JP3811452B2 - 排気管構造 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車輌用などのエンジンの排気系に接続される消音管の構造に関し、特に、二重管構造の内管と外管との軸方向の相対変位を円滑に吸収できるようにした、新規な排気管構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車などの車両用エンジンの排気系に接続される排気管において、内管と外管とを環状の間隙をおいて相互に重ね合わせて二重管にしたものでは、熱伸縮による相対変位を吸収して、それらの管に熱応力が発生しないようにする必要があり、図5に示すように、内管と外管との間にスライドメッシュを介在させることが従来技術として一般に知られている。
【0003】
ところが、前記従来技術では、前記スライドメッシュは、内管と外管との間に所定の締代をもって嵌合されているため、外管に対する内管のスライド荷重が大きくなり、これにより該内管にかかる負荷も大きくなって、内管を肉厚に形成する必要を生じ、その結果として内管の重量増を招くという不都合がある。
【0004】
そこで、かかる不都合を解消すべく、内管の外管に対するスライド荷重を低減する技術手段が既に提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特許第3202833号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記従来の技術手段では、排気系に接続される排気消音器の、二重管を構成する内管と外管との間に転動体を介装し、該転動体の転動により、両管の相対変位時の抵抗を小さくするようにしている。
【0007】
ところが、かかる従来技術では、内管と外管のいずれにもそれらの開口端部から所定の長さに亘って転動体を軸方向にガイドするための凹部を形成して転動体の移動を規制するようにしているため、内管および外管の加工工数がいずれも多くなり、それらの製造コストアップを招くという問題がある。
【0008】
本発明はかかる実情に鑑みてなされたものであり、既存の排気管の開口端部を利用して排気管の軸方向の移動を規制できるようにし、内管と外管のいずれか一方に転動体をガイドするためのガイド溝を形成すれば足りるようにして前記問題を解決できるようにした、新規な排気管構造を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本請求項1記載の発明は、互いに連結される、上流側排気管と下流側排気管の何れか一方の排気管の少なくとも一部が、内管と外管とを有する二重管からなり、内管と外管との間に転動体を介装し、その転動体がそれらの管が軸方向に移動するようにガイドする軸方向のガイド溝を、前記内管の開口端部から所定の長さに亘り設けると共に、前記外管の端部を、他方の排気管の端部に外嵌合させて、前記外管と他方の排気管とを一体に連結し、他方の排気管の開口端部で前記転動体の他方の排気管への移動を規制することを特徴としており、かかる特徴によれば、既製の他方の排気管の開口端部で転動体の他方の排気管側への移動が規制されるので、前記特許文献1に示すような他方の排気管にも転動体をガイドする軸方向の凹部を形成するという技術手段を採用せずとも転動体の他方の排気管側への移動を規制することができ、排気管の加工工数が少なくなり、その製造コストを低減することができる。
【0010】
また、前記目的を達成するため、本請求項2記載の発明は、前記請求項1記載のものにおいて、前記他方の排気管の開口端部に、前記転動体の該他方の排気管への移動を規制する内方への折り曲げ部を形成したことを特徴としており、かかる特徴によれば、既製の他方の排気管の開口端部を単に折り曲げるだけで、より簡単な構造により転動体の移動を確実に規制することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0012】
本実施例は、本発明排気管構造を、自動車用エンジンの排気系に実施した場合であり、図1は、本発明排気管構造を備えたエンジンの排気系の概略平面図、図2は、図1の2矢視の一部破断拡大側面図、図3は、図2の3矢視仮想線囲い部分の拡大図、図4は、図3の4−4線に沿う断面図である。
【0013】
図1において、全体を符号Eで示す自動車用のエンジンには、その運転により排出される排気を大気に排出するための排気系Exが接続されており、この排気系Exは、自動車の前後方向に沿って延長されている。
【0014】
前記排気系Exは、以下の構成を備えている。すなわち、エンジンEの排気マニホールドに接続されるエキゾーストパイプ(エキパイ)1に触媒コンバータCの上流側が接続され、該触媒コンバータCの下流側には、ジョイント2を介して上流側排気管3が接続される。この上流側排気管3は二又に分岐されて、各上流側排気管3の中間部はジョイント4により接続されている。各上流側排気管3の前記ジョイント4よりも上流側には、対をなす一次補助消音器(一次プリチャンバ)M1が接続され、また、各上流側排気管3のジョイント4よりも下流側には、二次補助消音器(二次プリチャンバ)M2が接続されており、各二次補助消音器M2の下流部には下流側排気管5がそれぞれ接続され、これらの下流側排気管5は、互いに横方向に離れる方向の後方に延長されており、それらの下流側排気管5の下流端には、主消音器M3の上流端が接続されている。そして主消音器M3の下流端には、大気に開口するテールパイプ7が接続されている。
【0015】
上流側排気管3の集合上流部、下流側排気管5の上流部および主消音器M3の後端には、第1、第2および第3支持部8,9,10がそれぞれ設けられ、これらの支持部8,9,10を介して排気系Exの全体が図示しない自動車の車体に懸吊支持される。
【0016】
そして、エンジンEの運転により、そこから排出された排気は、触媒コンバータCにより、そこに含まれるHC、CO、NOxなどの有害成分が浄化されたのち、一次補助消音器M1を通って一次的に消音され、二次補助消音器M2を通って二次的に消音されたのち、主消音器M3により最終的に消音されて大気に排出される。
【0017】
ところで、エンジンEより排出される排気は、高温であるため、前記排気系Exの排気管構造において、後に述べるように、内管15と外管16との二重管構造とした部分は、高温の排気が直接流れる内管15と、その外周を囲繞する外管16との間に温度差を生じ、これに起因して内管15と外管16とが軸方向に相対的に変位するので、この変位を吸収するための対策を講じる必要があり、かかる対策を講じた、本発明にしたがう排気管構造を実施した二次補助消音器(二次プリチャンバ)M2および該消音器M2に接続される下流側排気管5との接続部の構造を、図2〜4を参照して以下に詳細に説明する。
【0018】
前記二次補助消音器M2は、排気が直接流通する内管15と、該内管15の外周を環状の空隙を存して囲繞する外管16と、前記環状の空隙に装填される、断熱性の吸音材17とを備えており、前記内管15は中空円筒管により構成され、また、前記外管16は両端部に先細りのコーン状前後端部16F,16Rを有して同じく中空円筒管により構成されており、これらの内、外管15,16はいずれもステンレス鋼などの耐熱性の金属板により形成されている。また、前記吸音材17は、中空円筒状の、内層17I、中間層17Mおよび外層17Oを密に積層して構成されており、内層17Iは、耐熱性の高いステンレスウールにより形成され、また中間層17Mと外層17Oは、耐熱性の異なる2種のグラスウールにより形成されている。そして前記吸音材17の内層17Iの内面は、内管15の外面に接し、また、吸音材17の外層17Oの外面は外管16の内面に接している。内管15には、多数の小孔19が穿設され、それらの小孔19は、内管15の内部が断熱性の吸音材17に連通されており、内管15内を流れる排気の排気音をそれらの小孔19を通じて吸音材17により吸収でき、また、排気熱が、耐熱性の吸音材17により遮熱されて内管15から外管16へ伝わり難いようになっている。
【0019】
図2に示すように、前記内管15の上流端部の内周面には、前記上流側排気管3が内嵌合され、またその外周面には、外管16のコーン状の前端部16Fが外嵌合され、内管15および外管16の前端部16Fおよび前記上流側排気管3の端部の三者は溶接などの固定手段により一体に気密に結合されている。
【0020】
図3,4に示すように、内管15および外管16の下流側端部15L,16Lは、それらの軸方向の相対移動が許容されるように接続される。内管15の下流端部15Lは、段差部Dを介して他の部分よりも若干小径に形成され、また、外管16の下流端部16Lも先細りのコーン状後端部16Rの最小径部に続いて小径に形成され、それらの間は、吸音材のない環状空隙部に形成されている。図4に明瞭に示すように、内管15の下流端部15Lの外周面には、横断面円弧状の一対のガイド溝23が、その直径方向に対向して、その軸方向に沿って形成されている。そして、前記環状空隙部内において、一対のガイド溝23内には、鋼球などよりなる転動体24の半部が転動自在に係合されるとともにそれと反対側の外周面が、外管16の下流端部16Lの内周面に接触されており、この転動体24はガイド溝23内と、下流端部16Lの内周面間を、それらの軸方向に転動自在である。また、外管16の下流端部16Lの開口部には、前記下流側排気管5の拡管した上流端部5Uが内嵌合され、外管16の下流端部16Lと下流側排気管5の上流端部5Uとは、溶接などの固定手段により気密に一体接続されている。下流側排気管5の上流端の開口縁には、径方向内側に折り曲げられた折り曲げ部Bが形成され、この折り曲げ部Bは、前記ガイド溝23の開口側の端部に臨んでおり、前記一対の転動体24と衝合されて、その軸方向の移動を規制できるようになっている。したがって、前記転動体24は、前記ガイド溝23の段差部Dにより前方位置、すなわち上流側排気管3側への移動が規制され、また下流側排気管5の折り曲げ部Bにより後方位置、すなわち下流側排気管5側への移動が規制される。
【0021】
つぎに、この実施例の作用について説明する。
【0022】
いま、エンジンEの運転により、高温の排気が排気系Exを流れ、上流側排気管3から二次補助消音器M2に流入した排気の排気熱の影響により、内管15はその軸方向に熱伸縮するのに対し、外管16は断熱性吸音材17により遮熱されて、その外管16への熱伝達が抑制されることにより、外管16は、殆ど軸方向に熱伸縮しないため、内管15と外管16との間にはそれらの軸方向に相対的な変位が発生するが、内管15のガイド溝23と外管16の下流側端部16Lの内周面間に介在される転動体24の軸方向の移動により、両管15,16間に生じる軸方向の移動抵抗を可及的に低減しつつ前記変位を吸収することができる。特に、この実施例では、既製の下流側排気管5の上流側端部5Uに形成した屈曲端Bにより、転動体24の後方、すなわち下流側排気管5側への転動を規制するようにしているので、前記特許文献1に開示されるもののような、転動体24をガイドするための凹部を、その転動体24を支持する内管15および外管16の両方に形成する必要がなくなり、内管15と外管16の、熱伸縮に起因する相対移動を吸収する部分の構造が簡素化され、しかも、それらの熱伸縮時の移動抵抗が大幅に低減される。
【0023】
なお、前記実施例と同じ構造の排気管構造は、前記一次補助消音器M1にも実施される。
【0024】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はその実施例に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施例が可能である。
【0025】
たとえば、前記実施例では、本発明を自動車用エンジンの排気系に実施した場合を説明したが、これを他の車両用、汎用など、他の用途のエンジンの排気系にも実施できることは勿論である。
【0026】
【発明の効果】
以上のように、本請求項1記載の発明によれば、既製の他方の排気管の開口端部で転動体の他方の排気管側への移動が規制されるので、前記特許文献1に示すような他方の排気管にも転動体をガイドする軸方向の凹部を形成するという技術手段を採用せずとも転動体の他方の排気管側への移動を規制することができ、排気管の加工工数が少なくなり、その製造コストを低減することができる。
【0027】
また、本請求項2記載の発明によれば、既製の他方の排気管の開口端部を単に折り曲げるだけで、より簡単な構造により転動体の移動を確実に規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明消音器を備えたエンジンの排気系の概略平面図
【図2】図1の2矢視の一部破断拡大側面図
【図3】図2の3矢視仮想線囲い部分の拡大図
【図4】図3の4−4線に沿う断面図
【図5】従来の二重管構造を備えた排気管の一部破断側面図
【符号の説明】
3・・・・・・・・・・・・上流側排気管(一方の排気管)
5・・・・・・・・・・・・下流側排気管(他方の排気管)
15・・・・・・・・・・・内管
16・・・・・・・・・・・外管
23・・・・・・・・・・・ガイド溝
24・・・・・・・・・・・転動体
B・・・・・・・・・・・・折り曲げ部
【発明の属する技術分野】
本発明は、車輌用などのエンジンの排気系に接続される消音管の構造に関し、特に、二重管構造の内管と外管との軸方向の相対変位を円滑に吸収できるようにした、新規な排気管構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車などの車両用エンジンの排気系に接続される排気管において、内管と外管とを環状の間隙をおいて相互に重ね合わせて二重管にしたものでは、熱伸縮による相対変位を吸収して、それらの管に熱応力が発生しないようにする必要があり、図5に示すように、内管と外管との間にスライドメッシュを介在させることが従来技術として一般に知られている。
【0003】
ところが、前記従来技術では、前記スライドメッシュは、内管と外管との間に所定の締代をもって嵌合されているため、外管に対する内管のスライド荷重が大きくなり、これにより該内管にかかる負荷も大きくなって、内管を肉厚に形成する必要を生じ、その結果として内管の重量増を招くという不都合がある。
【0004】
そこで、かかる不都合を解消すべく、内管の外管に対するスライド荷重を低減する技術手段が既に提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特許第3202833号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記従来の技術手段では、排気系に接続される排気消音器の、二重管を構成する内管と外管との間に転動体を介装し、該転動体の転動により、両管の相対変位時の抵抗を小さくするようにしている。
【0007】
ところが、かかる従来技術では、内管と外管のいずれにもそれらの開口端部から所定の長さに亘って転動体を軸方向にガイドするための凹部を形成して転動体の移動を規制するようにしているため、内管および外管の加工工数がいずれも多くなり、それらの製造コストアップを招くという問題がある。
【0008】
本発明はかかる実情に鑑みてなされたものであり、既存の排気管の開口端部を利用して排気管の軸方向の移動を規制できるようにし、内管と外管のいずれか一方に転動体をガイドするためのガイド溝を形成すれば足りるようにして前記問題を解決できるようにした、新規な排気管構造を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本請求項1記載の発明は、互いに連結される、上流側排気管と下流側排気管の何れか一方の排気管の少なくとも一部が、内管と外管とを有する二重管からなり、内管と外管との間に転動体を介装し、その転動体がそれらの管が軸方向に移動するようにガイドする軸方向のガイド溝を、前記内管の開口端部から所定の長さに亘り設けると共に、前記外管の端部を、他方の排気管の端部に外嵌合させて、前記外管と他方の排気管とを一体に連結し、他方の排気管の開口端部で前記転動体の他方の排気管への移動を規制することを特徴としており、かかる特徴によれば、既製の他方の排気管の開口端部で転動体の他方の排気管側への移動が規制されるので、前記特許文献1に示すような他方の排気管にも転動体をガイドする軸方向の凹部を形成するという技術手段を採用せずとも転動体の他方の排気管側への移動を規制することができ、排気管の加工工数が少なくなり、その製造コストを低減することができる。
【0010】
また、前記目的を達成するため、本請求項2記載の発明は、前記請求項1記載のものにおいて、前記他方の排気管の開口端部に、前記転動体の該他方の排気管への移動を規制する内方への折り曲げ部を形成したことを特徴としており、かかる特徴によれば、既製の他方の排気管の開口端部を単に折り曲げるだけで、より簡単な構造により転動体の移動を確実に規制することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0012】
本実施例は、本発明排気管構造を、自動車用エンジンの排気系に実施した場合であり、図1は、本発明排気管構造を備えたエンジンの排気系の概略平面図、図2は、図1の2矢視の一部破断拡大側面図、図3は、図2の3矢視仮想線囲い部分の拡大図、図4は、図3の4−4線に沿う断面図である。
【0013】
図1において、全体を符号Eで示す自動車用のエンジンには、その運転により排出される排気を大気に排出するための排気系Exが接続されており、この排気系Exは、自動車の前後方向に沿って延長されている。
【0014】
前記排気系Exは、以下の構成を備えている。すなわち、エンジンEの排気マニホールドに接続されるエキゾーストパイプ(エキパイ)1に触媒コンバータCの上流側が接続され、該触媒コンバータCの下流側には、ジョイント2を介して上流側排気管3が接続される。この上流側排気管3は二又に分岐されて、各上流側排気管3の中間部はジョイント4により接続されている。各上流側排気管3の前記ジョイント4よりも上流側には、対をなす一次補助消音器(一次プリチャンバ)M1が接続され、また、各上流側排気管3のジョイント4よりも下流側には、二次補助消音器(二次プリチャンバ)M2が接続されており、各二次補助消音器M2の下流部には下流側排気管5がそれぞれ接続され、これらの下流側排気管5は、互いに横方向に離れる方向の後方に延長されており、それらの下流側排気管5の下流端には、主消音器M3の上流端が接続されている。そして主消音器M3の下流端には、大気に開口するテールパイプ7が接続されている。
【0015】
上流側排気管3の集合上流部、下流側排気管5の上流部および主消音器M3の後端には、第1、第2および第3支持部8,9,10がそれぞれ設けられ、これらの支持部8,9,10を介して排気系Exの全体が図示しない自動車の車体に懸吊支持される。
【0016】
そして、エンジンEの運転により、そこから排出された排気は、触媒コンバータCにより、そこに含まれるHC、CO、NOxなどの有害成分が浄化されたのち、一次補助消音器M1を通って一次的に消音され、二次補助消音器M2を通って二次的に消音されたのち、主消音器M3により最終的に消音されて大気に排出される。
【0017】
ところで、エンジンEより排出される排気は、高温であるため、前記排気系Exの排気管構造において、後に述べるように、内管15と外管16との二重管構造とした部分は、高温の排気が直接流れる内管15と、その外周を囲繞する外管16との間に温度差を生じ、これに起因して内管15と外管16とが軸方向に相対的に変位するので、この変位を吸収するための対策を講じる必要があり、かかる対策を講じた、本発明にしたがう排気管構造を実施した二次補助消音器(二次プリチャンバ)M2および該消音器M2に接続される下流側排気管5との接続部の構造を、図2〜4を参照して以下に詳細に説明する。
【0018】
前記二次補助消音器M2は、排気が直接流通する内管15と、該内管15の外周を環状の空隙を存して囲繞する外管16と、前記環状の空隙に装填される、断熱性の吸音材17とを備えており、前記内管15は中空円筒管により構成され、また、前記外管16は両端部に先細りのコーン状前後端部16F,16Rを有して同じく中空円筒管により構成されており、これらの内、外管15,16はいずれもステンレス鋼などの耐熱性の金属板により形成されている。また、前記吸音材17は、中空円筒状の、内層17I、中間層17Mおよび外層17Oを密に積層して構成されており、内層17Iは、耐熱性の高いステンレスウールにより形成され、また中間層17Mと外層17Oは、耐熱性の異なる2種のグラスウールにより形成されている。そして前記吸音材17の内層17Iの内面は、内管15の外面に接し、また、吸音材17の外層17Oの外面は外管16の内面に接している。内管15には、多数の小孔19が穿設され、それらの小孔19は、内管15の内部が断熱性の吸音材17に連通されており、内管15内を流れる排気の排気音をそれらの小孔19を通じて吸音材17により吸収でき、また、排気熱が、耐熱性の吸音材17により遮熱されて内管15から外管16へ伝わり難いようになっている。
【0019】
図2に示すように、前記内管15の上流端部の内周面には、前記上流側排気管3が内嵌合され、またその外周面には、外管16のコーン状の前端部16Fが外嵌合され、内管15および外管16の前端部16Fおよび前記上流側排気管3の端部の三者は溶接などの固定手段により一体に気密に結合されている。
【0020】
図3,4に示すように、内管15および外管16の下流側端部15L,16Lは、それらの軸方向の相対移動が許容されるように接続される。内管15の下流端部15Lは、段差部Dを介して他の部分よりも若干小径に形成され、また、外管16の下流端部16Lも先細りのコーン状後端部16Rの最小径部に続いて小径に形成され、それらの間は、吸音材のない環状空隙部に形成されている。図4に明瞭に示すように、内管15の下流端部15Lの外周面には、横断面円弧状の一対のガイド溝23が、その直径方向に対向して、その軸方向に沿って形成されている。そして、前記環状空隙部内において、一対のガイド溝23内には、鋼球などよりなる転動体24の半部が転動自在に係合されるとともにそれと反対側の外周面が、外管16の下流端部16Lの内周面に接触されており、この転動体24はガイド溝23内と、下流端部16Lの内周面間を、それらの軸方向に転動自在である。また、外管16の下流端部16Lの開口部には、前記下流側排気管5の拡管した上流端部5Uが内嵌合され、外管16の下流端部16Lと下流側排気管5の上流端部5Uとは、溶接などの固定手段により気密に一体接続されている。下流側排気管5の上流端の開口縁には、径方向内側に折り曲げられた折り曲げ部Bが形成され、この折り曲げ部Bは、前記ガイド溝23の開口側の端部に臨んでおり、前記一対の転動体24と衝合されて、その軸方向の移動を規制できるようになっている。したがって、前記転動体24は、前記ガイド溝23の段差部Dにより前方位置、すなわち上流側排気管3側への移動が規制され、また下流側排気管5の折り曲げ部Bにより後方位置、すなわち下流側排気管5側への移動が規制される。
【0021】
つぎに、この実施例の作用について説明する。
【0022】
いま、エンジンEの運転により、高温の排気が排気系Exを流れ、上流側排気管3から二次補助消音器M2に流入した排気の排気熱の影響により、内管15はその軸方向に熱伸縮するのに対し、外管16は断熱性吸音材17により遮熱されて、その外管16への熱伝達が抑制されることにより、外管16は、殆ど軸方向に熱伸縮しないため、内管15と外管16との間にはそれらの軸方向に相対的な変位が発生するが、内管15のガイド溝23と外管16の下流側端部16Lの内周面間に介在される転動体24の軸方向の移動により、両管15,16間に生じる軸方向の移動抵抗を可及的に低減しつつ前記変位を吸収することができる。特に、この実施例では、既製の下流側排気管5の上流側端部5Uに形成した屈曲端Bにより、転動体24の後方、すなわち下流側排気管5側への転動を規制するようにしているので、前記特許文献1に開示されるもののような、転動体24をガイドするための凹部を、その転動体24を支持する内管15および外管16の両方に形成する必要がなくなり、内管15と外管16の、熱伸縮に起因する相対移動を吸収する部分の構造が簡素化され、しかも、それらの熱伸縮時の移動抵抗が大幅に低減される。
【0023】
なお、前記実施例と同じ構造の排気管構造は、前記一次補助消音器M1にも実施される。
【0024】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はその実施例に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施例が可能である。
【0025】
たとえば、前記実施例では、本発明を自動車用エンジンの排気系に実施した場合を説明したが、これを他の車両用、汎用など、他の用途のエンジンの排気系にも実施できることは勿論である。
【0026】
【発明の効果】
以上のように、本請求項1記載の発明によれば、既製の他方の排気管の開口端部で転動体の他方の排気管側への移動が規制されるので、前記特許文献1に示すような他方の排気管にも転動体をガイドする軸方向の凹部を形成するという技術手段を採用せずとも転動体の他方の排気管側への移動を規制することができ、排気管の加工工数が少なくなり、その製造コストを低減することができる。
【0027】
また、本請求項2記載の発明によれば、既製の他方の排気管の開口端部を単に折り曲げるだけで、より簡単な構造により転動体の移動を確実に規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明消音器を備えたエンジンの排気系の概略平面図
【図2】図1の2矢視の一部破断拡大側面図
【図3】図2の3矢視仮想線囲い部分の拡大図
【図4】図3の4−4線に沿う断面図
【図5】従来の二重管構造を備えた排気管の一部破断側面図
【符号の説明】
3・・・・・・・・・・・・上流側排気管(一方の排気管)
5・・・・・・・・・・・・下流側排気管(他方の排気管)
15・・・・・・・・・・・内管
16・・・・・・・・・・・外管
23・・・・・・・・・・・ガイド溝
24・・・・・・・・・・・転動体
B・・・・・・・・・・・・折り曲げ部
Claims (2)
- 互いに連結される、上流側排気管(3)と下流側排気管(5)の何れか一方の排気管(3)の少なくとも一部が、内管(15)と外管(16)とを有する二重管からなり、内管(15)と外管(16)との間に転動体(24)を介装し、その転動体(24)がそれらの管(15,16)の軸方向に移動するようにガイドする軸方向のガイド溝(23)を、前記内管(15)の開口端部から所定の長さに亘り設けると共に、前記外管(16)の端部を、他方の排気管(5)の端部に外嵌合させて、前記外管(16)と他方の排気管(5)とを一体に連結し、他方の排気管(5)の開口端部で前記転動体(24)の他方の排気管(5)への移動を規制することを特徴とする、排気管構造。
- 前記他方の排気管(5)の開口端部に、前記転動体(24)の該他方の排気管(5)への移動を規制する内方への折り曲げ部(B)を形成したことを特徴とする、前記請求項1記載の排気管構造。
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