JP4332919B2 - ガスバリア材の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品や医薬品等の包装に適した酸素および水蒸気の透過に対して高度のガスバリア性と柔軟性とを併せ持ったガスバリア材およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、包装材料としては内容物の保存のためにガスバリア性が重要であり、酸素や水蒸気に対するガスバリア性を備えた包装材料として、アルミ箔やポリ塩化ビニリデン(PVDC)コートが使われてきた。しかしアルミ箔は優れたガスバリア性を持つものの、不透明であるため内容物の確認ができない、内容物の金属探知器による検査が出来ない、マイクロ波が通らないため電子レンジ食品等には使えない、焼却過程で溶融し炉底にたまって炉を傷めるといった多くの問題点があった。PVDCは透明であるもののガスバリア性が不十分であるうえに、塩素を分子内に含有することから、その焼却過程で有毒な塩素系ガスを排出するため環境衛生上好ましくなく、かつ塩素ガスによって焼却炉の腐食等をもたらす問題もあった。上記両者の問題点を解決するものとして、最近では金属酸化物等からなる無機化合物をガスバリア層として高分子樹脂基材上に設けたガスバリアフィルムが開発されている。しかし、これらはアルミ箔に比べて透明であるが、ガスバリア性が不十分であること、また、無機化合物層を高分子樹脂基材上に備えたガスバリア材は、引っ張り等の応力が加わると無機化合物層に割れ(クラック)が発生することからガスバリア性が低下し、引っ張り等の応力に弱くガスバリア材としての用途が制限されていた。高分子樹脂基材上に備えた無機化合物層上に保護層を積層したガスバリア材においても無機化合物層に生じるクラックにより、初期のガスバリア性が維持できないという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記のような問題点を解決するものであり、その課題とするところは、引っ張り等の応力による変形に対してもクラックの発生を抑制し、ガスバリア性を維持することのできるガスバリア材およびその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、まず請求項1記載の発明は、高分子樹脂基材の少なくとも片面上に設けたアルミニウム酸化物を主成分とする無機化合物からなるガスバリア層の厚さ方向に有機化合物が均一に分布し、無機と有機複合体を形成しているガスバリア材の製造方法であって、
前記アルミニウム酸化物を主成分とする無機化合物からなるガスバリア層を、酸素ガスと非酸化性ガスとの混合ガス雰囲気中で、真空蒸着法によって高分子樹脂基材の少なくとも片面上に設けた後、酸素ガス雰囲気中で、化学蒸着法によってガスバリア層中に反応生成してなる有機化合物を、該層中の厚さ方向に均一に分布せしめ、無機と有機複合体を形成し、前記ガスバリア層の蒸着原料である金属アルミニウムの蒸発速度に対し、供給する非酸化性ガス量はモル換算比で0.08〜0.5であり、かつ、供給する酸素ガス量はモル換算比で0.15〜0.75であることを特徴とするガスバリア材の製造方法である。緻密で高いガスバリア性を有する反面、柔軟性に欠ける無機化合物からなるガスバリア層中に有機化合物を分布せしめることによって高度のガスバリア性と柔軟性とを併せ持たせることができる。
【0007】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のガスバリア材の製造方法において、前記アルミニウム酸化物を主成分としたガスバリア層を酸素ガスと非酸化性ガスとの混合ガス雰囲気中で、真空蒸着法によって高分子樹脂基材の少なくとも片面上に設けた後、前記真空蒸着と同一装置内で内部を大気圧に戻すことなく、連続して化学蒸着法によってガスバリア層中に反応生成してなる有機化合物を、該層中の厚さ方向に均一に分布せしめ、無機と有機複合体を形成せしめることを特徴とする。緻密な無機化合物を製造する真空蒸着において、非酸化性ガスを導入することによって無機化合物中に微細な欠陥(以下ポアという)を設けることができる。さらに無機化合物層の蒸着と蒸着層中への有機化合物の反応生成を同一装置内で大気開放することなく連続した工程(インライン)でする方法によって、無機化合物層中のポアが大気中の酸素、水蒸気に汚染されことなく、目的の無機と有機複合体を形成できるとともに工程の簡略化、および製造コストの低減がはかれる。
【0008】
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のガスバリア材の製造方法において、非酸化性ガスが、ヘリウム(He)ガスであることを特徴とする。ガス分子径が小さく、不活性であるヘリウムガスを用いることで、該アルミニウム酸化物中に設ける極めて微細な隙間(ポア)の大きさや数(量)の制御を容易にしたものである。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載のガスバリア材の製造方法において、前記真空蒸着と化学蒸着を同一装置内で行うことのでき、かつ真空蒸着部と化学蒸着部の真空度をそれぞれ独自に調整できるガスバリア材製造装置を用いることを特徴とする。真空蒸着、化学蒸着を最適な条件で行うため、真空蒸着時と化学蒸着時の真空度をそれぞれ独自に調整できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施の形態について説明する。
【0011】
本発明において使用される透明な高分子樹脂からなる基材は、ガスバリア材の使用目的、被包装物の物性、特性、経済性等から適宜選択することができる。具体的にはナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、セルロース、ポリアクリレート、ポリウレタン、セロハン、ポリエチレンテレフタレート、アイオノマー等の延伸または未延伸の樹脂フィルムを挙げることができる。このような基材の厚みはガスバリア材の使用目的、製造時の安定性等から適宜設定することができるが、例えば5〜100μm程度とすることができる。また、この高分子樹脂基材の表面に、ガスバリア層との密着性を良くするための前処理として、コロナ処理、低温プラズマ処理、イオンボンバード処理等が施されていても良く、更に薬品処理、溶剤処理等が施されていてもよい。
【0012】
上記のような透明な高分子樹脂からなる基材上に、まずアルミニウム酸化物層を付着させるドライコーティングの方法として、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法等が用いられる。中でも真空中でアルミニウム、アルミニウム化合物を加熱し蒸発させ基材に付着させる真空蒸着法は無機化合物などを緻密な構造で基材上に付着させるに適した方法である。真空蒸着法における加熱方式は抵抗加熱、誘導加熱、電子線加熱などがあり、蒸着材料および目的に応じて適宜選択できる。本発明における真空蒸着法によって形成されるアルミニウム酸化物層はその構造中に均一で微細な空隙(ポア)を有するもので、その製造方法は広範囲に選択が可能である。しかし、次工程のCVDの反応生成物によってこのポアを埋めることを考慮すると、このポア表面の化学的反応性がよい方が好都合である。そのため、アルミニウム酸化物の真空蒸着層の形成を非酸化性ガス雰囲気中、なかでも分子径が小さいヘリウムガス雰囲気中で行うことが特に好ましい。
【0013】
高真空度条件下で作成したアルミニウム酸化物を主成分とするガスバリア層中に有機化合物を分布させるために、アルミニウム酸化物の真空蒸着と同一装置内で、真空蒸着プロセスとインラインで有機化合物を付着させるプロセスを設ける。このプロセスによって有機化合物がアルミニウム酸化物層中のポアに入り込み、ポアとなっているアルミニウム酸化物と反応もしくは吸着することによってアルミニウム酸化物層中に分布させることができる。またプロセスを大気圧開放せずインラインで行うことによって、ポアが大気中の酸素、水蒸気に汚染されないために、目的とする有機化合物がポア内部において反応生成することができる。
【0014】
高分子樹脂基材に作成されたアルミニウム酸化物を主成分とするガスバリア層中に有機化合物を分布させる方法としては、プラズマCVD法、スパッタリング法などを、原料物質、アルミニウム酸化物層の状態、ポアの数、大きさ、目的とする有機化合物の物性などから適宜選択することができる。例えばプラズマCVD法を用いる場合、高分子樹脂基材上にアルミニウム酸化物層を形成したガスバリア材の近傍に原料ガスと酸素ガスを供給し、ここにプラズマを発生させてアルミニウム酸化物層に有機化合物を分布させる。アルミニウム酸化物層に混在させる有機化合物の原料としては例えば有機珪素化合物を使用することができる。有機珪素化合物としては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ノルマルプロピルトリメトキシシラン、ノルマルブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ノルマルヘキシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリメチルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン等を挙げることができる。中でもテトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサンが好ましい。
【0015】
少なくとも上記のような有機珪素化合物の蒸気と酸素ガスとを用いてCVDを行う場合、そのCVD条件によって反応生成物の組成や緻密性等の性質が異なってくる。本発明においては、CVDによる反応生成物自身が重合、固化する必要はなく、また単独で層化するほどの量である必要もない。本発明において重要なことは、反応生成物が有機化合物であることと、真空蒸着によって形成されたアルミニウム酸化物中のポアに反応生成物が入って行けることであり、アルミニウム酸化物の真空蒸着層等に合わせて適切なCVD条件を選択することである。ここではCVDとしていわゆる低温プラズマCVDを例示し、その方法と装置について説明したが、本発明におけるCVDは、特に低温プラズマCVDに限定されるものではない。またプラズマCVD雰囲気の安定のために不活性ガス、たとえばアルゴン、ヘリウムを原料ガス供給系に加えることも可能であるが、必ずしも必要ではない。
【0016】
これらのガスを供給した雰囲気でプラズマを発生させて、プラズマ中にアルミニウム酸化物を主成分とするガスバリア層を設けた基材を搬送する事によってアルミニウム酸化物層内のポアに有機化合物が反応生成し、アルミニウム酸化物を主成分とする無機化合物と有機化合物が複合したガスバリア材を製造することができる。
【0017】
次に本発明のガスバリア材の製造方法を図面を用いて説明する。
図1は、本発明のガスバリア材の製造方法に使用する真空蒸着・プラズマCVDインライン装置の一例を示したものである。真空蒸着・プラズマCVDインライン装置(1)は巻き出し巻き取り室(2)、真空蒸着室(3)、プラズマCVD室(4)、周辺の原料ガス供給部(5)からなる。詳しくは真空蒸着・プラズマCVDインライン装置(1)、および真空蒸着・プラズマCVDインライン装置(1)内に配設された巻き出しロール(6)、巻き取りロール(7)、冷却ロール(8)、補助ロール(9)、遮蔽板(10)、坩堝(11)、電子ビーム発生部(12)、偏向コイル(13)、蒸着用ガス供給パイプ(14)、蒸着用酸素ガスボンベ(15)、蒸着用非酸化性ガスボンベ(16)、蒸着用酸素ガス流量調整器(17)、蒸着用非酸化性ガス流量調整器(18)、蒸着用ガス混合器(19)、プラズマCVD室(4)、プラズマCVD用原料供給パイプ(20)、プラズマCVD用酸素ガスボンベ(21)、プラズマCVD用原料加熱装置(22)、プラズマCVD用酸素ガス流量調整器(23)、プラズマCVD用原料蒸気流量調整器(24)、プラズマCVD用ガス混合器(25)、マグネット電極(26)、巻き出し巻き取り室用真空ポンプ(27)、真空蒸着室用真空ポンプ(28)、プラズマCVD室用真空ポンプ(29)からなる。
【0018】
上記真空蒸着・プラズマCVDインライン装置(1)において遮蔽板(10)により巻き出し巻き取り室(2)と真空蒸着室(3)に分け、それぞれ巻き出し巻き取り室用真空ポンプ(27)、蒸着室用真空ポンプ(28)により所定の真空度に設定できるようになっている。またプラズマCVD室(4)も巻き出し巻き取り室(2)や真空蒸着室(3)と異なる真空度でプラズマCVDを行うためにプラズマCVD室用真空ポンプ(29)を設け単独に真空度を制御する。これらの真空度は独自の値で制御できるが同一の真空度であってもよい。
【0019】
上記のような真空蒸着・プラズマCVDインライン蒸着装置(1)の巻き出しロール(6)に高分子樹脂からなる基材の原反を装着し、補助ロール(9)、冷却ロール(8)、補助ロール(9)を介して巻き取りロール(7)に至る原反搬送パスを形成する。真空蒸着・プラズマCVDインライン装置(1)内を巻き出し巻き取り室用真空ポンプ(27)および蒸着室用真空ポンプ(28)により減圧して、巻き出し巻き取り室(2)、真空蒸着室(3)ともに真空度1×10-2Torr以上、好ましくは真空度1×10-4Torr以上とする。
【0020】
次に電子ビーム発生部(12)から電子線を坩堝(11)内の蒸着原料に照射して原料表面を蒸気化させるが、アルミニウム酸化物の真空蒸着における蒸着原料としては金属アルミニウム、アルミニウム酸化物のいずれを用いることも可能である。金属アルミニウムを蒸着原料として用いた場合には、蒸着用ガス供給パイプ(14)から酸素ガスとヘリウム等の非酸化性ガスとの混合ガスを真空蒸着室(3)内へ供給する。またアルミニウム酸化物を直接蒸着原料として用いた場合には、蒸着用ガス供給パイプ(14)からは非酸化性ガスのみを供給する。図1は金属アルミニウムを蒸着原料として用いた場合の図である。蒸着用酸素ガスボンベ(15)および蒸着用非酸化性ガスボンベ(16)からそれぞれの流量調整器(17)、(18)や蒸着用ガス混合器(19)、蒸着用ガス供給パイプ(14)を通じて真空蒸着室(3)内に供給する。
【0021】
供給する非酸化性ガスの種類と量は、目的とするポアの数(量)、大きさ、巻き取り速度および用いる真空蒸着装置等によって異なってくる。蒸着原料である金属アルミニウムの蒸発速度に対し、真空蒸着室(3)に供給する酸素ガス量はモル換算比で0.15〜0.75、また非酸化性ガス量はモル換算比で0.08〜0.5であることが望ましい。酸素ガス比が0.15より小さいと金属アルミニウムの酸化度が低くなって着色が顕著となり、反対に0.75より大きいと得られるアルミニウム酸化物層中に過剰な酸素ガス分子による大きなポアが増えるため、続くCVDによる穴埋めが不十分となってガスバリア性、フレキシビリティ共に十分な効果が発揮できなくなる場合がある。また非酸化性ガス比が0.08より小さいと金属アルミニウムや酸素ガスの量に対して非酸化性ガスの量が少ないために、アルミニウム酸化物層中に有効なポアを形成できない場合が生じる。反対に0.5より大きいとアルミニウム酸化物に対して非酸化性ガス量が多すぎ、アルミニウム酸化物の真空蒸着層の形成に続いてCVDを行った後でさえ、得られたフィルムのガスバリア性が低くなるためである。
【0022】
次に少なくとも有機珪素化合物の蒸気と酸素ガスとを用いたCVD法によって、有機化合物を前記アルミニウム酸化物の真空蒸着層の厚さ方向に均一に分布させる方法について説明する。真空蒸着室(3)に引き続く、プラズマCVD室(4)にて作成する。プラズマCVD室(4)内を真空ポンプにより10-1Torr以上の真空度に減圧する。次にプラズマCVD用原料加熱装置(22)によって加熱、蒸気化した有機珪素化合物原料を、プラズマCVD用ガス混合器(25)にて所定の比率で酸素ガスと混合しプラズマCVD用原料ガス供給パイプ(20)通じ供給するのと同時に、マグネット電極に高周波電圧を加えてプラズマを発生させ、原反フィルムを搬送させて連続的に有機珪素化合物蒸気と酸素ガスとの反応生成物を付着させる。この他プラズマの発生、維持をより容易にするためのヘリウムガスやアルゴンガスを供給したり、2種類以上の有機珪素化合物蒸気を供給することもあり、その場合にはそれぞれのガスや蒸気の供給系を併設することもある。
【0023】
【実施例】
次に本発明を実施例により、更に具体的に説明する。
【0024】
<実施例1>
まず高分子樹脂からなる基材として厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートの長尺状フィルムのロールを真空蒸着・プラズマCVDインライン蒸着装置(1)の巻き出しロール(6)に装着した。次に、真空蒸着・プラズマCVDインライン装置(1)内の巻き出し巻き取り室(2)、真空蒸着室(3)、プラズマCVD室(4)を1×10-5Torrまで減圧した。
【0025】
続いて電子ビーム発生部(12)に15kWの電力を供給して発生させた電子線を偏向コイル(13)によって坩堝(11)内の蒸着原料(金属アルミニウム:純度99.9%以上)に照射させ、蒸着原料を加熱、蒸発させると共に、蒸着用ガス導入パイプ(14)を通じて酸素とヘリウム混合ガスを導入した。この時の酸素ガスとヘリウムガスとの供給速度は金属アルミニウムの蒸発速度に対してモル換算比でそれぞれ0.40、0.15とした。この時の金属アルミニウムの蒸発速度は、ある一定時間における蒸着前後の蒸着原料の重量変化から予め求めた値を用いた。次に基材のPETフィルムを2m/secの速度で搬送し、上記蒸着雰囲気中にさらすことによってポアを含むアルミニウム酸化物層を形成した。
【0026】
上記で得られたガスバリア材は、真空蒸着室(3)に連続したプラズマCVD室(4)に搬送された。このプラズマCVD室(4)内に原料ガスとして有機珪素化合物であるヘキサメチレンジシロキサンをプラズマCVD用原料加熱装置(22)によって加熱、気化させ、流量調整器(24)によって50cc/minに調整し、1000cc/minの酸素ガスとプラズマCVD用ガス混合器(25)内で混合した後、マグネット電極(26)表面からプラズマCVD室(4)内へ導入した。同時に電極に250Wの高周波電圧を印加し、電極と冷却ロールとの間の空間にプラズマを発生させた。原反を搬送させてヘキサメチレンジシロキサンと酸素との反応生成物をアルミニウム酸化物の真空蒸着層中に設け、巻き出し巻き取り室(2)の巻き取りロール(7)によって巻き取り、ガスバリア材を得た。
【0027】
<実施例2>
ヘリウムガス供給量をアルミニウム蒸発速度との比で0.25としたこと以外は実施例1と同条件でガスバリア材を得た。
【0028】
<比較例1>
ヘリウムガスを供給しないでアルミニウム酸化物を蒸着したこと以外は、実施例1と同条件でガスバリア材を得て、比較例1とした。
【0029】
<比較例2>
ヘリウムガス供給量をアルミニウム蒸発速度との比で1.0としたこと以外は実施例1と同条件でガスバリア材を得て、比較例2とした。
【0030】
<比較例3>
真空蒸着を行わずにPET基材に直接CVDを行ったものを比較例3とした。
【0031】
上記実施例1、2および比較例1、2においてCVDを行わなかったものを比較例4、5、6、7とした。
【0032】
以上のようにポリエチレンテレフタレートフィルムでなる基材上に、ポアが存在するアルミニウム酸化物層を真空蒸着した後、層中にプラズマCVDによって炭素を含有する酸化珪素化合物を混在させたガスバリア材について、酸素バリア性、水蒸気バリア性、引っ張り耐性を以下の評価方法で測定し、表1に示した。
【0033】
<評価方法>
(1)酸素バリア性…温度30℃、湿度70%RHの雰囲気下でMOCON Oxtran10/50A酸素ガス透過度測定装置(モダンコントロール 社製)にて酸素透過量を測定した。
(2)水蒸気バリア性…温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下でMOCO N PermatranW6水蒸気透過度測定装置(モダンコントロール社 製)にて水蒸気透過量を測定した。
(3)引っ張り耐性…得られたガスバリア材を長さ30cm以上、幅14c mに切り出し長さ方向に定速で所定の歪み(3%、6%)まで引っ張った後 、元に戻して酸素透過量、水蒸気透過量を測定した。
なお、以下の表中の酸素透過量の単位はcc/m2・day・atm、水蒸気透過量の単位はg/m2・dayである。
【0034】
【表1】
Figure 0004332919
【0035】
上記表1より、実施例1は6%まで引っ張った後でさえ初期のガスバリア性を良く維持している。ヘリウムガス量を金属アルミニウムの蒸発速度に対して0.25とした実施例2においても、6%引っ張った後でも、引っ張り後のガスバリア性の低下が小さく抑えられていた。
【0036】
蒸着中にヘリウムを導入しない比較例1においては初期のガスバリア性がもっとも優れている。しかし引っ張りによって急激にガスバリア性が低下していることが分かる。比較例2のガスバリア材は初期のガスバリア性が低いものであった。また比較例3のガスバリア性は酸素透過量150cc/m2・day・atm、水蒸気透過量は55g/m2・dayで基材のPETフィルム単独でのガスバリア性とほぼ同じであり、CVDだけではガスバリア性がほとんどないことが分かった。比較例4〜7においてはいずれも引っ張りによって急激にガスバリア性が低下した。
【0037】
上記した実施例および比較例から明白なように、初期のガスバリア性および引っ張り耐性とともに優れたガスバリア材を得るためには、アルミニウム酸化物の真空蒸着中に金属アルミニウムの蒸気量に対してモル比で0.08〜0.5の不活性ガスを導入してその真空蒸着層中にポアを形成し、続いて少なくとも有機珪素化合物蒸気と酸素ガスとを用い、適切な条件下においてCVDを行うことで、アルミニウム酸化物層の厚さ方向に均一に有機化合物が分布したガスバリア材を得ることが重要である。
【0038】
【発明の効果】
本発明によって下記の如き効果を奏するものである。
本発明は、高分子樹脂基材の少なくとも片面上に設けたガスバリア層を構成するアルミニウム酸化物を主成分とする無機化合物層内のポアに反応生成した有機化合物が、ガスバリア層の厚さ方向に均一に分布し、前記無機化合物と反応生成した有機化合物とが複合体を形成した構造を有しているために、引っ張り等の応力による変形に対してもクラックの発生を抑制し、ガスバリア性を維持することのできるガスバリア材とその製造方法を提供できる。
【0039】
本発明のガスバリア材は、透明で、応力による変形によって生ずるクラックの発生がなく、ガスバリア性に優れ、使用済み後は環境衛生上問題なく廃棄処理ができる。
【0040】
また、本発明のガスバリア材の製造方法は、真空蒸着と化学蒸着を、同一装置内で内部を大気圧に戻すことなく、インラインで連続して行うことができ、アルミニウム酸化物を主成分とする無機化合物層内のポアが大気中の酸素や水蒸気によって汚染されることがなく、工程の簡略化が可能で、製造効率に優れた製造方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガスバリア材を製造する装置を説明する模式説明図である。
【符号の説明】
1真空蒸着・プラズマCVDインライン装置
2巻き出し巻き取り室
3真空蒸着室
4プラズマCVD室
5原料ガス供給部
6巻き出しロール
7巻き取りロール
8冷却ロール
9補助ロール
10遮蔽板
11坩堝
12電子ビーム発生部
13偏向コイル
14蒸着用ガス供給パイプ
15蒸着用酸素ガスボンベ
16蒸着用非酸化性ガスボンベ
17蒸着用酸素ガス流量調整器
18蒸着用非酸化性ガス流量調整器
19蒸着用ガス混合器
20プラズマCVD用原料供給パイプ
21プラズマCVD用酸素ボンベ
22プラズマCVD用原料加熱装置
23プラズマCVD用酸素ガス流量調整器
24プラズマCVD用原料流量調整器
25プラズマCVD用ガス混合器
26マグネット電極
27巻き出し巻き取り室用真空ポンプ
28真空蒸着室用真空ポンプ
29プラズマCVD室用真空ポンプ

Claims (4)

  1. 高分子樹脂基材の少なくとも片面上に設けたアルミニウム酸化物を主成分とする無機化合物からなるガスバリア層の厚さ方向に有機化合物が均一に分布し、無機と有機複合体を形成しているガスバリア材の製造方法であって、
    前記アルミニウム酸化物を主成分とする無機化合物からなるガスバリア層を、酸素ガスと非酸化性ガスとの混合ガス雰囲気中で、真空蒸着法によって高分子樹脂基材の少なくとも片面上に設けた後、酸素ガス雰囲気中で、化学蒸着法によってガスバリア層中に反応生成してなる有機化合物を、該層中の厚さ方向に均一に分布せしめ、無機と有機複合体を形成し、
    前記ガスバリア層の蒸着原料である金属アルミニウムの蒸発速度に対し、供給する非酸化性ガス量はモル換算比で0.08〜0.5であり、かつ、供給する酸素ガス量はモル換算比で0.15〜0.75である
    ことを特徴とするガスバリア材の製造方法。
  2. 前記アルミニウム酸化物を主成分とする無機化合物からなるガスバリア層を、酸素ガスと非酸化性ガスとの混合ガス雰囲気中で、真空蒸着法によって高分子樹脂基材の少なくとも片面上に設けた後、前記真空蒸着と同一装置内で内部を大気圧に戻すことなく、連続して化学蒸着法によってガスバリア層中に反応生成してなる有機化合物を、該層中の厚さ方向に均一に分布せしめ、無機と有機複合体を形成せしめること特徴とする請求項1記載のガスバリア材の製造方法。
  3. 請求項1又は2記載のガスバリア材の製造方法において、非酸化性ガスが、ヘリウム(He)ガスであることを特徴とするガスバリア材の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のガスバリア材の製造方法において、前記真空蒸着と化学蒸着を同一装置内で行うことのでき、かつ真空蒸着部と化学蒸着部の真空度をそれぞれ独自に調整できるガスバリア材製造装置を用いることを特徴とするガスバリア材の製造方法。
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