JP3689976B2 - 3次元立体映像信号変換装置の映像撮影用の光学アダプター装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、いわゆる「立体写真(ステレオ・ペア)」のように撮影したビデオ画像を処理することにより、右眼用と左眼用のそれぞれ専用の映像信号を得るようにした3次元立体映像信号変換装置のための3次元立体映像信号変換装置の映像撮影用の光学アダプター装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
いわゆる立体テレビなどの3次元立体視視覚装置が開発されても、これを見るための3次元(3D)用のソフトウェアを自分で撮影したり、記録再生するには、ビデオカメラ装置自体や撮影方法、ビデオテープレコーダ(VTR)の取り扱いなどが大変であり、簡易的な方法が求められている。
【0003】
3次元の立体映像を撮影するためには、通常2台のビデオカメラを、その撮影レンズを人間の両眼の幅(通常約65mm)離して設置して行なう。この場合、特性の合った2台のビデオカメラを用意し、撮影レンズが眼幅だけ離れた状態にしっかりと固定する必要がある。しかもこの2つのビデオカメラから出る映像信号を、同期して動く2つのVTRで記録再生する必要があった。
【0004】
もっとも、現在ではいわゆるW−VHSのように、1本のテープで2つの映像信号を同時に録画できる機器が市販されているので、これを使って録画再生してやってもよい。この2つの映像信号を立体視するには、たとえば2台のビデオプロジェクタを用いて、互いに偏光方向が直交する投射光としてスクリーンに投影し、これに対応する偏光フィルターの付いた偏光眼鏡をかけて見る方法が知られている。
【0005】
更に上記記録再生を簡単にする方法としては、左眼用、右眼用の2つの映像信号を、フィールド毎に交互に左眼用、右眼用の映像がくるようにした一つの映像信号にする技術が知られている。この信号をテレビ画面上に映し出し、同期して交互に片方の眼を塞ぐようにしたシャッタ付き眼鏡をかけて見れば立体視できるわけである。
【0006】
また、もっと簡易的な撮影方法としては、画面の右半分、左半分に、光学的手法により右眼用、左眼用の映像を映し出す、いわゆる「立体写真」のような形でビデオ撮影する手法を用いることである。さらに、「立体写真」を写真機でスライドを撮影するアダプターおよびビューワも市販されている。このアダプターで撮ると、右眼用は画面右半分に、左眼用は左半分に映されるので、小さなテレビ画面で2つの画面の中心のズレが眼幅以下ならば裸眼立体視が可能となる。さらにまた、もっと大画面の場合は、クサビ型の特殊レンズを付けて見ればよい(特開昭59−30390号公報参照)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の2台のビデオカメラを使う立体映像の撮影法では、2台の撮影レンズを眼幅だけ常に離しておくために、2台をがっちりと一体に固定しておく必要があった。そのためにはしっかりした三脚などに載せて撮影することになり、機動性にはなはだ乏しく、また手持ちの撮影などはできなかった。さらにズームアップなどしようと、2台を連動してレンズを動かす必要があり、操作が煩雑であった。また、特性の合った2台のビデオカメラが必要であり、使用者には経済的にも大きな負担をしいるものであるという不都合があった。
【0008】
これに対して、1台のビデオカメラで立体写真的な撮影をすれば良いことになるが、この方法で撮った映像を見るには、テレビ画面の中央に顔を置く必要があり、見る位置が限定された。しかも画面を右左で半分に割った縦長の映像しか見えないという不都合があった。また、大きい画面の場合、クサビ型の特殊レンズを眼にかける必要があった。
【0009】
片方の眼用の映像を画面の右半分に、他方の眼用の映像を画面の左半分にくるようにした立体写真型の3次元立体映像について、この立体写真型の3次元立体映像の映像信号の右画面、左画面をそれぞれ切り取ってから上記画面の最大限の大きさに変換拡大し、これを2つの眼のそれぞれ専用の映像信号とするようにした3次元立体映像信号変換装置の映像撮影用の光学アダプター装置においては、前記右画面、左画面を切り取ったときに不要となる映像の上下部分も含めた画像を撮影するための光学系が用いられていた。このため、光学アダプター装置を小型にすることができないものであった。
また、立体写真型の3次元立体映像を取り入れる際に、1枚の画面に左眼用映像と右眼用映像とを写したとき左右の映像の画角が著しく小さいものとなるという問題があった。
また前記裸眼立体視を行う場合は、めやすとなるものがないと実行しずらいものであった。
そこで、本発明は、画面の右半分、左半分に、光学的手法により右眼用、左眼用の映像を映し出す、いわゆる「立体写真」のような形でビデオ撮影する手法によって撮られた形の映像信号を、フィールド毎に交互に右眼用、左眼用の映像が入った映像信号に変換したり、または右眼用、左眼用の2つの独立した映像信号に変換等する3次元立体映像信号変換装置において、前記課題を解決した3次元立体映像信号変換装置の映像撮影用の光学アダプター装置を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、片方の眼用の映像を画面の右半分に、他方の眼用の映像を画面の左半分にくるようにした立体写真型の3次元立体映像について、この立体写真型の3次元立体映像の映像信号の右画面、左画面をそれぞれ切り取ってから上記画面の最大限の大きさに変換拡大し、これを2つの眼のそれぞれ専用の映像信号とするようにした3次元立体映像信号変換装置の映像撮影用の光学アダプター装置において、上記立体写真型の3次元立体映像を取り入れるための光学部分と、
上記右画面、左画面をそれぞれ切り取ったときに不要となる映像の上下部分をカットするように構成した光学系とを備え、上記右画面、左画面のそれぞれの概略中央に映像の概略中心であることを示すマークを、上記立体写真型の3次元立体映像の不要となる映像の上記カットされる部分に配設するように構成したことを特徴とする。
【0011】
そして、さらに本発明は、上記立体写真型の3次元立体映像を取り入れるための光学部分に、画像を広角にする広角手段を配設するように構成したことを特徴とする。
【0012】
このように構成することによって、立体写真型では、テレビ画面等の画面に対して中央の位置からしかも縦長の画面でしか見えなかったものを、シャッタ付き眼鏡や偏光眼鏡等の特殊眼鏡をかけることにより、たくさんの人が同時に、しかも横長の画面で見られる。また、上記構成の3次元立体映像信号変換装置をビデオカメラ装置に組み込むことによって、このビデオカメラ装置の撮影レンズの前に立体写真撮影用の光学アダプター装置を付けるだけで、フィールド毎に交互に右眼用の拡大された画面と左眼用の拡大された画面がくるようにした映像信号を出力したり、VTR等の記録再生装置で記録再生したりすることが可能となる。
【0013】
そして、さらに左右それぞれの画をつくるために拡大しても、最初に広角にしてから撮影しているので、拡大されたのが打ち消されることになり、立体写真撮影のための光学アダプター装置をビデオカメラ装置に装着するまえの、もとのビデオカメラ装置の撮影レンズの画角に近いものとなり、より自然で見易い状態で見られる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施の形態例について図面を参照して説明する。
【0015】
〔第1の実施形態例〕
図1及び図3は、この発明の第1の実施形態例のビデオカメラ装置1及び該ビデオカメラ装置1のビデオカメラ本体2に接続された3次元立体映像信号変換装置40を示す。このビデオカメラ装置1は、そのビデオカメラ本体2の前側に立体写真撮影用の光学アダプター装置20を着脱自在に取付けると共に、該ビデオカメラ本体2の後側に拡大レンズ14の付いたアイカップ15を着脱自在に取付けてある。また、3次元立体映像信号変換装置40は、その筐型の装置本体41の前面に3つの調整用操作つまみ42を設けてある。さらに、3次元立体映像信号変換装置40には、ビデオテープレコーダ(VTR)50とシャッタ眼鏡付きの立体視装置60とを接続してある。
【0016】
図1〜図3に示すように、ビデオカメラ装置1のビデオカメラ本体2は合成樹脂等により筐型に形成してあり、該ビデオカメラ本体2には撮像部としての固体撮像素子(CCD)3を内蔵してある。この固体撮像素子3で撮影した映像信号は、増幅器4と映像信号処理回路5及び映像記録/再生回路6を介してビデオカメラ本体2に内蔵されたVTR7により記録/再生されるようになっている。映像記録/再生回路6には液晶ドライブ回路8を介して小型モニタとしての液晶ディスプレイ(LCD)9を接続してある。また、ビデオカメラ本体2の前面の固体撮像素子3に対向する位置には撮影レンズ10を配置してあると共に、該前面の上側にはマイクロフォン12を取付けてある。さらに、ビデオカメラ本体2の左側面には切換スイッチ13を配設してある。
【0017】
図2,図3に示すように、ビデオカメラ装置1のビデオカメラ本体2のフィルタ取付用ねじ部(マウント部)11には、立体写真撮影用の光学アダプター装置20を着脱自在に螺着されるようになっている。この立体写真撮影用の光学アダプター装置20の外筐を形成する合成樹脂製等のケース(画像取り込み部)21の左右両側傾斜壁21a,21bの内面には、左右一対の平面反射鏡22L,22Rを配置してある。また、ケース21内の中央のついたて23の後方には該ついたて23とで三角筒状になると共に、上記一対の平面反射鏡22L,22Rと概略平行に対向する左右一対の平面反射鏡24L,24Rを配置してある。これにより、眼幅D(D≒65mm)だけ離れた左右の眼から見たものに相当する映像が左半分、右半分に集光されて撮影レンズ10に入るようになっている。また、上記ケース21の後部にはねじ部25を形成してあり、該ねじ部25が上記ビデオカメラ本体2のフィルタ取付用ねじ部11に着脱自在に螺着されるようになっている。
【0018】
図1〜図3に示すように、光学アダプター装置20のケース21の前壁側に形成された画像取り込み部となる矩形状で左右一対の開口部21c,21dには、広角アダプター(広角手段)30を嵌め込み取り外し(着脱)自在に装着できるようになっていて、上記光学アダプター装置20と一体に使えるようになっている。この広角アダプター30は、矩形の枠部31と、この枠部31の正面側に形成された左右一対の開口部31a,31b内に嵌め込まれた一対の凹レンズ(広角手段)32L,32Rとで構成されている。上記枠部31の一対の開口部31a,31b、即ち一対の凹レンズ32L,32Rは、光学アダプター装置20のケース21の画像取り込み部となる左右一対の開口部21c,21dを十分カバーする大きさに形成してある。
【0019】
図3に示すように、3次元立体映像信号変換装置40の装置本体41の映像信号入力端子41aは、ビデオカメラ本体2の映像記録/再生回路6の映像信号出力端子6aに接続されている。このビデオカメラ本体2の映像記録/再生回路6の映像信号の出力信号が3次元立体映像信号変換装置40に入力されると、上記装置本体41に内蔵された3次元立体映像信号変換回路43により処理される。即ち、映像記録/再生回路6からの映像出力信号(OUT)をA(アナログ)/D(ディジタル)信号変換回路44によりA/D変換した後で2次元メモリー45に記憶し、この中から操作つまみ42及び同期分離回路(Sync SEP)47を接続したタイミングコントローラ48により任意のタイミングで任意の拡大率(基点X1,X2、拡大率X,Yとする)で画像を一旦拡大してから切り取るようにしてある。そして、この3次元立体映像信号変換回路43により切り取られて、画面いっぱいに拡大された左眼用の映像信号と右眼用の映像信号は、フィールド毎に交互に左眼用の映像信号と右眼用の映像信号が入った3次元立体映像信号に変換され、D/A信号変換回路46を介して装置本体41の映像信号出力端子41bに一つの映像信号(S)として出力されるようになっている。
【0020】
図3に示すように、VTR50と立体視装置としてのテレビジョン受像機60とは、3次元立体映像信号変換装置40の映像信号出力端子41bにそれぞれ接続されている。このテレビジョン受像機60では、そのブラウン管(画面)61に映し出された例えば図4(C),(D)に示す左,右眼用の映像eL,eRをシャッタ付き眼鏡(特殊眼鏡)70を使用して立体視するものである。即ち、シャッタ付き眼鏡70のフレーム71の左右のレンズ取付枠部分には、液晶シャッタ72L,72Rが入っていると共に、該フレーム71の中央には図示しない受光部を取付けてある。この受光部は、テレビジョン受像機60上に設置された赤外線発光装置62からの同期信号をコード化した赤外線を受光するものである。そして、シャッタ付き眼鏡70の受光部で赤外線発光装置62の信号を受光し、シャッタ付き眼鏡70の左右一対の液晶シャッタ72L,72Rを上記各映像eL,eRに合わせて交互に開閉することにより立体視できるようになっている。
【0021】
以上第1の実施形態例のビデオカメラ装置1と3次元立体映像信号変換装置40とVTR50及びテレビジョン受像機60からなる立体視システムを用いて、ビデオカメラ装置1で撮影した図4(A)に示すような映像aを立体視しようとする場合には、まず、図2に示すように、ビデオカメラ装置1のビデオカメラ本体2のフィルタ取付用ねじ部11に立体写真撮影用の光学アダプター装置20と広角アダプター30の一体となったものを取付ける。
【0022】
そして、図4(A)に示すような情景a(海を背景にした女性の映像)を撮影する。この時、立体写真撮影用の光学アダプター装置20によって、図4(B)に示すように、右眼で見た映像bRと左眼で見た映像bLが、一枚の画面bに半分半分になるようにされ、撮影レンズ10に入光される(ここで、女性に対し背景のヤシの木、ヨット、雲等が、その距離により左右の眼の視差のため微妙にずれている)。
【0023】
ここで、図4(A)は、立体写真撮影用の光学アダプター装置20をビデオカメラ本体2に取付けていないときの画角であり、そのときどの範囲までが写っているかを示している。そして、図4(B)では、広角アダプター30を付けたので、概略1/2倍となり、それゆえ、図4(A)と同じ画角の画を左右に2枚写すことが可能となっている。もし、光学アダプター装置20に広角アダプター30を付けていないならば、図4(B)の左右の映像bL,bRは、図4(A)の概略1/4の面積の部分しか写すことができず、その結果、例えば顔だけとかをズームアップした形のものになってしまう。ところで、3次元立体画像において、立体を感じるには前景、中景、遠景というように距離を対比できるものを一つの画面におくことがより強く立体感を得るのに重要なことである。この意味で、広角アダプター30の役目は大変重要である。また、図4(B)からわかるように、上下の部分がカットされているが、これは立体写真撮影用の光学アダプター装置20を本発明の目的に沿い、あとで不要となる図4(B)の上下部を最初から入光せず、上下部の部分を写す光学系を省いているからであり、その結果、光学アダプター装置20を小型にすることが可能になっている。
【0024】
ビデオカメラ装置1の撮影レンズ10を通った図4(B)に示す映像bはビデオカメラ本体2のCCD3に映って撮影される。そして、この映像bがビデオカメラ本体2に内蔵されたVTR7により記録/再生され、この際にビデオカメラ本体2の映像信号出力端子6aから出力される。また、上記映像bは小型モニターとしてのLCD9にも映り、これは、図4(B)のように見えるので、撮影者はどの範囲を撮っているか認識しながら撮影できる。
【0025】
次に、上記ビデオカメラ本体2の映像出力信号(OUT)が3次元立体映像信号変換装置40に入力されると、3次元立体映像信号変換回路43により処理される。即ち、図4(B)に示す映像bは、左眼用として映像bLの部分(左半分のハッチングの内側)が3次元立体映像信号変換回路43により切り取られ、画面いっぱいに拡大され図4(C)に示す切り取り拡大映像eLのようになり、また、右眼用としては図4(B)の映像bRの部分(右半分のハッチングの内側)が3次元立体映像信号変換回路43により切り取られ、画面いっぱいに拡大され図4(D)に示す切り取り拡大映像eRのようになる。そして、3次元立体映像信号変換装置40の映像信号出力端子41bからの出力信号としては、左眼用の画像eLと右眼用の映像eRがフィールド毎に交互に来るようになっている1つの映像信号Sとして出力される。図3に示すように、一つの映像信号Sは、通常の別のVTR50によって録画/再生可能であり、シャッタ付き眼鏡70を介してテレビジョン受像機60で見れば、多人数で立体視できる。
【0026】
以上の説明では、図4(B)の映像bLの範囲すべてを切取るようにしたが、実際には映像bLより多少小さめの部分で周囲に余裕をもって切取ってもよい。また、上述の立体視システムでは、立体写真型映像信号としてフィルドシーケンシャル立体信号(フィールド毎に交互に右眼用、左眼用の画像がでるようにする信号)で、これをテレビジョン受像機60のブラウン管61に写し、シャッタ付き眼鏡70で見る方法を示したが、これに限定されず、立体写真型映像信号として、右眼用の映像信号と左眼用の映像信号の2つのそれぞれ独立した映像信号を作り、これを、偏光方向が横,縦方向の各偏光板を備えた2台の液晶プロジェクタによりスクリーン上にそれぞれ偏光方向を直交させた画像を投影し、これを偏光眼鏡(特殊眼鏡)で見ることにより、大勢の観察者が立体視を簡単に楽しむことができるようにしてもよい。
【0027】
〔第2の実施形態例〕
図5〜図8は、第2の実施形態例を示す。前記第1の実施形態例の立体写真撮影用の光学アダプター装置は、映像の上下部分がカットされる光学系となっているが、第2の実施形態例のビデオカメラ装置(撮影装置)1に用いられる立体写真撮影用の光学アダプター装置20は、ケース(画像取り込み部)21の左右一対の開口部21c,21dが縦長になっていて映像の上下部分がカットなしのフルサイズの光学系となっており、広角アダプター30の左右一対の凹レンズ(広角手段)32L,32Rで映像の上下部分をカットするようになっている。そして、一対の凹レンズ32L,32Rの中央の上方の枠部31には、左右一対のマーク用孔31c,31dがそれぞれ形成されていて、右側のマーク用孔31dには赤色のフィルター(光学的な手段)fRが、左側のマーク用孔32cには緑色のフィルター(光学的な手段)fLが、それぞれ内蔵されている。これは、例えば、図8(A)に示すようにモニター上に映せば、左右の画の中央に緑色のマークMLと赤色のマークMRが入ることになる。この各マークML,MRは以下に説明するように大変便利なものである。
【0028】
まず、上記各マークML,MRは、撮影時に被写体の中心を該各マークML,MRに合わすことができて非常に便利である。図8(B),(C)は、シャッタ付き眼鏡70等のビューアを使用しないで、平行法等により裸眼で立体視している様子を示す。図8(B)は、小型液晶モニター60′に左右の映像を映し出し、これをいわゆる平行法(遠くをながめる視線、つまり平行に近い視線で見る方法)による裸眼立体視で見ているところである。このとき、広角アダプター30の枠部31の正面の上の各フィルターfL,fR即ち各マークML,MRを見て、緑色と赤色が重なるように両眼の視線を方向ずけすれば、その時点で立体平行視することができる。このように、各マークML,MRを立体視用のめやすにすることができる。
【0029】
また、図8(C)は、図示しないビデオプリンターを用いて一旦映像を葉書サイズの紙Pにプリントし、立体写真にして立体視しているところである。ここでも各マークML,MRは立体視用のめやすとなって役に立つ。ここで、各マークML,MRを枠部31の中に入れたが、画像の中に入れてもよい。また、ここでは光学的にマークを入れたが、電気的に画像処理してマークを入れるようにしてもよい。また、色を赤や緑にしたが、たんに白色としても良い(適宜必要に応じて変更しても良い)。
【0030】
〔第3の実施形態例〕
図9,図10は、第3の実施形態例を示す。この第3の実施形態例のビデオカメラ装置1のフィルター取付用ねじ部11には立体写真撮影用の光学アダプター装置20′が着脱自在に装着されるようになっている。この光学アダプター装置20′の画像取り込み部となるレンズ鏡筒21′内の後部側(ねじ部25側)には、前記各実施形態例の平面反射鏡22L,22R,24L,24Rの代わりに平面(上から見て)楔型のエッジプリズム(三角プリズム)26′を配置してあると共に、該レンズ鏡筒21′の前面側には凹レンズ(広角レンズ)32を配置してある。尚、レンズ鏡筒21′と取付ねじ部25とは接合部26で回動可能であり、水平方向など調整が可能となっている。
【0031】
エッジプリズムを用いて立体写真的映像を撮る方法としては、従来技術で開示した特開昭59−30390号公報の技術が知られている。この技術では撮ったものをそのままテレビジョン受像機等に映して立体視するので問題なかったが、本実施形態例では拡大して映し出すので、広角にする手段として凹レンズ32をレンズ鏡筒21′に内蔵させた。このレンズ鏡筒21′の後側にエッジプリズム26′を配置したので、外観は通常のコンバージョンレンズと同じ形状をしているので、前記第1及び第2の実施形態例のように、いかにも立体映像を撮影しているという感じではなく、まわりの人に気をかけられることなく、立体撮影が可能となるメリットがある。
【0032】
また、エッジプリズム26′を使うやり方では、凹レンズ32に対して一定の角度をもった2枚の左右の画を映すことになり、例えば、室内用として2〜5mにおいて立体感をうまく表現できる角度に設定すると、屋外ではうまく立体感が出ない不都合が生じる虞れがある。この不都合を解決するようにしたのが、後述する図11〜図13に示す第4の実施形態例である。
【0033】
〔第4の実施形態例〕
図11〜図13は第4の実施形態例を示す。この第4の実施形態例のビデオカメラ装置1のフィルター取付用ねじ部11には、立体写真撮影用の光学アダプター装置20″が着脱自在に装着されるようになっていて、前記第3の実施形態例ではエッジプリズム26′による投影光の曲げ角が一定であったものを調節可能としたものである。即ち、アダプター装置20″は、可変三角プリズム(光学部材)26″と、この可変三角プリズム26″を内蔵したフード型のホルダー(画像撮り込み部)21″と、上記可変三角プリズム26″の左右正面に貼られた透明板ガラス(透明な薄板)23″,23″と、上記可変三角プリズム26″の正面中央の上下部に設けられた一対の引っ掛け部27,27と、この一対の引っ掛け部27,27に嵌合する一対の突起28a,28aを有してホルダー21″内の左前側に上下一対のピン部28b,28bを介して前後方向に揺動自在に支持された四角枠状のアーム28とで大略構成されている。
【0034】
図12,図13に示すように、可変三角プリズム26″は、上から見て二等辺三角形のエッジプリズムの形状をなしている。即ち、可変三角プリズム26″は、左,右正面及び背面の3面を各透明板ガラス23″,23″,23″で構成し、これら各面の間はシリコンゴムなどの可撓性の蛇腹部29になっている。この蛇腹部29と上記各透明板ガラス23″は密閉され、中に図示しない無色透明なシリコンオイルが封入されている。そして、大きな後ろ側の透明板ガラス23″をホルダー21″に固定し、各引っ掛け部27を前後させれば中のシリコンオイルの量は一定であるから可変三角プリズム26″の頂点の角度を可変させることができるようになっている。即ち、可変三角プリズム26″はホルダー21″内に収められており、後ろ側の透明板ガラス23″がホルダー21″内に固着されている。また、ホルダー21″内に各ピン28bを介して前後方向に移動自在(揺動自在)にされたアーム28はホルダー21″の右側面の外側にスライド自在にされた投影角調整手段としてのつまみ28Aにより前後移動するようになっている。このつまみ28Aを前後することにより、可変三角プリズム26″の頂点の角度を変えることができるようになっている。
【0035】
さらに、光学アダプター装置20″のホルダー21″の後部の開口側には、リング25″を回動自在に支持してある。このリング25″の外周面にはねじ部25が形成してあり、該ねじ部25は上記ビデオカメラ装置1の取付用ねじ部11に螺着自在になっている。また、光学アダプター装置20″のホルダー21″の前面には画像取り込み部となる開口部21cを全面開口してある。この開口部21cには、広角アダプター(広角手段)30″を嵌め込み取り外し(着脱)自在に装着できるようになっていて、上記光学アダプター装置20″と一体に使えるようになっている。この広角アダプター30″は、矩形の枠部31と、この枠部31の正面側に全面開口された開口部内に嵌め込まれた凹レンズ(広角手段)32とで構成されている。
【0036】
そして、光学アダプター装置20″のホルダー21″の前側に嵌め込んである広角アダプター30″を外して前記特開昭59−30390号公報に開示した技術用のビデオカメラとして、被写体や撮影場所などや目的に合わせ可変三角プリズム26″の頂点の角度を変えて使っても大変便利に使えるものである。また、ビデオカメラのオートフォーカス装置などと連動させ、被写体の位置とプリズムの角度を連動させ、自動調整されるようにしてもよい。
【0037】
以上のように、前記各実施形態例によれば、まず広角にして次に左右の映像を取り入れるようにしてあるが、これは例えば逆に左右の映像を取り込み、次に広角にすれば光学上同等の効果があると一見考えられるが、この場合広角の画等をカバーするのに十分大きな左右の映像の取り込み部を作る必要があり、これでは画像取り込み部が大変大きなものになってしまうが、前記各実施形態例では、まず広角にしてから撮影するようにしたので、画像取り込み部を小型にすることができる。
【0038】
また、立体写真型の3次元立体映像信号としてのフィールドシーケンシャルな立体信号では、立体写真の一部を切り取り拡大して一枚の画にするため、結果としてズームすることになったが、前記各実施形態例では、まず広角手段により広角にしてから撮影するようにしたので、3次元立体映像信号を作るのに拡大しても画角はもとのままで済むことになる。特に立体映像では、前景中景遠景とか比較するものがあると立体感がよく出るし、またズームしたものには立体感が乏しいということがあったが、広角手段により画角を変えずに立体撮影が可能となり、広角の立体感のある迫力ある立体映像が得られるようになった。
【0039】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に記載の発明によれば、立体写真型の3次元立体映像の映像信号の右画面、左画面をそれぞれ切り取ったときに不要となる映像の上下部分を最初から入光せず、上下部分を写す光学系を省いているので、光学アダプター装置を小型にすることができる。また、裸眼立体視を行うときのめやすとして役立つ。
また請求項2に記載の発明によれば、まず広角手段により広角にしてから撮影するようにしたので、3次元立体映像信号を作るのに拡大しても画角はもとのままで済むことになる。特に立体映像では、前景中景遠景とか比較するものがあると立体感がよく出るし、またズームしたものには立体感が乏しいということがあったが、広角手段により画角を変えずに立体撮影が可能となり、広角の立体感のある迫力ある立体映像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態例を示すビデオカメラ装置及び3次元立体映像信号変換装置の斜視図。
【図2】上記ビデオカメラ装置のビデオカメラ本体と、該ビデオカメラ本体に着脱される立体写真撮影用の光学アダプター装置及び広角アダプターの斜視図。
【図3】上記ビデオカメラ装置と3次元立体映像信号変換装置とVTR及びテレビジョン受像機からなる立体視システムのブロック図。
【図4】(A)は上記ビデオカメラ装置で撮影する背景の説明図、(B)は同ビデオカメラ装置のCCDで撮影される左右の映像を切る取る際の説明図、(C)は同切り取られて拡大された左眼用の映像の説明図、(D)は同切り取られて拡大された右眼用の映像の説明図。
【図5】第2の実施形態例のビデオカメラ装置のビデオカメラ本体と、該ビデオカメラ本体に着脱される立体写真撮影用の光学アダプター装置及び広角アダプターの斜視図。
【図6】上記第2の実施形態例のビデオカメラ装置のビデオカメラ本体と、該ビデオカメラ本体に着脱される立体写真撮影用の光学アダプター装置及び広角アダプターの分離状態を示す斜視図。
【図7】(A)は上記第2の実施形態例のビデオカメラ装置で撮影する背景の説明図、(B)は同ビデオカメラ装置のCCDで撮影される左右の映像を切る取る際の説明図、(C)は同切り取られて拡大された左眼用の映像の説明図、(D)は同切り取られて拡大された右眼用の映像の説明図。
【図8】(A)は上記第2の実施形態例のビデオカメラ装置により左眼用の映像と右眼用の映像を同時に画面に映し出した状態を示す説明図、(B)は平行法による立体視の状態を示す説明図、(C)はプリントによる立体視の状態を示す説明図。
【図9】第3の実施形態例のビデオカメラ装置と、該ビデオカメラ装置のビデオカメラ本体に着脱される立体写真撮影用の光学アダプター装置の斜視図。
【図10】上記第3の実施形態例の光学アダプター装置の要部の断面図。
【図11】第4の実施形態例のビデオカメラ装置のビデオカメラ本体と、該ビデオカメラ本体に着脱される立体写真撮影用の光学アダプター装置及び広角アダプターの斜視図。
【図12】上記第4の実施形態例の光学アダプター装置と広角アダプターを分離した状態を示す斜視図。
【図13】上記第4の実施形態例の光学アダプター装置の要部の拡大斜視図。
【符号の説明】
1…ビデオカメラ装置、20,20′,20″…光学アダプター装置、21,21′,21″…画像取り込み部、26′,26″…三角プリズム(光学部材)、32,32L,32R…広角手段、40…3次元立体映像信号変換装置、ML,MR…マーク。
Claims (2)
- 片方の眼用の映像を画面の右半分に、他方の眼用の映像を画面の左半分にくるようにした立体写真型の3次元立体映像について、この立体写真型の3次元立体映像の映像信号の右画面、左画面をそれぞれ切り取ってから上記画面の最大限の大きさに変換拡大し、これを2つの眼のそれぞれ専用の映像信号とするようにした3次元立体映像信号変換装置の映像撮影用の光学アダプター装置において、
上記立体写真型の3次元立体映像を取り入れるための光学部分と、
上記右画面、左画面をそれぞれ切り取ったときに不要となる映像の上下部分をカットするように構成した光学系とを備え、
上記右画面、左画面のそれぞれの概略中央に映像の概略中心であることを示すマークを、上記立体写真型の3次元立体映像の不要となる映像の上記カットされる部分に配設するように構成したことを特徴とする3次元立体映像信号変換装置の映像撮影用の光学アダプター装置。 - 上記立体写真型の3次元立体映像を取り入れるための光学部分に、画像を広角にする広角手段を配設するように構成したことを特徴とする請求項1記載の3次元立体映像信号変換装置の映像撮影用の光学アダプター装置。
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