JP2008011625A - 誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置とその制御方法 - Google Patents

誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置とその制御方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2008011625A
JP2008011625A JP2006178128A JP2006178128A JP2008011625A JP 2008011625 A JP2008011625 A JP 2008011625A JP 2006178128 A JP2006178128 A JP 2006178128A JP 2006178128 A JP2006178128 A JP 2006178128A JP 2008011625 A JP2008011625 A JP 2008011625A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
motor
command value
value
speed
magnetic flux
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006178128A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoichi Yamamoto
陽一 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yaskawa Electric Corp
Original Assignee
Yaskawa Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yaskawa Electric Corp filed Critical Yaskawa Electric Corp
Priority to JP2006178128A priority Critical patent/JP2008011625A/ja
Publication of JP2008011625A publication Critical patent/JP2008011625A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Motor And Converter Starters (AREA)
  • Control Of Ac Motors In General (AREA)

Abstract

【課題】 素早く、かつ、円滑な始動が実現できる速度センサレスベクトル制御装置とその制御方法を提供する。
【解決手段】 電流制御器3と、PWM制御インバータ2と、第1の電動機磁束と第1の電動機速度を推定演算して出力する同一次元磁束オブザーバ4、速度推定機構7と、滑り算出器5と、1次周波数指令値を出力する加算器17と、電動機磁束位相を出力する積分器11と、第2の電動機速度を推定演算して出力する速度推定器30と、第2の電動機磁束を推定演算して出力する電流モデル式磁束演算器31と、上記2つの電動機磁束位相推定値を加算して新たな電動機磁束推定値を出力する加算器36,37を備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置に係り、始動を素早く、かつ、円滑に開始できるよう工夫したものである。
誘導電動機の高性能な速度制御方式として、滑り周波数制御形のベクトル制御方法が普及し、これを速度センサなしで制御する速度センサレスベクトル制御方法が知られている。
同一次元磁束オブザーバと速度適応機構とからなる速度適応2次磁束オブザーバによって誘導電動機の実速度の推定を行なう速度センサレスベクトル制御方式については、「電気学会論文誌D,111巻11号,平成3年」(久保田、尾崎、松瀬、中野:「適応2次磁束オブザーバを用いた誘導電動機の速度センサレス直接形ベクトル制御」)に掲載されている。
まず、誘導電動機の電動機速度の推定について簡単に説明をする。
1次周波数ω1で回転する回転座標系(d−q軸)で表わした誘導電動機の電圧方程式は、次の(1)式で与えられる。
但し、
1d,v1q…回転座標系(d−q軸)の1次励磁軸電圧,1次トルク軸電圧
1d,i1q…回転座標系(d−q軸)の1次励磁軸電流,1次トルク軸電流
Φ2d,Φ2q…回転座標系(d−q軸)の2次励磁軸磁束,2次トルク軸磁束
ω1 …………1次周波数
ωr …………電動機速度
ωs …………滑り角周波数
1 ,R2 …1次,2次抵抗
1 ,L2,M …1次,2次,相互(励磁)インダクタンス
l…………漏れインダクタンス (l=(L1 2 −M2 )/L2
p …………微分演算子
また、1次周波数ω1、電動機速度ωr、滑り角周波数指令値ωs*の関係、及び滑り角周波数指令値ωs*の算出は次の(2)式で表わされる。
ω1=ωr+ωs*、
ωs* =i1d* /i1q*・T2 …………(2)
但し、T2 …………2次回路時定数(T2 =L2 /R2
添字(*)…指令値あるいは設定値を表わす。
いま、
1d*= 一定 ……………(3)
として、上記(1)式において、(2),(3)式の条件のもとに回転座標系(d−q軸)で表した1次電圧指令値(v1d*,v1q*)は、次の(4)式となる。
上記(4)式を満足するように制御すると、回転座標系(d−q軸)上の1次電流検出値i1は1次電流指令値i1*(i1d*,i1q*)通りの電流が流れ、2次磁束Φ2(Φ2d,Φ2q)は、
Φ2d=Mi1d(一定),Φ2q=0 …………(5)
に保たれる。
これにより、誘導電動機の発生トルクτは、
τ=M/L2 ・(Φ2d・i1q−Φ2q・i1d)=M2 /L2 ・(i1d・i1q) ………(6)
となり、回転座標系(d−q軸)上で2次磁束Φ2(Φ2d,Φ2q)と2次電流i2(i2d,i2q)に無関係な非干渉化されたベクトル制御が成立する。
速度センサを用いない場合は速度適応2次磁束オブザーバを用い、上記(5)式を満足するような2次磁束Φ2(Φ2d,Φ2q)を推定し、誘導電動機の1次電流(相電流)iu ,iv ,iw を検出し、変換した静止座標系(a−b軸)上の1次電流検出値i1(i1a,i1b)とする。この1次電流検出値i1と、静止座標系(a−b軸)上の1次電圧指令値v1*(v1a*,v1b*)と、速度推定値ωr^(この場合の^マークは推定値を表す記号である)とを入力として、速度適応2次磁束オブザーバの構成要素である磁束オブザーバにより、2次磁束推定値Φ2^(Φ2a^,Φ2b^)と1次電流推定値i1^(i1a^,i1b^)とを推定し、速度適応2次磁束オブザーバのもう1つの構成要素である速度適応機構で1次電流推定値i1^(i1a^,i1b^)と1次電流検出値i1(i1a,i1b)とを比較した推定誤差信号(i1−i1^)に基づき、次の(7)式で表わされる適応調整則により電動機速度を演算推定する。
ωr^=Kp (eiaΦ2b^−eibΦ2a^)+KI ∫(eiaΦ2b^−eibΦ2a^)dt …(7)
但し、推定誤差 eia=i1a−i1a^、 ib=i1b−i1b
p :速度推定部比例ゲイン、 KI :速度推定部積分ゲイン
次に、上記速度適応2次磁束オブザーバを使用した従来の速度センサレスベクトル制御方式を、特許文献1により、図5を参照して説明する。
電流制御を行うディジタル電流制御器103において、1次電流指令値i1*(i1d*,i1q*)と1次電流検出値i1(i1d,i1q)が比較され、i1q*=i1q及びi1d*=i1dとなるようにPWM制御インバータ102を制御する1次電圧指令値v1*(v1d*,v1q*)が上記(4)式により演算される。
ディジタル電流制御器103の出力である、1次電圧指令値v1*(v1d*,v1q*)は、座標変換器109により静止座標系(a−b軸)上の1次電圧指令値v1*(v1a*,v1b*)に変換された後、2相−3相変換器115により変換されて、PWM制御インバータ102の、三相各相の1次電圧制御指令電圧vu*,vv*,vw*に変換され、PWM制御インバータ102の出力電圧を制御する。その結果、誘導電動機101は所望のトルク軸電流指令値i1q*に応じてトルク制御される。
また、1次周波数ω1で回転する回転座標系(d−q軸)と、誘導電動機101の固定子に固定された静止座標系(a−b軸)との間の変換を行なう座標変換器108,109に使用される単位ベクトル(sinθ0,cosθ0)を作り出すための基本位相角θ0(θ0=ω1・t)は、上記(2)式を基に、滑り算出器105で1次励磁軸電流指令値i1d*、1次トルク軸電流指令値i1q*、及び誘導電動機101の2次回路時定数T2(=L2/R2)より求められる滑り角周波数指令値ωs*と、後述する減算器124出力である修正電動機速度推定値ωr^’を加算器117に送出して、加算器117出力として得た1次周波数ω1を、基本位相角算出用積分器111で積分することによって求める。
(修正電動機速度推定値ωr^’の演算方法の説明は省略している。)
誘導電動機101の実際の電動機速度ωrは、上述したように、上記(7)式により演算する速度適応機構107と、磁束オブザーバ104からなる速度適応2次磁束オブザーバを使用して推定する。そして、実際の電動機速度ωrを推定する過程における、電動機速度推定値ωr^の「遅れ」によって生じる1次周波数ω1のずれを修正するために、磁束オブザーバ104により推定した静止座標系(a−b軸)上の2次磁束推定値Φ2^(Φ2a^,Φ2b^)を座標変換器110で回転座標系(d−q軸)上の2次磁束Φ2^(Φ2d^,Φ2q^)に座標変換する。このうち、2次励磁軸磁束推定値Φ2d^が減算器123に入力される。
また、特許文献2には、始動からの時間関数で始動補償用の一次角周波数ω1を与えることによって、正の滑り角周波数を得る方式が、特許文献3には、運転開始後の所定時間だけ磁束指令を修正することで零速度からの運転を円滑に開始できる方式が提案されている。
特開平08−84499号公報(段落番号[0005]〜[0041]及び、図1) 特開平09−149667号公報(段落番号[0026]〜[0039]) 特開2005−12856号公報
一般に、1次電圧指令値と実際のモータ電圧値との間には誤差があり、特に出力電圧の低い低速度領域ほど誤差の割合が大きくなる。この電圧誤差に起因して2次磁束推定値にその振幅、位相に誤差が生じる。この結果、電動機速度推定値や電動機磁束位相に誤差が生じ、素早く、円滑な始動動作ができにくい。特許文献1では、2次磁束が確立するまでの状態把握が困難なため、誘導電動機を始動した時点から、モータ2次磁束が確立する遅延時間が経過した以降から、推定速度の修正演算を行うように工夫している。このため、始動開始直後には推定速度の修正が行えないため、円滑な始動の対策にはならない。また、特許文献2では、始動時に補償用の1次角周波数を任意の時間関数により与えて始動を補償しているが、始動時に発生する誘導電動機トルクは指令方向と同じという前提としているので、負荷に引っ張られて始動することがある機械には適用できないという問題があった。さらに、特許文献3では、運転開始からの磁束を弱める方向に修正しているので、トルク不足で素早い始動が難しいという問題があった。
そこで、本発明は、上記従来技術に鑑み、低速でも始動を素早く、かつ、円滑に開始できる誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置とその制御方法を提供することを目的としている。
上記問題を解決するため、請求項1に記載の発明は、1次電流指令値と1次電流検出値と1次周波数指令値を入力し、1次電圧指令値を出力する電流制御器と、前記電流制御器の出力である前記1次電圧指令値を基に誘導電動機に電圧を出力するPWM制御インバータと、前記1次電流検出値と前記1次電圧指令値を入力し、第1の電動機磁束と第1の電動機速度を推定演算して出力する同一次元磁束オブザーバ、速度推定機構と、前記1次電流指令値の励磁軸成分とトルク軸成分を基に該電動機の滑り周波数指令値を演算し出力する滑り算出器と、前記滑り算出器の出力である滑り角周波数指令値に前記第1の電動機速度推定値を加算して前記電流制御器の制御入力である1次周波数指令値を前記電流制御器へ出力する加算器と、前記1次周波数指令値を積分して電動機磁束位相を出力する積分器とを具備する誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置において、トルク指令値あるいは前記1次電流指令値のトルク軸成分値と前記第1の電動機速度推定値を入力とし、第2の電動機速度を推定演算して出力する速度推定器と、第2の電動機速度推定値と前記1次電流検出値を入力し、第2の電動機磁束を推定演算して出力する電流モデル式磁束演算器と、上記2つの電動機磁束推定値を加算して新たな電動機磁束推定値を前記速度推定機構へ出力する加算器を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項2に記載の発明は、1次電流指令値と1次電流検出値と1次周波数指令値を入力し、1次電圧指令値を出力する電流制御器と、前記電流制御器の出力である前記1次電圧指令値を基に誘導電動機に電圧を出力するPWM制御インバータと、前記1次電流検出値と前記1次電圧指令値を入力し、第1の電動機磁束と電動機磁束位相を推定演算して出力する同一次元磁束オブザーバ、速度推定機構と、前記1次電流指令値の励磁軸成分とトルク軸成分を基に該電動機の滑り周波数指令値を演算し出力する滑り算出器と、前記電動機磁束位相の微分情報から前記滑り算出器の出力である滑り角周波数指令値を減算して第1の電動機速度推定値を出力する減算器とを具備する誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置において、トルク指令値あるいは前記1次電流指令値のトルク軸成分値と前記第1の電動機速度推定値を入力とし、第2の電動機速度を推定演算して出力する速度推定器と、第2の電動機速度推定値と前記1次電流検出値を入力し、第2の電動機磁束を推定演算して出力する電流モデル式磁束演算器と、上記2つの電動機磁束推定値を加算して新たな電動機磁束推定値を前記速度推定機構へ出力する加算器を備えたことを特徴としている。
また、請求項3に記載の発明は、1次電流指令値と1次電流検出値と1次周波数指令値を入力し、1次電圧指令値を出力する電流制御器と、前記電流制御器の出力である前記1次電圧指令値を基に誘導電動機に電圧を出力するPWM制御インバータと、前記1次電流検出値と前記1次電圧指令値を入力し、第1の電動機磁束と第1の電動機速度を推定演算して出力する同一次元磁束オブザーバ、速度推定機構と、前記1次電流指令値の励磁軸成分とトルク軸成分を基に該電動機の滑り周波数指令値を演算し出力する滑り算出器と、前記滑り算出器の出力である滑り角周波数指令値に前記第1の電動機速度推定値を加算して前記電流制御器の制御入力である1次周波数指令値を前記電流制御器へ出力する加算器と、前記1次周波数指令値を積分して電動機磁束位相を出力する積分器とを具備する誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置の制御方法において、速度推定器では、トルク指令値あるいは前記1次電流指令値のトルク軸成分値と前記第1の電動機速度推定値を入力とし、第2の電動機速度を推定演算して出力し、電流モデル式磁束演算器では、第2の電動機速度推定値と前記1次電流検出値を入力し、第2の電動機磁束を推定演算して出力し、加算器では、上記2つの電動機磁束推定値を加算して新たな電動機磁束推定値を前記速度推定機構へ出力するという手順をとったのである。
また、請求項4に記載の発明は、1次電流指令値と1次電流検出値と1次周波数指令値を入力し、1次電圧指令値を出力する電流制御器と、前記電流制御器の出力である前記1次電圧指令値を基に誘導電動機に電圧を出力するPWM制御インバータと、前記1次電流検出値と前記1次電圧指令値を入力し、第1の電動機磁束と電動機磁束位相を推定演算して出力する同一次元磁束オブザーバ、速度推定機構と、前記1次電流指令値の励磁軸成分とトルク軸成分を基に該電動機の滑り周波数指令値を演算し出力する滑り算出器と、前記電動機磁束位相の微分情報から前記滑り算出器の出力である滑り角周波数指令値を減算して第1の電動機速度推定値を出力する減算器とを具備する誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置の制御方法において、速度推定器では、トルク指令値あるいは前記1次電流指令値のトルク軸成分値と前記第1の電動機速度推定値を入力とし、第2の電動機速度を推定演算して出力し、電流モデル式磁束演算器では、第2の電動機速度推定値と前記1次電流検出値を入力し、第2の電動機磁束を推定演算して出力し、加算器では、上記2つの電動機磁束推定値を加算して新たな電動機磁束推定値を前記速度推定機構へ出力するという手順をとったのである。
この誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置によれば、トルク指令値を入力とした速度推定器で第2の電動機速度推定値を演算し、第2の電動機速度推定値、及び、1次電流検出値を用いて電流モデル式磁束演算器により、第2の電動機磁束位相を演算し、同一次元磁束オブザーバ出力である電動機磁束位相とベクトル的に加算(合成)することにより、新たな電動機磁束位相を作成する。電流モデル式磁束演算器は、低速域での安定性が高く、低速でも安定な電動機磁束演算ができるようになるので、誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置での始動を、素早く、かつ、円滑に実現できるようになる。
本発明によれば、速度センサレスベクトル制御装置は、トルク指令値を入力とした速度推定器で第2の電動機速度推定値を演算し、第2の電動機速度推定値、及び、1次電流検出値を用いて電流モデル式磁束演算器により、第2の電動機磁束位相を演算し、同一次元磁束オブザーバ出力である電動機磁束位相とベクトル的に加算(合成)することにより、新たな電動機磁束位相を作成する構成にしたので、低速でも安定な電動機磁束演算ができるようになり、素早く、かつ、円滑な始動が実現できるという効果がある。
以下、本発明の実施形態について図を参照して説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置のブロック図である。図1において、本実施の形態では、図5に示した従来図から、座標変換器110、関数発生器121、係数器122、減算器123、124を削除し、速度適応機構107の出力である電動機速度推定値ωr^を、加算器17の入力とし、第2の電動機速度推定値ωr#を演算する速度推定器30、電流モデル式磁束演算器31、ハイパスフィルタ32,33、ローパスフィルタ34,35、加算器36,37を追加している。図5に示した従来図と同一構成には、同一符号を付して重複する説明は省略する。
次に動作について説明する。ただし、同一次元磁束オブザーバ4、速度推定機構7の動作については、図5に示した従来技術と同様であるので重複する説明は省略する。
ディジタル電流制御器3は、励磁軸電流指令値i1d*と、トルク軸電流指令値i1q*からなる1次電流指令値i1*とA/D変換器13で検出され、3相−2相変換器14,座標変換器8で回転座標系(d−q軸)に変換された1次電流検出値i1(i1d,i1q)が一致するように電流制御する。
ディジタル電流制御器3出力である1次電圧指令値v1*(v1d*,v1q*)は、座標変換器9、2相−3相変換器15により1次電圧制御指令電圧vu*,vv*,vw*に変換され、PWM制御インバータ2の出力電圧を制御する。また、座標変換器8,9で使用される単位ベクトル(sinθ0,cosθ0)用の位相角θ0は、滑り算出器5で作成する滑り角周波数指令値ωs*と、後述する速度推定機構7出力である電動機速度推定値ωr^を加算器17で加算した1次周波数ω1を積分器11で積分することによって求める。
誘導電動機1の電動機速度ωrは、静止座標系(a−b軸)上の1次電流指令値i1*と1次電圧指令値v1*とから上記(7)式により速度推定機構7で推定演算し、加算器17の入力とする一方、トルク指令値T*とともに速度推定器30へ入力される。なお、トルク指令値T*は図示していないが、トルク軸電流指令値i1q*と電動機磁束指令値の積で求まり、電動機磁束指令値が一定(定格値)であれば、トルク軸電流指令値i1q*で代用できる。
速度推定器30は、例えば図3のように構成され、トルク指令値T*は、減算器40出力、つまり、速度推定機構7出力である電動機速度推定値ωr^と後述する第2の電動機速度推定値ωr#の差と係数器41で乗算した値と加算器42で加算され、この加算値を積分器43で積分することで第2の電動機速度推定値ωr#を演算し、電流モデル式磁束演算器31に出力する。なお、積分器43の積分ゲインは、1/J(Jは、図示していない機械と誘導電動機1の電動機軸換算の合計イナーシャ値)としている。
誘導電動機の電流方程式に基づく電流モデル式磁束演算器31は、例えば第4図のように構成され、誘導電動機の静止座標系(a−b軸)に変換された1次電流検出値i1(i1a,i1b)と第2の電動機速度推定値ωr#とから、係数器50、51、積分器52、53、帰還用の係数器54,55、加減算器56,57、および乗算器58,59により、静止座標系(a−b軸)上の第2の2次磁束推定値Φ2^(Φ2a^,Φ2b^)を演算する。
同一次元磁束オブザーバ4出力の2次磁束推定値Φ2^(Φ2a^,Φ2b^)と、電流モデル式磁束演算器31出力の第2の2次磁束推定値Φ2^(Φ2a^,Φ2b^)をハイパスフィルタ32,33、とローパスフィルタ34,35にそれぞれを通したのち、加算器36,37で加算し、新たに静止座標系(a−b軸)上の2次磁束推定値Φ2^(Φ2a^,Φ2b^)を演算し、速度推定機構7に出力する。
このように構成しているため、本実施の形態によれば、始動時のように電動機停止状態から始動開始状態においては、電流モデル式磁束演算器31出力が2次磁束推定値Φ2^(Φ2a^,Φ2b^)の主成分となり、トルク指令T*が立ち上がれば、速度推定器30の出力である第2の電動機速度推定値ωr#が上昇をはじめる。これに伴い、電流モデル式磁束演算器31出力の第2の2次磁束推定値Φ2^が回転をはじめ、速度推定機構7出力のωr^が立ち上がり、座標変換器8,9で使用される位相角θ0が変化し始める。また、一旦位相角θ0が変化をはじめると、同一次元磁束オブザーバ4出力が、2次磁束推定値Φ2^(Φ2a^,Φ2b^)の主成分となるように円滑に変化する。
このように、始動開始時において、座標変換器8,9で使用される位相角θ0を素早く、かつ、円滑に動作するようにできる。
図2は本発明の第2の実施形態に係る誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置のブロック図である。図2において、前実施の形態と異なる点は、速度推定機構7の演算処理を1部変更し速度推定機構7’としたことで、積分器11と加算器17を除去し、替わりに微分器12、減算器18を追加している。その他の図1と同一構成には同一符号を付して重複する説明は省略する。
つぎに動作について説明する。
速度推定機構7’は、速度推定機構7’で演算される2次磁束推定値Φ2^(Φ2a^,Φ2b^)を用いて、位相角θ0^をtan−1(Φ2a^/Φ2b^)で演算出力し、座標変換器8,9,微分器12に入力する。微分器12は、速度推定機構7’出力である位相角θ0^を微分し1次周波数ω1を出力し、減算器18に入力する。減算器18は、微分器12出力の1次周波数ω1から滑り算出器5出力である滑り角周波数指令値ωs*を減算し、電動機速度推定値ωr^を出力する。演算出力された1次周波数ω1と電動機速度推定値ωr^は、それぞれディジタル電流制御器3と速度推定器30に送出される。
以降の速度推定器30、電流モデル式磁束演算器31、ハイパスフィルタ32,33、ローパスフィルタ34,35、加算器36.37以降の処理は第1の実施形態と同様である。
このように第2の実施形態による速度センサレスベクトル制御装置でも、速度適応2次磁束オブザーバの使用方法が変わるだけで、基本的考え方は全く変わらないので第1の実施形態と同様な効果が得られる。
以上、1次電圧指令値v1*(v1d*,v1q*)は、ディジタル電流制御器3の出力でのみ求めるように記載したが、誘導電動機1の電動機定数等を用いて、フィードフォワード的に1次電圧指令値を演算し、ディジタル電流制御器3の出力に加算するようにしても良い。
本発明の第1の実施形態に係る誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置のブロック図である。 本発明の第2の実施形態に係る誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置のブロック図である。 図1、図2に示す速度推定器30のブロック図である。 図1、図2に示す電流モデル式磁束演算器31のブロック図である。 従来の誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置のブロック図である。
符号の説明
1 誘導電動機
2 PWM制御インバータ
3 ディジタル電流制御器
4 同一次元磁束オブザーバ
5 滑り算出器
6、41、50、51、54、55 係数器
7、7’ 速度推定機構
8、9 座標変換器
11、43、52、53 積分器
12 微分器
13 A/D変換器
14 3相−2相変換器
15 2相−3相変換器
17、36、37、42 加算器
18、40 減算器
30 速度推定器
31 電流モデル式磁束演算器
32、33 ハイパスフィルタ
34、35 ローパスフィルタ
56、57 加減算器
58、59 乗算器
101 誘導電動機
102 PWM制御インバータ
103 ディジタル電流制御器
104 磁束オブザーバ
105 滑り算出器
107 速度適応機構
108、109、110 座標変換器
111 積分器
114 3相−2相変換器
115 2相−3相変換器
117 加算器
123、124 減算器

Claims (4)

  1. 1次電流指令値と1次電流検出値と1次周波数指令値を入力し、1次電圧指令値を出力する電流制御器と、前記電流制御器の出力である前記1次電圧指令値を基に誘導電動機に電圧を出力するPWM制御インバータと、前記1次電流検出値と前記1次電圧指令値を入力し、第1の電動機磁束と第1の電動機速度を推定演算して出力する同一次元磁束オブザーバ、速度推定機構と、前記1次電流指令値の励磁軸成分とトルク軸成分を基に該電動機の滑り周波数指令値を演算し出力する滑り算出器と、前記滑り算出器の出力である滑り角周波数指令値に前記第1の電動機速度推定値を加算して前記電流制御器の制御入力である1次周波数指令値を前記電流制御器へ出力する加算器と、前記1次周波数指令値を積分して電動機磁束位相を出力する積分器とを具備する誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置において、
    トルク指令値あるいは前記1次電流指令値のトルク軸成分値と前記第1の電動機速度推定値を入力とし、第2の電動機速度を推定演算して出力する速度推定器と、
    第2の電動機速度推定値と前記1次電流検出値を入力し、第2の電動機磁束を推定演算して出力する電流モデル式磁束演算器と、
    上記2つの電動機磁束推定値を加算して新たな電動機磁束推定値を前記速度推定機構へ出力する加算器を備えたことを特徴とする誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置。
  2. 1次電流指令値と1次電流検出値と1次周波数指令値を入力し、1次電圧指令値を出力する電流制御器と、前記電流制御器の出力である前記1次電圧指令値を基に誘導電動機に電圧を出力するPWM制御インバータと、前記1次電流検出値と前記1次電圧指令値を入力し、第1の電動機磁束と電動機磁束位相を推定演算して出力する同一次元磁束オブザーバ、速度推定機構と、前記1次電流指令値の励磁軸成分とトルク軸成分を基に該電動機の滑り周波数指令値を演算し出力する滑り算出器と、前記電動機磁束位相の微分情報から前記滑り算出器の出力である滑り角周波数指令値を減算して第1の電動機速度推定値を出力する減算器とを具備する誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置において、
    トルク指令値あるいは前記1次電流指令値のトルク軸成分値と前記第1の電動機速度推定値を入力とし、第2の電動機速度を推定演算して出力する速度推定器と、
    第2の電動機速度推定値と前記1次電流検出値を入力し、第2の電動機磁束を推定演算して出力する電流モデル式磁束演算器と、
    上記2つの電動機磁束推定値を加算して新たな電動機磁束推定値を前記速度推定機構へ出力する加算器を備えたことを特徴とする誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置。
  3. 1次電流指令値と1次電流検出値と1次周波数指令値を入力し、1次電圧指令値を出力する電流制御器と、前記電流制御器の出力である前記1次電圧指令値を基に誘導電動機に電圧を出力するPWM制御インバータと、前記1次電流検出値と前記1次電圧指令値を入力し、第1の電動機磁束と第1の電動機速度を推定演算して出力する同一次元磁束オブザーバ、速度推定機構と、前記1次電流指令値の励磁軸成分とトルク軸成分を基に該電動機の滑り周波数指令値を演算し出力する滑り算出器と、前記滑り算出器の出力である滑り角周波数指令値に前記第1の電動機速度推定値を加算して前記電流制御器の制御入力である1次周波数指令値を前記電流制御器へ出力する加算器と、前記1次周波数指令値を積分して電動機磁束位相を出力する積分器とを具備する誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置の制御方法において、
    速度推定器では、トルク指令値あるいは前記1次電流指令値のトルク軸成分値と前記第1の電動機速度推定値を入力とし、第2の電動機速度を推定演算して出力し、
    電流モデル式磁束演算器では、第2の電動機速度推定値と前記1次電流検出値を入力し、第2の電動機磁束を推定演算して出力し、
    加算器では、上記2つの電動機磁束推定値を加算して新たな電動機磁束推定値を前記速度推定機構へ出力することを特徴とする誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置の制御方法。
  4. 1次電流指令値と1次電流検出値と1次周波数指令値を入力し、1次電圧指令値を出力する電流制御器と、前記電流制御器の出力である前記1次電圧指令値を基に誘導電動機に電圧を出力するPWM制御インバータと、前記1次電流検出値と前記1次電圧指令値を入力し、第1の電動機磁束と電動機磁束位相を推定演算して出力する同一次元磁束オブザーバ、速度推定機構と、前記1次電流指令値の励磁軸成分とトルク軸成分を基に該電動機の滑り周波数指令値を演算し出力する滑り算出器と、前記電動機磁束位相の微分情報から前記滑り算出器の出力である滑り角周波数指令値を減算して第1の電動機速度推定値を出力する減算器とを具備する誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置の制御方法において、
    速度推定器では、トルク指令値あるいは前記1次電流指令値のトルク軸成分値と前記第1の電動機速度推定値を入力とし、第2の電動機速度を推定演算して出力し、
    電流モデル式磁束演算器では、第2の電動機速度推定値と前記1次電流検出値を入力し、第2の電動機磁束を推定演算して出力し、
    加算器では、上記2つの電動機磁束推定値を加算して新たな電動機磁束推定値を前記速度推定機構へ出力することを特徴とする誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置の制御方法。
JP2006178128A 2006-06-28 2006-06-28 誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置とその制御方法 Pending JP2008011625A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006178128A JP2008011625A (ja) 2006-06-28 2006-06-28 誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置とその制御方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006178128A JP2008011625A (ja) 2006-06-28 2006-06-28 誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置とその制御方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008011625A true JP2008011625A (ja) 2008-01-17

Family

ID=39069299

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006178128A Pending JP2008011625A (ja) 2006-06-28 2006-06-28 誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置とその制御方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008011625A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010011600A (ja) * 2008-06-25 2010-01-14 Denso Corp 回転機の制御装置、及び回転機の制御システム
WO2010109528A1 (ja) * 2009-03-26 2010-09-30 三菱電機株式会社 交流回転機の制御装置

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010011600A (ja) * 2008-06-25 2010-01-14 Denso Corp 回転機の制御装置、及び回転機の制御システム
US8063596B2 (en) 2008-06-25 2011-11-22 Denso Corporation Apparatus for carrying out improved control of rotary machine
WO2010109528A1 (ja) * 2009-03-26 2010-09-30 三菱電機株式会社 交流回転機の制御装置
KR101245931B1 (ko) * 2009-03-26 2013-03-20 미쓰비시덴키 가부시키가이샤 교류 회전기의 제어 장치
RU2483423C1 (ru) * 2009-03-26 2013-05-27 Мицубиси Электрик Корпорейшн Контроллер для вращающейся машины переменного тока
US8525454B2 (en) 2009-03-26 2013-09-03 Mitsubishi Electric Corporation Controller for AC rotary machine
JP5291184B2 (ja) * 2009-03-26 2013-09-18 三菱電機株式会社 交流回転機の制御装置
AU2009343106B2 (en) * 2009-03-26 2014-02-06 Mitsubishi Electric Corporation Controller for AC rotary machine

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2004282807A (ja) 交流電動機のセンサレスベクトル制御方法及び制御装置
JPH07110160B2 (ja) 誘導電動機の制御装置
JP4583257B2 (ja) 交流回転機の制御装置
JP2585376B2 (ja) 誘導電動機の制御方法
JP4238646B2 (ja) 誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置
JP5278326B2 (ja) インバータ制御装置及びその制御方法
JP6626309B2 (ja) 交流モータの鉄損を補償する制御装置
WO2018163420A1 (ja) 電気車推進制御装置
JPH07250500A (ja) 誘導電動機の可変速制御装置
JP2007135281A (ja) 誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置
JP2008011625A (ja) 誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置とその制御方法
JP2007282300A (ja) モーター制御装置
JP2005304175A (ja) 電動機の速度制御装置
JP3166525B2 (ja) 誘導電動機のベクトル制御装置
JP2009072006A (ja) 誘導電動機の制御装置
JPH1084689A (ja) ビートレス制御装置
JPH07123799A (ja) 誘導電動機の速度センサレスベクトル制御方式
JP3958920B2 (ja) 主軸制御装置
JPH07123798A (ja) 誘導電動機の速度センサレスベクトル制御方式
JPH0870599A (ja) 誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置
JP2634333B2 (ja) 誘導電動機の制御装置
KR100421612B1 (ko) 유도 전동기의 벡터 제어 장치
JP7226211B2 (ja) インバータ装置及びインバータ装置の制御方法
JP2007244200A (ja) 回転電機の速度制御装置
JP2946157B2 (ja) 誘導電動機の速度制御装置