JP2017212994A - 小麦粉膨化食品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本来の風味を維持したまま、苦味や不快な臭気および、食したときのくちゃつきを感じることなく、柔らかく、しっとりした食感(触感)を維持した、老化が抑制されたケーキの製造方法の提供。【解決手段】ケーキの原材料にグリセロ糖脂質分解活性がグリセロリン脂質分解活性の3倍以上の酵素を配合しケーキを製造するケーキの製造方法。さらに、乳化剤を配合することが好ましい、前記ケーキの製造方法。前記酵素がトリグリセリド分解活性を有することが更に好ましい、前記ケーキの製造方法【選択図】なし

Description

本発明は、グリセロ糖脂質分解活性を有する酵素を使用することによる、ソフトでしっとりした食感(触感)を維持できる小麦粉膨化食品の製造方法に関する。
気泡を含有させることで、膨化させた小麦粉製品は口どけや柔らかさが良好な状態であることが好まれる。これら、小麦粉膨化食品は直ぐに消費されることもあるが、多くは数日経てから提供される。そのため、風味・食感などが劣化し、もともとの小麦粉膨化食品と全く異なってしまうことが問題である。特に、劣化した小麦粉膨化食品は硬く、パサパサした食感(触感)となる傾向にあり、しっとりとした食感(触感)が維持されていることが求められており、その解決方法が古くから模索されてきた。
乳化剤による解決策では、乳化剤濃度あるいは種類により、乳化剤特有の臭気や苦味が生じることがあり、小麦粉膨化食品本来の風味を損ねる問題が指摘されている。また、澱粉や多糖類などの増粘剤を用いることも報告されている(特許文献1)。この場合には、製造した小麦粉膨化食品の味が本来のものとは異なる上、口どけが悪くなり、くちゃつきの原因になることが知られている。
また、卵黄を予めプロテアーゼで処理する方法も提示されている(特許文献2)。しかし、この方法ではプロテアーゼ加水分解物による苦味などが問題になる。このように従来の方法では、老化抑止効果をもたせようとすると、小麦粉膨化食品本来の風味や食感が保てないことが問題であった。
特開昭60−160833号公報 特開昭62−111629号公報
本発明の課題は、本来の味や風味を損ねることなく、苦味や不快な臭気および、食したときのくちゃつきを感じることなく、柔らかく、しっとりした食感(触感)を保持できる小麦粉膨化食品の製造方法を提供することである。
本発明者らは、小麦粉膨化食品の製造において、グリセロ糖脂質分解活性を有する酵素を配合することにより、本来の風味を維持したまま、苦味や不快な臭気および、食したときのくちゃつきを感じることなく、柔らかく、しっとりした食感(触感)を維持できることを見出した。更に、乳化剤と共に使用することにより、それぞれ単独では得られない、柔らかく、しっとりした食感(触感)を保持した小麦粉膨化食品ができることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、グリセロ糖脂質分解活性を有する酵素を使用すること、好ましくはグリセロ糖脂質分解活性を有する酵素と乳化剤を共用することを特徴とする小麦粉膨化食品の製造方法を提供する。
本発明によれば、小麦粉膨化食品の製造において、グリセロ糖脂質分解活性を有する酵素を配合することにより、本来の風味を維持したまま、苦味や不快な臭気および、食したときのくちゃつきを感じることなく、柔らかくしっとりした食感(触感)を維持した、老
化が抑制された小麦粉膨化食品を製造することができる。特に、本発明の製造方法により得られた小麦粉膨化食品は、保存後においても柔らかくしっとりした食感を維持することができる。また、本発明の製造方法により得られた小麦粉膨化食品は、保存時間が長くなっても硬くなりにくく、冷蔵庫のような乾燥しやすい環境下においても、しっとりした食感を維持することができる。
以下、本発明を詳細に説明するが、この説明は本発明の実施態様の一例(代表例)であり、その要旨を越えない限り、これらの内容に特定はされない。
本発明における小麦粉膨化食品とは、小麦粉を使用した食品で、焼成、蒸し、フライなどの加熱によって小麦粉を含有する生地を膨化させた食品をいい、加熱により気泡を膨化させた食品などがその一例である。
小麦粉膨化食品として具体的には、パン、洋菓子、和菓子及びバッターを加熱により膨化させたものなどが挙げられる。
このなかで洋菓子を例にとって説明をする。本発明における洋菓子とは、スポンジケーキ、バターケーキ、パンケーキ、ホットケーキ、蒸しケーキなどのケーキ、シュー菓子、醗酵菓子、パイ、クッキーなどの食品である。中でも、本発明は、ケーキの製造において特に優れた効果を発揮する。
本発明におけるケーキの一例として、スポンジケーキについて説明する。スポンジケーキとして具体的には、デコレーションケーキ、ショートケーキ、ロールケーキ、エンゼルケーキなどが挙げられる。
スポンジケーキの原材料としては、小麦粉、糖類、卵、油脂、乳成分、塩、水、雑穀、膨化剤などが挙げられる。
スポンジケーキは、例えば、薄力粉を主体とした小麦粉に、糖類、卵などを配合し、必要に応じて水、油脂、乳成分、膨化剤、塩、雑穀なども添加し、一定時間ホイップしたのちに焼成することによって製造される。
小麦粉としては、薄力粉を主として用い、これに適宜、強力粉、中力粉、雑穀などを混合することができる。薄力粉は1等粉、準1等粉、2等粉、3等粉など菓子製造に用いられるものが挙げられ、由来小麦粉の品種を問わない。これらの小麦粉は、薄力粉を主とする限り複数混合して用いることもできる。小麦粉膨化食品中の小麦粉の含有量は、通常1〜90重量%、好ましくは10〜80重量%、更に好ましくは、20〜70重量%である。小麦粉の含有量が少なすぎる場合は、生地形成が困難となる傾向があり、余りにも多い場合は、生地が硬く、機械耐性が低下する傾向がある。
糖類としては、特に限定されないが、例えば、単糖、オリゴ糖、多糖類、糖アルコール、及び、これらの混合物、天然の糖類が挙げられ、これら1種のみを用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
具体的に、単糖としては、グルコース(ブドウ糖)、ガラクトース、フルクトース(果糖)、アラビノース、キシロースなどが挙げられる。
オリゴ糖としては、砂糖、麦芽糖、セロビオース、乳糖、トレハロース、パラチノースなどの二糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、キシロオリゴ糖、デキストリン、シクロデキストリン、カップリングシュガーなどの三糖以上の糖が挙げられる。
糖アルコールとしては、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、マルチトール、パラチニット、エリスリトール、還元澱粉糖化物などが挙げられる。
多糖類としては、カラギーナン、寒天、アルギン酸、グァガム、タラガム、ローカスト
ビーンガム、タマリンドガム、サイリュームシードガム、マンナン、アラビアガム、トラガントガム、カラヤガム、ペクチン、キサンタンガム、ジェランガム、カードラン、プルラン、セルロース、セルロース誘導体、澱粉、加工澱粉などが挙げられる。
また、これら混合物、天然の糖類としては、異性化糖、水飴、蜂蜜、メープルシロップなどが挙げられる。
卵は、全卵、卵黄のみ、または卵白のみ、いずれも用途に応じて用いることができる。その量も用途に応じて調整することができる。
油脂としては、バターやバターファットなどの乳脂、ラード、魚鯨油などの動物性油脂、ヤシ油、パーム油、カカオ脂、ゴマ油、サフラワー油、大豆油、トウモロコシ油、菜種油、ひまわり油、綿実油、落花生油、オリーブ油などの植物性油脂、これら動物性油脂及び/または植物性油脂を含有する油脂、これら油脂の硬化、分別、エステル交換等を施した加工油脂などが挙げられる。これらの油脂は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
乳成分としては、生乳、全脂肪粉乳、脱脂粉乳、全脂練乳などの練乳、バター、生クリーム、濃縮クリーム、チーズ、ヨーグルトなどが挙げられる。これらの乳成分は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
塩としては、種類、製造方法、由来は特に限定されず、通常飲食用に用いられる食塩であればよい。
水は、産地、硬度、精製度、微量成分等は特に限定されず、飲食用に用いられるものであればよい。
雑穀としては、ヒエ、アワ、キビ、モロコシ、ハトムギ、大麦、ライ麦、オーツ麦などのイネ科作物、大豆、小豆などの豆類、ソバ、ゴマ等が挙げられ、その量は用途に応じて適宜調整できる。これらの雑穀は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
膨化剤としては、ベーキングパウダーが使用でき、ベーキングパウダーとしては、アルカリ性を呈し且つガス発生源となる炭酸水素ナトリウム、塩化アンモニウム等のアルカリ性成分と、酸または酸性反応を呈する塩類でガス発生促進の役割を果たす酸性成分とから成る組成物が挙げられる。酸性成分としては、酒石酸水素カリウム、リン酸二水素カルシウム (別名第一リン酸カルシウム)、酒石酸、焼ミョウバン、フマル酸、リン酸ナトリ
ウム、グルコノデルタラクトン等が挙げられる。また、膨化剤には、膨化剤成分同士が保存中に反応することのないように、又は膨化剤が吸湿した場合にその湿気を捕捉するために、コーンスターチ、デンプン等の分散剤が添加されてもよい。
本発明においては、上記のような原材料に対して、グリセロ糖脂質分解活性を有する酵素を配合させる。本発明で使用するグリセロ糖脂質分解活性を有する酵素は、グリセロ糖脂質を分解する性質を有する酵素であり、グリセロ糖脂質分解(グリセロ糖脂質リパーゼ)活性の他にも、グリセロリン脂質分解(ホスホリパーゼ)活性、および/またはトリアシルグリセロール分解(トリアシルグリセリドリパーゼ)活性を有していてもよい。
グリセロ糖脂質分解活性を有する酵素は、動植物由来、菌株由来、遺伝子非組換え、遺伝子組換えのいずれでもあってよく、グリセロ糖脂質分解活性を有する限り、これを有していれば全て含まれ、特に限定されない。また、グリセロ糖脂質分解活性を有する酵素は、完全に精製したものでも、部分精製したものでもよく、また全く精製していないものでもよく、特に精製度合いに限定されるものではないが、洋菓子の風味・食感および老化抑
止に悪影響を及ぼす可能性がある物質を排除する点で、精製されているものは好ましい。
本発明に用いる酵素は、グリセロ糖脂質分解活性を有するものであれば限定されないが、中でも、グリセロ糖脂質分解活性およびグリセロリン脂質分解活性を有するものが好ましく、特に、グリセロ糖脂質分解活性がグリセロリン脂質分解活性よりも高いことが好ましい。具体的には、グリセロ糖脂質分解活性がグリセロリン脂質分解活性の3倍以上であることが好ましく、さらに好ましくは5倍以上、特に好ましくは10倍以上である。
このようなグリセロ糖脂質分解活性がグリセロリン脂質分解活性に対して十分に高いグリセロ糖脂質分解活性を有する酵素(グリセロ糖脂質分解酵素)としては、市販されているものを用いてもよいし、公知の方法(例えば、特表2009−527238号公報、特開2008−206515号公報、特開2008−35867号公報、特表2007−528732号公報)により得られるものを用いることもできる。グリセロ糖脂質分解活性を有する酵素の市販品としては、リポパンF(ノボザイムズ社製)などが挙げられる。またグリセロ糖脂質分解酵素は、グリセロ糖脂質分解活性とグリセロリン脂質分解活性だけでなく、実質上、トリグリセリド分解活性をも有することが好ましい。
原材料に対するグリセロ糖脂質分解活性を有する酵素の配合量は、小麦1kgに対して、グリセロ糖脂質分解活性として、通常10ユニット以上、好ましくは30ユニット以上、より好ましくは100ユニット以上、さらに好ましくは500ユニット以上、特に好ましくは1000ユニット以上、通常10,000ユニット以下、好ましくは5,000ユニット以下、より好ましくは3,000ユニット以下である。少なすぎると酵素の効果が十分に発揮できない場合があり、多すぎるとケーキのボリュームが小さくなる場合がある。
本発明におけるグリセロ糖脂質分解活性を示すユニットとは下記の方法で測定した酵素活性を表す。すなわち、予め37℃に加温した4wt%Triton X−100(Sigma−Aldrich Japan社製)水溶液(50mL)にジガラクトシルジアシルグリセロール(DGDG)(Sigma−AldrichJapan社製)(1.0g)を少しずつ加えて完全に溶解するまで攪拌する。この基質溶液(210μL)および400mM MOPS(ナカライテスク社製) pH 6緩衝液(30μL)の混合液を37℃で5分間保温したのち、酵素溶液(30μL)を加え均一に分散させたのち、37℃で10分間保温する。この反応液に1N塩酸(30μL)を加え酵素反応を停止させたのち、20μLを別の試験管に移す。この溶液をデタミナーNEFA755(協和メディックス社製)で比色定量する。1分間に1μmolの遊離脂肪酸を生じさせる酵素量を1ユニットと定義する。
なお、グリセロ糖脂質分解活性を有する酵素のグリセロリン脂質分解活性は下記の方法により測定することができる。
予め37℃に加温した4wt%Triton X−100(Sigma−Aldrich Japan社製)水溶液(10mL)にレシチン(SLP-ホワイト 辻製油社製)(2
00mg)を少しずつ加えて完全に溶解するまで攪拌する。この基質溶液(500μL)および400mM MOPS(ナカライテスク社製)、pH6緩衝液(250μL)の混合液を37℃で5分間保温したのち、酵素溶液(150μL)を加え均一に分散させたのち、37℃で10分間保温する。この反応液に1N塩酸(100μL)を加え酵素反応を停止させたのち、20μLを別の試験管に移す。この溶液をデタミナーNEFA755(協和メディックス社製)で比色定量する。1分間に1μmolの遊離脂肪酸を生じさせる酵素量をグリセロリン脂質分解活性1ユニットと定義する。
また、グリセロ糖脂質分解活性を有する酵素のトリグリセリド分解活性は下記の方法により測定することができる。
オリーブ油(ナカライテスク社製)100mgとアラビアガム(和光純薬社製)50mg、水10mlを加え、ブレンダー(日本精機社製)で10,000r.p.m.、1分間乳化する。この溶液(500μl)、400mM MOPS(ナカライテスク社製) pH 6
緩衝液(250μL)および100mM カルシウムクロライド溶液(50μl)の混合
液を37℃で5分間保温したのち、酵素溶液(100μl)を加え均一に分散させたのち
、37℃で10分間保温する。この反応液に1N塩酸(100μL)を加え酵素反応を停止させたのち、4wt%Triton X−100(Sigma−Aldrich Japan社製)水溶液(1mL)を加えて遊離脂肪酸を溶解させ、20μLを別の試験管に移す。この溶液をデタミナーNEFA755(協和メディックス社製)で比色定量する。1分間に1μmolの遊離脂肪酸を生じさせる酵素量をトリグリセリド分解活性1ユニットと定義する。
本発明の小麦粉膨化食品の製造においては、さらに原材料に乳化剤を配合することが好ましい。乳化剤としては、特に限定されないが、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド等の合成乳化剤が挙げられる。また、サポニン、植物ステロール、レシチン、酵素処理レシチン等の天然の乳化剤も使用することができる。これら1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、乳化剤として、上記脂肪酸エステルの一つまたは複数を油脂と混合させた乳化油脂を用いることもできる。
乳化剤の配合量としては、小麦粉に対して通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上、通常20重量%以下、好ましくは15重量%以下、より好ましくは12重量%以下である。乳化剤の配合量が少なすぎると、機能が十分に発揮されず、多すぎると乳化剤特有の味・風味が感じられてしまい、ケーキの味や風味に影響を与える恐れがある。
以下、スポンジケーキの代表的な製造方法について説明する。スポンジケーキの生地の主な製造方法として、割卵した卵を糖類(例えば、砂糖)と共に気泡させ、小麦粉等を混合する共立て法、卵白と糖類を気泡させた後、卵黄、小麦粉等を混合する別立て法、乳化気泡剤を使用して小麦粉、糖類、卵等を一括混合し、気泡させるオールインミックス法が挙げられる。いずれにおいても、原材料を混合し、生地とした後に、これを焼成することによりスポンジケーキを製造する。
本発明における、基本的なスポンジケーキの製造に用いられる原材料として、小麦粉、糖類、グリセロ糖脂質分解活性を有する酵素が挙げられ、通常さらに卵が用いられる。また、さらに、乳化剤を配合することが好ましい。
糖類の配合割合は、使用する小麦粉に対し、1重量%以上が好ましく、10重量%以上がより好ましく、50重量%以上がさらに好ましく、80重量%以上が特に好ましく、200重量%以下が好ましく、150重量%以下がより好ましい。糖類の割合が少なすぎると甘味に欠き、多すぎると甘味が強くなりすぎることがある。
卵の配合割合は、使用する小麦粉に対し、50重量%以上が好ましく、80重量%以上がより好ましく、300重量%以下が好ましい。卵の割合が少なすぎると、気泡力が足りず、重たい食感のケーキになることがある。
グリセロ糖脂質分解活性を有する酵素や乳化剤の配合量は上述の通りである。
本発明におけるグリセロ糖脂質分解活性を有する酵素は生地中に均一に分散できれば、水に分散させて配合しても、予め小麦粉等の原材料に分散させて配合してもよい。
種々の方法により、原材料を混合することにより製造された生地は目的の型に流し込み、オーブン等の加熱機器により焼成する。焼成後のケーキは必要に応じてカットし、フィ
リング、クリーム、果実類、ナッツ類等でトッピングを行う。
グリセロ糖脂質分解活性を有する酵素を用いたパンの製造方法は、原材料にグリセロ糖脂質分解活性を有する酵素を配合すればよく、その他は通常のパンの製造方法と同様である。パンとしては、蒸しパン、食パン〔白パン、黒パン、フランスパン、バラエティブレッド、ロール(テーブルロール、バターロール等)等〕、菓子パン〔ジャムパン、あんパン、クリームパン、レーズンパン、メロンパン、リッチグッズ(クロワッサン、ブリオッシュ、デニッシュペストリー)等〕、調理パン〔ホットドック、ハンバーガー、ピザパイ等〕等などが挙げられる。
例えば、小麦粉、油脂、乳成分、糖類、食塩、水、酵母、その他添加剤等の原材料にグリセロ糖脂質リパーゼおよび好ましくは乳化剤を配合し、ミキサー等の機器を用いて均一に分散・混合させ、混合後の生地を発酵し、分割、丸め、ベンチタイム、成形、最終発酵を経て焼成に至る方法が挙げられる。原材料を混合する際、原材料をそれぞれ配合してもよいし、予め一部の原材料を混合した上で混合してもよい。
小麦粉としては、高蛋白粉、特等粉、強力一等粉、強力粉、強力二等粉、全粒粉など製パンに用いられる粉が挙げられ、その小麦の品種、等級を問わず、どのような小麦粉を用いてもよい。これらの小麦粉は、1種のみを用いても2種以上用いて混合したものでもよい。また、小麦粉に加えて、ライ麦、オーツ麦、大麦、米粉等の小麦以外の穀物を用いてもよい。なお、小麦以外の穀物は上記に限定されるものではない。
酵母としては、通常パンに用いる酵母であれば、生イーストでもドライイーストのような培養された酵母でも、果実や植物由来の酵母菌などを用いてもよく、特に限定されるものではない。
また、油脂、乳成分、糖類、食塩、水等の種類、製造方法は特に限定されないが、前述のケーキに用いるものを用いることができる。
パンの材料には、必要に応じてその他の添加剤を含有してもよく、その他の添加剤としては、乳化剤、後述のグリセロ糖脂質リパーゼ以外の酵素、イーストフード、生地改良剤、香料、色素、果汁、カカオ、ドライフルーツ類、ハーブ類、ナッツ類等が挙げられる。
グリセロ糖脂質リパーゼ以外の酵素としては、特に限定されないが、例えば、酸化還元酵素、転移酵素、加水分解酵素、脱離酵素、異性化酵素、合成酵素などが挙げられる。特に小麦粉膨化食品においては、加水分解酵素や酸化還元酵素が広く使用される。
具体的に、加水分解酵素としては、αアミラーゼ、βアミラーゼ、グルコアミラーゼ、プルラナーゼ、ヘミセルラーゼ、キシラナーゼ、セルラーゼなどの糖質分解酵素、タンパク質分解酵素、脂質分解酵素が挙げられる。
酸化還元酵素としては、グルコースオキシダーゼ、ヘキソースオキシダーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼなどが挙げられる。
パンの製造方法は、2回以上のミキシング工程、すなわち、少なくとも2回のミキシング工程を有するものでもよい。2回以上のミキシング工程を有する代表的なパンの製造方法として、標準中種法、100%中種法、短時間中種法、長時間中種法、オーバーナイト中種法、加糖中種法、湯捏法、中麺法、液種法等が挙げられる。より具体的には、小麦粉の一部または全部を酵母、水、副原料等とミキシングして得られる生地を製造し、発酵する工程を経て、残りの原材料または新たな原材料を加え、再度ミキシングし発酵、焼成し、パンを得る方法が挙げられる。
以下、実施例により本発明の実施様態を具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、本発明の技術範囲が以下の実施例によって限定されるものではない。
(参考例1)グリセロ糖脂質分解酵素(グリセロ糖脂質分解活性を有する酵素)の精製1

グリセロ糖脂質分解酵素の培養液の調製
滅菌した下記組成の培地100mlが入っている500ml容の三角フラスコにSANK11298株(FERM BP−10753)を接種し、26℃にて4日間、170rpm振とう培養を行った。なお、SANK11298株は、平成18年12月27日付けで、受託
番号FERM BP−10753で、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託されている(特開2008−206515号公報)。
培地組成グルコース 20g
イーストエクストラクト 10g
カザミノ酸 10g
すりゴマ 20g
トゥイーン80 10g
リン酸水素2カリウム 0.1g
硫酸マグネシウム 0.05g
純水で1000mlとした。
培養終了後、4℃、10,000×Gにて10分間の遠心分離を行った。得られた上清をグリセロ糖脂質分解酵素の培養液とした。
2)グリセロ糖脂質分解酵素培養液の精製
1)で得たグリセロ糖脂質分解酵素培養液1,150mlに粉末硫酸アンモニウム(ナカライテスク社製)を終濃度1Mになるように、攪拌しながらゆっくり加えた。これを、予め1M硫酸アンモニウム溶液で平衡化したToyopearl Butyl 650M(プレパック直径2.2cm×長さ20cm、東ソー社製)に1分間あたり2mlの流速でチャージした。1M硫酸アンモニウム溶液160mlで洗浄後、1M硫酸アンモニウム溶液から水の直線濃度勾配(640ml)にて該カラムにチャージした成分を溶出させた。硫酸アンモニウム濃度300mMから0mMの範囲を分取した。
硫酸アンモニウム濃度300mMから0mMの範囲の分取した画分は、2M硫酸アンモニウムで平衡化したHitrap Butyl FF(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)カラム(5ml)に添加した後、2M硫酸アンモニウムから水の直線濃度勾配にて該カラムに吸着した成分を溶出させた。硫酸アンモニウム濃度1.2Mから1.0Mの範囲を分取した。
12.5%のポリアクリルアミドゲルを用いたSDS-PAGE電気泳動法にて、硫酸アンモニウム濃度1.5Mから2Mの範囲の分取した画分が単一バンドであることを確認後、透析膜(分子量分画10,000、三光社製)を用いて水(4L)に対して3回透析を行いグリセロ糖脂質分解酵素精製液とした。
<グリセロ糖脂質分解酵素の分解活性>
得られたグリセロ糖脂質分解酵素精製液についてグリセロ糖脂質分解活性、グリセロリン脂質分解活性及びトリグリセリド分解活性を測定したところ、グリセロリン脂質分解活性及びトリグリセリド分解活性は、グリセロ糖脂質分解活性を100としたとき、それぞれ7.6、13.1であった。なお、これらの活性は上記の方法に従い、pH6のグリセロ糖脂質分解酵素精製液を用いて測定した。
(実施例1)ケーキ様モデル小麦粉膨化食品におけるグリセロ糖脂質分解酵素の効果
ケーキ様のモデル小麦粉膨化食品を用いて、参考例1のグリセロ糖脂質分解酵素の老化
抑制効果を検証した。
使用する小麦粉に対し150重量%の卵白、100重量%の砂糖、52.5重量%の水、および小麦粉1kgあたり500Uのグリセロ糖脂質分解酵素(参考例1で調製したもの)を容器内で混合し、高速で6分ホイップした。
次に、小麦粉(ハート:日本製粉社製)と、小麦粉に対し1重量%のベーキングパウダー(アイコク:愛国産業社製)を加えて20秒間高速でホイップし、比重を0.45に合わせて、上火165℃、下火175℃で焼成することで、ケーキ様モデル小麦粉膨化食品を製造した。
焼成後の体積をレーザー体積計(Volscan profile、Stable micro Systems社製)を用いて測定し、比較例1で製造されたケーキ様モデル小麦粉膨化食品の体積を100%とした時の比体積を算出した。
また、このケーキ様モデル小麦粉膨化食品を常温で1日保存した後、ラップで包み4℃で3日間保存し、保存中の内相の硬さとしっとりとした食感(触感)(以下、しっとり感という場合がある)の評価をレオメーターと官能評価により行った。
尚、レオメーターによる硬さ測定は、レオメーター( CR-500DX、サン科学社製)を用
いて、厚さ2cmに切断したケーキ様モデル小麦粉膨化食品を直径30mmの円形プランジャーで0.5cm押した時の応力を測定した。
官能によるしっとり感(触感および食感)の評価は以下の基準に基づき、5段階で評価した。尚、無添加区とは比較例1を示す。
1:無添加区に比べ乾燥している
2:無添加区に比べやや乾燥している
3:無添加区と同等しっとり感
4:無添加区に比べややしっとりしている
5:無添加区に比べ明らかにしっとりしている

結果を表1に示す。
(比較例1)
グリセロ糖脂質分解酵素を配合(添加)しない以外は実施例1と同様にしてケーキ様モデル小麦粉膨化食品を製造し、評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)グリセロ糖脂質分解酵素の代わりに、小麦粉に対し0.3重量%の以下に記載の乳化剤を加えた以外は実施例1と同様にしてケーキ様モデル小麦粉膨化食品を製造し、評価を行った。結果を表1に示す。
乳化剤としてはショ糖脂肪酸エステル( リョートー(登録商標)シュガーエステルS-1670、三菱化学フーズ社製)、グリセリン脂肪酸エステル(エマルジーMM100、理研ビタミン社製)、ジアセチル酒石酸モノグリセリド(PANODAN150、ダニスコ社製)をそれぞれ用いた。
Figure 2017212994
グリセロ糖脂質分解酵素の配合により体積、内相のソフトさ、しっとり感の増加効果が見られた。特に、乾燥し易い冷蔵保存後において、乳化剤の配合では得られないソフトで、しっとりした食感の小麦粉膨化食品が得られることがわかった。
また、グリセロ糖脂質分解酵素を配合した小麦粉膨化食品は、保存時間が長くなっても硬くなりにくく、硬くなる速度が遅いことがわかった。
また、表1には示していないが、グリセリン脂肪酸エステルや、ジアセチル酒石酸モノグリセリドを配合したケーキ様モデル小麦粉膨化食品は、独特の苦味や風味を感じたが、グリセロ糖脂質分解酵素を配合したケーキ様モデル小麦粉膨化食品の風味は無添加区(比較例1)と差異が無かった。また、酵素を配合しても、特に臭気に変化はなく、口どけも良く、くちゃつき感もなかった。
すなわち、本発明の製造方法により得られる小麦粉膨化食品は、小麦粉膨化食品の本来の風味を維持したまま、苦みなども感じず、柔らかくしっとりとした食感を維持できるものであることがわかった。
(実施例2)乳化剤併用におけるグリセロ糖脂質分解酵素の老化抑制効果
グリセロ糖脂質分解酵素とともに乳化剤を用いて製造したスポンジケーキにおいてグリセロ糖脂質分解酵素の老化抑制効果を検討した。
スポンジケーキの原材料及び配合量を表2に示す。小麦粉はハート(日本製粉社製)、卵は市販の鶏卵、砂糖は上白糖(日新製糖社製)、ベーキングパウダー(アイコク、愛国産業社製)を用いた。乳化剤としてはショ糖脂肪酸エステル及びモノグリセライド(グリセリン脂肪酸エステル)を主成分とする乳化剤製剤(リョートー(登録商標)エステルSP、三菱化学フーズ社製)を用いた。また、グリセロ糖脂質分解酵素としては、参考例1で調製したグリセロ糖脂質分解酵素を水に溶解して用いた。また、酵素の配合量は、小麦粉1kgに対し500Uとなるように配合した。
Figure 2017212994
ホイップには関東混合機工業株式会社製の縦型ミキサーを用いた。
卵を予め高速で30秒ホイップし、砂糖、水および乳化剤を添加し、さらに低速1分、高速2分ホイップした。この混合物に小麦粉およびベーキングパウダーを添加し、低速1分で混合した後、高速で比重0.40付近になるまでホイップした。
上記のとおり、ホイップした混合物(生地)を固定釜を用い、上火165℃、下火175℃で35分焼成し、スポンジケーキを製造した。酵素配合による生地の比重、粘度に大きな差異は無く、良好なスポンジケーキが得られた。このスポンジケーキは、特に苦みや臭気は感じられず、くちゃつきもなく口どけも良かった。
その他の結果を表3に示す。表3における各評価項目は以下の通り求めた。
焼減率は、式1に従って算出した。
焼減率(%)=焼成後生地重量(g)/ 焼成前生地重量(g)×100・・・式1
体積(ml)は、レーザー体積計(Volscan profile、Stable Micro Systems社製)を用いて測定し、比容積は式2にしたがって算出した。
比容積=体積(ml)/ 焼成後生地比重(g)・・・式2
水分(%)は、水分計(MOC-120H、島津製作所社製)を用いて測定し、水分活性は水分活性計(Aqualab LITE、アイネクス社製)を用いて測定した。
また、製造したスポンジケーキをラップで包み、4℃で5日間保存し、酵素の配合の有無における、しっとり感(触感および食感)の比較を官能試験により行った。
官能試験における、しっとり感(触感および食感)測定はパネラー3名で行い、以下の基準に基づき3段階で評価した。結果を表4に示す。
1:パサパサと乾燥した食感
2:ややしっとりした食感
3:明らかにしっとりした食感
(実施例3)
グリセロ糖脂質分解酵素の配合量を、小麦粉1kgに対し1000Uとなるように配合した以外は実施例2と同様にして、スポンジケーキを製造した。酵素配合による生地の比重、粘度に大きな差異は無く、良好なスポンジケーキが得られた。このスポンジケーキは、特に苦みや臭気は感じられず、くちゃつきもなく口どけも良かった。
(実施例4)
グリセロ糖脂質分解酵素の配合量を、小麦粉1kgに対し2000Uとなるように配合した以外は実施例2と同様にして、スポンジケーキを製造した。酵素配合による生地の比重、粘度に大きな差異は無く、良好なスポンジケーキが得られた。このスポンジケーキは、特に苦みや臭気は感じられず、くちゃつきもなく口どけも良かった。
(比較例3)
グリセロ糖脂質分解酵素を配合しなかった以外は、実施例2と同様にして、スポンジケーキを製造した。
Figure 2017212994
グリセロ糖脂質分解酵素の配合による、ケーキ体積、水分への大きな影響は見られなかった。また、焼成直後の食感(触感)も酵素の配合の有無に関わらず差異はなく、いずれもしっとりとしていた。
Figure 2017212994
表4に示すように、グリセロ糖脂質分解酵素を配合したケーキは、保存後において、しっとり感が優れており、特に小麦粉1kgに対し1000U以上の配合することでしっとりとした食感を維持していた。尚、パネラー3名は、各実施例、比較例においてそれぞれ同じスコアを付けた。
表3に示したとおり、ケーキ体積及び水分量については、実施例2〜4及び比較例3において大きな差異はなかったが、表4に示したとおり、グリセロ糖脂質分解酵素の配合により、乳化剤だけでは得られない保存後のしっとり感が得られ、酵素の配合効果が現れていると考えられた。
(実施例5)酵素反応時間による評価
グリセロ糖脂質分解酵素を小麦粉1kgに対し1000U配合した以外は、実施例2と同様にして、ホイップした混合物(生地)を作製した。この生地を30℃で表5に示す0〜2時間保存後、オーブンで焼成し、スポンジケーキを製造した。評価結果を表5に示す。各評価項目の求め方は、実施例2と同様とした。
次に、これらのスポンジケーキをラップで包み、4℃で5日間保存し、酵素の配合の有無における、しっとり感(触感および食感)の比較を官能試験により行った。官能試験の評価方法は実施例2と同様とした。結果を表6に示す。
(比較例4)
グリセロ糖脂質分解酵素を配合しなかった以外は、実施例5と同様にして、スポンジケーキを製造した。評価結果を表5、6に示す。
Figure 2017212994
酵素配合の有無に関わらず、生地を保存することによる粘度の低下は見られたが、その他、生地における有意な差はなかった。そして、これらの生地を用いて焼成したスポンジケーキは、酵素配合の有無、および保存時間の長短によらず、良好であった。
食感(触感)も、焼成直後においては酵素配合の有無、生地保存時間の長短によらず、いずれもしっとりとしていた。
また、酵素配合の有無、および保存時間の長短による、ケーキ体積及び水分への大きな影響は見られなかった。
Figure 2017212994
酵素を配合しなかったスポンジケーキは、いずれも乾燥した食感で生地の保存時間による差異は無かった。一方、酵素を配合したスポンジケーキは、保存時間如何に関わらずしっとりしており、生地を保存せずとも、長期間にわたりしっとりとしたスポンジケーキが得られることがわかった。尚、パネラー3名は、各実施例、比較例においてそれぞれ同じスコアを付けた。
以上より、本発明の製造方法により得られたスポンジケーキは、冷蔵庫のような非常に乾燥しやすい環境下で保存しても、味、風味、苦味、臭気は酵素を配合しない場合と同等でありながら、柔らかくしっとりした食感(触感)が保持でき、老化を抑制できることがわかった。
(実施例6)乳化剤併用におけるグリセロ糖脂質分解酵素のパン老化抑制効果
パンにおけるグリセロ糖脂質分解酵素の老化抑止効果を検討した。
100重量%の強力小麦粉(カメリヤ:日清製粉社製)に対し、2重量%の生イースト(オリエンタル酵母工業社製)、6重量%の砂糖、2重量%の脱脂粉乳、2重量%の食塩、10ppmのビタミンC、65重量%の水および、小麦粉1kgに対して、参考例1で調製した100Uのグリセロ糖脂質分解酵素をミキサーボールに投入した。フックを使用し、低速3分、中速2分、高速1分混合し、ここでショートニング6重量%を投入し、更に、低速2分、中速3分、高速1分ミキシングを行い、生地を得た。生地の捏上げ温度は27℃とし、温度27度、湿度75%に管理した恒温室で90分間、発酵を行った後、350g又は、220gに分割・丸めを行った。
次いで、上記恒温室で20分間ベンチタイムを取った後、モルダーで成形し、350gの生地をワンローフ型、220gの生地6個をプルマン型にいれた。温度38℃、湿度85%に管理した恒温室内で、ワンローフ型は、生地が型上1.5cm、プルマン型は型下2.5cmとなるまでホイロを取った。ホイロ後の生地は、プルマン型にのみ蓋をし、210℃に設定した固定窯に入れ、ワンローフは22分間、プルマンは32分間焼成することでワンローフ食パンと角型食パンを得た。
焼成後、約2時間室温で冷却した後、レーザー体積計を用いてワンローフ食パンの体積を測定し、グリセロ糖脂質リパーゼ及び乳化剤を配合せずに製造したパン(比較例5)の体積を100%とした時の比体積を算出した。
角型食パンは、焼成後、約2時間室温で冷却した後、袋詰めし、翌日パンスライサーを用いて、厚さ20mmにスライスした。焼成1日後及び4日後の角型食パンを、レオメー
ターを用い、直径30mmの円形プランジャーで10mm圧縮した時の応力で硬さを評価した。測定は5枚ずつ行い、最小値と最大値を除いた3枚の平均値を算出した。
スライスした角型食パンは、しっとり感(触感および食感)を官能により評価した。評価は以下の基準に基づき、5段階で評価した。尚、無添加区とは比較例5を示す。
1:無添加区に比べ乾燥している
2:無添加区に比べ乾燥している
3:無添加区と同等なしっとり感
4:無添加区に比べややしっとりしている
5:無添加区に比べ明らかにしっとりしている

評価結果を表7に示す。
(実施例7)
乳化剤として、グリセリン脂肪酸エステル(エマルジーMM100、理研ビタミン社製)を0.3重量%配合した以外は、実施例6と同様にパンを製造した。評価結果を表7に示す。
(実施例8)
乳化剤として、ジアセチル酒石酸モノグリセリド(PANODANA2020、ダニスコ社製)を0.3重量%配合した以外は、実施例6と同様にパンを製造した。評価結果を表7に示す。
(比較例5)
グリセロ糖脂質分解酵素を配合しない以外、実施例6と同様にパンを製造した。評価結果を表7に示す。
(比較例6)
乳化剤として、グリセリン脂肪酸エステル(エマルジーMM100、理研ビタミン社製
)を0.3重量%配合した以外、比較例5と同様にパンを製造した。評価結果を表7に示す。
(比較例7)
乳化剤として、ジアセチル酒石酸モノグリセリド(PANODANA2020、ダニス
コ社製)を0.3重量%配合した以外、比較例5と同様にパンを製造した。評価結果を表
7に示す。
Figure 2017212994
グリセロ糖脂質分解酵素だけの配合でも、内相の柔らかさ、しっとり感が増加する効果が見られた。また、時間が経過してもその効果が比較的持続していることが分かった。更に、乳化剤を併用することで、より柔らかさ、しっとり感を維持することができた。
(実施例9)乳化剤併用におけるグリセロ糖脂質分解酵素の蒸し物モデル老化抑制効果
蒸すことで膨化させた食品における効果を検証するために、中華饅頭様の蒸し物モデル食品を用いて、グリセロ糖脂質分解酵素の効果を検討した。
使用する全小麦粉に対して、50重量%の強力小麦粉、50重量%の薄力小麦粉、10重量%の砂糖、3重量%のショートニング、3重量%の生イースト、1重量%の食塩、1重量%のベーキングパウダー、50重量%の水、および小麦粉1kgあたり500Uの参考例1で調製したグリセロ糖脂質分解酵素をミキサーボールに投入し、フックを使用し、低速で2分、中速で4分混合した。混合した生地を50gに分割し、丸めた後、40℃で
30分発酵させ、90℃、湿度100%の条件下で15分蒸すことで蒸し物モデル食品を製造した。
製造後の体積をレーザー体積計で測定し、グリセロ糖脂質リパーゼ及び乳化剤を配合せずに製造した蒸し物モデル食品(比較例8)の体積を100%とした時の比体積を算出した。
製造1日後及び5日後に、厚さ20mmに切断した蒸し物モデル食品を、レオメーターを用い、直径30mmの円形プランジャーで10mm圧縮した時の応力で硬さを評価した。測定は3個ずつ行い、平均値を算出した。
また、蒸し物モデル食品のしっとり感(触感および食感)を官能により評価した。評価は以下の基準に基づき、5段階で評価した。尚、無添加区とは比較例8を示す。
1:無添加区に比べ乾燥している
2:無添加区に比べ乾燥している
3:無添加区と同等なしっとり感
4:無添加区に比べややしっとりしている
5:無添加区に比べ明らかにしっとりしている

評価結果を表8に示す。
(実施例10)
乳化剤として、グリセリン脂肪酸エステル(エマルジーMM100、理研ビタミン社製)0.3重量%配合した以外、実施例9と同様に蒸し物モデル食品を製造した。評価結果を表8に示す。
(比較例8)
グリセロ糖脂質分解酵素を添加しない以外、実施例9と同様に蒸し物モデル食品を製造した。評価結果を表8に示す。
(比較例9)
グリセロ糖脂質分解酵素を添加しない以外、実施例10と同様に蒸し物モデル食品を製造した。評価結果を表8に示す。
Figure 2017212994
焼成だけでなく、蒸し工程により加熱を行う小麦粉膨化食品においても、グリセロ糖脂質分解酵素だけの配合で、内相の柔らかさ、しっとり感が増加する効果が見られた。また、時間が経過してもその効果が比較的持続していることが分かった。更に、乳化剤を併用することで、より柔らかさ、しっとり感を維持することができた。
(実施例10)
グリセロ糖脂質とグリセロリン脂質に対する分解活性比が異なる、酵素が中種法食パンの老化に与える影響を検討した。
全小麦粉に対して、強力小麦粉70重量%、生イースト2重量%、ビタミンC10ppm、水40重量%および参考例1で調製したグリセロ糖脂質リパーゼを小麦粉1kgに対してグリセロ糖脂質分解活性100Uをミキサーボールに投入し、フックを使用し、低速3分、中速2分混合した。生地の捏上げ温度は24℃とし、温度27℃、湿度75%に管理した恒温室で4時間中種発酵を行った。この中種発酵の終了した生地を再びミキサーボールに投入し、さらに、強力小麦粉30重量%、食塩2重量%、砂糖6重量%、脱脂粉乳2重量% 、水25重量%を添加し低速3分、中速4分ミキシングした。ここでショートニング6重量部を投入し、フックを使用し、低速2
分、中速3分、高速3分ミキシングを行い、生地を得た。生地の捏上げ温度は27℃とし、温度27℃、湿度75%に管理した恒温室で30分間フロアタイムを取った後、実施例6と同様にプルマン食パンを製造し、焼成1日後及び4日後の角型食パンの硬さを、レオメーターを用
い測定した。数値は、グリセロ糖脂質リパーゼを添加せずに製造した比較例10の焼成1日後のパン硬さを100%とした時の相対値とした。結果を表10に示す。
(実施例11)
小麦粉1kgに対して、以下の参考例2で得られた酵素を用いた以外は、実施例10と同
様にしてパンを製造し、硬さを測定した。結果を表10に示す。
(参考例2)グリセロ糖脂質分解酵素(LipopanF、グリセロ糖脂質分解活性を有する酵素)の精製
LipopanF(ノボザイムズ社製)に1M硫酸アンモニウム溶液を加えて酵素を抽出させた後、沈殿を除去して、LipopanFの上澄み液を得た。LipopanFの上澄み液を、予め1M硫酸アンモニウム溶液で平衡化したToyopearl Butyl 650M(プレパック直径2.2cm×長さ20cm、東ソー社製)に1分間あたり2mLの流速でチャージした。1M硫酸アンモニウム溶液160mlで洗浄後、1M硫酸アンモニウム溶液から水の直線濃度勾配(640mL)にて該カラムにチャージした成分を溶出させ、硫酸アンモニウム濃度0mMの水画分を分取した。12.5%のポリアクリルアミドゲルを用いたSDS-PAGE電気泳動法にて、硫酸アンモニウム濃度0mMの水画分が単一バンドであることを確認後、透析膜(分子量分画14,000、三光社製)を用いて水(4L)に対して3回透析を行いグリセロ糖脂質リパーゼ(LipopanF)精製液とした。
参考例1および参考例2で得られたグリセロ糖脂質リパーゼ精製液の分解活性を表9に示す。グリセロ糖脂質分解活性、グリセロリン脂質分解活性及びトリグリセリド分解活性は、上記の方法にしたがって測定を行った。表9の数値は、各グリセロ糖脂質リパーゼ精製液のpH6におけるグリセロ糖脂質分解活性を100%としたときのグリセロリン脂質およびトリグリセリドの分解活性の相対値(%)である。
Figure 2017212994
(比較例10)
グリセロ糖脂質分解酵素を添加しない以外は、実施例10と同様にパンを製造し、硬さを測定した。結果を表10に示す。
Figure 2017212994
グリセロ糖脂質分解活性を有するいずれの酵素の配合においても、内相の柔らかさが増加する効果が見られた。また、時間が経過してもその効果が比較的持続していることが分かった。特に、グリセロリン脂質に比べ、グリセロ糖脂質に対する分解活性が高い酵素を配合した時に、その効果が顕著であった。すなわち、グリセロリン脂質よりもグリセロ糖脂質に対する基質選択性が高い酵素を用いることで、より柔らかくかつ、より柔らかさが長持ちする小麦粉膨化食品を製造することが可能であることが判明した。

Claims (4)

  1. 小麦粉膨化食品の原材料にグリセロ糖脂質分解活性を有する酵素を配合して小麦粉膨化食品を製造することを特徴とする小麦粉膨化食品の製造方法。
  2. 該酵素が、グリセロ糖脂質分解活性がグリセロリン脂質分解活性の3倍以上の酵素である、請求項1に記載の小麦粉膨化食品の製造方法。
  3. さらに、乳化剤を配合することを特徴とする、請求項1または2に記載の小麦粉膨化食品の製造方法。
  4. 小麦粉膨化食品が、ケーキであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の小麦粉膨化食品の製造方法。
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