JP3530721B2 - 誘導電動機のトルク制御装置 - Google Patents

誘導電動機のトルク制御装置

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JP3530721B2 JP25955397A JP25955397A JP3530721B2 JP 3530721 B2 JP3530721 B2 JP 3530721B2 JP 25955397 A JP25955397 A JP 25955397A JP 25955397 A JP25955397 A JP 25955397A JP 3530721 B2 JP3530721 B2 JP 3530721B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、誘導電動機のト
ルク制御装置に係り、特に速度検出器及び電圧(磁束)
検出器を用いることなく、高速・低速の回転速度及び力
行・回生動作の別なく、広範囲の動作領域にわたって高
精度、かつ高速応答のトルク制御を行うために好適な誘
導電動機のトルク制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の速度検出器及び電圧(磁束)検出器
を用いない誘導電動機のトルク制御装置として、特開平
9−9700号公報に開示された図13の構成のものが
ある。
【0003】図13の誘導電動機のトルク制御装置は、
誘導電動機1、電流検出器2、PWMインバータ3、電
流成分指令演算手段4、電流成分演算手段5、すべり周
波数演算回路6、減算器7、積分器8,10、加算器
9、電流成分制御回路11a、電圧指令演算回路12か
ら構成されており、電流制御手段は、電流成分制御回路
11a、電圧指令演算回路12及びPWMインバータ3
から構成されている。この制御装置は、制御対象とする
1次電流指令を、誘導電動機の1次磁束を基準としたも
のとすることにより、高速回転時や過負荷時における1
次電圧の変動幅を抑制するものである。
【0004】図14は電流成分指令演算手段4の詳細な
構成を示すブロック図である。図14において、20は
絶対値回路、21は関数発生器、22,24は係数器、
23は除算器である。
【0005】図15はすべり周波数演算回路6の詳細な
構成を示すブロック図である。図15において、30,
32,34及び36は係数器、31は微分器、33は加
算器、35は減算器、37は除算器である。
【0006】図16は電流成分制御回路11aの詳細な
構成を示すブロック図である。図16において、40,
43,46,50及び52は係数器、41,45,47
及び53は減算器、42,51は乗算器、44は除算
器、48,54は増幅器、49,55は加算器である。
【0007】次に、この誘導電動機のトルク制御装置の
動作説明に先立ち、この制御装置における制御原理につ
いて説明する。
【0008】まず、1次周波数で回転する回転座標軸
(d−q軸とする)上における誘導電動機の電圧・電流方
程式は、公知のように次式(1a)〜(1d)によって
示される。
【0009】
【数1】
【0010】ただし上式(1)において、Vds及びVqs
はそれぞれ1次電圧のd軸及びq軸成分、Ids及びIqs
はそれぞれ1次電流のd軸及びq軸成分、Idr及びIqr
はそれぞれ2次電流のd軸及びq軸成分である。また、
sは1次抵抗、Rrは2次抵抗、Lsは1次自己インダ
クタンス、Lrは2次自己インダクタンス、Mは1次2
次相互インダクタンス、pは微分演算子(=d/dt)
である。さらに、ωは1次磁束ベクトルの回転周波数、
すなわち、1次周波数であり、ωsはすべり周波数であ
る。
【0011】次に、1次磁束のd軸成分及びq軸成分は
それぞれ、次式(2a)及び(2b)で与えられる。
【0012】
【数2】
【0013】さて、ここで1次磁束ベクトルの方向をd
軸に一致させると、発生トルクτは次式(3)のよう
になる。
【0014】
【数3】
【0015】ただし、Pは誘導電動機の極対数であ
る。
【0016】発生トルクτmは1次磁束のd軸成分Φds
と1次電流Iqsのq軸成分の積に比例し、制御が容易と
なる。そこで、1次磁束のd軸成分Φdsを(4)式で与え
られる指令値Φds *と一致させ、さらに、1次磁束ベク
トルの方向をd軸に一致させる(1次磁束のq軸成分Φ
qs=0とする)ための条件として、すべり周波数ωs
(5)式のように、1次電流のd軸成分Idsを(6)式のよ
うに与える。
【0017】
【数4】
【0018】ただし、I0 *は励磁電流成分指令、σは漏
れ係数{=1−M2/(Lsr)}である。
【0019】(6)式から、励磁電流成分指令I0 *に対応
する励磁電流成分I0は、次式のように表される。
【0020】
【数5】
【0021】従って、励磁電流成分I0が指令値I0 *
一致するように制御すれば、1次磁束のd軸成分Φds
指令値Φds *と一致させることができ、ひいては、1次
磁束ベクトルの方向をd軸と一致させることができる。
【0022】ここで、1次周波数ωとすベり周波数ωs
との間には、公知のように次式(8)のような関係があ
る。
【0023】
【数6】
【0024】ただし、ωmは誘導電動機の回転周波数(回
転速度)である。
【0025】このように、1次磁束ベクトルの方向をd
軸に一致させると、定常状態において(1a)式及び(1
b)式は、次式(9a),(9b)のようになる。
【0026】
【数7】
【0027】そこで、1次電圧のd軸及びq軸成分の指
令値Vds *,Vqs *を、次式(10a),(10b)のように
与える。
【0028】
【数8】
【0029】ただし、ω*は制御演算に用いる1次磁束
ベクトルの設定値(推定値)である。
【0030】また、(6)式から、1次電流のd軸成分I
dsに対応するd軸成分指令Ids *を次式(11)で与え
る。
【0031】
【数9】
【0032】ここで、(8)式より、1次磁束ベクトルの
設定値ω*を設定するために、誘導電動機の回転周波数
ωmの値が必要となる。しかし、この制御法は速度検出
器を用いない制御法であり、誘導電動機の回転周波数を
何等かの代替方法によって、誘導電動機の回転周波数の
推定値ω^mとして演算する必要がある。1次磁束ベク
トルはω^mを用いて求めるため、(8)式は次式(12)
のように置き換わる。
【0033】
【数10】
【0034】この、誘導電動機の回転周波数の推定値ω
mの演算原理は次のようなものである。
【0035】いま、誘導電動機の1次電圧が指令値に一
致するようにPWMインバータを用いて制御すると、ω
*=ωであればIqs *=IqsかつIds *=Idsが成り立
つ。しかし、ω*≠ωの場合はIqs *≠Iqs及びIds *
dsとなる。したがって、Iqs *=IqsかつIds *=Ids
が成り立つようなω*を求めればω*=ωとなり、誘導電
動機の回転周波数の推定値を実際値と一致させることが
できる。
【0036】このため、1次電流のq軸成分指令Iqs *
とq軸成分Iqsの偏差を積分し、その積分結果を誘導電
動機の回転周波数の推定値ω^mとすれば、定常状態に
おいてIqs *=Iqsとなり、ω*=ωが成立する。そのと
き推定値ω^mは、実際値ωmに一致する。
【0037】さて、ここで、1次電流のd軸成分Ids
びq軸成分Iqsは、次式(13a),(13b)を用いて求
めることができる。
【0038】
【数11】
【0039】ただし、θは1次磁束ベクトルの位相であ
り、上記の1次周波数ω、すなわち、1次磁束ベクトル
の回転周波数を積分することによって求められる。
【0040】また、1次電圧指令Vus *、Vvs *及びVws
*は、次式(14)を用いて求めることができる。
【0041】
【数12】
【0042】次に、図13に示す誘導電動機のトルク制
御装置の具体的動作を説明する。まず、誘導電動機1の
トルク指令τ* m及び第1の積分器8から出力された誘導
電動機1の回転周波数の推定値ω^mを電流成分指令演
算手段4に入力すると、励磁電流成分指令I0 *及びトル
ク電流成分指令Iqs *が出力される。
【0043】具体的には、図14に示すように、絶対値
回路20によって誘導電動機1の回転周波数の推定値ω
mの絶対値|ω^m|が出力される。さらに、この絶対
値|ω^m|を関数発生器21に入力すると、次式(1
5)の演算が行われ、励磁電流成分指令I0 *が出力され
る。
【0044】
【数13】
【0045】ここでI0-100%は励磁電流成分の定格値、
ωbは誘導電動機1の定格周波数である。
【0046】次に、この励磁電流成分指令I0 *を係数器
22に入力すると、(4)式の演算が行われ、1次磁束の
d軸成分指令Φds *が求められる。さらに、除算器23
によって、外部から入力された誘導電動機1のトルク指
令τ* mを、この1次磁束のd軸成分指令Φds *で除算し
た後、係数器24に入力すると、(3)式の関係からトル
ク電流成分指令Iqs *が出力される。
【0047】次に、電流検出器2によって検出された1
次電流Ius(U相)、Ivs(V相)及び第2の積分器10か
ら出力された1次磁束ベクトルの位相θを電流成分演算
手段5に入力すると、(13)式の演算が行われ、1次電
流のd軸成分Ids及びq軸成分Iqsが出力される。
【0048】つづいて、電流成分指令演算手段4から出
力されたトルク電流成分指令Iqs *及び電流成分演算手
段5から出力された1次電流のq軸成分(トルク電流成
分)Iqsの偏差を減算器7で求めた後、この偏差を第1
の積分器8に入力すると、誘導電動機1の回転周波数の
推定値ω^mが出力される。
【0049】次に、電流成分指令演算手段4から出力さ
れた励磁電流成分指令I0 *、電流成分演算手段5から出
力された1次電流のd軸成分Ids及びq軸成分Iqsをす
ベり周波数演算回路6に入力すると、すベり周波数ωs
が出力される。
【0050】具体的には、図15に示すように、係数器
30、32、微分器31及び加算器33によって、(5)
式の右辺の分子の演算が行われる。一方、係数器34、
36及び減算器35によって、(5)式の右辺の分母の演
算が行われる。従って、除算器37によって、加算器3
3の出力を係数器36の出力で除算すると、(5)式の演
算が行われ、すベり周波数ωsが求められる。
【0051】つづいて、第1の積分器8の出力とすべり
周波数演算回路6の出力を加算器9によって加算する
と、(12)式の演算が行われ、1次磁束ベクトルの回転
周波数の設定値ω*が求められる。さらに、この1次磁
束ベクトルの回転周波数の設定値ω*を第2の積分器1
0に入力すると、1次磁束ベクトルの位相θが出力され
る。
【0052】次に、電流成分指令演算手段4から出力さ
れた励磁電流成分指令I0 *及びトルク電流成分指令Iqs
*、加算器9から出力された1次磁束ベクトルの回転周
波数の設定値ω*、電流成分演算手段5から出力された
1次電流のd軸成分Ids及びq軸成分Iqsをそれぞれ、
電流成分制御回路11aに入力すると、1次電圧のd軸
成分指令Vds *及びq軸成分指令Vqs *が出力される。
【0053】具体的には、図16に示すように、1次電
流のd軸成分Idsを係数器40に入力して得られた信号
を、減算器41によって励磁電流成分指令I0 *から減ず
ると(I0 *−σIds)が出力される。つづいて、乗算器4
2によってq軸電流成分(トルク電流成分)Iqsを二乗し
た後、係数器43に入力するとσIqs 2が出力される。
さらに、除算器44によって、このσIqs 2を減算器4
1から出力された(I0 *−σIds)で除算した後、減算器
45によって、1次電流のd軸成分Idsから減ずると
(7)式の演算が行われ、励磁電流成分I0が出力され
る。
【0054】つづいて、1次電流のd軸成分Idsを係数
器46に入力すると、1次抵抗によるd軸の電圧降下分
が出力される。さらに、1次電流のd軸成分を指令値に
一致させるために、減算器47によって、励磁電流成分
指令I0 *と減算器45から出力された励磁電流成分I0
の偏差を求め、この偏差を増幅器48で増幅するととも
に、この増幅器48の出力と係数器46の出力を加算器
49により加算し、得られた信号を次式(16)で示され
る1次電圧のd軸成分指令Vds *として出力する。
【0055】
【数14】
【0056】一方、励磁電流成分指令I0 *を係数器50
に入力すると、(4)式の演算が行われ、1次磁束ベクト
ルのd軸成分指令Φds *が出力される。さらに、このΦ
ds *と1次磁束ベクトルの回転周波数の設定値ω*を乗算
器51によって乗算すると、ω*・Φds *が出力される。
また、トルク電流成分Iqsを係数器52に入力すると、
1次抵抗によるq軸の電圧降下分が出力される。
【0057】さらに、トルク電流成分Iqsを指令値に一
致させるために、減算器53によって、トルク電流成分
指令Iqs *とトルク電流成分Iqsの偏差を求め、この偏
差を増幅器54で増幅するとともに、この増幅器54の
出力と、乗算器51及び係数器52の出力を加算器55
により加算し、得られた信号を次式(17)で示される1
次電圧のq軸成分指令Vqs *として出力する。
【0058】
【数15】
【0059】次に、電流成分制御回路11aから出力さ
れた1次電圧のd軸成分指令Vds *とq軸成分指令Vqs *
及び第2の積分器10から出力された1次磁束ベクトル
の位相θを電圧指令演算回路12に入力すると、(14)
式の演算が行われ、1次電圧指令Vus *、Vvs *及びVws
*が出力される。さらに、PWMインバータ3によっ
て、誘導電動機1の1次電圧が上記の指令に一致するよ
うに制御される。
【0060】以上の動作によってI0 *=I0及びIqs *
qsが成り立つようにIds及びIqsが制御される。従っ
て、1次磁束のd軸成分Φdsが指令値に一致するととも
に、加算器9から出力される1次磁束ベクトルの設定値
ω*はω*=ωとなり、実際値と一致する。さらに、第2
の積分器10から出力される位相θは、1次磁束ベクト
ルの位相と一致する。その結果、誘導電動機1の発生ト
ルクτmはトルク指令τ* mに一致するように制御され
る。
【0061】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術に示した
誘導電動機のトルク制御装置においては、特に速度検出
器及び電圧(磁束)検出器を用いることなく、トルク制
御を行うことが可能となる。しかしながら、上記の制御
装置では、誘導電動機が低速で回転している場合に回生
動作を行おうとすると、制御系が不安定となり制御不能
となる問題点があった。
【0062】つまり、回生動作を行う場合は(12)式で
示されるすべり周波数ωsの符号は、誘導電動機の回転
周波数の推定値ω^mの符号と逆符号となる。特に低速
回転での回生動作を行おうとすると{ωS nearly equal
ω^m}の状態に近づき、(12)式で示されるとおり
1次磁束ベクトルの回転周波数の設定値ω*の絶対値は
{|ω*| nearly equal 0}となる。このとき1次電
流のq軸成分指令Iqs *とq軸成分Iqsの偏差の符号
は、力行動作で正常に制御が行えている場合の偏差の符
号とは逆符号となる。すなわち、IqsをIqs *に一致さ
せるべく誘導電動機の回転周波数の推定値を求め、(1
0b)式の演算によって1次電圧のq軸成分指令Vqs *
求めて制御を行っても、Iqs=Iqs *となる方向へ収束
せず、逆にIqs≠Iqs *となる方向へ発散してしまう。
このため、ω*=ωとなるよう制御できないことから、
1次周波数ωの演算が正常に行えず制御不能となる。以
上のことから、従来の制御装置では上記のように制御不
能とならないよう、誘導電動機の動作領域を低速回生動
作を除く領域に限定する必要があった。
【0063】この発明は上記のような問題点を解消する
ためになされたもので、特に速度検出器及び電圧(磁
束)検出器を用いることなく、低速回転かつ回生動作時
を含む広範囲の動作領域にわたって、高精度、高速応答
で常に安定したトルク制御性能を実現する誘導電動機の
トルク制御装置を提供することを目的とする。
【0064】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る誘
導電動機のトルク制御装置は、電流成分演算手段により
誘導電動機の1次電流を1次磁束ベクトルと同相の成分
(励磁電流成分)及び直交する成分(トルク電流成分)に分
解し、電流成分指令演算手段により誘導電動機が出力す
ベきトルクの指令信号及び誘導電動機の回転周波数の推
定値に基づいて1次電流の励磁電流成分指令及びトルク
電流成分指令を算出し、さらに、電流制御手段により、
上記の電流成分をそれぞれの電流成分指令に一致させる
ように誘導電動機の1次電流を制御し、かつ、速度誤差
推定手段により、上記トルク電流成分指令と上記トルク
電流成分及び上記励磁電流成分指令と上記励磁電流成分
に基づいて、上記1次磁束ベクトルの回転周波数の実際
値と制御演算に用いた上記1次磁束ベクトルの回転周波
数の設定値との誤差(速度誤差)を算出し、上記速度誤差
を第1の積分器により積分して上記誘導電動機の回転周
波数の推定値となして、上記誘導電動機の回転周波数を
求め、また、すべり周波数演算回路により、上記励磁電
流成分指令または上記励磁電流成分及び上記トルク電流
成分指令または上記トルク電流成分から上記誘導電動機
のすべり周波数を求め、加算器により、上記誘導電動機
の回転周波数の推定値と上記誘導電動機のすべり周波数
を加算して上記1次磁束ベクトルの回転周波数となし、
さらに、第2の積分器により上記1次磁束ベクトルの回
転周波数を積分して、上記1次磁束ベクトルの位相とな
して、上記1次磁束ベクトルの位相を演算することによ
り、高速応答で、かつ、安定性の高いトルク制御特性が
得られるものである。
【0065】請求項2の発明に係る誘導電動機のトルク
制御装置は、請求項1の上記速度誤差推定手段が、上記
トルク電流成分指令と上記トルク電流成分の偏差及び上
記励磁電流成分指令と上記励磁電流成分の偏差で表現さ
れる直交座標上の電流誤差ベクトルを座標変換して、上
記1次磁束ベクトルの回転周波数の実際値と制御演算に
用いた上記1次磁束ベクトルの回転周波数の設定値との
誤差(速度誤差)及び上記座標変換後の上記励磁電流成分
指令と上記励磁電流の偏差を出力し、さらに、上記電流
制御手段が上記偏差を入力として1次電流を制御するこ
とにより、低速回生動作時を含み、広範囲の動作領域に
わたって制御系を常に安定に保ち、高速応答のトルク制
御特性が得られるものである。
【0066】請求項3の発明に係る誘導電動機のトルク
制御装置は、上記速度誤差推定手段で行う上記1次磁束
ベクトルの回転周波数の実際値と制御演算に用いた上記
1次磁束ベクトルの回転周波数の設定値との誤差(速度
誤差)の推定演算を、上記トルク電流成分指令と上記ト
ルク電流成分の偏差及び上記励磁電流成分指令と上記励
磁電流成分の偏差で表現される直交座標上の電流誤差ベ
クトルを座標変換して行う際に、上記座標変換の変換位
相角を誘導電動機の力行・回生動作にて切り替えること
で、低速回生動作時を含み、広範囲の動作領域にわたっ
て常に安定かつ高精度、高速応答のトルク制御特性が得
られるものである。
【0067】請求項4の発明に係る誘導電動機のトルク
制御装置は、請求項4において、上記速度誤差推定手段
にて行う上記座標変換の上記変換位相角の切り替えを、
緩衝回路を通して行うことにより、切り替えの際の上記
変換位相角の変化の度合を抑制し、切り替え時に過渡的
に発生する振動、ショックを緩和するものである。
【0068】請求項5の発明に係る誘導電動機のトルク
制御装置は、請求項1において、上記速度誤差推定手段
の出力する上記速度誤差を、上記1次磁束ベクトルの回
転周波数の絶対値に応じて調節することにより、広範囲
の動作領域にわたって、等しい制御応答性を得るもので
ある。
【0069】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.以下、請求項1及び請求項2の発明に関
連する実施の形態を説明するのに先立ち、この発明の基
礎となる速度誤差の推定方法について説明する。
【0070】従来の技術における制御方式について説明
したとおり、1次電流のq軸成分指令Iqs *とq軸成分
qs及び1次電流のd軸成分指令Ids *とd軸成分Ids
に関して、Iqs *=IqsかつIds *=Idsが成り立つよう
な1次磁束ベクトルの回転周波数の設定値ω*を求めれ
ばω*=ωとなり、1次磁束ベクトルの回転周波数の実
際値ωを演算できる。しかし、Iqs *とIqsの偏差及び
ds *とIdsの偏差は、速度誤差が一定であっても、1
次磁束ベクトルの回転周波数の実際値ω及び発生トルク
τmの状態により変動する。これを図に示すと図4及び
図5のようになる。
【0071】図4は、誘導電動機が力行動作(定格出力
トルクτm100%)にて、ある一定の速度誤差Δω(=ω*
−ω)>0が存在する場合に、1次磁束ベクトルの回転
周波数ωを変化させながら、速度誤差に起因して1次電
流に発生する誤差をd−q座標軸上で電流誤差ベクトル
として表現したものである。すなわち、1次電流のq軸
成分指令Iqs *とq軸成分Iqsの偏差ΔIqs(=Iqs *
qs)が電流誤差ベクトルのq軸成分であり、1次電流
のd軸成分指令Ids *とd軸成分Idsの偏差ΔIds(=
ds *−Ids)が電流誤差ベクトルのd軸成分である。
同様に、図5は、誘導電動機が回生動作の場合のもので
ある。
【0072】図4のように、誘導電動機が力行動作の場
合は、電流誤差ベクトルは1次磁束ベクトルの回転周波
数ωにより変動するものの、そのd軸成分ΔIdsの変動
は小さくq軸成分ΔIqsの変動が主体的である。また、
d軸成分ΔIds、q軸成分ΔIqsのいずれについても1
次磁束ベクトルの回転周波数ωの変化に応じて符号が反
転することはなく、その符号は速度誤差Δωの符号の逆
である。これは、制御系において速度誤差の推定演算に
関わる信号が常に負帰還であり、制御系が安定となるよ
う作用することを示す。
【0073】一方、図5のように、誘導電動が回生動作
の場合、電流誤差ベクトルは1次磁束ベクトルの回転周
波数ωにより変動し、そのd軸成分ΔIdsの変動及びq
軸成分ΔIqsの変動は、ともに図4の場合に比較して大
きい。また、1次磁束ベクトルの回転周波数ωの変化に
応じて、d軸成分ΔIds・q軸成分ΔIqsの符号が反転
する箇所が存在し、その符号は速度誤差Δωの符号と同
一の場合と逆の場合が存在する。これは、制御系におい
て速度誤差の推定演算に関わる信号が正帰還となる場合
と負帰還となる場合が混在することを示す。正帰還とな
るのは1次磁束ベクトルの回転周波数ωが低い場合であ
る。また、電流誤差ベクトルの軌跡は原点を通過する
が、このとき、速度誤差による電流誤差は発生しない。
【0074】ここで、回生動作において速度誤差の推定
演算に関わる信号が正帰還となり速度誤差の推定演算が
発散して制御系が不安定となることが問題となる。この
問題を解決するためには、速度誤差を電流誤差ベクトル
に基づいて推定演算する場合に、電流誤差ベクトルのd
軸成分ΔIds及びq軸成分ΔIqsの符号の反転に関して
なんらかの対策を講じ、正帰還とならないようにする必
要がある。
【0075】そこで、本発明においては、d−q座標軸
上で表された電流誤差ベクトルを座標変換し、座標変換
後の電流誤差ベクトルに基づいて速度誤差の推定演算を
行うことで、上記の問題点を解消する。
【0076】さて、図4、図5より、ある一定の速度誤
差Δω(=ω*−ω)>0が存在する場合に、制御系が
常に安定と成るべく上記電流誤差ベクトルが存在して欲
しい領域(以降、「望ましい領域」と呼ぶ)は図6のよう
に表される。しかし、上記のように、回生動作において
は、電流誤差ベクトルは、この「望ましい領域」の外に
存在しうる。そこで図7に示すように、座標変換により
「望ましい領域」を拡大することを考える。
【0077】図7において、d軸、q軸は座標変換前の
座標軸であり、d’軸、q’軸は座標変換後の座標軸で
ある。またψは座標変換の変換位相角である。電流誤差
ベクトルは、誘導電動機の回転周波数や発生トルクなど
各動作点に応じて変化する。そこで変換位相角ψは、所
望する誘導電動機の動作範囲内において、いずれの動作
点においても制御系が常に安定に保たれるように、電流
誤差ベクトルが「望ましい領域」内に存在すべく決定さ
れる。上記の座標変換により、1次電流のd軸成分指令
ds *とd軸成分Idsの偏差ΔIds、1次電流のq軸成
分指令Iqs *とq軸成分Iqsの偏差ΔIqsは、次式(18
a),(18b)のように、ΔI’ds、ΔI’qsに変換さ
れる。
【0078】
【数16】
【0079】この座標変換後の電流誤差ベクトルに基づ
いて、速度誤差の推定演算を行うことにより、推定演算
に使用する信号は力行・回生動作を問わず、いずれの動
作点においても正帰還とはならないため、制御系を安定
に保つことが可能となる。
【0080】以下、請求項1及び請求項2の発明に関連
する実施の形態1について、図を用いて説明する。図1
は、実施の形態1による誘導電動機のトルク制御装置の
構成を示すブロック図である。
【0081】図1において、電流成分制御回路11b、
速度誤差推定手段13が、本実施の形態1の新規な構成
である。なお、1は誘導電動機、2は電流検出器、3は
PWMインバータ、4は電流成分指令演算手段、5は電
流成分演算手段、6はすべり周波数演算回路、8,10
は積分器、9は加算器、12は電圧指令演算回路であ
り、図13の構成と同様である。また、電流制御手段
は、電流成分制御回路11b、電圧指令演算回路12及
びPWMインバータ3から構成されている。
【0082】図2は、電流成分制御回路11bの詳細な
構成を示すブロック図である。図2において、56は加
算器である。尚、図2において、図16と同一符号は、
同一または相当部分を示す。
【0083】図3は速度誤差推定手段13の詳細な構成
を示すブロック図である。図3において、60、63は
係数器、61、66、67、72及び75は減算器、6
5は加算器、62、70、71、73及び74は乗算
器、64は除算器、68は余弦関数器、69は正弦関数
器である。
【0084】次に、実施の形態1の誘導電動機のトルク
制御装置の動作について説明する。まず、誘導電動機1
のトルク指令τm及び第1の積分器8から出力された誘
導電動機1の回転周波数の推定値ω^mを電流成分指令
演算手段4に入力すると、励磁電流成分指令I0 *及びト
ルク電流成分指令Iqs *が出力される。
【0085】また、電流検出器2によって検出された1
次電流Ius(U相)、Ivs(V相)及び第2の積分器10か
ら出力された1次磁束ベクトルの位相θを電流成分演算
手段5に入力すると、1次電流のd軸成分Ids及びq軸
成分Iqsが出力される。
【0086】つづいて、電流成分指令演算手段4から出
力された励磁電流成分指令I0 *とトルク電流成分指令I
qs *、電流成分演算手段5から出力された1次電流のd
軸成分Idsとq軸成分(トルク電流成分)Iqs及び予め設
定された電流誤差ベクトルの座標変換における変換位相
角ψを速度誤差推定手段13に入力すると、1次磁束ベ
クトルの回転周波数の実際値ωと制御演算に用いた設定
値(推定値)ω*との誤差(速度誤差)Δω及び座標変換後
の1次電流のd’軸成分の偏差ΔI’dsが出力される。
【0087】具体的には、図3に示すように、励磁電流
成分指令I0 *とトルク電流成分指令Iqs *、1次電流の
d軸成分Idsとq軸成分(トルク電流成分)Iqs、及び変
換位相角ψを速度誤差推定手段13に入力する。そうす
ると、まず、1次電流のd軸成分Idsを係数器60に入
力して得られた信号を減算器61によって、励磁電流成
分指令I0 *から減じてI0 *−σIdsが出力される。つづ
いて、乗算器62によってq軸電流成分(トルク電流成
分)Iqsを二乗した後、係数器63に入力するとσIqs 2
が出力される。さらに、除算器64によって、このσI
qs 2を減算器61から出力されたI0 *−σIdsで除算し
た後、加算器65によって励磁電流成分指令I0 *を加算
すると、1次電流のd軸成分指令Ids *が出力される。
つづいて、減算器66によって、1次電流のd軸成分指
令Ids *からd軸成分Idsを減ずると、1次電流のd軸
成分の偏差ΔIdsが出力される。また、減算器67によ
り1次電流のq軸成分指令Iqs *からq軸成分Iqsを減
ずると、1次電流のq軸成分の偏差ΔIqsが出力され
る。
【0088】次に、変換位相角ψを余弦関数器68に入
力すると、余弦関数値cosψが出力される。さらに余
弦関数器68の出力と減算器66の出力を乗算器73に
入力するとΔIds・cosψが出力される。また、余弦
関数器68の出力と減算器67の出力を乗算器71に入
力するとΔIqs・cosψが出力される。次に、正弦関
数器69の出力と減算器66の出力を乗算器70に入力
するとΔIds・sinψが出力される。また、正弦関数
器69の出力と減算器67の出力を乗算器74に入力す
るとΔIqs・sinψが出力される。
【0089】つづいて、減算器75により、乗算器73
の出力から乗算器74の出力を減ずると、(18a)式に
基づく座標変換後の1次電流のd’軸成分の偏差ΔI’
dsが求まる。また、減算器72により、乗算器71の出
力から乗算器70の出力を減ずると、(18b)式に基づ
く座標変換後の1次電流のq’軸成分の偏差ΔI’qs
求まる。ここでq’軸成分の偏差ΔI’qsを、1次磁束
ベクトルの回転周波数の実際値ωと制御演算に用いた設
定値(推定値)ω*との誤差(速度誤差)Δωとする。
【0090】次に、この速度誤差Δωを第1の積分器8
に入力すると、誘導電動機1の回転周波数の推定値ω^
mが出力される。ここで、第1の積分器8のゲインK
は、加減速運転中においても上記の速度誤差Δωが十分
小さくなるように設定される。
【0091】つづいて、電流成分指令演算手段4から出
力されたトルク電流成分指令Iqs *、電流成分演算手段
5から出力された1次電流のd軸成分Ids及びq軸成分
qsをすベり周波数演算回路6に入力すると、すベり周
波数ωsが出力される。
【0092】つづいて、第1の積分器8の出力ω^m
すべり周波数演算回路6の出力ωsを加算器9によって
加算すると、(12)式の演算が行われ、1次磁束ベクト
ルの回転周波数の設定値ω*が求められる。さらに、こ
の1次磁束ベクトルの回転周波数の設定値ω*を第2の
積分器10に入力すると、1次磁束ベクトルの位相θが
出力される。
【0093】次に、電流成分指令演算手段4から出力さ
れた励磁電流成分指令I0 *及びトルク電流成分指令Iqs
*、加算器9から出力された1次磁束ベクトルの回転周
波数の設定値ω*、速度誤差推定手段13から出力され
た座標変換後の1次電流のd’軸成分の偏差ΔI’ds
電流成分演算手段5から出力された1次電流のd軸成分
ds及びq軸成分Iqsをそれぞれ、電流成分制御回路1
1bに入力すると、1次電圧のd軸成分指令Vds *及び
q軸成分指令Vqs *が出力される。
【0094】具体的には、図2に示すように、1次電流
のd軸成分Idsを係数器40に入力して得られた信号
を、減算器41によって励磁電流成分指令I0 *から減ず
ると、I0 *−σIdsが出力される。つづいて、乗算器4
2によってq軸電流成分(トルク電流成分)Iqsを二乗し
た後、係数器43に入力するとσIqs 2が出力される。
さらに、除算器44によって、このσIqs 2を減算器4
1から出力されたI0 *−σIdsで除算した後、加算器5
6によって、励磁電流成分指令と加算され、1次電流の
d軸成分指令Ids *が出力される。
【0095】つづいて、1次電流のd軸成分指令Ids *
を係数器46に入力すると、1次抵抗によるd軸の電圧
降下分が出力される。さらに、1次電流のd軸成分を指
令値に一致させるために、座標変換後の1次電流のd’
軸成分の偏差ΔI’dsを増幅器48で増幅するととも
に、この増幅器48の出力と係数器46の出力を加算器
49により加算して得られた信号を、下記の式(19)
で示される1次電圧のd軸成分指令Vds *として出力す
る。
【0096】
【数17】
【0097】一方、励磁電流成分指令を係数器50に入
力すると、(4)式の演算が行われ、1次磁束のd軸成分
指令Φds *が出力される。さらに、このΦds *と1次磁束
ベクトルの回転周波数の設定値ω*を乗算器51によっ
て乗算するとω*・Φds *が出力される。また、トルク電
流成分Iqsを係数器52に入力すると、1次抵抗による
q軸の電圧降下分が出力される。
【0098】さらに、トルク電流成分を指令値Iqsに一
致させるために、減算器53によって、トルク電流成分
指令Iqs *とトルク電流成分Iqsの偏差を求め、この偏
差を増幅器54で増幅するとともに、この増幅器54の
出力と、乗算器51及び係数器52の出力を加算器55
により加算して得られた信号を、次式(20)で示される
1次電圧のq軸成分指令Vqs *として出力する。
【0099】
【数18】
【0100】次に、電流成分制御回路11bから出力さ
れた1次電圧のd軸成分指令Vds *と、q軸成分指令V
qs *、及び第2の積分器10から出力された1次磁束ベ
クトルの位相θを、電圧指令演算回路12に入力する
と、1次電圧指令であるVus *、Vvs *及びVws *が出力
される。さらに、PWMインバータ3によって、誘導電
動機1の1次電圧が上記の指令に一致するように制御さ
れる。
【0101】以上の動作にしたがって、I0 *=I0及び
qs *=Iqsが成り立つようにIds及びIqsが制御され
る。従って、1次磁束のd軸成分Φdsが指令値に一致す
ると共に、加算器9から出力される1次磁束ベクトルの
回転周波数の設定値ω*は、その実際値と一致する。さ
らに、第2の積分器10から出力される位相θは、1次
磁束ベクトルの位相と一致する。その結果、誘導電動機
1の発生トルクτmはトルク指令τ* mに一致するように
制御される。
【0102】実施の形態2.次に、請求項3及び請求項
4の発明に関連する実施の形態2を、図に基づいて説明
する。
【0103】図8は、本実施の形態2による誘導電動機
のトルク制御装置の構成を示すブロック図である。尚、
図中、従来のもの及び図1と同一符号は、同一または相
当部分を示すため説明を省略する。
【0104】図8において、14は位相角選択回路、1
5は位相角緩衝回路である。ここで、電流制御手段は、
電流成分制御回路11b、電圧指令演算回路12及びP
WMインバータ3から構成されている。
【0105】図8で示される誘導電動機のトルク制御装
置の構成は、図1で示される実施の形態1での誘導電動
機のトルク制御装置の構成に、位相角選択回路14と位
相角緩衝回路15を加えたものである。
【0106】図9は位相角選択回路14の詳細な構成を
示すブロック図である。図9において、80は符号判定
器、81は選択スイッチである。図10は位相角緩衝回
路15の構成を示すブロック図である。図10におい
て、82は1次遅れ回路である。
【0107】次に、実施の形態2の誘導電動機のトルク
制御装置の動作について説明する。まず、誘導電動機1
のトルク指令τm *、予め設定された誘導電動機1が力行
動作の場合の変換位相角ψP及び回生動作の場合の変換
位相角ψRを位相角選択回路14へ入力すると、ψP、ψ
Rのいずれかが選択され、ψとして出力される。
【0108】具体的には、図9において、トルク指令τ
m *を符号判定器80に入力すると、τm *の符号により力
行動作と回生動作の別が判定され、力行動作の場合は1
が、回生動作の場合は−1が出力される。
【0109】続いて、符号判定器80の出力を選択スイ
ッチ81へ入力すると、位相角ψとして、入力が1の場
合にはψPが、−1の場合にはψRが出力される。次に、
位相角緩衝回路15に位相角ψを入力すると、1次遅れ
回路82により上記のψPとψRの切り替えが発生した際
のψの変化率を抑制したがψ’出力される。このψ’を
速度誤差推定手段13に入力して実施の形態1に説明し
た動作が行われる。
【0110】実施の形態3.図1及び図2で示されるよ
うに、一定の速度誤差Δω(=ω*−ω)が存在する場
合に、速度誤差に起因して発生する電流誤差の絶対量
は、1次磁束ベクトルの回転周波数により変動する。そ
こで、図1における第1の積分器8の入力を1次磁束ベ
クトルの回転周波数に応じて調節する。
【0111】以下、請求項5の発明に関連する実施の形
態3を図に基づいて説明する。図11は、本実施の形態
による誘導電動機のトルク制御装置の構成を示すブロッ
ク図である。尚、図中、従来のもの及び図1と同一符号
は、同一または相当部分を示すため説明を省略する。
【0112】図11において、16は回転周波数推定演
算回路である。ここで、電流制御手段は、電流成分制御
回路11b、電圧指令演算回路12及びPWMインバー
タ3から構成されている。
【0113】図11で示される誘導電動機のトルク制御
装置の構成は、図1で示される実施の形態1の誘導電動
機のトルク制御装置の構成において、第1の積分器8の
代わりに回転周波数推定演算回路16を用いたものであ
る。
【0114】図12は回転周波数推定演算回路16の詳
細な構成を示すブロック図である。図12において、9
0は絶対値回路、91は関数発生器、92は乗算器、9
3は積分器である。
【0115】次に実施の形態3の誘導電動機のトルク制
御装置の動作について説明する。まず、加算器9から出
力される1次磁束ベクトルの回転周波数の設定値ω*
絶対値回路90に入力すると、絶対値|ω*|が出力さ
れる。さらに、この絶対値|ω*|を関数発生器91に
入力すると、|ω*|に応じて速度誤差Δωを調節する
ための調節係数(ゲイン)が出力される。さらに、この調
節係数(ゲイン)と速度誤差Δωが乗算器92により乗算
され、さらに積分器93へ入力されると、誘導電動機1
の回転周波数の推定値ω^mが出力される。ここで、積
分器93のゲインKは、加減速運転中においても上記の
速度誤差Δωが十分小さくなるように設定される。以上
により、広範囲の動作領域にわたって、等しい制御応答
性を得ることができる。
【0116】実施の形態4.上記の実施の形態1〜3で
は、電流成分演算手段5から出力された1次電流のq軸
成分(トルク電流成分)Iqsを用いて、すベり周波数ωs
の演算を行ったが、第1の積分器8によってIqsは電流
成分指令演算手段4から出力されたトルク電流成分指令
qs *に一致するように制御される。従ってIqsの代わ
りにIqs *を用いてすベり周波数ωsの演算を行うように
してもよい。
【0117】実施の形態5.上記の実施の形態1〜4で
は、電流成分制御回路11bにて、1次抵抗によるd軸
の電圧降下分については1次電流のd軸成分指令Ids *
を用いて、q軸の電圧降下分については1次電流のq軸
成分Iqsを用いて演算したが、電流制御手段により1次
電流のd軸成分IdsはIds *に、Iqsは1次電流のq軸
成分指令Iqs *に一致するよう制御される。したがっ
て、Ids *の代わりにIdsを、Iqsの代わりにIqs *を用
いて、それぞれの電圧降下分を演算するようにしてもよ
い。
【0118】実施の形態6.尚、実施の形態3で説明し
た構成は、実施の形態2で説明した構成と相互に組み合
わせて用いることが可能である。また、上記実施の形態
でハードウェアによって構成したものについては、マイ
クロコンピュータを用いたソフトウェア処理によって実
現してもよい。
【0119】
【発明の効果】以上のように、請求項1〜請求項4記載
の発明によれば、誘導電動機の1次磁束ベクトルと同相
である1次電流の励磁電流成分の指令と実際値の偏差及
び1次磁束ベクトルと直交する1次電流のトルク電流成
分の指令と実際値の偏差とから表現される電流誤差ベク
トルに対して、座標変換を行い、座標変換後のトルク電
流成分の偏差を用いて制御に使用する誘導電動機の回転
周波数の推定演算を行うよう構成したことにより、電流
検出器を用いることなく、従来は不安定となり制御不可
能であった低速回転−回生動作域を含む広範囲の動作領
域にわたって、常に安定で、高精度、高速応答のトルク
制御特性が得られる効果がある。
【0120】請求項5の発明によれば、制御に使用する
誘導電動機の回転周波数の推定演算を行う構成におい
て、推定演算の入力信号である速度誤差(誘導電動機の
1次磁束ベクトルの回転周波数の実際値と制御演算に用
いた設定値の偏差)を、1次磁束ベクトルの回転周波数
の設定値で調整することにより、回転周波数に依らず均
一な制御応答性が得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1の誘導電動機のトル
ク制御装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】 この発明の実施の形態1の電流成分制御回路
の構成を示すブロック図である。
【図3】 この発明の実施の形態1の速度誤差推定手段
の構成を示すブロック図である。
【図4】 この発明の実施の形態1の動作原理説明図で
ある。
【図5】 この発明の実施の形態1の動作原理説明図で
ある。
【図6】 この発明の実施の形態1の動作原理説明図で
ある。
【図7】 この発明の実施の形態1の動作原理説明図で
ある。
【図8】 この発明の実施の形態2の誘導電動機のトル
ク制御装置の全体構成を示すブロック図である。
【図9】 この発明の実施の形態2の位相角選択回路の
構成を示すブロック図である。
【図10】 この発明の実施の形態2の位相角緩衝回路
の構成を示すブロック図である。
【図11】 この発明の実施の形態3の誘導電動機のト
ルク制御装置の全体構成を示すブロック図である。
【図12】 この発明の実施の形態3の回転周波数推定
演算回路の構成を示すブロック図である。
【図13】 従来の誘導電動機のトルク制御装置の全体
構成を示すブロック図である。
【図14】 従来の誘導電動機のトルク制御装置の電流
成分指令演算手段の構成を示すブロック図である。
【図15】 従来の誘導電動機のトルク制御装置のすべ
り周波数演算回路の構成を示すブロック図である。
【図16】 従来の誘導電動機のトルク制御装置の電流
成分制御回路の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 誘導電動機、2 電流検出器、3 PWMインバー
タ、4 電流成分指令演算手段、5 電流成分演算手
段、6 すべり周波数演算回路、7, 35, 41, 4
5, 47, 53, 61, 66, 67, 72, 75 減算
器、8 第1の積分器、9, 33, 49, 55, 56,
65 加算器、10 第2の積分器、11b電流成分制
御回路、12 電圧指令演算回路、13 速度誤差推定
手段、14位相角選択回路、15 位相角緩衝回路、2
0, 90 絶対値回路、21, 91 関数発生器、2
2, 24, 30, 32, 34, 36, 40, 43, 4
6, 50, 52, 60, 63 係数器、23, 37, 4
4, 64 除算器、31 微分器、42, 51, 62,
70, 71, 73, 74, 92 乗算器、48, 54増
幅器、68 余弦関数器、69 正弦関数器、80 符
号判定器、81 選択スイッチ、82 1次遅れ回路、
93 積分器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02P 7/63 H02P 21/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘導電動機と、 上記誘導電動機が出力すベきトルクの指令信号を入力
    し、上記誘導電動機の1次磁束ベクトルと同相の励磁電
    流成分指令と上記1次磁束ベクトルに直交するトルク電
    流成分指令を演算する電流成分指令演算手段と、 上記誘導電動機の1次電流を検出する電流検出器と、 上記1次電流と上記1次磁束ベクトルの位相に基づいて
    上記誘導電動機の励磁電流成分及びトルク電流成分を演
    算する電流成分演算手段と、 上記トルク電流成分指令と上記トルク電流成分及び上記
    励磁電流成分指令と上記励磁電流成分を入力し、上記1
    次磁束ベクトルの回転周波数の実際値と制御演算に用い
    た上記1次磁束ベクトルの回転周波数の設定値との誤差
    (速度誤差)を演算する速度誤差推定手段と、 上記速度誤差推定手段から出力される上記速度誤差を積
    分し、上記誘導電動機の回転周波数となす第1の積分器
    と、 上記電流成分指令演算手段の出力及び上記電流成分演算
    手段の出力に基づいて上記誘導電動機のすベり周波数を
    演算するすべり周波数演算回路と、 上記誘導電動機の回転周波数と上記すベり周波数を加算
    して得られた信号を上記1次磁束ベクトルの回転周波数
    の設定値となす加算器と、 上記1次磁束ベクトルの回転周波数の設定値を積分して
    得られた信号を上記1次磁束ベクトルの位相となす第2
    の積分器と、 上記励磁電流成分及び上記トルク電流成分がそれぞれ上
    記励磁電流成分指令及び上記トルク電流成分指令に追従
    するように上記誘導電動機の1次電流を制御する電流制
    御手段とを備えたことを特徴とする誘導電動機のトルク
    制御装置。
  2. 【請求項2】 上記速度誤差推定手段が、上記トルク電
    流成分指令と上記トルク電流成分の偏差及び上記励磁電
    流成分指令と上記励磁電流成分の偏差で表現される直交
    座標上の電流誤差ベクトルを座標変換し、速度誤差及び
    座標変換後の上記励磁電流成分指令と上記励磁電流成分
    の偏差を出力すると共に、 上記電流制御手段が、上記速度誤差推定手段が出力する
    上記座標変換後の上記励磁電流成分指令と上記励磁電流
    成分の偏差を入力することを特徴とする請求項1記載の
    誘導電動機のトルク制御装置。
  3. 【請求項3】 上記速度誤差推定手段において、上記電
    流誤差ベクトルに対して座標変換を行う際の変換位相角
    を、上記誘導電動機の力行動作、回生動作にて切り替え
    る位相角選択回路を備えることを特徴とする請求項2記
    載の誘導電動機のトルク制御装置。
  4. 【請求項4】 上記位相角選択回路が出力する上記変換
    位相角を入力し、上記位相角切り替えの際の位相角の変
    化の度合いを抑制して出力する位相角緩衝回路を備える
    ことを特徴とする請求項3記載の誘導電動機のトルク制
    御装置。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の誘導電動機のトルク制御
    装置において、 上記速度誤差推定手段が出力する上記速度誤差と上記1
    次磁束ベクトルの回転周波数の設定値を入力し、上記回
    転周波数に応じて上記速度誤差を調節し、調節後の速度
    誤差を積分して上記誘導電動機の回転周波数となす回転
    周波数推定演算回路を備えたことを特徴とする誘導電動
    機のトルク制御装置。
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