JP3489112B2 - 車両用操舵制御装置 - Google Patents

車両用操舵制御装置

Info

Publication number
JP3489112B2
JP3489112B2 JP15825199A JP15825199A JP3489112B2 JP 3489112 B2 JP3489112 B2 JP 3489112B2 JP 15825199 A JP15825199 A JP 15825199A JP 15825199 A JP15825199 A JP 15825199A JP 3489112 B2 JP3489112 B2 JP 3489112B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
correction
steering
value
control device
phase deviation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP15825199A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000344121A (ja
Inventor
隆博 小城
巡児 河室
守弘 松田
雅彦 新堂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP15825199A priority Critical patent/JP3489112B2/ja
Publication of JP2000344121A publication Critical patent/JP2000344121A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3489112B2 publication Critical patent/JP3489112B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、操舵ハンドルの操
舵角と転舵輪の転舵角との間の伝達比を変化させる伝達
比可変機構を備えた車両用操舵制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、転舵輪の転舵角に対する操舵
ハンドルの伝達比を変化させる伝達比可変機構を搭載し
た操舵機構が知られている。この伝達比可変機構は所定
のギア機構で構成され、このギア機構をアクチュエータ
で駆動することで、伝達比可変機構を介した入出力間の
伝達比、すなわち操舵ハンドルの操舵角と転舵輪の転舵
角との間の伝達比が変化する機構となっている。例えば
特開平10−236328号では、伝達比可変機構にお
ける出力軸の回転角が目標回転角に一致するように、ア
クチュエータの駆動制御を実施している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】通常、車速などの車両
の走行状態に応じて時々刻々と伝達比が設定され、設定
された伝達比をもとに、操舵ハンドルの操舵角に対応し
た転舵角となるように、転舵輪の転舵制御がなされる。
この際、伝達比がクイックに設定された状況下で急操舵
が行われ、その結果、伝達比可変機構のアクチュエータ
に追従遅れが生じると、操舵ハンドルの操舵角と転舵輪
の転舵角との位相関係が崩れる位相偏差(N点ずれ)が
発生する。
【0004】伝達比可変機構における出力軸の回転角が
目標回転角に一致するように制御されるため、このよう
に位相偏差が生じると、操舵が終了した後にも、この位
相偏差を補うようにアクチュエータの駆動制御が継続さ
れることになる。従って、操舵停止後にも、転舵輪の転
舵動作が残存し、運転者に操舵違和感を与えるおそれが
あった。
【0005】なお、このような位相偏差は、イグニショ
ンスイッチのオフ操作後に操舵ハンドルが操作された場
合にも生じ得る。
【0006】本発明はこのような課題を解決すべくなさ
れたものであり、その目的は、操舵ハンドルの操舵角と
転舵輪の転舵角との間に位相偏差が発生した場合にも、
運転者に操舵違和感を与えることなく、位相偏差を修正
することができる車両用操舵制御装置を提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1にかかる車両用
操舵制御装置は、操舵ハンドルの操舵角と転舵輪の転舵
角との間の伝達比を変化させ得る伝達比可変機構を備え
た車両用操舵制御装置であって、伝達可変機構を駆動す
るアクチュエータと、アクチュエータの動作制御を行う
制御手段とを備え、制御手段は、転舵角の目標値となる
転舵角目標値を仮設定して仮設定転舵角目標値を算出す
る目標値仮設定手段と、操舵ハンドルの中立位置と転舵
輪の中立位置とが異なる位相偏差が生じている場合に、
この位相偏差を残存させるように、仮設定転舵角目標値
を補正する第1補正量を設定する第1補正手段と、位相
偏差を低減させるように、第1補正量を減少させる第2
補正量を設定する第2補正手段と、仮設定転舵角目標値
と第2補正手段で減少させられた第1補正量との偏差に
基づいて、転舵角の目標値である転舵角目標値を設定す
る目標値設定手段と、転舵角目標値および転舵角の偏差
に基づいて、アクチュエータに対する主制御量を設定す
る制御量設定手段とを備えて構成する。
【0008】生じた位相偏差を残存させる第1補正手段
と、位相偏差を減少させる第2補正手段とを備えるの
で、位相偏差が生じた場合にも、どのような状況下で、
どの程度の修正処理を実行するかを、適宜設定すること
ができる。このため、運転者が操舵違和感を感じ難い状
況下で、位相偏差の修正処理を実施することが可能とな
る。
【0009】請求項2にかかる車両用操舵制御装置は、
請求項1における車両用操舵制御装置において、第2補
正手段は、操舵ハンドルの操舵速度に基づき第2補正量
を設定する。
【0010】第2補正手段によって、例えば、操舵速度
が小さいほど第2補正量を小さく設定し、操舵速度が速
いほど第2補正量をより大きく設定することで、操舵違
和感の発生が十分に抑制され、効率的に位相偏差を修正
できる。
【0011】請求項3にかかる車両用操舵制御装置は、
請求項1における車両用操舵制御装置において、第2補
正手段は、位相偏差の大きさに基づき第2補正量を設定
する。
【0012】第2補正手段によって、位相偏差に応じて
第2補正量が設定されるため、生じた位相偏差が大きい
場合にも、位相偏差が速やかに低減される。
【0013】請求項4にかかる車両用操舵制御装置は、
請求項1における車両用操舵制御装置において、第2補
正手段は車速に基づき第2補正量を設定する。
【0014】第2補正手段によって、例えば、車両の速
度が高速になるほど第2補正量をより小さく設定するこ
とで、位相偏差の修正が高速走行中に行われた場合であ
っても、車両挙動の変化が十分に抑制される。
【0015】請求項5にかかる車両用操舵制御装置は、
請求項2、3又は4における車両用操舵制御装置におい
て、第2補正量を設定する際の基になる値が所定値より
大となった場合に、第2補正手段の処理を制限する。
【0016】高車速になるほど修正処理に伴う車両挙動
の変化がより大きく現れるため、例えば、車速が所定速
度を超えた場合に位相偏差の修正処理が中止されるよう
に、第2補正手段に制限を加え、車両挙動の安定性を確
保する。また、修正処理が急操舵時に実行されること
で、アクチュエータの追従遅れが一層増大する場合も起
こり得るため、例えば操舵速度が所定速度を超えた場合
に、位相偏差の修正処理が中止されるように第2補正手
段の処理に制限を加え、位相偏差の増大を抑制する。
【0017】請求項6にかかる車両用操舵制御装置は、
第2補正量を設定する際の基になる値が所定値より小と
なった場合に、第2補正手段の処理を制限する。
【0018】例えば、操舵速度に応じて第2補正量を設
定する場合を想定すると、位相偏差が小の場合に急操舵
が行われると、設定される第2補正量の大きさによって
は、残存する位相偏差が反転してしまう場合も起こり得
る。そこで、そのような現象が発生しないように、例え
ば位相偏差が所定の微少範囲内の場合には第2補正手段
の処理を中止するように制限を加える。また、例えば操
舵ハンドルの操舵角が小さい中立付近の場合には、第2
補正手段の処理を中止して、車両の直進性を確保する。
【0019】請求項7にかかる車両用操舵制御装置は、
請求項1、2、3又は4における車両用操舵制御装置に
おいて、制御量設定手段で設定される主制御量は、アク
チュエータの作動位置を制御する制御量と、アクチュエ
ータの作動速度を制御する制御量とを含んでおり、第1
補正手段では、作動位置及び作動速度の各偏差を残存さ
せるように第1補正量を設定し、第2補正手段では、作
動位置及び作動速度の各偏差をそれぞれ低減させるよう
に第2補正値を設定する。
【0020】制御量設定手段においてアクチュエータの
作動位置と作動速度とを制御している場合には、第1補
正手段及び第2補正手段において、それぞれ作動位置及
び作動速度に対する各補正量を設定することで、位相偏
差の修正処理を行った場合にも、制御系の安定性を維持
させることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態につき、
添付図面を参照して説明する。
【0022】図1に実施形態にかかる車両用操舵制御装
置の構成を示す。
【0023】入力軸20と出力軸40とは伝達比可変機
構30を介して連結されており、入力軸20には操舵ハ
ンドル10が連結されている。出力軸40は、ラックア
ンドピニオン式のギヤ装置50を介してラック軸51に
連結されており、ラック軸51の両側には転舵輪FW
1、FW2が連結されている。
【0024】また、入力軸20には操舵ハンドル10の
操舵角となる入力角θhを検出する入力角センサ21を
設け、出力軸40には出力軸40の回転角となる出力角
θpを検出する出力角センサ41を設けている。この出
力軸40の回転角はラック軸51のストローク位置に対
応し、さらにラック軸51のストローク位置は転舵輪F
W1、FW2の転舵角に対応するため、出力角センサ4
1によって出力軸40の回転角を検出することで、転舵
輪FW1、FW2の転舵角を検出している。
【0025】伝達比可変機構30は、操舵ハンドル10
の操作に対する転舵輪FW1,FW2の転舵動作を制御
する機構部となっており、入力軸20と出力軸40とを
連結するギヤ機構とこのギヤ機構を駆動するモータ31
とを備えている。そして、モータ31によってギヤ機構
を駆動することで、操舵ハンドル10の操舵角が転舵輪
FW1、FW2の転舵角として伝達される伝達比(入力
角θh/出力角θp)を変化させる機能を有する。
【0026】伝達比可変機構30の駆動制御は操舵制御
装置70によって実施され、操舵制御装置70は、入力
軸20に設けた入力角センサ21、出力軸40に設けた
出力角センサ41及び車両の速度を検出する車速センサ
71の各検出信号を基にモータ31に対して制御信号I
sを出力することで、伝達比可変機構30におけるモー
タ31の駆動制御を実施している。
【0027】ここで、操舵制御装置70で実施される処
理について、図2のフローチャートに沿って説明する。
【0028】このフローチャートはイグニションスイッ
チのオン操作によって起動する。まず、ステップ(以
下、ステップを「S」と記す。)102に進み、入力角
センサ21で検出された入力角θh、出力角センサ41
で検出された出力角θp、車速センサ71で検出された
車速Vをそれぞれ読み込む。
【0029】続くS104では、図3に示す車速Vと伝
達比Gとの関係を示すマップから、S102で読み込ん
だ車速Vをもとにマップ検索し、車速Vに応じた伝達比
Gを設定する。
【0030】続くS106では、S102で読み込まれ
た入力角θh、S104で設定した伝達比Gをもとに、
出力角目標値θpm=(1/G)・θhを演算し、出力
角目標値θpmを仮設定する。
【0031】続くS108では、操舵ハンドル10の操
舵角と転舵輪FW1,FW2との転舵角との位相関係が
崩れて、操舵ハンドル10の中立位置と転舵輪FW1,
FW2の中立位置との間に偏差を生じている場合、この
位相偏差(N点ずれ)に対応した補正値を設定する。こ
こでは、前回のルーチンで設定された出力角目標値θpm
old(S120参照)と、今回のルーチンのS102で
読み込まれた出力角θpとの差(位相偏差)をΔθp=
θpmold−θpとして求め、このΔθpを第1補正値
(第1補正量)として設定する。
【0032】続くS110では、後述する設定処理で設
定される第2補正値S(第2補正量)を読み込む。な
お、具体的な設定処理については後に説明する。
【0033】続くS112では、S106で仮設定した
出力角目標値θpm、S108で設定された第1補正値
Δθp、及びS110で読み込まれた第2補正値Sをも
とに、θpm−(Δθp−S)を演算し、その結果を新
たに出力角目標値θpmとして設定する。この処理によ
り、S106で設定された出力角目標値θpmが更新さ
れ、出力角目標値θpmが確定する。S112の演算式
を参照すると、第1補正値Δθpは、本来の出力角目標
値θpmをより小さく設定して、生じている位相偏差を
残存させるように作用し、また第2補正値Sは、そのよ
うに作用する第1補正値Δθpの値を減少させるように
作用する。
【0034】続くS114では、S112で設定された
出力角目標値θpmと、出力角センサ41で検出された
出力角θpとの偏差eを、e=θpm−θpとして設定
する。
【0035】続くS116では、オーバーシュートする
ことなく偏差eを0にするように、モータ31を制御す
る制御信号Isを決定する。この処理の一例としては、
Is=C(s)・eの演算式に基づいて、PID制御の
パラメータを適切に設定することにより制御信号Isを
決定することができる。なお、式中の「(s)」はラプラ
ス演算子である。
【0036】続くS118では、S116で決定された
制御信号Isをモータ31に出力し、制御信号Isに応
じてモータ31を駆動する。
【0037】そして続くS120では、今回のルーチン
で設定した出力角目標値θpmをθpmoldとして設定
し、この値を記憶する。この結果は、次回のルーチンで
読み出される。
【0038】この後、S122に進み、イグニションス
イッチ(IG)がオフ操作されたかを判断し、「No」
の場合にはS102に戻り、S122で「Yes」と判
断されるまで、前述したS102以降の処理が繰り返し
実行される。
【0039】ここで、前述した第2補正値Sの設定処理
について、図4のフローチャートに沿って説明する。
【0040】まずS202に進み、図2のS108で設
定される第1補正値Δθpが更新されたかを判断し、更
新された(S202で「Yes」)段階でS204に進
む。
【0041】S204では、更新された第1補正値Δθ
p=0であるか、すなわち位相偏差が生じていないかを
判断する。この判断で「Yes」の場合には、S206
に進み、第2補正値S=0に設定する。
【0042】そして、S208に進み、修正中フラグF
の値をF=0に設定し、位相偏差の修正処理が停止中で
あることを示す。
【0043】一方、S204の判断で「No」、すなわ
ち第1補正値Δθp≠0に設定され、位相偏差が生じて
いる場合には、S210に進み、修正中フラグFが位相
偏差の修正中を示すF=1に設定されているかを判断す
る。
【0044】修正前の状況では、修正中フラグF=0に
設定されており、S210で「No」と判断されてS2
12に進む。
【0045】S212では、S108で設定された第1
補正値|Δθp|が所定のしきい値Δθpthより大で
あるかを判断する。S108で設定された第1補正値|
Δθp|がしきい値Δθpth以下の場合には、S21
2で「No」と判断されて、先のS206、S208へ
進み、第2補正値S=0に設定されることになる。従っ
て、第1補正値|Δθp|がしきい値Δθpthを超え
るまで、第1補正値Δθpを減少させる第2補正値S=
0に設定されるため、生じた位相偏差が残存することに
なる。
【0046】そして、その後に生じた位相偏差が次第に
蓄積されて増加し、S108で設定された第1補正値|
Δθp|がしきい値Δθpthより大となると、S21
2で「Yes」と判断されてS214に進み、修正中フ
ラグFをF=1に設定し、位相偏差の修正処理が実行中
であることを示す。
【0047】続くS216では、図5に示す操舵速度Δ
θh/Δtと補正値Sとの関係を示すマップから、操舵
速度Δθh/Δtをもとにマップ検索し、位相偏差とし
ての第1補正値|Δθp|を減少させるような第2補正
値Sの値が、操舵速度Δθh/Δtに応じて設定され
る。
【0048】なお、「Δθh」は、操舵方向(入力軸2
0の回転方向)及び転舵方向(出力軸40の回転方向)
とも右方向を正とし、前回のルーチンで検出された入力
角θholdと今回のルーチンで検出された入力角θhと
の偏差を示し、Δθh=θh−θholdとする。また、
「Δt」は、このΔθh(=θh−θhold)を求めた
時間間隔となるサンプリングタイムを示す。
【0049】続くS218では、S216で設定された
第2補正値Sに対し、所定のゲイン係数kを乗じた値
を、最終的に第2補正値Sとして設定し、このルーチン
を終了する。
【0050】そして、次回のルーチンでは、第1補正値
Δθpが更新されると(S202で「Yes」)、S2
04に進み、位相偏差がまだ解消されていない場合に
は、第1補正値Δθp≠0であるため、「No」と判断
されてS210に進む。続いて、位相偏差の修正処理が
継続中であるため、この時点では修正中フラグF=1に
設定されており、S210で「Yes」と判断されてS
216以降の処理に進み、同様に操舵速度Δθh/Δ
t、ゲイン係数kに応じた第2補正値Sが設定される。
【0051】このような修正処理が継続されると、次第
に位相偏差が減少するように推移し、S204で第1補
正値Δθp=0、すなわち位相偏差が解消したと判断さ
れると、先に説明したS206に進み、第2補正値S=
0に設定した後、S208において修正中フラグF=0
にリセットし、修正処理が終了したことを示す。
【0052】例示した図5に示すマップでは、操舵速度
Δθh/Δtの絶対値が増加するほど、第2補正値Sの
絶対値が大きく設定され、また、操舵速度Δθh/Δt
=0となる保舵状態では、補正値S=0に設定される。
これにより、緩慢な操舵時には位相偏差の修正角も小さ
く、速い操舵ほどより大きく修正され、また、保舵状態
の場合には修正処理が中止される。このため、運転者に
与える操舵違和感を十分に抑制し、かつ、効率的に位相
偏差を修正することができる。
【0053】このように、第1補正値Δθp及び第2補
正値Sを設定することで、実際に位相偏差が修正される
状況を図6に示す。時刻t0では、出力角目標値θpmol
dと出力角θpとの間に位相偏差がδ1だけ生じてい
る。時刻t0〜t1の間は、入力角θhが一定で操舵速
度Δθh/Δt=0となる保舵状態であり、この間は第
1補正値Δθpがδθp=δ1、第2補正値SはS=0
にそれぞれ設定され、位相偏差δ1がそのまま残存する
ことになる。時刻t1で操舵が開始され、時刻t2で再
び保舵状態となるまでの間は、操舵速度Δθh/Δtに
応じた第2補正値Sが設定され、位相偏差δが次第に小
さくなる。そして、時刻t2で再び保舵状態となるた
め、時刻t2の時点で修正処理が一時中止され、再び操
舵が開始されるまで、この時点の位相偏差δ2が残存す
る。
【0054】このような処理を繰り返し実行すること
で、操舵速度Δθh/Δtに応じて位相偏差が修正さ
れ、位相偏差が次第に解消される。
【0055】先に示した図5の例では、操舵速度Δθh
/Δtに比例するように第2補正値Sを設定したが、こ
の例に限定するものではない。
【0056】例えば図7に示すように、操舵速度Δθh
/Δtに応じて第2補正値Sを設定することもできる。
これは、操舵速度Δθh/Δtが増加すると、修正処理
も急激に行われるため、操舵速度Δθh/Δtがある程
度増加した領域M内では、第2補正値Sを上限値Smax
として一定の値に設定し、第2補正値Sの増加を抑える
ことで、過大な修正処理による操舵違和感の発生を抑え
ることができる。そして、操舵速度Δθh/Δtがより
速い領域Lに移行すると、通常の制御においてもモータ
31の動作速度が上昇するため、さらに位相偏差の修正
処理が加わることで、より一層の動作速度が要求される
場合も起こり得る。そこで、この領域Lでは操舵速度Δ
θh/Δtの増加に伴って、設定される第2補正値Sの
値を次第に低下させ、修正処理に起因して、位相偏差が
増大する事態を回避する。
【0057】また、図8に示すように、操舵速度|Δθ
h/Δt|が小さい領域では、操舵速度Δθh/Δtに
応じた第2補正値Sが「0」に設定されるいわゆる不感
帯Aを設けてもよい。これにより、操舵ハンドル10を
比較的ゆっくりと操舵するような状況下において、位相
偏差の修正処理に起因した車両挙動の変化を抑えること
ができる。また、この不感帯Aの幅も、フラッタ速度な
どの諸条件に応じて変化させても良い。
【0058】また、S218で採用するゲイン係数kも
同様に、図9(a)、図9(b)に示すように、操舵速
度Δθh/Δtに応じて設定することもでき、その作用
は、前述した操舵速度Δθh/Δtに応じて第2補正値
Sを設定する場合と同様である。この場合、例えば、図
9(c)に示すように、第2補正値Sの値は、操舵速度
Δθh/Δt≠0の領域で、操舵の方向に応じた一定値
としても良い。
【0059】また、このゲイン係数kは、この他にも、
例えば図10(a)、(b)に示すように、生じている
位相偏差の大きさに応じて変化さても良い。図10
(a)に示すように、位相偏差となる第1補正値Δθp
が増加するに連れて、ゲイン係数kを増加させること
で、生じた位相偏差(第1補正値Δθp)が大きい場合
にも、位相偏差を速やかに低減させることができる。ま
た、図10(b)に示すように、位相偏差としての第1
補正値Δθpが小さい領域ではゲイン係数k=0に設定
し、位相偏差が微少な状況下で、急操舵などの影響で大
きく修正された場合に、位相偏差が反転して発生する事
態を防止する。
【0060】また、ゲイン係数kを、入力角|θp|の
大きさに応じて変化させることもできる。例えば、図1
1(a)、(b)に示すマップをもとに設定すること
で、操舵角の中立位置付近となる入力角|θh|が小さ
い領域では、ゲイン係数kを乗じることで、図11
(a)のマップでは第2補正値Sがより小さな値に設定
され、図11(b)のマップでは第2補正値S=0に設
定される。これにより、車両の直進時には、位相偏差の
修正を十分に抑制して、車両の直進安定性を確保する。
【0061】さらに、ゲイン係数kを、車速Vの大きさ
に応じて変化させることもできる。例えば、図12
(a)に示すマップをもとに設定することで、高車速時
には第2補正値S=0に設定され、図12(b)に示す
マップをもとに設定することで、車速の増加と共に、第
2補正値Sがより小さな値に設定される。これは、高車
速になるほど修正処理に伴う車両挙動の変化がより大き
く現れることを考慮したものであり、このようにゲイン
係数kを設定することで、高車速時には、位相偏差の修
正処理に伴う車両挙動の変化を十分に抑制し、車両の安
定性を確保することができる。
【0062】以上説明した実施形態では、モータ31に
対する制御信号Isを、Is=C(s)・eとして決定
する、位置偏差に基づく制御例を示したが、さらに位置
偏差と速度偏差とを考慮し、下記式をもとにモータ31
に対する制御信号Isを決定する場合にも適用すること
ができる。式中、「C1」は比例ゲイン、「C2」は微
分ゲインを示す。
【0063】Is=C1・e+C2・de/dt そして、先に説明したS114で設定される偏差eを、
上式の右辺第1項及び第2項の「e」に適用すること
で、前述した位相偏差の修正処理が、上式右辺第1項に
おける位置偏差に対する制御量に作用すると共に、同第
2項における速度偏差に対する制御量にも作用すること
となる。これにより、位相偏差の修正処理を行った場合
にも、制御系の安定性を維持することができる。
【0064】また、以上説明した実施形態では、位相偏
差の修正処理を実行した場合にも、操舵ハンドル10の
操舵方向と、転舵輪FW1、FW2の転舵方向とが一致
するように各マップが設計されているものとして説明し
たが、何らかの原因で不適な第2補正値Sが設定された
場合に対処すべく、S114とS116の間に、図13
に示す処理を実行することもできる。
【0065】図13において、S114に続くS115
Aでは、転舵輪FW1、FW2の転舵方向に対応する偏
差eの符号と、操舵ハンドル10の操舵方向を示すdθ
h/dtとの符号とを比較し、同符号であれば互いに同
じ方向に推移することになり、この場合には「Yes」
と判断されてそのままS116に進む。これに対し、S
115Aで「No」と判断された場合には、操舵ハンド
ル10と転舵輪FW1、FW1が互いに逆方向に推移す
る状況となってしまう。この場合には、S115Bに進
んで第2補正値S=0とし、今回のルーチンでは位相偏
差を修正しないこととする。すなわち、S114におけ
る偏差eを、第2補正値S=0として再度設定する。こ
のようなS115A、S115Bを付加することで、不
適な第2補正値Sが設定された場合に、位相偏差の修正
を中断することができ、次回のルーチン以降で再び位相
偏差の修正処理が継続される。
【0066】また、以上説明した実施形態では、モータ
31の追従遅れなどの理由により、制御中に位相偏差が
発生した場合を想定して説明したが、このような位相偏
差はイグニションスイッチのオフ操作後に操舵ハンドル
10が操作された場合にも生じ得る。このような場合に
は、例えば、左右の転舵輪FW1、FW2の車輪速度の
差をもとに転舵輪FW1、FW2の実際の転舵角を推定
し、推定した転舵角と出力角θpとの差を位相偏差とし
て、前述した修正処理を実行すればよい。
【0067】
【発明の効果】以上説明したように、各請求項にかかる
車両用操舵制御装置によれば、位相偏差が生じている場
合に、この位相偏差を残存させるように第1補正量を設
定する第1補正手段と、この位相偏差を低減させる第2
補正量を設定する第2補正手段とを備える構成を採用し
た。従って、位相偏差が生じた場合にも、どのような状
況下で、どの程度の修正処理を実行するかを、適宜設定
することができ、このため、運転者が操舵違和感を感じ
難い状況下で位相偏差の修正処理を実施することが可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態にかかる車両用操舵制御装置の構成
を示すブロック図である。
【図2】操舵制御装置で実行される処理を示すフローチ
ャートである。
【図3】車速Vと伝達比Gとの関係を規定したマップで
ある。
【図4】第2補正値Sの設定処理を示すフローチャート
である。
【図5】操舵速度Δθh/Δtと第2補正値Sとの関係
を規定したマップである。
【図6】位相偏差が修正される状況を示す説明図であ
る。
【図7】操舵速度Δθh/Δtと第2補正値Sとの関係
を規定したマップである。
【図8】操舵速度Δθh/Δtと第2補正値Sとの関係
を規定したマップである。
【図9】(a)、(b)は、それぞれ操舵速度Δθh/
Δtとゲイン係数kとの関係を規定したマップ、(c)
は操舵速度Δθh/Δt第2補正値Sと規定したマップ
である。
【図10】(a)、(b)はそれぞれ第1補正値|Δθ
p|とゲイン係数kとの関係を規定したマップである。
【図11】(a)、(b)はそれぞれ第1補正値|Δθ
p|とゲイン係数kとの関係を規定したマップである。
【図12】(a)、(b)はそれぞれ車速Vとゲイン係
数kとの関係を規定したマップである。
【図13】他の実施形態を示すフローチャートである。
【符号の説明】 10…操舵ハンドル、20…入力軸、30…伝達比可変
機構、31…モータ(アクチュエータ)、40…出力
軸、70…操舵制御装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新堂 雅彦 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−1254(JP,A) 特開 平11−78945(JP,A) 特開 昭62−20755(JP,A) 特開 平4−283168(JP,A) 特開 平4−118382(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B62D 6/00 - 6/06 B62D 5/04

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 操舵ハンドルの操舵角と転舵輪の転舵角
    との間の伝達比を変化させ得る伝達比可変機構を備えた
    車両用操舵制御装置であって、 前記伝達可変機構を駆動するアクチュエータと、 前記アクチュエータの動作制御を行う制御手段とを備
    え、 前記制御手段は、 前記転舵角の目標値となる転舵角目標値を仮設定する一
    方、前記アクチュエータに対する主制御量を設定する制
    御量設定手段と、 前記操舵ハンドルの中立位置と前記転舵輪の中立位置と
    が異なる位相偏差が生じている場合に、この位相偏差を
    残存させるように、前記仮設定された転舵角目標値を補
    正する第1補正量を設定する第1補正手段と、 前記位相偏差を低減させるように、前記第1補正量を減
    少させる第2補正量を設定する第2補正手段と、を備
    え、 前記制御量設定手段は、 前記仮設定された転舵角目標値と前記第2補正手段で減
    少させられた前記第1補正量との偏差に基づいて前記転
    舵角の目標値となる転舵角目標値を算出し、算出された
    転舵角目標値と前記転舵輪の転舵角との偏差に基づい
    て、前記アクチュエータに対する主制御量を設定する、 ことを特徴とする車両用操舵制御装置。
  2. 【請求項2】 前記第2補正手段は、操舵ハンドルの操
    舵速度に基づき、前記第2補正量を設定する請求項1記
    載の車両用操舵制御装置。
  3. 【請求項3】 前記第2補正手段は、前記位相偏差の大
    きさに基づき、前記第2補正量を設定する請求項1記載
    の車両用操舵制御装置。
  4. 【請求項4】 前記第2補正手段は、車速に基づき前記
    第2補正量を設定する請求項1記載の車両用操舵制御装
    置。
  5. 【請求項5】 前記第2補正量を設定する際の基になる
    値が所定値より大となった場合に、前記第2補正手段の
    処理を制限する請求項2,3又は4に記載の車両用操舵
    制御装置。
  6. 【請求項6】 前記第2補正量を設定する際の基になる
    値が所定値より小となった場合に、前記第2補正手段の
    処理を制限する請求項2,3又は4に記載の車両用操舵
    制御装置。
  7. 【請求項7】 前記制御量設定手段で設定される主制御
    量は、前記アクチュエータの作動位置を制御する制御量
    と、前記アクチュエータの作動速度を制御する制御量と
    を含んでおり、 前記第1補正手段では、前記作動位置及び作動速度の各
    偏差を残存させるように第1補正量を設定し、前記第2
    補正手段では、前記作動位置及び作動速度の各偏差をそ
    れぞれ低減させるように第2補正値を設定する請求項
    1、2、3又は4記載の車両用操舵制御装置。
JP15825199A 1999-06-04 1999-06-04 車両用操舵制御装置 Expired - Fee Related JP3489112B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15825199A JP3489112B2 (ja) 1999-06-04 1999-06-04 車両用操舵制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15825199A JP3489112B2 (ja) 1999-06-04 1999-06-04 車両用操舵制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000344121A JP2000344121A (ja) 2000-12-12
JP3489112B2 true JP3489112B2 (ja) 2004-01-19

Family

ID=15667558

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP15825199A Expired - Fee Related JP3489112B2 (ja) 1999-06-04 1999-06-04 車両用操舵制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3489112B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7690477B2 (en) 2006-09-14 2010-04-06 Mitsubishi Electric Corporation Vehicular steering system

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE10115802A1 (de) * 2001-03-30 2003-01-23 Bayerische Motoren Werke Ag Überlagerungslenksystem für Kraftfahrzeuge
JP3719193B2 (ja) * 2001-11-06 2005-11-24 日産自動車株式会社 舵角比可変装置
JP4501473B2 (ja) * 2004-03-15 2010-07-14 トヨタ自動車株式会社 車輌の走行制御装置
JP4506386B2 (ja) * 2004-09-29 2010-07-21 日産自動車株式会社 車両用操舵装置
JP4577020B2 (ja) * 2005-01-18 2010-11-10 トヨタ自動車株式会社 車両の操舵装置
JP6194619B2 (ja) 2013-04-18 2017-09-13 株式会社ジェイテクト 電動パワーステアリング装置
JP6453089B2 (ja) * 2015-01-30 2019-01-16 株式会社ショーワ 電動パワーステアリング装置
JP6658464B2 (ja) * 2016-11-09 2020-03-04 株式会社デンソー 中立点検出装置、及び操舵制御システム
JP7133393B2 (ja) * 2018-08-23 2022-09-08 株式会社ジェイテクト 操舵制御装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7690477B2 (en) 2006-09-14 2010-04-06 Mitsubishi Electric Corporation Vehicular steering system
DE102007013267B4 (de) * 2006-09-14 2012-01-26 Mitsubishi Electric Corp. Fahrzeuglenkungssystem

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000344121A (ja) 2000-12-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8544592B2 (en) Steering apparatus for vehicle
US6886656B2 (en) Electric power steering apparatus
JP5050417B2 (ja) 車両用操舵制御装置
JP3517863B2 (ja) 操舵制御装置
JP4895091B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP3593898B2 (ja) 操舵制御装置
JP5338491B2 (ja) 車両用操舵装置および車両用操舵方法
JP3617291B2 (ja) 車両用操舵装置
JP3489112B2 (ja) 車両用操舵制御装置
JP3344463B2 (ja) 車両用操舵制御装置
JP4826347B2 (ja) 車両の操舵装置
JP3409838B2 (ja) 車両用操舵装置
JP4269451B2 (ja) 車両用操舵制御装置
JP4404693B2 (ja) 車両用操舵装置
JP4239313B2 (ja) 車両用操舵制御装置
JP2004098732A (ja) 車輌用操舵応答特性制御装置
JP4023017B2 (ja) 操舵制御装置
JP3518587B2 (ja) 操舵制御装置
JP4438132B2 (ja) 車両用操舵制御装置
JP3494212B2 (ja) 車両用操舵制御装置
JP3635940B2 (ja) 操舵制御装置
JP2000085603A (ja) 操舵制御装置
JP2000159134A (ja) 車両用操舵制御装置
JP4730223B2 (ja) 車両用操舵装置
JP2001239951A (ja) 電動パワーステアリング制御装置及びその制御方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081107

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081107

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091107

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101107

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101107

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111107

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111107

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121107

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121107

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131107

Year of fee payment: 10

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees