JP2018188592A - 発泡樹脂シート、積層シート、及びそれを用いたシール材 - Google Patents
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Abstract
Description
ポリ塩化ビニル系樹脂は安価で入手しやすく加工も容易なため、発泡樹脂シートのマトリックス樹脂として広く使用されているが、ポリ塩化ビニル系樹脂をマトリックスとした発泡樹脂シートは、EPDMゴムやポリウレタンをマトリックスとして作られたシートと比較して一般的にクッション性に劣る。
[1]ポリ塩化ビニル系樹脂(A)100質量部に対して、可塑剤(B)55質量部を超え120質量部以下、及び、熱膨張性マイクロカプセル(C)1〜20質量部を含有する樹脂組成物を発泡させてなる発泡樹脂シートであって、25%圧縮応力が0.3〜1.5MPaであることを特徴とする発泡樹脂シート。
[2]前記ポリ塩化ビニル系樹脂(A)100質量部に対して、更にエチレン共重合ポリ塩化ビニル樹脂(D)を1〜30質量部含有することを特徴とする[1]に記載の発泡樹脂シート。
[3]応力緩和率が40%以下であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の発泡樹脂シート。
[4」[1]〜[3]のいずれかに記載の発泡樹脂シートからなる層を少なくとも1層含む積層シート。
[5][1]〜[4]のいずれかに記載のシートを用いてなることを特徴とするシール材。
を提供するものである。
本発明の発泡樹脂シートは、ポリ塩化ビニル系樹脂(A)100質量部に対して、可塑剤(B)55質量部を超え120質量部以下、及び、熱膨張マイクロカプセル(C)1〜20質量部を含有する樹脂組成物(以下、「本発明の発泡樹脂シート用樹脂組成物」とも言う)を発泡させてなるものである。
本発明に用いるポリ塩化ビニル系樹脂としては、任意の平均重合度のポリ塩化ビニル系樹脂を用いることができる。好ましくは、ポリ塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、600〜3,000である。平均重合度が600以上であれば、十分な機械強度を得ることができる。一方、平均重合度が3,000を超えると、加工性(流動性)の低下が著しくなる割には機械的物性の向上が少なく、実用的でない。
本発明に用いる可塑剤としては、ポリ塩化ビニル系樹脂との相溶性が良好であれば特に限定されることはなく、公知の可塑剤を使用することができる。このような可塑剤としては、例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジシクロヘキシル、テトラヒドロフタル酸エステル、トリクレシルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリ(2−クロロエチル)ホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジ−n−アルキル、ジブチルジグリコールアジペート、アゼライン酸ビス(2−エチルヘキシル)、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジ−2−エチルヘキシル、フマル酸ジブチル、トリメリット酸トリス−2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリアルキルや、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化綿実油、エポキシ化落花生油、エポキシ化紅花油、エポキシ化ブドウ種子油、エポキシ化オリーブ油等のエポキシ化植物油等があげられる。これらは単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
本発明の発泡樹脂シート用樹脂組成物における可塑剤の含有量は、ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、55質量部を超え120質量部以下であり、下限値としては好ましくは60質量部以上、より好ましくは65質量部以上であり、上限値としては好ましくは115質量部以下、より好ましくは110質量部以下である。
可塑剤の含有量が55質量部以上であれば、柔軟性に優れる発泡樹脂シートが得られる。一方、可塑剤の含有量が120質量部以下であれば、製膜時に溶融張力が下がりすぎることによる膜厚の変動を抑制することが可能となる。
本発明で使用する熱膨張性マイクロカプセルはアクリロニトリル・メタアクリロニトリル・酢酸ビニル共重合体からなるシェルと、このシェル中に封入されたブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、イソオクタン等の揮発性液体からなるカプセルであり、膨張開始温度が100〜180℃であることが好ましい。膨張を開始する温度を100℃以上とすることで、熱膨張性マイクロカプセルを事前に溶融混練することがある場合であっても、熱膨張性マイクロカプセルの膨張を抑制することができる。また、膨張開始温度を180℃以下とすることで、発泡樹脂シートを加熱成形する際の成形温度において該熱膨張性マイクロカプセルが膨張を開始し、所定の発泡樹脂シートを成形することができる。なお、上記膨張開始温度は、110〜155℃であることがより好ましく、120〜155℃がさらに好ましい。
本発明の発泡樹脂シート用樹脂組成物における熱膨張性マイクロカプセルの含有量は、ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して1〜20質量部であり、下限値としては好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上であり、上限値としては18質量部以下、好ましくは15質量部以下である。
熱膨張性マイクロカプセルの含有量を1質量部以上とすることで、発泡樹脂シートの軽量化を図ることが可能となる。一方、熱膨張性マイクロカプセル(C)の含有量を20質量部以下とすることで、機械強度が低下することを抑制することができ、より好ましい外観とすることができる。
本発明の発泡樹脂シート用樹脂組成物は、更に、α−オレフィン類であるエチレンを塩化ビニルと共重合させた、エチレン共重合ポリ塩化ビニル樹脂を1〜30質量部含有することが好ましい。エチレン共重合ポリ塩化ビニル樹脂を含有することで、ポリ塩化ビニル系樹脂と、熱膨張性マイクロカプセルとの親和性が向上し、溶融加工時におけるプレートアウトの発生を抑制することで外観が特に良好な発泡樹脂シートが得られる。
本発明の発泡樹脂シート用樹脂組成物におけるエチレン共重合ポリ塩化ビニル樹脂の含有量は、ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して1〜30質量部であることが好ましい。エチレン共重合ポリ塩化ビニル樹脂の含有量を1質量部以上とすることで、ポリ塩化ビニル系樹脂と熱膨張性マイクロカプセルとの親和性をより向上させることが可能となり、熱膨張性マイクロカプセルのプレートアウトを抑制することができる。一方、エチレン共重合ポリ塩化ビニル樹脂の含有量を30質量部以下とすることで、溶融張力が低下し、安定した製膜が困難になることを抑制することができる。
エチレン共重合ポリ塩化ビニル樹脂の含有量の下限は、1.5質量部以上であることがより好ましく、2質量部以上であることがさらに好ましい。また、エチレン共重合ポリ塩化ビニル樹脂の含有量の上限は、28質量部以下であることがより好ましく、25質量部以下であることがさらに好ましい。
本発明のシートには、上記ポリ塩化ビニル系樹脂、可塑剤、熱膨張性マイクロカプセルに加えて、本発明の効果を損なわない範囲で各種添加剤を添加することができる。例えば、MBS樹脂、ABS樹脂、ブチルアクリレートを主成分とするアクリルゴムなどの衝撃改良剤、脂肪族アルコール、脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩などの滑剤、あるいは、サリチル酸エステル、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾールなどの紫外線吸収剤や、安定剤、帯電防止剤、抗菌・防カビ剤、顔料、三酸化アンチモン等の難燃助剤、さらには、ポリ塩化ビニル系樹脂以外の樹脂などを添加することもできる。
本発明の発泡樹脂シートの製造方法は、特に限定されないが、例えば、各材料を溶融混練して溶融樹脂組成物を得る工程、該溶融樹脂組成物を押出成形する工程、および、成形された溶融樹脂組成物を冷却する工程を有していてもよい。
本発明の発泡樹脂シートの厚みは、特に限定されることはないが、使用する用途により適宜設定できる。一般的には15mm以下であることが好ましく、10mm以下であることがより好ましく、7mm以下であることが更に好ましい。また、1mm以上であることが好ましく、1.5mm以上であることがより好ましく、2mm以上であることが更に好ましい。
発泡樹脂シートの厚みを上記の範囲とすることで、シートをロール状に巻き取る作業性により優れたものとなり効率的な生産が可能となる。また、物性値をより好ましいものとすることができる。
本発明の発泡樹脂シートは、単層であってもよく、多層であってもよい。
本発明のもう一つの態様は、本発明の発泡樹脂シートからなる層を少なくとも1層含む積層シートである。本発明の発泡樹脂シートは、表面層あるいは裏面層、中間層いずれに配置することもできるが、本発明においては中間層とすることが好ましい。積層シートとする場合、本発明の発泡樹脂シートからなる層以外の層は、用途や求められる性能等に応じて、適宜選択することができるが、好ましくはポリ塩化ビニル系樹脂を主成分とする層を表面層および/または裏面層に備えた構成とすることができる。
(1)の方法の場合は、発泡樹脂シートとその他のフィルム層を押出して加圧ロールによりラミネートする押し出しラミネート法を用いることができる。
(2)の方法の場合は、発泡樹脂シートとその他のフィルム層を、Tダイ押出し成形法等の押出し成形法、インフレーション成形法及びカレンダー成形法等の成形方法により調製することができる。
本発明の発泡樹脂シートは、JIS K7222に基づき測定した見掛け密度が0.10〜1.0g/cm3であることが好ましく、0.15〜0.90g/cm3であることがより好ましく、0.15〜0.80g/cm3であることが更に好ましい。発泡樹脂シートの見かけ密度を0.10g/cm3以上とすることで、シートの過剰な強度低下を抑制することができる。一方、発泡樹脂シートの見かけ密度を1.0g/cm3以下とすることで、シートの軽量化を図ることができる。
本発明の発泡樹脂シートは、以下の方法で測定される25%圧縮応力が0.3〜1.5MPaであることが重要である。25%圧縮応力は、シートのクッション性に関する指標となり、25%圧縮応力が0.3MPa以上であれば、形状回復性能の低下を抑制できるため好ましい。また1.5MPa以下であれば、シートが硬くなりすぎてクッション性が低下することもなく、シール材としての使用が困難となることもないため好ましい。
本発明の発泡樹脂シートは、JIS K7127に基づき測定した引張破断伸度が150%以上であることが好ましく、200%以上がより好ましく、300%以上がさらに好ましい。引張破断伸度を150%以上とすることで、柔軟性に優れ、加工時の追従性に優れたシートを得ることができる。
本発明の発泡樹脂シートは、JIS K7127に基づき測定した引張弾性率が10MPa以上であることが好ましく、12MPa以上がより好ましく、15MPa以上がさらに好ましい。引張弾性率を10MPa以上とすることで、弾力性と柔軟性のバランスがよくクッション性に優れたシートとなる。
本発明の発泡樹脂シートは、クッション性、加工時の追従性に優れるため、自動車、家電、OA機器、洗面化粧台やキッチンや家具類などの住宅設備、建築資材等の用途のシール材用として好適に用いることができる。
なお、実施例に示す測定値及び評価は次のように行った。実施例では、シートの引き取り(流れ)方向を「縦」方向(又は、MD)、その直角方向を「横」方向(又は、TD)と記載する。
(1)見掛け密度
得られた発泡樹脂シートについて、JIS K7222に基づき見掛け密度(g/cm3)を測定した。
得られた発泡樹脂シートの縦方向について、測定部分が10mm幅のダンベル試験片を使用し、JIS K7127に基づき、温度23℃、チャック間を40mm、引張速度50mm/minの条件で測定を行い、引張弾性率MPaを算出した。
得られた発泡樹脂シートの縦方向について、測定部分が10mm幅のダンベル試験片を使用し、JIS K7127に基づき、温度23℃、チャック間を40mm、引張速度300mm/minの条件で測定を行い、引張破断強度(MPa)と引張破断伸度(%)を算出した。
得られた発泡樹脂シートを、温度23℃、湿度50%の環境に24時間以上静置した後、シートを30×30mmの大きさに打ち抜き、約10mmの厚さとなるよう複数重ね合せたものをサンプルとし、温度23℃、湿度50%の環境下で、島津製作所社製万能材料試験機AGS−Xにて、サンプル全面を速度50mm/分で平行に圧縮し、元の厚みから25%圧縮させた際の応力を測定した。
得られた発泡樹脂シートについて、温度23℃、湿度50%の環境下で、島津製作所社製万能材料試験機AGS−Xにて、速度100mm/分で、シートの当初の厚みから50%押し込んだ後、直ちに荷重を除き、1分間放置する。次にシートの当初の厚みの25%押し込み、この時の応力(緩和前応力)を測定する。この状態で20秒間放置した後の応力(緩和後応力)を測定し、以下の式により応力緩和率を算出した。
応力緩和率(%)=(緩和前応力−緩和後応力)/緩和前応力×100
[使用した材料]
<ポリ塩化ビニル系樹脂(A)>
ポリ塩化ビニル系樹脂(A−1)としては、大洋塩ビ社製、商品名「TH−2500」(平均重合度2500)を使用した。
ポリ塩化ビニル系樹脂(A−2)としては、大洋塩ビ社製、商品名「TH−1000」(平均重合度1050)を使用した。
可塑剤(B−1)としては、ジェイプラス社製、商品名「DOP」(フタル酸ジオクチル)を使用した。
可塑剤(B−2)としては、ジェイプラス社製、商品名「DINP」(フタル酸ジイソノニル)を使用した。
熱膨張性マイクロカプセル(C−1)としては、アクゾノーベル社製、商品名「EXPANCEL930DU120」(膨張開始温度:122〜132℃)を使用した。
熱膨張性マイクロカプセル(C−2)としては、アクゾノーベル社製、商品名「EXPANCEL951DU120」(膨張開始温度:132〜142℃)を使用した。
エチレン共重合ポリ塩化ビニル樹脂(D)としては、大洋塩ビ社製、商品名「TE−1050」(平均重合度1050、エチレン含有率1.3質量%)を使用した。
表1に示す配合割合となるように調整した原料を、スーパーミキサーを用いてブレンドした後、得られた混合物を、Tダイを装着したΦ40mm単軸押出機に投入し、樹脂温度180℃で各厚みとなるように押出成形して、実施例、比較例に係る発泡樹脂シートを得た。得られたシートについて、上記評価方法により評価を行った。結果を表1に示す。
Claims (5)
- ポリ塩化ビニル系樹脂(A)100質量部に対して、可塑剤(B)55質量部を超え120質量部以下、及び、熱膨張性マイクロカプセル(C)1〜20質量部を含有する樹脂組成物を発泡させてなる発泡樹脂シートであって、25%圧縮応力が0.3〜1.5MPaであることを特徴とする発泡樹脂シート。
- 前記ポリ塩化ビニル系樹脂(A)100質量部に対して、更にエチレン共重合ポリ塩化ビニル樹脂(D)を1〜30質量部含有することを特徴とする請求項1に記載の発泡樹脂シート。
- 応力緩和率が40%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡樹脂シート。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の発泡樹脂シートからなる層を少なくとも1層含む積層シート。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のシートを用いてなることを特徴とするシール材。
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