JP2018076258A - アジルサルタンアルキルエステル、アジルサルタンメチルエステルの製造方法、及びアジルサルタンの製造方法 - Google Patents

アジルサルタンアルキルエステル、アジルサルタンメチルエステルの製造方法、及びアジルサルタンの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 アジルサルタンの中間体となるアジルサルタンアルキルエステル、および新規結晶形を有するアジルサルタンメチルエステルを製造する方法、および得られた化合物から、高純度アジルサルタンを製造する方法を提供する。【解決手段】アジルサルタンアルキルエステル及び/またはアジルサルタンメチルエステルをアセトン、又はアセトンとアルコールの混合溶媒中で結晶化させることで高純度のアジルサルタンアルキルエステル及び/またはアジルサルタンメチルエステルを製造する方法を提供する。【選択図】 図1

Description

本発明は、アジルサルタンアルキルエステルの新規な製造方法に関するものである。さらに、新規な結晶形を有するアジルサルタンメチルエステルに関するものである。また、その方法により得られたアジルサルタンアルキルエステル、および新規な結晶形のアジルサルタンメチルエステルを加水分解してアジルサルタンを製造する新規な方法に関する。
下記式(2)
Figure 2018076258
で示されるアジルサルタン(化学名称:1−[[2’−(4,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4− オキサジアゾール−3−イル)[1,1’−ビフェニル−4−イル]メチル]−2−エトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−7−カルボン酸)は、アンジオテンシンII受容体拮抗薬として優れた効果を示す治療薬として非常に有用な化合物である(特許文献1)。以下、単に、「アジルサルタン」とする場合もある。
このアジルサルタンは、以下のような製造方法で合成されている。
Figure 2018076258
先ず、前記式(3)で示されるアルキル 2−エトキシ−1−[[2’−(アルキロキシ−カルボニルオキシカルバムイミドイル)ビフェニル−4−イル]メチル]−1H−ベンズイミダゾール−7−カルボキシラート(以下、単に、「エステル保護基含有化合物」とする場合もある)を加熱雰囲気下に置くことにより環化反応を行い、前記式(1)で示されるアルキル 2−エトキシ−1−[[2’−(2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボキシラート(以下、単に、「アジルサルタンアルキルエステル」とする場合もある)を製造する。なお、前記式(3)において、Rは、ヒドロキシル基を保護する保護基である。
そして、前記式(1)で示されるアジルサルタンアルキルエステルを加水分解することにより、アジルサルタンを製造することができる(例えば、特許文献1、非特許文献1参照。)。
アジルサルタンのような原薬は、不純物を低減することが望まれている。そして、各中間体を製造する工程においても、不純物の低減が求められている。すなわち、中間体を製造する工程において生じる不純物は、所望とする目的物と構造が似ているため、分離が困難である。そして、その不純物を含んだまま、最終生成物であるアジルサルタンを製造すると、アジルサルタンの類縁物質(構造が似ている副生成物)がより一層、増加する傾向にある。そのため、原薬を製造する場合においては、中間体の製造であっても、不純物を低減することが望まれている。
特許26459962号
ジャーナル オブ メディシナル ケミストリー、(米国)、1996年、vol.39、p.5228−5235
そして、本発明者等の検討によれば、従来技術において、アジルサルタンアルキルエステルを製造する際に、以下の点で改善の余地があることが分かった。
例えば、特許文献1には、以下の方法が記載されている。先ず、Rがメチル基、Rがエチル基であるエステル保護基含有化合物をキシレン中で環化反応を実施し、アジルサルタンメチルエステルを合成する。次いで、反応液に酢酸エチルを加えて水洗乾燥した後、キシレンを留去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、得られた粗結晶を酢酸エチルとイソプロピルエーテルから再結晶する方法である。
また、非特許文献1においては、以下の方法が記載されている。先ず、Rがメチル基、Rが2−エチルヘキシル基であるエステル保護基含有化合物をキシレン中で環化反応を実施し、アジルサルタンメチルエステルを合成する。次いで、キシレンを留去し、酢酸エチルを用いて再結晶する方法である。
しかしながら、本発明者等の検討によれば、前記特許文献1、および前記非特許文献1に記載の方法においては、
下記式(4)
Figure 2018076258
(式中、Rはアルキル基である)
で示されるアジルサルタンアルキルエステルの加水分解物(以下、単に、「デスエチル体」とする場合もある)や、
下記式(5)
Figure 2018076258
(式中、Rはアルキル基である)
で示されるアジルサルタンアルキルエステルの二量体(以下、単に、「二量体」とする場合もある)、
さらに構造は明らかではないが、液体クロマトグラフ質量分析計(LC−MASS)の分析結果において、アジルサルタンメチルエステルの分子量に10を加えた分子量の不純物が低減できないという点で改善の余地があることが分かった。
つまり、酢酸エチルを含む溶媒で再結晶した場合には、不純物の低減という点で改善の余地があった。
また、従来知られているアジルサルタンメチルエステルの融点は、190〜200℃と高い温度である。そのため、より融点のより低いアジルサルタンメチルエステルを製造することができれば、溶媒に溶解し易く、アジルサルタンとする場合に、不要な不純物を増加させることがないと考えられた。そのため、新規な結晶形を有するアジルサルタンメチルエステルの開発が求められていた。
したがって、本発明の目的は、高純度のアジルサルタンアルキルエステルを製造する方法を提供することにある。加えて、低い融点部分を有する新規な結晶形のアジルサルタンメチルエステルを提供することにある。そして、最終的には、該方法で製造した純度の高いアジルサルタンアルキルエステル、および/または、純度が高く新規な結晶形である前記アジルサルタンメチルエステルを使用して、高純度のアジルサルタンを製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた。そして、様々な溶媒を用いて、アジルサルタンアルキルエステルの再結晶の検討を行った。その結果、アセトン、又はアセトンとアルコールとの混合溶媒を使用して、アジルサルタンアルキルエステルの結晶化を行ったところ、アジルサルタンアルキルエステルのデスエチル体や二量体の不純物を効率的に低減できることが分かった。加えて、アジルサルタンメチルエステルを、アセトン、又はアセトンとアルコールとの混合溶媒中で結晶化したところ、従来結晶にはない、低い融点部分を有する新規な結晶が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、第一の本発明は、
下記式(1)
Figure 2018076258
(式中、Rはアルキル基である)
で示されるアルキル 2−エトキシ−1−[[2’−(2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボキシラート(以下、単に「アジルサルタンアルキルエステル」とする場合もある)を、アセトン、又はアセトンとアルコールとの混合溶媒中で結晶化させることを特徴とするアジルサルタンアルキルエステルの製造方法である。
第一の本発明の方法は、前記式(1)において、式中、Rがメチル基の場合、すなわち、前記式(1)で示されるアジルサルタンアルキルエステルが、アジルサルタンメチルエステルである場合に、特に効果を発揮する。そして、該アジルサルタンメチルエステルは、融点の低い部分を有する、準結晶状態のものとすることができる。
第二の本発明は、Cu−Kα線を用いるX線回折により、少なくとも、2θ=9.2±0.2°、15.8±0.2°、22.1±0.2°に特徴的なピークを有するメチル 2−エトキシ−1−[[2’−(2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボキシラート(以下、単に「アジルサルタンメチルエステル」とする場合もある)である。
また、第二の本発明のアジルサルタンメチルエステルは、少なくとも、150〜165℃の温度範囲と、185〜195℃の温度範囲とに、少なくとも融点を有する化合物となることが好ましい。
さらに、第三の本発明は、第一の本発明で得られたアジルサルタンアルキルエステル、および/又は第二の本発明であるアジルサルタンメチルエステルを加水分解して、アジルサルタンを製造する方法である。これらを原料とすることにより、より一層、純度の高いアジルサルタンを製造することができる。
なお、本発明において、純度、不純物の含有量は、下記の実施例でその条件を示した高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定した面積ピークの値である。
本発明の方法によれば、高純度のアジルサルタンアルキルエステル、特に、高純度のアジルサルタンメチルエステルを得ることができる。その結果、本発明で得られたアジルサルタンアルキルエステル、および/またはアジルサルタンメチルエステルを加水分解してアジルサルタンを製造することにより、高純度のアジルサルタンを得ることができる。加えて、本発明の方法で得られるアジルサルタンメチルエステルは、融点の低い部分を有する準結晶とすることができる。
実施例1において製造された本発明のアジルサルタンメチルエステルの新規結晶(準結晶)のX線回折チャートである。 比較例1において製造された従来のアジルサルタンメチルエステル結晶のX線回折チャートである。 実施例1において製造された本発明のアジルサルタンメチルエステルの新規結晶(準結晶)のDSCチャートである。 比較例1において製造された従来のアジルサルタンメチルエステル結晶のDSCチャートである。
本発明は、
下記式(1)
Figure 2018076258
(式中、Rはアルキル基である)
で示されるアジルサルタンメチルエステルを、アセトン、又はアセトンとアルコールとの混合溶媒中で結晶化させることを特徴とするアジルサルタンアルキルエステルの製造方法である。以下、順を追って説明する。
(対象アジルサルタンアルキルエステル)
先ず、結晶化させる対象となるアジルサルタンアルキルエステル(以下、対象アジルサルタンアルキルエステルとする場合もある)について説明する。なお、前記式中、Rはアルキル基である。原料となるエステル保護基含有化合物、アジルサルタンアルキルエステルの安定性、及びアジルサルタンの製造のし易さを考慮すると、Rは炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等が挙げられ、特に、メチル基であることが好ましい。
(対象アジルサルタンアルキルエステルの製造)
本発明で使用する対象アジルサルタンアルキルエステルは、特に制限されるものではなく、公知の方法で合成したものを使用することができる。例えば、特許文献1、非特許文献1に記載された方法で製造されたアジルサルタンアルキルエステルを対象とすることができる。中でも、得られるアジルサルタンアルキルエステルの純度をより高め、高純度のものを得るためには、対象アジルサルタンアルキルエステルは、以下の方法で製造したものを採用することが好ましい。
具体的には、前記式(3)
Figure 2018076258
(式中、Rは前記式(1)におけるものと同義であり、Rはヒドロキシル基の保護基である)で示されるエステル保護基含有化合物を、炭素数1〜8のアルコールを含む反応溶媒中で環化反応を行って得られるものを、対象アジルサルタンアルキルエステルとすることが好ましい。
は、ヒドロキシル基を保護する、一般的な保護基が挙げられる。具体的には、置換基を有していてもよいアルキル基、ベンジル基、置換基を有していてもよいフェニル基等が挙げられる。中でも、工業的入手のし易さ、エステル保護基含有化合物における役割、最終的に除去すること等を考慮すると、炭素数1〜8の非置換アルキル基であることが好ましい。この非置換アルキル基は、直鎖状のアルキル基であっても、分岐状のアルキル基であってもよい。
この環化反応は、加熱することにより、その反応を進行することができる。具体的には、前記エステル保護基含有化合物を炭素数1〜8のアルコールに溶解させて得られる反応溶液を加熱することにより、環化反応が促進され、前記エステル保護基含有化合物をアジルサルタンアルキルエステルとすることができる。この環化反応の際には、前記エステル保護基含有化合物を反応溶媒に溶解し、撹拌混合しながら加熱することが好ましい。この環化反応の際、R−OHが副生することとなる。
この環化反応において使用する反応溶媒は、炭素数1〜8のアルコールを含む溶媒である。炭素数1〜8のアルコールを具体的に例示すれば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2,4−ジメチル−3−ペンタノール、3−エチル−3−ペンタノール、オクタノール等が挙げられる。
この中でも、環化反応の際の温度を高くし、反応速度を高めることができ、かつ不純物を低減できる溶媒としては、炭素数3〜8の直鎖状、又は分岐状のアルコールを使用することが好ましい。具体的には、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノールを使用することが好ましく、1−プロパノール、1−ブタノールが特に好ましい。これら反応溶媒は、1種類を使用することもできるし、複数種類の混合溶媒を使用することもできる。混合溶媒を使用する場合には、基準となる溶媒の量は、混合溶媒の合計量である。
なお、反応溶媒は、炭素数1〜8のアルコール以外のその他の溶媒を50質量%未満の割合で含むこともできるが、精製のし易さ等を考慮すると、その他の溶媒は、10質量%以下であることが好ましく、0質量%であることがさらに好ましい。
対象アジルサルタンアルキルエステルを製造する際に、反応溶媒の使用量は、特に制限されるものではないが、反応の効率化、不純物の低減、および後工程の操作性を考慮すると、前記エステル保護基含有化合物1gに対して、3〜30mlとすることが好ましい。この範囲を満足することにより、環化反応終了後、冷却してアジルサルタンメチルエステルを結晶として取り出し易くなる。前記効果をより発揮するためには、反応溶媒の使用量は、前記エステル保護基含有化合物1gに対して、5〜20mlとすることがさらに好ましい。なお、反応溶媒の前記体積は、23℃における体積である。
環化反応の反応温度は、反応速度を高め、かつ不純物を低減するためには、50℃以上、反応溶液の還流温度以下とすることが好ましく、60℃以上、反応溶液の還流温度以下とすることがより好ましく、70℃以上、反応溶液の還流温度以下とすることがさらに好ましい。反応溶液の還流温度は、使用する反応溶媒、前記エステル保護基含有化合物の濃度、副生するR−OHの種類によって異なるため、一概に限定できない。ただし、より不純物の生成を抑制するためには、反応温度は、100℃以下とすることが好ましい。
((対象アジルサルタンアルキルエステルの製造;塩基の使用)
対象アジルサルタンアルキルエステルを製造する際には、中でも、反応時間をより短くするためには、塩基の存在下で実施する好ましい。具体的には、前記反応溶液中に塩基が含まれる状態であればよい。
環化反応において使用できる塩基は、特に制限されるものではないが、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化リチウム等の無機塩基が挙げられる。また、メチルアミン、エチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、トリプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ピペラジン、ピロリジン、アニリン、N,N-ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロウンデセン、N−メチルモルホリン等の有機塩基を使用することができる。中でも、得られるアジルサルタンアルキルエステルの精製のし易さ、操作性を向上するためには、トリエチルアミン、ピリジン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基を使用することが好ましい。
これら塩基は、1種類を使用することもできるし、複数種類の塩基を使用することもできる。複数種類の塩基を使用する場合には、基準となる塩基の量は、複数種類の塩基の合計量である。
なお、この塩基は、前記の通り、前記エステル保護基含有化合物を製造する際に塩基を使用した場合には、該エステル保護基含有化合物を取り出す際に残存している塩基を使用することもできる。
対象アジルサルタンアルキルエステルを製造する際には、塩基を使用なくとも、環化反応を進行させることができる。ただし、塩基を使用する場合には、その塩基の使用量は、前記エステル保護基含有化合物1モルに対して、0.01〜5モルとすることが好ましい。塩基をこの範囲で使用することにより、反応速度を高めることができ、かつ対象アジルサルタンアルキルエステルの収率、および純度も高くなる。この効果をより高めるためには、塩基の使用量は、前記エステル保護基含有化合物1モルに対して、0.1〜1モルとすることがより好ましい。
対象アジルサルタンアルキルエステルを製造する際に、塩基を使用する場合には、反応溶媒に、予め塩基、および前記エステル保護基含有化合物を加えて、加熱しながら撹拌混合することもできる。また、撹拌混合しながら加熱している反応溶液に、途中から反応を促進させるために追加することもできる。途中から追加した場合には、追加した全量が塩基の基準となる量である。
(対象アジルサルタンアルキルエステルの取り出し方法)
以上のような条件で環化反応を行うことにより、対象アジルサルタンアルキルエステルを製造することができる。得られた対象アジルサルタンアルキルエステルを反応系から取り出す方法は、特に制限されるものではなく、非特許文献1、特許文献1に記載の方法を採用することができる。
中でも、対象アジルサルタンアルキルエステルを製造する際に、反応溶媒に1〜8のアルコールを含む溶媒を使用した場合は、以下の方法を採用することが好ましい。具体的には、反応溶液を冷却するか、反応溶液から溶媒を一部留去して、炭素数1〜8のアルコールを含む反応溶媒中で対象アジルサルタンアルキルエステルの結晶を析出させて、該結晶を取り出すことが好ましい。特に、反応溶液を冷却して、結晶を析出させることが好ましい。
反応溶媒中で対象アジルサルタンアルキルエステルの結晶を析出させる場合には、特に制限されるものではないが、対象アジルサルタンアルキルエステル1gに対して、炭素数1〜8のアルコールが3〜30mlであることが好ましい。炭素数1〜8のアルコールが前記範囲を満足することにより、操作性が向上し、かつ純度を高くすることができる。よりこの効果を高めるためには、対象アジルサルタンアルキルエステル1gに対して、炭素数1〜8のアルコールが5〜20mlであることが好ましい。なお、炭素数1〜8のアルコールの前記量は、23℃における体積である。
環化反応は、好ましくは加熱して行う。そして、より好ましい態様では、50℃以上の温度とするため、反応溶液を、30℃以下の範囲に冷却することが好ましく、さらに−10〜30℃の範囲に冷却することが好ましく、特に−10〜10℃の範囲に冷却することが好ましい。本発明においては、炭素数1〜8のアルコールを使用しているため、前記冷却温度の範囲において、対象アジルサルタンアルキルエステルの結晶が容易に析出する。また、この際に種結晶を用いることもできる。そして、本発明においては、冷却して対象アジルサルタンアルキルエステルの結晶が析出するように調整すれば、該結晶が、副生物、および必要に応じて配合される塩基を取り込み難くなる。
得られる対象アジルサルタンアルキルエステルの純度をより高くするためには、反応溶液を10〜30℃/時間の冷却速度で冷却して、30℃以下、好ましくは0〜30℃、さらに好ましくは−10〜30℃、特に好ましくは−10〜20℃の温度とすることが好ましい。さらに、得られた対象アジルサルタンアルキルエステルの収率を高めるためには、30℃以下、好ましくは0〜30℃、さらに好ましくは−10〜30℃、特に好ましくは−10〜20℃の温度として1時間以上、好ましくは2時間以上20時間以下放置することが好ましい。
析出した対象アジルサルタンメチルエステルの結晶は、公知の方法で処理することができる。通常であれば、濾過により結晶を取り出し、洗浄・乾燥を行うことが好ましい。また、より純度の高い対象アジルサルタンアルキルエステルを得ようとする場合には、炭素数1〜8のアルコールで再結晶してもよい。
以上のようにして得られる対象アジルサルタンアルキルエステルは、例えば、1−プロパノールを使用した場合であって、Rがメチル基のアジルサルタンメチルエステルは、Cu−Kα線を用いるX線回折により、少なくとも、2θ=9.9±0.2°、10.9±0.2°に特徴的なピークを少なくとも有するものとすることができる。また、該アジルサルタンメチルエステルは、その他、2θ=13.6±0.2°、17.2±0.2°、23.2±0.2°等にピークを有するものである。従来技術で得られる結晶ではなく、新規な結晶形である。この結晶は、1−プロパノールを0.5〜5質量%含むこともできる。この溶媒を含む溶媒和物を対象アジルサルタンアルキルエステル(対象アジルサルタンメチルエステル)とすることができる。
本発明において、対象アジルサルタンアルキルエステルは、前記の通り、炭素数1〜8のアルコールを含む反応溶媒中で環化反応を行って得られたものを使用することが好ましい。該方法で得られる対象アジルサルタンアルキルエステルは、キシレン溶媒中で環化反応を行い、酢酸エチルを含む溶媒中で析出させた、従来のアジルサルタンアルキルエステルよりも、構造が不明な不純物を低減できる。この従来のアジルサルタンアルキルエステルは、アジルサルタンアルキルエステルよりも分子量が大きい不純物を含む傾向にある(アジルサルタンメチルエステルの場合は、アジルサルタンメチルエステルよりも分子量が10大きい不純物を含む傾向にある。)。そのため、本発明においては、炭素数1〜8のアルコールを含む反応溶媒中で環化反応を行うことにより、不純物を低減した対象アジルサルタンを使用することが好ましい。ただし、本発明においては、下記に詳述するが、高純度のアジルサルタンアルキルエステルとすることができるため、構造が不明で分子量が大きい不純物を含む、従来のアジルサルタンアルキルエステルを対象アジルサルタンアルキルエステルとすることも、当然可能である。
(アジルサルタンアルキルエステルの結晶化方法;準結晶の製造方法)
(溶媒;アセトン、又はアセトンとアルコールとの混合溶媒)
本発明においては、前記対象アジルサルタンアルキルエステルの純度を高くし、かつ結晶形を変形させて融点の低いアジルサルタンアルキルエステルとするためには、対象アジルサルタンアルキルエステルを、アセトン、又はアセトンとアルコールとの混合溶媒中で結晶化させる必要がある。アセトン、又はアセトンとアルコールとの混合溶媒を使用することにより、酢酸エチルを用いた従来の方法と比べて、アジルサルタンアルキルエステルのデスエチル体や二量体の不純物を効率よく低減することができる。
本発明で使用する溶媒は、アセトン、又はアセトンとアルコールとの混合溶媒であり、アセトンとアルコールの合計の容積を100としたとき、アセトンの容積比率が100〜50、アルコールの容積比率が0〜50となるものが好ましい。本発明者等の検討によれば、容積比率50%以下の範囲でアルコールを含む場合であっても、アルコールを含まない(アセトンのみの)場合と同様に、新規の結晶形を取得できることが分かった。そのため、使用するアセトンの容積比率よりも、アルコールの容積比率が大きくならない範囲であれば、対象アジルサルタンアルキルエステル中のアルコール残量を厳密に管理する必要がない。つまり、炭素数1〜8のアルコールを含む反応溶媒中で環化反応を行って得られた対象アジルサルタンアルキルエステルを使用する場合には、厳密に該アルコールを除去する必要がないため、操作性を向上できる。そのため、対象アジルサルタンアルキルエステルがアルコールを含む粗体である場合には、そのアルコール量を測定して、使用するアセトンの量を調整してやればよい。
本発明において、アルコールを使用する場合には、該アルコールは、炭素数1〜8のアルコールであることが好ましい。具体的に例示すれば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2,4−ジメチル−3−ペンタノール、3−エチル−3−ペンタノール、オクタノール等が挙げられる。この中でも、収率およびアジルサルタンアルキルエステルのデスエチル体や二量体の不純物の低減効果を考慮すると、炭素数3〜8の直鎖状、又は分岐状のアルコールを使用することが好ましい。具体的には、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノールを使用することが好ましく、1−プロパノール、1−ブタノールが特に好ましい。これらのアルコールは、1種類を使用することもできるし、複数種類を混合して使用することもできる。本発明において、アルコールを使用する場合には、アセトンの容積比率が99〜51、アルコールの容積比率が1〜49となるものが好ましく、さらに、アセトンの容積比率が90〜60、アルコールの容積比率が10〜40となるものが好ましい。
(結晶化の方法)
また、使用するアセトン、又はアセトンとアルコールとの混合溶媒の量は、特に制限されるものではないが、前記対象アジルサルタンアルキルエステルの結晶1gに対して、3〜30mlとすることが好ましく、さらに5〜20mlとすることが好ましい。なお、使用する溶媒の前記体積は、23℃における体積である。また、混合溶媒を使用する場合には、基準となる溶媒の量は、アセトン、およびアルコールの合計量である。
再結晶の方法としては、アセトン、又はアセトンとアルコールとの混合溶媒中に前記対象アジルサルタンアルキルエステルを溶解させ、好ましくは、得られる溶液の還流温度(約60℃)に加熱し、次いで、10〜30℃/時間の冷却速度で冷却し、好ましくは0〜30℃、さらに好ましくは−10〜30℃、特に好ましくは−10〜20℃の温度範囲で一定時間保持することが好ましい。
(アジルサルタンアルキルエステル、新規アジルサルタンメチルエステル)
アセトン、又はアセトンとアルコールとの混合溶媒中で結晶化して得られるアジルサルタンアルキルエステルにおいて、好適な化合物であるRがメチル基となるアジルサルタンメチルエステルは、Cu−Kα線を用いるX線回折により、少なくとも、2θ=9.2±0.2°、15.8±0.2°、22.1±0.2°に特徴的なピークを有する新規な結晶となる。その他のピークとしては、2θ=18.2±0.2°、25.1±0.2°、27.4±0.2°にピークを有する結晶となる。
また、アセトン、又はアセトンとアルコールとの混合溶媒中で結晶化して得られるアジルサルタンメチルエステルは、少なくとも融点が2つ存在する、新規な結晶形(以下、この融点の低い結晶を単に「準結晶」とする場合もある)となる。中でも、アセトン、又はアセトンとアルコールとの混合溶媒中で結晶化させて得られるアジルサルタンメチルエステルは、実施例で示した示差走査熱量計の条件で測定した融点が、少なくとも150〜165℃、185〜195℃に観察されるものとなる。なお、該示差走査熱量(DSC)測定で決定される融点は、吸熱ピークのピークトップ温度である。この新規な準結晶は、従来知られているアジルサルタンアルキルエステルよりも融点が低いため、完全結晶体ではないものと考えられる。そのため、純度は高いが、容易に溶解することができるため、次の加水分解反応に好適に使用できる。
準結晶のアジルサルタンメチルエステルの融解熱量は、図3にチャートを示した通り、吸熱ピークに対して綺麗な接線を引いて求めることができない。これは、該アジルサルタンメチルエステルが、不安定な状態の結晶であることに起因しているものと推定される。そのため、該融解熱量は正確な値ではないが、図3のように融解熱量を求めた場合には、150〜165℃の温度範囲の融点(以下、単に、「低融点」とする場合もある)に関する融解熱量が2〜15J/gであり、185〜195℃の温度範囲の融点(以下、単に、「高融点」とする場合もある)に関する融解熱量が40〜70J/gであることが好ましい。さらに低融点に関する融解熱量が4〜10J/gであり、高融点に関する融解熱量が50〜60J/gであることが好ましい。
このように炭素数1〜8のアルコールを含む溶媒中で得られた新規な結晶を、さらにアセトン、又はアセトンとアルコールの混合溶媒で再結晶することにより、純度を高めることができるだけでなく、容易に溶解できる融点の低い、準結晶とすることができる。
(アジルサルタン製造方法)
本発明においては、前記方法で得られたアジルサルタンアルキルエステルを加水分解することにより、
下記式(2)
Figure 2018076258
で示されるアジルサルタンを製造することができる。使用するアジルサルタンアルキルエステルは、新規な結晶であっても、準結晶であってもよい。
加水分解する条件は、特に制限されるものではなく、公知の方法、例えば、特許文献1に記載の方法を採用することができる。具体的には、塩基、又は酸の存在下で加水分解を行うことにより、−COOR(アルキルエステル基)を−COOH(カルボン酸)へとすればよい。
得られたアジルサルタンは、特に制限されるものではなく、公知の方法で精製して原薬とすればよい。例えば、再結晶やリスラリー、カラムクロマトグラフィーなどの方法を用いる方法が挙げられる。
以下に実施例を挙げて、本発明を詳細に説明するが、具体例であって、本発明はこれらにより限定されるものではない。
なお、実施例および比較例における純度評価は、以下の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた方法で行い、結晶形および融点の測定は以下の粉末X線回折(XRD)、示差走査熱量計(DSC)を用いた方法で行った。
<HPLCの測定条件>
装置:高速液体クロマトグラフィー(HPLC)。
機種:2695−2489−2998(Waters社製)。
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:210nm)。
カラム:Kromasil C18、内径4.6mm、長さ15cm(粒子径5μm)(AkzoNobel社製)。
カラム温度:30℃一定。
サンプル温度:25℃一定。
移動相A:アセトニトリル。
移動相B:15mMリン酸二水素カリウム水溶液(pH=2.5 リン酸にて調整)。
移動相の送液:移動相A,Bの混合比を表1のように変えて濃度勾配制御する。
Figure 2018076258
流速:1.0mL/min。
測定時間:90分。
上記条件において、前記アジルサルタンメチルエステルは約14.5分、前記デスエチル体は約7.0分、前記二量体は約49.1分、アジルサルタンメチルエステルよりも分子量が10大きい不純物は約5.5分、前記エステル保護基含有化合物(前記式(3)において、Rがメチル基であり、Rがエチル基である化合物)は約16.2分、前記エステル保護基含有化合物(前記式(3)において、Rがメチル基、Rが2−エチルヘキシル基である化合物)は約52.3分、前記アジルサルタンは約7.3分にピークが確認される。
以下の実施例、比較例において、前記エステル保護基含有化合物、前記アジルサルタンメチルエステル、前記アジルサルタンの各純度は、すべて、上記条件で測定される全ピークの面積値(溶媒由来のピークを除く)の合計に対する各化合物のピーク面積値の割合である。
<アジルサルタンアルキルエステルの結晶形の測定>
装置:X線回折装置(XRD)。
機種:SmartLab(株式会社リガク製)。
測定方法:ASC6 BB Dtex。
X 線出力:40kV−30mA。
波長:CuKa/1.541882Å。
<アジルサルタンアルキルエステルの融点の測定>
装置:示差走査熱量計(DSC)。
機種:DSC6200(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)。
昇温条件:10℃/分。
ガス:アルゴン。
製造例1(対象アジルサルタンメチルエステルの合成)
直径10cmの2枚撹拌翼を備えた1000mL四つ口フラスコにエステル保護基含有化合物(前記式(3)において、Rがメチル基であり、Rがエチル基である化合物)50g(96.80mmol)を量りとり、1−プロパノール400mL、トリエチルアミン1.96g(19.36mmol)を加え、還流温度(約95℃)まで加熱した後、同温度にて14時間反応を行った。反応後の溶液を20℃/時間の速度で0℃まで冷却し、0℃で14時間撹拌した。次いで、得られたスラリー液を減圧濾過して析出した結晶を分取し、40℃で減圧乾燥して、38.3gの対象アジルサルタンメチルエステルの結晶(アジルサルタンメチルエステルの純度:97.3%、前記デスエチル体:0.10%、前記二量体:0.16%)を得た(収率:84.2%)。また、アジルサルタンメチルエステルよりも分子量が10大きい不純物は確認できなかった。また、この対象アジルサルタンメチルエステルを試料として、XRDを測定すると、2θ=9.9°、10.9°、13.6°、17.2°、23.2°に特徴的なピークを与えるX線回折チャートが得られた。さらに、DSC測定をすると90.9℃(融解熱量15.790J/g)と186.6℃(融解熱量58.886J/g)に融点を有することが確認できた。
実施例1(アジルサルタンメチルエステルの結晶化)
直径5cmの2枚撹拌翼を備えた200mL三つ口フラスコに製造例1で得られた対象アジルサルタンメチルエステル10gを量りとり、アセトン100mLを加え、還流温度(約57℃)まで加熱し、対象アジルサルタンメチルエステルを溶解した。溶解後、20℃/時間の速度で0℃まで冷却し、0℃で12時間撹拌した。次いで、得られたスラリー液を減圧濾過して析出した結晶を分取し、40℃で減圧乾燥して、8.7gのアジルサルタンメチルエステルの結晶(アジルサルタンメチルエステルの純度:99.1%、前記デスエチル体:未検出、前記二量体:0.04%)を得た(収率:87.2%)。結果を表2にまとめた。アジルサルタンメチルエステルよりも分子量が10大きい不純物は確認できなかった。また、このアジルサルタンメチルエステルを試料として、XRDを測定すると図1に示すように2θ=9.2°、15.8°、18.2°、22.1°、25.1°、27.4°に特徴的なピークを与えるアジルサルタンメチルエステルの準結晶であることが分かった。結果を表3にまとめた。さらに、DSC測定をすると図3に示すように160.6℃(融解熱量9.635J/g)と189.9℃(融解熱量51.766J/g)に融点を有することが確認できた。
実施例2(アジルサルタンメチルエステルの再結晶)
直径3.5cmの2枚撹拌翼を備えた100mL三つ口フラスコに製造例1で得られた対象アジルサルタンメチルエステル5gを量りとり、アセトン30mL、1−プロパノール20mLを加え、還流温度まで加熱し、対象アジルサルタンメチルエステルを溶解した。溶解後、20℃/時間の速度で0℃まで冷却し、0℃で12時間撹拌した。次いで、得られたスラリー液を減圧濾過して析出した結晶を分取し、40℃で減圧乾燥して、4.3gのアジルサルタンメチルエステルの結晶(アジルサルタンメチルエステルの純度:99.0%、前記デスエチル体:未検出、前記二量体:0.04%)を得た(収率:86.0%)。結果を表2にまとめた。アジルサルタンメチルエステルよりも分子量が10大きい不純物は確認できなかった。また、このアジルサルタンメチルエステルを試料として、XRDを測定すると2θ=9.2°、15.7°、18.2°、22.1°、25.2°、27.4°に特徴的なピークを与えるアジルサルタンメチルエステルの準結晶であることが分かった。結果を表3にまとめた。さらに、DSC測定をすると157.2℃(融解熱量5.249J/g)と189.7℃(融解熱量57.266J/g)に融点を有することが確認できた。
実施例3(アジルサルタンメチルエステルの結晶化)
実施例2において、1−プロパノールを1−ブタノールに変更した以外は同様の操作を行った。
4.2gのアジルサルタンメチルエステルの結晶(アジルサルタンメチルエステルの純度:99.1%、前記デスエチル体:未検出、前記二量体:0.04%)を得た(収率:85.4%)。結果を表2にまとめた。アジルサルタンメチルエステルよりも分子量が10大きい不純物は確認できなかった。また、XRDの結果も実施例2のアジルサルタンメチルエステルと同様であった。結果を表3にまとめた。さらに、DSC測定をすると158.1℃(融解熱量4.191J/g)と189.5℃(融解熱量58.734J/g)に融点を有することが確認できた。
実施例4(アジルサルタンメチルエステルの結晶化)
直径3.5cmの2枚撹拌翼を備えた100mL三つ口フラスコに、下記の比較例1の方法で製造した対象アジルサルタンメチルエステル4gを量りとり、アセトン40mLを加え、還流温度まで加熱し、対象アジルサルタンメチルエステルを溶解した。溶解後、20℃/時間の速度で0℃まで冷却し、0℃で14時間撹拌した。次いで、得られたスラリー液を減圧濾過して析出した結晶を分取し、40℃で減圧乾燥して、2.8gのアジルサルタンメチルエステルの結晶(アジルサルタンメチルエステルの純度:96.6%、前記デスエチル体:未検出、前記二量体:0.07%)を得た(収率:70.2%)。結果を表2にまとめた。アジルサルタンメチルエステルよりも分子量が10大きい不純物は1.64%であった。また、このアジルサルタンメチルエステルを試料として、XRDを測定すると2θ=9.2°、15.7°、18.1°、22.1°、25.3°、27.4°に特徴的なピークを与えるアジルサルタンメチルエステルの準結晶であることが分かった。結果を表3にまとめた。さらに、DSC測定をすると159.4℃(融解熱量7.921J/g)と190.2℃(融解熱量55.015J/g)に融点を有することが確認できた。
実施例5(アジルサルタンメチルエステルの再結晶)
実施例4で製造したアジルサルタンメチルエステルを対象アジルサルタンメチルエステルとした。
実施例4で製造したアジルサルタンメチルエステル2gを用いて、繰り返し実施例4と同様の操作を行った。
1.7gのアジルサルタンメチルエステルの結晶(アジルサルタンメチルエステルの純度:99.3%、前記デスエチル体:未検出、前記二量体:0.02%)を得た(収率:85.9%)。結果を表2にまとめた。アジルサルタンメチルエステルよりも分子量が10大きい不純物は確認できなかった。また、XRDの結果も実施例1のアジルサルタンメチルエステルと同様であった。結果を表3にまとめた。さらに、DSC測定をすると160.2℃(融解熱量6.424J/g)と190.1℃(融解熱量56.971J/g)に融点を有することが確認できた。
実施例6(アジルサルタンの合成)
直径3.5cmの2枚撹拌翼を備えた100mL三つ口フラスコに実施例2で得られたアジルサルタンメチルエステル5gを量りとり、1.25M 水酸化ナトリウム水溶液50mLを加え、50℃まで加熱した後、同温度にて3時間反応を行った。反応液を45℃まで冷却した後、同温度でアセトン25mL、酢酸17mL、水17mLを加えて、アジルサルタンの結晶を析出させた。反応液を20℃/時間の速度で20℃まで冷却した後、同温度にて6時間撹拌した。次いで、得られたスラリー液を減圧濾過して析出した結晶を分取し、40℃で乾燥して、4.3gのアジルサルタンの結晶を得た(アジルサルタンの純度:99.7%)。
比較例1(非特許文献1記載の方法による前記アジルサルタンメチルエステルの製造)
直径5cmの2枚撹拌翼を備えた200mL三つ口フラスコにエステル保護基含有化合物(前記式(3)において、Rがメチル基であり、Rが2−エチルヘキシル基である化合物)10gを量りとり、キシレン100mLを加え、還流温度(約130℃)まで加熱した後、同温度にて2時間反応を行った。反応後の溶液を減圧濃縮し、残渣に酢酸エチル100mLを加え、還流温度(約80℃)まで昇温し、濃縮残渣の結晶を完全に溶解した。得られた溶液を20℃まで冷却し、20℃で12時間撹拌した。次いで、得られたスラリー液を減圧濾過して析出した結晶を分取し、40℃で減圧乾燥して、4.1gのアジルサルタンメチルエステルの結晶(アジルサルタンメチルエステルの純度:88.3%、前記デスエチル体:0.34%、前記二量体:0.27%))を得た(収率:50.2%)。アジルサルタンメチルエステルよりも分子量が10大きい不純物は10.8%であった。また、このアジルサルタンメチルエステルを試料として、XRDを測定すると、図2に示すX線回折チャートが得られ、この結晶は2θ=8.0°、10.4°、12.0°、15.9°、21.4°に特徴的なピークを与える化合物であることが分かった。結果を表3にまとめた。さらに、DSC測定をすると図4に示すように、193.6℃(融解熱量76.619J/g)に融点を有することが確認できた。
Figure 2018076258
Figure 2018076258

Claims (6)

  1. 下記式(1)
    Figure 2018076258
    (式中、Rはアルキル基である)
    で示されるアルキル 2−エトキシ−1−[[2’−(2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボキシラートを、
    アセトン、又はアセトンとアルコールとの混合溶媒中で結晶化させる
    ことを特徴とするアルキル 2−エトキシ−1−[[2’−(2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボキシラートの製造方法。
  2. 前記式(1)で示されるアルキル 2−エトキシ−1−[[2’−(2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボキシラートが、
    メチル 2−エトキシ−1−[[2’−(2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボキシラートであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. Cu−Kα線を用いるX線回折により、少なくとも、2θ=9.2±0.2°、15.8±0.2°、22.1±0.2°に特徴的なピークを有するメチル 2−エトキシ−1−[[2’−(2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボキシラート。
  4. 少なくとも、150〜165℃の温度範囲、および185〜195℃の温度範囲に融点を有するメチル 2−エトキシ−1−[[2’−(2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボキシラート。
  5. 請求項1に方法により、前記式(1)で示されるアルキル 2−エトキシ−1−[[2’−(2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボキシラートを製造した後、
    得られたアルキル 2−エトキシ−1−[[2’−(2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボキシラートを加水分解することにより、
    下記式(2)
    Figure 2018076258
    で示される2−エトキシ−1−[[2’−(2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボン酸を製造する方法。
  6. 請求項3又は4に記載のメチル 2−エトキシ−1−[[2’−(2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボキシラートを加水分解することにより、
    下記式(2)
    Figure 2018076258
    で示される2−エトキシ−1−[[2’−(2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボン酸を製造する方法。
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