JP2021038164A - フルオレセイン類化合物の製造方法 - Google Patents

フルオレセイン類化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 工業的なスケールで効率的かつ安全に、高純度のフルオレセイン類化合物を製造する方法を提供する。【解決手段】 フェノール性水酸基を有する化合物と酸無水物を、酸性触媒存在下で反応させて得られるフルオレセイン類化合物を、アルカリ性溶媒中で溶解し、次いで、酸を加えて、溶液のpHを酸性に調整し、その後、無機塩を添加して、結晶を析出させ、フルオレセイン類化合物を製造する。【選択図】図1

Description

本発明は、工業的なスケールで効率がよく、かつ安全性が高いフルオレセイン類化合物の製造方法に関する。
フルオレセイン類化合物は、溶液中で強い蛍光発光を示すことが知られており、タンパク質のための蛍光標識剤や、タンパク質追跡のための蛍光試薬としての生物学的な用途を有する。
さらには、フルオレセイン類化合物は、がんや炎症性疾患治療薬や化粧品材料、有機ELパネル並びにカラーフィルター基板材料などの電子情報材料や光学材料など、工業用途として多岐にわたる分野で有用な化合物である。
一般的なフルオレセイン類化合物の製造方法は、フェノール性水酸基を有する化合物と酸無水物を酸性触媒存在下で反応させることで得られる。
フルオレセインは、1871年にレゾルシノールと無水フタル酸から初めて合成され、その後多くの研究者により蛍光特性解析や類縁体の合成研究がなされてきた。フルオレセイン類化合物の一種であるナフトフルオレセインは、1989年に1,6−ジヒドロキシナフタレンと無水フタル酸から合成されている。
特許文献1ではフルオレセイン類化合物の合成方法に用いる酸触媒として、塩化亜鉛を用いる方法が提案されている。
しかしながら、塩化亜鉛は潮解性があるため加水分解を受けやすく、工業的な取り扱いが困難であるといった課題がある。また塩化亜鉛は加熱により分解し、有毒なヒュームを生じることが知られている。塩化亜鉛のヒュームは刺激性であり、眼、呼吸器あるいは皮膚を刺激するといった問題もある。また近年、より高純度のフルオレセイン類化合物を、工業的なスケールで効率よく製造する方法が求められている。
そのため、特許文献2、非特許文献1、2および3ではメタンスルホン酸を酸性触媒および反応溶媒として用いる製造方法が提案されている。
しかしながら、特許文献2、非特許文献1、2および3に記載されている製造方法は、メタンスルホン酸を酸触媒兼反応溶媒として使用しているため、メタンスルホン酸の使用量が過剰となり、合成反応の後の酸処理が困難であるといった課題がある。
さらに上述した製造方法では、反応液を水に添加してフルオレセイン類化合物の析出操作を行なうが、強酸であるメタンスルホン酸を水に添加することにより激しい発熱を伴うため、安全な生産方法とはいえない。また発熱を抑制するために少量ずつ添加すると生産性が低下するため、効率的な生産方法とならない。加えて、水による析出操作では不純物や類縁物質も同時に析出するため、析出されるフルオレセイン類化合物の化学純度も低いという問題がある。
さらに特許文献2、非特許文献1、2および3ではフルオレセイン類化合物の精製にカラムクロマトグラフィーを用いているが、カラムクロマトグラフィーでの精製は効率が悪く、精製コストが高く安定した工業生産方法とは言えない。
また、特許文献2、非特許文献1、2および3に記載されている精製方法では、得られるフルオレセイン類化合物の結晶性が悪く、結晶の粒子径が小さく凝集が起きやすい。工業的なスケールで生産する場合、主にフルオレセイン類化合物をろ過する工程において、結晶の粒子径が小さいと目詰まりが発生しやすくなるため、ろ過長時間化による生産性の低下や設備トラブルの原因となる。
すなわち、フルオレセイン類化合物の製造において、生産効率が高く、かつ安全性が高い工業的な製造方法は未だ確立されておらず、高純度のフルオレセイン類化合物を工業的なスケールで効率的かつ安全に生産する製造方法が求められていた。
欧州特許第0357350号明細書 国際公開第2016/148215号
Chemical Communications,5974−5976,2005. Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 18(22),5948−5950,2008. Journal of Organic Chemistry,77(7),3492−3500,2012.
本発明の目的は、工業的なスケールで効率的かつ安全に高純度のフルオレセイン類化合物を製造する方法を提供することにある。
本発明者等は、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明を見出すに至った。即ち、本発明の高純度のフルオレセイン類化合物の製造方法は、フェノール性水酸基を有する化合物と酸無水物を、酸性触媒存在下で反応させて得られるフルオレセイン類化合物を、アルカリ性溶媒中で溶解し、次いで、酸を加えて、溶液のpHを酸性に調整し、その後、無機塩を添加して、結晶を析出させることを特徴とする。
本発明のフルオレセイン類化合物の製造方法によれば、粒子の凝集を抑制し、生産性および取扱い性を優れたものにし、かつ純度が高いフルオレセイン類化合物を効率的かつ安全に生産することができる。得られたフルオレセイン類化合物は、生物学的な用途や、電子情報材料や光学材料など、多岐にわたる工業用途で有用である。
実施例1のナフトフルオレセインのX線回折パターンの図である。 図2(a)は実施例1のナフトフルオレセインの粒子性状を観察した写真図、図2(b)はその粒子群の線描図である。 比較例3のナフトフルオレセインのX線回折パターンの図である。 図4(a)は比較例3のナフトフルオレセインの粒子性状を観察した写真図、図4(b)はその粒子群の線描図である。 比較例4のナフトフルオレセインのX線回折パターンの図である。 図6(a)は比較例4のナフトフルオレセインの粒子性状を観察した写真図、図6(b)はその粒子群の線描図である。
以下に、本発明のフルオレセイン類化合物の製造方法について詳細に記載する。本明細書において、フルオレセイン類化合物とは、フルオレセインおよびその誘導体、並びにナフトフルオレセインおよびその誘導体をいうものとする。
本発明のフルオレセイン類化合物の製造方法は、フェノール性水酸基を有する化合物と酸無水物を、酸性触媒存在下で反応させてフルオレセイン類化合物の粗結晶を得る工程と、得られた粗結晶を、アルカリ性溶媒中で溶解し、次いで酸を加えて、溶液のpHを調整し、その後、無機塩を添加して、高純度な結晶を析出する工程を含む。
フェノール性水酸基を有する化合物として、フェノール類、ナフトール類を使用することができる。さらに、フェノール性水酸基を有する化合物は、1種類を使用することができ、または、2種類以上を混合して用いることができる。
フェノール類を反応に用いると、フルオレセインおよびその誘導体からなるフルオレセイン類化合物が得られる。フェノール類としては、例えば、フェノール、カテコール、レゾルシノール、2−アミノレゾルシノール、4−アミノレゾルシノール、2−クロロレゾルシノール、4−クロロレゾルシノール、2−ブロモレゾルシノール、4−ブロモレゾルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール、フロログルシノール、サリチル酸、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、o−ブロモフェノール、m−ブロモフェノール、p−ブロモフェノール、o−ヨードフェノール、m−ヨードフェノール、p−ヨードフェノール、2−ニトロフェノール、3−ニトロフェノール、4−ニトロフェノールなどが例示される。フェノール類としてはフェノール、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール、ヒドロキシ安息香酸、アミノフェノールが、より好ましく、なかでも、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノンが特に好ましい。
一方、フェノール性水酸基を有する化合物として、ナフトール類を用いるとナフトフルオレセインおよびその誘導体からなるナフトフルオレセイン類化合物が得られる。
ナフトール類としては、例えば、1−ナフトール、2−ナフトール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−4−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−5−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−7−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−8−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、3−アミノ−1−ナフトール、4−アミノ−1−ナフトール、5−アミノ−1−ナフトール、6−アミノ−1−ナフトール、7−アミノ−1−ナフトール、8−アミノ−1−ナフトール、1−アミノ−2−ナフトール、3−アミノ−2−ナフトール、4−アミノ−2−ナフトール、5−アミノ−2−ナフトール、6−アミノ−2−ナフトール、7−アミノ−2−ナフトール、8−アミノ−2−ナフトール、3−クロロ−1−ナフトール、4−クロロ−1−ナフトール、5−クロロ−1−ナフトール、6−クロロ−1−ナフトール、7−クロロ−1−ナフトール、8−クロロ−1−ナフトール、1−クロロ−2−ナフトール、3−クロロ−2−ナフトール、4−クロロ−2−ナフトール、5−クロロ−2−ナフトール、6−クロロ−2−ナフトール、7−クロロ−2−ナフトール、8−クロロ−2−ナフトール、3−ブロモ−1−ナフトール、4−ブロモ−1−ナフトール、5−ブロモ−1−ナフトール、6−ブロモ−1−ナフトール、7−ブロモ−1−ナフトール、8−ブロモ−1−ナフトール、1−ブロモ−2−ナフトール、3−ブロモ−2−ナフトール、4−ブロモ−2−ナフトール、5−ブロモ−2−ナフトール、6−ブロモ−2−ナフトール、7−ブロモ−2−ナフトール、8−ブロモ−2−ナフトール、などが例示される。ナフトール類としては、ナフトール、ジヒドロキシナフタレン、アミノナフトール、ヒドロキシナフトエ酸が好ましく、なかでも1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレンが特に好ましい。
本発明の製造方法において、酸無水物には、好ましくは、フタル酸無水物およびその誘導体を用いることができる。フタル酸無水物のベンゼン環は、任意に置換基を有してもよい。その置換基は、官能基の種類、数および位置も特に限定されない。また置換基は、置換基を有する縮合したベンゼン環又は無置換の縮合したベンゼン環でもよい。
フタル酸無水物およびその誘導体の例としては、フタル酸無水物、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,2−ナフタレンジカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物、3−メチルフタル酸無水物、4−メチルフタル酸無水物、3−クロロフタル酸無水物、4−クロロフタル酸無水物、3−ブロモフタル酸無水物、4−ブロモフタル酸無水物、3−ヒドロキシフタル酸無水物、4−ヒドロキシフタル酸無水物、3−アミノフタル酸無水物、4−アミノフタル酸無水物、3−ニトロフタル酸無水物、4−ニトロフタル酸無水物、3−メチルフタル酸無水物、4−メチルフタル酸無水物などが例示される。
フルオレセイン類化合物の製造方法において、フェノール性水酸基を有する化合物および酸無水物の使用量に特に制限はなく、フェノール性水酸基を有する化合物が酸無水物に対し多いほど反応が進み易くて良いが、多すぎると、原料費が高くなり経済性の面では好ましくない。フルオレセイン類化合物の合成のためのフェノール性水酸基を有する化合物の量は、具体的には、用いる酸無水物のモル量に対して1〜10モル倍が良く、より好ましくは2〜4モル倍であり、さらに好ましくは2〜3モル倍である。安価な工業的製造方法としては、化学量論量である2モル倍で反応させることが良い。
フルオレセイン類化合物の製造方法では、反応促進剤として酸性触媒が使用される。酸性触媒としては、好ましくは、プロトン酸があげられる。プロトン酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、フルオロスルホン酸、ヘキサフルオロアンチモン酸、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、クロム酸、ホウ酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などが例示される。プロトン酸としては塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸が好ましい。
酸性触媒量は、フェノール性水酸基を有する化合物の使用量に対して0.1〜20モル倍であり、好ましくは1〜10モル倍であり、より好ましくは2〜5モル倍である。酸性触媒量が0.1モル倍未満では反応速度が著しく低下し、得られるフルオレセイン類化合物の量が低下してしまう場合がある。一方、20モル倍以上用いると、酸性廃棄物が多量に排出されるため、酸処理が困難となり、安全な工業的製造方法とはならない場合がある。
フルオレセイン類化合物の製造方法で用いられる反応溶媒には、反応を阻害しない溶媒が選択されるが、晶析による精製を行なうため、フルオレセイン類化合物の溶解性が低いカルボン酸を含む溶媒を用いるとよい。カルボン酸の炭素数は、好ましくは1〜24、より好ましくは1〜9、更に好ましくは1〜4であるとよい。カルボン酸の具体例としては、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ピバル酸、吉草酸、イソ吉草酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、2−エチルヘキサン酸、カプリル酸、オレイン酸、乳酸、クエン酸、シュウ酸、オクチル酸、ナフテン酸、ネオデカン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグリノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、トウハク酸、リンデル酸、ツズ酸、マッコウ酸、ミリストオレイン酸、ゾーマリン酸、ペトロセリン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、鯨油酸、エルシン酸、サメ油酸、リノール酸、ヒラゴ酸、エレオステアリン酸、ブニカ酸、トリコサン酸、リノレン酸、モロクチ酸、パリナリン酸、アラキドン酸、イワシ酸、ヒラガシラ酸、ニシン酸等が挙げられる。中でも蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸が好ましく、更に好ましくは、酢酸、プロピオン酸が用いられる。さらに、カルボン酸は1種類を用いてもよく、または、2種類以上を混合して用いることができる。なお、本明細書において、カルボン酸は、無水カルボン酸を含まないものとする。
カルボン酸を含む反応溶媒は、カルボン酸以外の他の溶媒を含んでもよい。カルボン酸と混合する他の溶媒の成分としては、一般的に使用される溶媒から選択されるが、フルオレセイン類化合物の合成反応を阻害しない電子求引性官能基を有する溶媒がより好ましい。具体的には、ジクロロメタン、ジクロロエタンおよびクロロホルム等のハロゲン系溶媒、ニトロメタン、ニトロエタンおよびニトロベンゼン等のニトロ系溶媒、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブタナール、ペンタナールおよびベンズアルデヒド等のアルデヒド系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルおよび酢酸イソブチル等のエステル系溶媒などが挙げられる。
カルボン酸を含む反応溶媒100重量%に対し、カルボン酸の含有量は、フルオレセイン類化合物の溶解性を低下させない範囲で適宜選択されるが、1重量%〜100重量%が好ましく、より好ましくは30重量%〜100重量%であり、さらにより好ましくは50重量%〜100重量%である。本発明では、カルボン酸を含む反応溶媒が、カルボン酸のみで構成されてもよい。
フルオレセイン類化合物の製造方法での反応溶媒の使用量は、フェノール性水酸基を有する化合物に対し、好ましくは、0.5〜100重量倍であり、より好ましくは1〜50重量倍であり、さらにより好ましくは1〜20重量倍である。
フルオレセイン類化合物を製造する反応温度は、通常40〜150℃、好ましくは50〜130℃、さらに好ましくは70〜120℃である。40℃以上が反応速度の観点から好ましく、150℃以下が安全な工業的製造条件という観点から好ましい。
フルオレセイン類化合物を製造するときの反応雰囲気は、特に限定されるものではないが、好ましくは窒素等の不活性雰囲気であるとよい。フルオレセイン類化合物を、窒素雰囲気で製造することにより、爆発防止など、安全に製造することができる。
フルオレセイン類化合物の製造工程で、得られる反応液を晶析操作することにより、(1)未反応原料の除去/低減、(2)反応溶媒の除去/低減、(3)酸性触媒の除去/低減することが可能である。本発明では、好ましくは、晶析により、フルオレセイン類化合物の粗結晶を単離する。晶析により、フルオレセイン類化合物を単離することにより、フルオレセイン類化合物が精製され、得られたフルオレセイン類化合物の化学純度が向上する。晶析により得られたフルオレセイン類化合物の粗結晶の化学純度は、好ましくは、90%以上であり、より好ましくは、95%以上である。
晶析には、冷却晶析、貧溶媒晶析などがあるが、本発明では、簡便な晶析方法である冷却晶析がより好ましい。なお、本明細書に記載する冷却晶析とは、反応溶液を反応温度以下に冷却することにより、溶液温度によるフルオレセイン類化合物の溶解度差を利用してフルオレセイン類化合物の結晶を析出させる方法を意味する。また貧溶媒晶析とは、フルオレセイン類化合物を溶解しない溶媒を反応溶液中に加え、反応溶液の溶解度を低下させてフルオレセイン類化合物の結晶を析出させる方法、あるいは反応液をフルオレセイン類化合物が不溶の溶媒中に加えてフルオレセイン類化合物を析出させる方法、あるいは、フルオレセイン類化合物の溶解度が高い溶媒と低い溶媒を混合し、溶解度の高い溶媒を留去してフルオレセイン類化合物の結晶を析出させる方法を意味する。また、冷却晶析および貧溶媒晶析を組み合わせてもよい。
フルオレセイン類化合物の製造方法において、晶析に用いる溶媒(以下、「晶析溶媒」という。)は、特に制限されるものではないが、例えば、酢酸などのカルボン酸、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロベンゼン等のニトリル系溶媒、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブタナール、ペンタナール、ベンズアルデヒド等のアルデヒド系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル系溶媒、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、酢酸、プロピオン酸、エチレングリコール、グリセリン等のプロトン性溶媒、トルエン等の非プロトン性溶媒、等を挙げることができる。とりわけ、貧溶媒晶析に用いる溶媒として、好ましくは、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、酢酸、プロピオン酸、エチレングリコール、グリセリン等のプロトン性溶媒、トルエン等の非プロトン性溶媒、等を挙げることができる。
また、晶析溶媒の使用量は、フェノール性水酸基を有する化合物に対し、好ましくは0.5〜100重量倍、より好ましくは1〜60重量倍であるとよい。晶析溶媒を1重量倍以上使用することにより、フルオレセイン類化合物の化学純度を高くすることができる。また、晶析溶媒の使用量を60重量倍以下にすることにより、生産コストを低減することができる。
フルオレセイン類化合物の製造方法において、晶析温度として、冷却晶析では好ましくは5〜80℃、より好ましくは10〜60℃、更に好ましくは10〜30℃にするとよく、貧溶媒晶析では好ましくは5〜80℃、より好ましくは10〜60℃にするとよい。
析出した粗結晶を濾過することにより未反応原料、酸性触媒、および反応溶媒と分離できる。さらに、得られた粗結晶を洗浄することにより、付着する未反応原料、酸性触媒、および反応溶媒を除去することが好ましい。
粗結晶を濾過する温度は、好ましくは10〜80℃、より好ましくは20〜60℃にするとよい。濾過温度を40℃以上にすることにより、溶媒の粘度が低下し、ろ過性が向上する。また60℃以下で濾過することにより、粗結晶の溶解を抑制することができる。
濾過されたフルオレセイン類化合物の粗結晶は、アルカリ性溶媒中で溶解し、次いで、酸を加えて、溶液のpHを酸性に調整し、その後、無機塩を添加することにより結晶性が高く、且つ高純度な結晶を析出させて精製することができる。
フルオレセイン類化合物の粗結晶をアルカリ性溶媒中で溶解するとき、フルオレセイン類化合物の粗結晶およびアルカリ性溶媒を混合してもよいし、フルオレセイン類化合物の粗結晶およびプロトン性極性溶媒を混合した後、塩基を添加しアルカリ性にしてもよい。アルカリ性溶媒として、塩基をプロトン性極性溶媒に溶解したものを例示することができる。
フルオレセイン類化合物の微結晶をアルカリ性溶媒中で溶解するときのpHは、好ましくはpH8〜pH13、より好ましくはpH10〜pH12に調整するとよい。pH10以上にすることにより、微結晶を完全に溶解することができる。pH12以下にすることにより、その後のpH調整を容易にすることができる。pHの調整は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、等の塩基の添加量を調節することにより行うことができる。
プロトン性極性溶媒として、例えば水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、酢酸、プロピオン酸、エチレングリコール、グリセリン、等が挙げられる。中でも水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールが好ましく、更に好ましくは水、メタノール、2−プロパノールが用いられる。さらにプロトン性極性溶媒は1種類を用いてもよく、または2種類以上を混合して用いることができる。
アルカリ性溶媒、またはプロトン性極性溶媒の使用量は、フェノール性水酸基を有する化合物に対し、好ましくは2〜20重量倍であり、より好ましくは3〜10重量倍であり、さらに好ましくは4〜8重量倍であるとよい。アルカリ性溶媒の使用量を4重量倍以上にすることにより、フルオレセイン類化合物を完全に溶解することができるため、結晶化すると粒子径が大きくなる。また、8重量倍以下にすることにより、晶析率を高くすることができる。
アルカリ性溶媒、プロトン性溶媒は、常温または加温状態で使用することができる。ここで加温状態とは、好ましくは30〜80℃、より好ましくは50〜70℃にするとよい。アルカリ性溶媒、プロトン性溶媒を加温状態にすることにより、粗結晶を容易に完溶することができる。
フルオレセイン類化合物の微結晶をアルカリ性溶媒中、pHを調整し完溶した後、その溶液のpHを調整し無機塩を添加することにより、結晶性が高く、純度も高い結晶を析出させて精製する。フルオレセイン類化合物を完溶した溶液は、pHを好ましくはpH4〜pH7、より好ましくはpH4〜pH6に調整するとよい。pHの調整は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、等の酸を添加することにより行うことができる。pH4〜pH6に調整することにより、フルオレセイン類化合物を完溶した溶液を中和し、フルオレセイン類化合物をフリー化することができ、続く無機塩による塩析を容易にすることができる。
フルオレセイン類化合物をフリー化した後、無機塩を添加することにより、フルオレセイン類化合物を塩析する。無機塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩、等を挙げることができる。具体的に、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ストロンチウム、塩化バリウム、等が例示される。
無機塩を添加する量は、フェノール性水酸基を有する化合物に対し、好ましくは0.1〜5重量倍であり、より好ましくは0.2〜1重量倍であるとよい。無機塩の添加量をこのような範囲内にすることにより、フルオレセイン類化合物の結晶を効率的に塩析することができる。
上述した製造方法により得られたフルオレセイン類化合物の結晶は、結晶性が高く、化学純度も高い。好ましは、濾過により未反応原料、酸性触媒、反応溶媒を更に分離できる。さらに、得られた結晶を洗浄することにより、付着する未反応原料、酸性触媒、反応溶媒を除去することが好ましい。フルオレセイン類化合物は、工業的なスケールの生産工程における固液分離操作性を、従来レベル以上に改良することができる。さらに、保管または輸送時における凝集を抑制することができる。この理由は、定かではないが、フルオレセイン類化合物の結晶が大きいこと、或いは結晶が小さくても、凝集を起こしにくい形状であることなどが推定される。
本発明の製造方法で得られるフルオレセイン類化合物は、下記式(1)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2021038164
上記式(1)において、x、y、zは、0〜4の整数を表し、R1、R2、R3は、それぞれ独立して、縮合した置換を有するベンゼン環又は無置換の縮合したベンゼン環である。x、y、zは、好ましくは、1〜4の整数である。R1、R2は、好ましくは、水酸基を有する縮合したベンゼン環であり、より好ましくはx,yが1、zが0であるとよい。
本発明の製造方法で得られるフルオレセイン類化合物は、下記式(2)〜(4)で表される化合物の群から選ばれる化合物であることがさらに好ましい。フルオレセイン類化合物は、下記式(2)〜(4)で表される化合物のうち、1種類の化合物でも、複数種の化合物の混合物でもよい。
Figure 2021038164
上記式(2)〜(4)において、a、b、c、d、e、fは、1〜4の整数を表し、R6、R7、R8、R9、R10、R11は、それぞれ独立して、水素、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、スルホン酸基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基及びアルキル基からなる群から選択される。R6、R7、R8、R9、R10、R11は、水酸基であることがより好ましい。
本発明の製造方法で得られるフルオレセイン類化合物は、さらに好ましくは、下記式(5)〜(7)で表される化合物の群から選ばれる化合物である。フルオレセイン類化合物は、下記式(5)〜(7)で表される化合物のうち、1種類の化合物でも、複数種の化合物の混合物でもよい。
Figure 2021038164
本発明の製造方法で得られるフルオレセイン類化合物は、Cu−Kα線による粉末X線回折パターンにおいて、回折角2θ=19.5〜20.5°、および2θ=23.5〜24.5°にピークを有するとよい。回折角2θが、19.5〜20.5°の領域、および23.5〜24.5°の領域にピークを有することは、フルオレセイン類化合物の結晶性が高く、結晶の粒子径が大きいこと、かつ化学純度が高いことを意味する。結晶の粒子径が大きいことに加え凝集しにくいため、工業的なスケールの生産工程における濾過等の操作時における目詰まりを抑制することができる。これにより、濾過時間を短縮し生産効率を高くし、固液分離操作性に優れる。本明細書において、フルオレセイン類化合物のCu−Kα線による粉末X線回折パターンは、粉末X線回折装置を使用して後述する条件で測定することができる。なお、Cu−Kα線による粉末X線回折パターンの特定は、同一の結果が得られる限り、上述した測定に限定されるものではない。
本発明の製造方法で得られるフルオレセイン類化合物は、その結晶の大きさが、好ましくは15〜900μmの範囲、より好ましくは30〜600μmの範囲、更に好ましくは50〜400μmの範囲であるとよい。フルオレセイン類化合物の結晶の大きさは、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置を使用して後述する条件で測定することができる。なお、結晶の大きさの特定は、同一の結果が得られる限り、上述した測定に限定されるものではない。
フルオレセイン類化合物は、その融点が好ましくは100℃〜150℃、より好ましくは110℃〜140℃であるとよい。フルオレセイン類化合物の融点は、示差走査熱量計を使用し、後述する条件で熱分析を行いて測定されたピークトップの温度を融点とすることができる。
フルオレセイン類化合物は、その化学純度が好ましくは99.5%以上、より好ましくは99.8%以上であるとよい。フルオレセイン類化合物の化学純度の上限値は100%である。本明細書において、フルオレセイン類化合物の化学純度は、高速液体クロマトグラフィー法(以下、「HPLC」と略す。)を使用し、後述する方法により測定したときのフルオレセイン類化合物のピーク面積の分率(HPLC area%)である。
以下、実施例により具体的に説明する。なお、本明細書において得られるフルオレセイン類化合物のCu−Kα線による粉末X線回折パターン、結晶の大きさ(形態)、融点、化学純度(HPLC純度)は、次の方法により測定した。
(Cu−Kα線による粉末X線回折パターン)
粉末X線回折装置(PANalytical社製Empyrean)を使用し、以下の条件で測定し、X線回折チャートを得た。
フルオレセイン類化合物100〜150mgをガラス試験板の試料充填部に充填し、以下の条件で測定した。
X線源 :CuKα
測定範囲 :2θ=5°〜50°
ステップサイズ :2θ=0.026
スキャンステップ時間 :17.3秒
発散スリットサイズ :0.2°、固定
X線出力 :40mA、45kV
(結晶の大きさ)
レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(HORIBA社製LA−920)を使用し、分散溶媒として水を用い、結晶の大きさを求めた。または、光学顕微鏡を用いて撮像して粒子径を測定し、結晶の大きさおよび形態を観察した。
(融点)
示差走査熱量計(TA Instruments社製DSC−Q20)を使用し、以下の条件で熱分析を行い、ピークトップを融点として求めた。
測定範囲 :5〜200℃
加熱速度 :10℃/分
ホールド時間 : 0分
パン :アルミニウム製パン
雰囲気ガス :窒素(セル外流量:50ml/分)
サンプル調製 :アルミニウム製パンにフルオレセイン類化合物2〜3mgを大気下で秤量した。
(化学純度(HPLC純度))
以下の条件の液体クロマトグラフィー(島津製作所製LC−10Vp)により、フルオレセイン類化合物のピーク面積の分率(HPLC area%)を測定し、化学純度とした。
カラム :Mightysil RP18GP、4.6×150mm (5μm)
カラム温度 :40℃
移動相 :(A)5mmol/L硫酸水素テトラブチルアンモニウム水溶液
(B)メタノール
グラジエント 0分 (A):(B)=65:35
20分 (A):(B)=35:65
22分 (A):(B)=35:65
流量 :1mL/min
注入量 :5μL
検出 :UV254nm
分析時間 :30分
サンプル調製 :サンプル0.01gを秤量し、メタノール約25mLに希釈させた。
ただし、上記の分析条件に基づく分析結果と同じ結果が得られる限り、この分析条件に限定されるものではない。
(実施例1)
温度計、冷却管および撹拌機を取り付けた1Lの4つ口フラスコに、1,6−ジヒドロキシナフタレン72.1g(0.5mol)、フタル酸無水物33.3g(0.2mol)、メタンスルホン酸(MeSO3H)86.5g(0.9mol)、酢酸70.3gを仕込み、系内を窒素置換した。この混合液を撹拌しながら120℃まで昇温し7時間加熱撹拌してナフトフルオレセインの合成反応を行った。得られた反応液を100℃まで冷却後、酢酸281.0gを滴下し、内温50℃まで冷却撹拌してナフトフルオレセインの粗結晶を析出させた。
析出した粗結晶を濾過し、酢酸で洗浄した。得られたウェットケークを温度計、冷却管および撹拌機を取り付けた1Lの4つ口フラスコに入れ、水163.4gとイソプロパノール(IPA)245.1gを加えて60℃まで昇温し撹拌した。その後pHが12以上になるまで48%NaOHを滴下して結晶を完溶させた。次に35%HClを滴下してpHが5になるように調整した後、NaClを41.3g加え、60℃に保ちながら撹拌した。30分後、赤い結晶の析出を確認した。放冷後、この結晶を桐山ろうと(桐山製作所社製)、ろ紙(桐山製作所社製No.5C、95mmφ)でろ過したところ、1分以内でろ過でき、ろ過性が良好であることを確認した。水で洗浄、乾燥することで赤色結晶のナフトフルオレセインを52.6g得た。得られたナフトフルオレセインは、化学純度99.6%、融点128℃、収率54%であった。
得られたナフトフルオレセインにおける、Cu−Kα線による粉末X線回折パターンを図1に示す。回折角2θ=19.5〜20.5°、および2θ=23.5〜24.5°にピークを有することが確認される。
また、得られたナフトフルオレセインの結晶を顕微鏡で観察した写真観察図を図2に示す。結晶形態は、50〜300μmの結晶であり、凝集がなく取扱い性に優れることが認められた。
(比較例1)
実施例1と同様にしてナフトフルオレセインの粗結晶を得た。
得られた粗結晶を濾過し、酢酸で洗浄し、得られたウェットケークを温度計、冷却管および撹拌機を取り付けた1Lの4つ口フラスコに入れ、水187.6gとイソプロパノール(IPA)281.4gを加えて60℃まで昇温し撹拌した。これに48%NaOHを滴下し中和した。その後、室温まで冷却して晶析させた。この結晶を桐山ろうと(桐山製作所社製)、ろ紙(桐山製作所社製No.5C、95mmφ)でろ過したところ、ろ過に57分と長時間を要した。水で洗浄、乾燥することで赤紫色の微粉のナフトフルオレセインを31.0g得た。得られたナフトフルオレセインは、収率32%であった。粒子性状は、10μm以下の微粒子の集まりであり、一部凝集しているのが認められた。
(比較例2)
実施例1と同様にしてナフトフルオレセインの粗結晶を得た。
得られた粗結晶を濾過し、酢酸で洗浄し、得られたウェットケークを温度計、冷却管および撹拌機を取り付けた1Lの4つ口フラスコに入れ、水472.9gを加えて室温で撹拌した。その後pHが12以上になるまで48%NaOHを滴下して結晶を完溶させた。次に35%HClを滴下して晶析させた。この結晶を桐山ろうと(桐山製作所社製)、ろ紙(桐山製作所社製No.5C、95mmφ)でろ過したところ、ろ過に29分と長時間を要した。水で洗浄、乾燥することで紫色の微粉のナフトフルオレセインを60.6g得た。得られたナフトフルオレセインは、化学純度が98.6%、融点175℃、収率62%であった。粒子性状は、10μm以下の微粒子の集まりであり、一部凝集しているのが認められた。
(比較例3)
温度計、冷却管および撹拌機を取り付けた100mLの4つ口フラスコに、1,6−ジヒドロキシナフタレン72.1g(0.5mol)、フタル酸無水物33.3g(0.2mol)、メタンスルホン酸(MeSO3H)173.3g(1.8mol)、酢酸281.2gを仕込み、系内を窒素置換した。この混合液を撹拌しながら120℃まで昇温し、ナフトフルオレセインの合成反応を行った。24時間加熱撹拌を行った後、反応液をHPLCにより分析した。反応液中のナフトフルオレセインは、化学純度86%であった。得られた反応液を30−40℃に冷却させナフトフルオレセインの粗結晶を析出させた。
析出した粗結晶を濾過、酢酸と水で洗浄した。得られたウェットケークを温度計、冷却管および撹拌機を取り付けた1Lの4つ口フラスコに入れ、水337.3gを加えてスラリー状態で室温で撹拌した。この結晶を桐山ろうと(桐山製作所社製)、ろ紙(桐山製作所社製No.5C、95mmφ)でろ過したところ、ろ過に13分と長時間を要した。乾燥し、赤紫のナフトフルオレセインを74.2g得た。得られたナフトフルオレセインは、化学純度99%、収率76%であった。粒子性状は、1〜100μmの粒子が混在しており、一部凝集しているのが認められた。
得られたナフトフルオレセインにおける、Cu−Kα線による粉末X線回折パターンを図3に示す。回折角2θ=19.5〜20.5°、および2θ=23.5〜24.5°にピークを有しないことが確認される。
また、得られたナフトフルオレセインの結晶を顕微鏡で観察した写真観察図を図4に示す。
(比較例4)
温度計、冷却管および撹拌機を取り付けた100mLの4つ口フラスコに、1,6−ジヒドロキシナフタレン4.77g(0.03mol)、無水フタル酸2.22g(0.015mol)、メタンスルホン酸57.66g(0.60mol)を仕込み、系内を窒素置換した。この混合液を撹拌しながら120℃まで昇温し、ナフトフルオレセイン合成反応を行った。13時間加熱撹拌を行った後、反応液をHPLCにより分析した。反応液中のフルオレセインは、化学純度85%であった。
得られた反応液を10℃の純水70gに滴下した。このとき発熱が観測されたため、ゆっくりと滴下し、ナフトフルオレセインの結晶を析出させた。析出した結晶を濾過、純水で洗浄、乾燥することで黒色粉末のナフトフルオレセインを5.6g得た。得られたナフトフルオレセインは、化学純度82%、融点162℃、収率87%であった。
得られたナフトフルオレセインにおける、Cu−Kα線による粉末X線回折パターンを図5に示す。回折角2θ=19.5〜20.5°、および2θ=23.5〜24.5°にピークを有しないことが確認される。
また、得られたナフトフルオレセインの結晶を顕微鏡で観察した写真観察図を図6に示す。粒子性状は、10μm以下の微粒子の集まりであり、一部凝集しているのが認められた。
実施例、比較例の反応条件および評価結果を表1にまとめて記載する。
Figure 2021038164

Claims (11)

  1. フェノール性水酸基を有する化合物と酸無水物を、酸性触媒存在下で反応させて得られるフルオレセイン類化合物を、アルカリ性溶媒中で溶解し、次いで、酸を加えて、溶液のpHを酸性に調整し、その後、無機塩を添加して、結晶を析出させるフルオレセイン類化合物の製造方法。
  2. 前記フェノール性水酸基を有する化合物が、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、または、2,7−ジヒドロキシナフタレンである請求項1に記載のフルオレセイン類化合物の製造方法。
  3. 前記酸無水物が、フタル酸無水物である請求項1または2に記載のフルオレセイン類化合物の製造方法。
  4. 前記無機塩が、ナトリウム塩、またはカリウム塩である請求項1〜3のいずれかに記載のフルオレセイン類化合物の製造方法。
  5. 前記アルカリ性溶媒が、水およびイソプロパノールに水酸化ナトリウムを加えた溶媒である請求項1〜4のいずれかに記載のフルオレセイン類化合物の製造方法。
  6. 前記酸が塩酸であり、前記無機塩が塩化ナトリウムである請求項1〜5のいずれかに記載のフルオレセイン類化合物。
  7. 前記フルオレセイン類化合物が、下記式(1)で表される請求項1〜6のいずれかに記載のフルオレセイン類化合物の製造方法。
    Figure 2021038164
    (式(1)において、x、y、zは、0〜4の整数を表し、R1、R2、R3は、それぞれ独立して、縮合した置換を有するベンゼン環又は無置換の縮合したベンゼン環である。)
  8. 前記フルオレセイン類化合物が、下記式(2)〜(4)のいずれかで表される請求項1〜7のいずれかに記載のフルオレセイン類化合物の製造方法。
    Figure 2021038164
    (式(2)〜(4)において、a、b、c、d、e、fは、1〜4の整数を表し、R6、R7、R8、R9、R10、R11は、それぞれ独立して、水素、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、スルホン酸基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基及びアルキル基からなる群から選択される。)
  9. 前記フルオレセイン類化合物が、Cu−Kα線による粉末X線回折パターンにおいて、回折角2θ=19.5〜20.5°、および2θ=23.5〜24.5°にピークを有する請求項1〜8のいずれかに記載のフルオレセイン類化合物の製造方法。
  10. 前記フルオレセイン類化合物の結晶の大きさが、15〜900μmの範囲である請求項1〜9のいずれかに記載のフルオレセイン類化合物の製造方法。
  11. 前記フルオレセイン類化合物の化学純度が、99.5%以上である請求項1〜10のいずれかに記載のフルオレセイン類化合物の製造方法。
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