JP3370809B2 - 食品用組成物、苦味低減化法、及び栄養食品 - Google Patents
食品用組成物、苦味低減化法、及び栄養食品Info
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Description
ノ酸またはペプチドを含有する食品用組成物、苦味低減
化法及び上記食品用組成物を含有する栄養食品に関す
る。
等により分解され、アミノ酸として吸収されることが定
説となっている。このため、必要な栄養素を効率よく摂
取するために、蛋白質の代わりにアミノ酸を用いること
が従来から良く行われている。また近年、蛋白質の加水
分解物として得られたペプチドは、アミノ酸単体に比較
して速やかに吸収されることが明らかとなり、例えば、
トウモロコシ蛋白質のように消化しにくいものであって
も、ペプチドに分解することで消化吸収の良い栄養素と
して利用できるようになった。このように、消化吸収性
能の良いアミノ酸やペプチドは、食品、健康食品の素材
として注目され、特に、運動後の疲労回復や、病中、病
後の効率的な栄養補給のための素材として期待されてい
る。しかしながら、アミノ酸やペプチドには独特の苦
味、臭みを有するものが多く、摂取に対して抵抗を示す
人が多い。
させるために種々の方法が提案されている。例えば、茶
又は茶の風味成分を添加する方法(特開平2−1286
69号公報)、香料又は香辛料(ハーブ系、フルーツ
系、ミント系)を添加する方法(特開平2−12867
0号公報)、カカオ又はコーヒーの風味を付与する方法
(特開平3−47829号公報)、カプサイシン又は唐
辛子エキスを添加する方法(特開平6−14747号公
報)などを挙げることができる。しかしながら、これら
の方法では、アミノ酸又はペプチド含有食品の風味が添
加する成分によって画一化されてしまうために、アミノ
酸又はペプチドを広く様々な食品に応用する際には障害
になる。
であるペプチドの高濃度溶液に、α−キモトリプシンを
作用させて高分子化させる方法が提案されている(M. Y
amashita, Agric. Biol. Chem. 34,1484 (1970) )。し
かし、ペプチドを高分子化することにより、本来の機能
である良好な消化、吸収性が損なわれる場合がある。ま
たグルタミン酸及びその他の特定のアミノ酸の存在下で
蛋白質にプロテアーゼを作用させてペプチド末端にアミ
ノ酸を付加させることにより苦味を低減させる方法も提
案されている(特開昭48−40995号公報)。しか
しこの方法は、反応生成物の収率、回収に掛るコスト、
更には生成物の安全性に問題がある。更にまた特開平2
−5829号公報には、苦味を有するペプチドに、サッ
カロマイシス・セレヴィシエ酵母の細胞壁及び外皮、並
びにこうした細胞壁又は外皮を含む物質群より選ばれる
カルボキシペプチダーゼ源を作用させ、苦味を低減化さ
せる方法が開示されているが、この方法では、反応物の
分離、精製工程が複雑になるといった欠点がある。この
他に、蛋白質分解物であるペプチドから苦味を除去する
方法として、疎水性クロマトグラフィ(J.F. Roland,
J. Food Sci.,43,1491 (1978))やS−ブタノール抽出
法(G.Lalasidis, J. Agric. Food Chem.,26,742 (197
8) )を利用する方法も報告されているが、これらの方
法においても反応物の分離、精製工程が複雑であるとの
問題がある。
的に有するアミノ酸又はペプチドの苦味を低減させ、こ
れらを抵抗なく、容易に摂取することができると共に、
これらの成分を含む食品とした場合には、他の成分の風
味や味を変えることなく、様々な食品に適用できる食品
用組成物、及び苦味低減化法、並びに食品用組成物を含
有する栄養食品を提供することにある。
アミノ酸及び苦味を呈するペプチドからなる群より選ば
れる呈苦味物質に、酸性リン脂質もしくはそのリゾ体
が、その酸性リン脂質もしくはそのリゾ体の量に対して
2倍を超える量の中性リン脂質を伴うこと無く添加され
てなる食品添加用組成物にある。酸性リン脂質もしくは
そのリゾ体は、中性リン脂質をも含むリン脂質組成物と
して添加され、該リン脂質組成物中の、酸性リン脂質も
しくはそのリゾ体の含有量が20重量%以上であり、中
性脂質の含有量が30重量%以下であることが好まし
い。
苦味を呈するペプチドからなる群より選ばれる呈苦味物
質を含有する食品に、酸性リン脂質及びそのリゾ体から
なる群より選ばれるリン脂質を該アミノ酸またはペプチ
ドの重量に対して0.01〜50倍量添加することを特
徴とする苦味低減化法にもある。
び苦味を呈するペプチドからなる群より選ばれる呈苦味
物質を含み、酸性リン脂質もしくはそのリゾ体が、その
酸性リン脂質もしくはそのリゾ体の量に対して2倍を超
える量の中性リン脂質を伴うこと無く添加されてなる食
品組成物にもある。酸性リン脂質もしくはそのリゾ体
は、中性リン脂質をも含むリン脂質組成物として添加さ
れ、該リン脂質組成物中の、酸性リン脂質もしくはその
リゾ体の含有量が20重量%以上であり、中性脂質の含
有量が30重量%以下であることが好ましい。
を有するアミノ酸やペプチドに対して苦味の低減に有効
であることを見出し、本発明を完成させたものである。
本発明者の研究によると、蛋白質分解物(ペプチド)の
苦味は、Ney らの提唱した経験則(K.H.Ney,Z.Lebensm.
-Unters.Forsch.,147,64,(1971) )から、ペプチド内の
アミノ酸配列には関係なく(すなわち、立体的構造因子
には影響なく)、疎水性基の存在量により発現すると考
えられるが、上記リン脂質はその分子内に帯電した極性
基と非極性基を有するため、ペプチド内の疎水性アミノ
酸に対し高い親和性を示し、親水性・疎水性のバランス
を取り、苦味発現のフラグメントを封じ込めてしまうた
めにペプチドの苦味が抑制されると考えられる。なお、
上記経験則は、蛋白質分解物の苦味を呈する指標として
導入された法則で、各アミノ酸残基の疎水性の和が苦味
に比例するとして、ペプチドの疎水性度Q(Q=Σ△f
/n)(△f:各構成アミノ酸側鎖の自由エネルギーの
和、n:アミノ酸残基の個数)を算出し、この値が14
00を越えるものは苦く、1300より小さいものは苦
くないとした。
い。 (1)酸性リン脂質及びそのリゾ体が、ホスファチジン
酸、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトー
ル、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、及
びこれらのリゾ体からなる群より選ばれるものである。 (2)酸性リン脂質もしくはリゾ体が脂質混合物中に存
在し、その脂質混合物中の中性脂質の存在量が25重量
%以下(特に20重量%以下)である。
脂質混合物中に存在し、その脂質混合物中の酸性リン脂
質もしくはそのリゾ体が、その脂質混合物中に40重量
%以上(更に60重量%以上、特に70重量%以上)含
まれている。 (4)酸性リン脂質もしくはそのリゾ体が、ホスファチ
ジン酸もしくはリゾホスファチジン酸であり、ホスファ
チジン酸及び/又はリゾホスファチジン酸が脂質混合物
中に5重量%以上(更に好ましくは20重量%以上、特
に好ましくは50重量%以上)存在している。 (5)酸性リン脂質もしくはそのリゾ体が脂質混合物中
に存在し、かつ脂質混合物中の中性リン脂質の存在量が
該リン脂質の含有量の2倍以下(更に好ましくは1/2
以下、特に、1/5以下、最も好ましくは1/50以
下)である。
品の全量に対して0.001〜30重量%(好ましくは
0.01〜10重量%、さらに好ましくは0.05〜3
重量%、特に好ましくは0.1〜3重量%)添加する。
明する。本発明の食品用組成物は、苦味を呈するアミノ
酸及び苦味を呈するペプチドからなる群より選ばれる呈
苦味物質と、酸性リン脂質及びそのリゾ体からなる群よ
り選ばれるリン脂質とを含有する。本発明の食品用組成
物に含まれるリン脂質は、酸性リン脂質及び/又はその
リゾ体である。酸性リン脂質とは、生理的食塩水(pH
7.0)中で、総電荷が負に帯電するものを言う。酸性
リン脂質の例としては、ホスファチジルセリン、ホスフ
ァチジン酸、ホスファチジルイノシトール、ホスファチ
ジルグリセロール、及びカルジオリピンを挙げることが
できる。またそのリゾ体(すなわちリゾ酸性リン脂質)
の例としては、リゾホスファチジルセリン、リゾホスフ
ァチジン酸、リゾホスファチジルイノシトール、及びリ
ゾホスファチジルグリセロールを挙げることができる。
脂質あるいはそのリゾ体は、大豆、卵黄、小麦胚芽を初
めとして、各種の動物臓器及び各種植物組織から抽出、
分離することにより得ることができる。利用できる抽出
方法としては、極性の違いを利用した有機溶媒による抽
出を挙げることができる。また分離方法としては、シリ
カゲルカラムへ吸着させ、次いで有機溶媒により溶出さ
せる方法を挙げることができる。酸性リン脂質またはそ
のリゾ体を得るためには、抽出、分離、精製により分離
されたリン脂質類縁体を、化学修飾及び/又は酵素処理
により改質する方法を利用することもできる。その具体
的な方法としては、油糧種子(特開平2−312552
号公報)、キャベツ、米ぬか等の植物由来のホスホリパ
ーゼD、あるいは微生物(特開平2−312551号公
報)が産出するホスホリパーゼDを用い、中性リン脂質
であるホスファチジルコリンを加水分解し、ホスファチ
ジン酸を得る方法や、ホスホリパーゼDを用いてリン酸
基のエステル交換を行い、ホスファチジルコリンをホス
ファチジルグリセロール(特開平3−22991号公
報)あるいははホスファチジルセリン等へと変換する方
法が挙げられる。
合成した酸性リン脂質またはそのリゾ体を用いることも
できる。具体的な合成法としては、ジグリセリドのリン
酸エステル化、モノグリセリドのリン酸エステル化、グ
リセロリン酸の脂肪酸エステル化、モノグリセリドのリ
ン酸エステル化、グリセロリン酸の脂肪酸エステル化を
挙げることができる。上記のような化学合成法により得
られる酸性リン脂質およびそのリゾ体の例としては、モ
ノアシルグリセロモノホスフェート、モノアシルグリセ
ロジホスフェート、ジアシルグリセロモノフォスフェー
ト、ビスホスファチジン酸、ビスホスファチジルモノホ
スファチジン酸、ビスホスファチジルリゾホスファチジ
ン酸等を挙げることができる。また、水素添加酸性リン
脂質、水素添加リゾ酸性リン脂質を用いることもでき
る。
は、上述のように天然物から、あるいは化学合成によっ
て得られる。従って、酸性リン脂質あるいはそのリゾ体
は脂質混合物として得られ、脂質混合物として使用され
ることが多い。その場合において、より高い苦味低減化
効果を得るためには、酸性リン脂質またはそのリゾ体の
含有量が多いことが好ましく、具体的には、脂質混合物
中に20重量%以上含まれていることが好ましく、40
重量%以上含まれていることが更に好ましい。特に60
重量%以上、そして70重量%以上含まれていることが
最も好ましい。なお、酸性リン脂質およびそのリゾ体の
中でも、特にホスファチジン酸及びリゾホスファチジン
酸が強い苦味低減化作用を有することが確認されてお
り、従ってアミノ酸及び/又はペプチドの苦味低減化に
は、ホスファチジン酸またはリゾホスファチジン酸を用
いることが好ましく、特にホスファチジン酸を用いるこ
とが好ましい。ホスファチジン酸またはリゾホスファチ
ジン酸は、脂質混合物中に5重量%以上存在しているこ
とが好ましく、更に好ましくは20重量%以上、特に好
ましくは50重量%以上である。
るいはそのリゾ体の他に、他の脂質成分が含まれてく
る。酸性リン脂質およびそのリゾ体以外の脂質成分とし
ては、例えば、中性リン脂質(例、ホスファチジルコリ
ン、ホスファチジルエタノールアミン、およびこれらの
リゾ体)、中性脂質(例、トリグリセリド、ジグリセリ
ド、モノグリセリド)、脂肪酸、ステロール脂質、そし
て糖脂質等を挙げることができる。
脂質や中性リン脂質の存在量を低減させることによって
苦味低減化効果を更に高められることが判明した。従っ
て、本発明において脂質混合物を用いる場合には、その
脂質混合物中の中性脂質の存在量は30重量%以下であ
ることが好ましく、更に好ましくは25重量%以下、特
に20重量%以下である。また、脂質混合物中の中性リ
ン脂質の存在量は、50重量%以下であることが好まし
く、更に好ましくは30重量%以下、特に10重量%以
下である。また、脂質混合物中の中性リン脂質と酸性リ
ン脂質またはそのリゾ体との比率は、2倍(中性リン脂
質/酸性リン脂質及びそのリゾ体)以下であることが好
ましく、更に好ましくは1/2以下、特に1/5以下、
最も好ましくは1/50以下である。なお、脂質混合物
中の酸性リン脂質及びそのリゾ体の存在量を高め、かつ
中性脂質の存在量を低減させるためには、これらの成分
を含む脂質混合物を酵素分解したり、溶剤分画する処理
をした後、アセトン処理、膜分離などの処理を行なう方
法が利用できる。
条件に応じて公知の調製法に従い、粉末状、粒状、トロ
ーチ状等の固形状、あるいはペースト状や、シロップ状
等の液状とすることができる。なお、本発明に係るリン
脂質には、酸化を防止し、安定化させるために抗酸化剤
を添加しておくことが好ましい。好ましい坑酸化剤とし
ては、例えば、トコフェロール、ポリフェノールを挙げ
ることができる。
呈するアミノ酸の例としては、イソロイシン、ロイシ
ン、フェニルアラニン、トリプトファン、バリン、アル
ギニン、チロシン、及びプロリンを挙げることができ
る。また苦味を呈するペプチドの例としては、卵白、カ
ゼイン、ホエー、ゼラチン等の動物性蛋白質や、大豆、
小麦、玉蜀黍等の植物性蛋白質を原料として、酸や酵素
を用いて部分加水分解により調製したペプチド、上記の
ような原料から得られたペプチドを再合成した(プラス
ティン反応により修飾した)ペプチド、及びアミノ酸モ
ノマーを原料に化学的方法により合成したペプチドなど
を挙げることができる。ペプチドは、アミノ酸残基の数
が10個以下のオリゴペプチドが好ましい。上記苦味を
呈するアミノ酸及び/又は苦味を呈するペプチドの形態
は、上記のリン脂質と同様に、例えば、水溶液、懸濁
物、乳化物等の液状又はペースト状、あるいは粉末等の
固形物など種々の形態をとることができる。
常の食品に添加して用いることができることは勿論のこ
と、この組成物に他の食品成分(素材)を加え、新たな
食品として構成して用いることもできる。特に本発明に
おいては、アミノ酸及び/又はペプチドが消化吸収性の
良い栄養素として機能することから、労働後、スポーツ
後などの疲労回復用の食品、病中、病後、あるいは手術
後の栄養補給用の食品、乳児用や老人用の消化吸収の良
い食品、ダイエット用の食品あるいは朝食用の食品など
その目的に応じた栄養食品(あるいは健康食品)として
構成して用いることが好ましい。このような目的の食品
に用いることができる食品成分の例としては、炭水化
物、脂質、ビタミン類、ミネラル類などの栄養素、ある
いはこれらの栄養素を含む素材、甘味料、香料などの呈
味付けのための食品材料を挙げることができる。そして
新たな食品として構成する際には、本発明に係る苦味を
呈するアミノ酸及び/又は苦味を呈するペプチドをその
食品の主栄養素として用いても良いし、あるいはビタミ
ンなどの他の栄養素を主栄養素とし、本発明に係る苦味
を呈するアミノ酸及び/又は苦味を呈するペプチドを副
栄養素として用いても良い。以上のような食品の例とし
ては、スポーツ飲料、栄養飲料(ドリンク剤)、離乳
食、シリアル食品(クッキー、ケーキ、ビスケット、パ
ン)、及び冷菓類(ゼリー、ムース、凍菓)などを挙げ
ることができる。また冷凍食品、レトルト食品などとし
て利用してもよい。更に錠剤、カプセルなどの形態に成
型することもできる。
味を呈するアミノ酸及び苦味を呈するペプチドからなる
群より選ばれる呈苦味物質を含有する食品に、酸性リン
脂質及びそのリゾ体からなる群より選ばれるリン脂質を
添加することにより達成できる。上記リン脂質は、該ア
ミノ酸及び/又はペプチドの重量に対して0.01〜5
0倍量(更に好ましくは、0.05〜10倍量、特に、
0.1〜5倍量)添加することが好ましい。本発明の苦
味低減化法により上記リン脂質が添加された食品は、他
の呈味成分の呈味が抑制されることなく、その苦味が特
異的に抑制される。
場合には、その有効成分(酸性リン脂質またはそのリゾ
体)として、該食品の全量に対して通常は0.001〜
30重量%、好ましくは0.01〜10重量%、更に好
ましくは0.05〜3重量%、特に好ましくは0.1〜
3重量%)となるような量を添加する。
ペプチドを含有する食品の具体的な配合例(部は重量部
を表わす)を以下に記載する。 (1)ペプチド含有飲料の配合 ペプチド 5部 ホスファチジン酸 1部 イノシン酸 0.018部 クエン酸ナトリウム 4部 還元麦芽糖 5部 レモンフレーバー 0.1部 水 80部
する。
クストルーダーによって圧縮加熱し、得られた生地を圧
扁した後、焙煎してフレークとする。
を更に具体的に説明する。なお、以下において、「部」
は「重量部」を、「%」は「重量%」をそれぞれ示す。
を含むリン脂質の調製] (試料1の調製)攪拌装置を備えた500mL容量の4
口フラスコに、市販脱脂レシチン(商品名:SLPW−
SP、ツルーレシチン工業(株)製)20gをとり、
0.1Mトリス・塩酸緩衝液(pH6〜8)125mL
を加え、更にヘキサン/酢酸エチル(2/1、V/V)
340mL加え攪拌した。これに更に塩化カルシウム水
溶液(1M濃度)150mLを加え、次いで微生物起源
のホスホリパーゼD(Streptomyces Chromofuscus 由
来、旭化成工業(株)製)を15ユニットの水溶液で1
50mLを加え、次いで混合物の温度を30℃に保ちな
がら14時間攪拌を続けて反応を実施した。反応後、反
応生成物を静置して溶剤層を分離した。溶剤層を取り出
し、減圧下にて溶剤を留去した。残渣中の脂質混合物成
分の分析は、薄層シリカゲルプレート(Kieselgel:メル
ク社製)を用いて行ない、検出は硫酸発色を利用した。
その結果を表1に示す。
0mL容量の4口フラスコに、市販ホスファチジルコリ
ン(商品名:エピクロルS200、ルーカスマイヤー社
製)150gをとり、ヘキサン/酢酸エチル(2/1、
V/V)1500mLを添加後、攪拌し、これに溶解さ
せた。これに微生物起源のホスホリパーゼD(Streptom
yces Chromofuscus 由来、旭化成工業(株)製)を10
0ユニット含む酢酸塩緩衝液(pH8)1500mLを
加えた後、100gの塩化カルシウムを添加し、温度を
37℃に保ちながら攪拌下、36時間反応を行った。反
応終了後、溶剤層を分離し、減圧下にて溶剤を除去し
て、残渣として脂質混合物約100gを得た。脂質混合
物成分の分析は、同様に薄層シリカゲルプレートを用い
て行ない、硫酸発色を利用して検出した。その結果を表
1に示す。
ーン)25gを50mM塩化カルシウム入りの0.1M
酢酸塩緩衝液(pH6)150gに加え、これを常温で
湿式粉砕し、遠心分離(3000rpm、10分間)に
より、上清(抽出液)120gを得た。得られた抽出液
を以下の脂質混合物の調製に使用した。
ラスコに、市販脱脂レシチン(商品名:SLPW−S
P、ツルーレシチン工業(株)製)25gをとり、上記
で調製した大豆破砕物からの抽出液120gを加えた。
混合物を攪拌しながらこれに酢酸エチル(250mL)
を加え、更に水32.5gを加えた後、30℃にて20
時間攪拌して反応させた。反応生成物から酢酸エチル層
を分離し、残りの水層部分をクロロフォルム/メタノー
ル(2/1、V/V)で二回抽出し、その抽出液をフォ
ルチ分配に付した。別に、酢酸エチル層より酢酸エチル
を除去して残渣を得た。これらを併せたのち、クロロフ
ォルム/メタノールを除去して生成物である脂質混合物
を22g得た。得られた脂質混合物成分の分析は、同様
に薄層シリカゲルプレートを用いて行ない、硫酸発色で
検出した。その結果を表1に示す。
解物(ペプチドA)及びトウモロコシ蛋白質加水分解物
(ペプチドB)(商品名:ペプチーノ、日本食品化工
(株)製)の5%水溶液(重量比)に、上記で得た試料
3を最終濃度が3%(重量比)となるように添加、分散
させて混合水溶液をそれぞれ調製した。また上記の試料
3の代わりに、ホスファチジルコリン、及びトリグリセ
リドを最終濃度が上記と同濃度となるように添加、分散
させて混合水溶液を調製した。得られた溶液に対してそ
れぞれの添加効果を評価した。添加効果の評価は10名
からなる被験者パネルに上記で得た溶液を試飲させ、そ
の苦味の強さを下記に示す等価濃度試験法に従い答えさ
せる方法で行った。評価結果は下記の表3及び表4にτ
値で表わした。なお、表3及び表4には、対照としてペ
プチドA、Bの5%水溶液(無添加)の評価結果も併記
した。
間隔になるように基準液(標準等間隔系列:表2)を作
成しておき、この基準液と上記で作成した溶液とを試飲
し(この場合1mlづつ試飲し)、被検者の官能評価に
より比較し、相当する苦味の強度をその平均値(n=1
0)で表す方法である。ここでは、基準液として、代表
的な苦味物質である硫酸キニーネにて苦味の強さを10
段階に調整したものを用いた。なお、味覚などの感覚強
度は、濃度の対数に比例するため、濃度間隔は一定では
ないが、感じる苦味の強さは等間隔である。
ペプチドに本発明に係るリン脂質(試料3)を添加する
ことにより、ペプチドの苦味を顕著に低減できることが
わかる。
ェニルアラニン水溶液(重量比)の混合水溶液を調製し
た。そして添加による苦味低減効果を以下の方法で評価
した。添加効果の評価は、20代から40才代の男女1
0名からなる被検者パネルによる官能評価で行ない、下
記の5段階による基準(苦味の強度)で評価した。表5
に、その評価結果を平均値で示した。 5:強い苦味を感じる。 4:強くはないが、苦味を感じる。 3:わずかに苦味を感じる。 2:苦味を知覚できる程度感じる。 1:苦味を全く感じない。 また、対照例として試料3を添加しない同濃度の水溶液
を用意し、同様な方法で苦味の強度を評価した。
対しても本発明に係るリン脂質(試料3)を添加するこ
とにより苦味を顕著に低減できることがわかる。
ーのバッターを調製し、これを165℃、25分で焼成
し、クッキーを作った。なお、ペプチドAは、実施例1
で用いたものを使用した。
に試食させ、「苦味」、「臭み」、及び「おいしさ」に
関して官能評価を行った。なお、「苦味」の評価基準
は、前述の通りであり、また「臭み」、及び「おいし
さ」の評価基準は、以下の通りである。 「臭み」 5:強い臭みを感じる。 4:強くはないが、臭みを感じる。 3:わずかに臭みを感じる。 2:臭みを知覚できる程度感じる。 1:臭みを全く感じない。 「おいしさ」 5:苦味、臭みが全くなく充分おいしさを感じる。 4:苦味、臭みがわずかにあるがおいしさを感じる。 3:苦味、臭みがあるが、許容範囲でありおいしさを感
じる。 2:苦味、臭みがあり、余りおいしく感じない。 1:苦味、臭みがかなりあり、全くおいしく感じない。 結果を以下の表8に示す。
により(クッキーA(配合2)、及びクッキーB(配合
5))、苦味、臭みなどペプチド特有の風味が現れ、ま
たこのためおいしさも損なわれるが、本発明に係るリン
脂質を添加することでこれらの風味も改善され、またお
いしさもペプチドを含有しないもの(クッキーA(配合
1)、及びクッキーB(配合4))に近づき、おいしく
食べることができた。
ペプチドの有する苦味を効果的に抑制する特定のリン脂
質が含まれているから、アミノ酸やペプチドを抵抗な
く、かつ効率よく摂取することができる。また上記リン
脂質は、組成物自体の風味や味の変質も起さないため、
通常の食品にそのまま添加して食べることができる他、
この組成物を原料として様々な食品に容易に応用でき
る。特に、アミノ酸やペプチドの栄養素の他に他の栄養
素を加えるなどして目的に応じた栄養食品を作ることが
できる。
Claims (7)
- 【請求項1】 苦味を呈するアミノ酸及び苦味を呈する
ペプチドからなる群より選ばれる呈苦味物質に、酸性リ
ン脂質もしくはそのリゾ体が、その酸性リン脂質もしく
はそのリゾ体の量に対して2倍を超える量の中性リン脂
質を伴うこと無く添加されてなる食品添加用組成物。 - 【請求項2】 酸性リン脂質もしくはそのリゾ体が、中
性リン脂質をも含むリン脂質組成物として添加され、該
リン脂質組成物中の、酸性リン脂質もしくはそのリゾ体
の含有量が20重量%以上であり、中性脂質の含有量が
30重量%以下である請求項1に記載の食品添加用組成
物。 - 【請求項3】 酸性リン脂質もしくはそのリゾ体が、そ
れぞれホスファチジン酸もしくはリゾホスファチジン酸
である請求項1もしくは2に記載の食品添加用組成物。 - 【請求項4】 苦味を呈するアミノ酸及び苦味を呈する
ペプチドからなる群より選ばれる呈苦味物質を含有する
食品に、酸性リン脂質及びそのリゾ体からなる群より選
ばれるリン脂質を該アミノ酸またはペプチドの重量に対
して0.01〜50倍量添加することを特徴とする苦味
低減化法。 - 【請求項5】 苦味を呈するアミノ酸及び苦味を呈する
ペプチドからなる群より選ばれる呈苦味物質を含み、酸
性リン脂質もしくはそのリゾ体が、その酸性リン脂質も
しくはそのリゾ体の量に対して2倍を超える量の中性リ
ン脂質を伴うこと無く添加されてなる食品組成物。 - 【請求項6】 酸性リン脂質もしくはそのリゾ体が、中
性リン脂質をも含むリン脂質組成物として添加され、該
リン脂質組成物中の、酸性リン脂質もしくはそのリゾ体
の含有量が20重量%以上であり、中性脂質の含有量が
30重量%以下である請求項5に記載の食品組成物。 - 【請求項7】 酸性リン脂質もしくはそのリゾ体が、そ
れぞれホスファチジン酸もしくはリゾホスファチジン酸
である請求項5もしくは6に記載の食品組成物。
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