JP4239313B2 - 車両用操舵制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、操舵ハンドルの操舵量と車輪の転舵量との間の伝達比を変化させる伝達比可変機構を備えた車両用操舵制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、操舵ハンドルの操舵角と転舵輪の転舵角との間の伝達比を変化させる伝達比可変機構を備えた車両用操舵制御装置が知られている。例えば、特開昭62−238167号に開示された伝達比可変機構は、操舵ハンドルに連結されるハンドル軸と、ステアリングギヤ装置側に連結される中間軸とを、所定のギヤ機構で連結し、このギヤ機構を駆動モータで駆動することで、ハンドル軸−中間軸間の回転量の伝達比が変更可能な機構となっている。通常この駆動モータは、駆動モータの作動角が、操舵ハンドルの操舵角と伝達比とをもとに演算された目標作動角となるように制御されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このように目標作動角と実作動角との偏差をもとに駆動モータを制御しているので、急操舵や負荷の影響等により駆動モータに追従遅れが生じた場合には制御偏差が蓄積され、急操舵後に操舵を停止した場合や操舵ハンドルの急激な切り返し操作がなされた場合などには、残存する蓄積偏差の影響で駆動モータがオーバーシュートする場合があった。
【0004】
この状態の一例を図7に示す。操舵ハンドルの急激な切り返し操作が行われた場合、駆動モータの目標作動角は実線で示すように推移する。これに対し、操舵ハンドルを切り返した時刻t1の時点では、点線で示す駆動モータの実作動角との間に、追従遅れによる制御偏差d1が残存しており、この後、操舵ハンドルの操舵方向が切り返されると、操舵トルクも切り返されるため、駆動モータの回転方向と操舵トルクの方向が逆となって駆動モータの回転をアシストする方向に作用し、駆動モータの回転速度が急増する。そして、時刻t2で目標作動角と駆動モータの実作動角が一致して駆動モータの回転が停止するような制御量が設定されても、駆動モータの慣性と増速された駆動モータの回転速度により時刻t3において大きなオーバーシュートd2が発生する。このような現象によって、操舵ハンドルの操舵方向と車輪の転舵方向が一致しないなどのような操舵違和感を運転者に与える結果となっていた。
【0005】
本発明は、このような課題を解決すべくなされたものであり、その目的は、このようなオーバーシュートの発生を十分に抑制し、操舵違和感を低減させ得る車両用操舵制御装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで請求項1にかかる車両用操舵制御装置は、操舵ハンドルの操舵角と転舵輪の転舵角との間の伝達比を変化させる伝達比可変機構を備えた車両用操舵制御装置であって、操舵ハンドルの操舵角を検出する操舵角検出手段と、伝達比可変機構を回転駆動する駆動手段と、駆動手段の実作動角を検出する作動角検出手段と、走行状態に応じて設定する伝達比をもとに、検出された操舵角に応じて駆動手段の目標作動角を設定すると共に、実作動角が目標作動角となるように駆動手段の駆動制御を行う制御手段とを備えており、制御手段は、駆動手段の追従遅れに伴う目標作動角と実作動角との制御偏差が減少傾向と判断した際に、この制御偏差を低減させるように目標作動角を変更する変更手段をさらに備えて構成する。
【0007】
例えば操舵ハンドルの急激な切り返し操作が行われる場合などに、制御対象となる駆動手段の駆動速度を超えるような操舵速度となると、駆動手段に追従遅れが発生し、設定される目標作動角と実作動角との制御偏差が増大する。そして、切り返し位置に近づくに連れて操舵速度が減少し、切り返し位置では操舵速度がゼロとなる。このように切り返し位置が近づくと操舵速度が減少し、それ以前には増加傾向であった制御偏差が減少傾向に転じる。変更手段では、制御偏差が減少傾向と判断した際に、制御偏差を低減させるように目標作動角を予め変更することで、実際の切り返し位置の手前で制御偏差を強制的に低減させることができ、これにより実際の切り返し時における駆動手段の慣性力が十分に抑えられ、駆動手段におけるオーバーシュートの発生が抑制される。
【0008】
なお、急操舵後に保舵状態に移行した場合にもオーバーシュートが発生する場合があるが、保舵位置が近づくに連れて次第に操舵速度が減少する傾向となるため、同様な処理により保舵状態に移行した直後のオーバーシュートが抑制される。
【0009】
請求項2にかかる車両用操舵制御装置は、請求項1における車両用操舵制御装置において、変更手段は、目標作動角の変化速度と実作動角の変化速度との差となる速度偏差の符号が反転した際に、その時点における実作動角の値を目標作動角として設定する。
【0010】
追従遅れが発生している状況下で、制御偏差が増加傾向から減少傾向に転じると、目標作動角の変化速度と実作動角の変化速度との差となる速度偏差の符号も反転する。この際、変更手段では、その時点における実作動角の値を目標作動角として設定することで、追従遅れに伴う制御偏差がキャンセルされることになる。このような処理により、駆動手段における角度のオーバーシュートだけでなく、角速度のオーバーシュートが抑えられるため、駆動手段の駆動力が切り返し時の操舵反力に対して逆方向に作用することが防止される。
【0011】
請求項3にかかる車両用操舵制御装置は、操舵ハンドルの操舵角と転舵輪の転舵角との間の伝達比を変化させる伝達比可変機構を備えた車両用操舵制御装置であって、操舵ハンドルの操舵角を検出する操舵角検出手段と、伝達比可変機構を回転駆動する駆動手段と、転舵輪の実転舵角を検知する転舵角検知手段と、走行状態に応じて設定する伝達比をもとに、検出された操舵角に応じて転舵輪の目標転舵角を設定すると共に、実転舵角が目標転舵角となるように駆動手段の駆動制御を行う制御手段とを備えており、制御手段は、駆動手段の追従遅れに伴う目標転舵角と実転舵角との制御偏差が減少傾向と判断した際に、この制御偏差を低減させるように前記目標転舵角を変更する変更手段をさらに備えて構成する。
【0012】
請求項1にかかる車両用操舵制御装置では、制御手段において駆動手段の目標作動角を設定したが、操舵ハンドル、伝達比可変機構及び転舵輪は、一連の連結関係となっているため、制御手段によって、転舵輪の目標転舵角を設定し、実転舵角が目標転舵角となるように駆動手段の駆動制御を行う場合にも、同様に適用することが可能であり、同様の作用によって、駆動手段におけるオーバーシュートの発生が抑制される。
【0013】
請求項4にかかる車両用操舵制御装置は、請求項3における車両用操舵制御装置において、変更手段は、目標転舵角の変化速度と実転舵角の変化速度との差となる速度偏差の符号が反転した際に、その時点における実転舵角の値を目標転舵角として設定する。
【0014】
請求項2にかかる車両用操舵制御装置と同様に、追従遅れが発生している状況下で、制御偏差が増加傾向から減少傾向に転じると、目標転舵角の変化速度と実転舵角の変化速度との差となる速度偏差の符号も反転する。この際、変更手段では、その時点における実転舵角の値を目標転舵角として設定することで、追従遅れに伴う制御偏差がキャンセルされ、同様の作用によって、駆動手段の駆動力が切り返し時の操舵反力に対して逆方向に作用することが防止される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態につき、添付図面を参照して説明する。
【0016】
図1に操舵装置の構成を示す。入力軸20と出力軸40とは伝達比可変機構30を介して連結されており、入力軸20には操舵ハンドル10が連結されている。出力軸40は、ラックアンドピニオン式のギヤ装置50を介してラック軸51に連結されており、ラック軸51の両側には転舵輪FWが連結されている。
【0017】
また、操舵ハンドル10の操舵角が入力軸20の回転角に対応するため、入力軸20には、入力軸20の回転角としての操舵角θhを検出する操舵角センサ21を設けている。
【0018】
伝達比可変機構30は、入力軸20と出力軸40とを連結する所定のギヤ機構を介して連結し、このギヤ機構を、例えばサーボモータで構成するアクチュエータ31で駆動することで、入力軸20−出力軸40間の伝達比を変化させる機構となっている。このアクチュエータ31には、アクチュエータ31の作動角(実作動角)を検出する作動角センサ32を備えており、検出された作動角θmは操舵制御装置70に与えられる。なお、このアクチュエータ31は、イグニションスイッチのオフ操作によって制御が終了した後はロックされる機構となっており、イグニションスイッチがオン操作されるまでの間に、アクチュエータ31の作動角θmが変化することはない。
【0019】
この出力軸40の回転角を出力角θpとすると、アクチュエータ31が作動角θmだけ回転することで、操舵角θhが増速されて出力角θpとなるため、操舵角θh、作動角θm、出力角θpは下記(1)式の関係となる。従って、操舵角θhと作動角θmとをもとに、出力角θpを把握することができる。
【0020】
θp=θh+θm …(1)
そして出力角θpはラック軸51のストローク位置に対応し、さらにラック軸51のストローク位置は車輪FWの転舵角に対応するため、操舵角θhと作動角θmとをもとに車輪FWの転舵角を検知している。
【0021】
伝達比可変機構30の駆動制御は操舵制御装置70によって実施される。操舵制御装置70には、操舵角センサ21、作動角センサ32の他、車両の速度を検出する車速センサ60の各検出信号が与えられ、操舵制御装置70はこれらの信号をもとに伝達比Gを設定すると共に、伝達比G及び操舵角θhに応じて設定される制御信号Isをアクチュエータ31に対して出力する処理を繰り返し、伝達比可変機構30の駆動制御を実施している。
【0022】
ここで、操舵制御装置70で実施される制御処理について、図2のフローチャートに沿って説明する。
【0023】
このフローチャートはイグニションスイッチのオン操作によって起動する。まず、ステップ(以下、ステップを「S」と記す。)102に進み、操舵角センサ21で検出された操舵角θh、作動角センサ32で検出された作動角(実作動角)θm、車速センサ60で検出された車速Vがそれぞれ読み込まれる。
【0024】
続くS104では、図3に示す車速Vと伝達比Gとの関係を示すマップをもとに、車速Vに応じた伝達比Gを設定する。
【0025】
続くS106では、制御目標となるアクチュエータ31の目標作動角θmmを設定する。操舵角θh、伝達比G及び出力角θpは下記(2)式の関係となるため、(1)式、(2)式より目標作動角θmmは(3)式で規定される。
【0026】
θp=G・θh …(2)
θmm=(G−1)・θh …(3)
続くS108では、目標作動角θmmの修正処理が実行中であることを示すフラグFの値が0にリセットされているかを判断するが、初期状態ではF=0に設定されており、「Yes」と判断されてS110に進む。
【0027】
S110では、S106で設定された目標作動角θmmとS102で読み込まれたアクチュエータ31の作動角θmとの角度偏差Eが判定基準値Ethより大であるかを判断する。なお判定基準値Ethは、アクチュエータ31に追従遅れが発生している状態を判断するために設定した値である。
【0028】
角度偏差Eが判定基準値Eth以下の場合には、S110で「No」と判断されてS112に進み、この時点での角度偏差EをEpreとして記憶し、S114に進む。
【0029】
S114では、アクチュエータ31の作動角θmが目標作動角θmmに一致するように、アクチュエータ31を駆動する制御信号Isを決定する。この処理の一例としては、「s」をラプラス演算子とする所定の関数C(s)を用い、Is=C(s)・(θmm−θm)の演算式に基づいて、PID制御のパラメータを適切に設定することにより制御信号Isを決定することができる。
【0030】
続くS116では、S114で決定された制御信号Isをアクチュエータ31に出力し、制御信号Isに基づいてアクチュエータ31を駆動する。
【0031】
この後、S118に進み、イグニションスイッチ(IG)がオフ操作されたかを判断し、「No」の場合にはS102に戻り、S118で「Yes」と判断さるまで一連の操舵制御が継続される。
【0032】
ここで、アクチュエータ31の追従遅れにより、角度偏差Eが判定基準値Ethより大となった場合には、前出のS110で「Yes」と判断され、S200に進み、角度偏差Eが増加傾向から減少傾向に転じたかを判断する。ここでは、目標作動角速度(d(θmm)/dt)と作動角速度(d(θm)/dt)との偏差となる速度偏差(d(E)/dt)の符号が、その前回値(d(Epre)/dt)と比較して、正から負に或いは負から正に反転したかをもとに判断している。
【0033】
S200で「No」の場合、すなわち角度偏差Eが増加傾向の場合には、操舵ハンドル10の急操舵が継続中であると判断でき、この場合には前出のS112以降の通常の処理に進む。
【0034】
これに対し、S200で「Yes」の場合、すなわち速度偏差(d(E)/dt)の符号が前回値(d(Epre)/dt)と比較して反転した場合には、操舵ハンドル10の切り返し位置や保舵位置が近づいたため、操舵ハンドル10の操舵速度が減速傾向に転じたものとして判断し、この場合にはS202に進み、目標作動角θmmを変更するオフセット量Sの初期値を下記(4)式をもとに設定する。(4)式で示されるように、このオフセット量Sの初期値は、この時点における角度偏差Eの値である。
【0035】
S=θmm−θm …(4)
続くS204では、S106で設定された目標作動角θmmからS202で設定されたオフセット量Sを減じた値を、新たな目標作動角θmmとして更新し、S206でフラグFを1にセットした後、前出のS114に進む。
【0036】
S114では前述と同様に制御信号Isが設定されるが、S204で目標作動角θmmが更新されているため、この変更により制御偏差としての角度偏差EがE=θmm−θm=0となって、アクチュエータ31の回転を停止させるように制御信号Is=0に設定される。
【0037】
このように、速度偏差(d(E)/dt)の符号が前回値(d(Epre)/dt)と比較して反転したタイミングで、追従不良の発生によって蓄積された角度偏差Eを一旦キャンセルする処理が実施される。
【0038】
この状態を図4に示す。図中、通常設定される目標作動角θmmの推移を実線で示し、作動角θmの推移を点線で示す。
【0039】
時刻t01で、アクチュエータ31の追従速度を超えるような急操舵が行われたとすると、速度偏差(d(E)/dt)は正の値であり、時間経過と共に目標作動角θmmと実作動角θmとの角度偏差Eが増加する状態となる。操舵ハンドル10の切り返し位置に近づき、時刻t02付近では速度偏差(d(E)/dt)が減少傾向となり、角度偏差Eの増加分も抑制され、時刻t02では、速度偏差(d(E)/dt)=0となり、角度偏差Eの増加分もゼロとなる。そして時刻t02を超えると、速度偏差(d(E)/dt)が正から負に転じるため、このタイミングで先のS204が実施され、角度偏差E=0に設定される。
【0040】
図2のフローチャートに戻り、次回のルーチンでは、前回のルーチンのS206でフラグFが1にセットされているため、S108で「No」と判断されてS300に進み、操舵方向が反転したことを示すフラグRvが1にセットされているかを判断するが、初期状態ではRv=0に設定されているため、「No」と判断されてS302に進む。
【0041】
S302では、操舵方向が反転したかを判断する。操舵方向の反転は、例えば操舵角θhの前回検出値と今回検出値とを比較することにより判断する。S302で「No」と判断された場合には、同じ方向への操舵が継続中であるため、「No」と判断されてS304に進み、S202で設定されたオフセット量Sを再び設定し、前出のS204以降の処理に移行する。
【0042】
図4の例では、時刻t03において操舵方向が反転するので、時刻t02〜t03では、S304の処理が繰り返されるため、この間、オフセット量Sは初期値が維持される。そして、時刻t03の時点で、S302で「Yes」と判断されてS306に進み、操舵方向が反転したことを示すフラグRvを1に設定する。続くS308では、オフセット量Sから所定値αを減じた値を新たなオフセット量Sとして更新し、前出のS204以降の処理に移行する。
【0043】
次回以降のルーチンでは、S108で「No」、S300で「Yes」と判断されてS310に進み、前回のルーチンのS308で更新されたオフセット量Sがしきい値Sth以下の値になったかを判断する。この判断で「No」の場合には、先のS308に進む。従って、このようにS308を実施する毎に、オフセット量Sが所定値αだけ減少するため、S204において変更された目標作動角θmmが、通常設定されるべき目標作動角θmmに近づくような復帰処理が実施される。
【0044】
そして、このような復帰処理を継続し、オフセット量Sがしきい値Sthよりも小となると、S310で「Yes」と判断されてS312に進み、オフセット量SとフラグF及びRvの値をすべて0にリセットし、この後、S114の処理に進むため、再び通常の制御処理が開始されることになる。
【0045】
なお、S302では、保舵中も「No」と判断されてS304に進むため、保舵中にオフセット量Sを減少させる処理が実行されることはない。
【0046】
以上説明した実施形態のうち、図2のフローチャートでは、説明の便宜上、目標作動角θmm、作動角θm、オフセット量Sなどがすべて正の値の場合について説明したが、目標作動角θmm等が負の値をとる場合も実質的に同様な処理となるため、説明を省略する。
【0047】
また、オフセット量Sの初期値は、(4)式において目標作動角θmmと作動角θmとの差として設定する場合を例示したが、この例に限定するものではなく、制御偏差としての角度偏差Eが、初期値設定時点における実際の角度偏差Eよりも低減されるように、オフセット量Sを設定すればよい。
【0048】
さらに、オフセット量Sを減少させる処理が開始した後は、オフセット量Sがしきい値Sth以下となるまで継続して実施する場合を例示したが、この間に再び急操舵が行われた場合などには、オフセット量SとフラグF及びRvの値をすべて0にリセットして復帰処理を中止する処理を実行させてもよく、これにより操舵状態に応じた好適な制御処理を実施することができる。
【0049】
また、以上説明した実施形態では、アクチュエータ31の目標作動角θmmを設定し、検出された作動角θmが目標作動角θmmとなるように制御信号Isを設定する場合について例示したが、操舵ハンドル10、伝達比可変機構30及び転舵輪FWは一連の連結関係であるため、出力軸40の出力角θpを制御する制御手法に対しても、同様に適用することが可能である。
【0050】
すなわち、図5に示すように、作動角センサ32に代えて、出力軸40の回転角を検出する出力角センサ41を設け、転舵輪FWの転舵角に対応する出力角θpを検出すると共に、出力軸40の目標出力角θpmを設定し、出力角θpが目標出力角θpmとなるように制御信号Isを設定する。
【0051】
この場合のフローチャートは図6に示すようになる。図2のフローチャートとの相違点は、S102では作動角θmに代えて出力軸40の出力角θpを読み込み、S106では目標作動角θmmに代え、前出の(2)式をもとに、目標転舵角としての目標出力角θpmを設定する。また、S110では、制御偏差となる角度偏差Eを、E=θpm−θpとして設定し、S114では制御信号IsをIs=C(s)・(θpm−θp)として設定する。
【0052】
そして、S202ではオフセット量SをS=θpm−θpとして設定し、S204では、S106で設定された目標出力角θpmと、S202で設定されたオフセット量Sとをもとに、新たな目標出力角θpmの値を、θpm=θpm−Sとして更新する。
【0053】
その他の処理は、図2のフローチャートと同様であり、同一の処理ステップ数を付して示し説明は省略する。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1にかかる車両用操舵制御装置によれば、駆動手段の追従遅れによって生じた目標作動角と実作動角との制御偏差が減少傾向と判断した際に、この制御偏差を低減させるように目標作動角を変更する変更手段を備える構成を採用した。従って、操舵ハンドルの切り返し位置に至る前に、制御偏差を低減させるように目標作動角を予め変更することができ、これにより切り返しの際における駆動手段のオーバーシュートを十分に抑制することが可能となる。
【0055】
また請求項3にかかる車両用操舵制御装置によれば、駆動手段の追従遅れによって生じた目標転舵角と実転舵角との制御偏差が減少傾向と判断した際に、この制御偏差を低減させるように目標転舵角を変更する変更手段を備える構成を採用した。従って、操舵ハンドルの切り返し位置に至る前に、制御偏差を低減させるように目標転舵角を予め変更することができ、これにより切り返しの際における駆動手段のオーバーシュートを十分に抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】操舵装置の全体的な構成を示すブロック図である。
【図2】操舵制御装置で実施する制御処理を示すフローチャートである。
【図3】車速Vと伝達比Gとの関係を規定したマップである。
【図4】目標作動角θmm、作動角θm、速度偏差(d(E)/dt)及び角度偏差Eの時間的推移を示す説明図である。
【図5】他の実施形態にかかる操舵装置の全体的な構成を示すブロック図である。
【図6】他の実施形態にかかる制御処理を示すフローチャートである。
【図7】目標作動角(実線)と駆動モータの実作動角(点線)との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10…操舵ハンドル、20…入力軸、21…操舵角センサ
30…伝達比可変機構、31…アクチュエータ、32…作動角センサ
40…出力軸、41…出力角センサ、70…操舵制御装置
Claims (4)
- 操舵ハンドルの操舵角と転舵輪の転舵角との間の伝達比を変化させる伝達比可変機構を備えた車両用操舵制御装置であって、
前記操舵ハンドルの操舵角を検出する操舵角検出手段と、
前記伝達比可変機構を回転駆動する駆動手段と、
前記駆動手段の実作動角を検出する作動角検出手段と、
走行状態に応じて設定する前記伝達比をもとに、検出された前記操舵角に応じて前記駆動手段の目標作動角を設定すると共に、前記実作動角が目標作動角となるように前記駆動手段の駆動制御を行う制御手段とを備えており、
前記制御手段は、前記駆動手段の追従遅れに伴う目標作動角と実作動角との制御偏差が減少傾向と判断した際に、この制御偏差を低減させるように前記目標作動角を変更する変更手段をさらに備える車両用操舵制御装置。 - 前記変更手段は、前記目標作動角の変化速度と実作動角の変化速度との差となる速度偏差の符号が反転した際に、その時点における前記実作動角の値を前記目標作動角として設定する請求項1記載の車両用操舵制御装置。
- 操舵ハンドルの操舵角と転舵輪の転舵角との間の伝達比を変化させる伝達比可変機構を備えた車両用操舵制御装置であって、
前記操舵ハンドルの操舵角を検出する操舵角検出手段と、
前記伝達比可変機構を回転駆動する駆動手段と、
前記転舵輪の実転舵角を検知する転舵角検知手段と、
走行状態に応じて設定する前記伝達比をもとに、検出された前記操舵角に応じて前記転舵輪の目標転舵角を設定すると共に、前記実転舵角が目標転舵角となるように前記駆動手段の駆動制御を行う制御手段とを備えており、
前記制御手段は、前記駆動手段の追従遅れに伴う目標転舵角と実転舵角との制御偏差が減少傾向と判断した際に、この制御偏差を低減させるように前記目標転舵角を変更する変更手段をさらに備える車両用操舵制御装置。 - 前記変更手段は、前記目標転舵角の変化速度と実転舵角の変化速度との差となる速度偏差の符号が反転した際に、その時点における前記実転舵角の値を前記目標転舵角として設定する請求項3記載の車両用操舵制御装置。
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