JP3354501B2 - シラン架橋可能なポリオレフィン樹脂組成物及び絶縁ケーブル - Google Patents
シラン架橋可能なポリオレフィン樹脂組成物及び絶縁ケーブルInfo
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Description
レフィンとポリオレフィンとを混合したものをベースポ
リマーとし、次いでシラノール縮合触媒等を含有したキ
ャリヤーポリマーAをベースポリマーの融点以上の温度
で溶融混合したシラン架橋樹脂組成物、およびこの組成
物で電線被覆を行い、被覆後すぐにシース掛けした絶縁
ケーブルに関するものである。
しては、化学架橋、電子線照射架橋及び温水架橋(有機
シラン化合物を媒体として進行するもの)が広く知られ
ており、その1つである温水架橋は、化学架橋や電子線
照射架橋に比べ架橋装置コストも格段に安いうえ架橋の
コントロールもしやすいという利点を有している。その
温水架橋ポリエチレンの代表的な例としては、該ポリオ
レフィンに遊離ラジカル発生剤の存在下で有機不飽和シ
ランをグラフト反応させてシラングラフト化した後、こ
のシラングラフトマーをシラノール縮合触媒の存在下で
水分と接触させて架橋させる所謂シラン架橋法が一般に
知られている。例えば特公昭48-1711号公報、特開昭57-
49109号公報等に開示されている。
に比べ安価である温水架橋において惜しまれる点は架橋
処理に多くの時間とコストを費やしてしまう点である。
水架橋可能な樹脂組成物により被覆した電線は、常温で
は架橋反応の進行が極めて遅い為、80度程度の温水や
高温高湿槽の中で架橋を促進させる必要がある。促進さ
せても丸1日程度かかり架橋処理設備の投資費用は莫大
なものとなる。その為装置コストが大変安価であったと
しても架橋処理コストに多大な費用をかけていたのでは
利点も薄れてしまう。
出被覆した電線の架橋処理時間を短縮しようとする試み
が、様々なされてきた。例えば、変性シラン化合物に触
媒や助剤を添加し架橋を促進させる方法が知られており
特開昭57−208006号公報、特開昭62−106
947号公報に開示されている。また、水架橋樹脂被覆
電線の架橋時に水分との接触を高め、架橋時間を短縮す
る方法も知られており特開昭60−254520号公
報、特開昭60−26510号公報に開示されている。
さらに超音波雰囲気中で水架橋樹脂被覆電線の架橋処理
を行うことにより水架橋樹脂内部への水の拡散を進行さ
せ架橋処理時間を短縮する方法についても特開平4−3
31241号公報により開示されている。しかしなが
ら、これら上記の方法はすべて温水や蒸気処理による架
橋処理の時間を短縮しているにすぎず、水架橋工程を削
除するものではない。
の問題を解決したもので、特に成形表面の平滑性と耐熱
性に優れたシラン架橋可能なポリオレフィン樹脂組成物
を提供するものである。さらに、シラン架橋可能なポリ
オレフィン樹脂組成物により押出被覆した電線を、被覆
後すぐにシース掛けできる絶縁ケーブルを提供するもの
である。
ーと、シラノール縮合触媒及び酸化防止剤を含有させた
キャリヤーポリマーAとを溶融混合したシラン架橋可能
なポリオレフィン樹脂組成物において、ベースポリマー
がシラン変性ポリエチレンとポリオレフィン樹脂の混合
物からなり、混合物の平均密度が0.926g/cm3
〜0.935g/cm3であり、かつ溶融混合後の加熱
変形率(JISK 6723)が40%以下であるシラン架橋可
能なポリオレフィン樹脂組成物である。好ましくはシラ
ン変性ポリエチレンが、低密度ポリエチレンと有機不飽
和シラン及び遊離ラジカル発生剤とを反応させてなり、
ポリオレフィン樹脂が、密度が0.915g/cm3〜
0.955g/cm3である高密度ポリエチレンである
シラン架橋可能なポリオレフィン樹脂組成物である。更
に好ましい形態としては、キャリアーポリマーAがポリ
エチレン、ポリプロピレン、エチレンとαーオレフィン
の共重合体からなる群より選ばれたポリマーであり、キ
ャリヤーポリマーAの量が2〜5重量%であるシラン架
橋可能なポリオレフィン樹脂組成物である。また、この
シラン架橋可能なポリオレフィン樹脂組成物で電線被覆
を行い、被覆後すぐにシース掛けした絶縁ケーブルであ
る。
原料となる低密度ポリエチレンとは、チューブラー法、
又はオートクレーブ法による高圧ラジカル重合で製造さ
れるエチレン重合体である。本発明のポリオレフィンと
して使用する高密度ポリエチレンとはチーグラー系触
媒、クロム系触媒等の各種触媒を用い、中低圧化又は高
圧化において、気相法、溶液法、懸濁重合法等の各種の
重合法により得られたエチレン重合体であり、密度が
0.915〜0.955g/cm3のものである。
製造時に必要とされる有機不飽和シランは、ベースレジ
ン相互の架橋点となるべくベースレジンにグラフト化さ
れるものである。本発明において使用される有機不飽和
シランとしては、一般式RR'SiY2(Rは1価のオレフィン
性不飽和炭化水素基、Yは加水分解しうる有機基、R'は
脂肪族不飽和炭化水素以外の1価の炭化水素基あるいは
Yと同じもの)で表される化合物が使用される。R'がYと
同一で一般式RSiY3で表される有機不飽和シランを使用
するのが望ましく、例えばビニルトリメトキシシラン、
ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラ
ン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシ
ラン等が挙げられる。これらの添加量としてはポリマー
の全重量を基準にして0.1〜5重量%、好ましくは
0.7〜3重量%である。0.1重量%未満では充分な
グラフト化が起こらず、又5重量%を超えると成形不良
を起こすとともに経済的でなくなる。
性ポリオレフィン製造時の開始剤として働く。本発明に
おいて使用される遊離ラジカル発生剤には、重合開始作
用の強い種々の有機過酸化物及びパーエステル、例えば
ジクミルパーオキサイド、α,α′−ビス(t−ブチル
パーオキシジイソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチル
パーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ
−ベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,
5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチ
ルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−
エチルヘキサノエート等が挙げられる。これらの添加量
としてはポリマーの全重量を基準にして0.01〜0.
5重量%、好ましくは0.05〜0.2重量%である。
0.01重量%未満では充分なシラングラフト化反応が
進行せず、また0.5重量%を超えると押出加工性が低
下するとともに成形表面が悪くなる。
発明のキャリアーポリマーAと混練し造粒することによ
りキャリアーポリマーAに加入することができる。又キ
ャリヤーポリマーAは粒状形であり且つ架橋するベース
ポリマーと相溶性の固体でなければならない。本発明の
キャリヤーポリマーAはグラニュール、或いはペレット
の形の粒状物にするのが普通であり、好ましい形はペレ
ットである。本発明において使用されるキャリヤーポリ
マーAとしては、例えばポレエチレン、ポリプロピレ
ン、エチレンとα−オレフィンの共重合体、α−オレフ
ィンとしてはC3〜C12の例えばプロピレン、ブテン
−1、ペンテン−1、オクテン−1、4−メチルペンテ
ン−1、4−メチルヘキセン−1、4,4−ジメチルペ
ンテン−1、ノネン−1、デセン−1、ウンデセン−
1、ドデセン−1等であり、及びこれらの混合物を挙げ
ることができる。
ブチル錫ジラウレート、酢酸第一錫、ジブチル錫ジアセ
テート、ジブチル錫ジオクトエート、ナフテン酸鉛、カ
プリル酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、チタン酸テトラブ
チルエステル、ステアリン酸鉛、ステアリン酸亜鉛、ス
テアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステア
リン酸カルシウム等の有機金属化合物が挙げられる。こ
れらの添加量としては、ポリマーの全重量を基準として
0.01〜0.2重量%、好ましくは0.02〜0.1
重量%である。0.01重量%未満では十分な架橋反応
が進まず、又0.2重量%を超えると押出時に押出機内
で局部的に架橋が進行し外観が著しく悪化する
量%の範囲で添加される。2重量%未満では充分な架橋
反応が起こらず、又5重量%を超えると成形不良(スコ
ーチや吐出不安定)を起こすとともに経済的でなくな
る。その他の添加剤としては所望により通常に使用され
る添加剤、例えば酸化防止剤、中和剤、紫外線吸収剤、
帯電防止剤、顔料、分散剤、増粘剤、金属劣化防止剤、
防カビ剤、流動調整剤、その他の無機質充填剤等、また
は他の合成樹脂を含有させることもできる。
は、加熱変形特性が極めて優れており各種の用途に使用
できる。押出後の蒸気処理や温水処理といった後架橋処
理工程を行えば、更に耐熱性が向上するが、この工程を
省略することも可能である。その為、耐熱性や柔軟性を
必要とする絶縁ケーブル類の製造に特に適しており、電
線被覆を行った後、水架橋工程を行わずにシース材料で
被覆することが可能である。このためには、押出し直後
の加熱変形率が40%以下であることが必要である。シ
ース材料としては、塩化ビニル樹脂組成物等が使用され
る。
単なる例示であり本発明はこれに限定されるものではな
い。 《キャリヤーポリマーAの製造》表1に示すような配合
割合に従って、キャリヤーポリマーA、シラノール縮合
触媒、酸化防止剤等を加圧ニーダーを用いて混練、造粒
した。
リオレフィン系ベースポリマー、不飽和有機シラン化合
物及び遊離ラジカル発生剤を表2の比率で配合しシラン
グラフトマーを製造した。
ィン及びキャリアーポリマーAを表3及び4の比率で混
合し押出機を用いてテープを押出した。この押出テープ
の押出直後の加熱変形率の評価を行った。又、テープ押
出時と同様の配合で電線押出も行い、成形表面の平滑性
について評価した。結果を表3及び4に示す。
m3、MI;1.5g/10min) (4)PP:ポリプロピレン(ホモポリマー、MI(230゜
C);2.0g/10min) (5)DBTDL:ジブチルスズジラウレート (6)酸化防止剤:フェノール系酸化防止剤/イルガノッ
クス1010(チバガイギー(株)製) (7)滑剤:低分子量ポリエチレン/サンワックス171
P(三洋化成工業(株)製) (8)LDPE(2):低密度ポリエチレン(密度;0.923
g/cm3) (9)LDPE(3):低密度ポリエチレン(密度;0.920
g/cm3) (10)HDPE(1):高密度ポリエチレン(密度;0.95
0g/cm3) (11)HDPE(2):高密度ポリエチレン(密度;0.93
1g/cm3)
隔 1mmt スクリュー回転数 40rpm テープ外観(ブツ)評価:○>△>×の順とし、○のレ
ベルを合格とした。(13)加熱変形率(%):JIS K 6723
による。 (14)被覆電線押出外観(成形表面の評価): 50mmφの押出機 130-160-180-190-180℃ L/D:24 圧縮比 4.0 導体径 0.8mmφ 被覆厚 1.00mmφ スクリュー回転数 40 rpm 被覆電線の外観評価:○>△>×の順とし、○のレベル
を合格とした。
出加工性及び成形表面の平滑性が良好で、かつ非常に優
れた耐熱性を示している。すなわち、加熱変形率が押出
直後に40%以下になっており架橋処理工程を削除する
ことが可能である。これに対し比較例には全て平滑性に
難があり、押出加工性及び耐熱性のバランスがとれてい
ない。
れ耐熱性に優れたシラン架橋可能なポリオレフィンを得
ることができ、本発明のシラン架橋可能なポリオレフィ
ン樹脂組成物を電線被覆に使用した場合に水架橋処理工
程を削減し、すぐにシース掛けを実施することができ
る。このことにより、製品の生産性が大幅に向上するだ
けでなく製造コストが大幅に削減される。本発明は、絶
縁ケーブルの製造に大きく貢献するものである。
Claims (7)
- 【請求項1】 ベースポリマーと、シラノール縮合触媒
及び酸化防止剤を含有させたキャリヤーポリマーAとを
溶融混合したシラン架橋可能なポリオレフィン樹脂組成
物において、ベースポリマーがシラン変性ポリエチレン
とポリオレフィン樹脂の混合物からなり、混合物の平均
密度が0.926g/cm3〜0.935g/cm3であ
り、かつ溶融混合後の加熱変形率(JIS K 6723)が40
%以下であることを特徴とするシラン架橋可能なポリオ
レフィン樹脂組成物。 - 【請求項2】 シラン変性ポリエチレンが、低密度ポリ
エチレンと有機不飽和シラン及び遊離ラジカル発生剤と
を反応させてなる請求項1記載のシラン架橋可能なポリ
オレフィン樹脂組成物。 - 【請求項3】 ポリオレフィン樹脂が、密度が0.91
5g/cm3〜0.955g/cm3である高密度ポリエ
チレンである請求項1または2記載のシラン架橋可能な
ポリオレフィン樹脂組成物。 - 【請求項4】 キャリアーポリマーAがポリエチレン、
ポリプロピレン、エチレンとαーオレフィンの共重合体
からなる群より選ばれたポリマーである請求項1〜3の
いずれか1項に記載のシラン架橋可能なポリオレフィン
樹脂組成物。 - 【請求項5】 キャリアーポリマーAの量が2〜5重量
%である請求項1〜4のいずれか1項に記載のシラン架
橋可能なポリオレフィン樹脂組成物。 - 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載のシ
ラン架橋可能なポリオレフィン樹脂組成物で電線被覆を
行ったことを特徴とする絶縁ケーブル。 - 【請求項7】 請求項1〜5のいずれか1項に記載のシ
ラン架橋可能なポリオレフィン樹脂組成物で電線被覆を
行い、その後シース材料で被覆したことを特徴とする絶
縁ケーブル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20674598A JP3354501B2 (ja) | 1998-07-22 | 1998-07-22 | シラン架橋可能なポリオレフィン樹脂組成物及び絶縁ケーブル |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP20674598A JP3354501B2 (ja) | 1998-07-22 | 1998-07-22 | シラン架橋可能なポリオレフィン樹脂組成物及び絶縁ケーブル |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000038481A JP2000038481A (ja) | 2000-02-08 |
JP3354501B2 true JP3354501B2 (ja) | 2002-12-09 |
Family
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20674598A Expired - Lifetime JP3354501B2 (ja) | 1998-07-22 | 1998-07-22 | シラン架橋可能なポリオレフィン樹脂組成物及び絶縁ケーブル |
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Country | Link |
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Families Citing this family (1)
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---|---|---|---|---|
ES2439095T3 (es) * | 2003-09-05 | 2014-01-21 | Borealis Technology Oy | Conducto fabricado de una composición de polietileno a alta presión reticulable |
-
1998
- 1998-07-22 JP JP20674598A patent/JP3354501B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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JP2000038481A (ja) | 2000-02-08 |
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