JP3092400B2 - 二重排気管 - Google Patents

二重排気管

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、内管と外管から構成さ
れる二重排気管に関する。
【０００２】
【従来の技術】一般に、触媒コンバータは高温になる程
触媒の浄化性能が向上することから、自動車の排気装置
ではエキゾーストマニホールドと触媒コンバータとを連
結する排気管を二重排気管とし、排気熱の低下を極力抑
えるようにしている。しかしながら、内管は直接排気が
触れるのに対し、外管には排気が触れないために、内管
と外管に熱膨張差が生じる。その熱膨張差を吸収するた
めに実開昭５５−１２７８２８号公報には外管を複数に
分割し、その外管同士にスライド機構を設けた二重排気
管が開示されている。排気熱により内管と外管に熱膨張
差が生じた場合、外管がスライドして内管の伸びを吸収
するのである。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】前記従来技術では外管
がスライドして内外管の熱膨張差を吸収しているが、外
管は荷重保持のため内管よりも厚くして強度を増してお
く必要があり、従って、外管をスライドさせるよりは内
管をスライドさせて内外管の熱膨張差を吸収することが
好ましい。また、二重排気管への排気ガス入口部はエキ
ゾーストマニホールドに近接しているため高温である。
この排気ガス入口部に内外管のスライド機構を設ける
と、内管が熱変形したり、内外管の隙間から排気ガスが
侵入して触媒コンバータを温める熱が失われて、触媒コ
ンバータの暖機が遅れたり、外管が熱劣化する恐れがあ
る。従って、排気ガス入口部においては内外管を固着し
ておくのがよい。図５にエキゾーストマニホールド、二
重排気管、触媒コンバータの位置関係を示す。図中、３
０はエキゾーストマニホールド、４０は触媒コンバー
タ、５０は二重排気管、６０はエンジン、７０はマフラ
である。図５のように、エキゾーストマニホールド３０
と車両下部に取り付けられる触媒コンバータ４０の位置
（高さ）が異なる場合、両者を連結するためには、二重
排気管５０に屈曲部２０が必要となる。
【０００４】上述の点を考慮して、本願出願人は図６に
示すような二重排気管を考えた。ここにおいて、２は外
管であり、３は内管である。８は図示しないエキゾース
トマニホールドから二重排気管への排気ガス入口部であ
り、１０は二重排気管から図示しない触媒コンバータへ
の排気ガス出口部である。排気ガス入口部８において内
管３と外管２は溶接されて固着部２９を形成しており、
排気ガス出口部１０において内管３と外管２との間には
ワイヤメッシュリング２８が嵌入されて摺動部２６が形
成されている。また、二重排気管にはストレート部１
６、屈曲部２０、ストレート部１８が存在する。
【０００５】図６の二重排気管において、排気ガス入口
部８より排気ガスが導入されると、図示しないエキゾー
ストマニホールドに近いことから排気ガス入口部８は高
温となり、ストレート部１６の熱膨張量は大きく、内管
３が図中一点鎖線のごとく変形し、屈曲部２０付近で内
管３と外管２が干渉し、異音が発生するという恐れがあ
る。
【０００６】そこで本発明は、屈曲部を有する二重排気
管において、排気ガス入口部の伸びを屈曲部に至るまで
に吸収することにより、内管の屈曲部の移動を抑え、も
って内外管の干渉を抑えることを目的とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】本発明における二重排気
管は、内管と外管とからなり、該外管の中に該外管との
間に間隔を空けて前記内管が配置されており、排気ガス
入口部において内管と外管とが固着されている二重排気
管であって、該二重排気管の一部に、前記排気ガス入口
部側に配置されたストレート部と、このストレート部に
おける排気ガス出口部側に接続された屈曲部とを有する
二重排気管において、前記内管をその長手方向に沿っ
て、前記外管に固着された上流側内管と、この上流側内
管の前記排気ガス出口部側に接続された下流側内管とに
分割するとともに、前記上流側内管における前記排気ガ
ス出口側開口端と、前記下流側内管における前記排気ガ
ス入口側開口端とを、前記屈曲部の上流端で嵌合すると
ともに、前記上流側内管と前記下流側内管との嵌合部分
に、この上流側内管と下流側内管との摺動により前記内
管と前記外管との熱膨張差を吸収する摺動部を設けたこ
とを特徴とする。
【０００８】
【作用】上記手段によれば、分割された上流側内管と下
流側内管とが、屈曲部の上流端で嵌合され、その嵌合部
分に摺動部が設けられているため、屈曲部よりも上流側
における内外管の熱膨張差は、上流側内管と下流側内管
との摺動により吸収される。また、排気ガス入口部にお
いて内管と外管とが固着されているため、排気ガスは全
て内管に導入される。
【０００９】
【実施例】図１は本発明の第１実施例における二重排気
管の断面図である。２は外管であり、４、６は内管であ
る。外管２は排気系全体の荷重を受け持つため、肉厚が
厚くなっている。内管６はストレート部１６のみで構成
されており、内管４はストレート部１８と屈曲部２０よ
り構成されている。内管４、６はこの二重排気管後方に
接続される図示しない触媒コンバータに高温の排気を導
入するため、低熱容量化を図って、外管２に比して肉厚
が薄くなっている。８は図示しないエキゾーストマニホ
ールドから二重排気管への排気ガス入口部であり、１０
は二重排気管から図示しない触媒コンバータへの排気ガ
ス出口部である。また、１２は図示しないエキゾースト
マニホールドと二重排気管との取付フランジ、１４は図
示しない触媒コンバータと二重排気管との取付フランジ
である。
【００１０】前記の二重排気管において、摺動部２２は
内管４の排気ガス入口部８側開口端と内管６の排気ガス
出口部１０側開口端の嵌合部分に設けられる。この摺動
部２２は屈曲部２０の上流端に存在する。内管４、６の
摺動部２２には内管４、６の組付け誤差を補正すると共
に、内管４、６を滑らかに摺動させ、また、内管４、６
をシールするためのワイヤメッシュリング２４が嵌入さ
れている。また、摺動部２６は排気ガス出口部１０近傍
のストレート部１８の内管４と外管２との間に設けられ
る。内管４と外管２の摺動部２６には、内管４と外管２
の組付け誤差を補正すると共に、内管４と外管２の摺動
を滑らかにし、また、内管４と外管２をシールするため
のワイヤメッシュリング２８が嵌入されている。内管６
と外管２の隙間からの排気ガスの侵入を防ぐために、排
気ガス入口部８において内管６と外管２は管全周にわた
って溶接され、固着部２９が形成されている。
【００１１】以上のように構成される二重排気管の摺動
部の作用について説明する。まず、摺動部２２の作用に
ついて説明する。摺動部２２は屈曲部２０を含む内管４
の上流端にあり、ストレート部１６長手方向の内管の伸
びを吸収する。よって、排気ガス入口部８から高温の排
気ガスが二重排気管に導入されると、内管６は外管２よ
り熱膨張量が大きいため、内管６の伸びが摺動部２２に
おいてワイヤメッシュリング２４を介して内管６と内管
４が摺動することで吸収される。排気ガス入口部８にお
いて内管６と外管２の固着部２９が形成されていること
により、排気ガスは全て内管６に導入され、内管６と外
管２の熱膨張差は全て摺動部２２において吸収される。
また、屈曲部２０を含む内管４のストレート部１６長手
方向の伸びも摺動部２２において吸収される。排気ガス
入口部８は、図示しないエキゾーストマニホールドに近
接して高温であるため、内管６の熱膨張量が大きいが、
内管６と内管４の摺動部２２は屈曲部２０の上流端に設
けられているため、内管６の熱膨張は屈曲部２０に及ば
ず摺動部２２で吸収されて、屈曲部２０における内管４
と外管２の干渉は起こりにくい。
【００１２】次に、摺動部２６の作用について説明す
る。摺動部２６は屈曲部２０を含む内管４の下流端であ
る排気ガス出口部１０近傍にあり、ストレート部１８長
手方向の内管４の伸びを吸収する。排気ガスが二重排気
管に導入されると、内管４は外管２より熱膨張量が大き
いため、屈曲部２０下流側の内管４の伸びが排気ガス出
口部１０近傍の摺動部２６においてワイヤメッシュリン
グ２８を介して摺動することで吸収される。よって、屈
曲部２０における内管４と外管２の干渉は起こりにく
い。
【００１３】以上本発明の第１実施例における二重排気
管によれば、摺動部２２が内管４の屈曲部２０の上流端
であって、内管４の排気ガス入口部８側開口端と内管６
の排気ガス出口部１０側開口端の嵌合部分に設けられ
る。また、摺動部２６が内管４の屈曲部２０の下流端で
あって、排気ガス出口部１０近傍のストレート部１８の
内管４と外管２との間に設けられている。従って、スト
レート部１６長手方向の内管４、６の外管２との熱膨張
差が屈曲部２０を含む内管４の屈曲部２０上流端の摺動
部２２で吸収されると共に、ストレート部１８長手方向
の内管４と外管２との熱膨張差が屈曲部２０を含む内管
４の屈曲部２０下流端の摺動部２６で吸収される。従っ
て、屈曲部２０において内管４と外管２の干渉が起こり
にくくなって、異音の発生が低減される。
【００１４】また、排気ガス入口部８において内管６と
外管２は固着されているので、内管６が熱変形したり、
内外管の隙間から排気ガスが侵入して触媒コンバータを
温める熱が失われて、触媒コンバータの暖機が遅れた
り、外管２が熱劣化するということも起こりにくい。上
記内管６がこの発明の上流側内管に相当し、内管４がこ
の発明の上流側内管に相当する。
【００１５】図２は本発明の第２実施例における二重排
気管の断面図である。屈曲部２０上流の内管の熱膨張が
より大きい場合を考慮して、本発明の第１実施例におい
て屈曲部２０上流端の摺動部２２と固着部２９との間に
内管同士の摺動部２３を追加した二重排気管となってい
る。よって、ストレート部１６長手方向の内外管の熱膨
張差が摺動部２３及び摺動部２２で吸収される。他の構
成及び作用は第１実施例と同じである。もちろん、屈曲
部２０上流に内管同士の摺動部２３が更に複数あっても
構わない。
【００１６】図３は本発明の第３実施例における二重排
気管の断面図である。本発明の第１実施例において屈曲
部２０と排気ガス出口部近傍の摺動部２６との間に内管
同士の摺動部２７を設けた二重排気管となっている。こ
のことでストレート部１８長手方向の内外管の熱膨張差
が、屈曲部２０下流の内管同士の摺動部２７や排気ガス
出口部１０近傍の摺動部２６により吸収される。他の構
成及び作用は第１実施例と同じである。もちろん、屈曲
部２０下流に内管同士の摺動部２７が更に複数あっても
構わない。
【００１７】図４は本発明の第４実施例における二重排
気管の断面図である。これは、本発明の第３実施例にお
いて排気ガス出口部１０近傍の内外管を管全周にわたっ
て溶接し、固着部３１を設けたものである。このため、
ストレート部１８長手方向の内外管の熱膨張差が、屈曲
部２０下流の内管同士の摺動部２７にて全て吸収され
る。他の構成及び作用は第３実施例と同じである。もち
ろん、屈曲部２０下流に内管同士の摺動部２７が更に複
数あっても構わない。
【００１８】
【発明の効果】本発明では、分割された上流側内管と下
流側内管とが、屈曲部の上流端で嵌合され、その嵌合部
分に摺動部が設けられているため、屈曲部よりも上流側
における内外管の熱膨張差は、上流側内管と下流側内管
との摺動により吸収される。従って屈曲部において内管
と外管との干渉が起こりにくくなって、異音の発生が低
減される。
【００１９】また、排気ガス入口部において内管と外管
は固着されているので、排気ガスは全て内管に導入され
る。従って、内管が熱変形したり、内外管の隙間から排
気ガスが侵入して触媒コンバータを温める熱が失われ
て、触媒コンバータの暖機が遅れたり、外管が熱劣化す
るということも起こりにくい。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の第１実施例における二重排気管の断面
図。
【図２】本発明の第２実施例における二重排気管の断面
図。
【図３】本発明の第３実施例における二重排気管の断面
図。
【図４】本発明の第４実施例における二重排気管の断面
図。
【図５】エキゾーストマニホールド、二重排気管、触媒
コンバータの位置関係を示す図。
【図６】従来の二重排気管の断面図及び熱膨張による内
管の変形を示す図。
【符号の説明】
２ ・・・外管 ３、４、６ ・・・内管 ８ ・・・排気ガス入口部 １０ ・・・排気ガス出口部 １６、１８ ・・・ストレート部 ２０ ・・・屈曲部 ２２、２３、２６、２７・・・摺動部 ３０ ・・・エキゾーストマニホール
ド ４０ ・・・触媒コンバータ ５０ ・・・二重排気管
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−291416（ＪＰ，Ａ) 特開 平６−336921（ＪＰ，Ａ) 実開 昭55−105682（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) F01N 7/08

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】内管と外管とからなり、該外管の中に該外
    管との間に間隔を空けて前記内管が配置されており、排
    気ガス入口部において内管と外管とが固着されている二
    重排気管であって、該二重排気管の一部に、前記排気ガ
    ス入口部側に配置されたストレート部と、このストレー
    ト部における排気ガス出口部側に接続された屈曲部とを
    有する二重排気管において、 前記内管をその長手方向に沿って、前記外管に固着され
    た上流側内管と、この上流側内管の前記排気ガス出口部
    側に接続された下流側内管とに分割するとともに、前記
    上流側内管における前記排気ガス出口側開口端と、前記
    下流側内管における前記排気ガス入口側開口端とを、前
    記屈曲部の上流端で嵌合するとともに、前記上流側内管
    と前記下流側内管との嵌合部分に、この上流側内管と下
    流側内管との摺動により前記内管と前記外管との熱膨張
    差を吸収する摺動部を設けたことを特徴とする二重排気
    管。
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