JP2600693B2 - 立体画像再生装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ａ）産業上の利用分野 単カメラ式立体テレビジョン信号の再生装置に関し、
特に近景の不自然な飛び出しを防止出来る再生装置に関
する。

ｂ）従来の技術 単カメラ式立体テレビジョンは、２カメラ式に比べ
て、現行テレビジョン方式との互換性を有し、且つ装置
の構成が簡便な特徴を有する。また、単カメラ式では、
２カメラ式では得られないような小さな視差をもった立
体映像信号を得ることが出来、特に現行テレビジョンシ
ステムとの両立性をもたせる上で有効であり、現行の放
送システムが利用出来、通常のVTRに記録出来る特徴が
ある。この技術については、特公昭55−50639号に詳細
に述べられている。

即ち、１台のカメラのレンズ前面に左右に分割した光
シャッターを設け、垂直又は水平走査ごとに左右を切換
えて撮像する。再生側では左右を分けて偏光板をはりつ
けた２台のTVで表示して像を重ね合わせるか、電子シャ
ッターで切換えて、偏光メガネを介して見ることにより
立体像が得られる。

ｃ）本発明が解決しようとする問題点 しかしながら、従来の技術による場合、近景が不自然
に飛び出してくる欠点があった。

ｄ）問題を解決するための手段 左右に分割された光シャッタを撮像装置に近接して配
置し、光シャッタの左右の部位を所定時間毎に切り換え
て右目用画像および左目用画像を交互に撮影すると共
に、右目用画像が左目用画像に対し水平走査線方向に所
定の幅だけずれるように右目用画像信号を左目用画像信
号に対して所定時間遅延させ、遅延させた右目用画像信
号による画像と左目用画像信号による画像とを重ね合わ
せて立体画像を再生する。尚、水平走査線方向のずれ幅
は人間の両目間隔の1/3〜１程度が好ましい。

ｅ）作用 まず２カメラ式と単カメラ式の映像の違いを述べる。
第２図（ａ）は２カメラ式立体像を示す。ピントが合っ
た像は虚像の位置３にある。ところが、単カメラ式では
ピントが合った像の位置はスクリーン１上にある。なぜ
なら、単カメラ式ではレンズが１本であり、右半分の光
シャッターが開いている場合も左半分の光シャッターが
開いている場合も撮影面前面に結像しており、ピントが
合っている像については、単に１本のレンズで撮影した
平面像の場合と基本的に差が無いからである。しかし、
右半分及び左半分に光シャッターを入れたことにより、
焦点が合っていない像（ボケ像）の位置が、右半分開い
ている時と左半分開いている時とでは差が生じ、これが
視差情報として取り出される。前記特公昭55−50639で
は光シャッターの開閉により単に、レンズの等価的な中
心がずれることに着目しているが、本発明においては、
このボケ像の位置に着目している点が本質的に異なる。
今、第３図（ａ）のようにカメラからの距離の異なる
Ａ、Ｂ、Ｃの３つの像を撮したとき結像面302に比べて
夫々ABCと記した位置に像が出来る。Ａ点の像に対する
撮像面302の像は第３図（ｄ）のようになっており、同
様にＢ点は第３図（ｃ）、Ｃ点は第３図（ｂ）となる。

この結果、例えば左半分開いている場合、Ａ点のボケ
像は撮像面の右側に発生し、Ｃ点のボケ像は撮像面の左
側に発生する。当然、右半分の光シャッターが開いてい
る時はこの逆である。そのボケ像の位置が視差情報の本
質である。その結果、撮像面302がとらえた映像をその
まま左半分開いて撮影した像（Ｌ像）と右半分開いて撮
影した像（Ｒ像）とを同じ位置に映写し、Ｌ像とＲ像と
を偏光めがね等で夫々左眼及び右眼で観るようにする
と、Ａ点の像は遠くに、Ｃ点の像は近くに見える。とこ
ろが、前述のように単カメラ式では焦点の合っている像
（例えばＢ点の像）がスクリーン上にあるため、近いＣ
点の像はスクリーンより手前に飛び出して見える。これ
は極めて不自然であった。

そこで、本発明ではｄ）項で述べた手段により、この
問題を解決している。

即ち、本発明では前記Ｌ像及びＲ像を第２図（ａ）の
2L及び2Rの位置に夫々配置することにより、２カメラ式
で撮影したと同様の手前飛び出しのない自然な立体像を
得ている。

ｆ）実施例 第１図は実施例で、テレビジョンカメラの撮影レンズ
前面に左右に分割した光シャッターを設け、垂直同期信
号ごとに切換えている。

前記Ｌ像と前記Ｒ像との識別信号としては、例えばカ
ラーバースト信号をＬ像８ヘルツ、Ｒ像12ヘルツとすれ
ば、通常のNTSC方式テレビジョン放送として送信可能で
ある。ここまでの技術は、前記特公昭55−50639に詳し
い。

受信側において、Ｌ像とＲ像とを同じ画面に重ねてめ
がね無しで観視すれば（即ち、従来のTV受像機で受像す
れば）通常のテレビジョン放送として試聴出来る。

ここで、異なる角度の偏光フィルターを貼った２台の
受像機又はプロジェクターを用意し、Ｌ像に比べＲ像が
２〜6cm右になるように画ずらしして重ね合わせ、偏光
メガネをかけて観視すれば近景が飛び出さない立体像を
見ることが出来る。

前記画ずらしの方法は、例えばＲ像用の受像機又はプ
ロジェクターに遅延回路を入れて1/100H〜1/10H水平同
期信号を遅らせることで実現出来る。さらに、遅延回路
として半導体メモリーをＬ像側、Ｒ像側の両方に入れ、
Ｌ像とＲ像との発光を同時化するか、カメラの光シャッ
ターが閉じている期間について直前の画像を再度映すこ
とにより、フリッカーを取り除くことが出来る。当然、
前記半導体メモリー自体にＬ像とＲ像との画ずらしのた
めの時間差を与えるように設計してもよい。なお、２台
のTV受像機の像を重ねる方法としてはハーフミラーを用
いる方法が知られているが、液晶シャッターにより偏光
角を切換える方式の１台の受像機を用いて、前記バース
ト信号等のＬ像とＲ像とを識別するための信号によって
液晶シャッターを切換えてもよい。

ｇ）発明の効果 ボケ像の位置に注目した本発明の実施により、近景の
不自然な飛び出しがない自然な単カメラ式立体映像再生
装置が得られる。これにより、単カメラ式立体テレビジ
ョンの性質である現行テレビジョンとの互換性ある簡便
な立体テレビジョン放送の効果的な利用が可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は実施例、第２図は立体像の比較図で、第２図
（ａ）は２カメラ式立体像、第２図（ｂ）は単カメラ式
立体像を示す。第３図は単カメラ立体撮影におけるボケ
像を示し、第３図（ａ）は全体図、第３図（ｂ）は遠
景、第３図（ｃ）は合焦像、第３図（ｄ）は近景を示
す。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】左右に分割された光シャッタを所定時間ご
   とに切り換えて右目用画像および左目用画像を交互に１
   台の撮像装置で撮像し、前記撮像装置から出力される映
   像信号を再生して立体画像を得る立体画像再生装置であ
   って、 前記映像信号から右目用画像信号と左目用画像信号とを
   抽出し、 前記抽出された右目用画像信号を、前記左目用画像信号
   に対して所定時間遅延させ、 前記遅延した右目用画像信号と左目用画像信号による各
   々の画像を同一表示画面上に合成して表示すること を特徴とする立体画像再生装置。