーン製)を撹拌脱泡したのち、外径寸法がφ6mmの芯金をセットした筒形状のモールド金型に注入し、120℃で30分間熱風循環オーブンにて加熱キュアーした。筒形状のモールドから芯金つきローラを取り出し、200℃で4時間熱風循環オーブンにて加熱キュアーしローラを得た。上記ローラ本体の外周面に表2に示す配合の塗工液を用いて樹脂被覆層を形成する以外は実施例7と同様にして帯電ローラを製造した。得られた帯電ローラの物性及び性能を表2に示す。
(比較例1)
表2に示す配合の塗工液を用いて樹脂被覆層のみを形成する以外は実施例1と同様にして現像ローラを製造した。得られた現像ローラの物性及び性能を表2に示す。
(比較例2)
表2に示す配合の塗工液を用いて樹脂被覆層を形成する以外は実施例8と同様にして帯電ローラを製造した。得られた帯電ローラの物性及び性能を表2に示す。
評価方法:
(1)画像評価
画像形成装置:市販レーザープリンター
カートリッジ色:シアン
(2)表面粗さ
サーフコム590A(東京精密製)
(3)抵抗値
R8340A ULTRA HIGH RESISTANCE METER (ADVANTEST製)
測定条件:シャフトとローラ表面間の印加電圧100V
ローラ両端に500gの荷重をかけ静止状態で測定
表1及び表2から明らかなように、実施例の導電性ローラは、トナーに対する帯電性に優れるため、該導電性ローラを現像ローラおよび帯電ローラとして組み込んだ画像形成装置は、長期に渡って良好な画像を形成することができた。また、実施例の導電性ローラは、第2樹脂被覆層中の未反応化合物の残存量が十分に抑制されているため、感光ドラムを汚染することがなかった。