JP2809804B2 - 皮革様シート状物 - Google Patents

皮革様シート状物

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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は反発性が小さく、柔軟で、手に触れた感触が
ぬめり感を感ずる表面を有し、天然皮革に類似した見た
目の重厚感と色の深みがあり、表面強さに優れた皮革様
シート状物およびその製造法に関するものである。
<従来の技術> 従来、繊維を主体とする基材の表面にポリウレタンを
主体とする重厚体の被覆層を有する皮革様シート状物に
おいて、反発性が小さく、柔軟で手に触れた感触がぬめ
り感を感ずる表面を有し、表面強さに優れた皮革様シー
トについては多くの提案がある。とりわけ、表面の折れ
シワ形態、手に触れた感触、反発性などの改良につい
て、皮革様シートの構造と構成を主体に使用原料、製造
条件などが検討されて来た。例えば、皮革様シート状物
の構造と構成の面からは、平均直径約20〜200μmの蜂
窩状多孔構造の多孔質表面を研削し、表皮(スキン層)
を除去して露出表面の大部分の気泡直径が10μm以上に
なるようにし、その気泡露出表面に重合体被膜層を形成
していわゆる銀面に仕上げた皮革様シート状物が特公昭
40−20273号公報、特公昭47−38623号公報、特公昭54−
963号公報に提案されている。更に、本出願人は表面に
孔の大きさが3〜100μmのミクロホールを多数有する
多孔質構造の表面層の表面にポリウレタン溶液を塗布
し、ミクロホールを整形して微細孔に仕上げた表面にミ
クロホールを有する皮革様シート状物を特公昭56−1034
5号公報、特公昭56−10346号公報に提案している。
また、皮革様シートの被覆層へ天然皮革粉末やコラー
ゲンなどを混入して天然皮革類似の外観および質感を再
現する試みも多数提案されている。例えば特公昭63−23
644号公報、特公昭63−315677号公報等が挙げられる。
これらの皮革様シートは単に粒径の大きい皮革粉末やコ
ラーゲン粉末などを混入しているのみであり、表面には
粉末によるざらつき感やかさつき感があり、天然皮革の
ようなぬめり感は得られない。
<発明が解決しようとする課題> 従来の皮革様シート状物が外観性能の改良、例えば、
折れシワ形態を天然皮革に類似させるとか、ドレープ性
を改良して見た目の重厚感を得るとか、また、性能的に
は透気性、透湿性を高めることに検討の方向があった。
しかし、従来の皮革様シート状物は柔軟であるが触感的
にはかさかさした乾いた手触りであった。そこで、ぬめ
り感を持った柔軟な風合い、触感の皮革様シート状物と
するために、柔軟剤や可塑剤あるいは風合い改良のため
の油剤で処理することも行われているが、これらの処理
剤だけで処理した場合には処理剤特有のべとつきが生じ
たり、長時間経過すると処理剤のブリードやポリウレタ
ンに好ましくない作用を及ぼすとかで、処理剤だけで触
感を改良することは好ましくない。
一方、従来の多孔質層あるいは非多孔質層を有する皮
革様シート状物の表面に、例えば、スキン層を除去せず
に柔軟な重合体あるいは柔軟な重合体と油脂などの処理
剤との組成物を塗布した場合には、表面の摩擦抵抗が大
きくなり、耐摩耗性が悪くなったり、あるいは耐熱性が
低下したりして好ましくないものとなる。更に、表面の
型押しによる賦型性が悪くなるなどの問題が生起する。
本発明は反発感の小さい、柔軟で、手で触れた感触が
タックのないぬめり感のある表面であって、表面の引っ
掻き強さ、摩耗強さ、表面層の破壊強さ等に優れ、更
に、天然皮革に類似の表面および折れシワ形態を有して
おり、見た目の重厚感、柔軟さを感ずる視覚的性能を併
せもった皮革様シート状物を提供することにある。
<課題を解決するための手段> 本発明は、繊維集合体に弾性重合体を主体とした重合
体を含有した基体層と弾性重合体を主体とした重合体の
被覆層とからなる皮革様シート状物において、該被覆層
の表面には非繊維状で平均粒径10μm以下かつ見掛け嵩
密度0.1〜0.3g/cm3のコラーゲン粉末とポリウレタンを
主体とした重合体よりなる層、ポリウレタンおよび/ま
たはアクリル系樹脂、油脂およびカゼインよりなる層が
積層されてなることを特徴とする皮革様シート状物であ
り、更にその表面にアクリル系樹脂またはポリウレタン
と硝化綿ラッカーおよび油脂よりなる層が積層されてな
ることを特徴とする皮革様シート状物である。
すなわち、本発明は、普通繊維、極細繊維および/ま
たはその束状繊維、特殊多孔繊維などのいずれかの繊維
で作られた織布、編布あるいは繊維絡合不織布などの繊
維集合体に、ポリウレタン、アクリル系重合体、アクリ
ロニトリル・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエ
ン共重合体などの合成ゴムなどの弾性重合体の群から選
ばれた少なくとも1種類の弾性重合体を主体とした重合
体を含有させて得た、弾性重合体を主体とした重合体と
繊維集合体とからなる基体層、その基体層の一面にポリ
ウレタン、可塑化ポリ塩化ビニルなど弾性重合体を主体
とした重合体の多孔質層または非多孔質層を表面層とし
たシート状物を形成し、その表面にコラーゲン粉末を含
有したポリウレタン組成物液を塗布・乾燥して皮革様シ
ートとし、該皮革様シートの表面にポリウレタンおよび
/またはアクリル系樹脂の水系分散液、油脂、乳化剤、
カゼイン水系分散液あるいは水溶液からなる樹脂組成液
〔I〕を塗布し、乾燥して皮革様シート状物を製造する
ものである。
更にまた、上記の皮革様シート状物の表面に、アクリ
ル系樹脂エマルジョンまたはポリウレタンエマルジョン
と硝化綿ラッカーの溶液との樹脂組成液および油脂、乳
化剤とからなる有機溶剤を含む樹脂組成液〔II〕を塗布
し、乾燥して塗膜層を形成させることによって皮革様シ
ート状物を製造するものである。
本発明の基体層は、通常の繊維、例えば、ポリエステ
ル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリオレフイ
ン、ポリビニルアルコールなどの合成繊維、再生セルロ
ースなどの化学繊維、天然繊維、あるいは特殊形態の繊
維、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロ
ニトリルなどの極細繊維あるいは少なくとも1成分を溶
解除去することにより極細繊維束状繊維や特殊多孔繊維
などに変成することのできる多成分繊維から選ばれた繊
維で構成されたニードルパンチや高速流体流により絡合
処理された繊維絡合不織布、繊維立毛編織布、不織布と
編織布の積層布などの布帛から選ばれた1種類の布帛
に、弾性重合体を主体とした含浸用組成液を含浸し、次
いで必要に応じ、重合体の塗布用組成液を塗布して重合
体の非溶剤中でスポンジ構造に凝固させ、多成分繊維を
極細繊維束状繊維や特殊多孔繊維に変成し、必要に応じ
更に弾性重合体を主体とした重合体被膜層を付与したシ
ート状物である。
基体層として通常の繊維、特にポリエステルやポリア
ミド繊維からなるものを使用すれば皮革様シートとした
とき適度の腰と保型性に優れたものとなり、極細繊維束
状繊維からなるものを使用すれば柔軟な風合いで靴に加
工したときトップラインがシャープに入り、また、特殊
多孔繊維からなるものを使用すれば適度の腰と軽量性を
合わせ持ったものとなり、表面のぬめり感や見た目の重
厚感、深みのある色調などと相俟って高級感に溢れた人
工皮革製品となる。
本発明で被覆層に使用するコラーゲンは、動物の皮
膚、骨、腱を酵素などにより処理精製し、高分子状のコ
ラーゲン繊維を抽出し、コラーゲン繊維間に架橋反応さ
せた後粉砕して得られる非繊維状の、平均粒径10μm以
下、見掛け嵩密度0.1〜0.3g/cm3のコラーゲン粉末であ
り、例えば昭和電工製のCX240やCX260などが挙げられ
る。該コラーゲンの平均粒径が10μmより大きいとスム
ースな面が得られず、ざらつき感が出るなど好ましくな
いものとなる。また、見掛け嵩密度が0.3g/cm3より大き
くなると、コラーゲン粒子の嵩高さが小さくなるため樹
脂との親和性が低下し塗膜強度が小さくなる。更に、重
合体溶液中に分散したときの安定性が悪く、溶液中でコ
ラーゲン粒子が沈澱し、攪拌しても再分散出来なくなる
という問題点を有する。また、見掛け嵩密度が0.1g/cm3
より小さくなると、コラーゲン粒子の強度が小さくなり
塗膜強度が小さくなる。従って、樹脂との接着性を上げ
スムースな仕上げ面を得るためにはコラーゲンの平均粒
径が10μm以下、見掛け嵩密度が0.1〜0.3g/cm3の範囲
が好ましい。なお、本発明において見掛け嵩密度はJIS
K 6721により求めたものである。
該コラーゲン粉末とポリウレタンを主体とした重合体
の重量比は1:1〜2:1の範囲である。コラーゲン粉末の量
が少なくなるとコラーゲンの特徴が十分利用出来ず、ま
た、逆にコラーゲンの量が多くなるとコラーゲン粉末が
重合体により十分固定出来ず、皮膜強度が低下する。
本発明で、コラーゲン粉末と混合するポリウレタン
は、平均分子量500〜2500のポリマージオール、例え
ば、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポ
リエステルエーテルジオール、ポリカプロラクトンジオ
ール、ポリカーボネートジオールなどの群から選ばれた
少なくとも1種類のポリマージオールと、有機ポリイソ
シアネート、例えば、芳香族ジイソシアネート、芳香族
トリイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、環状基
を有する脂肪族ジイソシアネート、トリフエニルメタン
4,4′,4″−トリイソシアネートなどの群から選ばれた
少なくとも1種類の有機ポリイソシアネートと、活性水
素原子を少なくとも2個有する低分子化合物を鎖伸長剤
として反応させて得たポリウレタンである。
コラーゲンとポリウレタンを主体とした重合体の組成
物は重合体の溶液にコラーゲンが分散した分散液として
表面に塗布する。塗布液には目的に応じて染料や顔料な
どの着色剤、安定剤、帯電防止剤、平滑剤などを添加し
て用いる。塗布する方法は、例えば、刻目を有するロー
ル、平滑面ロールを用いて塗布するロール塗布法、スプ
レー塗布法、表面接触法などの方法で塗布する。好まし
い塗布方法は塗布の均一性の点からロール塗布法であ
る。
塗布量は、乾燥コラーゲンの重量にして5〜50g/m2
好ましくは5〜30g/m2の範囲である。コラーゲンの塗布
量が5g/m2より少ないと表面全体がコラーゲン粉末で覆
われないため、上に塗布する樹脂組成液との接着性が十
分得られず、また、コラーゲンの塗布量が多い場合にも
皮膜強度が低下し、耐久性に劣るものとなる。
次に、本発明で、油脂およびカゼインと混合使用する
ポリウレタンは、前述のコラーゲンと混合使用するポリ
ウレタンと同じものが使用できるが、このポリウレタン
は最終的に水系分散液として使用する。また、アクリル
系樹脂は、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸ブチル、メチルメタアクリル酸エステル
などのアクリル系モノマーの少なくとも1種類を重合し
て得たアクリル系樹脂、あるいはアクリル系モノマーと
他のビニルモノマーとの共重合体であるアクリル系樹脂
である。このアクリル系樹脂は最終的には水系分散液と
して使用する。また、重合体の配合剤として配合する油
脂としては、例えば、ひまし油、あまに油、綿実油、け
し油、桐油などの硬化油などの天然油脂、リシノール
酸、クノレイン酸などの不飽和高級脂肪酸などから選ば
れた1種類の油脂であり、乳化剤としては、例えば、ノ
ニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤などから選
ばれた樹脂、樹脂組成物および油脂等を乳化させ得る活
性剤からなる乳化剤である。それにカゼインの水溶液あ
るいは水系分散液を配合して水系樹脂組成液〔I〕とす
る。更に、水系樹脂組成液〔I〕には着色剤、例えば、
無機顔料、有機顔料、金属錯塩染料、酸性染料などから
選ばれた着色剤を添加しておくことも好ましい。そし
て、水系樹脂組成液〔I〕の好ましい樹脂組成物は樹脂
100重量部に対して、油脂10〜40重量部、乳化剤1〜10
重量部、カゼイン10〜50重量部、着色剤1〜20重量部の
範囲で配合した樹脂組成物である。また、必要に応じ
て、例えば、光安定剤、酸化防止剤、撥水剤、撥油剤等
の添加剤から選ばれた添加剤を添加しておくことも良
い。この樹脂組成物は見掛け上水系分散液として使用す
るが、分散液には液の安定を損なわない範囲で少量の有
機溶剤、例えば、エーテル類、アルコール類、ケトン
類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、トルエ
ン、ベンゼン、キシレンなどの芳香族炭化水素類などの
群から選ばれた有機溶剤を添加しておくことも良い。水
系分散液中の樹脂組成物の濃度は5〜30重量%の範囲で
あり、樹脂組成物の濃度が小さいと塗布回数を多くしな
いと目的の効果が得られない。また、樹脂組成物の濃度
が高いとコラーゲンを塗布した表面に十分なじまないの
で目的とする効果が十分に得られない。この水系樹脂組
成液〔I〕を塗布する方法は、例えば、刻目を有するロ
ール、平滑面ロールなどのロールを用いて塗布するロー
ル塗布法、スプレー塗布法、表面接触法などの方法によ
り塗布する。好ましい塗布方法は、塗布の均一性や表面
になじませ易いことなどからロール塗布法である。塗布
量は樹脂組成物として20〜100g/m2の範囲である。塗布
量が少ないと十分に目的が達せられないが、塗布量が多
すぎると皮膜強度が小さくなったり、外観を損なうもの
となる。
また、本発明の樹脂組成物を付与したシート状物の表
面には、更に表面に塗布層を付与してもよい。塗膜層を
形成する樹脂組成物は、アクリル系樹脂またはポリウレ
タンのエマルジョンと硝化綿ラッカーの溶液との樹脂組
成液を使用する。アクリル系樹脂またはポリウンタン
(R)と硝化綿ラッカー(N)との樹脂混合比は重量比
で(R)/(N)=40/60〜20/80の範囲であり、この範
囲を越えて硝化綿ラッカーの量が少ないと、表面摩擦抵
抗が大きくなる。一方、硝化綿ラッカーの量が多くなる
と表面の触感が乾いた状態のものになったり、塗布層の
接着強力が弱くなるなどして好ましくない。そして、こ
の樹脂組成物に配合する油脂、乳化剤の配合比は上記の
水系樹脂組成液〔I〕の組成物と同じ組成でよい。ま
た、この樹脂組成物は見かけ上、水系樹脂組成液〔II〕
として使用しても良いし、あるいは樹脂組成液の安定化
を損なわず、かつ下層のポリウレタンとコラーゲンより
なる皮膜を損なわない有機溶剤、例えば、シンナー、エ
ーテル類、アルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチルなど
のエステル類、トルエン、ベンゼン、キシレン、シクロ
ヘキサン、シクロヘキサノン、ケトン類などの群から選
ばれた少なくとも1種類の有機溶剤を添加した樹脂組成
液〔II〕としておくことも良い。この、樹脂組成液〔I
I〕中の樹脂組成物の濃度は5〜30重量%であり、この
濃度範囲以外では十分に良好な塗膜層を形成することが
難しく好ましくない。この樹脂組成液〔II〕の塗膜層を
形成させるために塗布する方法は、例えば、刻目を有す
るロール、平滑面ロールなどのロールを用いて塗布する
ロール塗布法、スプレー塗布法、表面接触法などの方法
で塗布する。好ましい塗布方法は塗布の均一性や塗膜の
透気性、透湿性の高さの点からロール塗布法である。樹
脂組成液〔II〕の塗布量は樹脂組成物として20〜50g/m2
の範囲である。樹脂組成物の塗布量が少ないと、柔軟性
を損なわずにより光沢のある平滑面に仕上げることが難
しい。一方、塗布量が多くなると透気性、透湿性が損な
われ、外観性能として折れシワ形態が悪いものとなる。
また、この樹脂組成物の塗布によって表面塗膜層を形成
する場合、十分な樹脂組成物〔I〕を付与しない状態
で、表面に樹脂組成物〔II〕の塗膜層を形成すると、後
で行う仕上げ処理で塗膜層が剥離するとか、十分なエン
ボシングが掛けられないとか、揉み皺が付かないとかの
好ましくないものとなる。
樹脂組成物〔I〕あるいは樹脂組成物〔I〕および
〔II〕を付与して得たシート状物は、乾燥し、皮革様シ
ート状物としての仕上げ処理、例えば、エンボシング、
揉み柔軟化処理、表面の色調あるいは光沢調整などを行
って皮革様シート状物の製品を得る。
本発明で得た皮革様シート状物は、表面がタックのな
いぬめり感を有する触感であって、折れシワ形態および
ドレープ性が天然皮革に類似し、見た目の重厚感と色の
深みがあり、かつ色調が濃く見えるものとなり、表面強
度に優れた皮革様シート状物となる。
本発明の皮革様シート状物は、スポーツシューズ、紳
士靴などの靴甲革、鞄、袋物、衣料、手袋などに使用す
るのに適している。
<実施例> 次に、本発明の実施態様を具体的な実施例で説明する
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、実施例中の部および%はことわりのない限り、重
量に関するものである。
実施例1 基材シートとして、ポリエチレンテレフタレートを分
散成分、ポリエチレンを分散媒成分とする多成分繊維の
絡合不織布に、青系着色剤を含むポリエチレンアジペー
ト系ポリウレタンの20%ジメチルホルムアミド(DMF)
溶液を含浸し、更に表面に150g/m2の量塗布して40%DMF
水溶液中で凝固後ポリエチレンを溶解除去して得た極細
繊維束状繊維の不織布にポリウレタンが多孔質状態で含
有してなる基体層の一面にポリウレタン微多孔質表面層
を有するシートを用いた。この基材シートの表面に、ポ
リエステル系ポリウレタンの30%DMF溶液100部に平均粒
径5μm、見掛け嵩密度0.25g/cm3のコラーゲン粉末50
部を添加した組成液をグラビアロールを用いたロール塗
布法により50g/m2となるように塗布し乾燥した。次に、
該表面に塗布する水系樹脂組成液〔I〕とし、アクリル
系樹脂エマルジョン(樹脂濃度45%)160部、黒色顔料
配合カゼイン水系分散液(カゼイン濃度30%)100部、
ひまし油を主体とした植物油乳化液(植物油濃度50%)
30部、および水200部からなる水系樹脂組成液〔I〕を
調整し、樹脂組成物量(乾燥後の残留成分量)として80
g/m2になる量をグラビアロールを用いたロール塗布法に
より塗布し、乾燥した。次いで、梨地模様のエンボスロ
ールを用い、温度150℃で加熱エンボスを行って皮革様
シート状物Aに仕上げた。
得られた皮革様シート状物Aは風合いが柔らかで、表
面がタックのないぬめり感を有する触感であって、天然
皮革に類似した深みのある黒度と見た目の重厚感を有す
るものであった。
この皮革様シート状物Aを用いて紳士靴および婦人靴
を製作したところ、カーフ様の柔軟な風合いでトップラ
インがシャープに入り、高級感のあるものであった。
実施例2 実施例1の水系樹脂組成液を塗布・乾燥した表面に、
アクリル系樹脂エマルジョン(樹脂濃度45%)40部、硝
化綿ラッカー溶液(樹脂濃度30%)100部、ひまし油を
主体とした植物油乳化液(植物油濃度50%)30部、有機
溶剤150部からなる樹脂組成液〔II〕を樹脂組成物量
(乾燥後の残留組成分量)として50g/m2になる樹脂組成
液〔II〕を刻目ロールを用いたロール塗布法で塗布し、
乾燥して塗膜層を形成した。次いで、カーフ調模様のエ
ンボスロールで加熱エンボスを行い、更に揉み処理して
皮革様シート状物Bに仕上げた。
得られた皮革様シート状物Bは柔軟な風合いと、天然
皮革様の表面の折れシワ形態とぬめり感のある触感であ
り、皮革様シート状物Aよりも更に天然皮革に類似した
深みのある色相と見た目の重厚感のあるものであった。
比較例1 実施例1において、コラーゲン粉末として平均粒径30
μm、見掛け嵩密度0.5g/cm3のコラーゲン粉末を用いる
以外は同様にして皮革様シート状物Cに仕上げた。
皮革様シート状物Cは、表面はタックのないヌメリ感
を有する感触であって、天然皮革に類似した深みのある
黒度と見た目の重厚感はあるものの、水系樹脂組成液
〔I〕からなる樹脂層が剥がれ易く、表面に容易に傷が
入ってしまうものであった。
比較例2 実施例1の基材シート表面にポリウレタンとコラーゲ
ンの組成物を付与することなく、実施例1で使用した水
系樹脂組成液〔I〕を同様に塗布して乾燥し、表面がア
クリル系樹脂組成物の塗膜層を形成したシート状物と
し、同じ条件で加熱エンボスを行ったが、実施例1の条
件では温度が高くて表面塗膜層が剥離してしまい、エン
ボスが掛けられなかった。そのために、エンボス温度11
0℃に下げて加熱エンボスを行い、更に揉み処理して皮
革様シート状物Dに仕上げた。得られた皮革様シート状
物Dは十分なエンボスが掛けられないために外観が悪
く、更に表面樹脂の接着性が悪いため所どころにはがれ
を生じ、実用に耐えないものであった。
実施例3 基材シートとして、繊度1.5デニールのポリエステル
短繊維の絡合不織布に実施例1と同様にポリエチレンア
ジペート系ポリウレタンを含浸・凝固して得たシートを
用いた。この基材シートの表面に、ポリエステル−エー
テル系ポリウレタンの30%DMF溶液100部に平均粒径7μ
m、見掛け嵩密度0.2g/cm3のコラーゲン粉末40部を添加
した組成液をグラビアロールを用いたロール塗布法によ
り40g/m2塗布し乾燥した。この表面に、水系樹脂組成液
〔I〕として、ポリカーボネート系ポリウレタンエマル
ジョン(樹脂濃度40%)180部、黒色顔料配合カゼイン
水系分散液(カゼイン濃度30%)100部、植物油乳化液
(植物油濃度50%)30部、ヒンダードアミン系光安定剤
1部および水200部からなる水系樹脂組成液〔I〕を調
整し、樹脂組成物量(乾燥後の残留成分量)として65g/
m2になる水系樹脂組成液量をロール塗布法で塗布し、乾
燥してシート状物を得た。更に、この表面に樹脂組成液
〔II〕として、ポリカーボネート系ポリウレタン85部、
ポリオキシエチレン系ポリウレタン15部のポリウレタン
混合エマルジョン(樹脂濃度40%)50部、硝化綿ラッカ
ー溶液(樹脂濃度30%)100部、黒系顔料2.5部、植物油
乳化液(植物油濃度50%)30部、ヒンダードアミン系安
定剤1.5部および有機溶剤150部からなる樹脂組成液〔I
I〕を調整し、この樹脂組成液〔II〕をシート状物Cの
表面に樹脂組成物量として(乾燥後の残留組成分量)と
して40g/m2になる樹脂組成液〔II〕をロール塗布法で塗
布し、乾燥して塗膜層を形成した。このシート状物の表
面をカーフ調模様のエンボスロールを用い、温度150℃
で加熱エンボスを行って皮革様シート状物Eに仕上げ
た。
得られた皮革様シート状物Eは、適度の腰があり、表
面がしっとりしたぬめり感と、深みのある黒度を有して
いた。この皮革様シート状物Eを用いて紳士靴およびカ
メラケースを作製したところ、いずれも賦型性および保
型性に優れ、独特のぬめり感と色調と相俟って商品価値
の高いものであった。
実施例4 基材シートとして、6−ナイロンを分散媒成分、ポリ
スチレンを分散成分とする多成分繊維の絡合不織布に、
青系着色剤を含むポリエチレンアジペート系ポリウレタ
ンの20%ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を含浸し、
更に表面に150g/m2の量塗布して40%DMF水溶液中で凝固
後ポリスチレンを溶解除去して得た特殊多孔繊維の不織
布にポリウレタンが多孔質状態で含有してなる基体層の
一面にポリウレタン微多孔質表面層を有するシートを用
いた。この基材シートの表面に、ポリエステル−エーテ
ル系ポリウレタンの30%DMF溶液100部に平均粒径7μ
m、見掛け嵩密度0.2g/cm3のコラーゲン粉末40部を添加
した組成液をグラビアロールを用いたロール塗布法によ
り40g/m2塗布し乾燥した。この表面に、水系樹脂組成液
〔I〕として、ポリカーボネート系ポリウレタンエマル
ジョン(樹脂濃度40%)180部、黒色顔料配合カゼイン
水系分散液(カゼイン濃度30%)100部、植物油乳化液
(植物油濃度50%)30部、ヒンダードアミン系光安定剤
1部および水200部からなる水系樹脂組成液〔I〕を調
整し、樹脂組成物量(乾燥後の残留成分量)として65g/
m2になる水系樹脂組成液量をロール塗布法で塗布し、乾
燥してシートを得た。次いで、表面塗膜層面に梨地模様
のエンボスロールで加熱エンボスを行って皮革様シート
状物を得た。この皮革様シートは更に揉み処理して仕上
げた。
得られた皮革様シート状物は見た目の重厚感があるが
軽量で、表面はタックのないぬめり感と深みのある黒度
があり、学振型平面摩耗試験器による荷重500g、回数10
00回の摩耗試験結果は1級(異状無し)である。
この皮革様シート状物は鞄やランドセル、スポーツシ
ューズ用としての好適の素材であった。
<発明の効果> 本発明の皮革様シート状物は、反発感が小さく、柔軟
で、手で触れた感触がタックのないぬめり感のある表面
であって、表面の引っ掻き強さ、摩耗強さ、表面層の破
壊強さ等に優れた皮革様シート状物である。更に、天然
皮革に類似の表面および折れシワ形態を有しており、見
た目の重厚感、柔軟さを感ずる視覚的性能を併せもった
皮革様シート状物である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D06N 3/14 D06N 3/08 B32B 27/40

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】繊維集合体に弾性重合体を主体とした重合
    体を含有した基体層と弾性重合体を主体とした重合体の
    被覆層とからなる皮革様シート状物において、該被覆層
    の表面には非繊維状で平均粒径10μm以下かつ見掛け嵩
    密度0.1〜0.3g/cm3のコラーゲン粉末とポリウレタンを
    主体とした重合体よりなる層、ポリウレタンおよび/ま
    たはアクリル系樹脂、油脂およびカゼインよりなる層が
    積層されてなることを特徴とする皮革様シート状物。
  2. 【請求項2】第1項において表面に更にアクリル系樹脂
    またはポリウレタンと硝化綿ラッカーおよび油脂よりな
    る層が積層されてなることを特徴とする皮革様シート状
    物。
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