JP2888595B2 - モータ制御装置 - Google Patents

モータ制御装置

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JP2888595B2 JP2094836A JP9483690A JP2888595B2 JP 2888595 B2 JP2888595 B2 JP 2888595B2 JP 2094836 A JP2094836 A JP 2094836A JP 9483690 A JP9483690 A JP 9483690A JP 2888595 B2 JP2888595 B2 JP 2888595B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、磁気記録再生装置における回転ドラムモ
ータ、またはキャプスタンモータの制御装置に関するも
のである。
〔従来の技術〕
第17図は例えば「産報出版 電子科学シリーズ、サー
ボ機器の実際」の168ページ図6−32に示された従来の
ドラムサーボ系のブロック図で、図において(1)はサ
ーボゲイン(K3)、(2)は位相検出に要するむだ時間
(e−Tjs/2)、(3)は制御系の安定性および速応性
を得るための補償回路、(4)はモータに代表される制
御対象(以下、「モータ」という)、(5)はモータ
(4)の出力速度を伝達関数上で位相に変換するための
演算ブロック(1/S)、Qはモータ(4)に加わる負荷
である。
第18図は位相制御ループに加えて、速度制御ループを
含んだ従来のドラムおよびキャプスタンサーボシステム
のブロック図で、図において(7)は位相制御ゲイン
(Kapc)、(8)はモータ(4)の電圧感度すなわちモ
ータ入力電圧に対するモータの発生駆動力(トルク)の
比(Kt/R)で、Ktはモータのトルク定数、Rはモータの
コイル抵抗である。(9)はモータ(4)の回転機構部
で、回転機構部(9)が受ける力を回転速度に変換した
(1/J・S)で表わされ、Jはモータの回転部の慣性モ
ーメント、Sは制御理論におけるラプラス演算子であ
る。(10)は速度制御ゲイン(Kafc)である。
第19図は第18図に示した従来のモータ制御システム
が、モータの回転機構部(9)に入力される負荷変動等
で代表される外乱Tgの影響がモータの回転速度に影響を
与えるまでにどれだけ抑圧されるかを示したもので、図
において横軸は外乱の周波数、縦軸は外乱抑圧量(単位
dB)である。
次に動作について説明する。VTR等の一般的な磁気テ
ープ装置におけるドラムサーボシステムは、信号の記録
時においては例えば外部からの映像入力信号に同期し
て、回転しなければならず、また再生時においては、水
晶発振子等から作り出された基準信号にドラムサーボを
ロック(回転位相を同期させる)させなければならな
い。
同様に、キャプスタンサーボシステムにおいても記録
時においては、水晶発振子等から作り出された基準信号
にキャプスタンサーボをロックさせるか、速度を一定に
制御させなければならず、再生時においては、記録時に
磁気テープのリニアトラック上に書き込まれたコントロ
ールパルスに同期させるか、記録トラックに信号と同時
に、または時分割で書き込まれたトラッキング閉信号を
再生して得られるトラッキング情報にもとづいて記録ト
ラックに対する回転ヘッドの相対トラックずれ量がなく
なるように、キャプスタンモータの回転位相をロックさ
せなければならない。
このように、一般的な磁気テープ装置のドラムサーボ
システムおよびキャプスタンサーボシステムは、制御対
象であるモータ(4)の回転位相をある基準位相または
目標位相に同期させて回転させる必要がある。そのため
一般的には第17図に示したように位相制御ループを構成
し、モータ(4)の回転位相をパルスジュネレータ(P
G)等で検出し、この回転位相の基準位相または目標位
相に対する相対位相ずれ量を取り出して位相ループゲイ
ン(1)でゲイン補償し、さらに補償回路(3)にて位
相補償することによって上記相対位相ずれ量が少なくな
るようにドラムモータやキャプスタンモータにフィード
バックしている。この時、パルスジェネレータによって
検出される相対位相ずれ量が、一般的にモータの1回転
分のむだ時間(2)を含むため、むだ時間によって位相
ずれが大きく回るため制御帯域をあまり伸ばせなかっ
た。
これを改善したのが位相制御ループの他に速度制御ル
ープを付加した第18図のシステムで、速度検出に用いる
速度検出器(FG)のむだ時間が小さく、かつ制御対象に
おいて1/Sの項を1つしか含まないループであるため、
位相制御システムよりも位相回りが少なく、速度制御ル
ープがある程度広帯域化できるため、第17図のシステム
よりも制御帯域が広帯域になる。
磁気テープ装置のドラムサーボおよびキャプスタンサ
ーボシステムは、上記のような位相制御ループや速度制
御ループによりある程度の外乱Tg(すなわち、テープ走
行負荷、軸摩擦、モータトルクリップル、外部振動等)
が制御系に入力されても、目標位相に対する位相ずれの
少ない、すなわち速度変動の少ないシステムを実現する
必要がある。要するに、外乱Tgに対しどれくらいの速度
変動を生じるかによって制御系の性能が決定される。
第18図において速度制御ループも位相制御ループもな
い場合の入力外乱Tgに対する速度変動は となり、(1)式から周波数が大きくなるにつれて(S
が大きくなるにつれて)外乱Tgの影響は減少する つぎに、速度制御ループのみを設けた場合の外乱Tgか
らθまでの伝達関数を制御理論の等価変換により算出す
ると、 となり(2)式から低周波例えばS=0の場合でも の外乱抑圧効果が得られる。
さらに位相制御ループを付加すると となり(3)式から周波数が高くなっても低くなっても
(すなわちSが大きくなってもSが小さくなっても)
(3)式の分母が大きくなるため大きな外乱抑圧効果が
得られる。
(3)式の特性を周波数軸上で示すと、第19図のよう
になり、高周波域および低周波域でしだいに外乱抑圧効
果が大きくなる山形の特性になる。この特性は、縦軸が
外乱抑圧量(−dB)であるため、特性曲線が下がるほど
抑圧効果が大きい。
市販されている磁気テープ装置では、モータに取り付
けられている速度検出器(FG)が磁気あるいは光を用い
たエンコーダで構成され、1回転あたり数百パルスが出
力されている。これをF/V変換(周波数−電圧変換)し
て得られる速度情報には、エンコーダの持つ1パルス当
りの時定数分だけのむだ時間を持っており、このむだ時
間が速度制御系の位相を回すため、制御系の位相余裕を
600deg程度か、それ以上確保して安定化させる必要があ
る。このため速度制御のサーボ帯域が制限され、一般に
市販されているVTR等の磁気テープ装置におけるドラム
制御やキャプスタン制御の制御帯域は、10〜50Hz程度と
なっている。仮に速度検出器(FG)におけるエンコーダ
の1回転当りのパルス数を多くし、速度制御系のむだ時
間を小さくして制御帯域を広げれば第19図に示した山形
特性の頂点付近か下方向に押し下げられた形となり、数
Hz〜数十Hzにおける外乱抑圧特性を改善することができ
る。しかし、エンコーダのパルス数をその精度を維持し
ながら多くすることは、コスト高につながり、またエン
コーダの大形化をまねくことになる。
また、回転機構部(9)のイナーシャを大きくしても
数十Hz以上における外乱抑圧効果を改善することができ
るが、これは、装置の小形化軽量化の要請に反すること
になる。
〔発明が解決しようとする課題〕
従来の磁気テープ装置におけるドラムサーボおよびキ
ャプスタンサーボシステムは以上のように構成されてい
るので、大きな外乱抑圧効果を得るためには、高精度
で、高価な速度検出器(FG)を使用したり、回転機構部
のイナーシャを大きくしなくてはならないため低価格や
小形軽量化が図れないという問題点があった。
この発明は、上記のような問題点を解消するためにな
されたもので、高精度で高価な速度検出器を必要とせ
ず、また、回転機構部の小型軽量化が図れるにもかかわ
らず大きな外乱抑圧効果を有するモータの制御装置を得
ることを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本願の請求項1の発明に係るモータ制御装置は、磁気
テープ装置における回転ドラムモータあるいはキャプス
タンモータの回転速度を検出する回転速度検出器と、上
記回転速度検出器により検出された上記モータの回転速
度情報に基づいて上記モータの回転速度を任意の値に制
御する速度制御手段とを具備したモータの制御装置にお
いて、上記モータの駆動情報が入力され、上記モータの
回転速度に相当する推定回転速度情報が得られるアナロ
グ等価回路と、上記モータの回転速度検出器からの検出
回転速度情報と上記等価回路からの推定回転速度情報と
を比較し、上記等価回路の上記モータの回転速度の推定
誤差を出力する比較手段と、上記推定誤差を上記等価回
路に負帰還するフィードバック手段と、上記モータの駆
動情報と上記等価回路からの推定回転速度情報を入力と
し、上記モータの外乱量を電気回路での演算により推定
し出力するアナログ外乱推定器と、上記外乱推定器の出
力を上記モータの制御信号に正帰還する外乱正帰還手段
と、上記等価回路および上記外乱推定器の入出力信号経
路中にそれぞれ設けられ、当該信号経路中の直流成分を
除去する補償フィルタとを具備し、かつ上記補償フィル
タは、正相入力を入力するための正端子と逆相入力を入
力するための負端子とを有するオペレーションアンプ
と、上記補償フィルタの入力信号端と上記オペレーショ
ンアンプの負端子との間および上記オペレーションアン
プの負端子と出力端子との間に設けられ、上記オペレー
ションアンプを正端子と負端子との差電圧を抵抗比倍に
増幅する差動増幅器として動作させる2つの抵抗と、コ
ンデンサを含み、上記補償フィルタの入力信号を、所定
のカットオフ周波数でその低域成分を通過させ上記オペ
レーションアンプの正端子に出力する低域通過フィルタ
と、起動時に上記コンデンサに基準電圧を充電させる充
電手段とを具備するようにしたものある。
また、本願の請求項2の発明に係るモータ制御装置
は、請求項1記載のモータ制御装置において、上記モー
タに印加される外乱のスペクトラムの最大振幅周波数よ
り高いカットオフ周波数を有する高域除去フィルタを、
上記外乱正帰還手段の任意の信号経路中に設けるように
したものである。
また、本願の請求項3の発明に係るモータ制御装置
は、請求項2記載のモータ制御装置において、上記高域
除去フィルタに代えて、上記モータに印加される周期外
乱の基本周波数ならびにその高調波成分を選択的に透過
させる櫛形フィルタを、上記外乱正帰還手段の任意の信
号経路中に設けるようにしたものである。
さらに、本願の請求項4の発明に係るモータ制御装置
は、請求項2記載のモータ制御装置において、上記高域
除去フィルタに代えて、上記モータに印加される外乱の
スペクトラムの最大振幅周波数が中心周波数であるバン
ドパスフィルタを、上記外乱正帰還手段の任意の信号経
路中に設けるようにしたものである。
〔作用〕
本願の請求項1の発明に係るモータ制御装置は、上述
のように構成したことにより、高精度で高価な速度検出
器を必要とせず、回路オフセットやドリフトの影響を受
けず正確な推定動作が可能であり、しかも回転機構部の
小型,軽量化を図れる効果を有するとともに大きな外乱
抑圧効果を有するモータの制御装置となる。
また、本願の請求項2の発明に係るモータ制御装置
は、請求項1記載のモータ制御装置において、上記モー
タに印加される外乱のスペクトラムの最大振幅周波数よ
り高いカットオフ周波数を有する高域除去フィルタを上
記外乱正帰還手段の任意の信号経路中に設けるようにし
たので、外乱推定器の動作をより安定化でき、高精度で
高価な速度検出器を必要とせず、回路オフセットやドリ
フトの影響を受けずより正確な推定動作が可能であり、
しかも回転機構部の小型,軽量化を図れる効果を有する
とともに大きな外乱抑圧効果を有するモータの制御装置
となる。
また、本願の請求項3の発明に係るモータ制御装置
は、請求項2記載のモータ制御装置において、上記高域
除去フィルタに代えて、上記モータに印加される周期外
乱の基本周波数ならびにその高調波成分を選択的に透過
させる櫛形フィルタを上記外乱正帰還手段の任意の信号
経路中に設けるようにしたので、外乱推定器の動作をよ
り安定化でき、高精度で高価な速度検出器を必要とせ
ず、回路オフセットやドリフトの影響を受けずより正確
な推定動作が可能であり、しかも回転機構部の小型,軽
量化を図れる効果を有するとともに大きな外乱抑圧効果
を有するモータの制御装置となる。
さらに、本願の請求項4の発明に係るモータ制御装置
は、請求項2記載のモータ制御装置において、上記高域
除去フィルタに代えて、上記モータに印加される外乱の
スペクトラムの最大振幅周波数が中心周波数であるバン
ドパスフィルタを上記外乱正帰還手段の任意の信号経路
中に設けるようにしたので、外乱推定器の動作をより安
定化でき、高精度で高価な速度検出器を必要とせず、回
路オフセットやドリフトの影響を受けずより正確な推定
動作が可能であり、しかも回転機構部の小型,軽量化を
図れる効果を有するとともに大きな外乱抑圧効果を有す
るモータの制御装置となる。
〔発明の実施例〕
以下、この発明の一実施例を図について説明する。
第3図はこの発明の一実施例の適用箇所を示すための
ブロック図で、(11)はモータ回転機構部(9)に入力
される外乱トルクTgを推定する外乱推定オブザーバ(以
下、「外乱オブザーバ」という)である。
第4図は第3図の外乱オブザーバ(11)の構成を示す
ブロック図で、この外乱オブザーバ(11)は現代制御理
論における最小次元オブザーバの手法でもって構成され
たものである。図において、(12)はモータのトルク定
数K、(28)〜(33)は外乱オブザーバの構成要素であ
り、Knはモータトルク定数Kを想定した値、Jnと積分器
1/Sは回転機構部(9)の慣性モーメントを想定した
値、Gはオブザーバの性能を示す係数を表す。
第5図は第4図の外乱オブザーバ(11)によって外乱
抑圧ループを構成し、これを第3図に示すように、従来
の速度制御ループ、位相制御ループに併用した時のドラ
ムサーボシステム、もしくはキャプスタンサーボシステ
ムの外乱抑圧効果を横軸に周波数、縦軸に外乱抑圧量
(−dB)でもって表した外乱抑圧特性図である。
第6図は速度オブザーバ(13)のブロック図で、図に
おいて(37)は無駄時間やノイズを含むモータの速度検
出器(FG)、(38)はモータのコイル抵抗Rとトルク定
数Kとオブザーバ内のアナログ回路ゲインやソフトウェ
ア内乗数等により設定した部分、(39)は速度オブザー
バ内のループゲイン、(40)は回転機構部(9)の慣性
モーメントJを(38)と同様に設定した部分、(41)は
速度推定オブザーバ(13)の出力である推定速度であ
る。
第7図は第6図の速度オブザーバ(13)と第4図の外
乱オブザーバ(11)を組合せた外乱オブザーバ(11)を
示したブロック図で、これが本発明の一実施例の原理的
な構成を示すものである。図において、(42)はモータ
のコイル抵抗Rを含めて想定した第4図中のブロック
(28)の変形、(43)は同様にコイル抵抗Rを含めて想
定した第4図中のブロック(33)の変形、(44)は第4
図中のブロック(31)および(32)を不完全積分器の形
でまとめた部分である。
第8図は、第18図に示した従来のモータの速度制御お
よび位相制御を行う回路に、第7図で示したシステムを
適用したモータ制御系のブロック回路図で、図におい
て、(100)は従来のモータ制御回路、(101)は外乱オ
ブザーバ回路で従来のモータ制御回路(100)から、制
御電圧、検出速度の情報をもらって、外乱抑圧効果が改
善された制御電圧を出力する。(200)はこの発明に係
るモータ制御回路、(102)はドライブ回路、(103)は
モータ(4)の位相情報を得るためにモータ(4)に設
けられたPG信号発生器である。
第9図は、第8図で示したモータ制御回路(200)の
さらに詳しい構成を示すブロック回路図であり、(11
0)はFG信号の周波数からモータ(4)の速度に相当す
る電圧を発生するF/V変換器、(11),(113),(11
7)〜(119),(121),(123)は増幅器、(112)は
位相比較器、(114)はラグリードフィルタ、(115),
(124),(126)は加算器、(116)はノイズ除去フィ
ルタ、(120)は位相遅れフィルタ、(122),(125)
は減算器、(110)〜(113)で速度、位相誤差発生回路
(201)を構成し、(118)〜(123)および(126)で外
乱オブザーバ回路(101)を構成している。
第10図は外乱オブザーバ回路(101)の他の構成例の
ブロック図で、(130),(131),(132)は直流成分
を除去する、DC除去フィルタである。
第11図は外乱オブザーバ回路(101)の他の構成例の
ブロック図で、(150),(152)は増幅回路、(151)
は減算回路、(152)は増幅回路、(153)は加算回路、
(154)は位相遅れフィルタである。
第12図は、第10図、第11図に示した制御電圧入出力部
を構成する加算回路(124)の具体的な回路構成を示す
回路図、第13図は、第10図、第11図に示したDC除去フィ
ルタ(131)を含む速度検出回路の具体的な回路構成を
示す回路図、第14図は、速度オブザーバ(13)をアナロ
グ回路で実現した場合の回路図、第15図は外乱オブザー
バ(11)をアナログ回路で実現した回路図、第16図は、
第10図、第11図に示したDC除去フィルタ(130),(13
1)をアナログ回路で実現した回路図、第1図は本発明
の一実施例によるモータ制御装置における外乱オブザー
バ回路(101)の部分を示すブロック回路図であり、図
において、(160)は高域除去フィルタである。
次に動作について説明する。
従来のVTRにおけるドラムサーボおよびキャプスタン
サーボシステムは、第18図に示すように、回転位相を基
準位相や目標位相に対し、同期させるために位相制御を
かけ、さらに制御帯域の向と、なめらかに追従させるた
めのダンピングをきかすために、速度制御ループも同時
に構成していた。この従来の制御システムは位相制御の
効果によって低周波域、速度制御の効果によって中周波
域、モータ慣性モーメントによって高周波域の外乱抑圧
特性を生じせしめていた。しかしモータの回転機構部
(9)に直接加わる外乱を直接検出しているわけではな
いため、第19図に示した外乱抑圧特性を大きく改善する
ことは不可能であった。
逆に、モータに加わる外乱量を検出するかまたは推定
できれば、外乱抑圧能力を大幅に改善することが可能と
なる。
第3図に示したこの発明の一実施例の適用箇所を示す
ブロック図では、外乱量を電気的に推定する外乱オブザ
ーバ(11)により外乱抑圧ループを構成し、積極的に外
乱を抑圧することにより、外乱抑圧特性を大幅に改善す
るものであって、モータ(4)に加わる外乱量(外乱ト
ルク)は、直接センサ等によって測定することができな
いが、モータ(4)の入力電流と、速度検出器(37)の
出力から推定することは可能である。この外乱オブザー
バを現代制御理論の最小次元オブザーバの手法で構成し
た場合、第4図に示すようになる。実際のモータにおい
ては、トルク定数K(12)で示される値で駆動電流をモ
ータコイルとマグネット間の吸引、反発力によって生じ
る電磁トルクに変換される。この発生した電磁トルクか
ら外乱トルクTgを差し引いた残りのトルクでもってモー
タ回転機構部(9)が力を受け回転し、回転速度θを生
じる。このため、上記力のつりあいを電気的に再現すれ
ば、外乱トルクTgが推定できることになる。この推定し
た外乱量を例えば、モータに外乱トルクTgが加わり、回
転が変動しようとすると、それを打ちけすように1/Kn
(33)倍してフィードフォワードで加算すると、外乱オ
ブザーバを含んだモータ制御システムは、あたかも外乱
トルクTgが加わっていないかのように外乱トルクTgに対
する速度変動を打ち消すことが可能となる。この外乱オ
ブザーバ(11)を現代制御理論のゴピナスの最小次元オ
ブザーバの手法でもって構成すると、図中に一点鎖線で
囲ったようになる。最小次元オブザーバは微分器を含ま
ないため、速度検出器(FG)(37)の出力に含まれるノ
イズを両周波域で増幅したり、この増幅されたノイズが
外乱トルク抑圧ループを巡回するといった問題が生じな
い。この最小次元オブザーバの構成は、モータを微分方
程式(外乱トルクTgを含んだ形)で記述し、その微分方
程式から現代制御理論の状態方程式をつくり、この状態
方程式を入力であるモータ変動電流と出力である回転速
度から微分方程式を逆に解くことによって、外乱オブザ
ーバの定数G,Kn,Jnを定めている。この外乱オブザーバ
の定数を求める理論的計算、および設計手法について
は、現代制御理論の多数の参考書によって紹介されてい
るのでここでは説明を省略する。
以上のように構成された第4図の外乱オブザーバ(1
1)は、モータ(4)に加わる外乱トルクTgを推定した
推定外乱量を出力するが、すべての周波数領域の外乱ト
ルクTgを推定できるわけではない。この外乱オブザーバ
(11)の外乱トルクTgに対する速度変動を、第4図のブ
ロック図において計算すると、外乱トルクTgを で抑圧してモータ(4)に加えていることになる。すな
わち、外乱オブザーバ(11)の係数Gが外乱オブザーバ
(11)の帯域を表すパラメータであり、外乱トルク抑圧
性能を向上させるためには係数Gを大きくすればよいこ
とになる。
この外乱オブザーバ(11)を用いた外乱抑圧ループ
を、第3図に示すように、従来の速度制御ループ、位相
制御ループを有する回転ドラムおよびキャプスタンサー
ボシステムに併用すると、第5図に示すように、外乱オ
ブザーバ帯域が50Hz(すなわちG=314rad/sec)のとき
には3Hzにおける外乱抑圧度が20dBも向上することにな
る。このように外乱オブザーバは、モータに加わる外
乱、例えばドラムモータについては軸摩擦、モータトル
クリップル、外乱振動等、キャプスタンモータについて
はテープ走行負荷、テープテンション変動による負荷、
軸摩擦、モータトルクリップル等の外乱トルク量Tgをリ
アルタイムで推定し、フィードフォワードで外乱トルク
Tgを打ち消すため、特にムービー等における手振れ等の
不確定外乱を充分に抑圧することができる。これによっ
て、キャプスタンモータサーボシステムにおけるテープ
走行ムラが改善され、現行再生VTRの一方式であるVHSフ
ォーマットや、ベータフォーマット等におけるリニアオ
ーディオのフウフラッタが減少するだけでなく、記録時
のトラック曲がり等も改善される。ドラムモータサーボ
システムにおいても、現行VTRシステムにおける再生VTR
画面のジッタ等が減少することはいうまでもない。
第4図に示した外乱オブザーバ(11)を含むシステム
は、外乱抑圧ループがフィードフォワードで制御入力に
帰還されているいわば正帰還のループである。正帰還ル
ープが安定となるためには、すべての周波数においてゲ
インが1以下でなければならない。
例えば速度制御をほどこしたモータに第4図の外乱オ
ブザーバ(11)を導入した場合の外乱抑圧ループの一巡
伝達関数を求めると、次のようになる。(ここにおいて
Kn=K,Jn=Jとする) <外乱ループの伝達特性> すなわち、遅れ特性、進み特性をかけあわせた特性
に、係数Gおよび(1−(F/V))の2つの係数が乗算
されていることがわかる。ここで注目しなければならな
いのは、速度検出器(FG)の伝達関数として表した(F/
V)は、速度検出器(FG)が磁気的エンコーダで構成さ
れている場合、着磁ムラ、ピンチムラ等による速度検出
器ノイズや、エンコーダの歯数および回転数による無駄
時間を含んでいない場合には、1となる関数である。仮
に(F/V)=1となるような理想的な速度検出器(FG)
が存在するとすれば、(4)式における[1−(F/
V)]は[1−1=0]となり、(4)式の一巡伝達関
数は零となるため、外乱オーブザーバの性能を示す係数
Gをいかに大きくしても絶対安定なシステムとなる。
しかしながら実際の速度検出器(FG)は理想的ではな
いため、[(F/V)≠1]となり、[1−(F/V)]は、
何らかの値を持つため、係数Gの値を大きくしてゆく
と、(4)式は全体として1(0dB)を超えてしまい、
システムは不安定となる。
よって、外乱オブザーバ(11)の性能を示すパラメー
タである係数Gを大きくしつつ、システムを安定化させ
るためには、(F/V)を1に近づける。換言すれば、速
度情報信号のノイズを下げればよいということになる。
しかし、機構的な部品によって構成される速度検出器
(FG)のノイズや無駄時間を、機構的な精度向上や、エ
ンコーダの歯数の増大によって改善することは困難で、
もし、実現できたとしても、コストの増加や、モータの
大型化はさけることができない。よって、電気的な方法
によって、検出速度のノイズおよび無駄時間を除去す
る。このために必要となるのが第6図に示した速度オブ
ザーバ(13)であり、現代制御理論の同一次元オブザー
バにより構成される。第6図中、Kn/Ru(38)、1/JnS
(40)はモータ(4)のモデルを内部に持つ部分であ
り、検出速度と推定速度の誤差が少なくなるようにフィ
ードバックゲインL(39)でモータ(4)に入力側にフ
ィードバックされる。このためフィードバックゲインL
(31)で構成されるループゲインが大きい周波数領域に
おいては、検出速度≒推定速度となり、ループゲインが
小さい周波数領域においては、検出速度≠推定速度とな
る。すなわち、第6図の速度オブザーバ(13)は、速度
検出器(FG)に着磁ムラやピッチムラ等の影響によるノ
イズの多い領域、すなわち、(モータ回転周波数)×
(速度検出器の歯数/1回転)で示される周波数付近から
無駄時間が多くなる周波数以上の領域において、ノイズ
や無駄時間の含まない制御入力からモータのモデルによ
って推定した値を用い、上記周波数以下の領域において
のみ検出速度の情報を用いるようにフィードバックゲイ
ンL(39)を調整する。そうすることによって、(4)
式における速度検出器(FG)に含まれるノイズや無駄時
間をある程度除去した推定速度を用いることができるた
め、(F/V)の値は1に近づき、その分係数Gを大きく
でき、外乱オブザーバの性能をあげることができる。
以上のことから、推定速度(41)を、外乱オブザーバ
(11)の速度入力とする外乱抑圧ループが第7図に示さ
れるような形で構成される。ここにおいて、外乱オブザ
ーバ(11)の速度入力は、モータ(4)に取り付けられ
たエンコーダの出力をF/V変換した検出速度信号から、
速度オブザーバ(13)にて無駄時間や高域ノイズを除去
した後に得られる推定速度(41)を用いる。こうするこ
とによって外乱オブザーバ(11)に入力される速度情報
(41)に含まれる無駄時間や高域ノイズが少なく(4)
式で述べたように、外乱推定オブザーバ(14)の係数G
が大きく取れるため、外乱オブザーバ(11)の外乱抑圧
能力を向上させることができる。ここで、ノイズを除去
するだけであれば、位相遅れフィルタ等を通すことも考
えられるが、位相が回ってしまうため、正確な外乱推定
が行えなくなってしまうことはいうまでもない。
以上、外乱オブザーバ、および速度オブザーバによっ
て、外乱を電気的に抑圧することが可能なシステムの構
成について主に述べてきた。
次に、上記のシステムの具体的な構成について説明す
る。
第8図に、外乱オブザーバを電気回路で実現したモー
タ制御回路のブロック回路図を示す。モータ(4)の回
転運動は、モータに取り付けられている磁気的エンコー
ダで構成されているFG信号発生器(37)によってモータ
回転速度情報信号と同様にモータに取り付けられている
磁気的エンコーダで構成されているPG発生器(103)に
よってモータ位相情報信号とによって得られる。このモ
ータ回転速度情報信号およびモータ回転位相情報信号
は、従来のモータ制御回路(100)に入力され、従来例
で説明したように、モータ(4)の速度制御および位相
制御が行なわれる。この従来のモータ制御回路(100)
の出力である制御電圧をドライブ回路(102)にそのま
ま入力し、ドライブ回路(102)の出力である駆動電流
によってモータ(4)を回転させれば、従来例で示した
システムと同じとなる。
この発明に係るシステムの原理的な構成は、従来のモ
ータ制御回路(100)とドライブ回路(102)との間に、
アナログ回路からなる外乱オブザーバ回路(外乱推定
器)(101)を挿入することを特長としている。挿入さ
れた外乱オブザーバ回路(101)は、従来のモータ制御
回路(100)の出力である制御電圧と、検出速度との2
つの信号を入力とし、その2つの信号をアナログ演算し
て、外乱抑圧効果が改善された制御電圧を出力する。外
乱オブザーバ回路(101)からの出力は、ドライブ回路
(102)に入力され、モータ(4)の外乱を電気的に抑
圧した形で回転制御する。
第8図の外乱オブザーバ回路(101)は、オペレーシ
ョンアンプ等による増幅器、加算器、減算器、積分器を
用いたアナログ回路によって実現できる。
第9図は、第8図で示したシステムをアナログ回路で
実現したブロック回路図で、この外乱オブザーバ回路
(101)は、速度オブザーバ(13)を併用していない外
乱オブザーバである。図中、一点鎖線で囲んだ外乱オブ
ザーバ回路(101)および加算器(124)を除いた部分が
従来例で説明した従来の速度制御ループおよび位相制御
ループであるので説明を省略する。
この原理的な構成例における外乱オブザーバ回路(10
1)は、第4図で示した外乱オブザーバ(11)の構成を
電気的に実現している。すなわち、第4図中の(28),
(29),(30),(33)がそれぞれ第9図中の(11
8),(119),(121),(123)に相当し、第4図中の
(31)および(32)からなる負帰還ループが位相遅れフ
ィルタ(120)に相当している。そして第4図中の(2
8)と(29)の加算演算、および(30)と(31)の減算
演算は、それぞれ第9図中の加算器(126)および減算
器(122)で実現している。そして第4図中の外乱オブ
ザーバ(11)の出力である(33)の出力と、制御入力と
の加算演算は第9図中の加算器(124)で実現してい
る。
つぎに、第9図の外乱オブザーバ回路(101)をオペ
レーションアンプを用いたアナログ回路で実現した構成
例を第15図に示す。この回路は、片電源回路で実現され
ており、基準電圧は電源電圧の半分の値とし、外乱オブ
ザーバ回路(101)内のアナログ演算は、すべて基準電
圧を中心とした交流成分のみの演算を行う構成となって
いる。このように構成されたアナログ演算回路に、直流
成分を含んだ信号を入力すると、ダイナミックレンジが
せまく制限され問題となる。また、オブザーバ回路をア
ナログ回路で実現したので、アナログ演算回数が増加す
るに伴い、回路オフセットかドリフトの影響を受け、結
局、正確な外乱量を推定できなくなる危険性がある。第
10図はこの難点を解消するもので、速度オブザーバ(1
3)を併用していない外乱オブザーバ回路を示すブロッ
ク回路図である。この実施例では、外乱オブザーバ回路
(101)への入出力信号の直流成分を除去することで、
アナログ演算回路の回路オフセット及びドリフトの問題
を解決している。図中、(118)〜(126)は、第9図で
示した外乱オブザーバ回路(101)と同様であるが、検
出速度入力部に、アナログ検出速度信号の直流成分を除
去するDC除去フィルタ(131)を挿入し、アナログ検出
速度信号の直流成分を除いた信号を外乱オブザーバのア
ナログ演算回路に入力する。同様に、外乱オブザーバ回
路(101)に入力される他の信号である制御入力、ここ
では従来のモータ制御回路(100)からの制御電圧入力
部にDC除去フィルタ(130)を挿入し、従来の制御回路
におけるアナログ制御電圧信号の直流成分を除いた信号
を外乱推定オブザーバのアナログ演算回路に入力するよ
うに構成したものである。
この2つの入力部におけるDC除去フィルタ(130),
(131)を、オペレーションアンプを用いたアナログフ
ィルタ回路によって実現した一例を第14図に示す。この
回路では、入力信号を のカットオフ周波数の低域通過フィルタを通したものを
オペレーションアンプの正端子に、入力信号をオペレー
ションアンプの負端子に入力するようにしている。この
ようにすれば、正端子と負端子との 倍の差動増幅器となり、この回路全体で見れば、入力信
号の直流成分が除去され、出力信号は、基準電圧を中心
とした交流信号が得られることになる。ただし、この場
合の出力信号は反転した形となる。
なお、この回路では、起動時に問題が生じる。すなわ
ち、オペレーションアンプの正端子に入力される信号
が、入力信号の直流成分となるまでに時定数 の時間がかかるので、それまでの期間のオペレーション
アンプ出力は、何らかのオフセットをもった信号とな
る。そのオフセット量が大きい場合、アナログ演算回路
で構成されたオブザーバの推定外乱出力は大きく誤った
出力を発生し、再生画像に悪影響をおよぼす危険性があ
る。そこで、起動時に正端子と入力信号との間の低域通
過フィルタのコンデンサC0に、基準電圧を瞬時に充電す
るため、第16図に示すようにトランジスタFETと、抵抗R
2を設けている。FETは、起動時制御用信号によってON/O
FFし、起動時制御用信号は起動時のみ一瞬でFETがONす
るようになっている。こうすることによって、起動時の
入力信号のDC成分と、オペレーションアンプの正端子と
の電圧差は、(入力信号のDC成分電圧)−(基準電圧)
分だけとなるため、FETやR2を設けない場合と比べて、
大幅に小さくなり、正端子が入力信号の直流成分の電圧
となるまでの時間を短絡できるとともに、起動時のオブ
ザーバへの入力信号のオフセット量を減少することがで
きる。
なお、DC除去フィルタは、第14図に示した構成に限ら
れるものではなく、例えばFETをアナログスイッチで構
成するとか、その他様々な構成が考えられるが、オブザ
ーバ入力信号のDC成分を除去するものであればそのよう
な構成のものでも良いことはいうまでもない。
第11図は、第7図に示した速度オブザーバ(13)によ
る推定速度を速度入力とする外乱オブザーバ(11)を電
気的に実現した構成例を示すブロック回路図である。第
7図中の(28),(39),(40)からなるループが第11
図中の(151),(152),(153),(154)からなるル
ープに、第7図中の(37)が第11図中の(150)にそれ
ぞれ対応している。第11図中のその他の回路構成は、第
10図ですでに詳細に示した構成と同等であるので説明を
省略する。第7図を用いてすでに説明したように、第11
図のような外乱オブザーバは、第10図で示した外乱オブ
ザーバに比べ、外乱抑圧性能が向上した構成となってい
る。
なお第7図のブロック図で示した構成を電気的に実現
した一例として第11図を示したが、第5図の構成を電気
的に実現可能な構成であれば他の構成であってもよいこ
とは言うまでもない。
以上に述べてきたような原理および回路構成によっ
て、モータのエンコーダの歯数を増やしたり、モータの
イナーシャを大きくしたりといった高価な機械的な変更
を伴うことなく安価な電気的な手段のみによって、モー
タの外乱抑圧特性を改善することができる。
第15図は以上の説明で明らかにした原理的な構成を用
いて実現した、本発明の一実施例によるモータ制御装置
のうち、特に外乱オブザーバ回路の部分を示すブロック
回路図で、この実施例は、第9図中の減算回路(122)
と増幅回路(123)との間に、高域除去フィルタ(160)
を挿入した構成となっている。
一般に外乱オブザーバの出力である推定外乱信号に、
高域除去フィルタをかけて制御を行うと、推定外乱信号
の高周波数成分が除去され、外乱の高周波数成分が抑圧
できなくなり、外乱抑圧効果が期待できる周波数帯域が
せまくなるため、外乱抑圧制御という見地から見れば性
能は低下する。
ところが、外乱の周波数が、比較的低い、限られた周
波数帯内にあることがわかっているような状況の場合を
考えると、外乱オブザーバが抑圧すべき周波数帯域はせ
まく限られた範囲で良く、その範囲での抑圧効果が最大
になるように外乱オブザーバを構成する方が有効であ
る。
第1図に示した実施例はまさに上記のような状況の場
合において制御系を構成した例である。第11図で示した
外乱オブザーバ回路(101)が、推定可能なすなわち補
正可能な外乱の周波数帯域を仮にAHz〜BHzとしよう。そ
してここで、制御対象であるモータに加わる外乱の周波
数スペクトラムがAHzとBHzの間の限られた周波数、例え
ばCHz(A<C<<B)付近にかたよっていることがあ
らかじめわかっている場合を考える。このような場合、
外乱オブザーバが抑圧すべき外乱の周波数は、CHz付近
とわかっているので、CHz付近での外乱抑圧効果が最大
になるように外乱オブザーバを構成すればよい。
第11図のシステムにおいて、DC除去フィルタ(132)
の出力は、第7図で説明したように係数Gで制限された
帯域内での推定外乱出力である。係数Gを大きくすれ
ば、推定できる外乱の帯域は広くなるが、安定性を調べ
ると(4)式中の(F/V)の値によって係数Gの値が限
定されてしまうことにすでに述べた。(F/V)はいわば
速度情報信号に含まれるノイズの度合を示す関数であっ
た。今、外乱の周波数がCHz付近であり、CHz付近の周波
数以外の帯域においては外乱量は零とわかっているの
で、外乱推定オブザーバが推定可能な外乱の周波数は、
必ずしも前述のBHzまで必要ではないことがわかる。こ
こでは外乱の周波数がCHz付近とわかっているので、第1
1図の回路構成の場合を考えると、C〜BHzの帯域におい
ては、外乱オブザーバ回路(101)が推定する外乱量
は、すなわちノイズ(F/V)となることがわかる。そこ
で第1図の実施例においては、(F/V)を減少させる意
味で、カットオフ周波数がCHz以上の高域除去フィルタ
(160)でもって外乱推定オブザーバの出力すなわち推
定外乱信号の高周波成分を除去する。このように構成す
ると、(F/V)が減少したことになり、正帰還ループか
らなる外乱抑圧ループ間を巡回するノイズ成分が減少す
るため、より安定化される。その結果、外乱抑圧ループ
の帰還ゲインを1に近づけることが可能となり、CHz付
近の帯域における外乱抑圧率を大きくとることが可能と
なる。
以上、第1図に示した実施例の概要について述べた
が、例えば外乱の周波数がαHz,βHzと飛び飛びの値を
とることがわかっている場合は、第1図における高域除
去フィルタ(160)をαHz,βHz…を選択的に通過させる
くし形フィルタに変えてやると同等の効果が得られるこ
とは言うまでもない。
また、外乱の周波数がCHzに限定されている場合にお
いては、第15図における高域除去フィルタ(160)を、
中心周波数がCHzであるバンドパスフィルタにすれば同
等もしくは同等以上の効果があることは言うまでもな
い。
〔発明の効果〕
以上のように、本願の請求項1の発明に係るモータ制
御装置によれば、磁気テープ装置における回転ドラムモ
ータあるいはキャプスタンモータの回転速度を検出する
回転速度検出器と、上記回転速度検出器により検出され
た上記モータの回転速度情報に基づいて上記モータの回
転速度を任意の値に制御する速度制御手段とを具備した
モータの制御装置において、上記モータの駆動情報が入
力され、上記モータの回転速度に相当する推定回転速度
情報が得られるアナログ等価回路と、上記モータの回転
速度検出器からの検出回転速度情報と上記等価回路から
の推定回転速度情報とを比較し、上記等価回路の上記モ
ータの回転速度の推定誤差を出力する比較手段と、上記
推定誤差を上記等価回路に負帰還するフィードバック手
段と、上記モータの駆動情報と上記等価回路からの推定
回転速度情報を入力とし、上記モータの外乱量を電気回
路での演算により推定し出力するアナログ外乱推定器
と、上記外乱推定器の出力を上記モータの制御信号に正
帰還する外乱正帰還手段と、上記等価回路および上記外
乱推定器の入出力信号経路中にそれぞれ設けられ、当該
信号経路中の直流成分を除去する補償フィルタとを具備
し、かつ上記補償フィルタは、正相入力を入力するため
の正端子と逆相入力を入力するための負端子とを有する
オペレーションアンプと、上記補償フィルタの入力信号
端と上記オペレーションアンプの負端子との間および上
記オペレーションアンプの負端子と出力端子との間に設
けられ、上記オペレーションアンプを正端子と負端子と
の差電圧を抵抗比倍に増幅する差動増幅器として動作さ
せる2つの抵抗と、コンデンサを含み、上記補償フィル
タの入力信号を、所定のカットオフ周波数でその低域成
分を通過させ上記オペレーションアンプの正端子に出力
する低域通過フィルタと、起動時に上記コンデンサに基
準電圧を充電させる充電手段とを具備するようにしたの
で、高精度で高価な速度検出器を必要とせず、回路オフ
セットやドリフトの影響を受けず、正確な推定動作が可
能であり、しかも回路機構部の小型,軽量化を図れる効
果を有するとともに、大きな外乱抑圧効果を有するモー
タの制御装置が得られる効果がある。
また、本願の請求項2の発明に係るモータ制御装置に
よれば、請求項1記載のモータ制御装置において、上記
モータに印加される外乱のスペクトラムの最大振幅周波
数より高いカットオフ周波数を有する高域除去フィルタ
を、上記外乱正帰還手段の任意の信号経路中に設けるよ
うにしたので、外乱推定器の動作をより安定化でき、高
精度で高価な速度検出器を必要とせず、回路オフセット
やドリフトの影響を受けず、より正確な推定動作が可能
であり、しかも回路機構部の小型,軽量化を図れる効果
を有するとともに、大きな外乱抑圧効果を有するモータ
の制御装置が得られる効果がある。
また、本願の請求項3の発明に係るモータ制御装置に
よれば、請求項2記載のモータ制御装置において、上記
高域除去フィルタに代えて、上記モータに印加される周
期外乱の基本周波数ならびにその高調波成分を選択的に
透過させる櫛形フィルタを、上記外乱正帰還手段の任意
の信号経路中に設けるようにしたので、外乱推定器の動
作をより安定化でき、高精度で高価な速度検出器を必要
とせず、回路オフセットやドリフトの影響を受けず、よ
り正確な推定動作が可能であり、しかも回路機構部の小
型,軽量化を図れる効果を有するとともに、大きな外乱
抑圧効果を有するモータの制御装置が得られる効果があ
る。
さらに、本願の請求項4の発明に係るモータ制御装置
によれば、請求項2記載のモータ制御装置において、上
記高域除去フィルタに代えて、上記モータに印加される
外乱のスペクトラムの最大振幅周波数が中心周波数であ
るバンドパスフィルタを、上記外乱正帰還手段の任意の
信号経路中に設けるようにしたので、外乱推定器の動作
をより安定化でき、高精度で高価な速度検出器を必要と
せず、回路オフセットやドリフトの影響を受けず、より
正確な推定動作が可能であり、しかも回路機構部の小
型,軽量化を図れる効果を有するとともに、大きな外乱
抑圧効果を有するモータの制御装置が得られる効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の一実施例によるモータ制御装置の外
乱オブザーバ回路部分を示すブロック図、第2図は第1
図中の高域フィルタの構成を示す回路図、第3図はこの
発明の一実施例の適用箇所を示すブロック図、第4図は
第3図中の外乱オブザーバの構成を示すブロック図、第
5図は第4図の外乱オブザーバ(11)によって外乱抑圧
ループを構成し、これを速度制御ループ,位相制御ルー
プに併用した時の外乱抑制特性を示す図、第6図は速度
オブザーバのブロック図、第7図は第6図の速度オブザ
ーバと第4図の外乱オブザーバとを組み合わせた外乱オ
ブザーバの構成を示すブロック図、第8図は第18図の回
路に第7図のシステムを適用したモータ制御系を示すブ
ロック構成図、第9図は第8図をより詳しく示したブロ
ック構成図、第10図は外乱オブザーバ回路の他の構成例
を示すブロック図、第11図は外乱オブザーバ回路の他の
構成例を示すブロック図、第12図は第10図,第11図中の
加算回路の具体的な回路構成を示す図、第13図は第10
図,第11図中の速度検出回路の具体的な回路構成を示す
図、第14図は速度オブザーバをアナログ回路で実現した
場合の回路構成を示す図、第15図は外乱オブザーバをア
ナログ回路で実現した場合の回路構成を示す図、第16図
は第10図,第11図中のDC除去フィルタをアナログ回路で
実現した場合の回路構成を示す図、第17図は従来の位相
制御ループを備えたモータ制御システムを示すブロック
図、第18図は従来の位相制御ループと速度制御ループを
併用したモータ制御システムのブロック図、第19図は第
18図に示した従来のモータ制御システムの外乱抑圧特性
を示す図である。 (4)……制御対象(モータ) (5)……演算ブロック(積分器) (7)……位相制御ゲイン (8)……モータの電圧感度 (9)……モータの回転機構部 (10)……速度制御ゲイン (11)……外乱オブザーバ (12)……モータのトルク定数 (13)……速度オブザーバ (100)……従来のモータ制御回路 (101)……外乱オブザーバ回路 (130)……フィルタ R3,R4……オペレーションアンプを差動増幅器化させる
抵抗 R0,R1,C0……低域通過フィルタを構成する抵抗,抵抗,
コンデンサ FET,R2……充電手段を構成するトランジスタ,抵抗 なお、各図中、同一符号は同一、または相当部分を示
す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−277391(JP,A) 特開 昭63−92283(JP,A) 特開 昭63−234888(JP,A) 特開 昭63−274385(JP,A) 特公 昭63−37599(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H02P 5/00 - 5/00 301

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁気テープ装置における回転ドラムモータ
    あるいはキャプスタンモータの回転速度を検出する回転
    速度検出器と、上記回転速度検出器により検出された上
    記モータの回転速度情報に基づいて上記モータの回転速
    度を任意の値に制御する速度制御手段とを具備したモー
    タの制御装置において、 上記モータの駆動情報が入力され、上記モータの回転速
    度に相当する推定回転速度情報が得られるアナログ等価
    回路と、 上記モータの回転速度検出器からの検出回転速度情報と
    上記等価回路からの推定回転速度情報とを比較し、上記
    等価回路の上記モータの回転速度の推定誤差を出力する
    比較手段と、 上記推定誤差を上記等価回路に負帰還するフィードバッ
    ク手段と、 上記モータの駆動情報と上記等価回路からの推定回転速
    度情報を入力とし、上記モータの外乱量を電気回路での
    演算により推定し出力するアナログ外乱推定器と、 上記外乱推定器の出力を上記モータの制御信号に正帰還
    する外乱正帰還手段と、 上記等価回路および上記外乱推定器の入出力信号経路中
    にそれぞれ設けられ、当該信号経路中の直流成分を除去
    する補償フィルタとを具備し、 かつ上記補償フィルタは、 正相入力を入力するための正端子と逆相入力を入力する
    ための負端子とを有するオペレーションアンプと、 上記補償フィルタの入力信号端と上記オペレーションア
    ンプの負端子との間および上記オペレーションアンプの
    負端子と出力端子との間に設けられ、上記オペレーショ
    ンアンプを正端子と負端子との差電圧を抵抗比倍に増幅
    する差動増幅器として動作させる2つの抵抗と、 コンデンサを含み、上記補償フィルタの入力信号を、所
    定のカットオフ周波数でその低域成分を通過させ上記オ
    ペレーションアンプの正端子に出力する低域通過フィル
    タと、 起動時に上記コンデンサに基準電圧を充電させる充電手
    段とを具備したことを特徴とするモータ制御装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載のモータ制御装置において、 上記モータに印加される外乱のスペクトラムの最大振幅
    周波数より高いカットオフ周波数を有する高域除去フィ
    ルタを、上記外乱正帰還手段の任意の信号経路中に設け
    たことを特徴とするモータ制御装置。
  3. 【請求項3】請求項2記載のモータ制御装置において、 上記高域除去フィルタに代えて、上記モータに印加され
    る周期外乱の基本周波数ならびにその高調波成分を選択
    的に透過させる櫛形フィルタを、上記外乱正帰還手段の
    任意の信号経路中に設けたことを特徴とするモータ制御
    装置。
  4. 【請求項4】請求項2記載のモータ制御装置において、 上記高域除去フィルタに代えて、上記モータに印加され
    る外乱のスペクトラムの最大振幅周波数が中心周波数で
    あるバンドパスフィルタを、上記外乱正帰還手段の任意
    の信号経路中に設けたことを特徴とするモータ制御装
    置。
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