JP3386549B2 - 味覚改質剤 - Google Patents
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Description
のであり、より詳細には、食品の苦味等の不快感を除去
し、良好な風味を付与する味覚改質剤に関する。
摂取する場合、本来の目的である栄養摂取の他に、甘味
・旨味に起因するある種の満足感を求めたり、苦味によ
る不快感の回避等の欲求がある。日常的な生活において
はもちろんのこと、ある種の病者においては、摂取糖量
或いはアミノ酸量の制限を受け、甘味の低下による苦味
の増加は食餌内容に影響を与え、精神的苦痛は重篤のも
のがある。
業上、多大な努力が成されている。食品本来の風味を損
なわず食品中の苦味を除去する方法に関しては、食品の
調理の際の「あく抜き」等の手段に見られるように、浸
漬、水洗或いは弱アルカリ処理等による中和除去が多く
行われる。工業的には、例えば柑橘類の果汁苦味除去に
用いられるシリカゲル(特開昭60−91969号公
報)に代表されるような吸着体による除去法や、シクロ
デキストリンの添加による苦味成分の包括法(特開平2
−283246号公報)、或いは配糖体、ペプチド等の
苦味成分については酵素処理による分解除去(特開平2
−207768号公報)等の方法が提案されている。
や香料を添加して苦味の緩和を行うが、強い苦味を呈す
る食品については十分な効果が得られない。適度の甘味
が、人間にある種の満足感や安息感を与え、それらが添
加された経口内に対し良好な状態を付与することは知ら
れており、また先に述べた苦味の低減、緩和に関しても
対比効果によってある程度有効であることが知られてい
る。しかし、過度の甘味性糖質の添加は、カロリー摂取
過多、虫歯の誘発等の好ましくない結果をもたらす。そ
こで、各種の低カロリーの強力甘味剤が開発されて一部
では砂糖の代替物として利用されている。
る味覚の改質では、味覚受容組織に関してこれを修飾す
る物質が報告されている(化学と生物 第27巻 第6
号p350)。例えば、ガガイモ科のある種の植物の葉
に含有されるギムネマ酸やナツメの葉に含まれるジジフ
ィンは、トリテルペン配糖体であり苦味に対する抑制効
果が知られており、またアカテツ科の植物果実であるミ
ラクルフルーツから得られるミラクリンやキンバイザサ
科の植物に含有されるクルクリンは口に含んだ後、酸味
或いは無味の水を飲むと甘味を感じさせる効果を有する
ことが見いだされている(特開平2−84158号公
報)。しかしながら、これらはその供給量、分離精製、
化学的安定性、価格等の点で問題があり産業上有効に利
用されてはいない。即ち、甘味の増強或いは苦味抑制等
の味覚改質において、いずれの方法も、限られた味質や
限られた苦味物質に対してしか適用できないこと、また
工業上その有用性に欠けるということの問題があった。
従って、本発明の目的は、大量生産が容易で、且つ安価
に提供でき、経口摂取に対して安全性があり、且つ苦味
抑制作用と甘味及び旨味増強作用を併せ持つ味覚改良剤
を提供することにある。
味覚器にて行われる味覚受容機構並びに呈味物質と脂質
構造体の相互作用に着目し、味覚改質効果について鋭意
研究を行った結果、本発明に係る蛋白質−脂質複合体
が、(1) 疎水性物質との親和性が高く、特に苦味物質を
吸着し系内の苦味物質の濃度を低下させること、(2) ま
た同時に或いは独立に舌上の味細胞の味覚受容部位に吸
着し、味覚の受容が修飾されることを見いだし本発明に
至った。即ち、本発明は、リン脂質、リゾリン脂質、糖
脂質、ステロール脂質、ポリオール脂肪酸エステル及び
脂肪酸から選ばれる1種又は2種以上の脂質と、乳蛋白
質、大豆由来蛋白質及び卵蛋白質から選ばれる1種又は
2種以上の蛋白質とから得られる蛋白質−脂質複合体か
らなることを特徴とする味覚改質剤を提供することによ
り上記目的を達成したものである。
機構で受容し認識する。一般に苦味物質は疎水基を有し
味覚受容器の脂質層に結合することによって苦味を知覚
させる。このため強く脂質に結合する物質であるという
特質がある。この特質を利用して苦味物質にリン脂質で
構成されたリポソーム等を添加すると、苦味物質は吸着
されて味細胞を刺激できないことが知られている。一
方、甘味、旨味の受容に対しては蛋白質からなる味覚受
容体を介して行われる。このため、プロテアーゼ処理や
界面活性剤による変性作用により、これらの味質に対す
る感受性が低下することが報告されている。
造体は、表面の疎水性、生体膜親和性を期して、薬剤を
包含したドラックデリバリーシステムとしての利用が研
究されているが、味覚受容機構に関連した味覚改質に対
する積極的な使用法は知られていない。またリポソーム
の調製については実用面で困難性を有する。即ち、リン
脂質を用いる場合においては、乳化及び分散工程が必要
とされ、更に製品中で安定に存在させることも困難であ
る。
は、脂質の水への分散性を高めることが可能となり、有
効な味覚改質剤として用いることができる。しかも、口
腔内の味覚器にて行われる味覚受容機構並びに呈味物質
と脂質構造体との相互作用により、蛋白質−脂質複合体
は、疎水性物質との親和性が高く、特に苦味物質を吸着
し口内の苦味物質の濃度を低下させ、同時に或いは独立
に舌上の味細胞の味覚受容部位に吸着し、味覚の受容を
修飾する作用が見られる。従って、蛋白質−脂質複合体
は、苦味を抑制すると共に甘味、旨味を増強する作用を
持つため、食品の苦味抑制、食品の不快な味の低減とコ
ク味の増強等の効果が得られ、しかも液状、粉末状又は
細粒状であるため、操作性にも優れ、対象とする原料或
いは製品にそのまま混合して使用をすることができ、更
に水に分散させて用いることもできる。また、生体に対
しても安全で大量生産が容易にできる。
詳述する。本発明に係る味覚改良剤は、脂質と蛋白質と
から得られる蛋白質−脂質複合体からなる。蛋白質−脂
質複合体の調製成分である蛋白質は、水溶性蛋白質が好
ましく、乳蛋白質、大豆由来蛋白質、卵蛋白質から選ば
れる1種又は2種以上である。また、蛋白質の成分の全
量に対してβーラクトグロブリンを30重量%以上含有
していることが望ましく、この範囲を下回ると、良好な
結果が得難くなる。
リゾリン脂質、糖脂質、ステロール脂質、ポリオール脂
肪酸エステル、脂肪酸である。好ましくはリン脂質及び
/又はリゾリン脂質を用いるのが良く、その場合、大
豆、卵黄等の動物又は/及び植物性の抽出レシチン、精
製レシチン或いは酵素処理等による加工レシチンの使用
ができる。また具体的なリン脂質及び/又はリゾリン脂
質としては、ホスファチジン酸、ホスファチジルコリ
ン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジル
イノシトール、ホスファチジルセリン、スフィンゴミエ
リン、リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルコリ
ン等が挙げられ、これらの内の1種又は2種以上を用い
ることが望ましい。
されたリン脂質類及び/又はリゾリン脂質類を用いるこ
とができる。具体的な合成手法としては、ジグリセリド
のリン酸エステル化、モノグリセリドのリン酸エステル
化、グリセロリン酸の脂肪酸エステル化等が挙げられ、
これらの合成手法により生じた反応生成物であるリン脂
質類及び/又はリゾリン脂質類を用いることができる。
具体的には、モノアシルグリセロモノフォスフェート、
モノアシルグリセロジフォスフェート、ジアシルグリセ
ロモノフォスフェート、ビスホスファチジン酸等が挙げ
られる。さらに、水素添加リン脂質及び/又は水素添加
リゾリン脂質等が挙げられる。
機械的手段及び/又は超音波処理等で均一に乳化分散さ
せた後、脱水処理を行うことにより粉末状或いは顆粒状
の組成物として得ることができる。蛋白質−脂質複合体
を製造する際の蛋白質と脂質の配合比は、蛋白質1部に
対し、脂質0.05部〜50部(重量)が好ましく、更
に好ましくは蛋白質1部に対し、脂質0.4〜3部であ
る。上記比率において、蛋白質1部に対し脂質0.05
部以下の場合、味覚を改質する効果が得られない。又、
蛋白質1部に対し脂質50部を超える場合には、水への
分散性が低下し調製作業上有効ではない、使用上も困難
である。
分散させ乳化物を得る際、蛋白質−脂質混合物に対する
水の配合比率は、蛋白質と脂質の混合物1部に対し、水
0.5部〜100部が好ましく、更に好ましくは、蛋白
質と脂質の混合物1部に対し、水1部〜10部である。
混合物に対する水分が上記範囲を下回ると、蛋白質と脂
質の均一化が妨げられ、上記範囲を超えると、脱水工程
の負荷が増大し実用に乏しくなる。
脂質を予め混合し、所定の量の水に分散乳化を行う方
法、或いは均一な蛋白質水溶液を調製し、これに対し脂
質を分散乳化させる方法等があるが、いずれの方法でも
良い。これらの分散乳化に際して、均質化装置又は乳化
装置、或いは超音波処理装置等の利用ができる。乳化組
成物の乳化状態については、水中油型(O/W型)、油
中水型(W/O型)、或いは油中水中油型(O/W/O
型)等の多相乳化型等を挙げることができ、特にその実
施に制限されない。乳化組成物の粒子径は0.1〜10
0μmが好ましく、特に0.5〜10μmが好ましい。
分散時の温度に制限はないが、高温では脂質等の劣化が
生じるため、悪臭等の悪影響を防止すべく温度60℃以
下が好ましい。脱水処理方法は特に制限はなく公知の方
法を用いることができ、例えば、減圧乾燥、噴霧乾燥、
或いは凍結乾燥等の手段が挙げられ、微生物等の汚染、
或いは蛋白質、脂質の劣化を引き起こさず、速やかに脱
水処理できる方法が望ましい。乾燥後の水分含有量につ
いては、20重量%以下、好ましくは12重量%以下、
更に好ましくは10重量%以下である。蛋白質−脂質複
合体の形状は、水分含有量及び脂質含有量に依存し、粉
末状、顆粒状、又はペースト状が挙げられ、形状及び大
きさについては使用上の便利さを考えた上で、取扱上の
不都合である様な物を除けば特に限定されるものではな
い。
体を味覚改質剤として用いる場合、水溶液及び固形物の
利用分野としては、食品、飲料及びそれらの原料等があ
る。本発明の味覚改質剤の添加量は、適用できる製品に
よって異なり、概ね好ましい添加量は0.05〜10.
0重量%、特に、0.1〜3.0重量%である。また、
本発明の味覚改質剤は、フレーバー、香辛料、風味油な
どの香気成分を含む原料と併用してもよい。
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。尚、例中の部は重量基準である。 (実施例1)ホエー蛋白濃縮粉末(商品名サンラクトN
−2:太陽化学(株)製)100gと大豆レシチン(商
品名日清DX:日清製油(株)製)40gとを混練し、
1リットルの水に分散後、特殊機化(株)製TKホモミ
キサーにて9000rpmの回転数を与え、15分間均
質化した。得られた乳化物を40℃、0.1Torr
で、固形物中の水分を9.8%まで減圧脱水を行った。
得られた塊状の組成物を粉砕し、20メッシュの篩で篩
過して、本発明の味覚改質剤(以下、実施試料1と略
記)136gを得た。
に対する味覚改質効果を等価濃度法にて検定した。等価
濃度法とは、試験溶液の味の強さを、何種類かの標準溶
液と比較し、同じ味の強さとする方法である。表1に示
すような濃度で各味物質の溶液を調製し、実施試料1を
0.1%の濃度になるように添加した。結果が図1及び
図2に示す様に、甘味、旨味については増強が認めら
れ、図3に示すように苦味に対しては抑制作用を示し
た。また、図4及び図5に示すように酸味、塩味に関し
てはほとんど影響を与えなかった。
た、ホエー蛋白濃縮粉末100gと大豆レシチン40g
とを混練し、蒸留水1リットルを加え、実施例1と同様
な方法で分散、乳化のみ行い、懸濁液(比較試料1)を
得た。更に、これを凍結乾燥装置を用い、固形物中の水
分量が7.8%になるまで乾燥し、20メッシュの篩で
篩過し、粉末(実施試料2)を得た。これらの試料を用
いて、表1に示す試験溶液を用い、味覚に対する効果を
等価濃度試験で検定した。同時に、ホエー蛋白濃縮物、
大豆レシチン、それぞれの味覚に対する効果を検定した
(表2)。この結果(表2)より、脱水処理が蛋白質−
脂質複合体(ホエー蛋白質−大豆レシチン)の生成に、
また効果の発現に関して重要であることがわかる。
を、0〜0.6%の濃度で調製した蔗糖水溶液に0.3
%になるように添加し、甘味に対する効果を刺激閾値を
測定することによって求めた。閾値は各濃度の蔗糖水溶
液をランダムに口に含み、甘味を感じたものを選び出
し、そのうち最小濃度のものを閾値とした。表3の結果
でわかるように、実施試料1を添加した系では、閾値が
低下しており、甘味を感じ易くなっていることがわか
る。
を、1.875%の濃度で蔗糖を添加した市販の牛乳
に、0.1%になるように加え、実施例1と同様な方法
で、各濃度で蔗糖を含んだ牛乳を標準液として、等価濃
度試験を行った結果、認識濃度は2.25%となり、実
施試料2は牛乳中でも効果を発現することがわかる。 (実施例5)ホエー蛋白濃縮粉末(商品名:サンラクト
N−5:太陽化学(株)製)100gを蒸留水1リット
ルに溶解し、特殊機化(株)製TKホモミキサーで90
00rpmの攪拌を与えながら、大豆レシチン(味の素
(株)製)20gを少量づつ添加し室温で乳化分散させ
た。この分散物を固形物中の水分が6.5%になるまで
凍結乾燥を行い、108gの固形物を得た。これを金属
へらで粉砕し、粉末状の組成物を得た(実施試料3)。
この組成物を0.1%の濃度で添加した1.0%蔗糖水
溶液及び0.00070%テオブロミン(ココアの苦味
成分)水溶液の等価濃度はそれぞれ1.25%、0.0
0058%であった。また、実施試料3を用いて以下の
評価実験を行った。
ついて、モデル生体膜を用いた苦味応答系で効果を検討
した。常法に従い、アゾレクチンの一枚膜リポゾームを
調製し、これに対するテオブロミン(ココアの苦味成
分)の吸着を、クマザワ等の方法(バイオケミスティー
27巻 p1239 1988年)により、膜電位感
受性色素diS−C3 (5)(日本感光色素研究所製)を
用い、その蛍光強度の変化を、膜電位の変化として測定
した。その結果は図6に示す通りである。実施試料3は
膜に作用して、苦味を抑制することが推測された。
疎水性物質の吸着能について、有機溶媒−水の2相に対
する分配により検討した(油化学 第30巻 第11
号、942頁)。0.02Mリン酸カリ緩衝液(pH
7.0)30mlに対し、実施試料3を3%の濃度で添加
したものに、n−オクタノール、n−デカノール、n−
ドデカノール、δ−デカラクトン、δ−ドデカラクトン
の0.1%n−ヘプタン溶液をそれぞれ10mlづつ重層
した。水相側をマグネチックスターラーでゆっくり攪拌
し、6時間後のn−ヘプタン層の各物質の濃度を、ガス
クロマトグラフィーにより測定した。対照として、水相
側に何も加えないものを用意し、同様に6時間後のn−
ヘプタン層の物質濃度をCn 、試料添加系のn−ヘプタ
ン層の物質濃度をCs とすると、それぞれの実験系にお
ける物質の水層への分配量は、Wn =(1−Cn /0.
1)、Ws =(1−Cs /0.1)と表される。従っ
て、試料に対する各物質の吸着量は水層分配量の差分
(Ws −Wn )×100(%)として表される。各物質
の吸着量を表4にまとめる。複合化によって脂溶性物質
の吸着が増大し、苦味抑制の機構の一つに、蛋白質−脂
質複合体による苦味物質の吸着があることが示された。
尚、比較のため、実施試料3に代えて実施試料3の調製
に用いたホエー蛋白のみを添加したもの、大豆レシチン
のみ添加したもの、及び実施試料3の調製に用いたホエ
ー蛋白と大豆レシチンとを混練して得られた混練品を添
加したものを上記と同様に製造した。
甘味、苦味に対する味覚応答をラット鼓索神経系の刺激
応答により調べた。ラットの下顎を切開し神経束を露出
させ、銀電球を接触させた後、味覚刺激によって生じた
電気信号を増幅装置に導き記録した。実施試料4を0〜
0.5%の濃度で含んだ0.5mMテオブロミン及び1
M蔗糖水溶液をラットの口腔内に還流させ、応答電位を
記録した。その結果を図7及び図8に示す。本発明の蛋
白質−脂質複合体は味覚受容レベルで作用していること
がわかる。
ロン200:ルーカスマイヤー製)80gを蒸留水1リ
ットルに超音波処理により分散させ、これにミルクホエ
ー濃縮粉末(商品名ミルクプローH:三栄化学(株)
製)100gを加え、攪拌した。得られた乳化分散物を
凍結乾燥し、固形物中の水分含量を6.8%とした。こ
のものを20メッシュの篩で篩過し167gの粉末を得
た(実施試料4)。下記配合及び製法に従い、ホイップ
クリームを製造し、クリーム風味を比較した。
分散させて調製後、予備乳化、高圧均質化、滅菌処理
し、常法に従いクリーム状油脂組成物を得た。この組成
物1リットルにグラニュー糖80gを混合し、ホイップ
を行いホイップクリームを得た。比較のため、実施試料
4を無添加のもの、実施試料4に代えて実施試料4の調
製に用いたホエー蛋白0.5部をのみ添加したもの、及
び実施試料4の調製に用いたホエー蛋白と大豆レシチン
とを混練して得られた混練品を0.5部添加したものを
上記と同様に製造した。実施試料4を添加していないク
リームを対照として、クリーム風味の官能評価を行っ
た。結果を表5に示す。実施試料4添加品はミルク風味
が強く、コクがあり、苦味、渋味などの異味が無いクリ
ームであった。
平均点数であり、・対照の方が良い −1点、・対照の
方がやや良い −0.5点、・対照と同等 0点、・対
照よりやや良い +0.5点、対照より良い +1点で
ある。)
て、脂質と蛋白質が複合体を形成することによりn−ヘ
キサンに抽出される脂質量が減少することに着目した。
脂質−蛋白質複合体組成物からなる試料2gを密栓付三
角フラスコに秤量し純水15ml、n−ヘキサンを加え、
20℃で15分間攪拌し、静置後、上層(n−ヘキサン
層)を10ml分取し、ヘキサン留去後、固形物重量を精
秤する。得られたn−ヘキサン可溶物重量より、 遊離脂質率(%)=(n−ヘキサン可溶物重量×1.5 )/(試料2g中の脂質 重量) と定義する。実施試料4の原料である大豆レシチンとミ
ルクホエー濃縮粉末とを混練して得られた混練品、水へ
分散後均質化して得られた乳化物及び実施試料4の三試
料で遊離脂質率を測定した。その結果を表6に示す。
ロン200:ルーカスマイヤー製)80gを蒸留水1リ
ットルに超音波処理により分散させ、これにミルクホエ
ー濃縮粉末(商品名ミルブローH:三栄化学(株)製)
40gとカゼインナトリウム(三栄化学(株)製)60
gを添加し攪拌する。得られた乳化分散物を、固形物中
の水分が6.8%になるまで凍結乾燥し、20メッシュ
の篩で篩過して粉末(実施試料5)170gを得た。実
施試料5を実施例6と同様な方法で調製したホイップク
リームに添加し、風味に対する効果を官能評価により検
討した。結果を表7に示すが、無添加のものに対して風
味的に良好な製品が得られた。
ロン200)80gを蒸留水1リットルに超音波処理に
よって分散させ、脱脂粉乳(雪印乳業(株)製)100
gを攪拌混合した。得られた乳化分散物を凍結乾燥し、
固形物中の水分を6.5%とした。このものを20メッ
シュの篩で篩過し、粉末(実施試料6)165gを得
た。
例8で用いた蛋白質製剤を、SDS(ドデシル硫酸ナト
リウム)及びメルカプタン処理を行い、SDS−ポリア
クリルアミドゲル電気泳動を行った。泳動結果をデンシ
トメーターで解析し、それぞれの蛋白成分を定量した。
結果は表8に示す。風味的に良好な製品を得るために
は、β−ラクトグロブリンが30%以上であることが好
ましい。
に優れ、粉末状及び液状において適用可能で、生体に対
して安全である。
グラフである。
グラフである。
グラフである。
グラフである。
グラフである。
の変化に影響を与えることを示す棒グラフである。
ときのラットの鼓索神経系の刺激応答の特性線図であ
る。
ットの鼓索神経系の刺激応答の特性線図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 リン脂質、リゾリン脂質、糖脂質、ステ
ロール脂質、ポリオール脂肪酸エステル及び脂肪酸から
選ばれる1種又は2種以上の脂質と、乳蛋白質、大豆由
来蛋白質及び卵蛋白質から選ばれる1種又は2種以上の
蛋白質とから得られる蛋白質−脂質複合体からなること
を特徴とする味覚改質剤。 - 【請求項2】 蛋白質が水溶性蛋白質である請求項1記
載の味覚改質剤。 - 【請求項3】 蛋白質が未変性βーラクトグロブリンを
30重量%以上含有する蛋白質である請求項1又は2記
載の味覚改質剤。 - 【請求項4】 脂質が動物/植物由来のレシチンである
請求項1記載の味覚改質剤。 - 【請求項5】 蛋白質−脂質複合体は、蛋白質と脂質を
機械的手段及び/又は超音波処理によって均一に乳化分
散させた後、脱水処理を行って得られたものである請求
項1記載の味覚改質剤。 - 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の味覚改
質剤を含有することを特徴とする食品。 - 【請求項7】 請求項1〜5のいずれかに記載の味覚改
質剤を含有することを特徴とする飲料。
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