JPS6252075B2

JPS6252075B2 -

Info

Publication number: JPS6252075B2
Application number: JP51099180A
Authority: JP
Inventors: Takeo Nishimura; Osamu Kuramoto
Original assignee: Kuraray Co Ltd
Current assignee: Kuraray Co Ltd
Priority date: 1976-08-17
Filing date: 1976-08-17
Publication date: 1987-11-04
Also published as: JPS5324005A

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は耐傷性、耐摩擦性等の優れた皮革様シ
ートの製造法に関する。更に詳しくは本発明は繊
維質基材と高分子弾性体層からなる基体の表面に
該高分子弾性体と親和性の良好な重合体と特定の
処理剤を混合せしめた樹脂組成物を付与すること
を特徴とする柔軟にして表面性能の優れた皮革様
シートの製造法に関する。基体、特に繊維集合体と弾性重合体とからなる
皮革様シートは天然皮革の代替品として、靴、カ
バン、衣料、インテリア材料等に多く使用されて
いる。そして繊維原材料や用いる弾性重合体の種
類、量或いは弾性重合体層の密度等を適宜変更す
ることにより硬いシートから柔軟なシートまで
種々の製品が造られている。硬いシートの場合、
重合体コート層や仕上層を硬くしたり型押し条件
を強くすることによつて、耐傷性を上げることが
ある程度可能であつたが、柔軟なシートを造る場
合には選択される弾性重合体の種類及び密度は耐
傷性等の物理的性質が劣り、樹脂や密度の選択だ
けでは柔軟性と表面性能を兼ね備えることは困難
である。柔軟な皮革様シートを製造するのに従来行なわ
れている常套手段としては柔軟な多孔質基体を用
い、その表面層のみ密度を上げたり、或いはその
表面に硬い重合体を付与する方法がある。しかる
にこの方法によると耐傷性はある程度向上する
が、表面の折しぼが極端に悪くなるに加え、見た
目のソフト感が大きく損なわれたり、耐屈曲性の
低下をきたす。従つて、表面の折しぼ、見た目の
ソフト感、耐屈曲性及び耐傷性等がすぐれ柔軟性
に富んだ皮革様シートを得ることは関係者の大き
な課題であつた。本発明者らは皮革様シートの構造及び仕上方法
について広範囲に亘つて、研究を行なつた結果、
柔軟な繊維質基材と高分子弾性体層からなる基体
の表面に該高分子弾性体と親和性の良好な重合体
に特定の処理剤を混入せしめた重合体組成物を付
与することによつて希望の柔かさを有する皮革様
シートが得られることを見い出した。つまり、本発明の目的は柔軟にして耐傷性、耐
摩擦性、折しぼ、見た目のソフト感等の優れた皮
革様シートを提供することにある。そして、本発
明の他の目的は特定の処理剤を含んだ重合体層と
基体との親和性、すなわち接着性を増すことによ
つて、永続的な耐傷性の向上効果を得る方法を提
供することである。かかる本発明の目的は、基体上に高分子弾性体
層を形成させたあと、その上に該高分子弾性体と
親和性の良好な重合体と特定の処理剤とを含んだ
分散液或いは、溶液を塗布し、ついで乾燥するこ
とにより該処理剤を含む重合体からなる乾式表面
被覆層を形成させることによつて達成される。本発明における基体とは人工皮革の基体として
用いられる柔軟なシートで不織布、織布、織布な
どの繊維を主体とする繊維質シートが特に好んで
用いられ、所望によりバインダーとして重合体が
含浸凝固されているものである。また、多孔質弾
性重合体より得られた人工皮革用基体も使用でき
る。繊維質シートとして用いられる繊維として
は、通常の繊維が使用可能であり、木綿、麻、羊
毛、レーヨン、アセテート、ナイロン、ポリエス
テル、ポリアクリロニトリル、ビニロン、ポリオ
レフイン等の単独紡糸繊維はもちろんのこと、そ
れらの混合あるいは複合紡糸繊維等何でも使用で
きる。上記繊維質シートに所望により付与されるバイ
ンダーとしては、これも一般的に合成皮革等に使
用されるものなら何でも使用可能であり、例えば
天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、アク
リロニトリル−ブタジエン共重合体、メチルメタ
クリレート−ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニ
ル、ポリウレタンその他の合成ゴムあるいは、こ
れらの混合物などが使用される。これらのバイン
ダーは溶液、エマルジヨン等必要に応じた形態で
含浸法、コーテイング法、スプレー法等により付
与される。付着量は、通常繊維に対して150％以
下の範囲である。かくして得られた人工皮革用基体の少なくとも
一方の面に高分子弾性体層を形成させる。該高分
子弾性体層は、通常の皮革の銀面に相当する部分
で風合、折しぼ、物性等から好ましくは多孔質で
ある。高分子弾性体としては、ポリウレタンエラ
ストマー、アクリロニトリル−ブタジエン共重合
体等があるが、中でもポリウレタンエラストマー
が望ましい。該高分子弾性体には、必要に応じて
充填剤、柔軟剤、安定剤、帯電防止剤、顔料、染
料、発泡剤、凝固調節剤等の外、溶液状態で相溶
性の良好な重合体、例えばポリ塩化ビニル、ポリ
ビニルホルマール、ポリアクリル酸メチル、塩化
ビニリデン−アクリロニトリル共重合体等を混入
することができる。人工皮革用基体への高分子弾
性体溶液の付与方法はコーテイング法あるいはス
プレー法が好ましいが別に高分子弾性体層を作成
し貼り合わせによることも可能である。このようにして得られた高分子弾性体層の上に
本発明の特徴である特定の処理剤を含んだ重合体
層を付与する。本発明において使用される処理剤
は、該重合体の溶剤に均一に分散するか溶解する
こと、及び重合体との親和性がある程度良いこと
が必要条件である。これらの条件を満たし、且製
品の外観を損わずに耐傷性を大きく向上せしめる
処理剤として高級カルボン酸、高級アルコール、
高級カルボン酸エステルがある。該処理剤の使用
量は重合体に対して１重量％〜100重量％が適当
であり、さらに好ましい範囲は重合体に対して５
重量％〜50重量％である。その添加量が１重量％
以下では、耐傷性向上の効果がなく、逆に100重
量％以下になると、分散或いは溶液安定性が不良
になつたり、外観が損なわれるに加え、高分子弾
性体との接着性が悪くなるので、耐屈曲性の低下
をきたす。また添加量が多い場合には着色仕上さ
れた製品の色の鮮明さが失なわれたり、艶変化の
原因となる。高級カルボン酸としては、ラウリン酸、リグノ
セリン酸、ゲタ酸、エルシン酸、セロチン酸、マ
ーガリン酸、オキシマーガリン酸、パルミチン
酸、ヒポガエン酸、モンタン酸、メリシン酸、プ
シリン酸などアルキル基の炭素数が11以上の高級
カルボン酸があるが、このうち炭素数15〜30のも
のが溶液の安定性、耐傷性向上効果及びその永続
性、触感などから好ましい。高級アルコールとしては、ドデカノール、オク
タデカノール、セリルアルコール、ネオセリルア
ルコール、タルコニルアルコール、セロシン、ミ
リシルアルコール、メリシルアルコールなどアル
キル基の炭素数が12以上のものが用いられるが、
特に炭素数が25〜35の範囲のものが好ましい。高
級カルボン酸エステルは前記の高級カルボン酸と
高級アルコールから合成され、たとえばパルミチ
ン酸セチルエステル、ステアリン酸セチルエステ
ル、パルミチン酸ミリシルエステル、パルミチン
酸セリルエステル、セロチン酸セリルエステル、
メリシン酸ミリシルエステル、セロチン酸ミリシ
ルエステル、パルミチン酸−ｎ−オクタデシルエ
ステル、ヒポガエン酸ミリシルエステル等がある
が、前述の好ましいアルコール及びカルボン酸か
ら合成されるエステルが良い。以上の処理剤はそれぞれ単独で重合体と混合せ
しめて用いてもよいが二種以上を同時に混合して
使用することもできる。特に、脂肪族高級カルボ
ン酸エステルに脂肪族高級カルボン酸と脂肪族高
級アルコールが混入した処理剤を用いると、安定
性がよい分散液或いは溶液が得られやすく、耐傷
性が予想以上に向上する場合がある。これらの混
合使用時の相乗効果は添加剤中の各成分が少なく
とも３重量％、好ましくは５〜８重量％以上含有
せるとき有効である。前記の処理剤を主体に含有
するもの、例えば密ロウなども本発明に含まれ
る。本発明で使用する重合体は、高分子弾性体層と
の親和性がよいことが必要である。一般的に、皮
革用素材としてのポリウレタンエラストマーが好
んで用いられるので、本発明においても、重合体
としてポリウレタンエラストマーを用いることが
好まれる。本発明の効果を大ならしめるために
は、ジイソシアネート基に基づく窒素含有量（以
下Ｎ％と略す）が３重量％〜７重量％のものを用
いるのが望ましく中でも特にＮ％が５重量〜７重
量％程度の高いものが良く、さらに好適なものは
5.5重量％〜７重量％である。Ｎ％が３重量％以
下では皮革様シートの耐溶剤性、耐熱性、耐傷性
などが悪くなり、逆に７重量％以上になると、表
面が硬くなり過ぎて耐屈曲性、折しぼ等が悪くな
る。該重合体は塗布斑の防止、耐傷性向上効果を
永続的に保持する等の重要な役目を有する。処理
剤を前記の重合体と共に使用する方法としては、
着色層中に処理剤を混入する方法と、着色層の上
の着色剤を含有しないトツプ層に処理剤を混入す
る方法とがあるが、着色層に処理剤を混入せしめ
た場合には、調色が困難であつたり、色の鮮明さ
が損なわれる等の欠点が生じるので、トツプ層
に、処理剤を混入せしめるのが最良である。該ト
ツプ層の付与方法としては、通常の塗布方法が採
用されるが、中でもスプレー法やグラビアロール
によるプリテイング法を用いるのが最適である。
本発明の皮革様シート物の種々の仕上加工法、例
えばもみ、型押などを任意の段階で行ない得る
が、型押しはあらかじめ高分子弾性体層に実施
し、しかるのちに本発明のトツプ層を付与するこ
とがあらゆる点で好適である。以下に実施例をあげて本発明を詳述する。な
お、実施例中の％はすべて重量に基づく。実施例１ポリエチレンアジペートグリコール、ジフエニ
ルメタン−４・4′−ジイソシアネート及びエチレ
ングリコールより合成したポリウレタンエラスト
マー20％、茶色の顔料５％およびジメチルホルム
アミド75％からなる溶液をナイロン繊磯の不織布
に含浸し、この上に前記と同じ溶液を固形分とし
て80ｇ／m²になる様に塗布してから、50％のジメ
チルホルムアミドを含む50℃の水溶液に、30分間
浸漬して凝固したのち脱溶剤および乾燥を行なつ
て、多孔質の基体を製造した。次に、ポリエチレ
ングリコール、ジフエニルメタン−４・4′−ジイ
ソシアネートおよびエチレングリコールより合成
した窒素含有量6.5％のポリウレタンエラストマ
ー８％、Lany1Brown3R（住友化学工業株式会社
製）６％、ジメチルホルムアミド15％、テトラヒ
ドロフラン36％、シクロヘキサノン35％からなる
溶液を固形分として２ｇ／m²になる様に塗布し、
乾燥後、キツド模様の型押をして皮革様シート(A)
を得た。さらに該皮革様シート(A)の上に、前記の
着色層に使用したと同じ種類のポリウレタンエラ
ストマー８％、セリルアルコール１％、トルエン
32％、メタノール14％、テトラヒドロフラン30
％、ジメチルホルムアミド15％からなる溶液
（）と、前記の着色層に使用したと同じ種類の
ポリウレタンエラストマー８％、密ロウ（パルミ
チン酸ミリシルエステルを主体とし、パルミチン
酸、セリルアルコール、ヘプタコサンなどとの混
合物）１％、トルエン32％、メタノール14％、テ
トラヒドロフラン30％、ジメチルホルムアミド15
％からなる溶液（）をそれぞれ別々に固形分と
して、２ｇ／m²になる様にグラビア印刷法で塗布
して乾燥し、それぞれ皮革様シート(B)と(C)を得
た。これらは、表−１に示す如く皮革様シート(A)
に比べて表面が滑らかになり、耐傷性が良好であ
つた。

【表】

【表】実施例２ポリカプロラクトングリコール、ジフエニルメ
タン−４・4′−ジイソシアネート、１・４−ブタ
ンジオールより合成したポリウレタンエラストマ
ー12％、ポリ塩化ビニル２％、カーボンブラツク
３％、およびジメチルアセトアミド83％からなる
溶液を粗地生模様の型押をしたポリエチレンのシ
ート上に固形分として65ｇ／m²になるように塗布
したのち、30％のジメチルアセトアミドを含む30
℃の水溶液で30分間処理した。次いでこれをポリ
エチレンのシートから剥離し、脱溶剤及び乾燥を
行なつたのち、ナイロンの織布にラミネートして
多孔質の基体を得た。該多孔質基体の上にポリエ
チレンアジペートグリコール、ジフエニルメタン
−４・4′−ジイソシアネートおよびエチレングリ
コールより合成した窒素含有量4.0％のポリウレ
タンエラストマー10％、カーボンブラツク２％、
ジメチルホルムアミド20％、アセトン37％および
シクロヘキサノン31％からなる溶液を固形分とし
て３ｇ／m²になる様に塗布し、乾燥して皮革様シ
ート(D)を得た。該皮革様シート(D)で婦人靴をつく
り着用したところ２週間で可成り大きな傷が発生
して問題であつた。さらに皮革様シート(D)の上に
前記の着色層のポリウレタンエラストマーと同じ
成分からなり、窒素含有量が６％であるポリウレ
タンエラストマー６％、セリルアルコール0.9
％、ジメチルホルムアミド20％、メチルエチルケ
トン35.1％、トルエン38％の溶液を固形分として
0.8ｇ／m²になる様に塗布し、乾燥した。得られ
た皮革様シート(E)は表面のすべりがよく、これで
婦人靴をつくり着用したところ、３月間経過後も
傷があまりつかなかつたので商品価値が高かつ
た。

Claims

【特許請求の範囲】１基体上に高分子弾性体層を形成させたあと、
その上に該高分子弾性体と親和性の良好な重合体
と高級カルボン酸、高級アルコール、高級カルボ
ン酸エステルの群から選ばれた少なくとも１種の
処理剤とを含んだ分散液あるいは溶液を塗布・乾
燥することにより該処理剤を含む重合体からなる
乾式表面被覆層を形成させることを特徴とする耐
傷性の優れた皮革様シートの製造法。２処理剤として、アルキル基の炭素数11以上の
脂肪族カルボン酸と炭素数12以上の脂肪族アルコ
ールとからなる高級カルボン酸エステルを用いる
特許請求の範囲第１項記載の皮革様シートの製造
法。３処理剤としてアルキル基の炭素数11以上の脂
肪族カルボン酸、炭素数12以上の脂肪族アルコー
ル及びこれらを反応せしめて生じる高級カルボン
酸エステルを同時に混合して用いる特許請求の範
囲第１項記載の皮革様シートの製造法。４基体として、不織布に弾性重合体が含浸され
ているものを用いる特許請求の範囲第１項記載の
皮革様シートの製造法。５基体及び／又は高分子弾性体層に多孔質量合
体を用いる特許請求の範囲第１項又は第４項記載
の皮革様シートの製造法。６高分子弾性体と親和性の良好な重合体として
高分子弾性体層と同じ重合体を用いる特許請求の
範囲第１項記載の皮革様シートの製造法。７高分子弾性体及びこれと親和性の良好な重合
体として、ポリウレタンエラストマーが使用され
ている特許請求の範囲第４項または第６項記載の
皮革様シートの製造法。８高分子弾性体層として、着色及び／又は型押
仕上がなされている特許請求の範囲第１項記載の
皮革様シートの製造法。