JP2530871Y2 - 前部車体構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、フロントフードのヒンジ取り付け部の強度
を向上するように改良した自動車の前部車体構造に関す
るものである。

（従来の技術） 自動車は正面衝突した時にフロントフードを一種のク
ッション材として搭乗者の衝撃を和らげるようにしてあ
る。

従来のフロントフードの取り付けは第10図および第11
図に示すようにパネルカウルトップ１とパネルカウルア
ッパ２にてカウルボックス３を形成しパネルカウルトッ
プ１の裏側にリーンフォースメントワイパーアーム４を
設けこのリーンフォースメントワイパーアーム４の裏側
に溶接したナット５にボルト６を螺合してフロントフー
ドヒンジ７を締結している。そしてこのフロントフード
ヒンジ７にフロントフード８を固定しフロントフードヒ
ンジ７を介してフロントフード８を開閉可能にしてい
る。この従来のフロントフード８の取り付け構造におい
て自動車が正面衝突したときにはカウルボックス３およ
びフロントフード８が変形してその衝撃力を和らげ搭乗
者に与える衝撃力を緩和するようにしていた。

（考案が解決しようとする課題） 上記従来の前部車体構造においては自動車が正面衝突
したときにカウルボックス３が変形するようにしてい
た。したがってフロントフード８が受ける衝撃力をカウ
ルボックス３を積極的に変形させて吸収するようにして
いた。また衝突時の衝撃力を緩衝するにはフロントフー
ド８およびカウルボックス３の変形が必要であるがこの
条件を満足するにはフロントフード８の剛性力とカウル
ボックス３の剛性力のバランスが要求される。そしてカ
ウルボックス３には自動車が正面衝突したときにフロン
トフード８がフロントガラスに当たらないで、かつ、変
形するに必要な剛性力が要求される。

本考案はこのような要求に鑑みてなされたものであり
カウルボックスの変形を許容し、かつ、フロントフード
の変形を可能にしてフロントフードがフロントガラスに
当接しないようにした前部車体構造を提供するものであ
る。

（課題を解決するための手段） 上記課題を解決するための本考案に係る手段は、パネ
ルカウルトップとパネルカウルアッパーおよびフロント
パネルカウルとで構成したカウルボックス内にリーンフ
ォースメントカウルボックスインナーを嵌入し、前記パ
ネルカウルトップにリーンフォースメントワイパーアー
ムを介在してリーンフォースメントカウルボックスイン
ナーをフロントフードヒンジとともにボルトにて締結
し、リーンフォースメントカウルボックスインナーのリ
ヤー側をパネルカウルアッパーに密着させ、リーンフォ
ースメントカウルボックスインナーのフロント側と前記
フロントパネルカウルおよびリーンフォースメントカウ
ルボックスインナーの下部とパネルカウルアッパーとの
間に空隙部を形成したことを特徴とする。

（作用） 本考案はこのように構成したので次の通りの作用があ
る。すなわち、パネルカウルトップとパネルカウルアッ
パーおよびフロントパネルカウルとで構成したカウルボ
ックス内にリーンフォースメントカウルボックスインナ
ーを嵌入し、パネルカウルトップにリーンフォースメン
トワイパーアームを介在してリーンフォースメントカウ
ルボックスインナーをフロントフードヒンジとともにボ
ルトにて締結し、リーンフォースメントカウルボックス
インナーのフロント側とフロントパネルカウルおよびリ
ーンフォースメントカウルボックスインナーの下部とパ
ネルカウルアッパーとの間に空隙部を形成したので、自
動車が正面衝突した時に、ボルトで締結されていないリ
ーンフォースメントカウルボックスインナーの部分は、
カウルボックスに対して一体的になっておらず、カウル
ボックスは空隙部の範囲で自由に変形し、衝突時の第一
衝撃力を緩衝し減衰させる。

そして、リーンフォースメントカウルボックスインナ
ーのリヤー側をパネルカウルアッパーに密着させたの
で、上記衝突時の第一衝撃力を緩衝して、空隙部で自由
変形したカウルボックスは、次にリーンフォースメント
カウルボックスインナーに当接して、カウルボックスの
それ以上の変形が拘束されて、フロントフードの衝撃力
は、リーンフォースメントカウルボックスインナーにて
受けるようになる。これにより、フロントフードはその
後変形し衝突時の第二衝撃力が緩衝される。

（実施例） 以下本考案の一実施例について説明する。第１図にお
いてパネルカウルトップ１とパネルカウルアッパ２とフ
ロントパネルカウル10にてカウルボックス３を形成し、
このカウルボックス３内にリーンフォースメントカウル
ボックスインナ11が嵌入されている。このように嵌入さ
れたリーンフォースメントカウルボックスインナ11はリ
ーンフォースメントワイパーアーム４を介在しリーンフ
ォースメントカウルボックスインナ11の裏面に溶接した
ナット５にてフロントフードヒンジ６（第11図参照）と
ともにボルト７（第10図参照）にてパネルカウルトップ
１に締結される。そして本実施例の場合にはフロントパ
ネルカウル10との間およびパネルカウルアッパ２との間
に空隙部12、13を形成しリーンフォースメントカウルボ
ックスインナ11のリヤ側はパネルカウルアッパ２に密着
するようにしてリーンフォースメントカウルボックスイ
ンナ11はカウルボックス３内に嵌入されている。このリ
ーンフォースメントカウルボックスインナ11について更
に詳しく説明すると、第２図ないし第５図に示すように
リーンフォースメントカウルボックスインナ11は概略箱
形に形成されており、底板16に対して上フランジ17、下
フランジ18、フロント側フランジ19およびリヤ側フラン
ジ20がプレス加工等により一体成形されている。この実
施例の場合にはリヤ側フランジ20の内側にはナット21が
溶接され第１図におけるリーンフォースメントカウルボ
ックスインナ11とパネルカウルアッパ２との密着部14を
ボルトにて締結するようにしてもよい。第４図に示すよ
うに上フランジ17はその幅を狭くしてくびれ部22を形成
している。また第２図に示すように衝撃力Ｆ方向の強度
を確保するために底板16にリブ15を形成しこのリブ15は
第３図に示すようにプレス加工にて底板16を一部突出す
るようにして形成されている。第６図ないし第８図に示
すようにリーンフォースメントワイパーアーム４には締
結面23が設けられこの締結面23にはボルト用の孔24が明
けられている。25は一体成形されたワイパー取り付け座
である。第９図にはパネルカウルトップ１の一端側のみ
の組み立て状態を示しているがパネルカウルトップ１の
他端にも同様にリーンフォースメントカウルボックスイ
ンナ11が設けられる。

このように構成した本実施例の作用について次に説明
する。第１図においてパネルカウルトップ１には第10図
または第11図に示すようにフロントフードヒンジ７がリ
ーンフォースメントワイパーアーム４およびリーンフォ
ースメントカウルボックスインナ11とともにナット５に
螺合するボルトにて締結されこのフロントフードヒンジ
７にフロントフード８が取り付けられる。このようにリ
ーンフォースメントカウルボックスインナ11は上フラン
ジ17のみがボルトにて締結されているのでリーンフォー
スメントカウルボックスインナ11がボルトにて締結され
ていない他の部分はパネルカウルアッパ２との間で相互
にずれるようになっている。あるいは第２図に示したよ
うにリヤ側フランジ20の内側にナットを溶接して上フラ
ンジ17とリヤ側フランジ20をパネルカウルアッパ２にボ
ルトにて締結し、第１図に示すように空隙部12、13を形
成してパネルカウルアッパ２の自由変形を許容する。そ
して自動車が正面衝突した時にその衝撃力にてカウルボ
ックス３が変形し最初の衝撃力が緩衝されて減衰しこの
変形によりカウルボックス３はリーンフォースメントカ
ウルボックスインナ11に当接する。このカウルボックス
３とリーンフォースメントカウルボックスインナ11との
当接によりカウルボックス３の変形はリーンフォースメ
ントカウルボックスインナ11にて拘束されてそれ以上変
形しない。このようにカウルボックス３の変形が拘束さ
れると既に減衰された衝撃力はフロントフード８に働き
その衝撃力が強いときにはフロントフード８を変形して
その衝撃力が吸収される。このように自動車が正面衝突
したときの衝撃力は最初にカウルボックス３の変形によ
り減衰させリーンフォースメントカウルボックスインナ
11にてカウルボックス３の変形を拘束して次にフロント
フード８を変形し最後の衝撃力はこのフロントフード８
の変形により吸収することになる。そしてこのようにリ
ーンフォースメントカウルボックスインナ11にてカウル
ボックス３の変形を拘束しこのカウルボックス３の変形
の拘束によりフロントフード８を変形するようにしたの
で、フロントフード８のフロントガラス９方向への移動
はフロントフードヒンジ７にて拘束されるようになる。
そして衝撃力は既にカウルボックス３の変形にて減衰さ
れているのでこのフロントフード８を移動する力は小さ
いものとなりフロントフード８の移動は更に確実にフロ
ントフードヒンジ７にて拘束される。

（考案の効果〉 以上詳述した通り本考案によれば、パネルカウルトッ
プとパネルカウルアッパーおよびフロントパネルカウル
とで構成したカウルボックス内にリーンフォースメント
カウルボックスインナーを嵌入し、パネルカウルトップ
にリーンフォースメントワイパーアームを介在してリー
ンフォースメントカウルボックスインナーをフロントフ
ードヒンジと共にボルトにて締結し、リーンフォースメ
ントカウルボックスインナーのフロント側とフロントパ
ネルカウルおよびリーンフォースメントカウルボックス
インナーの下部とパネルカウルアッパーとの間に空隙部
を形成し、自動車が正面衝突した時に、カウルボックス
を空隙部の範囲で自由に変形させて、衝突時の第一衝撃
力を緩衝して減衰させ、続いてリーンフォースメントカ
ウルボックスインナーのリヤー側をパネルカウルアッパ
ーに密着させていることから、空隙部で自由変形したカ
ウルボックスは、次にリーンフォースメントカウルボッ
クスインナーに当接して、カウルボッスのそれ以上の変
形を拘束し、すでにカウルボックスで減衰された衝撃力
をリーンフォースメントカウルボックスインナーにて受
けて、フロントフードを変形させ、衝突時の第二衝撃力
を緩衝する。

このように、カウルボックスの変形による第一衝撃力
の減衰、このように減衰されて弱められた衝撃力による
フロントフードの変形およびリーンフォースメントカウ
ルボックスインナーによるフロントフードに働く衝撃力
支持の相乗作用により、フロントフードの車内方向への
移動を防止することができる。また、このように衝突時
の衝撃力を二段階に減衰することにより、搭乗者への衝
撃力の影響をやわらげることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す側面図、第２図はリー
ンフォースメントカウルボックスインナの正面図、第３
図は第２図にＢ−Ｂ線における縦断面図、第４図は第２
図の平面図、第５図は第２図の左側面図、第６図はリー
ンフォースメントワイパーアームの正面図、第７図は第
６図の平面図、第８図は第６図の右側面図、第９図は組
み立て斜視図、第10図は従来例の斜視図、第11図は第10
図のＡ−Ａ線における縦断面図である。 １……パネルカウルトップ ２……パネルカウルアッパ ３……カウルボックス ４……リーンフォースメントワイパーアーム ７……フロントフードヒンジ ８……フロントフード 11……リーンフォースメントカウルボックスインナー

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】パネルカウルトップとパネルカウルアッパ
   ーおよびフロントパネルカウルとで構成したカウルボッ
   クス内にリーンフォースメントカウルボックスインナー
   を嵌入し、前記パネルカウルトップにリーンフォースメ
   ントワイパーアームを介在してリーンフォースメントカ
   ウルボックスインナーをフロントフードヒンジとともに
   ボルトにて締結し、リーンフォースメントカウルボック
   スインナーのリヤー側をパネルカウルアッパーに密着さ
   せ、リーンフォースメントカウルボックスインナーのフ
   ロント側と前記フロントパネルカウルおよびリーンフォ
   ースメントカウルボックスインナーの下部とパネルカウ
   ルアッパーとの間に空隙部を形成したことを特徴とする
   前部車体構造。