JP2743554B2 - 車両のリヤアンダボデー構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野〕 本発明は車両のリヤフロアサイドメンバへ入力される
車両後方からの荷重をロツカパネルへ伝達するための車
両のリヤアンダボデー構造に関する。

〔従来技術〕

第４図には、実開昭60−51183号公報で開示された、
従来の車両のリヤアンダボデー構造が示されている。

ロツカ部60のロツカインナパネル62の車両内側面に
は、車両幅方向に配設されたフロア縦壁64の両端部がそ
れぞれ接合されている。このフロア縦壁64よりも車両後
方側には、車両前後方向に沿ってリヤフロアサイドメン
バ66が配設されている。リヤフロアサイドメンバ66の車
両内側縦壁部68は、その車両前方側が車両外方へ湾曲さ
れて、前端部がロツカインナパネル62へ接合されてい
る。この縦壁部68の前端部は、ロツカインナパネル62の
車両外側面に設けられたリインフオースメント70の後端
部と対向されている。

これにより、リヤフロアサイドメンバ66に入力される
車両後方からの荷重が、縦壁部68を介してリインフオー
スメント70へ円滑に伝達され、振動特性が向上する。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかしながら、前記リヤフロアサイドメンバ66の縦壁
部68は湾曲されているため、この湾曲部分の剛性が低
く、入力荷重が集中し易い。このため、入力荷重が確実
にリインフオースメント70へと伝達されず、その一部が
リヤフロサイドメンバ66の車両後方側を荷重集中部を中
心に車両内側へ回動変形させる力となり、好ましくな
い。このため、この回動変形を阻止するように補強部材
を設け、支持することが考えられるが、部品点数が増
え、組付工数及び車両重量の増加となり好ましくない。

本発明は上記事実を考慮し、組付工数及び車両重量を
増加させることなく、リヤフロアサイドメンバへ入力さ
れる車両後方からの荷重の集中を緩和することができ、
リヤフロアサイドメンバの変形を防止することができる
車両のリヤアンダボデーの構造を得ることが目的であ
る。

〔課題を解決するための手段〕

本発明に係る車両のリヤアンダボデー構造は、車両の
幅方向両端部に配設されたロツカパネルと、 このロツカパネルに対して車両内側にオフセツトされ
て配設されかつ車両内側縦壁部の車両前方端が車両外方
へ湾曲され前記ロツカパネルと結合されたリヤフロアサ
イドメンバと、 車両幅方向に沿って配設される中間部に対して両端部
近傍が車両後方側に屈曲されて前記リヤフロアサイドメ
ンバの縦壁部の湾曲開始点に結合され、車両前方へ向け
て凹形状とされたフロア縦壁と、 を有している。

〔作用〕

本発明によれば、リヤフロササイドメンバへ車両後方
からの荷重が入力されると、この荷重は縦壁部を介して
ロツカパネルへと伝達される。しかし、リヤフロササイ
ドメンバの縦壁部は湾曲されているため、荷重が湾曲点
に集中し全ての荷重をロツカパネルへ伝達することはで
きない。そこで、この湾曲開始点へフロア縦壁の両端部
を屈曲させて結合させ、ロツカパネルへ伝達しない荷重
をフロア縦壁へと伝達する。これにより、湾曲点に荷重
が集中するようなことはなく、リヤフロサイドメンバが
変形するような不具合はない。なお、フロア縦壁の下端
面に例えば、フロアアンダリインフオースメントが取付
けられている場合は、このフロアアンダリインフオース
メントの車両後端部と前記フロア縦壁の屈曲部とを直線
状に形成すれば、フロア縦壁へ伝達される荷重を円滑に
フロアアンダリインフオースメントへ伝達することがで
きる。

且つ、本発明によれば、フロア縦壁が車両前方へ向け
て凹形状となっているため、フロア縦壁の後方に配置さ
れる燃料タンク、駆動系のデフ等のための配置スペース
を確保することができる。

〔実施例〕

第１図乃至第３図には本実施例に係る車両のリヤアン
ダボデー部10の車両幅方向片側部分が示されている。車
両幅方向両端部にはロツカパネル12が車両前後方向に亘
り配設されている。ロツカパネル12は、ロツカアウタ14
とロツカインナ16とで構成されている。ロツカアウタ14
は、上方が階段状に屈曲され、さらに下方への延設部が
曲線状に屈曲されて縦断面が略Ｃ字型とされている。こ
の縦断面方向上下端には、互いに離反する方向へフラン
ジ18が屈曲形成され、全体として所謂ハツト型となって
いる。

一方、ロツカインナ16は縦断面が略コ字型に形成され
ている。この縦断面方向上下端には、互いに離反する方
向へフランジ20が屈曲形成され、前記ロツカアウタ14の
フランジ18とそれぞれ対向されている。このフランジ1
8、20がそれぞれ接合され、ロツカパネル12は閉断面構
造となる。また、ロツカインナ16の車両後方端は前記フ
ランジ20に連続されてフランジ22が形成され、ホイルハ
ウスインナ24との接合部とされている。

ロツカパネル12に対して車両内側へオフセツトされた
状態で、リヤフロアサイドメンバ26が車両前後方向に亘
り配設されている。このリヤフロアサイドメンバ26の車
両後方側は、縦断面が略コ字型とされている。この縦断
面方向の上下端には互いに離反する方向へ屈曲されたフ
ランジ28が形成されている。このフランジ28は、ホイル
ハウスインナ26の車両内側面へ接合されている。すなわ
ち、フランジ28は、車両前方へ延設されるに従い、ホイ
ルハウスインナ24の屈曲面に沿って屈曲され、その前端
部はロツカインナ16のフランジ20と重合されている。

また、リヤフロアサイドメンバ26の縦壁部30において
も、ホイルハウスインナ24よりも車両前方部分が車両外
方向に向けて湾曲され、ロツカインナ16の長手方向中間
部まで延設されている。この延設された前端部と前記フ
ランジ28の前端部とは、リヤフロアサイドメンバ26の上
面部32によって連続されている。この上面部32は縁部が
フランジ部34とされ、ロツカインナ16の上面と接合され
ている。

リヤフロアサイドメンバ26の下面部36は、車両前方側
へ延設された部分が下方向へ屈曲され、上面部32との間
隔寸法が拡大されている。これにより、リヤフロアサイ
ドメンバ26の車両前方端は、ロツカインナ16の上面と下
面との間の寸法と一致され、下面部34は、ロツカインナ
16の下面と接合されている。

リヤフロアサイドメンバ26の下面部36における、車両
上方に凸とされた部分で、かつ前記縦壁部30の湾曲開始
点近傍には、ストラツドバー（図示省略）を支持するス
トラツドバーブラケツト38が取付けられている。このス
トラツドバーブラケツト38は、板材を略コ字型に屈曲し
て形成されており、屈曲方向両端部には互いに離反する
方向屈曲されたフランジ40が形成されている。このフラ
ンジ40が前記リヤフロアサイドメンバ26の下面部36と接
合され、リヤストラツドバーブラケツト38は固定されて
いる。ストラツドバーブラケツト38には、互いに対応す
る脚板42面にストラツドバー取付用の円孔44が形成さ
れ、この円孔44からタイヤホイルに加わる荷重が入力さ
れることになる。

車両幅方向両端に設けられたロツカパネル12間には、
センタフロアパン46が掛け渡されている。センタフロア
パン46は、車両のフロア面を構成している。センタフロ
アパン46の車両後方端は、上方向へ略直角に屈曲され、
縦壁48を構成している。センタフロアパン46の下面に
は、一対のフロアアンダリインフオースメント50が取付
けられている（第１図乃至第３図では一方を図示）。こ
のフロアアンダリインフオースメント50は、互いに車両
後方側が拡がるように略ハ字型となっている。このフロ
アアンダリインフオースメント50の車両後方側延長方向
は、前記リヤフロアサイドメンバ26の湾曲開始点とされ
ている。

センタフロアパン46の縦壁48は、車両幅方向両端部が
車両後方へ屈曲されている。この屈曲方向は、前記フロ
アアンダリインフオースメント50の延長方向と一致さ
れ、このため、縦壁48は、前記リヤフロアサイドメンバ
26の湾曲開始点へ接合されている。従って、第１図に示
される如く、センタフロアパン46の縦壁48が車両前方へ
向けて凹形状となっている。また、縦壁48の上端には水
平に屈曲されたフランジ52が形成され、リヤフロアパン
54が載置されて接合されている。

以下に本実施例の作用を説明する。

車両後方から荷重が加わると、この荷重はまずリヤフ
ロアサイドメンバ26へと入力される。入力された荷重
は、リヤフロアサイドメンバ26に沿って車両前方へと伝
えられ、湾曲された縦壁部30により、ロツカインナ16へ
と伝達される。ここで、リヤフロアサイドメンバ26が湾
曲されているため、荷重は全てロツカインナ16へとは伝
達されず、その一部が湾曲開始点へ集中し、の集中され
た部分を中心にリヤフロアサイドメンバ26の車両後方側
を内側へ回動変形させる力が働く。しかし、本実施例で
はこの湾曲開始点へセンタフロアパン46の縦壁48を接合
させたので、前記湾曲開始点に荷重は集中せず、この縦
壁48へ伝達される。すなわち、リヤフロアサイドメンバ
26へ入力された荷重はロツカインナ16及びセンタフロア
パン46の縦壁48へ分散されて伝達される。

縦壁48は、センタフロアパン46の下面へ取付けられた
フロアアンダリインフオースメント50の延長方向と一致
されているので、前記縦壁48へ入力された荷重は、円滑
にこのフロアアンダリインフオースメント50へと伝達さ
れる。従って、振動特性や接合強度等が向上する。

一方、ストラツドバーブラケツト38には、ストラツド
バーを介してタイヤホイルからの荷重が入力される。し
かし、このストラツドバーブラケツト38においても、前
記リヤフロアサイドメンバ26の縦壁48の湾曲開始点とほ
ぼ一致されているので、前記荷重と同様に湾曲開始点で
ロツカインナ16とセンタフロアパン46の縦壁48とに分散
されて伝達することができ、操縦安定性が向上する。

本実施例においては、センタフロアパン46の縦壁48を
車両後方へ屈曲し、リヤフロアサイドメンバ26の縦壁部
30における湾曲開始点へ接合したので、リヤフロアサイ
ドメンバ26へ車両後方からの荷重が入力されても、リヤ
フロアサイドメンバ26変形させるような荷重の集中が緩
和され、リヤフロアサイドメンバ26の強度を高めること
ができる。また、他の部材を用いず、既存のセンタフロ
アパン46の縦壁48の形状を変更したのみであるので、組
付工数が増えることがなく、車両重量を増加させること
がない。

さらに、本実施例においては、センタフロアパン46の
縦壁48が車両前方へ向けて凹形状になっているため、縦
壁48の後方に配置される燃料タンク、駆動系のデフ等の
ための配置スペースを確保することができる。

〔発明の効果〕

以上説明した如く本発明に係る車両のリヤアンダボデ
ー構造は、組付工数及び車両重量を増加させることな
く、リヤフロアサイドメンバへ入力される車両後方から
の荷重の集中を緩和することができ、リヤフロアサイド
メンバの変形を防止することができると共に、フロア縦
壁の後方に配置される燃料タンク、駆動系のデフ等のた
めの配置スペースを確保することができるという優れた
効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本実施例に係るリヤアンダボデー構造を示す斜
視図、第２図は第１図の分解斜視図、第３図は本実施例
に係るリヤアンダボデー構造の平面概略図、第４図は従
来のリヤアンダボデー構造を示す平面概略図である。 10……リヤアンダボデー部、 12……ロツカパネル、 26……リヤフロアサイドメンバ、 30……縦壁部、 46……センタフロアパン、 48……縦壁。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】車両の幅方向両端部に配設されたロツカパ
   ネルと、 このロツカパネルに対して車両内側にオフセツトされて
   配設されかつ車両内側縦壁部の車両前方端が車両外方へ
   湾曲され前記ロツカパネルと結合されたリヤフロアサイ
   ドメンバと、 車両幅方向に沿って配設される中間部に対して両端部近
   傍が車両後方側に屈曲されて前記リヤフロアサイドメン
   バの縦壁部の湾曲開始点に結合され、車両前方へ向けて
   凹形状とされたフロア縦壁と、 を有する車両のリヤアンダボデー構造。