JP2694939B2 - ブレーキスリップ制御装置のブレーキ圧力変動を制御する為の方法及びこの方法を実施する為の装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の属する技術分野］ この発明は、車両のブレーキシステムと組み合わされ
て使用され、ブレーキ操作中に車輪がスリップし上記車
輪の回転速度が車両の移動速度より低下して理論的に可
能な最大減速をした時（即ち、車輪が適度にスリップし
た時）の車輪回転速度参照値よりも低い所定の車輪回転
速度基準切り換え閾値に到達した時（即ち、理論的に可
能な最大減速をした時の車輪の適度なスリップ率よりも
大きな所定のスリップ率に実際のスリップ率が到達した
時）または上記車輪の減速度が所定の減速度基準切り換
え閾値に到達した時に、ブレーキ圧力を低下させて上記
車輪の減速度を小さくさせることにより車輪をロック状
態から回復させるブレーキスリップ制御装置においてブ
レーキ圧力変動を制御する為の方法及びこの方法を実施
する為の装置に関係している。 ［従来の技術］ 上述した如きブレーキスリップ制御装置は、緊急停止
の如き急激なブレーキ動作時において車輪のロック現象
を防ぐ好ましいスリップ率の範囲内で車輪を回転させ続
けることにより、急激なブレーキ動作時に車輪のロック
現象が発生することを防止して車両の安定を保つととも
に停止の為に必要な距離を出来る限り短くする為に使用
される。 しかしながら、例えば凍結した路上や水膜が形成され
ている路上の如き悪条件下でのブレーキ操作中では、ブ
レーキスリップ制御装置がブレーキ圧力を低下させるの
が遅れるとその車輪がたちまちロックされて車両は操縦
不能に陥る。またブレーキスリップ制御装置がブレーキ
圧力を余りにも早く低下させるとブレーキ動作が有効と
なる時間が短くなり車両の停止距離が余りにも長くな
る。これを補正する為にブレーキスリップ制御装置がブ
レーキ圧力を早く回復させると、この為に生じるブレー
キ圧力の急激で大きな変動が車両の運転の安定性を損な
ったり車両に不快で大きな振動を生じさせる。 ［発明が解決しようとする課題］ この発明は上記事情の下でなされ、この発明の目的
は、例えば凍結した路上や水膜が形成されている路上の
如き悪条件下でのブレーキ動作中において、車輪がロッ
クされて車両が操縦不能に陥いることの防止と車両の停
止距離の延長防止の為にブレーキ圧力の減少と回復とを
急激に早く行っても、この為に車両の運転の安定性が損
なわれたり車両の運転手や乗客に不快感を生じさせるよ
うな大きな振動を生じさせる程に大きなブレーキ圧力の
急激な変動を生じさせることがない、ブレーキスリップ
制御装置においてブレーキ圧力変動を制御する為の方法
及びこの方法を実施する為の装置を提供することであ
る。 ［課題を解決するための手段］ 上述した如きこの発明の目的を達成する為に、ブレー
キスリップ制御装置においてブレーキ圧力変動を制御す
る為のこの発明に従った方法は：車両のブレーキシステ
ムと組み合わされて使用され、ブレーキ操作中に車輪が
スリップし上記車輪の回転速度が車両の移動速度より低
下して理論的に可能な最大減速をした時の車輪回転速度
参照値よりも低い所定の回転速度基準切り換え閾値に到
達した時または上記車輪の減速度が所定の減速度基準切
り換え閾値に到着した時にブレーキ圧力を低下させて上
記車輪の減速度を小さくさせることにより上記車輪をロ
ック状態から回復させる、ブレーキスリップ制御装置に
おいてブレーキ圧力変動を制御する為の方法であり：ブ
レーキ操作の開始から車輪の回転速度が上記所定の回転
速度基準切り換え閾値に最初に到達した時点または上記
車輪の減速度が所定の減速度基準切り換え閾値に最初に
到達した時点で最初の圧力減少信号を発してブレーキ圧
力を低下させ；最初の圧力減少信号の存続期間を上記時
点における車輪の減速度に応じて決定し；最初の圧力減
少信号の存続期間の終了時点で、検知無駄時間，測定時
間，制御要素応答時間，液圧ユニット及び車両における
時定数を含むブレーキシステム全体の無駄時間と等しい
かそれよりも長い所定の待ち合わせ期間を設定し；所定
の待ち合わせ期間が終了した時点で次の圧力減少信号を
発してブレーキ圧力を低下させ；次の圧力減少信号の存
続期間を最初の圧力減少信号の存続期間の終了時点にお
ける車輪の回転速度と所定の待ち合わせ期間の終了時点
における車輪の回転速度との差に応じて決定する；こと
を特徴としている。 さらに、ブレーキスリップ制御装置においてブレーキ
圧力変動を制御する為の上述した方法を実施する為のこ
の発明に従った装置は：車両のブレーキシステムと組み
合わされて使用され、ブレーキ操作中に車輪がスリップ
し上記車輪の回転速度が車両の移動速度より低下して理
論的に可能な最大減速をした時の車輪回転速度参照値よ
りも低い所定の回転速度基準切り換え閾値に到達した時
または上記車輪の減速度が所定の減速度基準切り換え閾
値に到達した時に上記ブレーキシステムのブレーキ圧力
液体入口弁を閉じブレーキ圧力流体出口弁を開きブレー
キ圧力を低下させて上記車輪の減速度を小さくさせるこ
とにより上記車輪をロック状態から回復させる、ブレー
キスリップ制御装置においてブレーキ圧力変動を制御す
る為の方法を実施する為の装置であり：車輪の回転速度
を測定する検知器と；検知器により測定された車輪の回
転速度から加速度または減速度を形成する微分器と；検
知器から車輪の回転速度が入力されるとともに微分器か
ら加速度または減速度が入力され、ブレーキ操作中に検
知器からの車輪の回転速度を車輪が理論的に可能な最大
減速をした時の車輪回転速度参照値よりも低い所定の車
輪の回転速度である回転速度基準切り換え閾値と比較す
るとともに上記車輪の減速度を所定の減速度基準切り換
え閾値と比較する比較器と；比較器からの車輪の回転速
度と回転速度基準切り換え閾値との比較の結果及び上記
車輪の減速度と所定の減速度基準切り換え閾値との比較
結果が入力される制御ブロックと；検知器及び制御ブロ
ックに接続された記憶装置と；検知器及び記憶装置に接
続された減算器と；制御ブロックにより制御されて微分
器または減算器と選択的に接続されるとともに、微分器
に接続された時には上記ブレーキシステムに固有の一方
の比例要素に接続され、減算器に接続された時には上記
ブレーキシステムに固有の他方の比例要素に接続される
切り替えスイッチと：切り替えスイッチに接続された掛
算器と；制御ブロック及び掛算器に接続された第１の時
計発生器と；第１の時計発生器及び制御ブロックに接続
された第２の時計発生器と；第１の時計発生器に接続さ
れており、上記ブレーキシステムのブレーキ圧力流体出
口弁の開閉を制御する制御要素と；を備えていることを
特徴としている。 そして、このように構成されたことを特徴とするこの
発明に従った装置において制御ブロックは、ブレーキ操
作の開始によって上記ブレーキシステムのブレーキ圧力
が高まり車輪がスリップして上記車輪の回転速度が低下
し回転速度基準切り換え閾値に到達した時または上記車
輪の減速度が所定の減速度基準切り換え閾値に到達した
時に、切り替えスイッチに微分器からのその瞬間の減速
度と上記一方の比例要素とを掛算器に送らせて上記その
瞬間の減速度と上記一方の比例要素とを掛け合わさせ、
この掛け算の結果を掛算器から第１の時計発生器に送ら
せ、さらに第１の時計発生器に上記掛け算の結果に基づ
いた長さだけ制御要素に対し出力信号を送らせ、この出
力信号に対応した期間だけ制御要素に上記ブレーキシス
テムのブレーキ圧力流体出口分を開放させて上記ブレー
キシステムのブレーキ圧力を低下させる。 第２の時計発生器は、第１の時計発生器から制御要素
への出力信号が終了すると検知無駄時間，測定時間，制
御要素応答時間，液圧ユニット及び車両における時定数
を含むブレーキシステム全体の無駄時間と等しいかそれ
よりも長く定数により示される一定の時間間隔の長さだ
け制御ブロックに出力信号を送る。 制御ブロックはさらに、第２の時計発生器からの出力
信号を受け取った時に記憶装置に検知器からのその瞬間
の車輪の回転速度を記憶させる。 制御ブロックはまたさらに、第２の時計発生器から制
御ブロックへの出力信号の送りが停止した時に、記憶装
置に既に記憶されている上記車輪の回転速度を減算器に
供給させて、制御ブロックへの第２の時計発生器からの
出力信号の送りが停止した時の瞬間に減算器に供給され
ている車輪の回転速度を上記既に記憶されている車輪の
回転速度から減算させ、さらに切り替えスイッチに減算
器からのこれら２つの車輪の回転速度との差と上記他方
の比例要素とを掛算器に送らせて上記差と上記他方の比
例要素とを掛け合わさせ、またさらに掛算器に上記掛け
算の結果を第１の時計発生器に送らせ、第１の時計発生
器から上記掛け算の結果に基づいた長さだけ制御要素に
対し再度出力信号を送らせ、制御要素に上記ブレーキシ
ステムのブレーキ圧力流体出口弁を再度開放させて上記
ブレーキシステムのブレーキ圧力を低下させる。 ［作用］ ブレーキスリップ制御装置においてブレーキ圧力変動
を制御する為に以上詳述した如く動作するこの発明に従
った方法では、ブレーキ操作が開始され、ブレーキ操作
中にブレーキ圧力が高まり車輪がスリップすることによ
り車輪の回転速度が上記所定の回転速度基準切り換え閾
値に最初に到達した時点または上記車輪の減速度が所定
の減速度基準切り換え閾値に最初に到達した時点で最初
の圧力減少信号が発せられてブレーキ圧力が低下される
が、最初の圧力減少信号の存続期間を上記時点における
車輪の減速度に応じて決定している。 このように、ブレーキスリップ制御の為の最初の圧力
減少信号の存続期間をブレーキスリップ制御の開始の時
点における車輪の減速度に応じて決定しているので、車
輪の減速度に応じた適切なブレーキ圧低下時間を設定す
ることが出来る。 ここで車輪の減速度に応じた適切なブレーキ圧低下時
間とは、上記車輪に車両の操縦を不能にする程のロック
を生じさせず、しかも車両の停止距離をいたずらに延長
させることがない程度に、実際の減速度を小さく出来る
のに必要充分なブレーキ圧低下時間である。 この為に実際の車輪の減速度に比べて余りにも短いブ
レーキ圧低下時間が設定されて上記車輪に車両の操縦を
不能にする程のロックを生じさせてしまったり、実際の
車輪の減速度に比べて不必要に長いブレーキ圧低下時間
が設定されて車両の停止距離をいたずらに延長させるこ
ともない。 この発明に従った上記方法を実施する為のこの発明に
従った装置では、ブレーキスリップ制御の為の最初の圧
力減少信号の存続期間をブレーキスリップ制御の開始の
時点における車輪の減速度に応じて決定する為に、検知
器により測定された車輪の回転速度から微分器により加
速度または減速度を形成させ、比較器において検知器か
らの車輪の回転速度をブレーキ操作の開始によって車輪
が理論的に可能な最大減速をした時の車輪回転速度参照
値よりも低い所定の車輪の回転速度である回転速度基準
切り換え閾値と比較するとともに上記車輪の減速度を所
定の減速度基準切り換え閾値と比較している。 そして、ブレーキ操作の開始によって上記ブレーキシ
ステムのブレーキ圧力が高まり車輪がスリップして上記
車輪の回転速度が低下し回転速度基準切り換え閾値に到
達した時または上記車輪の減速度が所定の減速度基準切
り換え閾値に到達した時に、制御ブロックが、切り替え
スイッチに微分器からその瞬間の減速度とこの発明の装
置が組み合わされる車両のブレーキシステムに固有の一
方の比例要素とを掛算器に送らせて上記その瞬間の減速
度と上記一方の比例要素とを掛け合わさせ、この掛け算
の結果を掛算器から第１の時計発生器に送らせ、さらに
第１の時計発生器に上記掛け算の結果に基づいた長さだ
け制御要素に対し出力信号を送らせ、この出力信号に対
応した期間だけ制御要素に上記ブレーキシステムのブレ
ーキ圧力流体出口弁を開放させて上記ブレーキシステム
のブレーキ圧力を低下させている。 さらにこの発明に従った方法では、最初の圧力減少信
号の存続期間の終了時点で、検知無駄時間，測定時間，
制御要素応答時間，液圧ユニット及び車両における時定
数を含むブレーキシステム全体の無駄時間と等しいかそ
れよりも長い所定の待ち合わせ期間が設定される。 このように待ち合わせ期間を設定することにより、ブ
レーキスリップ制御の為の最初の圧力減少信号の存続期
間が終了した後に測定する上記車輪の実際の加速度の測
定結果から、最初の圧力減少信号の存続期間の終了によ
り上記車輪の実際の加速度にもたらせられる反動の影響
を排除することが出来る。 なお所定の待ち合わせ期間は、後に次の圧力減少信号
が必要な場合でも、車両の停止距離をいたずらに延長さ
せることがないように設定する必要があることはいうま
でもない。少なくとも、最初の圧力減少信号によるブレ
ーキ圧力の低下から生じた上記車輪の回転速度の減速度
が０になる以前に所定の待ち合わせ期間が設定される。 この発明に従った装置では、上述した如き待ち合わせ
期間の設定は、第１の時計発生器から制御要素への最初
の圧力減少信号の存続期間の設定の為の出力信号が終了
した時に、第１の時計発生器からの上記出力信号を制御
要素ととも受け取っていた第２の時計発生器が、検知無
駄時間，測定時間，制御要素応答時間，液圧ユニット及
び車両における時定数を含むブレーキシステム全体の無
駄時間と等しいかそれよりも長く定数により示される一
定の時間間隔の長さだけ制御ブロックに出力信号を送る
ことにより達成される。 次にこの発明に従った方法では、所定の待ち合わせ期
間が終了した時点で次の圧力減少信号を発してブレーキ
圧力を低下させるが、次の圧力減少信号の存続期間を最
初の圧力減少信号の存続期間の終了時点における車輪の
回転速度と所定の待ち合わせ期間の終了時点における車
輪の回転速度との差に応じて決定する。 ここで次の圧力減少信号の存続期間を、最初の圧力減
少信号の存続期間の終了時点における車輪の回転速度と
所定の待ち合わせ期間の終了時点における車輪の回転速
度との差に応じて決定するのは、以下の理由による。 上記最初の圧力減少信号の終了時点における車輪の回
転速度には最初の圧力減少信号の存続期間の終了により
もたらせられる反動の影響が現れていて、上記最初の圧
力減少信号の終了後に設定された所定の待ち合わせ期間
が終了した時点における車輪の回転速度は小さく車輪の
回転速度が小さくなればなるほどその検出値に含まれる
上記ブレーキシステム全体の誤差の影響の割合が大きく
なる。 従って、上記反動の影響及び上記ブレーキシステム全
体の誤差の影響の夫々を平均化して、次の圧力減少信号
の存続期間の決定に与えるこれらの影響の割合を平均化
している。 このようにして決定される次の圧力減少信号の存続期
間によれば、上記反動の影響及び上記ブレーキシステム
全体の誤差の影響の夫々に偏らず、これらの影響から比
較的中立な次のブレーキ圧力減少を生じさせることが出
来る。 このことにより上記最初の圧力減少信号により生じた
車輪の減速度の低下により不必要に高いブレーキ圧力変
動を生じさせず、しかも不必要に長いブレーキ圧力減少
期間を設定させて車両の停止距離をいたずらに延長させ
ることもない。 上記最初の圧力減少信号により不必要に高いブレーキ
圧力変動を生じることが防止されることにより、ブレー
キスリップ制御中に車両自体や車両のハンドルに伝達さ
れて運転手や乗客に不快感を生じさせるような大きなキ
ックバック（即ち、振動）の発生が防止され、ブレーキ
スリップ制御中におけるハンドル操作を容易とし車両の
運転の安定性が損なわれることがない。また、不必要に
高いブレーキ圧力変動が防止されることにより車両のブ
レーキシステムや車輪懸架装置の信頼性や耐用年数に良
い影響を与える。 この発明に従った装置では、上述した如く次の圧力減
少信号の存続期間を決定する為に、制御ブロックはさら
に、第２の時計発生器からの出力信号を受け取った時に
記憶装置に検知器からのその瞬間の車輪の回転速度を記
憶させ、またさらに、第２の時計発生器から制御ブロッ
クへの出力信号の送りが停止した時に、記憶装置に既に
記憶されている上記車輪の回転速度を減算器に供給させ
て、制御ブロックへの第２の時計発生器からの出力信号
の送りが停止した時の瞬間に減算器に供給されている車
輪の回転速度を上記既に記憶されている車輪の回転速度
から減算させ、さらに切り替えスイッチを減算器からの
これら２つの車輪の回転速度の差と上記他方の比例要素
とを掛算器に送らせて上記差と上記他方の比例要素とを
掛け合わさせ、またさらに掛算器に上記掛け算の結果を
第１の時計発生器に送らせ、第１の時計発生器から上記
掛け算の結果に基づいた長さだけ制御要素に対し再度出
力信号を送らせ、制御要素に上記ブレーキシステムのブ
レーキ圧力流体出口弁を再度開放させて上記ブレーキシ
ステムのブレーキ圧力を低下させる。 以下、ブレーキスリップ制御装置においてブレーキ圧
力変動を制御する為のこの発明の方法及びこの方法を実
施する為のこの発明の装置の１つの実施の形態を添付の
図面を参照しながら詳細に説明する。 ［発明の実施の形態］ 第1a図乃至第1e図は上記１つの実施の形態の方法が適
用されたブレーキスリップ制御装置のブレーキスリップ
制御の初期の段階における１つの車輪に関する種々のデ
ータを示している。 より詳細には： 第1a図は、ブレーキスリップ制御の初期の段階におけ
る時間ｔの経過に伴う、ブレーキスリップ制御された車
輪の車輪測定回転速度V_Rの変化や車両速度参照値V_Refの
変化や所定の車輪回転速度参照値V_RRefの変化やブレー
キスリップ制御開始の指標となる所定の車輪回転速度基
準切り換え閾値V_schの変化を示しており； 第1b図は、第1a図と同じ時間ｔの経過に伴う、ブレー
キスリップ制御された車輪の加速度ｂまたは減速度−ｂ
の変化を示しており； 第1c図は、第1a図と同じ時間ｔの経過に伴う、上記ブ
レーキスリップ制御装置が適用された車両のブレーキシ
ステムの電磁操作されるブレーキ圧力流体出口弁AVの開
閉タイミングチャートを示しており； 第1d図は、上記ブレーキスリップ制御装置が適用され
た車両のブレーキシステムの電磁操作されるブレーキ圧
力流体入り口弁EVの開閉タイミングチャートを示してお
り；そして、 第1e図は、第1a図と同じ時間ｔの経過に伴う、上記ブ
レーキシステムのブレーキ圧力Ｐの変化を示している。 第1a図における車輪測定回転速度V_Rはブレーキスリッ
プ制御される車輪の回転速度を後述する公知の測定手段
により実際に測定した値である。車両速度参照値V_Refは
種々の方法により推測することが出来る車両速度であっ
て、通常は車両の複数の車輪において測定した複数の回
転速度から公知の適切な組み合わせに従って推測される
が、必要であるならば補外（extra polation）法によっ
ても推測出来るし、レーダあるいはそれと同様なものを
使用して直接測定することも出来る。 所定の車輪回転速度参照値V_RRefは、回転速度が測定
されている車輪がブレーキ操作の結果としてスリップを
生じて上記車輪の回転速度が車両速度参照値V_Refよりも
遅れ始めた時点t₀から理論的に可能な最大の減速である
−1gを行ったと仮定した場合の車輪の回転速度の値であ
る。さらに所定の車輪回転速度基準切り換え閾値V
_schは、所定の車輪回転速度参照値V_RRefよりもΔＶだけ
低い車輪の回転速度の値であり所定の車輪回転速度参照
値V_RRefに対して平行に延出しており、ブレーキ操作の
結果としてスリップを生じた回転速度が測定されている
車輪に対してブレーキスリップ制御を開始させる基礎と
する値である。 上記１つの実施の形態の方法が適用されたブレーキス
リップ制御装置においては、第1a図に示す如くブレーキ
操作の結果として回転速度が測定されている車輪がスリ
ップを生じ、上記車輪の車輪測定回転速度V_Rが車両速度
参照値V_Refよりも遅れ始めた時点t₀から所定の車輪回転
速度基準切り換え閾値V_schにまで低下した時点t₁または
上記車輪の減速度−ｂが所定の減速度切り換え閾値−b₁
にまで到達した時点t₁で、車両のブレーキシステムの公
知の構成の電磁的に操作されるブレーキ圧力流体入口弁
EVに弁閉じ信号を供給して第1d図に示す如く閉鎖させる
とともに最初のブレーキ圧力減少信号１を発して上記ブ
レーキシステムの公知の構成の電磁的に操作されるブレ
ーキ圧力流体出口弁AVを第1c図に示す如く開放させ、ブ
レーキ圧力流体が図示しない圧力補償溜りへと流出する
ことを許容する。この結果として上記ブレーキシステム
のブレーキ圧力は、第1d図に示す如く弁閉じ信号が供給
されていてブレーキ圧力流体入口弁EVが閉鎖されている
間に第1e図に示す如く最初のブレーキ圧力減少信号１が
継続しブレーキ圧力流体出口弁AVを開放させている時に
低下する。 即ち、ブレーキ圧力流体出口弁AVは第1c図に示す如く
圧力減少信号１が供給されている間のみ開放される常閉
型であり、またこれとは逆にブレーキ圧力流体入口弁EV
は第1d図に示す如く弁閉じ信号が供給されている間のみ
閉鎖される常閉型である。 なおここにおいてブレーキ圧力流体入口弁EVの閉鎖の
為の弁閉じ信号は、上記車輪の車輪測定回転速度V_Rがブ
レーキスリップ制御が開始される所定の車輪回転速度基
準切り換え閾値V_schにまで低下した時点t₁または上記車
輪の減速度−ｂが所定の減速度切り換え閾値−b₁にまで
到達した時点t₁から上記車輪の車輪測定回転速度V_Rがブ
レーキスリップ制御が行なわれた結果として所定の車輪
回転速度基準切り換え閾値V_schにまで再度上昇した時点
t₅まで継続して供給される。 またブレーキ圧力流体出口弁AVの開放の為の圧力減少
信号１の存続期間Δt₁は、上記車輪の車輪測定回転速度
V_Rが所定の車輪回転速度基準切り換え閾値V_schまで低下
した時点t₁の減速度−b₁または上記車輪においてブレー
キ圧力流体入口弁EVを閉鎖するとともにブレーキ圧力流
体出口弁AVを開放する時点t₁の基準となるよう予め設定
されている上記車輪の所定の減速度切り換え閾値−b
₁（第1b図参照）に応じて決定される。 第1c図に示す如く時点t₁からt₂まで最初のブレーキ圧
力減少信号１が存続している間に第1e図に示す如くブレ
ーキ圧力が低下する結果として、第1b図に示す如く上記
車輪の減速度−ｂは小さくなり（第1b図の時点t₂におけ
る減速度参照）スリップの程度を減少させる。 最初の圧力減少信号１の供給が停止されるとブレーキ
圧力流体出口弁AVは再び閉鎖され、ブレーキ圧力は略一
定に保たれる。 最初の圧力減少信号１の供給が停止されると、即ち最
初の圧力減少信号１の存続期間Δt₁が終了した時点t
₂で、所定の待ち合わせ期間Ｔが設定される。この所定
の待ち合わせ期間Ｔは、検知無駄時間，測定時間，制御
要素応答時間，液圧ユニット及び車両における時定数を
含むブレーキシステム全体の無駄時間と等しいかより大
きく決められている。しかしながら所定の待ち合わせ期
間Ｔは、最初の圧力減少信号１によって小さくされた減
速度−ｂによりブレーキの効きが緩くなりブレーキ停止
距離が不必要に長くなることを防止する程度には短く設
定されていることはいうまでもない。 所定の待ち合わせ期間Ｔが終了すると、最初のブレー
キ圧力減少信号１の存続期間Δt₁が終了した時点t₂（即
ち所定の待ち合わせ期間Ｔが開始された時点t₂）におけ
る上記車輪の車輪測定回転速度V_Rと所定の待ち合わせ期
間Ｔが終了した時点t₃における上記車輪の車輪測定回転
速度V_Rとの差ΔV₁に応じて次の圧力減少信号２の存続期
間Δt₂が決定される。 所定の待ち合わせ期間Ｔが終了した時点t₃における上
記車輪の車輪測定回転速度V_Rが最初の圧力減少信号１に
よるブレーキスリップ制御の効果を最も良く表している
ので、上記の時点t₃における上記車輪の車輪測定回転速
度V_Rに基づいてもし必要であるならば次のブレーキ圧力
減少信号２を発生させることが好ましいが、時点t3にお
ける上記車輪の車輪測定回転速度V_Rは最初の圧力減少信
号１が発せられた所定の車輪回転速度基準切り換え閾値
V_schに比べると遥かに低くなっているので上記車輪の車
輪測定回転速度V_Rを測定する際に必然的に付きまとう誤
差の影響が大きくなっている。この為にこの実施の形態
では、次のブレーキ圧力減少信号２の存続期間Δt₂は上
述した如く、最初のブレーキ圧力減少信号１の存続期間
Δt₁が終了した時点t₂（即ち所定の待ち合わせ期間Ｔが
開始された時点t₂）における上記車輪の車輪測定回転速
度V_Rと所定の待ち合わせ期間Ｔが終了した時点t₃におけ
る上記車輪の車輪測定回転速度V_Rとの差ΔV₁に応じて決
定される。 第２図には、上述したこの発明の方法の１つの実施の
形態を実施する為のこの発明の装置の１つの実施の形態
の構成が概略的に示されている。 この発明の装置の１つの実施の形態では、車輪の回転
速度を測定する公知の測定手段である検知器３が、微分
器4,比較器5,記憶装置7,そして減算器13に接続されてい
る。また比較器５には微分器４も接続されていて、比較
器５は制御ブロック６に接続されている。微分器４はさ
らに切り替えスイッチ12を介して掛算器８に接続されて
おり、掛算器８にはまた記憶装置７が掛算器13及び切り
替えスイッチ12を介して接続されている。掛算器８は第
１の時計発生器９を介して常閉型のブレーキ圧力流体出
口弁AVの為の制御要素10に接続されている。第１の時計
発生器９は第２の時計発生器11に接続されていて、第２
の時計発生器11は制御ブロック６に接続されている。制
御ブロック６は、記憶装置7,切り替えスイッチ12,及び
第１の時計発生器９の夫々に接続されている。 このように構成されたこの発明の装置の１つの実施の
形態では、検知器３は車輪の回転速度を測定する。微分
器４は検知器３により測定された車輪測定回転速度V_Rか
ら加速度ｂまたは減速度−ｂを形成する。 比較器５は、検知器３から入力された車輪測定回転速
度V_Rを車輪が理論的に可能な最大減速−1gをした時の車
輪回転速度参照値V_RRefよりも低い所定の車輪の回転速
度である車輪回転速度基準切り換え閾値V_schと比較する
とともに、微分器４から入力された加速度ｂまたは減速
度−ｂを所定の減速度基準切り換え閾値−b₁と比較す
る。 制御ブロック６には、比較器５からの車輪測定回転速
度V_Rと車輪回転速度基準切り換え閾値V_schとの比較の結
果及び上記車輪の減速度−ｂと所定の減速度基準切り換
え閾値−b₁との比較の結果が入力される。 制御ブロック６は、車輪測定回転速度V_Rが低下して車
輪回転速度基準切り換え閾値V_schに到達した時または上
記車輪の減速度−ｂが所定の減速度基準切り換え閾値−
b₁に到達した時に、切り替えスイッチ12に微分器４から
のその瞬間の減速度−b₁と上記ブレーキシステムに固有
の一方の比例要素K₁とを掛算器８に送らせて掛算器８に
上記その瞬間の減速度−b₁と上記一方の比例要素K₁とを
掛け合わさせる。 この掛け算の結果が入力された第１の時計発生器９は
上記掛け算の結果に基づいた長さΔt₁だけ制御要素10に
対し出力信号（即ち、最初のブレーキ圧力減少信号１）
を送り、この出力信号の存続期間だけ制御要素10に上記
ブレーキシステムのブレーキ圧力流体出口弁AVを開放さ
せ上記ブレーキシステムのブレーキ圧力を低下させる。 第２の時計発生器11は、第１の時計発生器９から制御
要素10への出力信号が終了すると検知無駄時間，測定時
間，制御要素応答時間，液圧ユニット及び車両における
時定数を含むブレーキシステム全体の無駄時間と等しい
かそれよりも長く定数K₃により示される一定の時間間隔
Ｔの長さだけ制御ブロック６に対し出力信号を送る。 制御ブロック６は、第２の時計発生器11からの出力信
号を受け取った時点（即ち，第１の時計発生器９からの
出力信号が終了した時点であり第1c図における時点t₂）
において、記憶装置７に検知器３からのその瞬間の車輪
測定回転速度V_Rを記憶させる。 第１の時計発生器９から制御要素10への出力信号が終
了された時、ブレーキ圧力流体出口弁AVは常閉型なので
開放を中止し、上記ブレーキシステムのブレーキ圧力の
低下を中止させる。 第２の時計発生器11から制御ブロック６への出力信号
の送りが停止されると制御ブロック６は、記憶装置７に
記憶されている第１の時計発生器９から制御要素10への
出力信号が終了し第２の時計発生器11からの出力信号の
発生が開始された時点（即ち、上記時間間隔Ｔが開始さ
れた時点）の車輪測定回転速度V_Rを記憶装置７から減算
器13に供給させる。減算器13は、記憶装置７から供給さ
れた上記車輪測定回転速度V_Rから第２の時計発生器11か
ら制御ブロック６への出力信号の送りが停止した瞬間に
おける検知器３からの車輪測定回転速度V_Rを減算させる
とともに、切り替えスイッチ12に減算器13からこれら２
つの車輪測定回転速度V_Rの差ΔV₁を送る。制御ブロック
６はまた、上記ブレーキシステムに固有の他方の比例要
素K₂と上記差ΔV₁とを切り替えスイッチ12から掛算器８
に送らせて掛算器８に上記２つの車輪測定回転速度V_Rの
差ΔV₁と上記他方の比例要素K₂とを掛け合わさせる。そ
して、この掛け算の結果に基づいた長さΔt₂だけ制御要
素10に対し第１の時計発生器９から再度出力信号（即
ち、次のブレーキ圧力減少信号２）を送らせ、この出力
信号の存続期間中に制御要素10に上記ブレーキシステム
のブレーキ圧力流体出口弁AVを開放させ上記ブレーキシ
ステムのブレーキ圧力を低下させる。 ［発明の効果］ 以上詳述した如く、ブレーキスリップ制御装置におい
てブレーキ圧力変動を制御する為のこの発明に従った方
法及びこの方法を実施する為の装置によれば、例えば凍
結した路上や水膜が形成されている路上の如き悪条件下
でのブレーキ動作中において、車輪がロックされて車両
が操縦不能に陥いることの防止と車両の停止距離の延長
防止の為にブレーキ圧力の減少と回復とを急激に早く行
っても、車両の運転の安定性が損なわれたり車両の運転
手や乗客に不快感を生じさせるような大きな振動を生じ
させる程度に大きなブレーキ圧力の急激な変動を生じさ
せることがない。

【図面の簡単な説明】 第1a図乃至第1e図は、ブレーキスリップ制御装置におい
てブレーキ圧力変動を制御する為のこの発明に従った方
法の１つの実施の形態が適用されたブレーキスリップ制
御装置のブレーキスリップ制御の初期の段階における１
つの車輪に関する種々のデータを示しており： 第1a図は、ブレーキスリップ制御の初期の段階における
時間ｔの経過に伴う、ブレーキスリップ制御された車輪
の車輪測定回転速度V_Rの変化や車両速度参照値V_Refの変
化や所定の車輪回転速度参照値V_RRefの変化やブレーキ
スリップ制御開始の指標となる所定の車輪回転速度基準
切り換え閾値V_schの変化を示す図； 第1b図は、第1a図と同じ時間ｔの経過に伴う、ブレーキ
スリップ制御された車輪の加速度ｂまたは減速度−ｂの
変化を示す図； 第1c図は、第1a図と同じ時間ｔの経過に伴う、上記ブレ
ーキスリップ制御装置が適用された車両のブレーキシス
テムの電磁操作されるブレーキ圧力流体出口弁AVの開閉
タイミングチャートを示す図； 第1d図は、上記ブレーキスリップ制御装置が適用された
車両のブレーキシステムの電磁操作されるブレーキ圧力
流体入り口弁EVの開閉タイミングチャートを示す図；そ
して、 第1e図は、第1a図と同じ時間ｔの経過に伴う、上記ブレ
ーキシステムのブレーキ圧力Ｐの変化を示す図： であり、さらに、 第２図は、上述したこの発明の方法の１つの実施の形態
を実施する為のこの発明の装置の１つの実施の形態の構
成を概略的に示す図である。 Ｖ……速度、ｔ……時間、ｂ……加速度、−ｂ……減速
度、−b₁……所定の減速度閾値、AV……ブレーキ圧力流
体出口弁、EV……ブレーキ圧力流体入口弁、Ｐ……ブレ
ーキ圧力、V_R……車輪測定回転速度、V_Ref……車両速度
参照値、V_RRef……車輪回転速度参照値、V_sch……車輪
回転速度基準切り換え閾値、ΔＶ……所定の車輪回転速
度参照値V_RRefと車輪回転速度基準切り換え閾値V_schと
の差、１……最初のブレーキ圧力減少信号、２……次の
ブレーキ圧力減少信号、Δt₁……最初のブレーキ圧力減
少信号１の存続期間、Δt₂……次のブレーキ圧力減少信
号２の存続期間、Ｔ……所定の待ち合わせ期間、t₀……
ブレーキ操作の結果として回転速度が測定されている車
輪がスリップを生じ上記車輪の車輪測定回転速度V_Rが車
両速度参照値V_Refよりも遅れ始めた時点、t₁……車輪測
定回転速度V_Rが所定の車輪回転速度標準切り換え閾値V
_schにまで低下し最初のブレーキ圧力減少信号１の発生
が開始される時点、t₂……最初のブレーキ圧力減少信号
１の発生が停止され待ち合わせ期間Ｔが開始される時
点、t3……待ち合わせ期間Ｔが終了し次のブレーキ圧力
減少信号２の発生が開始される時点、t₄……次のブレー
キ圧力減少信号２の発生が停止される時点、t₅……車輪
測定回転速度V_Rが所定の車輪回転速度標準切り換え閾値
V_schにまで再度上昇した時点、Δｔ……待ち合わせ期間
Ｔの存続期間、ΔV₁……時点t₂における車輪測定回転速
度V_Rと時点t₃における車輪測定回転速度V_Rとの差、３…
…検知器、４……微分器、５……比較器（コンパレー
タ）、６……制御ブロック、７……記憶装置、８……掛
算器、９……第１の時計発生器、10……制御要素、11…
…第２の時計発生器、12……切り替えスイッチ、13……
減算器、K₁……ブレーキシステムに固有の一方の比例要
素、K₂……ブレーキシステムに固有の他方の比例要素、
K₃……定数。

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 １．車両のブレーキシステムと組み合わされて使用さ
   れ、ブレーキ操作中に車輪がスリップし上記車輪の回転
   速度（V_R）が車両の移動速度（V_Ref）より低下して理論
   的に可能な最大減速をした時の車輪回転速度参照値（V
   _RRef）よりも低い所定の回転速度基準切り換え閾値（V
   _sch）に到達した時または上記車輪の減速度（−ｂ）が
   所定の減速度基準切り換え閾値（−b₁）に到達した時に
   ブレーキ圧力を低下させて上記車輪の減速度（−ｂ）を
   小さくさせることにより上記車輪をロック状態から回復
   させる、ブレーキスリップ制御装置においてブレーキ圧
   力変動を制御する為の方法であり： ブレーキ操作の開始から車輪の回転速度（V_R）が上記所
   定の回転速度基準切り換え閾値（V_sch）に最初に到達し
   た時点（t₁）または上記車輪の減速度（−ｂ）が所定の
   減速度基準切り換え閾値（−b₁）に最初に到達した時点
   （t₁）で最初の圧力減少信号（１）を発してブレーキ圧
   力を低下させ； 最初の圧力減少信号（１）の存続期間（Δt₁）を上記時
   点（t₁）における車輪の減速度（−ｂ）に応じて決定
   し； 最初の圧力減少信号（１）の存続期間（Δt₁）の終了時
   点（t₂）で、検知無駄時間，測定時間，制御要素応答時
   間，液圧ユニット及び車両における時定数を含むブレー
   キシステム全体の無駄時間（T_D）と等しいかそれよりも
   長い所定の待ち合わせ期間（Ｔ）を設定し； 所定の待ち合わせ期間（Ｔ）が終了した時点（t₃）で次
   の圧力減少信号（２）を発してブレーキ圧力を低下さ
   せ； 次の圧力減少信号（２）の存続期間（Δt₂）を最初の圧
   力減少信号（１）の存続期間（Δt₁）の終了時点（t₂）
   における車輪の回転速度（V_R）と所定の待ち合わせ期間
   （Ｔ）の終了時点（t₃）における車輪の回転速度（V_R）
   との差（ΔV₁）に応じて決定する； ことを特徴とするブレーキスリップ制御装置においてブ
   レーキ圧力変動を制御する為の方法。 ２．車両のブレーキシステムと組み合わされて使用さ
   れ、ブレーキ操作中に車輪がスリップし上記車輪の回転
   速度（V_R）が車両の移動速度（V_Ref）より低下して理論
   的に可能な最大減速をした時の車輪回転速度参照値（V
   _RRef）よりも低い所定の回転速度基準切り換え閾値（V
   _sch）に到達した時または上記車輪の減速度（−ｂ）が
   所定の減速度基準切り換え閾値（−b₁）に到達した時に
   上記ブレーキシステムのブレーキ圧力流体入口弁（EV）
   を閉じブレーキ圧力流体出口弁（AV）を開きブレーキ圧
   力を低下させて上記車輪の減速度（−ｂ）を小さくさせ
   ることにより上記車輪をロック状態から回復させる、ブ
   レーキスリップ制御装置においてブレーキ圧力変動を制
   御する為の方法を実施する為の装置であり： 車輪の回転速度（V_R）を測定する検知器（３）と； 検知器（３）により測定された車輪の回転速度（V_R）か
   ら加速度または減速度を形成する微分器（４）と； 検知器（３）から車輪の回転速度（V_R）が入力されると
   ともに微分器（４）から加速度（ｂ）または減速度（−
   ｂ）が入力され、ブレーキ操作中に検知器（３）からの
   車輪の回転速度（V_R）を車輪が理論的に可能な最大減速
   をした時の車輪回転速度参照値（V_RRef）よりも低い所
   定の車輪の回転速度である回転速度基準切り換え閾値
   （V_sch）と比較するとともに上記車輪の減速度（−ｂ）
   を所定の減速度基準切り換え閾値（−b₁）と比較する比
   較器（５）と； 比較器（５）からの車輪の回転速度（V_R）と回転速度基
   準切り換え閾値（V_sch）との比較の結果及び上記車輪の
   減速度（−ｂ）と所定の減速度基準切り換え閾値（−
   b₁）との比較結果が入力される制御ブロック（６）と； 検知器（３）及び制御ブロック（６）に接続された記憶
   装置（７）と； 検知器（３）及び記憶装置（７）に接続された減算器
   （13）と； 制御ブロック（６）により制御されて微分器（４）また
   は減算器（13）と選択的に接続されるとともに、微分器
   （４）に接続された時には上記ブレーキシステムに固有
   の一方の比例要素（K₁）に接続され、減算器（13）に接
   続された時には上記ブレーキシステムに固有の他方の比
   例要素（K₂）に接続される切り替えスイッチ（12）と； 切り替えスイッチ（12）に接続された掛算器（８）と； 制御ブロック（６）及び掛算器（８）に接続された第１
   の時計発生器（９）と； 第１の時計発生器（９）及び制御ブロック（６）に接続
   された第２の時計発生器（11）と； 第１の時計発生器（９）に接続されており、上記ブレー
   キシステムのブレーキ圧力流体出口弁（AV）の開閉を制
   御する制御要素（10）と； を備えており、 制御ブロック（６）は、ブレーキ操作の開始によって上
   記ブレーキシステムのブレーキ圧力が高まり車輪がスリ
   ップして上記車輪の回転速度（V_R）が低下し回転速度基
   準切り換え閾値（V_sch）に到達した時または上記車輪の
   減速度（−ｂ）が所定の減速度基準切り換え閾値（−
   b₁）に到達した時に、切り替えスイッチ（12）に微分器
   （４）からその瞬間の減速度（−b₁）と上記一方の比例
   要素（K₁）とを掛算器（８）に送らせて上記その瞬間の
   減速度（−b₁）と上記一方の比例要素（K₁）とを掛け合
   わさせ、この掛け算の結果を掛算器（８）から第１の時
   計発生器（９）に送らせ、さらに第１の時計発生器
   （９）に上記掛け算の結果に基づいた長さ（Δt₁）だけ
   制御要素（10）に対し出力信号を送らせ、この出力信号
   に対応した期間だけ制御要素（10）に上記ブレーキシス
   テムのブレーキ圧力流体出口弁（AV）を開放させて上記
   ブレーキシステムのブレーキ圧力を低下させ； 第２の時計発生器（11）は、第１の時計発生器（９）か
   ら制御要素（10）への出力信号が終了すると検知無駄時
   間，測定時間，制御要素応答時間，液圧ユニット及び車
   両における時定数を含むブレーキシステム全体の無駄時
   間と等しいかそれよりも長く定数（K₃）により示される
   一定の時間間隔（Ｔ）の長さだけ制御ブロック（６）に
   出力信号を送り； 制御ブロック（６）はさらに、第２の時計発生器（11）
   からの出力信号を受け取った時に記憶装置（７）に検知
   器（３）からその瞬間の車輪の回転速度（V_R）を記憶さ
   せ； 制御ブロック（６）はまたさらに、第２の時計発生器
   （11）から制御ブロック（６）への出力信号の送りが停
   止した時に、記憶装置（７）に既に記憶されている上記
   車輪の回転速度（V_R）を減算器（13）に供給させて、制
   御ブロック（６）への第２の時計発生器（11）からの出
   力信号の送りが停止した時の瞬間に減算器（13）に供給
   されている車輪の回転速度（V_R）を上記既に記憶されて
   いる車輪の回転速度（V_R）から減算させ、さらに切り替
   えスイッチ（12）に減算器（13）からのこれら２つの車
   輪の回転速度（V_R）の差（ΔV₁）と上記他方の比例要素
   （K₂）とを掛算器（８）に送らせて上記差（ΔV₁）と上
   記他方の比例要素（K₂）とを掛け合わさせ、またさらに
   掛算器（８）に上記掛け算の結果を第１の時計発生器
   （９）に送らせ、第１の時計発生器（９）から上記掛け
   算の結果に基づいた長さ（Δt₂）だけ制御要素（10）に
   対し再度出力信号を送らせ、制御要素（10）に上記ブレ
   ーキシステムのブレーキ圧力流体出口弁（AV）を再度開
   放させて上記ブレーキシステムのブレーキ圧力を低下さ
   せる； ことを特徴とするブレーキスリップ制御装置においてブ
   レーキ圧力変動を制御する為の方法を実施する為の装
   置。