JP2941964B2 - 静電荷像現像用トナー及び加熱定着方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナー及び加熱定着方法

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JP2941964B2
JP2941964B2 JP3004407A JP440791A JP2941964B2 JP 2941964 B2 JP2941964 B2 JP 2941964B2 JP 3004407 A JP3004407 A JP 3004407A JP 440791 A JP440791 A JP 440791A JP 2941964 B2 JP2941964 B2 JP 2941964B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真、静電記録、
静電印刷の如き画像形成方法に使用される静電荷像現像
用トナー及び該トナーの加熱定着方法に関する。
【0002】
【従来技術】従来、電子写真法としては米国特許第2,
297,691号明細書、特公昭42−23910号公
報及び特公昭43−24748号公報等に記載されてい
る如く多数の方法が知られている。一般には光導電性物
質を利用し、感光体上に電気的潜像を形成し、次いで該
潜像をトナーを用いて現像し、必要に応じて紙の如き転
写材にトナー画像を転写した後、加熱、圧力、加熱加圧
或いは溶剤蒸気により定着し複写物を得るものである。
感光体上に転写せず残ったトナーは種々の方法でクリー
ニングされ、上述の工程が繰り返される。
【0003】近年このような複写装置は、単なる一般に
いうオリジナル原稿を複写するための事務処理用複写機
というだけでなく、コンピューターの出力としてのプリ
ンターあるいは個人向けのパーソナルコピーという分野
で使われ始めた。
【0004】そのため、小型化、軽量化そしてより高
速、高信頼性が厳しく追究されてきている。また、複写
機は種々な点でよりシンプルな要素で構成されるように
なってきている。その結果、トナーに要求される性能は
高度になり、トナーの性能向上が達成できなければすぐ
れた複写機が成り立たなくなってきている。
【0005】例えばトナー像を紙の如きシートに定着す
る工程に関して種々の方法や装置が開発されている。現
在最も一般的な方法は熱ローラーによる圧着加熱方式で
ある。
【0006】加熱ローラーによる圧着加熱方式はトナー
に対し離型性を有する材料で表面を形成した熱ローラー
の表面に被定着シートのトナー像面を加圧下で接触しな
がら通過せしめることにより定着を行うものである。こ
の方法は熱ローラーの表面と被定着シートのトナー像と
が加圧下で接触するため、トナー像を被定着シート上に
融着する際の熱効率が極めて良好であり、迅速に定着を
行うことができ、高速度電子写真複写機において非常に
有効である。しかしながら上記方法では、熱ローラー表
面とトナー像とが溶融状態で加圧下で接触するためにト
ナー像の一部が定着ローラー表面に付着、転移し、次の
被定着シートにこれが再転移してオフセット現象を生
じ、被定着シートを汚すことがある。熱定着ローラー表
面に対してトナーが付着しないようにすることが熱ロー
ラー定着方式の必須条件の1つとされている。
【0007】従来、定着ローラー表面にトナーを付着さ
せない目的で、例えばローラー表面をトナーに対して離
型性のすぐれたシリコンゴムや弗素系樹脂の如き材料で
形成し、さらにその表面にオフセット防止及びローラー
表面の疲労を防止するためにシリコンオイルの如き離型
性の良い液体の薄膜でローラー表面を被覆することが行
われている。しかしながら、この方法はトナーのオフセ
ットを防止する点では極めて有効であるが、オフセット
防止用液体を供給するための装置が必要なため、定着装
置が複雑になるという問題点を有している。
【0008】これは小型化及び軽量化と逆方向であり、
シリコンオイルが熱により蒸発し、機内を汚染する場合
がある。そこでシリコンオイルの供給装置を用いない
で、トナー中から加熱時にオフセット防止液体を供給し
ようという考えから、トナー中に低分子量ポリエチレ
ン、低分子量ポリプロピレンの如き離型剤を添加する方
法が提案されている。充分な効果を出すために多量にこ
のような離型剤を加えると、感光体へのフィルミング
や、キャリアやスリーブの如きトナー担持体の表面を汚
染し、トナー画像が劣化し実用上問題となる。トナー画
像を劣化させない程度に少量の離型剤をトナー中に添加
し、若干の離型性オイルの供給し、オフセットしたトナ
ーを巻きとり式のウェブの如き部材を用いてクリーニン
グする装置を併用することが行われている。
【0009】しかし最近の小型化、軽量化、高信頼性の
要求を考慮するとこれらの補助的な装置を除去すること
が必要であり、好ましい。従ってトナーの定着性、耐オ
フセットのさらなる性能向上がなければ対応しきれな
い。それはトナーのバインダー樹脂のさらなる改良がな
ければ実現することが困難である。
【0010】トナーのバインダー樹脂の改良に関する技
術として、例えば特公昭51−23354号公報に結着
樹脂として架橋された重合体を用いたトナーが提案され
ている。その方法に従えば耐オフセット性及び耐まきつ
き性の改良には効果があるが、反面架橋度をますと定着
点が上昇してしまい、充分定着温度が低くて耐オフセッ
ト性及び耐まきつき性が良好で且つ十分な定着特性のも
のを得ることは困難である。一般的に定着性を向上させ
るためには、バインダー樹脂を低分子量化して軟化点を
低下させねばならず、耐オフセット性の改善処置とは相
反することになる。低軟化点とするために必然的に樹脂
のガラス転移点が低下し保存中のトナーがブロッキング
するという好ましくない現象もおこる。
【0011】これに対して、特開昭56−158340
号公報に低分子量重合体と高分子量重合体とよりなるト
ナーが提案されている。このバインダー樹脂は定着性に
関しては改善されるものの耐オフセット性に関しては未
だ不充分であり、耐オフセット性及び定着性を高度に満
足することは困難である。
【0012】特開昭58−203453号公報には低温
軟化性樹脂と高温軟化性樹脂とからなるトナーが提案さ
れている。このバインダー樹脂は耐オフセット性に関し
ては改善されるものの、定着性に関しては未だ不充分で
あり、耐オフセット性及び定着性を高度に満足させるこ
とは困難である。
【0013】特公昭60−20411号公報には低重合
度重合体と高重合度重合体とからなる樹脂組成物の製造
方法が提案されているが、この製造方法により得られた
樹脂をトナーのバインダー樹脂として用いた場合には粉
砕性に関しては改善される傾向にあるものの、定着性及
び耐オフセット性ともに未だ不充分であり、改善の余地
は多い。
【0014】さらに低分子量重合体と架橋した重合体と
をブレンドしたトナーに関し、例えば特開昭58−86
558号公報に低分子量重合体と不溶融性高分子量重合
体を主要樹脂成分とするトナーが提案されている。その
方法に従えば定着性及び粉砕性の改良は行われる傾向に
あるが、低分子量重合体の重量平均分子量/数平均分子
量(Mw/Mn)が3.5以下と小さいこと及び不溶不
融性高分子量重合体の含有量が40〜90wt%と多量
であることにより、耐オフセット性と粉砕性を共に高性
能で満足することが難しい。実際上はオフセット防止用
液体の供給装置をもつ定着器でなければ定着性(特に高
速定着)、耐オフセット性、粉砕性を充分満足するトナ
ーを生成することは極めて困難である。
【0015】さらに不溶不融性高分子量重合体が多くな
ると、トナー作製時の熱混練で溶融粘度が非常に高くな
るため通常よりはるかに高温で熱混練するか、あるいは
高いシェアで熱混練しなければならず、その結果前者は
他の添加剤の熱分解によるトナー特性の低下、後者はバ
インダー樹脂の分子の過度な切断が起り、当初の耐オフ
セット性能が出にくいという問題を有している。
【0016】特開昭60−166958号公報に、数平
均分子量(Mn)500〜1,500である低分子量の
ポリα−メチルスチレンの存在下で重合して得られる樹
脂組成分からなるトナーが提案されている。
【0017】特に該公報では、数平均分子量(Mn)が
9,000〜30,000の範囲が好ましいとあるが、
耐オフセット性をより向上させるためMnを大きくして
いくと定着性及びトナー製造時の粉砕性が実用上問題と
なり、故に高性能に耐オフセット性と粉砕性を満足する
ことは難しい。このようにトナー製造時における粉砕性
の悪いトナーは、トナー製造時の生産効率が低下する
他、トナー特性として粗いトナーが混入しやすいため飛
びちった画像となる場合があり好ましくない。
【0018】特開昭56−16144号公報にGPCに
よる分子量分布において、分子量103〜8×104及び
分子量105〜2×106のそれぞれの領域に少なくとも
1つの極大値をもつ結着樹脂成分を含有するトナーが提
案されているが、さらなる定着性及び耐オフセット性の
向上が待望されている。
【0019】特開昭63−223662号公報にはTH
F不溶分がバインダー樹脂基準で10〜60重量%含有
し、THF可溶分のGPCによる分子量分布において、
重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)が5以上
であり、分子量2×103〜1×104の領域にピークを
有し、分子量1.5×104〜1×105の領域にピーク
または肩を有し、分子量1×104以下の成分がバイン
ダー樹脂に10〜50重量%含有するトナーが提案され
ている。この場合、粉砕性、定着性、感光体へのフィル
ミングや融着、画像性、耐オフセット性(特に高温側で
の耐オフセット性)はすぐれているが、さらにトナーに
おける耐オフセット性及び定着性の向上が要望されてい
る。特に低温での定着性と高温での耐オフセット性の両
立を要求される様な厳しい状況に対応するのは該樹脂で
は困難である。
【0020】このように定着に関わる性能と粉砕性を供
に高性能で実現することは極めて困難である。特にトナ
ー製造時における粉砕性は、複写画像の高品位化、高解
像化、高細線再現性の要望によりトナーの粒径をより小
さくしていく今日の方向に重要な因子であり、粉砕工程
はひじょうに大きなエネルギーを要するため粉砕性の向
上は省エネルギーの面からも重要である。
【0021】粉砕装置内壁へのトナーの融着現象も定着
性能の良いトナーに発生しやすく、そのため粉砕効率を
悪くする。複写工程において、転写後の感光体上に残っ
たトナーをクリーニングする工程がある。今日、装置の
小型化、軽量化、信頼性の面からブレードによるクリー
ニング(ブレードクリーニング)が一般的になってい
る。感光体の高寿命化と感光体ドラムなどの小型化及び
システムの高速化に伴い、トナーに要求される感光体に
対する耐融着、耐フィルミング性が厳しくなっている。
特に最近実用化されてきたアモルファスシリコン感光体
は非常に高耐久性であり、有機光導電性感光体(OP
C)も寿命が延びてきており、そのためトナーに要求さ
れる諸性能は高度になってきている。
【0022】小型化はせまい所に各要素をうまく納めて
いくことをしなければならない。そのため空気がながれ
る空間が少なくなる上、定着器や露光系の熱源がトナー
ホッパーやクリーナーと非常に接近するため、トナーは
高温雰囲気にさらされる。そのため、より優れた耐ブロ
ッキング性を有するトナーでないと実用化できなくなっ
てきた。
【0023】従って、例えば、定着性と耐ブロッキング
性の様に、トナーに要求される諸性能は相反する場合が
ほとんどであり、しかもそれらを供に高性能に満足する
ことがますます望まれ、研究されているが、今だ充分な
ものがない。
【0024】前述の如く、トナーの顕画像を記録材に定
着する方法としては、所定の温度に維持された加熱ロー
ラーと、弾性層を有して該加熱ローラーに圧接する加圧
ローラーとによって、未定着のトナー顕画像を保持した
記録材を挾持搬送しつつ加熱加圧する熱ロール定着方式
が多用されている。
【0025】しかしながら、熱ロール定着では、下記の
如き改良すべき点を有している。 (1)熱ローラーが所定温度に達するまでのウェイト時
間(画像形成作動禁止の時間)がある。 (2)記録材の通過或は他の外的要因で加熱ローラーの
温度が変動することによる定着不良を防止するため及び
加熱ローラーへのオフセット現象を防止するために加熱
ローラーを適正な温度に維持する必要がある。このため
には加熱ローラー或は加熱体の熱容量を大きくしなけれ
ばならず、これには大きな電力を要する。 (3)加熱ローラーが高温度であるため、及び、雰囲気
温度も高くなるために記録材が加熱ローラーを通過排出
された後に、記録材及び記録材上のトナーが緩慢に冷却
されるため、トナーの粘着性が高い状態が維持され、ロ
ーラーへのオフセット或は記録材がローラーに巻きつく
ことによる紙づまりを生ずることがある。
【0026】この様な問題点を解消した、トナー顕画像
の記録材への優れた定着性及びオフセットの防止を達成
しつつ、ウエイト時間を短く、低消費電力である定着方
法を実現することが待望されている。この様な定着方法
は、トナー特性に負うところが大であり、トナーの低温
定着性が重要な特性の1つである。
【0027】オフセット現象の発生を防止するための手
段としては、前述の如く、加熱ローラーの表面にシリ
コンオイルの如きの離型剤を塗布しながら定着を行う方
法、トナーバインダー樹脂として高分子量の重合体を
用いる方法、トナー中に離型性を有するワックスを含
有せしめる方法などが知られている。
【0028】しかしながら、該方法では、オイルが加
熱されることにより臭気を発生し、さらに、オイルを供
給するための装置が必要となり、定着装置の構造が複雑
になるという問題点が生じる。
【0029】該方法では、トナーの非オフセット性は
向上するが、トナーの溶融温度の上昇を伴うことから低
温定着を達成することは困難である。
【0030】該方法については、例えば、特公昭52
−3304号公報、特公昭52−3305号公報、特公
昭57−52574号公報、特公昭53−155655
号公報、特公昭58−12580号公報にスチレン系樹
脂と特定の離型剤を含有するトナーについての記載があ
る。
【0031】しかしながら、これらのトナーは、特に高
温側オフセット現象については改善されるが、低温定着
性については、ほとんど改善されていないのが実情であ
る。これら離型剤を低温溶融特性を有したバインダーに
対して使用した場合、低温における離型効果を発揮する
ことが困難であり、低温オフセット現象が発生しやす
く、定着性の悪化を招いており、低温定着性を達成でき
ない原因となっている。
【0032】高温側オフセット現象の防止として、バイ
ンダー樹脂に高分子量重合体を含有させる方法が知られ
ている。例えば、特開昭50−134652号公報、特
開昭54−114245号公報、特開昭56−1614
4号公報、特開昭56−158340号公報、特開昭5
8−203453号公報に記載されている。
【0033】しかしながらこれらの方法に使用されるト
ナーの多くは、高温側オフセット現象の改善はなされて
いるものの低温定着性の点においては、さらに改善する
ことが待望されている。一方、これらの方法の一部にお
いて、低温定着性がある程度達成されているが、現像性
及び耐ブロッキング性の点においては、さらに改善する
ことが待望されている。
【0034】(発明の目的) 本発明の目的は、上述の如き問題点を解決したトナーを
提供することにある。
【0035】本発明の目的は、低い温度で定着し、かつ
低温から高温までの広い温度範囲で耐オフセット性のす
ぐれたトナーを提供することにある。
【0036】本発明の目的は、感光体への融着及びフィ
ルミングが高速システムにおいて、長期間の使用でも発
生しないトナーを提供することにある。
【0037】本発明の目的は、耐ブロッキング性がすぐ
れ、特に小型機の中の高温雰囲気中でも充分使え得るト
ナーを提供することにある。
【0038】本発明の目的は、トナーの製造時における
粉砕工程での装置の内壁へ粉砕物が融着しないため、効
率よく連続で生産できるトナーを提供することにある。
【0039】さらに本発明の目的は、トナー顕画像の記
録材への優れた定着性及び耐オフセットの防止を達成し
つつ、ウェイト時間を短く、低消費電力化が行える定着
方法を提供することにある。
【0040】本発明の静電荷像現像用トナーは、バイン
ダー樹脂及び着色剤を少なくとも有する静電荷像現像用
トナーにおいて、バインダー樹脂のTHF不溶分がバイ
ンダー樹脂基準で10重量%未満であり、バインダー樹
脂のTHF可溶分のGPC(ゲルパーミエーションクロ
マトグラフィー)における重量平均分子量/数平均分子
量(Mw/Mn)が18以下であり、分子量3000〜
2万の領域に1つの分子量ピーク値MAを有し、分子量
38万〜100万の領域に1つの分子量ピーク値MBを
有し、分子量2万〜38万の間に分子量極小値Mdを有
し、MB/MAが30〜150であり、分子量400か
らMdまでの分子量分布曲線の面積をSAとし、分子量
Mdから500万までの分子量分布曲線の面積をSBと
し、分子量ピーク値MAの頂点と分子量ピーク値MBの
頂点を結ぶ直線と分子量分布曲線により囲まれた面積を
SdとしたときSA:SB:Sdが1:0.3〜0.
8:0.35〜0.8であることにより上記目的を達成
する。
【0041】さらに、本発明の静電荷像現像用トナー
は、バインダー樹脂、低融点グラフト変性ポリオレフィ
ン離型剤、及び着色剤を少なくとも有する静電荷像現像
用トナーにおいて、 A)バインダー樹脂がスチレン−アクリル系共重合体の
低温軟化性樹脂及び高温軟化性樹脂の2種を有し、 B)低温軟化性樹脂の重量平均分子量(Mw)が5.0
×103〜3.0×104であり、重量平均分子量/数平
均分子量(Mw/Mn)が3.0以下であり、フローテ
スターにおける流出開始点75〜90℃であり、軟化点
が80〜110℃であり、ガラス転移点(Tg)が55
〜70℃であって、バインダー樹脂中に50重量%以上
含有され、 C)高温軟化性樹脂の重量平均分子量(Mw)が4.0
×105〜1.5×106であり、重量平均分子量/数平
均分子量(Mw/Mn)が3.0以下であり、フローテ
スターにおける流出開始点が110〜160℃であり、
軟化点が150〜230℃であり、ガラス転移点(T
g)が55℃以上であり、 D)低温軟化性樹脂と高温軟化性樹脂の比率が重合割合
で50:50〜90:10であり、 E)低温軟化性樹脂が溶液重合法で、高温軟化性樹脂が
懸濁重合法でそれぞれ得られ、且つ両者の混合が両者の
溶解可能な溶媒中で行われ、 F)低融点グラフト変性ポリオレフィン離型剤の数平均
分子量(Mn)が1.0×103以下であり、重量平均
分子量(Mw)が2.5×103以下であり、Mw/M
nが3.0以下であり、融点が60〜120℃であっ
て、トナーに対して0.1〜20重量%用いることによ
り、上記目的を達成する。
【0042】本発明の加熱定着方法は、記録材にトナー
の顕画像を加熱定着する方法において、該トナーは、バ
インダー樹脂及び着色剤を少なくとも有し、バインダー
樹脂のTHF不溶分がバインダー樹脂基準で10重量%
未満であり、バインダー樹脂のTHF可溶分のGPC
(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)における
重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)が18以
下であり、分子量3000〜2万の領域に1つの分子量
ピーク値MAを有し、分子量38万〜100万の領域に
1つの分子量ピーク値MBを有し、分子量2万〜38万
の間に分子量極小値Mdを有し、MB/MAが30〜1
50であり、分子量400からMdまでの分子量分布曲
線の面積をSAとし、分子量Mdから500万までの分
子量分布曲線の面積をSBとし、分子量ピーク値MAの
頂点と分子量ピーク値MBの頂点を結ぶ直線と分子量分
布曲線により囲まれた面積をSdとしたときSA:S
B:Sdが1:0.3〜0.8:0.35〜0.8であ
る静電荷像現像用トナーであり、該トナーの顕画像を、
記録材に、固定支持された加熱体と該加熱体に対向圧接
し且つフィルムを介して該記録材を該加熱体に定着させ
る加圧部材とにより加熱定着することにより、上記目的
を達成する。
【0043】本発明の加熱定着方法は、記録材にトナー
の顕画像を加熱定着する方法において、該トナーは、バ
インダー樹脂、低融点グラフト変性ポリオレフィン離型
剤、及び着色剤を少なくとも有し、 A)バインダー樹脂がスチレン−アクリル系共重合体の
低温軟化性樹脂及び高温軟化性樹脂の2種を有し、 B)低温軟化性樹脂の重量平均分子量(Mw)が5.0
×103〜3.0×104であり、重量平均分子量/数平
均分子量(Mw/Mn)が3.0以下であり、フローテ
スターにおける流出開始点75〜90℃であり、軟化点
が80〜110℃であり、ガラス転移点(Tg)が55
〜70℃であって、バインダー樹脂中に50重量%以上
含有され、 C)高温軟化性樹脂の重量平均分子量(Mw)が4.0
×105〜1.5×106であり、重量平均分子量/数平
均分子量(Mw/Mn)が3.0以下であり、フローテ
スターにおける流出開始点が110〜160℃であり、
軟化点が150〜230℃であり、ガラス転移点(T
g)が55℃以上であり、 D)低温軟化性樹脂と高温軟化性樹脂の比率が重合割合
で50:50〜90:10であり、 E)低温軟化性樹脂が溶液重合法で、高温軟化性樹脂が
懸濁重合法でそれぞれ得られ、且つ両者の混合が両者の
溶解可能な溶媒中で行われ、 F)低融点グラフト変性ポリオレフィン離型剤の数平均
分子量(Mn)が1.0×103以下であり、重量平均
分子量(Mw)が2.5×103以下であり、Mw/M
nが3.0以下であり、融点が60〜120℃であっ
て、トナーに対して0.1〜20重量%用いる静電荷像
現像用トナーであり、該トナーの顕画像を、記録材に、
固定支持された加熱体と該加熱体に対向圧接し且つフィ
ルムを介して該記録材を該加熱体に定着させる加圧部材
とにより加熱定着することにより、上記目的を達成す
る。
【0044】(発明の構成) 前記した様な目的を達成するために本発明者らは鋭意検
討した結果、トナーに含有されるバインダー樹脂のTH
F不溶分が10重量%未満であり、かつTHF可溶分の
GPCにおける分子量分布が特定の構成のときに達成さ
れることを見出した。
【0045】更には、特定の分子量及び分子量分布を有
し、かつ特定の融点を有する離型剤を含有する場合に顕
著になることを見出した。
【0046】また、バインダー樹脂が低分子量重合体及
び高分子量重合体を溶媒中で混合後、溶媒除去により製
造された場合に特に、良好に達成されることを見出し
た。
【0047】また、記録材にトナーの顕画像を加熱定着
するにあたっては、従来からの熱ロール定着機の他に、
固定支持された加熱体と、加熱体に対向圧接し、かつフ
ィルムを介して記録材を該加熱体に密着させる加圧部材
とにより、トナーの顕画像を記録材に加熱定着する様な
加熱定着する定着方式に好適なトナーであることを見出
した。
【0048】前記トナーを構成するバインダー樹脂のT
HF不溶分はバインダー樹脂基準で10重量%未満であ
り、好ましくは5重量%以下である。THF不溶分が1
0重量%を越えて含有されると耐オフセット性は向上す
るものの定着性は悪化する傾向にあり、両者を高度に満
足させることは困難である。
【0049】該バインダー樹脂のTHF不溶分はGPC
による分子量測定では、重量平均分子量/数平均分子量
(Mw/Mn)が18以下であり、分子量3000〜2
万の領域に1つの分子量ピーク値MAを有し、分子量3
8万〜100万の領域に1つの分子量ピーク値MBを有
し、分子量2万〜38万の間に分子量極小値Mdを有
し、MB/MAが30〜150であり、分子量400か
らMdまでの分子量分布曲線の面積をSAとし、分子量
Mdから500万までの分子量分布曲線の面積をSBと
し、分子量ピーク値MAの頂点と分子量ピーク値MBの
頂点を結ぶ直線と分子量分布曲線により囲まれた面積を
Sdとしたとき、SA:SB:Sdが1:0.3〜0.
8:0.35〜0.8である場合が好ましい。
【0050】上記条件を満足しない場合には本発明の目
的を達成することは困難である。
【0051】GPCクロマトグラムの説明図を図2に示
す。
【0052】重量平均分子量/数平均分子量(Mw/M
n)は18以上であり、好ましくは20以上、更に好ま
しくは25〜60である。Mw/Mnが18未満となる
場合には定着性は改善される傾向にあるものの耐オフセ
ット性が低下する。
【0053】分子量3000〜2万の領域及び分子量3
8〜100万の領域に各々1つの分子量ピーク値(MA
及びMB)を有し、かつ分子量2万〜38万の領域に分
子量の極小値を有し、MB/MAは、30〜150であ
り、好ましくは分子量5000〜15000の領域及び
分子量45万〜90万の領域に各々1つの分子量ピーク
値を有し、かつ、分子量3万〜30万の領域に極小値を
有し、MB/MAが40〜100の場合である。分子量
2万〜38万の領域にのみ極小値を有する場合には定着
性は良好となる可能性はあるものの、耐オフセット性は
明らかに劣る。
【0054】分子量ピーク値MAが3000未満となる
場合には耐ブロッキング性が不良となり、感光体へのフ
ィルミングあるいは融着が発生しやすく、MAが2万を
越える場合には定着性不良となる可能性がある。また、
分子量ピーク値MBが38万未満となる場合には耐オフ
セット性が不良となり、粉砕工程において装置内で融着
物が生成しやすく、100万を越える場合には定着性不
良となる可能性があり、粉砕性も不良となり生産性も劣
る傾向がある。
【0055】分子量のピーク値の比MB/MAは、30
〜150であり、好ましくは30〜120であり、更に
好ましくは30〜100である。
【0056】MB/MAが30未満である場合、または
150を越える場合では定着性及び耐オフセット性の高
度な両立が困難となる。
【0057】分子量3000〜2万の領域に2つ以上の
分子量ピーク値が存在した場合には、GPCクロマトグ
ラムにおけるピークの高さの高い方のピークの位置に対
応する分子量をMAとする。
【0058】同様に、分子量38万〜100万の領域に
2つ以上の分子量ピーク値が存在した場合には、GPC
クロマトグラムにおけるピークの高さの高い方のピーク
の位置に対応する分子量をMBとする。
【0059】分子量2万から38万の領域に分子量極小
値が2つ以上存在した場合には、GPCクロマトグラム
における分子量極小値の高さの低い方の分子量極小値の
位置に対応する分子量をMdとする。
【0060】分子量分布曲線の面積比SA:SB:Sd
は1:0.3〜0.8:0.35〜0.8であり、好ま
しくはSA:SB:Sdが1:0.3〜0.7:0.4
〜0.7であり、更に好ましくはSA:SB:Sdが
1:0.3〜0.6:0.5〜0.7である。SBが
0.3未満であると耐オフセット性が低下し、0.8を
越える場合には定着性不良となり、粉砕性も不良となる
傾向にある。Sdが0.35未満であると定着性及び/
又は耐オフセット性が低下し、0.8を越える場合には
耐オフセット性が不良となる傾向にある。
【0061】本発明のトナーに好ましく用いられる離型
剤としては数平均分子量が1000以下、重量平均分子
量が2500以下、重量平均分子量/数平均分子量(M
w/Mn)が3以下であり、融点が60〜120℃であ
るものが好ましい。該離型剤は、バインダー樹脂基準で
0.1〜20重量%含有する場合が好ましい。更に好ま
しくは数平均分子量が400〜700であり、重量平均
分子量が500〜1500であり、Mw/Mnが2.5
以下であり、融点が60〜100℃の場合である。該離
型剤はバインダー樹脂基準で1〜10重量%含有される
ことが好ましい。
【0062】本発明のトナーに用いられる離型剤がこの
条件を満足しない場合、例えば融点が120℃を越える
場合は定着性に悪影響を及ぼし、60℃未満となる場合
には耐オフセット性及びトナーのブロッキング性に悪影
響を及ぼす。更には該離型剤の含有量が20重量%を越
える場合には、トナーを高温下に放置した際のブロッキ
ング性及び定着性に悪影響を及ぼし、0.1重量%未満
ではトナーのオフセット防止効果は不充分となる傾向が
ある。
【0063】本発明のトナーに用いられるバインダー樹
脂は重量平均分子量が5000〜3万の重合体Aと重量
平均分子量が40万〜150万の重合体Bとを溶媒中で
混合後、溶媒除去により製造されたものが好ましい。好
ましくは、重量平均分子量が7000〜25000の重
合体Aと重量平均分子量が45万〜100万の重合体B
とを溶媒中で混合後、溶媒除去により製造されたもので
ある。溶媒としては、重合体A及び重合体Bを溶解する
ものであればよく、例えばトルエン、キシレン、2−プ
ロパノン等がある。
【0064】本発明のトナーに用いられるバインダー樹
脂の製造において、重合体Aは溶液重合法または懸濁重
合法により、重合体Bは懸濁重合法または乳化重合法に
より製造されるものであるのが好ましい。より好ましく
は重合体Aは溶液重合法により、重合体Bは懸濁重合法
により製造されたものが良い。
【0065】重合体A及び重合体Bの混合には、均一な
分散を有するバインダー樹脂を製造するために溶媒中で
混合後、溶媒除去により製造されるのが好ましい。混練
機を用いて加熱、溶融混合する様な製造方法では均一な
分散状態を有するバインダー樹脂を得ることは困難であ
り、本発明の目的である定着性及び耐オフセット性を満
足することが難しく、感光体への融着物の生成あるいは
粉砕工程で装置の内壁へ粉砕物が融着しやすくなり好ま
しくない。
【0066】重合体Aの重量平均分子量が5000未満
の場合には耐オフセット性が低下し、トナー製造時の粉
砕性も低下する。重量平均分子量が3万を越える場合に
は定着性が低下する。
【0067】重合体Bの重量平均分子量が40万未満の
場合には粉砕性不良となる傾向を示し、さらに耐オフセ
ット性の低下、耐ブロッキング性の低下、感光体への融
着物生成等が生じ好ましくない。
【0068】重量平均分子量が150万を越える場合に
は粉砕性が低下する。
【0069】重合体A及び重合体Bは各々を単独でトナ
ー用のバインダー樹脂として用いても本発明の目的を達
成することは困難であり、重合体A及び重合体Bを溶融
混合する製造法よりは、溶媒中で混合後、溶媒除去する
製造方法によって好適に達成される。重合体Bは本発明
のトナーに係る製造方法によって好適に耐オフセット
性、低温定着性、トナー製造時の粉砕性等の相反する性
能を好適に満足することが可能となる。
【0070】本発明でのTHF不溶分とは、トナー中の
樹脂組成物中のTHF溶媒に対して不溶性となったポリ
マー成分(巨大分子ポリマーまたは架橋ポリマー)の重
量割合を示す。THF不溶分は、以下のように測定され
る。
【0071】トナーサンプル0.5〜1.0gを秤量し
(W1g)、円筒濾紙(例えば東洋濾紙製No.86
R)に入れてソックスレー抽出器にかけ、溶媒としてT
HF100〜200mlを用いて6時間抽出し、THF
によって抽出された可溶成分をエバポレートした後、1
00℃で数時間真空乾燥し、THF可溶樹脂成分量を秤
量する(W2g)。トナー中の磁性体あるいは顔料の如
き樹脂成分以外の不溶成分の重量を(W3g)とする。
THF不溶分は、下記式から求められる。
【0072】
【外1】
【0073】本発明において、GPC(ゲルパーミエー
ションクロマトグラフィ)によるクロマトグラムのピー
ク又は/およびショルダーの分子量は次の条件で測定さ
れる。
【0074】40℃のヒートチャンバー中でカラムを安
定させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHF
(テトラヒドロフラン)を毎分1mlの流速で流し、試
料濃度として0.05〜0.6重量%に調整した樹脂の
THF試料溶液を50〜200μl注入して測定する。
試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分
布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製され
た検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。
検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば
Pressure Chemical Co.製あるい
は東洋ソーダ工業社製の分子量が6×102 ,2.1×
103,4×103,1.75×104,5.1×104
1.1×105,3.9×105,8.6×105,2×
106,4.48×106のものを用い、少なくとも10
点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当であ
る。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
【0075】カラムとしては、103〜2×106の分子
量領域を適確に測定するために、市販のポリスチレンゲ
ルカラムを複数組合せるのが良い。例えばWaters
社製のμ−styragel 500,103,104
105の組合せや、昭和電工社製のshodexKF−
80Mや、KF−802,803,804,805の組
合せ、あるいは東洋曹達製のTSKgel G1000
H,G2000H,G2500H,G3000H,G4
000H,G5000H,G6000H,G7000
H,GMHの組合せが好ましい。
【0076】後述の実施例において、バインダー樹脂の
分子量分布は、次の条件で測定したものである。
【0077】GPC測定条件 装置:LC−GPC 150C(ウォーターズ社製) カラム:KF801〜KF807(ショウデックス社
製) カラム温度:28〜30℃ 溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
【0078】試料の有する分子量分布は、上記条件で測
定されたポリスチレン標準試料により作製された検量線
の対数値と以上の条件で測定したカウント数との関係か
ら算出した。
【0079】本発明のトナーに用いられるバインダー樹
脂における分子量分布曲線のSA,SB及びSdはGP
Cによるクロマトグラムを切りぬき重量比を計算し、そ
の面積比を計算する。
【0080】後述の実施例において、離型剤の分子量分
布は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ
ィ)によって次の条件で測定される。
【0081】 装置:LC−GPC 150C(ウォーターズ社) カラム:GMH6(東洋ソーダ) 60cm カラム温度:140℃ 溶媒:o−ジクロロベンゼン
【0082】試料の有する分子量分布は、上記の条件で
測定されたポリエチレン標準試料により作製された検量
線の対数値とカウント数との関係から算出する。
【0083】本発明において、離型剤の融点は、DSC
−7(Perkin Elmer社製)の如き示差走査
型熱量計を用いて、試料の吸熱ピークを測定し、その最
高融解ピーク値とする。
【0084】図5にDSCにおける吸熱ピークの一例を
示す。
【0085】本発明のトナーにおいて、バインダー樹脂
は、スチレン−アクリル系共重合体の低温軟化性樹脂及
び高温軟化性樹脂の2種及び低融点グラフト変性ポリオ
レフィン離型剤を含有することが好ましい。
【0086】上記低温軟化性樹脂としては、Mwが5.
0×103〜3.0×104(好ましくは5.0×103
〜2.0×104)であり、MwとMnの比(Mw/M
n)が3.0以下であり、且つ、フローテスターにおけ
る流出開始温度が75〜90℃であり、軟化点が80〜
110℃であり、ガラス転移点(以下「Tg」と称す
る)が55〜70℃(好ましくは55〜65℃)であ
り、高温軟化性樹脂としては、Mwが4.0×105
1.5×106であり、Mw/Mnが3.0以下であ
り、流出開始点が110〜160℃であり、軟化点が1
50〜230℃であり、Tgが55℃以上であることで
ある。
【0087】低温軟化性樹脂のMwが5.0×103
満の場合、トナーのブロッキング性が著しく劣化し、保
存安定性が損われ、現像時における感光体へのトナーの
融着現象を発生して画像に悪影響を及ぼしやすい。Mw
が3.0×104を上回る場合、低温定着性を達成する
ことが困難であり、トナーの記録材への定着にかかる消
費電力も増大する。低温軟化性樹脂のMw/Mnを3.
0以下にすることで、低温定着性が良化される。
【0088】低温軟化性樹脂のフローテスターにおける
流出開始温度が75℃未満の場合、トナーのブロッキン
グ性が著しく劣化し、一方、90℃を上回る場合、高温
軟化性樹脂と組合せた時に低温定着性を達成することが
困難である。
【0089】低軟化性樹脂の軟化点が80℃未満の場
合、高温軟化性樹脂と組合せても、加熱定着工程でトナ
ーの過剰溶融傾向が現われ、定着画像表面の光沢、転写
紙の如き記録材中へのトナー材料の浸み込み、裏移り、
溶融トナーの広がりによる画像ニジミの欠点が生じやす
い。軟化点が110℃を上回る場合、低温定着性が達成
することが困難であり、トナーの記録材への定着にかか
る消費電力も増大する。
【0090】上述の如き特定な低温軟化性樹脂を使用す
ることにより良好な低温定着性を達成できる。
【0091】一方、オフセット現象について本発明者ら
の鋭意研究の結果、低温軟化性樹脂成分の低温定着性を
発揮させるためには、バインダー樹脂全量に対し、低温
軟化性樹脂が50重量%以上(好ましくは65重量%以
上、より好ましくは70重量%以上)含有されることが
好ましい。
【0092】高温軟化性樹脂成分は極く小量の添加でオ
フセット現象を防止することが求められる。
【0093】オフセット防止を目的として上述の低温軟
化性樹脂と組合せる樹脂としては、分子量及び溶融粘度
特性が、低温軟化性樹脂と極端に異なる高温軟化性樹脂
が必要であることが明らかとなった。
【0094】本発明において高温軟化性樹脂のMwが
4.0×105未満の場合、低温定着が可能となる割合
で該樹脂と低温軟化性樹脂と組合せると、オフセット現
象が発生しやすい。一方、Mwが1.5×106を上回
ると低温定着性が損われる傾向がある。
【0095】高温軟化性樹脂のフローテスターにおける
流出開始温度が、110℃未満であるか又は、軟化点が
150℃未満の場合、低温定着が可能となる割合で該樹
脂と低温軟化性樹脂と組合せると、オフセット現象が発
生しやすい。一方、流出開始温度が160℃を上回るか
又は軟化点が230℃を上回る場合、低温定着性が損わ
れる傾向がある。
【0096】高温軟化性樹脂のTgは55℃以上である
ことが好ましく、さらに好ましくは60〜70℃、より
さらに好ましくは、65〜70℃である。これは、トナ
ー製造時の溶融混練時における高分子鎖の切断により高
分子成分の分子量が低下し、そのため、Tgが55℃未
満であると、現像時における感光体へのトナーの融着が
発生しやすくなるためである。
【0097】バインダー樹脂における低温軟化性樹脂と
高温軟化性樹脂の比率は50:50〜90:10重量%
(好ましくは65:35〜90:10重量%)の範囲に
あることである。
【0098】低温軟化性樹脂の割合が50重量%未満で
あり、且つ高温軟化性樹脂の割合が50重量%を上回る
と低温定着性を達成することが困難であり、一方、低温
軟化性樹脂の割合が90重量%を上回り、高温軟化性樹
脂10重量%未満となると、オフセット現象が生じやす
く、定着画像に悪影響を及ぼしやすい。
【0099】高温軟化性樹脂の割合が50重量%を上回
るとトナー製造時の粉砕性が著しく低下し、トナーの生
産効率が低下しやすい。
【0100】本発明のトナーの構成上の他の特徴は、バ
インダー樹脂の低温軟化性樹脂が溶液重合法で、高温軟
化性樹脂が懸濁重合法で得られるものであり、且つ、両
者の混合が両者の溶解可能な溶媒中で行われることにあ
る。
【0101】前述の如き分子量分布、溶融粘度挙動を持
った高温軟化性樹脂を得るには、懸濁重合法、乳化重合
法があるが、乳化重合法では、乳化剤の残存をさけるこ
とは難しくトナー特性を低下させることになる。
【0102】低温軟化性樹脂については重合終了後高温
軟化性樹脂と溶液混合することからも溶液重合法によっ
て合成するのが好ましい。
【0103】低温軟化性樹脂と高温軟化性樹脂の混合
は、溶液混合法を行う。それ以外の混合では均一混合と
ならず、トナー特性に悪影響を及ぼす。
【0104】溶液混合法で行うことで溶媒除去工程によ
り残存モノマーを除去することが可能である。
【0105】バインダー樹脂の溶融特性の測定は、図3
に示す高架式フローテスター(島津フローテスターCF
T−500形)を用い、先ず加圧成形器を用いて成形し
た重量1.0gの試料3を、昇温速度5.0℃/min
でプランジャー1により20kgfの荷重をかけ、直径
1mm、長さ1mmのノズル4より押し出すようにしな
がら、フローテスターのプランジャー降下量を測定す
る。
【0106】この時、フローテスターのプランジャー降
下量−温度曲線(図4フローテスター流出曲線参照)に
おけるS字曲線の高さをhとしたとき、h/2のときの
温度を軟化点とし、試料が流出を開始した温度を流出開
始温度とする。
【0107】Tgは、2度目の昇温時のDSCカーブよ
り、図5に示すように吸熱ピーク前の基線(1)と吸熱
ピーク後の基線(2)との中線と、立ちあがり曲線との
交点の位置に対応する温度とした。
【0108】本発明におけるTgの測定方法は、DSC
−7(パーキンエルマー(Perkin Elmer)
社製)を用いて昇温速度10℃/minでASTM(D
3418−82)に準じて行う。
【0109】本発明のトナーのバインダー樹脂に用いる
樹脂組成物は、スチレン類,アクリル酸類,メタクリル
酸類及びその誘導体から選ばれる1種以上のモノマーを
重合して得られるものが現像特性及び帯電特性等から好
ましい。使用できるモノマーの例としては、スチレン類
としてスチレン,α−メチルスチレン,ビニルトルエ
ン,クロルスチレンなどがあげられる。アクリル酸類,
メタクリル酸類及びその誘導体としては、アクリル類,
アクリル酸メチル,アクリル酸エチル,アクリル酸プロ
ピル,アクリル酸ブチル,アクリル酸オクチル,アクリ
ル酸2−エチルヘキシル,アクリル酸n−テトラデシ
ル,アクリル酸n−ヘキサデシル,アクリル酸ラウリ
ル,アクリル酸シクロヘキシル,アクリル酸ジエチルア
ミノエチル,アクリル酸ジメチルアミノエチルの如きア
クリル酸エステル類;メタクリル酸,メタクリル酸メチ
ル,メタクリル酸エチル,メタクリル酸プロピル,メタ
クリル酸ブチル,メタクリル酸アミル,メタクリル酸ヘ
キシル,メタクリル酸2−エチルヘキシル,メタクリル
酸オクチル,メタクリル酸デシル,メタクリル酸ドデシ
ル,メタクリル酸ラウリル,メタクリル酸シクロヘキシ
ル,メタクリル酸フェニル,メタクリル酸2−ヒドロキ
エチル,メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル,メタク
リル酸ジメチルアミノエチル,メタクリル酸グリシジ
ル,メタクリ酸ステアリルの如きメタクリル酸エステル
類があげられる。
【0110】前述のモノマー以外に、本発明の目的を達
成しうる範囲で少量の他のモノマーを使用しても良い。
例えばアクリロニトリル,2−ビニルピリジン,4−ビ
ニルピリジン,ビニルカルバゾール,ビニルメチルエー
テル,ブタジエン,イソプレン,無水マレイン酸,マレ
イン酸,マレイン酸モノエステル類,マレイン酸ジエス
テル類,酢酸ビニルなどが挙げられる。
【0111】本発明のトナーに用いられる架橋剤として
は、2官能の架橋剤として、ジビニルベンゼン,ビス
(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン,
エチレングリコールジアクリレート,1,3−ブチレン
グリコールジアクリレート,1,4−ブタンジオールジ
アクリレート,1,5−ペンタンジオールジアクリレー
ト,1,6−ヘキサンジオールアクリレート,ネオペン
チルグリコールジアクリレート,ジエチレングリコール
ジアクリレート,トリエチレングリコールジアクリレー
ト,テトラエチレングリコールジアクリレート,ポリエ
チレングリコール#200,#400,#600の各ジ
アクリレート,ジプロピレングリコールジアクリレー
ト,ポリプロピレングリコールジアクリレート,ポリエ
ステル型ジアクリレート(MANDA日本化薬)、及び
以上のアクリレートをメタクリレートにかえたものが挙
げられる。
【0112】多官能の架橋剤としてペンタエリスリトー
ルトリアクリレート,トリメチロールエタントリアクリ
レート,トリメチロールプロパントリアクリレート,テ
トラメチロールメタンテトラアクリレート,オリゴエス
テルアクリレート及びそのメタクリレート,2,2−ビ
ス(4−メタクリロキシ,ポリエトキシフェニル)プロ
パン,シアリルフタレート,トリアリルシアヌレート,
トリアリルシアヌレート,トリアリルイソシアヌレー
ト,トリアリルトリメリテート,ジアリールクロレンデ
ート等があげられる。
【0113】これらの架橋剤は、THF不溶分を10重
量%未満とするために含有させないことが好ましい。含
有させる場合には、バインダー樹脂基準で1重量%未
満、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.
2重量%以下含有させる。
【0114】本発明のトナーに使用されるバインダー樹
脂は、架橋剤の不存在下または存在下で、さらに重合開
始剤を使用してモノマーから合成される。
【0115】重合開始剤としては、ジ−t−ブチルパー
オキサイド,ベンゾイルパーオキサイド,ラウロイルパ
ーオキサイド,t−ブチルパーオキシラウレート,2,
2´−アゾビスイソブチロニトリル,1,1−ビス(t
−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘ
キサン,1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロ
ヘキサン,1,4−ビス(t−ブチルパ−オキシカルボ
ニル)シクロヘキサン,2,2−ビス(t−ブチルパー
オキシ)オクタン,n−ブチル4,4−ビス(t−ブチ
ルパーオキシ)バリレート,2,2−ビス(t−ブチル
パーオキシ)ブタン,1,3−ビス(t−ブチルパーオ
キシ−イソプロピル)ベンゼン,2,5−ジメチル−
2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン,2,5
−ジメチル−2,5−ジ)t−ブチルパーオキシ)ヘキ
サン−3,2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイル
パーオキシ)ヘキサン,ジ−t−ブチルパーオキシイソ
フタレート,2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパ
ーオキシシクロヘキシル)プロパン,ジ−t−ブチルパ
ーオキシα−メチルサクシネート,ジ−t−ブチルパー
オキシジメチルグルタレート,ジ−t−ブチルパーオキ
シ,ヘキサヒドロテレフタレート,ジ−t−ブチルパー
オキシアゼラート,2,5−ジメチル−2,5−ジ(t
−ブチルパーオキシ)−ヘキサン,ジエチルグリコール
−ビス(t−ブチルパーオキシカーボネート),ジ−t
−ブチルパーオキシトリメチルアジペート,トリス(t
−ブチルパーオキシ)トリアジン,ビニルトルリ(t−
ブチルパーオキシ)シランが挙げられる。
【0116】上述の重合開始剤は、使用量,重合温度及
び半減期を考慮して、単独または混合して使用される。
【0117】本発明に使用されるトナー中には、数平均
分子量(Mn)が1.0×103以下であり、重量平均
分子量(Mw)が2.5×103以下であり、Mw/M
nが3.0以下であり、融点(mp)が60〜120℃
である離型剤を少なくとも一種以上使用することが好ま
しい。また、本発明においては、トナーに対して0.1
〜20重量%(好ましくは1〜10重量%)の添加量で
離型剤を用いることが好ましい。
【0118】本発明のトナーにおいて好ましく用いられ
る離型剤としては例えば、パラフィンワックス、低分子
量ポリエチレンワックス、低分子量エチレン−プロピレ
ン共重合体、低分子量ポリプロピレンワックス、及びス
チレン,スチレン誘導体の如き芳香族ビニルモノマー,
不飽和脂肪酸あるいは、不飽和脂肪酸エステルによりグ
ラフト変性されたポリオレフィンワックス等が挙げられ
る。このなかでも特に、グラフト変性されたポリオレフ
ィンワックスが、現像剤及び該現像剤を使用した複写機
等の機械の長寿命化,サービスメンテナンスフリーの点
から好ましい。
【0119】グラフト変性ポリオレフィンは、Mnが
1.0×103以下、好ましくは400〜700であ
り、Mwが2.5×103以下、好ましくは700〜1
500であり、Mw/Mnが3.0以下、好ましくは
2.0以下であり、融点が60〜120℃、好ましくは
60〜100℃であることが好ましい。
【0120】これにより低温度の定着条件でオフセット
することなくトナーを記録材に加熱定着することがで
き、したがって低消費電力化が可能である。
【0121】本発明者らの鋭意研究の結果、低温定着を
可能とする低温溶融のバインダー樹脂に対して、低温で
離型性を良好に示す離型剤が必要であり、離型剤が離型
性を示す温度は、離型剤の融点に相関があり、融点がよ
り低いもの程低温定着に有利であることが明らかとなっ
た。しかしながら低融点の離型剤を使用する場合、トナ
ーのブロッキング特性の悪化、二成分系現像方法で使用
する際のキャリアに対するトナーのフィルミング等の悪
影響が生じやすい。そこで本発明においては、離型剤の
分子量分布を上記の如く比較的シャープにすることによ
り、ブロッキング特性を良化することができ、低温で離
型性を示し、オフセット現象を生じない好特性を得てい
る。
【0122】しかしながら、低温定着は、上述の如き低
融点離型剤と結着樹脂を組合せることにより、ある程度
達成可能であるが、低温軟化性樹脂と高温軟化性樹脂と
の混合樹脂中における離型剤の分散は技術的に難しい。
分散が不十分であると、トナーに現像性に悪影響を及ぼ
す。
【0123】そこで本発明者らは、更に鋭意研究の結
果、上述の如きバインダー樹脂への離型剤の分散に対し
て低融点ポリオレフィンワックスをグラフト変性するこ
とにより上述の問題点を解消し、現像性が良好でしかも
更なる低温定着性が達成できることを見出した。
【0124】本発明のトナーのバインダー樹脂は低温軟
化性樹脂と高温軟化性樹脂を混合して得ることが好まし
く、両樹脂が同一成分から成るバインダー樹脂であるこ
とが好ましい。
【0125】本発明で用いる低融点グラフト変性ポリオ
レフィン離型剤としては、スチレン,スチレン誘導体の
如き芳香族ビニルモノマーあるいは、不飽和脂肪酸また
は不飽和脂肪酸エステルによりグラフト変性されたポリ
オレフィンワックスが挙げられる。
【0126】ポリオレフィンワックスとしては、ポリエ
チレンワックス;プロピレン,1−ブテン,1−ヘキセ
ン,1−デセン,4−メチル−1−ペンテンの如きα−
オレフィンの単独重合体;2種以上のα−オレフィンの
共重合体;エチレンとα−オレフィンとの共重合体が挙
げられる。更にはポリオレフィンの酸化物も含まれる。
【0127】グラフト変性ポリオレフィンを合成するた
めに使用される不飽和脂肪酸あるいは不飽和脂肪酸エス
テルとしては、メタクリル酸;メチルメタクリレート,
エチルメタクリレート,プロピルメタクリレート,n−
ブチルメタクリレート,イソブチルメタクリレート,n
−オクチルメタクリレート,2−エチルヘキシルメタク
リレート、ラリウルメタクリレート,スタアリルメタク
リレート,ドデシルメタクリレート,フェニルメタクリ
レート,ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチ
ルアミノエチルメタクチレート,メタクリル酸−2−ヒ
ドロキシエチル,2,2,2−トリフルオロエチルメタ
クリレート,メタクリル酸グリシジルの如きメタクリレ
ート類;アクリル酸;メチルアクリレート、エチルアク
リレート、プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレ
ート、イソブチルアクリレート,n−オクチルアクリレ
ート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレー
ト、ドデシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリ
レート、フェニルアクリレート、2−クロルエチルアク
リレート、アクリル酸 2−ヒドロキシエチル、シクロ
ヘキシルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレ
ート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジブチルア
ミノエチルアクリレート、2−エトキシアクリレート、
1,4−ブタンジオールジアクリレートの如きアクリレ
ート類;マイレン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコ
ン酸、モノエチルマレート、ジエチルマレート、モノプ
ロピルマレート、ジプロピルマレート、モノブチルマレ
ート、ジブチルマレート、ジ−2−エチルヘキシルマレ
ート、モノエチルフマレート、ジエチルフマレート、ジ
ブチルフマレート、ジ−2−エチルヘキシルフマレー
ト、モノエチルイタコネート、ジエチルイタコネート、
モノエチルシトラコネート、ジエチルシトラコネートの
如き不飽和二塩基酸エステルなどをあげることができ
る。これらの1種あるいは2種以上を用いることができ
る。
【0128】芳香族ビニルモノマーとしてはスチレン、
o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチル
スチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチ
レン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、
p−tert−ブチルスチレン、p−n−ドデシルスチ
レン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン等を
あげることができる。これらの1種または2種以上を用
いることができる。
【0129】グラフト変性する方法としては、従来公知
の方法を用いることができる。たとえば前記ポリオレフ
ィンと、芳香族ビニルモンマー及び不飽和脂肪酸または
不飽和脂肪酸エステルを溶融状態あるいは溶媒に溶解し
て大気下又は加圧下でラジカル開始剤の存在下で加熱し
て反応させることによりグラフト変性ポリオレフィンが
得られる。芳香族ビニルモノマー及び不飽和脂肪酸また
は不飽和脂肪酸エステルによるグラフト化は、両者を同
時に行うことも良く、個々に行うことも良い。
【0130】グラフト化反応に用いる開始剤としては、
ベンゾイルパーオキサイド、ジクロルベンゾイルパーオ
キサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ラウ
ロイルパーオキサイド、tert−ブチルパーフェニル
アセテート、クミンパーピバレート、アゾビス−イソブ
チロニトリル、ジメチルアゾイソブチレート、ジクミル
パーオキサイド等を挙げることができる。
【0131】ポリオレフィンに対するグラフト化剤の割
合は、ポリオレフィン100重量部に対し0.1〜10
0重量部が好ましく、より好ましくは1〜50重量部で
ある。0.1重量部未満ではグラフト化の効果がほとん
ど発揮されず、100重量部を越える場合はポリオレフ
ィンが本来持ちあわせている有利な性質を失うことにな
る。
【0132】芳香族ビニルモノマーと不飽和脂肪酸又は
不飽和脂肪酸エステルとの重量比としては95:5〜
5:95が好ましく、より好ましくは、80:20〜2
0:80である。不飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸エステ
ルが多い場合は、ポリオレフィンの持つ離型効果が減少
する傾向にあり、芳香族ビニルモノマーが多い場合に
は、ポリオレフィンのトナー中への分散性があまり向上
しない。
【0133】本発明に使用されるグラフト変性ポリオレ
フィンの添加量としては、結着樹脂100重量部に対
し、0.1〜20重量部が好ましく、より好ましくは
0.5〜10重量部である。0.1重量部より少ない場
合には十分な離型効果は発揮することが困難であり、2
0重量部より多い場合にはトナーのブロッキング性が低
下し易い。
【0134】本発明に使用されるグラフト変性ポリオレ
フィンは、160℃における溶融粘度が1〜250cp
sの範囲にあることが好ましい。1cps未満の場合に
はトナーのブロッキングが発生し易くなり、250cp
sを越える場合ではトナー中からの変性ポリオレフィン
の浸み出しが起こりにくくなり、離型効果が発揮されに
くい。本発明の定着方法においては一般的には低い定着
設定温度にするとき程、低い溶融粘度の離型性成分を用
いることが好ましい。
【0135】本発明で言うところの溶融粘度は、B型回
転粘度計による測定値を用いている。
【0136】本発明の使用されるトナーは、トナーの定
着性に悪影響を与えない範囲の使用量で、融点120℃
を上回る離型剤を一種以上含有してもよい。
【0137】本発明のトナーは荷電制御剤を含有しても
良い。荷電制御剤としては、従来公知の正あるいは負の
荷電制御剤が用いられる。該荷電制御剤としては以下の
ものがあげられる。 (1)トナーを正荷電性に制御するものとしては、下記
物質がある。
【0138】ニグロシン、炭素数2〜16のアルキル基
を含むアジン系染料(特公昭42−1627号),塩基
性染料(例えばC.I.Basic Yellow 2
(C.I,41000),C.I.Basic Yel
low 3,C.I.BasicRed 1 (C.
I.45160),C.I.Basic Red 9
(C.I.42500),C.I.Basic Vio
let 1(C.I.42535),C.I.Basi
c Violet 3 (C.I.42555),C.
I.Basic Violet 10(C.I.451
70),C.I.Basic Violet14(C.
I.42510),C.I.Basic Blue 1
(C.I.42025),C.I.Basic Blu
e3(C.I.51005),C.I.Basic B
lue 5(C.I.42140),C.I.Basi
c Blue 7(C.I.42595),C.I.B
asic Blue 9(C.I.52015),C.
I.Basic Blue24(C.I.5203
0),C.I.Basic Blue25(C.I.5
2025),C.I.Basic Blue 26
(C.I.44025),C.I.Basic Gre
en 1(C.I.42040),C.I.Basic
Green4 (C.I.42000)、これらの塩
基性染料のレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタン
グステン酸、りんモリブデン酸,りんタングステンモリ
ブデン酸,タンニン酸,ラウリン酸,没食子酸,フェリ
シアン化物,フェロシアン化物など),C.I.Sov
ent Black 3 (C.I.26150),ハ
ンザイエローG(C.I.11680),C.I.Mo
rdlantBlack 11,C.I.Pigmen
t Black 1,ベンゾルメチル−ヘキサデシルア
ンモニウムクロライド,デシル−トリメチルアンモニウ
ムクロライドあるいはジブチル,ジオクオルなどのジア
ルキルチン化合物,高級脂肪酸の金属塩,酸化亜鉛の如
き無機微粉末、EDTA,アセチルアセトンの金属錯
体,アミノ基を含有するビニル系ポリマー,アミノ基を
含有する縮合系ポリマーの如きポリアミン樹脂。特に分
散性の点から、ニグロシン,高級脂肪酸の金属塩,アミ
ノ基を有するビニル系ポリマーが好ましい。 (2)トナーを負荷電性に制御するものとして下記物質
がある。
【0139】特公昭41−20153号公報、同42−
27596号公報、同44−6397号公報、同45−
26478号公報に記載されているモノアゾ染料の金属
化合物、特開昭50−133338号公報に記載されて
いるニトロフミン酸及びびその塩,C.I.14645
の如き染顔料、特公昭55−42752号公報、特公昭
58−41508号公報,特公昭58−7384号公
報,特公昭59−7384号公報に記載されているサリ
チル酸,ナフトエ酸,ダイカルボン酸のZn,Al,C
o,Cr,Feの含金属化合物,スルホン化した銅フタ
ロシアニン顔料;ニトリル基、ハロゲンを導入したスチ
レンオリゴマー、塩素化パラフィン等。特に分散性の点
から、モノアゾ染料の含金属化合物;サルチル酸、アル
キルサリチル酸、ナフトエ酸、またはダイカルボン酸の
含金属化合物が好ましい。
【0140】本発明のトナーは、必要に添加剤を混合し
た場合にもよい結果が得られる。添加剤としては、テフ
ロン,ステアリン酸亜鉛,ポリ弗化ビニリデンの如き滑
剤(中でもポリ弗化ビニリデンが好ましい);酸化セリ
ウム,炭化ケイ素,チタン酸ストロンチウムの如き研磨
剤(中でもチタン酸ストロンチウムが好ましい);コロ
イダルシリカ,酸化アルミニウムの如き流動性付与剤
(中でも疎水性コロイダルシリカが好ましい);ケーキ
ング防止剤;カーボンブラック,酸化亜鉛,酸化アンチ
モン,酸化スズの如き導電性付与剤;が挙げられる。ま
たトナーの帯電極性と逆極性の白色微粒子及び黒色微粒
子を現像性向上剤として少量用いることもできる。
【0141】さらに本発明のトナーは、二成分系現像剤
として用いる場合にはキャリヤー粉と混合して用いられ
る。この場合には、トナーとキャリヤー粉との混合比は
トナー濃度として0,1〜50重量%であることが好ま
しく、より好ましくは0.5〜10重量%、よりさらに
好ましくは3〜5重量%である。
【0142】本発明で使用しうるキャリヤーとしては公
知のものが使用可能でる。例えば鉄粉,フェライト粉,
ニッケル粉の如き磁性を有する粉体、ガラスビース及び
これらの表面をフッ素系樹脂をまたはシリコン系樹脂の
如き樹脂で表面処理したものがあげられる。
【0143】さらに本発明のトナーは更に磁性材料を含
有させ磁性トナーとして使用しうる。この場合、磁性材
料は着色剤の役割をかねている。トナー中に含まれる該
磁性材料としては、マグネタイト,ヘマタイト,フェラ
イトの如き酸化鉄又は二価金属と酸化鉄との化合物;
鉄,コバルト,ニッケルのような金属或いはこれらの金
属とアルミニウム,コバルト,銅,鉛,マグネシウム,
スズ,亜鉛,アンチモン,ベリリウム,ビスマス,カド
ミウム,カルシウム,マンガン、セレン、チタン、タン
グステン、バナジウムのような金属との合金およびそれ
らの混合物が挙げられる。
【0144】これらの強磁性体は平均粒子が0.1〜2
μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜
0.5μmであり、なかでも特に球形のものが好まし
い。該強磁性体をトナー中に含有させる量としては、樹
脂成分100重量部に対し約20〜200重量部である
ことが好ましく、特に好ましくは樹脂成分100重量部
に対し40〜180重量部である。
【0145】さらに本発明のトナーには必要に応じて着
色剤を添加しても良い。
【0146】本発明のトナーに使用する着色剤として
は、顔料または染料が使用される。顔料としてはカーボ
ンブラック,アニリンブラック,アセチレンブラック,
ナフトールイエロー,ハンザイエロー,ローダミンレー
キ,アリザリンレーキ,ベンガラ,フタロシアニンブル
ー,インダンスレンブルーが挙げられる。顔料は着色画
像の光学濃度を維持するのに必要充分な量が用いられ、
樹脂100重量部に対し0.1〜20重量部用いるのが
好ましく、より好ましくは2〜10重量部の添加量が良
い。染料としては、アゾ系染料,アントラキノン系染
料,キサンテン系染料,メチン系染料が挙がられる。染
料は樹脂100重量部に対し0.1〜20重量部用いる
のが好ましく、より好ましくは0.3〜3重量部の添加
量が良い。
【0147】本発明に係る静電荷像現像剤用トナーを作
製するには、前記本発明に係る樹脂組成物,離型剤及び
荷電制御剤、必要に応じて磁性材料及び着色剤としての
顔料又は染料,添加剤をボールミルその他の混合機によ
り充分混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストル
ーダーの如き熱混練機を用いて溶融,混和及び練肉して
樹脂類を互いに相溶せしめた中に顔料又は染料を分散又
は溶解せしめ、冷却固化後粉砕及び分級して平均粒径3
〜20μmのトナーを得る方法がある。
【0148】さらに、本発明はトナーの顕画像を加熱定
着する方法において、前述の如き特徴を有するトナーに
よって得られた顕画像を記録材に固定支持された加熱体
と、該加熱体に対向圧接し且つフィルムを介して該記録
材を該加熱体に密着させる加圧部材とにより加熱定着す
る方法に関する。
【0149】図1に本発明の定着装置の構成図を示す
が、これらのみに本発明の定着方法が限定されるもので
はない。
【0150】図1の定着装置において加熱体11は従来
の熱ロールに比べてその熱容量が小さく、線状の加熱部
を有するもので、加熱部の最高温度は100〜300℃
であることが好ましい。
【0151】加熱体11と加圧部材18の間に位置する
フィルム15は、厚さ1〜100μmの耐熱性のシート
であることが好ましい。これらの耐熱性シートとして
は、耐熱性の高いポリエステル、PET(ポリエチレン
テレフタレート)、PFA(テトラフルオロエチレン−
パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PT
FE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリイミド、ポ
リアミドの如きポリマーシート、アルミニウムの如き金
属シート及び、金属シートとポリマーシートから構成さ
れたラミネートシートが用いられる。
【0152】より好ましくはフィルムの構成としては、
これら耐熱性シートが離型層及び/又は低抵抗層を有し
ていることである。
【0153】装置に固定支持された低熱容量線状加熱体
11は、厚み1.0mm,巾10mm,長手長240m
mのアルミナ基板12に抵抗材料13を巾1.0mmに
塗工したもので、長手方向両端より通電される。通電は
DC100Vの周期20msecのパルス状波形で検温
素子14によりコントロールされた所望の温度、エネル
ギー放出量に応じたパルスをそのパルス巾を変化させて
与える。略パルス巾は0.5msec〜5msecとな
る。この様にエネルギー及び温度を制御せれた加熱体1
1に当接して、図中矢印方向に定着用フィルム15は移
動する。この定着用フィルムの一例として厚み20μm
の耐熱フィルム(例えばポリイミド、ポリエーテルイミ
ド、PESまたはPFAの少なくとも画像当節面側がP
TFE,PFAの如きフッ素樹脂)に導電材を添加した
離型層を10μmコートしたエンドレスフィルムであ
る。一般的には総厚は100μ未満であることが好まし
く、より好ましくは40μ未満である。フィルム駆動は
駆動ローラー16と従動ローラー17による駆動とテン
ションにより矢印方向にシワなく移動する。
【0154】18はシリコーンゴムの如き離型性の良い
ゴム弾性層を有する加圧ローラーで、総圧4〜20Kg
でフィルムを介して加熱体11を加圧し、フィルムと圧
接回転する。転写材19上の未定着トナー20は入口ガ
イド21により定着部に導かれ上述の加熱により定着像
を得るものである。
【0155】以上は、定着フィルムがエンドレスベルト
である場合を説明したが、シート送り出し軸及び巻取り
軸を使用し、定着フィルムは有端のフィルムであっても
良い。
【0156】画像形成装置としては複写機、プリンタ
ー、ファクシミリの如き、トナーを用いて形成する装置
の定着装置に適応するものである。
【0157】低熱容量線状加熱体11において検温素子
14で検出された温度がT1の場合、抵抗材料13に対
向するフィルム15の表面温度T2はT1よりも約10〜
30℃低い。フィルム15がトナー定着面より剥離する
部分におけるフィルム表面温度T3は前記温度T2とほぼ
等しい温度である。
【0158】この温調方式としての加熱体への通電方式
としては、パルス巾変調方式、周波数変調方式、AC位
相制御方式等が適当である。
【0159】
【実施例】以下、本発明を、合成例及び実施例により具
体的に説明する。合成例及び実施例中の部数は重量部で
ある。
【0160】合成例1 反応器にクメン200部を入れ、還流温度まで昇温し
た。これにスチレンモノマー100部及びジ−tert
−ブチルパーオキサイド6部の合成物を135℃で4時
間かけて滴下した。さらにクメン還流下(146℃〜1
56℃)で溶液重合を完了し、クメンを除去した。得ら
れたポリスチレンはTHFに可溶であり、重量平均分子
量が7800であり、分子量のピーク値(MA)が72
00であり、Tgが67℃であった。これを本発明のト
ナーに係るバインダー樹脂の重合体A−1とする。
【0161】合成例2〜5 表1に示す単量体組成物、重合開始剤及び溶媒を用いて
合成例1と同様に溶液重合を行ない本発明のトナーに係
るバインダー樹脂の重合体A−2〜A−5を得た。
【0162】
【表1】 合成例6
【0163】
【表2】 ポリビニルアルコール部分ケン化物0.1部を溶解した
脱気処理した水200部を反応器に加え、表2に示す単
量体組成物を添加し、懸濁分散液とした。窒素雰囲気下
において懸濁分散液を加熱し、80℃にした。その温度
にて24時間保持し、重合反応を完了した。室温まで冷
却後、重合反応により生成した球状の重合体粒子を濾別
し、充分に水洗した後に脱水、乾燥することにより本発
明のトナーに係るバインダー樹脂の重合体B−1を得
た。重量平均分子量が45.2万であり、ピーク分子量
が43.3万であり、Tgが57℃であった。合成例7〜10 表3に示す単量体組成物、重合開始剤を用いて合成例7
と同様に懸濁重合を行ない、本発明のトナーに係るバイ
ンダー樹脂の重合体B−2〜B−5を得た。
【0164】
【表3】 上記重合体A−1、A−2、A−3、A−4、A−5、
B−1、B−2、B−3、B−4及びB−5の重量平均
分子量(Mw)、Mw/Mn、流出開始点、軟化点及び
Tgを下記表4に示す。
【0165】
【表4】 比較合成例1
【0166】
【表5】 表5に示す単量体組成物を用いた以外は合成例1と同様
にして比較用重合体A−6を得た。重量平均分子量が4
300であり、ピーク分子量が4200であり、Tgが
54℃であった。
【0167】比較合成例2
【0168】
【表6】 表6に示す単量体組成物を用いた以外は合成例6と同様
にして比較用重合体B−6を得た。重量平均分子量が2
1.7万であり、ピーク分子量が19.8万であり、T
gが59℃であった。
【0169】次に本発明のトナーに係るバインダー樹脂
の製造例について述べる。
【0170】製造例1 重合体A−1 68部及び重合体B−4 32部をキシ
レン200部の中に撹拌しながら添加した。次に約60
℃まで加熱し、添加した重合体A−1及びB−4を完全
に溶解した。約2時間撹拌を続けた後にキシレンを除去
した。これを本発明のトナーに係るバインダー樹脂1と
する。
【0171】製造例2〜10及び比較用バインダー樹脂
製造例1〜3 表7に示す重合体を用いた以外は製造例1と同様にして
本発明のトナーに係るバインダー樹脂2〜10及び比較
用バインダー樹脂1〜3を得た。
【0172】
【表7】 次に、実施例及び比較例で使用した離型剤の組成及び物
性を下記表8に示す。
【0173】
【表8】 実施例1
【0174】
【外2】
【0175】上記材料をヘンシェルミキサーで前混合し
た後、150℃に熱した2本ロールミルで20分間混練
した。混練物を放冷後、カッターミルで粗粉砕した後、
ジェット気流を用いた微粉砕機を用いて微粉砕し、さら
に風力分級機を用いて分級し、体積平均粒径11.2μ
mの黒色微粉体(磁性トナー)を得た。
【0176】該磁性トナー100部に対してコロイダル
シリカ微粉体0.4部を乾式混合し、トナー粒子表面に
コロイダルシリカを有するトナーを得た。これを本発明
のトナー1とする。
【0177】トナーの粉砕性は、単位時間当りに粉砕で
きるトナーの処理量で表わすことができ、トナー1の場
合、エアー圧5.6Kg/cm2で16Kg/hrであ
り、非常に良かった。粉砕機内に融着など起らなかっ
た。
【0178】ブロッキング性は、約10gのトナーを1
00ccのポリコップに入れ、50℃で1日放置した時
の凝集度の変化で調べた。凝集度は、細川ミクロン製の
パウダーテスターにより測定した。室温放置品と50℃
1日放置品とでは9重量%と12重量%でほぼ同じ値を
示し、差(△G)が3%であることから実質的にブロッ
キングしていないことを確認した。
【0179】定着性とオフセット性、巻き付き性及び画
像性、耐久性については、キヤノン製複写機NP−66
50の改造機を用いて調べた。
【0180】定着器の設定温度を5℃下げテストした。
【0181】特にオフセット性は、定着ローラのクリー
ニング機構を取りはずし、何枚の複写で画像が汚れるか
あるいはローラが汚れるかということを耐複写枚数で評
価した。
【0182】定着性は、定着画像をシルボン紙(len
s cleaning paper“dusper〔製
品名〕”(OZU paper Co.,Ltd.))
で往復10回約100g荷重でこすり、定着画像のはが
れを反射濃度の低下率(%)で表わした。評価定着画像
は連続200枚とった時の200枚目で見た。
【0183】巻き付き性は、全面黒画像を3枚出し、そ
の時画像上につく定着ローラのはく離用のツメの跡の様
子で、ツメにどの位頼っているかで判断した。
【0184】その結果、定着性は低下率3%で非常に良
く、オフセット性は50,000枚時でも画像上ローラ
の汚れなどなく良好であり、巻き付き性も画像上にツメ
に頼った跡がわずかに付くが、非常に良好であった。
【0185】また、画像面積率約5%の画像を用いて約
10,000枚の耐久テストを行ったが、画像は良好で
あり、感光体への融着及びフイルミングがわずかにあっ
たが、コピー画像への影響は全くなかった。
【0186】トナー1のTHF不溶分は4重量%であ
り、THF可溶分のGPCによるMw/Mnが38.2
であり、分子量ピークMAが7700であり、分子量ピ
ークMBが76.5万であり、MB/MAが99であ
り、分子量分布曲線の面積比SA:SB:Sdが1:
0.36:0.60であった。
【0187】実施例2
【0188】
【外3】
【0189】上記材料をヘンシェルミキサーで前混合し
た後、150℃に熱した2本ロールミルで20分間混練
した。混練物を放冷後、カッターミルで粗粉砕した後、
ジェット気流を用いた微粉砕機を用いて微粉砕し、さら
に風力分級機を用いて分級し、体積平均粒径8.7μm
の黒色微粉体(磁性トナー)を得た。
【0190】該磁性トナー100部に対してコロイダル
シリカ微粉体0.4部を乾式混合し、トナー粒子表面に
コロイダルシリカを有するトナーを得た。これを本発明
のトナー2とする。
【0191】トナーの粉砕性は、エアー圧5.6Kg/
cm2で5.8Kg/hrであり、非常に良く、粉砕機
内に融着など起らなかった。
【0192】ブロッキング性は、約10gのトナーを1
00ccのポリコップに入れ、50℃で1日放置した時
の凝集度の変化で調べた。室温放置品と50℃1日放置
品とでは17重量%と21重量%でほぼ同じ値を示し、
差(△G)が4%であることから実質的にブロッキング
していないことを確認した。
【0193】定着性とオフセット性、巻き付き性及び画
像性、耐久性については、キヤノン製複写機NP−48
35の改造機(定着設定温度200℃)を用いて調べ
た。
【0194】定着器の設定温度を10℃下げテストし
た。
【0195】特にオフセット性は、定着ローラのクリー
ニング機構を取りはずし、何枚の複写で画像が汚れるか
あるいはローラが汚れるかということを耐複写枚数で評
価した。
【0196】その結果、定着性は低下率6%で非常に良
く、オフセット性は1,000枚時でも画像上ローラの
汚れなどなく良好であり、巻き付き性も画像上にツメに
頼った跡がわずかに付くが、非常に良好であった。
【0197】また、画像面積率約5%の画像を用いて約
30,000枚の耐久テストを行ったが、画像は良好で
あり、感光体への融着及びフイルミングもなかった。
【0198】トナー2のTHF不溶分は2重量%であ
り、THF可溶分のGPCによるMw/Mnが24.7
であり、分子量ピークMAが14000であり、分子量
ピークMBが68万であり、MB/MAが48.6であ
り、分子量分布曲線の面積比SA:SB:Sdが1:
0.40:0.59であった。
【0199】実施例3 実施例2で製造したトナー2を用いて、キヤノン社製複
写機FC−5の改造機により未定着画像を得た。
【0200】未定着画像の定着試験は、加熱体に対向圧
接し、かつフイルムを介して記録材を該加熱体に密着さ
せる加圧部材とからなる図1に示す外部定着機を用いて
行った。定着フィルム5の材質として、ポリイミドフィ
ルムにフッ素樹脂と導電材を添加した離型層を10μm
コートしたエンドレスフィルム15を使用した。加圧ロ
ーラー18としては、シリコンゴムを使用し、ニップ
3.5mm、加熱体11と加圧ローラー18との間の総
圧8Kg、プロセススピード50mm/secで行っ
た。フィルム駆動は、駆動ローラー16と従動ローラー
17による駆動とテンションにより矢印方向にシワなく
移動した。加熱体11は、低熱容量線状加熱体でありパ
ルス状にエネルギーを与え、温調した。加熱体11の抵
抗材料の消費電力は150Wであった。温調温度はFC
−5改造機の定着機(定着設定温度180℃)と同一温
度及び15℃下げてテストした。その結果、定着性は低
下率で2%であり、3000枚耐久後でも画像上及び定
着フィルム上ともに汚れはなく良好であった。さらに、
ウエイトタイムは3秒以下であり、熱ローラ定着方式と
比較して消費電力は有意に低かった。
【0201】実施例4
【0202】
【外4】
【0203】上記混合物を実施例2の方法でトナーを調
製した。このトナー100重量部とコロイダルシリカ
0.4重量部とを混合し、これを本発明のトナー3とす
る。該トナーを200メッシュパス〜300メッシュオ
ンの粒度の鉄粉に約10重量%混合し、現像剤とした。
補充剤としてはトナーのみを用いた。
【0204】このトナーの粉砕性は、エアー圧5.6K
g/cm2で処理量15.2Kg/hrであり、非常に
良好であった。粉砕機内の融着などもなかった。ブロッ
キング性は、△G=5%でまったく問題なかった。
【0205】また、キヤノン製複写機FC−3の改造機
で画像性、定着性を評価した。その結果、画像は良好
で、1000枚耐久を行ったが安定した画像が得られ
た。またドラムへのフィルミング、融着などなかった。
【0206】さらに定着器の設定温度を20℃下げ、ま
た定着器のクリーニング機構を除去し以上の耐久を行っ
たが、定着性は低下率が約5%で良好であった。また、
耐オフセット性、耐巻き付き性も良好であった。
【0207】トナー3のTHF不溶分は1.8重量%で
あり、THF可溶分のGPCによるMw/Mnが29で
あり、分子量ピークMAが18000であり、分子量ピ
ークMBが77万であり、MB/MAが43であり、分
子量分布曲線の面積比SA:SB:Sdが1:0.4
3:0.38であった。
【0208】実施例5〜8 バインダー樹脂を表9に示すものに変更した以外は実施
例1と同様にして本発明のトナー4〜7を得た。
【0209】実施例9〜11 バインダー樹脂及び離型剤を表9に示すものに変更した
以外は実施例2と同様にして本発明のトナー8〜10を
得た。
【0210】比較例1 バインダー樹脂として重合体A−2 100部のみから
なる、比較用バインダー樹脂1を使用する以外は実施例
2と同様にして比較用トナー1を得た。
【0211】この比較用トナー1の場合、エアー圧5.
6Kg/cm2で粉砕した場合には、多量の微粉トナー
粒子が生成し、粒度分布はブロードとなり、明らかに生
産性は劣るものであった。
【0212】実施例2と同様にしてFC−5改造機を用
いて定着性とオフセット性、巻き付き性及び画像性、耐
久性について調べた。
【0213】その結果、オフセット性は20枚時で画像
上、ローラ上、ともに汚れが発生した。巻き付き性は画
像上にツメに頼った跡が明確に残り、定着機より排紙さ
れない場合もあった。
【0214】比較用トナー1のTHF不溶分は0重量%
であり、THF可溶分のGPCによるMw/Mnが2.
1であり、分子量ピークMAが8,900であった。
【0215】比較例2及び3 バインダー樹脂及び離型剤を表9に示すものに変更した
以外は、実施例2と同様にして比較用トナー2及び3を
得た。その結果を表10に示す。
【0216】
【表9】
【0217】
【表10】
【0218】樹脂11の調製: 反応器にキシレン200重量部を入れ還流温度まで昇温
した。これにスチレンモノマー90重量部、ブチルアク
リレートモノマー10重量部及びジ−tert−ブチル
パーオキサイド7重量部の混合物を混合し、キシレン還
流下、6時間で溶液重合を終了した。
【0219】ここで得られたスチレン−ブチルアクリレ
ート共重合体(以下「St−BA共重合体」と称する)
の物性は表11中の樹脂11に示す低温軟化性樹脂に示
す通りであった。
【0220】一方、スチレンモノマー82重量部、ブチ
ルアクリレートモノマー18重量部、ポリビニルアルコ
ール0.3重量部、脱気処理された水200重量部及び
過酸化ベンゾイル0.11重量部を混合懸濁分散させ
た。上記懸濁分散液を加熱し、窒素雰囲気下において温
度78℃に24時間保持し、重合を完了させ、表11中
の樹脂11に示す高温軟化性樹脂を得た。
【0221】この高温軟化性樹脂の乾燥物を、前述の低
温軟化性樹脂の溶液重合終了時の樹脂溶液中に投入し溶
媒中に完全に溶解せしめ混合を行い、その後溶媒を除去
して樹脂11を製造した。
【0222】樹脂12〜15及び比較用樹脂4〜6の調製 表11に示す樹脂12〜15、比較用樹脂4〜6は樹脂
11に準じてそれぞれ合成製造した。
【0223】実施例12 樹脂11を100重量部、磁性体70重量部、正電荷制
御剤2重量部、グラフト成分としてスチレン及びブチル
アクリレートを使用したグラフト変性ポリエチレンワッ
クスJ(Mnが5.3×102 であり、Mwが8.0×
102 であり、Mw/Mnが1.5であり、融点が93
℃である)4重量部を混合した後、2軸混練押出し機に
よって溶融混練し、冷却し、気流式粉砕機で粉砕し、風
力分級機により分級し、体積平均粒径約8.5μmの黒
色粉末(磁性トナー)を得た。この磁性トナー100重
量部に対して疎水性コロイダルシリカ粉末0.6重量部
添加混合してトナー粒子表面に疎水性コロイダルシリカ
粉末を有するトナーAを得た。
【0224】複写機NP−1215(キヤノン(株)
製)の定着器を取りはずした改造機を用いてこのトナー
Aの未定着画像を得た。記録材としては市販の複写機用
紙キヤノンニュードライペーパーの54g/m2紙(キ
ヤノン販売株式会社)を用いた。
【0225】未定着画像の定着試験は、上ローラーとし
てテフロン、下ローラーとしてシリコンゴムを用いた温
度可変の熱ローラー外部定着機を用い、ニップ4mm上
下ローラー間の圧力を線圧で0.4Kg/cm、プロセ
ススピード45mm/secとして100℃〜230℃
の温度範囲で5℃おきに温調し行った。ここで得られた
定着画像を50g/cm2の荷重をかけたシルボン紙
(lens cleaning paper“dusp
er〔製品名〕”(OZUpaper Co.,Le
d.))で摺擦し、摺擦前後の画像濃度低下率が7%以
下の温度において定着開始とした。オフセット試験につ
いては、定着画像及びローラーの観察をもって評価し
た。
【0226】その結果、定着開始温度は120℃と低
く、非オフセット領域は110〜215℃であり、低温
定着が達成されていた。さらに、トナーの耐ブロッキン
グ特性も良好であった。耐ブロッキング性はトナーを5
0℃乾燥器中に3日放置したサンプルについて評価し
た。結果を表12に示す。
【0227】実施例13〜16 実施例12と同様に表11に示す樹脂12〜15を用い
トナーB〜Eを作製し、定着性評価を行った。
【0228】これを実施例13〜16とし、結果を表1
3に示す。
【0229】比較例4〜6 実施例12と同様に表11に示す比較用バインダー樹脂
4〜6を用いトナーF〜Hを作製し、定着性評価を行っ
た。
【0230】これを比較例4〜6とし、結果を表13に
示す。
【0231】比較例7 離型剤として融点128℃のワックス3(ポリエチレン
ワックス)を3重量部とした以外は、実施例13と同様
にトナーIを作製し、定着性評価を行った。結果を表1
3に示す。
【0232】比較例8 離型剤としてポリエチレンワックス(Mn4.5×10
2 、Mw1.5×103、Mw/Mn=3.3)に実施例
1と同様なグラフト変性処理を行ったワックス4(グラ
フト変性ポリエチレンワックス)3重量部を使用する以
外は、実施例12と同様にトナーJを作製し、定着性評
価を行った。
【0233】表13より明らかな様に実施例12〜16
のトナーA〜Eは良好な低温定着性、耐オフセット性、
耐ブロッキング性、現像性が得られているのに対し、比
較例4のトナーFに関しては、低温定着性は得られるも
のの耐オフセット性が悪化し、比較例5のトナーGに関
しては、低温定着性を悪化させている。
【0234】比較例6のトナーHについては、低温定着
性が達成されず、比較例7のトナーIでは、低温定着
性、現像性について問題が生じている。
【0235】比較例8のトナーJについては、低温定着
性は達成されているものの耐ブロッキング性を悪化して
いる。
【0236】このことにより本発明における静電荷現像
用トナーは、低温定着性、耐オフセット性に優れ、耐ブ
ロッキング性、現像性に悪影響を及ぼさない構成である
ことが明らかとなった。
【0237】実施例17 トナーとして実施例12と同様トナーAを使用し、未定
着画像を得た。
【0238】未定着画像の定着試験は、加熱体に対向圧
接し、且つフィルムを介して記録材を該加熱体に密着さ
せる加圧部材とを具備する、第1図に示すごとき外部定
着機を用いて行った。定着フィルム15の材質として、
ポリイミドフィルムにフッ素樹脂と導電材を添加した離
型層を10μmコートしたエンドレスフィルムを使用し
た。加圧ローラー18としては、シリコンゴムを使用
し、ニップ3.5mm、プロセススピード45mm/s
ecで行った。フィルム駆動は、駆動ローラー16と従
動ローラー17による駆動とテンションにより矢印方向
にシワなく移動した。加熱体11は、低熱容量線状加熱
体でありパルス状にエネルギーを与え、温調した。温調
温度は実施例12と同様に100〜230℃の範囲で5
℃おきに行った。その結果定着開始温度は、120℃と
低く非オフセット領域105℃〜215℃となり低温定
着を達成した。定着部材への巻き付き防止も良好であっ
た。
【0239】表12に、バインダー樹脂11〜15及び
比較用バインダー樹脂4〜6の物性を示す。
【0240】
【表11】
【0241】
【表12】
【0242】
【表13】
【0243】
【発明の効果】以上の様に本発明によるとトナーの低温
での定着性が現像性に優れるため、複写機運転時のコス
トが低く、しかも良好な画像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の定着方法に使用される定着装置の一具
体例を概略的に示した説明図である。
【図2】GPCによる分子量分布曲線の説明図である。
【図3】高架式フローテスタ−の概略図である。
【図4】プランジャー降下量−温度曲線を表す図であ
る。
【図5】Tgを求めるDSCカーブを表す図である。
【符号の説明】
11 加熱体 12 アルミナ基板 13 抵抗材料 14 検温素子 15 フィルム 16 駆動ローラー 17 従動ローラ 18 加圧部材 19 転写材 20 未定着トナー 21 入口ガイド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 土屋 清子 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 唐見 雄介 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 土井 信治 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−204061(JP,A) 特開 昭50−133242(JP,A) 特開 昭63−191817(JP,A) 特開 昭61−123854(JP,A) 特開 昭62−115170(JP,A) 特開 昭61−38952(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G03G 9/08

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バインダー樹脂及び着色剤を少なくとも
    有する静電荷像現像用トナーにおいて、バインダー樹脂
    のTHF不溶分がバインダー樹脂基準で10重量%未満
    であり、バインダー樹脂のTHF可溶分のGPC(ゲル
    パーミエーションクロマトグラフィー)における重量平
    均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)が18以下であ
    り、分子量3000〜2万の領域に1つの分子量ピーク
    値MAを有し、分子量38万〜100万の領域に1つの
    分子量ピーク値MBを有し、分子量2万〜38万の間に
    分子量極小値Mdを有し、MB/MAが30〜150で
    あり、分子量400からMdまでの分子量分布曲線の面
    積をSAとし、分子量Mdから500万までの分子量分
    布曲線の面積をSBとし、分子量ピーク値MAの頂点と
    分子量ピーク値MBの頂点を結ぶ直線と分子量分布曲線
    により囲まれた面積をSdとしたとき、SA:SB:S
    dが1:0.3〜0.8:0.35〜0.8であること
    を特徴とする静電荷像現像用トナー。
  2. 【請求項2】 数平均分子量が1000以下であり、重
    量平均分子量が2500以下であり、重量平均分子量/
    数平均分子量(Mw/Mn)が3.0以下であり、融点
    が60〜120℃である離型剤を、バインダー樹脂基準
    で0.1〜20重量%含有することを特徴とする請求項
    1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 【請求項3】 離型剤は低融点グラフト変性ポリオレフ
    ィン系離型剤であることを特徴とする請求項2に記載の
    静電荷像現像用トナー。
  4. 【請求項4】 バインダー樹脂が重量平均分子量500
    0〜3万の重合体Aと重量平均分子量40万〜150万
    の重合体Bとを溶媒中で混合後、溶媒除去により製造さ
    れたものである請求項1乃至3のいずれかに記載の静電
    荷像現像用トナー。
  5. 【請求項5】 バインダー樹脂、低融点グラフト変性ポ
    リオレフィン離型剤、及び着色剤を少なくとも有する静
    電荷像現像用トナーにおいて、 A)バインダー樹脂がスチレン−アクリル系共重合体の
    低温軟化性樹脂及び高温軟化性樹脂の2種を有し、 B)低温軟化性樹脂の重量平均分子量(Mw)が5.0
    ×103〜3.0×104であり、重量平均分子量/数平
    均分子量(Mw/Mn)が3.0以下であり、フローテ
    スターにおける流出開始点75〜90℃であり、軟化点
    が80〜110℃であり、ガラス転移点(Tg)が55
    〜70℃であって、バインダー樹脂中に50重量%以上
    含有され、 C)高温軟化性樹脂の重量平均分子量(Mw)が4.0
    ×105〜1.5×106であり、重量平均分子量/数平
    均分子量(Mw/Mn)が3.0以下であり、フローテ
    スターにおける流出開始点が110〜160℃であり、
    軟化点が150〜230℃であり、ガラス転移点(T
    g)が55℃以上であり、 D)低温軟化性樹脂と高温軟化性樹脂の比率が重合割合
    で50:50〜90:10であり、 E)低温軟化性樹脂が溶液重合法で、高温軟化性樹脂が
    懸濁重合法でそれぞれ得られ、且つ両者の混合が両者の
    溶解可能な溶媒中で行われ、 F)低融点グラフト変性ポリオレフィン離型剤の数平均
    分子量(Mn)が1.0×103以下であり、重量平均
    分子量(Mw)が2.5×103以下であり、Mw/M
    nが3.0以下であり、融点が60〜120℃であっ
    て、トナーに対して0.1〜20重量%用いることを特
    徴とする静電荷像現像用トナー。
  6. 【請求項6】 低温軟化性樹脂の重量平均分子量(M
    w)が5.0×103〜2.0×104であり、ガラス転
    移温度(Tg)が55〜65℃であって、バインダー樹
    脂中に65重量%以上含有され、低温軟化性樹脂と高温
    軟化性樹脂との比率が重量割合で65:35〜90:1
    0であることを特徴とする請求項5に記載の静電荷像現
    像用トナー。
  7. 【請求項7】 バインダー樹脂は、バインダー樹脂のT
    HF不溶分がバインダー樹脂基準で10重量%未満であ
    り、バインダー樹脂のTHF可溶分のGPC(ゲルパー
    ミエーションクロマトグラフィー)における重量平均分
    子量/数平均分子量(Mw/Mn)が18以下であり、
    分子量3000〜2万の領域に1つの分子量ピーク値M
    Aを有し、分子量38万〜100万の領域に1つの分子
    量ピーク値MBを有し、分子量2万〜38万の間に分子
    量極小値Mdを有し、MB/MAが30〜150であ
    り、分子量400からMdまでの分子量分布曲線の面積
    をSAとし、分子量Mdから500万までの分子量分布
    曲線の面積をSBとし、分子量ピーク値MAの頂点と分
    子量ピーク値MBの頂点を結ぶ直線と分子量分布曲線に
    より囲まれた面積をSdとしたときSA:SB:Sdが
    1:0.3〜0.8:0.35〜0.8であることを特
    徴とする請求項5に記載の静電荷像現像用トナー。
  8. 【請求項8】 静電荷像現像用トナーは、固定支持され
    た加熱体と、該加熱体に対向圧接しかつフィルムを介し
    て記録材を該加熱体に密着させる加圧部材とにより、ト
    ナーの顕画像を記録材に加熱定着する加熱定着方法に使
    用されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに
    記載の静電荷像現像用トナー。
  9. 【請求項9】 記録材にトナーの顕画像を加熱定着する
    方法において、該トナーは、バインダー樹脂及び着色剤
    を少なくとも有し、バインダー樹脂のTHF不溶分がバ
    インダー樹脂基準で10重量%未満であり、バインダー
    樹脂のTHF可溶分のGPC(ゲルパーミエーションク
    ロマトグラフィー)における重量平均分子量/数平均分
    子量(Mw/Mn)が18以下であり、分子量3000
    〜2万の領域に1つの分子量ピーク値MAを有し、分子
    量38万〜100万の領域に1つの分子量ピーク値MB
    を有し、分子量2万〜38万の間に分子量極小値Mdを
    有し、MB/MAが30〜150であり、分子量400
    からMdまでの分子量分布曲線の面積をSAとし、分子
    量Mdから500万までの分子量分布曲線の面積をSB
    とし、分子量ピーク値MAの頂点と分子量ピーク値MB
    の頂点を結ぶ直線と分子量分布曲線により囲まれた面積
    をSdとしたときSA:SB:Sdが1:0.3〜0.
    8:0.35〜0.8である静電荷像現像用トナーであ
    り、該トナーの顕画像を、記録材に、固定支持された加
    熱体と該加熱体に対向圧接し且つフィルムを介して該記
    録材を該加熱体に定着させる加圧部材とにより加熱定着
    することを特徴とする加熱定着方法。
  10. 【請求項10】 記録材にトナーの顕画像を加熱定着す
    る方法において、該トナーは、バインダー樹脂、低融点
    グラフト変性ポリオレフィン離型剤、及び着色剤を少な
    くとも有し、 A)バインダー樹脂がスチレン−アクリル系共重合体の
    低温軟化性樹脂及び高温軟化性樹脂の2種を有し、 B)低温軟化性樹脂の重量平均分子量(Mw)が5.0
    ×10〜3.0×104であり、重量平均分子量/数
    平均分子量Mw/Mn)が3.0以下であり、フローテ
    スターにおける流出開始点が75〜90℃であり、軟化
    点が80〜110℃であり、ガラス転移点(Tg)が5
    5〜70℃であって、バインダー樹脂中に50重量%以
    上含有され、 C)高温軟化性樹脂の重量平均分子量(Mw)が4.0
    ×105〜1.5×106であり、重量平均分子量/数平
    均分子量(Mw/Mn)が3.0以下であり、フローテ
    スターにおける流出開始点が110〜160℃であり、
    軟化点が150〜230℃であり、ガラス転移点(T
    g)が55℃以上であり、 D)低温軟化性樹脂と高温軟化性樹脂の比率が重合割合
    で50:50〜90:10であり、 E)低温軟化性樹脂が溶液重合法で、高温軟化性樹脂が
    懸濁重合法でそれぞれ得られ、且つ両者の混合が両者の
    溶解可能な溶媒中で行われ、 F)低融点グラフト変性ポリオレフィン離型剤の数平均
    分子量(Mn)が1.0×103以下であり、重量平均
    分子量(Mw)が2.5×103以下であり、Mw/M
    nが3.0以下であり、融点が60〜120℃であっ
    て、トナーに対して0.1〜20重量%用いる静電荷像
    現像用トナーであり、該トナーの顕画像を、記録材に、
    固定支持された加熱体と該加熱体に対向圧接し且つフィ
    ルムを介して該記録材を該加熱体に定着させる加圧部材
    とにより加熱定着することを特徴とする加熱定着方法。
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