JP3117840B2 - 車体側面構造 - Google Patents

車体側面構造

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明はドア内部にドアビームを
設けた車体側面構造に関する。
【０００２】
【従来の技術】側面衝突から乗員を有効に保護すべくド
ア内部にドアビームを設けた構造が知られている。この
構造を図９に基づいて説明すると、フロントドア１００
はアウターパネル１０１とインナーパネル１０２から構
成され、前端部はレバー１０３を介してフロントピラー
１０４に揺動自在に支持され、またリヤドア１０５はセ
ンターピラー１０６にレバー１０７を介して揺動自在に
支持されている。
【０００３】そして、フロントドア１００内にはドアビ
ーム１０８を車体前後方向に配設している。このドアビ
ーム１０８の両端部は扁平なブラケット１０９を介して
アウターパネル１０１とインナーパネル１０２間に支持
されている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】上述したように従来の
ドアビーム１０８は扁平なブラケット１０９を介して支
持されているので、例えばフロントドア１００の後部と
センターピラー１０６との間に空間部１１０が形成され
る。このように空間部１１０が形成されていると、側面
衝突があった場合に当該空間部によるドアの車室内への
移動ストローク分において衝撃吸収が効率的に行われ
ず、また端部を扁平にしたブラケットが変形することに
よって衝撃吸収の初期特性が十分に得られないことも考
えられる。
【０００５】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく本
発明は、内外のパネルからなる車両のドアの内部に車両
の前後方向に延びるドアビームを設けた車体側面構造に
おいて、前記ドアの閉状態におけるドアの内部の前記ド
アビーム端部と、車体のピラー部の車幅方向の外側面と
の間に形成される車幅方向の空間部に、前記ドアビーム
に直接、又はドアを構成するパネルを介して前記ピラー
部側に突出するスペーサ部材を設置し、前記スペーサ部
材の車室内側の面を、前記ピラー部の車幅方向の外側面
に近接して相対するように配設したことを特徴とする。
【０００６】
【作用】車体のピラー部とドアビーム端部とが、ドアビ
ーム側に設け、この間の車幅方向に設けたスペーサ部材
を介して相対するように近接するので、車体の側面剛性
が側面衝突の初期から高く設定できる。
【０００７】
【実施例】以下に本発明の実施例を添付図面に基づいて
説明する。ここで、図１はドアビームを設けた車体の斜
視図、図２はフロントドア部の平断面図、図３はフロン
トドア内のドアビームの斜視図であり、実施例にあって
はフロントドア１及びリヤドア２内にドアビーム３，３
及び４，４を設けている。尚、実施例にあっては各ドア
毎に２本のドアビームを横Ｖ字をなすように設けている
が、１本のドアビームを設けるようにしてもよい。
【０００８】フロントドア１は、図２に示すように内外
のパネル、即ち、アウターパネル５とインナーパネル６
の周縁部を接合してなり、内部に設けられるドアビーム
３の前端部３ｂは、平面視Ｌ字型をなすブラケット７に
てインナーパネル６の前端部内側に固着されている。ま
た、インナーパネル６の前端部にはレバー８が取付けら
れ、このレバー８先端を、車体のピラー部のうち、フロ
ントピラー９に設けたブラケット１０に枢支すること
で、フロントドア１を車体に対し揺動自在に支持する。
また、リヤドア２についてはレバー１１を介して、車体
のピラー部のうち、センターピラー１２に設けたブラケ
ット１３に揺動自在に枢支している。
【０００９】ここで、前記ドアビーム３の後端部３ａ
は、図２、図３に示すように、車体側方から見て前記セ
ンターピラー１２と重なるとともに、該ドアビーム３の
後端部３ａには、平面視コ字型をなし、スペーサ部材を
構成するブラケット１４を、図２、図３で明らかなよう
に、二股部をドアビーム３の後端部に固着し、ブラケッ
ト１４の反対側をドアのインナーパネル６の後端部の内
側に固着する。その結果、ブラケット１４を含むインナ
ーパネル６の後端部は、センタピラー１２の車幅方向の
外側面とインナーパネル６の後端部との間に形成される
車幅方向の空間部Ｓ内に突出し、インナーパネル６の後
端部とセンターピラー１２とは車幅方向に相対して近接
している。従って、インナーパネル６の後端部の前記ブ
ラケット１４に補強された突出段部面６ａとなってセン
ターピラー１２側に相対するように突出し、ブラケット
１４は、ドアビーム３の後端部３ａを、車幅方向におい
てセンタピラー１２の方向に近づけるスペーサ部材とし
て機能する。
【００１０】このように、従来の構造では空間部であっ
た部分にスペーサ部材として作用するブラケット１４
を、車幅方向に突出するように設けることで、側面衝突
の際に衝突初期より車体の側面剛性が高いので、衝撃吸
収と分散が効率よく行われる。
【００１１】図４は別実施例を示すフロントドア部の要
部平断面図、図５は図４に示したドアビームの斜視図で
ある。この実施例にあっては、ドアビーム３の後端部３
ａに取付けるブラケット１５を前記ブラケット１４と異
なり、車室内方に大きく膨出させずに上下方向に伸ばし
た。一方、センターピラー１２の外側部の一部を外方へ
の膨出部１６とし、結果としてブラケット１５（ドアビ
ーム端部３ａ）とセンターピラー１２とが近接するよう
にしている。
【００１２】尚、この実施例にあってはブラケット１５
を上下方向に延しているので、インナーパネル６を介し
てセンターピラー１２に当る部分の面積が大きくなるの
で、衝撃の吸収及び分散が更に効果的になされる。又ブ
ラケット１５は、ドアビーム３の後端部３ａに固着され
てインナーパネル６の後部のセンターピラー１２と相対
する空間部Ｓ内に突出する突出段部面６ａを補強し、ブ
ラケット１５は、前記と同様にドアビーム３の後端部３
ａを、車幅方向においてセンタピラー１２と相対し、セ
ンタピラー１２と方向に近づけるスペーサ部材として機
能する。
【００１３】図６は別実施例を示すフロントドア部の平
断面図、図７は図６に示したドアビームの斜視図であ
り、図６では図２、図４におけるセンタピラー１２を示
していないが、図６の右上方に図２と同様のセンタピラ
ー１２が配設されている。この実施例にあっては、ドア
ビーム３の後端部３ａとセンターピラー１２とは、側方
から見て重なっておらず、またドアビーム３の前後端部
３ａ，３ｂは、扁平なブラケット１７，１８をアウター
パネル５とインナーパネル６間に挟み込むとともに、Ｌ
字型ブラケット１９，２０をインナーパネル６との間に
設けることでドア側に固着している。
【００１４】そして、この実施例にあっては一面側が開
いた袋状のブラケット２１を、スペーサ部材としてイン
ナーパネル６の後端部外側面６ｂに固着する。このブラ
ケット２１をセンターピラーと側方から見て重なるよう
にした。ブラケット２１は、前記したセンターピラー１
２と相対するように該センターピラー１２側に突出し、
ブラケット２１の車幅方向の面は、前記した突出段部面
６ａと同様に機能する突出部面２１ａを構成し、センタ
ーピラー１２の車幅方向の外側面と近接する。このよう
な構成にした場合にも、前記と同様に側方からの衝撃に
対する吸収が効果的になされる。
【００１５】図８は参考例を示すリヤドア部の要部平断
面図であり、この参考例にあっては、後輪をカバーする
ホイールアーチ２２の車室内側の前面にラッチ２３を設
け、一方リヤドア２内に設けられるドアビーム４の後端
部にブラケット２４を取付け、側方からの衝突の際にブ
ラケット２２がラッチ２３に当って衝撃の吸収及び分散
を行うようにしている。
【００１６】図１０は本願の車体側面構造と、従来の車
体側面構造の変形と剛性との関係を示したグラフであ
り、従来構造にあってはピラーとドアビーム端部との間
に空間部が存在するため、この空間部に相当する分だけ
ドアが変形しつつ車室内方へ移動（線分ａｂ）し、また
ドアビーム端部が扁平のブラケットにて支持されている
ので、この部分が変形（線分ｃｄ）する。一方本発明に
よれば、ドアビームやピラーの一部を膨出させるかスペ
ーサ部材を介在させることでドアビーム端部とピラーと
を実質的に近接せしめたので、衝突直後から側面剛性が
高いので、実線と破線で囲む部分で表わされるエネルギ
ー吸収量の増加分により衝撃吸収が効率よくなされる。
【００１７】
【発明の効果】以上の如く本発明によれば、請求項１で
は、内外のパネルからなる車両のドアの内部に車両の前
後方向に延びるドアビームを設けた車体側面構造におい
て、ドアの閉状態におけるドアの内部のドアビーム端部
と、車体のピラー部の車幅方向の外側面との間に形成さ
れる車幅方向の空間部に、ドアビームに直接、又はドア
を構成するパネルを介してピラー部側に突出するスペー
サ部材を設置し、スペーサ部材の車室内側の面を、ピラ
ー部の車幅方向の外側面に近接して相対するように配設
したので、ドアの閉状態において、スペーサ部材でドア
ビーム端部と車体側であるピラー部の車幅方向の面とが
向い合って近接することとなり、ドアへの衝突時、直ち
にドアビーム端部は、剛性の高いスペーサ部材を介して
車体側のピラー部外側面に衝突することとなる。従っ
て、側面衝突の際、衝突の初期から車体の側面剛性（車
幅方向の剛性）が高いものが得られ、衝撃吸収と分散が
効率良くなされる。
【図面の簡単な説明】
【図１】ドアビームを設けた車体の斜視図
【図２】フロントドア部の平断面図
【図３】フロントドア内のドアビームの斜視図
【図４】別実施例を示すフロントドア部の要部平断面図
【図５】図４に示したドアビームの斜視図
【図６】別実施例を示すフロントドア部の平断面図
【図７】図６に示したドアビームの斜視図
【図８】参考例を示すリヤドア部の要部平断面図
【図９】従来の車体側面構造を示す平断面図
【図１０】本願発明と従来の車体側面構造の変形と剛性
との関係を示したグラフ
【符号の説明】
１…フロントドア、 ２…リヤドア、 ３，４…ドアビ
ーム、 ５…アウターパネル、 ６…インナーパネル、
１２…車体のピラー部であるセンターピラー、 １
４，１５，２１…スペーサを構成するブラケット、 １
６…膨出部。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) B60J 5/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 内外のパネルからなる車両のドアの内部
    に車両の前後方向に延びるドアビームを設けた車体側面
    構造において、 前記ドアの閉状態におけるドアの内部の前記ドアビーム
    端部と、車体のピラー部の車幅方向の外側面との間に形
    成される車幅方向の空間部に、 前記ドアビームに直接、又はドアを構成するパネルを介
    して前記ピラー部側に突出するスペーサ部材を設置し、 前記スペーサ部材の車室内側の面を、前記ピラー部の車
    幅方向の外側面に近接して相対するように配設した、 ことを特徴とする車体側面構造。
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