JP3557898B2 - ガスバリア材およびその製造方法および包装体 - Google Patents

ガスバリア材およびその製造方法および包装体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品や医薬品等の包装に適した酸素および水蒸気の透過に対して高度なバリア性を有する透明なガスバリア材に関するものであり、さらに詳しくは、変形によるガスバリア性の劣化が少ないガスバリア材およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、包装材料としては内容物の保存のためにガスバリア性が重要であり、酸素や水蒸気に対するバリア性を備えた包装材料として、アルミ箔やポリ塩化ビニリデン(PVDC)コートが使われてきた。しかしアルミ箔は優れたガスバリア性を持つものの、不透明であるため内容物の確認ができない、内容物の金属探知器による検査ができない、マイクロ波が通らないため電子レンジ食品等には使えない、焼却過程で溶融したアルミインゴットが炉底にたまって炉を傷めるといった多くの問題点があった。
【0003】
一方、PVDCは透明であるものの、ガスバリア性が不十分であるうえに、塩素を分子内に含有するため、その焼却過程で有毒な塩素系ガスを排出し環境衛生上好ましくなく、かつ塩素ガスによって焼却炉の腐食等をもたらす問題もあった。
【0004】
上記両者の問題点を解決するものとして、最近は酸化珪素等でなる無機化合物膜をガスバリア層として高分子基材上に設けたガスバリアフィルムが開発されている。しかしこれらはアルミ箔に比べて透明ではあるが、ガスバリア性がまだ不十分であること、引っ張り等の応力に弱くガスバリア性が劣化するため、ガスバリア材としての用途が制限されていた。
【0005】
上記無機化合物膜を高分子樹脂基材上に設けたガスバリア材は、引っ張り等の応力が加わると無機化合物膜に割れ(クラック)が発生することからガスバリア性が劣化する。高分子樹脂基材上に設けた無機化合物膜上に有機膜を積層したガスバリア材においても無機化合物膜に生じるクラックによりガスバリア性を維持させることは困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、引っ張り等の応力による変形に対してもクラックの発生を抑制し、バリア性を維持することのできるガスバリア材およびその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に於いて上記課題を達成するために、まず請求項1の発明では、高分子樹脂からなる基材の片面に、不活性ガスの存在下で真空蒸着法によって微細な空隙を有する無機化合物膜を設けた後、有機化合物を、少なくとも有機珪素化合物の蒸気と酸素ガスの存在下で化学蒸着法によって前記無機化合物膜の厚さ方向に分布せしめて有機・無機複合膜とすることを特徴とするガスバリア材の製造方法である。
【0008】
また、請求項2の発明では、前記有機化合物が、オルガノシリコンモノマー分子もしくはオルガノシリコンモノマー分子から得られる物質であることを特徴とする請求項1記載のガスバリア材の製造方法である。
【0009】
また、請求項3の発明では、前記不活性ガスが、ヘリウム(He)ガスであることを特徴とする請求項1または2記載のガスバリア材の製造方法である。
【0010】
また、請求項4の発明では、前記真空蒸着と前記化学蒸着を、同一装置内で内部を大気圧に戻すことなく、連続して行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガスバリア材の製造方法である。
【0011】
また、請求項5の発明では、前記請求項1〜5記載のガスバリア材の製造方法により製造されたガスバリア材である。
【0012】
また、請求項6の発明では、前記請求項1〜5記載のガスバリア材の製造方法により製造されたガスバリア材である。
【0013】
また、請求項7の発明では、前記請求項6記載のガスバリア材を用いて、食品を包装することを特徴とする包装体である。また、請求項8の発明では、前記請求項6記載のガスバリア材を用いて、医薬品を包装することを特徴とする包装体である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を説明する。
本発明のガスバリア材は、図1に示すように、高分子樹脂からなる基材(10)の少なくとも片面に、珪素酸化物を主成分とする無機化合物膜(20)中に、分子中に炭素原子を少なくとも1つ以上含む有機化合物(30)が、厚さ方向に分布している有機・無機複合膜(40)を形成してなることを特徴とするものである。
【0015】
また、上記有機化合物(30)が、オルガノシリコンモノマー分子もしくはオルガノシリコンモノマー分子から得られる物質でなることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明のガスバリア材の製造方法は、上記無機化合物膜(20)を、不活性ガスの存在下で真空蒸着法によって上記高分子樹脂からなる基材(10)の片面に設けた後、上記有機化合物(30)を、少なくとも有機珪素化合物の蒸気と酸素ガスの存在下で化学蒸着法によって無機化合物膜(20)の厚さ方向に分布せしめて有機・無機複合膜(40)とすることを特徴とするものである。
【0017】
また、上記不活性ガスが、ヘリウム(He)ガスでなることを特徴とするガスバリア材の製造方法である。
【0018】
本発明において使用される高分子樹脂からなる基材(10)としては、ガスバリア材の使用目的、被包装物の物性、特性、経済性等から適宜選択することができる。具体的にはナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、セルロース、ポリアクリレート、ポリウレタン、セロハン、ポリエチレンテレフタレート、アイオノマー等の延伸または未延伸の樹脂フィルムを挙げることができる。また、このような基材(10)の厚みはガスバリア材の使用目的、製造時の安定性等から適宜設定することができるが、例えば10〜100μm程度とすることができる。
【0019】
また、ガスバリア材(1)を構成する無機化合物膜(20)としては、酸化珪素を用いて膜とすることが望ましい。この酸化珪素による膜は、SiO(X=1〜2)の薄膜であり、その膜厚は10〜5000Å、好ましくは200〜1500Å程度である。これは膜厚が10Åを下回ると酸化珪素でなる無機化合物膜(20)に抜けが生じバリア性にばらつきが生じやすく、また5000Åを超えると無機化合物膜(20)のフレキシビリティーが損なわれ、クラックが発生しやすくなる。また透明性の点から、酸化珪素はSiO(X=1.5〜2)の薄膜であることが好ましい。
【0020】
上記酸化珪素でなる無機化合物膜(20)を高分子樹脂からなる基材(10)上に付着させるドライコーティングの方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法等が挙げられ、その中でも真空中で酸化珪素等を加熱し蒸発させてフィルムに付着させる真空蒸着法は、酸化珪素でなる無機化合物膜(20)を緻密な構造で基材上に付着させるのに適した方法である。この真空蒸着法における加熱方式は抵抗加熱、誘導加熱、電子線加熱などがあり、蒸着材料および目的に応じて適宜選択できる。
【0021】
上記真空蒸着の雰囲気中にガスを供給しながら酸化珪素等でなる無機化合物膜(20)を付着させることによって、緻密な無機化合物膜(20)中に微細な空隙(以下ポア(22)という)を形成させることができる。このポア(22)の存在によって有機化合物(30)を容易に無機化合物膜(20)の内部に混合させ、有機・無機複合膜(40)とすることができる。
【0022】
また、供給するガスの種類、流量を適宜制御することによって無機化合物膜(20)中のポア(22)の大きさと数を制御できる。この供給するガスとしては、不活性ガス、中でも原子径の小さいヘリウム(He)がポア(22)を作成するに適している。もし、酸化珪素の蒸着中に活性のあるガスを供給した場合、ポア(22)界面の酸化珪素と活性のあるガスが反応し酸化珪素中のポア(22)界面の活性が失われてしまい、有機化合物(30)をこの無機化合物膜(20)に被覆しても酸化珪素でなる無機化合物膜(20)と有機化合物(30)の反応、吸着がおこらないため混合に適さないものとなる。
【0023】
ここで、蒸着雰囲気中に不活性ガス供給を行うことにより、酸化珪素の蒸着膜(無機化合物膜(20))中に不活性ガスが取り込まれるが酸化珪素と反応しないため、酸化珪素の活性を保ったままのポア(22)を作ることができる。このとき、原子径の小さいヘリウム(He)を用いることによってポア(22)の大きさや数の制御が容易であり、より好ましい。
しかしヘリウムに限定する必要は必ずしもない。真空蒸着中に供給する不活性ガスとして、ヘリウム以外にも、ネオン、アルゴン等を使用することができ、蒸着後に被覆する有機物の物性、特性、安定した蒸着条件等から適宜選択することができる。
【0024】
また、本発明では、高真空度条件の真空蒸着法で作成した無機化合物膜(20)中に有機化合物(30)を混合させ、有機・無機複合膜(40)とするために、真空蒸着と同一の装置内で連続して(インラインで)有機化合物(30)を化学蒸着法によって付着させるプロセスとするものである。
【0025】
このプロセスによって有機化合物(30)が酸化珪素等でなる無機化合物膜(20)に積層するだけでなく酸化珪素膜中のポア(22)に入り込み、ポア(22)となっている酸化珪素と反応もしくは吸着することによって酸化珪素等でなる無機化合物膜(20)中に有機化合物(30)を混在させ、有機・無機複合膜(40)とすることができる。
【0026】
また、このプロセスを大気圧開放せずインラインで行うことによって、ポア(22)が目的としていない物質と反応もしくは吸着することによって、目的とする有機物と反応もしくは吸着できなくなる問題を防ぐことができるとともに、製造効率も向上するものである。
【0027】
上記有機化合物(30)を高分子樹脂からなる基材(10)に形成された酸化珪素等でなる無機化合物膜(20)中に混合させる方法としては、化学蒸着法としてのプラズマCVD法、スパッタリング法などがあり、有機化合物(30)の原料物質、酸化珪素等でなる無機化合物膜(20)の状態、ポア(22)の数、大きさ、目的とする有機化合物(30)の物性などから適宜選択することができる。例えば、プラズマCVD法を用いる揚合、酸化珪素等でなる無機化合物膜(20)近傍に原料ガスを供給し、ここにプラズマを発生させて無機化合物膜(20)に有機化合物(30)を混合させる。無機化合物膜(20)に混在させる有機化合物(30)の原料としては、例えば有機珪素化合物を使用することができる。有機珪素化合物を用いることによって炭素と珪素の結合をすでに持っていることから酸化珪素でなる無機化合物膜(20)のポア(22)と反応あるいは付着を容易にするものである。
【0028】
上記有機化合物(30)の原料としての有機珪素化合物としては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジェトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ノルマルプロピルトリメトキシシラン、ノルマルプチルトリメトキシシラン、イソプチルトリメトキシシラン、ノルマルへキシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメチルジシロキサン、へキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジェチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリメチルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン等を挙げることができる。中でもテトラメチルジシロキサン、へキサメチルジシロキサンが好ましい。
【0029】
上記有機珪素化合物と共に酸素を供給することによって、プラズマCVD法で形成される有機化合物(30)成分の酸化度および真空蒸着法で形成した酸化珪素でなる無機化合物膜(20)の酸化度を任意に調整できる。また、プラズマCVD雰囲気の安定のために不活性ガス、たとえばアルゴン、ヘリウムを原料ガス供給系に加えることも可能であるが、必ずしも必要ではない。
【0030】
次に本発明のガスバリア材の製造方法を図面を用いて説明する。
図2に示すように、本発明のガスバリア材の製造方法に使用する真空蒸着とプラズマCVDのインライン蒸着装置(200)の一例として、図2に示すように、巻き出し巻き取り室(90)、真空蒸着室(80)、プラズマCVD室(62)、周辺の原料ガス供給部からなり、詳わしくは、真空チヤンバー(51)と真空チヤンバー(51)内に配設された巻き出しロール(52)、巻き取りロール(53)、冷却・電極ロール(54)、補助ロール(55)、遮蔽板(56)、るつぼ(57)、電子ビーム発生部(58)、偏向コイル(59)、真空蒸着用不活性ガス供給パイプ(60)、プラズマCVD室(62)、マグネット(71)、プラズマCVD用原料供給パイプ(63)、および真空チヤンバー(51)周辺に配設された不活性ガス供給装置(61)、流量調整器(64)、ガス混合器(65)、酸素ガス供給装置(66)、原料加熱装置(67)、巻き取り部用真空ポンプ(68)、蒸着部用真空ポンプ(69)、プラズマCVD用真空ポンプ(70)、真空計(72)からなっている。
【0031】
上記真空チヤンバー(51)内において遮蔽板(56)により巻き出し巻き取り室(90)と真空蒸着室(80)に分け、それぞれ別々に巻き取り部用真空ポンプ(68)、蒸着部用真空ポンプ(69)により所定の真空度に設定できるようになっている。またプラズマCVD室(62)も真空蒸着室(80)や巻き出し巻き取り室(90)と異なる真空度でプラズマCVDを行うためにプラズマCVD室用の真空ポンプ(70)を設け単独に真空度を制御する。これらの真空度は独自の値で制御できるが同一の真空度であっても良い。
【0032】
上記のようなインライン蒸着装置(200)の巻き出しロール(52)に高分子樹脂からなる基材(10)の原反を装着し、補助ロール(55)、冷却・電極ロール(54)、補助ロール(55)を介して巻き取りロール(53)に至る原反搬送パスを形成する。真空チヤンバー(51)内を巻き取り部用真空ポンプ(68)および蒸着部用真空ポンプ(69)により減圧して、巻き出し巻き取り室(90)、真空蒸着室(80)ともに真空度10−2Torr以上、好ましくは真空度10−4以上とする。
【0033】
次いでヘリウム等の不活性ガスを不活性ガス供給装置(61)、流量調整器(64)、真空蒸着用不活性ガス供給パイプ(60)を通じ真空チヤンバー(51)内に供給する。この真空蒸着用不活性ガス供給パイプ(60)はるつぼ(57)と冷却・電極ロール(54)との間に設置され、酸化珪素の蒸着物中に不活性ガスが取り込まれるようにする。そして不活性ガスの一例としてヘリウムを真空蒸着用不活性ガス供給パイプ(60)を通じて真空チヤンバー(51)内に供給する。不活性ガスの種類と流量は目的とするポアの数、大きさ、および蒸着に用いる装置によって異なる。真空チヤンバー(51)内での酸化珪素の蒸発速度に対し、不活性ガス流入速度がモル換算比で0.07〜1.0であることが望ましい。
【0034】
本発明により製造されるガスバリア材(1)のうち酸化珪素でなる無機化合物膜(20)の性質は、酸化珪素の組成SiOのXの値、および膜厚により決定され、基材(10)の搬送速度、蒸発に用いる電子ビームの電力、不活性ガスの流量を適正な値に設定することによって良好な酸化珪素でなる蒸着無機化合物膜(20)を形成することができる。
【0035】
上記酸化珪素でなる蒸着無機化合物膜(20)中のポア(22)に有機化合物(30)を分布させるためのプラズマCVDにおいては、有機珪素化合物と酸素ガスを混合して供給する。このプラズマCVD原料ガス中にしめる酸素含有量を目的とする膜の性質によって変えることができるが、有機珪素化合物1に対し酸素ガスを1から17程度にすることができる。プラズマCVD用原料供給パイプ(63)からの原料ガスの吹き出しは、搬送される高分子樹脂からなる基材(10)フィルム全体にプラズマが当たり有機化合物(30)を全面に行き渡らせるために、冷却・電極ロール(54)方向へマグネット(71)全体から均一に吹き出す。また混合の条件においてプラズマCVD単独で膜になる条件であってもよく、膜にならない条件でも良い。プラズマCVD室(62)内は10−1Torr以上の真空度が要求され、有機化合物(30)の供給に適した真空度に調整する。プラズマCVDでのプラズマ発生時の電気的パワーは、酸化珪素でなる蒸着無機化合物膜(20)の膜厚、ポア(22)の数や大きさなどによって任意に設定できる。
【0036】
【実施例】
次に本発明を実施例により、さらに具体的に説明する。
〈実施例1〉
高分子樹脂からなる基材(10)としては、厚み12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム原反を使用し、インライン蒸着装置(200)の巻き出しロール(52)に装着した。次に、インライン蒸着装置(200)の真空チヤンバー(51)内の巻き出し巻き取り室(90)、真空蒸着室(80)、プラズマCVD室(62)を1×10−5Torrまで減圧した。
【0037】
続いて電子ビーム発生部(58)に30KWの電力を供給して電子ビームを発生させ、偏向コイル(59)を用いてるつぼ(57)内の酸化珪素に照射して蒸発させた。この時真空蒸着用不活性ガス供給パイプ(60)を通じてヘリウムガスを、酸化珪素蒸発速度に対して0.15の割合で供給した。続いて巻き出しロール(52)より基材(10)であるポリエチレンテレフタレートフィルムを速度2m/秒で搬送して、この蒸着雰囲気中にさらすことによって、ポア(22)を含む酸化珪素でなる無機化合物膜(20)を備えたガスバリア材を得た。
【0038】
上記で得られたガスバリア材は、真空蒸着室(80)に連続したプラズマCVD室(62)室に搬送され、このプラズマCVD室(62)内に原料ガスとして有機珪素化合物であるへキサメチレンジシロキサンを原料加熱装置(67)、流量調整器(64)を通じて50sccm、酸素ガス供給装置(66)、流量調整器(64)を通じて100sccmをガス混合器(65)に供給し、混合した状態でプラズマCVD用原料供給パイプ(63)、マグネット(71)を通じてプラズマCVD室(62)に供給した。一方冷却・電極ロール(54)に電力を250W供給し原料ガスによりグロー放電プラズマを発生させた。この時プラズマCVD室(62)内の圧力を10−2Torrに保った。
【0039】
以上のようにして、プラズマCVDにより酸化珪素でなる無機化合物膜(20)を備えたガスバリア材中に有機化合物(30)を混合させて、有機・無機複合膜(40)とするガスバリア材(1)を得た。
【0040】
〈実施例2〉
ヘリウムガス供給量を酸化珪素蒸発速度との比で0.5とした以外は、実施例1と同条件でガスバリア材(1)を得た。
【0041】
〈比較例1〉
ヘリウムガス供給量を酸化珪素蒸発速度との比で2.0とした以外は、実施例1と同条件でガスバリア材(1)を得、比較試料1とした。
【0042】
〈比較例2〉
ヘリウムガスを供給しないで酸化珪素を蒸着した以外は、実施例1と同条件でガスバリア材(1)を得、比較試料2とした。
【0043】
上記実施例1、2および比較例1、2で得られたガスバリア材(1)について、プラズマCVDで有機化合物(30)を施す前のガスバリア材をそれぞれ比較試料3、4、5、6とした。
【0044】
以上のようにポリエチレンテレフタレートフィルムでなる基材(10)上にポア(22)を持たせて酸化珪素を真空蒸着した後、有機化合物(30)をプラズマCVDによって混在させたガスバリア材(1)について、酸素バリア性、水蒸気バリア性、耐引っ張り性を以下の評価方法で測定し、表1に示した。
〔評価方法〕
(1)酸素バリア性・・温度30℃、湿度70%RHの雰囲気下でMOCONOXTRAN10/50A酸素ガス透過度測定装置(モダンコントロール社製)にて測定し、酸素透過量とした。
(2)水蒸気バリア性・・温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下で、JIS Z−0208のカップ法により測定し、水蒸気透過量とした。
(3)耐引っ張り性・・ガスバリア材(1)の資料を長さ60cm、幅14cmに切り出し、長さ方向に定速で所定の歪み(3%、6%)まで引っ張った後、元に戻して酸素バリア性、水蒸気バリア性をその透過量として測定した。
【0045】
なお、以下の表中の酸素透過量の単位は、cc/m・day・atm、水蒸気透過度の単位は、g/m・dayである。
【0046】
【表1】
Figure 0003557898
【0047】
上記表1より、酸素バリア性は高分子樹脂でなる厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムでは140cc/m・day・atmのガス透過量であるが、不活性ガスを供給しないで酸化珪素を蒸着したガスバリア材(比較試料6)は酸化珪素膜厚が約500Åの時、酸素ガス透過量が1.3cc/m・day・atmと少なくなる。水蒸気バリア性においても厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムでは55g/m・dayの水蒸気透過量であるが、酸化珪素を蒸着することにより水蒸気透過量が2.5g/m・dayと少なくなる。
【0048】
また、この無機化合物膜(20)蒸着フィルム(比較試料6)にインラインでプラズマCVDによって有機化合物(30)を積層させたフィルム(比較試料2)はさらにガスバリア性が向上する。すなわち、酸素バリア性については有機化合物(30)膜を積層することにより酸素ガス透過量が0.9cc/m・day・atmと少なくなり、水蒸気バリア性についても有機化合物(30)膜を積層することにより水蒸気透過量が1.6g/m・dayと少なくなる。
【0049】
不活性ガスとしてヘリウムを供給して蒸着無機化合物膜(20)とした場合(比較試料3、4、5)、ポア(22)の存在によって酸素、水蒸気とも透過量が増加する。そのうちのヘリウム流量が最も少ない場合(比較試料3)において、酸素透過量が5.9cc/m・day・atm、水蒸気透過量も3.4g/m・dayとヘリウム供給無しで酸化珪素を蒸着したもの(比較試料6)より多くなる。これらの無機化合物膜(20)蒸着フィルムにプラズマCVDによって有機化合物(30)を複合させると、ガスバリア性が向上する。ヘリウムを供給して酸化珪素を蒸着し、その後プラズマCVDを行った実施例1の場合、酸素、水蒸気とも透過量が減少する。しかし酸素ガス透過量が2.0cc/m・day・atm、水蒸気透過量2.7g/m・dayとヘリウムを供給せず緻密に酸化珪素を蒸着した後、プラズマCVDを行った場合(比較試料2)よりも透過量は多くなる。
【0050】
また、フィルムを引っ張ると、ガス透過量は酸素、水蒸気とも増加する。無機化合物膜(20)上に有機化合物(30)膜を積層した蒸着膜(比較試料2)では一定速度でフィルム長さに対して3%引っ張りを行うと酸素ガス透過量は4.1cc/m・day・atm、水蒸気透過量は8.9g/m・dayとなり、フィルム長さに対して6%引っ張ると酸素ガス透過量は121.1cc/m・day・atm、水蒸気透過量52.2g/m・dayとガスバリア性が著しく劣化する。これに対し不活性ガスを含む雰囲気中で酸化珪素の蒸着を行うことによってできた、ポア(22)を含む無機化合物膜(20)に有機化合物(30)膜を被覆して有機・無機複合膜(40)とした中で、ヘリウム流量と酸化珪素蒸発量の比が0.15(実施例1)では、フィルム長さに対して3%引っ張ると酸素ガス透過量は2.2cc/m・day・atm、水蒸気透過量は3.1g/m・day、フィルム長さに対して6%引っ張っても酸素ガス透過量は2.5cc/m・day・atm、水蒸気透過量は5.3g/m・dayであり、引っ張りによるガスバリア性の劣化を抑えることができた。
【0051】
【発明の効果】
本発明は以上の構成であるから、下記に示す如き効果がある。
即ち、高分子樹脂からなる基材の少なくとも片面に、珪素酸化物を主成分とする無機化合物膜中に、分子中に炭素原子を少なくとも1つ以上含むオルガノシリコンモノマー分子もしくはオルガノシリコンモノマー分子から得られる物質である有機化合物が、厚さ方向に分布している有機・無機複合膜を形成してなるガスバリア材とし、前記無機化合物膜を、不活性ガスの存在下で真空蒸着法によって前記高分子樹脂からなる基材の片面に設けた後、前記有機化合物を、少なくとも有機珪素化合物の蒸気と酸素ガスの存在下で化学蒸着法によって前記無機化合物膜の厚さ方向に分布せしめて有機・無機複合膜とするガスバリア材の製造方法としたので、引っ張り等の応力による変形に対してもクラックの発生を抑制し、バリア性を維持することのできるガスバリア材とすることができる。
【0052】
また、前記真空蒸着と前記化学蒸着を、同一装置内で内部を大気圧に戻すことなく、インラインで連続して行うガスバリア材の製造方法としたので、無機化合物膜が大気中の酸素や水蒸気による汚染を防止するとともに、工程の簡略化と製造効率の向上に貢献することができる。
【0053】
従って本発明は、食品や医薬品等の透明でガスバリア性に富んだ包装体として、さらに使用後の廃棄物処理に優位な包装体としての用途において、優れた実用上の効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示すガスバリア材を模式的側断面で表した説明図である。
【図2】本発明の一実施に関わるガスバリア材の製造を説明するインライン蒸着装置の概略図である。
【符号の説明】
1‥‥ガスバリア材
10‥‥高分子樹脂からなる基材
20‥‥無機化合物膜
22‥‥ポア
30‥‥有機化合物
40‥‥有機・無機複合膜
51‥‥真空チヤンバー
52‥‥巻き出しロール
53‥‥巻き取りロール
54‥‥冷却・電極ロール
55‥‥補助ロール
56‥‥遮蔽板
57‥‥るつぼ
58‥‥電子ビーム発生部
59‥‥偏向コイル
60‥‥真空蒸着用不活性ガス供給パイプ
61‥‥不活性ガス供給装置
62‥‥プラズマCVD室
63‥‥プラズマCVD用原料供給パイプ
64‥‥流量調整器
65‥‥ガス混合器
66‥‥酸素ガス供給装置
67‥‥原料加熱装置
68‥‥巻き取り部用真空ポンプ
69‥‥蒸着部用真空ポンプ
70‥‥プラズマCVD用真空ポンプ
71‥‥マグネット
72‥‥真空計
80‥‥真空蒸着室
90‥‥巻き出し巻き取り室
200‥‥インライン蒸着装置

Claims (8)

  1. 高分子樹脂からなる基材の片面に、不活性ガスの存在下で真空蒸着法によって微細な空隙を有する無機化合物膜を設けた後、有機化合物を、少なくとも有機珪素化合物の蒸気と酸素ガスの存在下で化学蒸着法によって前記無機化合物膜の厚さ方向に分布せしめて有機・無機複合膜とすることを特徴とするガスバリア材の製造方法。
  2. 前記有機化合物が、オルガノシリコンモノマー分子もしくはオルガノシリコンモノマー分子から得られる物質であることを特徴とする請求項1記載のガスバリア材の製造方法。
  3. 前記不活性ガスが、ヘリウム(He)ガスであることを特徴とする請求項1または2記載のガスバリア材の製造方法。
  4. 前記真空蒸着と前記化学蒸着を、同一装置内で内部を大気圧に戻すことなく、連続して行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガスバリア材の製造方法。
  5. 前記真空蒸着時と化学蒸着時の真空度をそれぞれ独自に調整できるガスバリア材の製造装置とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のガスバリア材の製造方法。
  6. 前記請求項1〜5記載のガスバリア材の製造方法により製造されたガスバリア材。
  7. 前記請求項6記載のガスバリア材を用いて、食品を包装することを特徴とする包装体。
  8. 前記請求項6記載のガスバリア材を用いて、医薬品を包装することを特徴とする包装体。
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