JP2009144134A - 発泡成形用熱可塑性樹脂組成物、発泡成形品及び積層品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物は、〔A〕全体を100質量%とした場合に、スチレン系樹脂(A1)を5〜100質量%含む熱可塑性樹脂と、〔B〕アスペクト比が5〜50であり且つ平均粒径が3〜50μmである繊維状充填材と、〔C〕沸点が−10℃〜55℃である化合物を含む発泡剤と、を含有する発泡成形用熱可塑性樹脂組成物であって、上記繊維状充填材〔B〕の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕100質量部に対して、5〜150質量部であり、且つ、上記発泡剤〔C〕の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕100質量部に対して、0.1〜5質量部である。
【選択図】なし
Description
本発明の目的は、機械的強度に優れ、寸法安定性に優れる発泡成形品の形成に好適な発泡成形用熱可塑性樹脂組成物、発泡成形品及び積層品を提供することにある。
1.〔A〕全体を100質量%とした場合に、スチレン系樹脂(A1)を5〜100質量%含む熱可塑性樹脂と、〔B〕アスペクト比が5〜50であり且つ平均粒径が3〜50μmである繊維状充填材と、〔C〕沸点が−10℃〜55℃である化合物を含む発泡剤と、を含有する発泡成形用熱可塑性樹脂組成物であって、上記繊維状充填材〔B〕の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕100質量部に対して、5〜150質量部であり、且つ、上記発泡剤〔C〕の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕100質量部に対して、0.1〜5質量部であることを特徴とする発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
2.上記繊維状充填材〔B〕がウォラストナイトである上記1に記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
3.上記熱可塑性樹脂〔A〕のうちの5〜50質量%に相当する熱可塑性樹脂と、上記繊維状充填材〔B〕のうちの0〜50質量%に相当する繊維状充填材と、上記発泡剤〔C〕のうちの50〜100質量%に相当する発泡剤とを含有する組成物〔X〕、及び、上記熱可塑性樹脂〔A〕のうちの50〜95質量%に相当する熱可塑性樹脂と、上記繊維状充填材〔B〕のうちの50〜100質量%に相当する繊維状充填材と、上記発泡剤〔C〕のうちの0〜50質量%に相当する発泡剤とを含有する組成物〔Y〕の混合物である上記1又は2に記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
4.上記組成物〔X〕が、発泡倍率1.15以下の発泡剤含有マスターバッチである上記3に記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
5.上記組成物〔Y〕が、上記発泡剤〔C〕を含有しない溶融混練物である上記3又は4に記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
6.上記組成物〔X〕に含有されるスチレン系樹脂(A1)をアセトン中に浸漬させて得られたアセトン可溶成分が、全体を100質量%とした場合に、芳香族ビニル化合物からなる単量体単位(芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位)75〜95質量%、シアン化ビニル化合物からなる単量体単位(シアン化ビニル化合物に由来する単量体単位)5〜25質量%、及び、他の化合物からなる単量体単位(他の化合物に由来する単量体単位)0〜20質量%により構成されている上記3乃至5のいずれかに記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
7.上記スチレン系樹脂(A1)が、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体を用いてなるスチレン系共重合体、及び/又は、ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体を重合して得られたゴム強化スチレン系樹脂を含む上記1乃至6のいずれかに記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
8.上記1乃至7のいずれかに記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を用いて得られたことを特徴とする発泡成形品。
9.上記1乃至7のいずれかに記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を押出成形して得られたことを特徴とする発泡成形品。
10.発泡倍率が2〜25倍である上記8又は9に記載の発泡成形品。
11.線膨張係数が5.5×10−5(1/℃)以下である上記8乃至10のいずれかに記載の発泡成形品。
12.上記1乃至7のいずれかに記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を用いて得られた成形部(V)と、他の材料からなる部材(W)とが積層してなることを特徴とする積層品。
上記繊維状充填材〔B〕がウォラストナイトである場合には、機械的強度及び成形外観性が一段と優れる。そして、収縮率が小さく、寸法安定性に一段と優れる発泡成形品を得ることができる。
本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物が、上記熱可塑性樹脂〔A〕のうちの5〜50質量%に相当する熱可塑性樹脂と、上記繊維状充填材〔B〕のうちの0〜50質量%に相当する繊維状充填材と、上記発泡剤〔C〕のうちの50〜100質量%に相当する発泡剤とを含有する組成物〔X〕、及び、上記熱可塑性樹脂〔A〕のうちの50〜95質量%に相当する熱可塑性樹脂と、上記繊維状充填材〔B〕のうちの50〜100質量%に相当する繊維状充填材と、上記発泡剤〔C〕のうちの0〜50質量%に相当する発泡剤とを含有する組成物〔Y〕の混合物である場合には、機械的強度に優れ、線膨張係数が小さく、寸法安定性に優れ、更に、表面外観性に優れる発泡成形品の形成及びその安定製造に好適である。
上記組成物〔X〕が、発泡倍率1.15以下の発泡剤含有マスターバッチである場合には、機械的強度に優れ、線膨張係数が小さく、寸法安定性に優れ、更に、表面外観性に優れる発泡成形品の形成に好適である。
上記組成物〔Y〕が、上記発泡剤〔C〕を含有しない溶融混合物である場合には、機械的強度に優れ、線膨張係数が小さく、寸法安定性に優れ、更に、表面外観性に優れる発泡成形品の形成に好適である。
上記組成物〔X〕に含有されるスチレン系樹脂(A1)をアセトンに浸漬させて得られたアセトン可溶成分が、その全体を100質量%としたときに、芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位75〜95質量%、シアン化ビニル化合物に由来する単量体単位5〜25質量%、及び、他の化合物に由来する単量体単位0〜20質量%により構成されている場合には、機械的強度に優れ、線膨張係数が小さく、寸法安定性に優れ、更に、表面外観性に優れる発泡成形品の形成に好適である。
本発明の積層品は、成形外観性及び形状安定性に優れる。
本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物は、〔A〕全体を100質量%とした場合に、スチレン系樹脂(A1)を5〜100質量%含む熱可塑性樹脂(以下、「成分〔A〕」ともいう。)と、〔B〕繊維状充填材(以下、「成分〔B〕」ともいう。)と、〔C〕沸点が−10℃〜55℃である化合物を含む発泡剤(以下、「成分〔C〕」ともいう。)と、を含有する発泡成形用熱可塑性樹脂組成物であって、上記繊維状充填材〔B〕の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕100質量部に対して、5〜150質量部であり、且つ、上記発泡剤〔C〕の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕100質量部に対して、0.1〜5質量部であることを特徴とする。
この成分〔A〕は、その全体を100質量%とした場合に、スチレン系樹脂(A1)を5〜100質量%含む。従って、上記成分〔A〕は、上記スチレン系樹脂(A1)の1種以上、又は、上記スチレン系樹脂(A1)の1種以上と、他の熱可塑性樹脂とからなる。
このスチレン系樹脂(A1)は、芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位を含む重合体である。即ち、このスチレン系樹脂(A1)は、芳香族ビニル化合物の1種以上からなる単量体、又は、芳香族ビニル化合物の1種以上と、共重合可能な他の単量体の1種以上とからなる単量体(以下、両方の単量体を総称して、「ビニル系単量体(b1)」という。)を(共)重合して得られたスチレン系(共)重合体(A11)、及び/又は、ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物の1種以上からなる単量体、又は、芳香族ビニル化合物の1種以上と、共重合可能な他の単量体の1種以上とからなる単量体(以下、両方の単量体を総称して、「ビニル系単量体(b2)」という。)を重合して得られたゴム強化スチレン系樹脂(A12)から構成される。尚、このゴム強化スチレン系樹脂(A12)は、通常、上記ビニル系単量体(b2)がゴム質重合体にグラフト重合しているグラフト化ゴム質重合体と、非グラフトである上記ビニル系単量体(b2)の(共)重合体とを含む樹脂である。
上記スチレン系樹脂(A1)としてのスチレン系(共)重合体(A11)が共重合体である場合、芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位以外の他の単量体単位としては、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、マレイミド系化合物、酸無水物、更には、ヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基、アミド基、カルボキシル基、オキサゾリン基等の官能基を有するビニル系化合物等に由来する単量体単位が挙げられる。この他の単量体単位は、1種単独であるいは2種以上の組合せで含まれたものとすることができる。
上記酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
尚、必要に応じて、後述するゴム強化スチレン系樹脂(A12)の製造時に使用可能な連鎖移動剤、乳化剤等を用いることができる。
尚、上記ビニル系単量体(b1)及び上記ビニル系単量体(b2)において、構成成分及びその割合等が互いに同じであってよいし、異なってもよい。
尚、上記重合開始剤は、反応系に一括して、又は、連続的に添加することができる。
尚、上記連鎖移動剤は、反応系に一括して、又は、連続的に添加することができる。
尚、上記スチレン系樹脂(A1)に、ゴム強化スチレン系樹脂(A12)を2種以上含有させる場合には、各ラテックスから樹脂を単離した後、混合してもよいが、他の方法として、各樹脂をそれぞれ含むラテックスの混合物を凝固する等の方法がある。
グラフト率(質量%)={(y−x)/x}×100
他の熱可塑性樹脂の使用量は、上記成分〔A〕を100質量%とした場合、通常、0〜95質量%、好ましくは0〜70質量%、より好ましくは0〜40質量%、更に好ましくは0〜20質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。
他の熱可塑性樹脂は、熱可塑性を有する樹脂であれば、特に限定されず、ポリカーボネート樹脂(PC);ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等の(メタ)アクリル酸エステル化合物の1種以上を用いた(共)重合体等のアクリル系樹脂;塩化ビニル系樹脂;ポリアミド系樹脂(PA);ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;オレフィン系樹脂;アイオノマー、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体等のエチレン系共重合体;ポリアセタール樹脂(POM);ポリアリレート樹脂;ポリフェニレンエーテル;ポリフェニレンサルファイド;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂;液晶ポリマー;イミド系樹脂;ケトン系樹脂;スルホン系樹脂;ウレタン系樹脂;ポリ酢酸ビニル;ポリエチレンオキシド;ポリビニルアルコール;ポリビニルエーテル;ポリビニルブチラール;フェノキシ樹脂;感光性樹脂;バイオベースポリマー等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、熱可塑性エラストマー、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂及びバイオベースポリマーが好ましく、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂及び塩化ビニル系樹脂が更に好ましい。
その平均重合度は、通常、500〜8,000である。
この成分〔B〕は、アスペクト比が5〜50、且つ、平均粒径が3〜50μmの繊維状充填材である。アスペクト比は、好ましくは10〜25である。上記アスペクト比が5〜50の範囲にあると、機械的強度に優れ、線膨張係数が小さく、寸法安定性に優れる発泡成形品を容易に得ることができる。また、平均粒径は、好ましくは3〜40μm、より好ましくは4〜40μmである。上記平均粒径が3〜50μmの範囲にあると、機械的強度に優れ、線膨張係数が小さく、寸法安定性に優れる発泡成形品を得ることができる。
これらは、いずれも、細い直径の長繊維を複数撚り、収束剤によって収束させて切断したチョップドストランドの形態のものが好ましい。
また、上記ガラス繊維とこれらの収束剤を効率よく密着させるために、シランカップリング剤を併用してもよい。このシランカップリング剤は、ガラス繊維を収束させる働きもある。上記シランカップリング剤としては、公知の化合物を用いることができる。上記シランカップリング剤の使用量は、収束剤に対し、通常、0.01〜20質量%である。
上記ピッチ系炭素繊維は、ピッチを原料として紡糸し、熱処理して得られる繊維である。好ましい引張弾性率は、10〜900GPa、更に好ましくは30〜600GPaである。
上記PAN系炭素繊維及び上記ピッチ系炭素繊維について、繊維径が上記範囲にあると、寸法安定性及び剛性の改良効果が大きく好ましい。尚、繊維径が小さすぎると、コンパウンド時に炭素繊維が折れやすくなり、上記効果が小さくなる。
また、上記PAN系炭素繊維及び上記ピッチ系炭素繊維は、通常、収束剤により収束されて用いられる。この収束剤の使用量は、上記繊維に対して、固形分換算で、好ましくは0.5〜10質量%である。上記収束剤の塗布量が少なすぎると、解繊しやすく、コンパウンド時のハンドリングが困難である。一方、多すぎると、耐熱性の低下やシルバー等の成形不良を起こす。
更に、上記PAN系炭素繊維及び上記ピッチ系炭素繊維は、その表面が金属等により被覆されてなるものであってもよい。
このウォラストナイトとしては、その表面が、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤等により表面処理されてなるものを用いることもできる。
この成分〔C〕は、沸点(大気圧)が−10℃〜55℃である化合物を含むものであれば、特に限定されない。該化合物としては、炭素原子数3〜6の脂肪族炭化水素等が挙げられ、特に、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン及びイソペンタンが好ましい。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせで含まれることができる。これらを用いると、発泡性、及び、発泡セルの微分散性に優れる。尚、沸点(大気圧)が−10℃〜55℃である化合物の含有量は、上記成分〔C〕100質量%に対し、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95〜100質量%である。
尚、上記成分〔C〕が複数の成分を含む場合には、沸点(大気圧)の平均値が−10℃〜55℃であることが好ましい。
また、上記成分〔C〕は、酸素原子を含む化合物である石油エーテル、炭酸ガス、窒素ガス等を含んでもよい。他の成分の含有量は、上記成分〔C〕100質量%に対し、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは0〜5質量%である。
本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物は、目的、用途等に応じて、添加剤を含有したものとすることができる。この添加剤としては、発泡助剤、充填材、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、抗菌剤、防汚剤、着色剤、蛍光増白剤、蛍光染料等が挙げられる。
上記発泡助剤の含有量は、上記成分〔C〕100質量部に対して、通常、0.1〜2質量部である。
上記充填材の含有量は、上記成分〔A〕の量を100質量部とした場合に、通常、0.1〜5質量部である。
上記熱安定剤の含有量は、上記成分〔A〕の量を100質量部とした場合に、通常、0.01〜2質量部である。
上記酸化防止剤の含有量は、上記成分〔A〕の量を100質量部とした場合に、通常、0.01〜2質量部である。
上記紫外線吸収剤の含有量は、上記成分〔A〕の量を100質量部とした場合に、通常、0.05〜2質量部である。
上記老化防止剤の含有量は、上記成分〔A〕の量を100質量部とした場合に、通常、0.01〜2質量部である。
低分子型帯電防止剤としては、アニオン系帯電防止剤;カチオン系帯電防止剤;非イオン系帯電防止剤;両性系帯電防止剤;錯化合物;アルコキシシラン、アルコキシチタン、アルコキシジルコニウム等の金属アルコキシド及びその誘導体;コーテッドシリカ、リン酸塩、リン酸エステル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、高分子型帯電防止剤としては、分子内にスルホン酸金属塩を有するビニル共重合体、アルキルスルホン酸金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩、ベタイン等が挙げられる。更に、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー等を用いることもできる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記帯電防止剤の含有量は、上記成分〔A〕の量を100質量部とした場合に、通常、0.1〜5質量部である。
上記可塑剤の含有量は、上記成分〔A〕の量を100質量部とした場合に、通常、0.5〜5質量部である。
上記滑剤の含有量は、上記成分〔A〕の量を100質量部とした場合に、通常、0.2〜5質量部である。
有機系難燃剤としては、臭素化エポキシ系化合物、臭素化アルキルトリアジン化合物、臭素化ビスフェノール系エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、臭素化ビスフェノール系ポリカーボネート樹脂、臭素化ポリスチレン樹脂、臭素化架橋ポリスチレン樹脂、臭素化ビスフェノールシアヌレート樹脂、臭素化ポリフェニレンエーテル、デカブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモビスフェノールA及びそのオリゴマー等のハロゲン系難燃剤;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、ジメチルエチルホスフェート、メチルジブチルホスフェート、エチルジプロピルホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート等のリン酸エステルやこれらを各種置換基で変性した化合物、各種の縮合型のリン酸エステル化合物、リン元素及び窒素元素を含むホスファゼン誘導体等のリン系難燃剤;ポリテトラフルオロエチレン、グアニジン塩、シリコーン系化合物、ホスファゼン系化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
反応系難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールA、ジブロモフェノールグリシジルエーテル、臭素化芳香族トリアジン、トリブロモフェノール、テトラブロモフタレート、テトラクロロ無水フタル酸、ジブロモネオペンチルグリコール、ポリ(ペンタブロモベンジルポリアクリレート)、クロレンド酸(ヘット酸)、無水クロレンド酸(無水ヘット酸)、臭素化フェノールグリシジルエーテル、ジブロモクレジルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
尚、本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物に難燃剤を含有させる場合には、難燃助剤を用いることが好ましい。この難燃助剤としては、三酸化二アンチモン、四酸化二アンチモン、五酸化二アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、酒石酸アンチモン等のアンチモン化合物や、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、水和アルミナ、酸化ジルコニウム、ポリリン酸アンモニウム、酸化スズ、酸化鉄等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記抗菌剤の含有量は、上記成分〔A〕の量を100質量部とした場合に、通常、0.1〜5質量部である。
上記着色剤の含有量は、上記成分〔A〕の量を100質量部とした場合に、通常、0.0005〜10質量部である。
本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物は、上記の成分〔A〕、〔B〕及び〔C〕を含有するものであるが、その形態は、特に限定されない。例えば、上記の成分〔A〕、〔B〕及び〔C〕のすべてを含有するペレット等の形態であってよいし、上記の成分〔A〕及び〔C〕を含有するペレット等と、上記成分〔B〕との混合物、上記成分〔A〕の一部、及び、上記成分〔B〕を含有するペレット等と、上記成分〔A〕の残部、及び、上記成分〔C〕とを含有するペレット等との混合物、等の形態であってもよい。
本発明においては、上記熱可塑性樹脂〔A〕のうちの5〜50質量%に相当する熱可塑性樹脂(以下、「樹脂(AX)」という。)と、上記繊維状充填材〔B〕のうちの0〜50質量%に相当する繊維状充填材(以下、「繊維状充填材(BX)」という。)と、上記発泡剤〔C〕のうちの50〜100質量%に相当する発泡剤(以下、「発泡剤(CX)」という。)とを含有する組成物〔X〕、及び、上記熱可塑性樹脂〔A〕のうちの50〜95質量%に相当する熱可塑性樹脂(以下、「樹脂(AY)」という。)と、上記繊維状充填材〔B〕のうちの50〜100質量%に相当する繊維状充填材(以下、「繊維状充填材(BY)」という。)と、上記発泡剤〔C〕のうちの0〜50質量%に相当する発泡剤(以下、「発泡剤(CY)」という。)とを含有する組成物〔Y〕の混合物であることが好ましい。尚、樹脂(AX)及び樹脂(AY)によって、上記熱可塑性樹脂〔A〕が構成され、繊維状充填材(BX)及び繊維状充填材(BY)によって、上記繊維状充填材〔B〕が構成され、且つ、発泡剤(CX)及び発泡剤(CY)によって、上記発泡剤〔C〕が構成されるものとする。また、組成物〔X〕及び組成物〔Y〕は、いずれも、1種以上からなるものとすることができる。
また、上記樹脂(AX)が、スチレン系(共)重合体(A11)、及び/又は、ゴム強化スチレン系樹脂(A12)から構成される場合、上記ゴム質重合体を除く重合体成分が、この重合体成分を構成する単量体単位の全量を100質量%とした場合、芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位が75〜95質量%であり、シアン化ビニル化合物に由来する単量体単位が5〜25質量%であり、他の単量体単位が0〜20質量%であることが好ましい。更に好ましい割合は、それぞれ、80〜87質量%、13〜20質量%及び0〜12質量%である。各単量体単位の含有量が、上記範囲にあると、発泡倍率が高く、発泡性、発泡セルの微分散性、及び、成形外観性が一段と優れる発泡成形品を得ることができる。尚、上記ゴム質重合体を除く重合体成分は、上記樹脂(AX)をアセトン中に浸漬させて得られたアセトン可溶成分とすることができる。
上記樹脂(AX)に含有されるスチレン系(共)重合体(A11)、及び/又は、ゴム強化スチレン系樹脂(A12)からなるスチレン系樹脂(A1)の含有量は、上記樹脂(AX)に対して、好ましくは80〜100質量%、より好ましくは90〜100質量%、更に好ましくは95〜100質量%、特に好ましくは98〜100質量%である。この範囲にあると、発泡倍率が高く、発泡性、発泡セルの微分散性、及び、成形外観性が一段と優れる発泡成形品を得ることができる。
上記樹脂(AX)に含有されるスチレン系樹脂(A1)を構成する単量体単位の含有量は、単量体単位の種類及びその含有割合が既知であるスチレン系(共)重合体(A11)、及び/又は、ゴム強化スチレン系樹脂(A12)を用い、その使用量を適宜、調整することにより、上記の単量体単位の含有量にすることができる。
尚、上記組成物〔X〕に含有されるスチレン系樹脂をアセトン中に浸漬させて得られたアセトン可溶成分の構成は、全体を100質量%とした場合に、芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位、シアン化ビニル化合物に由来する単量体単位、及び、他の化合物に由来する単量体単位が、それぞれ、好ましくは75〜95質量%、5〜25質量%及び0〜20質量%、より好ましくは80〜87質量%、13〜20質量%、及び、0〜12質量%である。アセトン可溶成分の構成が上記範囲にあると、機械的強度に優れ、線膨張係数が小さく、寸法安定性に優れ、更に、表面外観性に優れる発泡成形品の形成に好適である。
また、上記組成物〔X〕のために用いられるスチレン系樹脂(A1)がスチレン系(共)重合体(A11)のみである場合には、この組成物〔X〕をアセトンに浸漬させて得られたアセトン可溶分を、既知の方法により分析し、その結果によりスチレン系(共)重合体(A11)の単量体単位量を検証することができる。
上記他の熱可塑性樹脂として、特に好ましくは塩化ビニル系樹脂である。塩化ビニル系樹脂を用いる場合、その使用効果を得るために、上記スチレン系樹脂(A1)及び塩化ビニル系樹脂の含有割合は、これらの合計を100質量%とした場合に、それぞれ、好ましくは0〜80質量%及び20〜100質量%、更に好ましくは0〜50質量%及び50〜100質量%である。尚、上記塩化ビニル系樹脂の使用量は、本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物中に含有される他の熱可塑性樹脂の規定量の範囲内で選択される。
尚、上記スチレン系(共)重合体(A11)を構成する、ビニル系単量体に由来する単量体単位の種類は、上記説明がそのまま適用される。また、このビニル系単量体単位の各含有量は、芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位、シアン化ビニル化合物に由来する単量体単位及び必要に応じて含まれる他の単量体単位の含有割合として、全単量体単位の合計を100質量%とした場合に、それぞれ、好ましくは50〜97質量%、3〜50質量%及び0〜47質量%、より好ましくは55〜95質量%、5〜45質量%及び0〜15質量%である。更に、上記スチレン系(共)重合体(A11)の好ましいMwは、100,000〜300,000であり、より好ましくは100,000〜270,000、更に好ましくは120,000〜250,000である。
また、上記ゴム強化スチレン系樹脂(A12)を構成するゴム質重合体(a)は、ジエン系重合体及び/又は非ジエン系重合体であり、その含有量は、ゴム強化スチレン系樹脂(A12)100質量%に対して、通常、5〜80質量%である。更に、ゴム強化スチレン系樹脂(A12)において、ゴム質重合体(a)を除く重合体成分を構成するビニル系単量体に由来する単量体単位の種類は、上記ビニル系単量体(b2)における説明がそのまま適用される。そして、これらのビニル系単量体単位の含有量は、芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位、及び、それ以外の化合物に由来する単量体単位が、その合計を100質量%とした場合、それぞれ、通常、45〜97質量%及び3〜55質量%、好ましくは50〜95質量%及び5〜50質量%である。
上記組成物〔X〕に含有される繊維状充填材(BX)、及び、上記組成物〔Y〕に含有される繊維状充填材(BY)の質量割合は、上記のように、それぞれ、0〜50質量%及び50〜100質量%であり、より好ましくは0〜20質量%及び80〜100質量%、更に好ましくは0〜10質量%及び90〜100質量%である。
また、上記組成物〔X〕に含有される発泡剤(CX)、及び、上記組成物〔Y〕に含有される発泡剤(CY)の質量割合は、上記のように、それぞれ、50〜100質量%及び0〜50質量%であり、より好ましくは70〜100質量%及び0〜30質量%、更に好ましくは90〜100質量%及び0〜10質量%である。
上記範囲で組成物〔X〕及び〔Y〕を調製し、これらの組成物を混合してなる発泡成形用熱可塑性樹脂組成物とすることにより、発泡倍率が2倍以上と高く、且つ、表面の外観性に優れる発泡成形品を容易に得ることができる。
尚、上記の組成物〔X〕及び〔Y〕は、上記に例示した、発泡助剤、充填材、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、老化防止剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、抗菌剤、防汚剤、着色剤、蛍光増白剤、蛍光染料等の添加剤を含んでもよい。
その後、上記混練工程においては、上記溶融工程において用いた押出機が、あるいは、別途準備した、上記例示した押出機が用いられ、溶融状態の上記樹脂(AX)中に、液化させた上記成分〔C〕、又は、液化させた上記成分〔C〕及び発泡助剤を供給し、通常、上記樹脂(AX)の溶融温度以上で溶融混練する。
その後、冷却された線状体を適当な長さに切断することにより、所望の大きさの発泡剤含有マスターバッチを製造することができる。
この溶融混合物は、公知の熱可塑性樹脂組成物によるペレット等の製造方法を適用して製造されたものとすることができる。
本発明の発泡成形品は、上記本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を用いて得られたことを特徴とする。また、本発明の発泡成形品は、上記本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を押出成形して得られたことを特徴とする。押出成形では、通常、上記本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を溶融状態とし、ダイから押し出すことにより、同時に発泡され、板状(シート状)、筒状、半筒状、線状等の成形品が得られる。
本発明の発泡成形品は、発泡セルが均一であり、その表面外観性に優れる。また、発泡倍率(実施例に示された算出方法による)は、好ましくは2〜25倍、より好ましくは2〜20倍である。密度は、好ましくは40〜500kg/m3、より好ましくは50〜400kg/m3である。更に、温度範囲−20℃〜60℃における線膨張係数が好ましくは5.5×10−5(1/℃)以下、より好ましくは5.0×10−5(1/℃)であり、収縮率が小さく、寸法安定性に優れる。本発明の発泡成形品において、含有される成分〔B〕のアスペクト比は、好ましくは5〜50、より好ましくは5〜30である。アスペクト比が上記範囲にあることから、成形外観性、機械的強度及び寸法安定性に優れる。
加熱温度は、好ましくは130℃〜260℃である。
上記成分〔A〕が、スチレン系樹脂(A1)及び塩化ビニル系樹脂からなる場合、加熱温度は、好ましくは120℃〜200℃である。
本発明の積層品は、上記本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を用いて得られた成形部(V)(以下、「発泡成形部(V)」という。)と、他の材料からなる部材(W)とが積層してなることを特徴とする。
本発明の積層品は、上記本発明の発泡成形品と同じ用途に好適である。その形状も上記本発明の成形品と同様とすることができる。
樹脂(組成物)は、熱可塑性樹脂(組成物)であってよいし、硬化樹脂(組成物)であってもよい。この熱可塑性樹脂(組成物)に含まれる熱可塑性樹脂としては、本発明の積層品の用途等により選択されるが、上記本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物に含まれる成分〔A〕と同じであってよいし、異なってもよい。また、この熱可塑性樹脂(組成物)は、発泡剤を含有してよいし、含有しなくてもよい。
無機材料は、金属、合金、酸化物、炭化物、窒化物、金属塩等が挙げられる。
尚、本発明の積層品において、上記部材(W)の層数は、1層でも、2層でも、3層以上でもよい。また、上記部材(W)は、上記発泡成形部(V)の両面に備えてもよい(図3参照)。好ましい他の材料は、熱可塑性樹脂(組成物)である。
上記積層品1aの製造方法としては、上記本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を用いて発泡成形部(V)11を形成した後、別途、作製した部材(W)12を配設する方法;上記本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物と、上記部材(W)12を形成することとなる熱可塑性樹脂(組成物)とを用いて、共押出する方法;予め形成した部材(W)12の表面に、上記本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を用いて得られた発泡成形部(V)11を配設する方法等が挙げられる。
上記積層品1bの製造方法についても、上記積層品1aの製造方法と同様とすることができる。
上記の積層品1cの製造方法としては、上記本発明の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物と、上記部材(W)12を形成することとなる熱可塑性樹脂(組成物)とを用いて、共押出する方法等が挙げられる。
下記の実施例及び比較例において用いる成分を示す。
(1)アクリロニトリル・スチレン共重合体(A−1)
スチレン単位量79%、アクリロニトリル単位量21%の共重合体であり、Mwは16万である。
(2)アクリロニトリル・スチレン共重合体(A−2)
スチレン単位量84%、アクリロニトリル単位量16%の共重合体であり、Mwは15万である。
(3)アクリロニトリル・スチレン共重合体(A−3)
スチレン単位量70%、アクリロニトリル単位量30%の共重合体であり、Mwは20万である。
(4)ABS樹脂(A−4)
体積平均粒子径280nm及びトルエン不溶分80%のポリブタジエンゴムの存在下、スチレン及びアクリロニトリルを乳化重合して得られたABS樹脂である。このABS樹脂のグラフト率は55%、ポリブタジエンゴム量は51%、スチレン単位量35%、アクリロニトリル単位量14%である。
アクリル酸n−ブチル99%及びメタクリル酸アリル1%からなる共重合体であるアクリル系ゴムの存在下に、スチレン及びアクリロニトリルを乳化重合して得られたゴム強化スチレン系樹脂である。このゴム強化スチレン系樹脂は、グラフト率が60%であり、アクリル系ゴム量が50.8%であり、スチレン単位量が36.4%であり、アクリロニトリル単位量が12.8%である。
(6)塩化ビニル樹脂(A−6)
ヴイテック社製「ビニカPVC SG1300」(商品名)を用いた。
(1)ウォラストナイト(B−1)
キンセイマテック社製珪灰石「SH−800」(品番)を用いた。アスペクト比は20、平均粒径は6.5μmである。
(2)ウォラストナイト(B−2)
アスペクト比が3であり、平均粒径が2.5μmであるウォラストナイトを用いた。
ブタン(大気圧における沸点−0.5℃)を用いた。
主成分が炭酸水素ナトリウムである吸熱分解型発泡剤(商品名「セルボンSC−P」、永和化成社製)を用いた。
(1)押出性改良剤(E−1)
極限粘度[η](30℃、ジメチルホルムアミド)が2.4dl/gであり、Mw/Mnが6.8であり、アクリロニトリル単位量が23%である超高分子量アクリロニトリル・スチレン樹脂を用いた。
(2)滑剤(E−2)
ステアリン酸マグネシウム(商品名「MAGNIC−GR」、日本油脂社製)を用いた。
(3)滑剤(E−3)
低分子量ポリエチレンワックス(商品名「サンワックス171−P」、三洋化成工業社製)を用いた。
(1)組成物X−1の製造
シリンダー温度を170℃〜250℃に設定した、スクリュー径40mm単軸押出機に、アクリロニトリル・スチレン共重合体(A−1)100部を供給してこれを溶融した。その後、発泡剤Cの4.5部を上記押出機後部の注入口から供給し、溶融混練した。
次いで、上記押出機の出口に配設した、5穴(2.5mmφ/穴)のダイを通して、ストランドを押出し、冷却後、切断することで、外径約2mm及び長さ3mmの円柱状の発泡剤含有マスターバッチ(X−1)を得た。
[ブタン含有量測定方法]
発泡剤含有マスターバッチ約10gを、200℃のホットプレート上に載置し、5分間加熱し、加熱前後の質量を精秤し、その差をブタン含有量とした。
[発泡倍率]
発泡剤含有マスターバッチの外形寸法から求めた、嵩体積、及び、樹脂の比重から、質量計算値W1を算出し、このW1と、質量実測値W2との比を発泡倍率とした。
発泡倍率(倍) = W1/W2
尚、計算に用いた樹脂の密度は、アクリロニトリル・スチレン共重合体;1.08g/cm3である。
○;表面が滑らかであった。
×;表面がスポンジのようになっていた。
熱可塑性樹脂A(A−2〜A−3)及び発泡剤Cを、それぞれ、表1に示す割合で用いた以外は、上記と同様にして発泡剤含有マスターバッチ(X−2)〜(X−3)を製造し、各種評価を行った。その結果を表1に示した。
また、発泡剤Cを含有しない、スチレン系樹脂(A−1)のみからなるマスターバッチペレット(X−4)も同様にして製造した(表1参照)。
(1)組成物Y−1の製造
表2に示す配合処方に従って、アクリロニトリル・スチレン共重合体(A−3)29部と、ABS樹脂(A−4)31部と、ウォラストナイト(B−1)40部とを、ヘンシェルミキサーに投入して混合し、シリンダー温度を170℃〜250℃に設定した、スクリュー径40mm単軸押出機に供給してこれを溶融混練した。その後、上記押出機の出口に配設した、5穴(2.5mmφ/穴)のダイを通して、ストランドを押出し、冷却後、切断することで、外径約2mm及び長さ3mmの円柱状の溶融混合物ペレット(Y−1)を得た(表2参照)。
ABS樹脂(A−4)に代えて、ASA樹脂(A−5)を用いた以外は、上記溶融混合物ペレット(Y−1)と同様にして、外径約2mm及び長さ3mmの円柱状の溶融混合物ペレット(Y−2)を得た(表2参照)。
ウォラストナイト(B−1)に代えて、ウォラストナイト(B−2)を用いた以外は、上記溶融混合物ペレット(Y−1)と同様にして、外径約2mm及び長さ3mmの円柱状の溶融混合物ペレット(Y−3)を得た(表2参照)。
ウォラストナイト(B−1)を配合しなかった以外は、上記溶融混合物ペレット(Y−1)と同様にして、外径約2mm及び長さ3mmの円柱状の溶融混合物ペレット(Y−4)を得た(表2参照)。
上記溶融混合物ペレット(Y−1)37.5部と、塩化ビニル樹脂(A−6)62.5部とを、ヘンシェルミキサーにより常温で2分間混合し、ペレット混合物(Y−5)を得た。
実施例1
発泡剤含有マスターバッチ(X−1)25部と、溶融混合物ペレット(Y−1)75部とを、ヘンシェルミキサーで2分間混合し、発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を得た。その後、スクリューを備える押出機(「FS50−22型」、池貝社製)に投入し、200℃で溶融混練した。次いで、Tダイに、サイジングダイを配設した出口から、幅55mm及び厚さ5.0mmである発泡成形品を排出させた。該発泡成形品の下記計算方法による発泡倍率は3.5倍であり、該発泡成形品から長さ80mm、幅55mm及び厚さ5.0mmの発泡成形品(以下、「試験片」という。)を得た。
[発泡倍率計算方法]
発泡成形品の外形寸法から求めた、嵩体積、並びに、樹脂及び繊維状充填材の密度から、質量計算値W1を算出し、このW1と、質量実測値W2との比を発泡倍率とした。
発泡倍率(倍) = W1/W2
(1)成形外観性
試験片の外観を目視観察し、下記基準により判定した。
◎;歪みがなく、その表面が滑らかであった。
○;歪みはなかったが、その表面の一部に微小な凹凸が見られた。
△;わずかに歪みが得られ、その表面の一部に微小な凹凸が見られた。
×;歪みがあり、その表面のほぼ全面に微小な凹凸が見られた。
上記の押出成形において、Tダイを、断面が正方形(15mm×15mm)である線状成形品を成形可能なダイに代えて、角柱形の発泡成形品を得た。長さを100mmとなるように切断し、これを線膨張係数測定用の試験片として用いた。
上記試験片を−20℃の恒温槽に60分間放置し、−20℃における長さ(L1)を、マイクロメータにより測定した。次いで、同じ試験片を60℃の恒温槽に60分間放置し、60℃における長さ(L2)を測定した。線膨張係数は、上記の長さ(L1)及び長さ(L2)を用い、下記式により算出した。
線膨張係数(1/℃)=(L2−L1)/(L1×80)
表3に示す配合処方に従って、発泡剤含有マスターバッチ及び溶融混合物ペレットを用い、実施例1と同様にして発泡成形品を製造し、評価した。その結果を表3に示した。
表3に示す配合処方に従って、発泡剤含有マスターバッチ(X−1)20部、及び、ペレット混合物(Y−5)80部を用い、実施例1と同様にして発泡成形品を製造し、評価した。その結果を表3に示した。尚、表3においては、ペレット混合物(Y−5)の代わりに、これを構成する組成物(Y−1)及び樹脂(A−6)の構成で示した。
アクリロニトリル・スチレン共重合体(A−1)23部と、アクリロニトリル・スチレン共重合体(A−3)22部と、ABS樹脂(A−4)23部と、ウォラストナイト(B−1)30部と、押出性改良剤(E−1)1.2部と、滑剤(E−2)0.8部と、滑剤(E−3)0.4部とをヘンシェルミキサーで混合し、スクリューを備える押出機(「FS50−22型」、池貝社製)に投入し、200℃で溶融混練した。その後、発泡剤Cの2部を、上記押出機後部の注入口から供給し、溶融混練した。次いで、Tダイに、サイジングダイを配設した出口から、幅55mm及び厚さ5.0mmである発泡成形品を排出させ、発泡剤含有熱可塑性樹脂体を得た。この発泡剤含有熱可塑性樹脂体を用いて、実施例1と同様にして、発泡成形品の製造及び評価を行った。その結果を表3に示した。
表3に示す配合処方に従って、発泡剤含有マスターバッチ及び溶融混合物ペレットを用い、実施例1と同様にして発泡成形品を製造し、評価した。その結果を表3に示した。
表3に示す配合処方に従って、発泡剤未含有マスターバッチ(X−4)24部、溶融混合物ペレット(Y−1)75部及び発泡剤D1部を用いた以外は、実施例1と同様にして、発泡成形品を製造した。尚、この発泡剤Dは、製造中に発泡してしまうため、発泡剤Cと同様にして組成物〔X〕を製造することができないので、上記のような方法で使用し、発泡成形品を製造した。
発泡成形品の評価結果を表3に示した。
一方、実施例1〜6は、本発明の範囲内の樹脂組成物から得られた発泡成形品の例であり、本発明の目的とする性能を有していた。
実施例8
[1]実施例1により得られた発泡成形用熱可塑性樹脂組成物と、[2]スチレン系樹脂(A−4)とを、それぞれ、表材用及び基材用として用い、下記の共押出条件で、1.5mm及び3.5mmの厚さを有する積層品(表材は発泡成形部)を得た。
<押出条件>
[1]表材層;20mm押出機、160℃(押出温度)、40rpm(スクリュー回転数)、0.8m/分(引取速度)
[2]基材層;40mm押出機、190℃(押出温度)、20rpm(スクリュー回転数)、0.8m/分(引取速度)
11,11a及び11b;発泡成形部(V)
12;部材(W)
Claims (12)
- 〔A〕全体を100質量%とした場合に、スチレン系樹脂(A1)を5〜100質量%含む熱可塑性樹脂と、〔B〕アスペクト比が5〜50であり且つ平均粒径が3〜50μmである繊維状充填材と、〔C〕沸点が−10℃〜55℃である化合物を含む発泡剤と、を含有する発泡成形用熱可塑性樹脂組成物であって、
上記繊維状充填材〔B〕の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕100質量部に対して、5〜150質量部であり、且つ、
上記発泡剤〔C〕の含有量は、上記熱可塑性樹脂〔A〕100質量部に対して、0.1〜5質量部であることを特徴とする発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。 - 上記繊維状充填材〔B〕がウォラストナイトである請求項1に記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
- 上記熱可塑性樹脂〔A〕のうちの5〜50質量%に相当する熱可塑性樹脂と、上記繊維状充填材〔B〕のうちの0〜50質量%に相当する繊維状充填材と、上記発泡剤〔C〕のうちの50〜100質量%に相当する発泡剤とを含有する組成物〔X〕、及び、上記熱可塑性樹脂〔A〕のうちの50〜95質量%に相当する熱可塑性樹脂と、上記繊維状充填材〔B〕のうちの50〜100質量%に相当する繊維状充填材と、上記発泡剤〔C〕のうちの0〜50質量%に相当する発泡剤とを含有する組成物〔Y〕の混合物である請求項1又は2に記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
- 上記組成物〔X〕が、発泡倍率1.15以下の発泡剤含有マスターバッチである請求項3に記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
- 上記組成物〔Y〕が、上記発泡剤〔C〕を含有しない溶融混練物である請求項3又は4に記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
- 上記組成物〔X〕に含有されるスチレン系樹脂(A1)をアセトン中に浸漬させて得られたアセトン可溶成分が、全体を100質量%とした場合に、芳香族ビニル化合物からなる単量体単位75〜95質量%、シアン化ビニル化合物からなる単量体単位5〜25質量%、及び、他の化合物からなる単量体単位0〜20質量%により構成されている請求項3乃至5のいずれかに記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
- 上記スチレン系樹脂(A1)が、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体を用いてなるスチレン系共重合体、及び/又は、ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体を重合して得られたゴム強化スチレン系樹脂を含む請求項1乃至6のいずれかに記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を用いて得られたことを特徴とする発泡成形品。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を押出成形して得られたことを特徴とする発泡成形品。
- 発泡倍率が2〜25倍である請求項8又は9に記載の発泡成形品。
- 線膨張係数が5.5×10−5(1/℃)以下である請求項8乃至10のいずれかに記載の発泡成形品。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載の発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を用いて得られた成形部(V)と、他の材料からなる部材(W)とが積層してなることを特徴とする積層品。
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