JP7407557B2 - 製菓用生地改良剤 - Google Patents

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Description

本発明は、製菓用生地改良剤に関する。
小麦粉に油脂、砂糖、卵などを加えて焼いた菓子であるクッキー、ビスケットや、パウンドケーキなどの焼き菓子は、風味以外にも、食感が楽しまれるものであり、噛み始めのサクみ感と噛み終わりの崩壊感のような、焼き菓子などの製菓に特有の食感は、消費者に好まれている。また、ボリュームのある焼き菓子も好まれており、焼き菓子のボリュームアップを諮ることができる技術の開発が望まれている。
焼き菓子には、その種類などに応じて様々な食感のものが存在するが、パウンドケーキのようなケーキなどでは、柔らかさがありながらサクみ感と崩壊感がある食感を有するものが好まれている。
従来、製菓用生地に酵素を添加することで、食感などの各種の特性を改良することが行われている。例えば、特許文献1~4には、製菓用生地に糖分解酵素などを添加する技術が提案されている。
特開2002-125577号公報 特開2010-148487号公報 特開2016-054680号公報 特開2014-076005号公報
しかしながら、サクみ感と崩壊感においてより満足できる技術、さらにボリュームアップが諮れる技術が望まれていた。またケーキなどの柔らかさのある製菓においては、サクみ感と崩壊感がありながら、老化を長期間抑制し柔らかさを保つことができる技術が望まれていた。特許文献1~4に記載の技術では、糖分解酵素などを添加しているが、特定の酵素を組み合わせる観点からこれらの改良を図ることには着目されていない。老化を長期間抑制し柔らかさを保つことに関しては、澱粉を主原料にした食品における従来の課題であり、このような食品として製菓以外にパンにおいては、老化防止剤として酵素を利用することで、長持ちをさせる技術が知られている。しかし、焼き菓子などの製菓においては、糖分が比較的多くなることが多いが、糖分が多くなると酵素が働きにくくなる場合がある。1ヶ月を超え、例えば数ヶ月のような長期にわたり老化を防ぎ、柔らかさを保つことが求められる製菓にも対応し得る技術が望まれていた。
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、製菓における噛み始めのサクみ感と噛み終わりの崩壊感が良好であり、ボリュームアップが諮れ、柔らかさのある製菓においては、老化を長期間抑制し柔らかさを保つことができる製菓用生地改良剤を提供することを課題としている。
上記の課題を解決するために、本発明の製菓用生地改良剤は、下記に示す酵素Aおよび酵素Bを含み、かつ酵素Aは、BPNPG7比色法による40℃の酵素活性において、糖濃度0質量%水溶液中での前記酵素活性に対する糖濃度10質量%水溶液中での前記酵素活性の相対比率が20%以上であることを特徴としている。
酵素A:マルトース生成α-アミラーゼおよびマルトテトラオース生成α-アミラーゼから選ばれる少なくとも1種
酵素B:へミセルラーゼ
本発明によれば、製菓における噛み始めのサクみ感と噛み終わりの崩壊感が良好であり、ボリュームアップが諮れ、柔らかさのある製菓においては、老化を長期間抑制し柔らかさを保つことができる。
クッキー8枚を積み重ねてその高さを測定した結果を示した図である。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の製菓用生地改良剤は、酵素Aおよび酵素Bを含有している。
酵素Aは、マルトース生成α-アミラーゼおよびマルトテトラオース生成α-アミラーゼから選ばれる少なくとも1種である。
マルトース生成α-アミラーゼ(酵素番号:EC 3.2.1.133)は、澱粉に作用し、主としてマルトースを生成する酵素の総称である。本発明に必須である酵素Aとしての、耐糖性のあるマルトース生成α-アミラーゼとしては、例えば、ノバミル3DBG、ノバミル3DコンクBG、オプティケーキフレッシュ(以上、ノボザイムズジャパン(株)製)が商業的に入手できる。なお、酵素Aではないが、耐糖性のないマルトース生成α-アミラーゼとしては、ノバミル10000BG、ノバミルL(ノボザイムズジャパン(株)製)が商業的に入手できる。
マルトテトラオース生成α-アミラーゼは、澱粉に作用し、グルコースがα-1,4結合したオリゴ糖であるマルトテトラオースを生成する。マルトテトラオース生成α-アミラーゼ(酵素番号:EC 3.2.1.60)は例えばデナベイクEXTRA(ナガセケムテックスジャパン(株)製)等が商業的に入手できる。
酵素Aは、BPNPG7比色法による40℃の酵素活性において、糖濃度0質量%水溶液中での前記酵素活性に対する糖濃度10質量%水溶液中での前記酵素活性の相対比率が20%以上である。このように耐糖性を有することで、あらかじめ糖が配合された生地中でも澱粉の分解を阻害しないという点から、製菓における噛み始めのサクみ感と噛み終わりの崩壊感が良好でボリュームアップが諮れ、柔らかさのある製菓においては、老化を長期間抑制し柔らかさを保つことができる。ここで酵素AのBPNPG7比色法による酵素活性は、後述の実施例欄に記載の方法で測定される。
酵素Aは、BPNPG7比色法による酵素活性において、40℃の前記酵素活性に対する65℃の前記酵素活性が2倍以上であることが好ましい。このように耐熱性を有することで、焼成時の澱粉の分解がより促進される点から、製菓における噛み始めのサクみ感と噛み終わりの崩壊感が良好でボリュームアップが諮れ、柔らかさのある製菓においては、老化を長期間抑制し柔らかさを保つことができる。ここで酵素AのBPNPG7比色法による酵素活性は、後述の実施例欄に記載の方法で測定される。
酵素Bのヘミセルラーゼは、ヘミセルロースを加水分解する酵素の総称である。ヘミセルロースとは、植物組織からアルカリ抽出される多糖類の総称であり、主な多糖類としては、キシラン、アラビノキシラン、キシログルカン、グルコマンナンなどが挙げられる。これらの多糖類を加水分解する酵素が一般的にはヘミセルラーゼと称されており、代表的な酵素名としてはキシラナーゼ(酵素番号:EC 3.2.1.8)、ガラクタナーゼ(酵素番号:EC 3.2.1.89)が挙げられる。ヘミセルラーゼとしては、例えば、ヘミセルラーゼ「アマノ」90(天野エンザイム(株)製)、スクラーゼX(三菱化学フーズ(株)製)、スミチームACH(新日本化学工業(株)製)、VERON393(AB Enzymes製)などが商業的に入手できる。 本発明の製菓用生地改良剤は、製菓における噛み始めのサクみ感と噛み終わりの崩壊感が良好になり、ボリュームアップが諮れ、柔らかさのある製菓においては、老化を長期間抑制し柔らかさを保つことができる点から、酵素Bにおける、キシラン糖化力測定法による酵素活性1Uに対して、酵素Aにおける、BPNPG7比色法による40℃の酵素活性が0.001~12Uであることが好ましく、0.01~12Uがより好ましく、0.2~10Uがさらに好ましい。ここで酵素Bのキシラン糖化力測定法による酵素活性と、酵素AのBPNPG7比色法による酵素活性は、後述の実施例欄に記載の方法で測定される。
本発明の製菓用生地改良剤は、酵素Aおよび酵素Bを含むものであればその形態は特に限定されない。例えば、酵素Aおよび酵素Bを含む単独の混合物であってもよく、酵素Aを含むa剤と酵素Bを含むb剤を調製し、a剤とb剤を別々に製菓生地に添加する形態であってもよい。これらの単独の混合物や、a剤とb剤は、酵素A、酵素B以外の他の成分を、本発明の効果を損なわない範囲内において配合することができる。このような他の成分としては、例えば、酵素、乳化剤、乳、乳製品、乳製品を酵素処理した呈味剤、蛋白質、糖質、塩類、酸味料、pH調整剤、抗酸化剤、香辛料、増粘剤、着色成分、アミノ酸、粉末油脂などが挙げられる。酵素としては、酵素A、B以外の糖分解酵素、リパーゼ、ホスホリパーゼ、プロテアーゼ、グルコオキシダーゼなどが挙げられる。乳化剤としては、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウムなどが挙げられる。乳製品としては、チーズ(ナチュラルチーズ、プロセスチーズなど)、全脂粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、蛋白濃縮ホエイパウダー、ホエイチーズ(WC)、ホエイ蛋白コンセントレート(WPC)、ホエイ蛋白アイソレート(WPI)、バターミルクパウダー、トータルミルクプロテイン、カゼインナトリウム、カゼインカリウムなどが挙げられる。乳製品以外では、アーモンドミルク、ココナッツミルク、ライスミルクなどが挙げられる。蛋白質としては、各種穀粉、例えば大豆粉、大豆蛋白、エンドウ豆蛋白、小麦粉、小麦蛋白、などの植物蛋白などが挙げられる。糖質としては、例えば、グルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)、ガラクトース、アラビノースなどの単糖類、ショ糖、麦芽糖、乳糖、トレハロース、パラチノース、セロビノースなどの二糖類、マルトトリオースなどの三糖類、オリゴ糖、糖アルコール、ステビアやアスパルテームなどの甘味料、デンプン、デンプン分解物、難消化性デキストリン、イヌリン(アガベイヌリン等)などの多糖類などが挙げられる。また、ステビアやアスパルテームなどの甘味料、抗酸化剤としては、L-アスコルビン酸、L-アスコルビン酸誘導体、トコフェロール、トコトリエノール、リグナン、ユビキノン類、キサンチン類、オリザノール、植物ステロール、カテキン類、ポリフェノール類、茶抽出物などが挙げられる。香辛料としては、カプサイシン、アネトール、オイゲノール、シネオール、ジンゲロンなどが挙げられる。増粘剤としては、カラギナン、キサンタンガム、グァガム、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などが挙げられる。着色成分としては、カロテン、アナトーなどが挙げられる。さらに風味付与のため、目的に応じたフレーバー、例えばバターフレーバー、ミルクフレーバーなどを前記他の成分として配合することができる。
酵素A、Bや、その他の酵素の由来は特に限定されず、動物、植物や、カビ、細菌のような微生物などを由来とする酵素が使用できる。酵素の生産方法については、特に限定されないが、例えば、天然の組織からの抽出物であっても、組換えDNA技術を用いて大量生産された酵素であっても、合成DNA由来の改変された酵素であってもよい。培養液や培養菌体からの酵素の単離と精製工程などを経て製造される酵素製品の形態は、一般に溶液、粉末、生産株そのものなどがあり、特に限定されないが、その中でも溶液、粉末(または顆粒)の酵素製剤を好ましく用いることができる。また、製菓生地の焼成後に酵素を完全に失活できるような至適温度を有する糖分解酵素であると、製品中に残存した糖分解酵素による品質の劣化を抑制できる。
また、本発明の製菓用生地改良剤は、この製菓用生地改良剤を含有する可塑性油脂として使用することができる。
本発明において、油脂中のトリグリセリドとは、1分子のグリセロールに3分子の脂肪酸がエステル結合した構造を有する化合物である。トリグリセリドの1位、2位、3位とは、脂肪酸が結合した位置を表す。可塑性油脂を構成するトリグリセリドのうち、2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリド、2位に結合されたラウリン酸が結合されたトリグリセリド、2位に結合されたミリスチン酸が結合されたトリグリセリドの1位と3位の構成脂肪酸は、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸のいずれであってもよい。2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドとしては、例えば、SOS型トリグリセリド、SOU型トリグリセリド(位置異性体も含む)、UOU型トリグリセリドなどが挙げられるが、特に限定されない。2位に結合されたラウリン酸が結合されたトリグリセリド(SLS型トリグリセリド、SLU型トリグリセリド、ULU型トリグリセリド)、2位に結合されたミリスチン酸が結合されたトリグリセリド(SMS型トリグリセリド、SMU型トリグリセリド、UMU型トリグリセリド)も同様である。ここで「S」はトリグリセリドの構成脂肪酸である飽和脂肪酸、「U」はトリグリセリドの構成脂肪酸である不飽和脂肪酸、「O」はトリグリセリドの構成脂肪酸であるオレイン酸、「L」はトリグリセリドの構成脂肪酸であるラウリン酸、「M」はトリグリセリドの構成脂肪酸であるミリスチン酸を意味する。
2位にオレイン酸、ラウリン酸、またはミリスチン酸が結合されたトリグリセリドの1位または3位の構成脂肪酸が飽和脂肪酸Sである場合、炭素数4~24の飽和脂肪酸であることが好ましい。飽和脂肪酸Sとしては、特に限定されないが、例えば、酪酸(4)、カプロン酸(6)、カプリル酸(8)、カプリン酸(10)、ラウリン酸(12)、ミリスチン酸(14)、パルミチン酸(16)、ステアリン酸(18)、アラキジン酸(20)、ベヘン酸(22)、リグノセリン酸(24)などが挙げられる。なお、上記括弧内の数値表記は、脂肪酸の炭素数である。2位にオレイン酸、ラウリン酸、またはミリスチン酸が結合されたトリグリセリドの1位または3位の構成脂肪酸が不飽和脂肪酸Uである場合、炭素数14~24の不飽和脂肪酸であることが好ましい。不飽和脂肪酸Uとしては、特に限定されないが、例えば、ミリストレイン酸(14:1)、パルミトレイン酸(16:1)、ヒラゴン酸(16:3)、オレイン酸(18:1)、リノール酸(18:2)、リノレン酸(18:3)、エイコセン酸(20:1)、エルカ酸(22:1)、セラコレイン酸(24:1)などが挙げられる。なお、上記不飽和脂肪酸についての括弧内の数値表記は、左側が脂肪酸の炭素数であり、右側が二重結合数を意味する。2位にオレイン酸、ラウリン酸、またはミリスチン酸が結合されたトリグリセリドの1位または3位の構成脂肪酸が飽和脂肪酸Sと不飽和脂肪酸Uである場合、上述の飽和脂肪酸(炭素数4~24の飽和脂肪酸)と不飽和脂肪酸(炭素数4~24の不飽和脂肪酸)であることが好ましい。
この本発明の可塑性油脂において、油脂は、トリグリセリドの2位に結合されたオレイン酸の含有量が、トリグリセリドの2位に結合された脂肪酸全体の質量に対して30~65質量%であることが好ましく、35~60質量%がより好ましい。トリグリセリドの2位に結合されたオレイン酸の含有量がこの範囲内であると、製菓における噛み始めのサクみ感と噛み終わりの崩壊感が良好になり、ボリュームアップが諮れ、柔らかさのある製菓における長期間の老化抑制作用が全体的により良好となる。トリグリセリドの2位に結合されたオレイン酸の含有量が多過ぎると、油脂が柔らかくなる傾向があることから、特に、噛み始めのサクみ感と噛み終わりの崩壊感が劣るようになる。トリグリセリドの2位に結合されたオレイン酸の含有量が少な過ぎると、油脂が硬くなり、ボリュームが劣るようになる。また経時的にも結晶成長が起こり硬くなる傾向があることから、特に、柔らかさのある製菓における長期間の老化抑制作用が低下する。
さらに、本発明の可塑性油脂において、油脂は、トリグリセリドXOXおよびXOYの合計量が、トリグリセリド全体の質量に対して10~50質量%であり、かつトリグリセリドの2位に結合されたラウリン酸およびミリスチン酸の合計量が、トリグリセリドの2位に結合された脂肪酸全体の質量に対して0.1~5質量%であることが好ましい。但し、トリグリセリドXOXおよびXOYにおけるXとOとYは次のとおりである。
X:炭素数16以上の飽和脂肪酸
O:オレイン酸
Y:炭素数16以上の不飽和脂肪酸
特に、炭素数16以上の飽和脂肪酸Xは直鎖でかつ長鎖であること、炭素数16以上の不飽和脂肪酸Yは不飽和結合を持ち分子構造上歪を形成しかつ長鎖であることから、これらは生地に練り込む際の分散性に関連する融点、さらには油脂の硬さに影響する。
トリグリセリドXOXおよびXOYの合計量と、トリグリセリドの2位に結合されたラウリン酸およびミリスチン酸の合計量が上記の範囲内であると、焼成品の製造時において生地に練り込む際のミキシング時間がより短く、分散性が特に良好で、困難な作業を伴わずとも生地に添加したときに可塑性油脂の塊が速やかになくなり均一に生地中へ分散することができる。生地中への分散性が特に良好である点から、本発明の可塑性油脂において、油脂は、トリグリセリドXOXおよびXOYの合計量が、トリグリセリド全体の質量に対して11~45質量%であり、かつトリグリセリドの2位に結合されたラウリン酸およびミリスチン酸の合計量が、トリグリセリドの2位に結合された脂肪酸全体の質量に対して0.5~4.8質量%であることがより好ましい。
トリグリセリドの2位に結合されたオレイン酸の含有量、ラウリン酸とミリスチン酸の合計量、トリグリセリドXOXおよびXOYの合計量は、油脂を調合することによって調整することができる。本発明の可塑性油脂に使用される油脂としては、特に限定されるものではないが、パーム油、パーム核油、ヤシ油、菜種油、大豆油、綿実油、コーン油、ヒマワリ油、米油、サフラワー油、オリーブ油、ゴマ油、シア脂、サル脂、マンゴー油、イリッペ脂、カカオ脂、豚脂(ラード)、牛脂、乳脂、それらの分別油、加工油(硬化およびエステル交換反応のうち1つ以上の処理がなされたもの)などが挙げられる。これらの油脂は、2種以上を組み合わせて使用することが好ましい。
その中でも、本発明の可塑性油脂は、ラウリン系油脂とパーム系油脂とのエステル交換油脂を含有することが好ましい。
エステル交換油脂の原料であるラウリン系油脂は、全構成脂肪酸中のラウリン酸含有量が30質量%以上の油脂であり、例えば、パーム核油、ヤシ油、これらの分別油、硬化油などが挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのラウリン系油脂のうち、パーム核油、その分別油や硬化油が好ましい。硬化油の場合、水素添加量によってトランス脂肪酸の含有量が増加する虞があるため、硬化油を用いる場合には微水素添加したものか、低温硬化したもの、または完全水素添加した極度硬化油が好ましく、特に極度硬化油が好ましい。
ラウリン系油脂は、ヨウ素価が2以下の油脂を含有することが好ましい。ヨウ素価が2以下の油脂を用いると、トランス脂肪酸の生成の虞が少なく、エステル交換油脂を他の油脂と混合する際に結晶核となり、固化し易くかつ口溶けの良い油脂組成物となる。ヨウ素価が2以下の油脂としては、極度硬化油が挙げられる。
エステル交換油脂の原料であるパーム系油脂は、全構成脂肪酸中の炭素数16以上の脂肪酸含有量が35質量%以上である。パーム系油脂としては、パーム油、パーム分別油やこれらの硬化油などが挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく2種以上を組み合わせて使用してもよい。パーム分別油としては、硬質部、軟質部、中融点部などを用いることができる。硬化油の場合、水素添加量によってトランス脂肪酸の含有量が増加する虞があるため、硬化油を用いる場合には微水素添加したものか、低温硬化したもの、または完全水素添加した極度硬化油が好ましく、特に極度硬化油が好ましい。
パーム系油脂は、ヨウ素価が50~60の油脂を含有することが好ましい。ヨウ素価が50~60の油脂を用いることで、含有する飽和脂肪酸量から結晶性に優れ、また不飽和脂肪酸を含む点から可塑性に優れた油脂組成物の作製が可能となる。またパーム系油脂は、極度硬化油を含有することが好ましい。パーム系油脂に極度硬化油が含有されていると、エステル交換油脂の融点を高めることができ、結晶性が良好になる。
エステル交換油脂は、ヨウ素価が15~45であることが好ましい。ヨウ素価がこの範囲内であると、他の油脂との相溶性が良い。
エステル交換油脂において、ラウリン系油脂と、パーム系油脂とのエステル交換反応には、エステル交換触媒として化学触媒や酵素触媒が用いられる。化学触媒としてはナトリウムメチラートや水酸化ナトリウム等が用いられ、酵素触媒としてはリパーゼ等が用いられる。リパーゼとしてはアスペルギルス属、アルカリゲネス属等のリパーゼが挙げられ、イオン交換樹脂、ケイ藻土、セラミック等の担体上に固定し固定化したものを用いても、粉末の形態として用いても良い。また位置選択性のあるリパーゼ、位置選択性のないリパーゼのいずれも用いることができるが、位置選択性のないリパーゼを用いることが好ましい。エステル交換触媒として化学触媒や位置選択性のない酵素触媒を用いた場合、ラウリン系油脂とパーム系油脂とのエステル交換反応が完了すると、構成脂肪酸として飽和脂肪酸(S)を2個、不飽和脂肪酸(U)を1個含む2飽和トリグリセリドのうち、対称型トリグリセリド(SUS)と非対称型トリグリセリド(SSU)とのエステル交換油脂中における質量比(SUS/SSU)が0.45~0.55の範囲内となる。
エステル交換反応に化学触媒を用いる場合、触媒を油脂質量の0.05~0.15質量%添加し、減圧下で80~120℃に加熱し、0.5~1.0時間攪拌することでラウリン系油脂とパーム系油脂とのエステル交換反応が平衡状態となって完了し、エステル交換油脂を得ることができる。また酵素触媒を用いる場合、リパーゼ等の酵素触媒を油脂質量の0.01~10質量%添加し、40~80℃でエステル交換反応を行うことによりエステル交換反応が平衡状態となって完了し、エステル交換油脂を得ることができる。エステル交換反応はカラムによる連続反応、バッチ反応のいずれの方法で行うこともできる。エステル交換反応後、必要に応じて脱色、脱臭などの精製を行うことができる。
その中でも、本発明の可塑性油脂は、ラウリン系油脂とパーム系油脂とのエステル交換油脂の含有量が、油脂全体の質量に対して3~40質量%であることが好ましく、5~35質量%がより好ましく、5~30質量%がさらに好ましい。このような範囲内でエステル交換油脂を使用すると、製菓における噛み始めのサクみ感と咀嚼中の崩壊感や、柔らかさのある製菓における長期間の老化抑制作用が全体的により良好となる。さらに液状油の含有量が、油脂全体の質量に対して60質量%以下であることが好ましく、ここで液状油の含有量は5~55質量%がより好ましく、10~50質量%がさらに好ましい。ここで液状油は、5℃で流動状を呈するものであり、例えば、菜種油、大豆油、綿実油、ヒマワリ油、コーン油、米油、サフラワー油、オリーブ油、ゴマ油、パーム油を分別したスーパーオレインなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。さらに極度硬化油の含有量が、7質量%以下であることが好ましく、ここで極度硬化油の含有量は5質量%以下がより好ましい。ここで極度硬化油は、ヨウ素価が好ましくは3以下、より好ましくは2以下である。極度硬化油としては、菜種極度硬化油、パーム極度硬化油、ヤシ極度硬化油、パーム核極度硬化油、ラード極度硬化油、牛脂極度硬化油、およびそれら極度硬化油のエステル交換油脂などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の可塑性油脂は、油脂の構成脂肪酸としてトランス脂肪酸を含んでもよく、含まなくてもよいが、トランス脂肪酸の摂取量が多くなると、血液中におけるLDLコレステロール量が増加しうる。よって、これを抑制しやすい点から、本発明においては、油脂のトリグリセリドの構成脂肪酸中のトランス脂肪酸の含有量は、トリグリセリドの脂肪酸全体の質量に対して10質量%未満であることが好ましく、5質量%未満であることがより好ましく、3質量%未満であることが最も好ましい。本発明の可塑性油脂は、トランス脂肪酸の含有量をこのような範囲内にする点を考慮すると、部分硬化油を含有しないことが好ましい。
本発明の可塑性油脂は、水相を実質的に含有しない形態と、水相を含有する形態をとることができる。
水相を実質的に含有しない形態としてはショートニングが挙げられる。ここで「実質的に含有しない」とは日本農林規格のショートニングに該当する、水分(揮発分を含む。)の含有量が0.5質量%以下のことである。
水相を含有する形態としては油中水型、油中水中油型などが挙げられ、油相の含有量は、好ましくは60~99.4質量%、より好ましくは65~98質量%であり、水相の含有量は、好ましくは0.6~40質量%、より好ましくは2~35質量%である。水相を含有する形態としては油中水型が好ましく、例えばマーガリンが挙げられる。
本発明の可塑性油脂は、公知の方法により製造することができる。水相を含有しない形態のものは、例えば、本発明の製菓用生地改良剤と油脂を含む油相を加熱した後、コンビネーター、パーフェクター、ボテーター、ネクサスなどの冷却混合機により急冷捏和することができる。水相を含有する形態のものは、本発明の製菓用生地改良剤と油脂を含む油相と水相とを適宜に加熱し混合して乳化した後、上記冷却混合機により急冷捏和し得ることができる。冷却混合機において、必要に応じて窒素ガスなどの不活性ガスを吹き込むこともできる。また急冷捏和後に熟成(テンパリング)してもよい。形状としてはブロック状、シート状、円柱状、直方体状、ペンシル状などの様々な形状とすることができる。
本発明の可塑性油脂は、本発明の製菓用生地改良剤を油相に添加してもよく、水相に添加してもよいが、油相に添加することが好ましい。
本発明の可塑性油脂は、酵素Aにおける、BPNPG7比色法による40℃の酵素活性が可塑性油脂1gに対して0.04~200Uであることが好ましい。
本発明の可塑性油脂は、酵素Bにおける、キシラン糖化力測定法による酵素活性が可塑性油脂1gに対して0.15~500Uであることが好ましい。
本発明の製菓用生地改良剤または可塑性油脂を用いて、これを穀粉を含む生地の原材料と混捏することによって製菓生地が製造される。 本発明の製菓用生地改良剤は、これを用いて作製した製菓における噛み始めのサクみ感と噛み終わりの崩壊感が良好でありボリュームアップが諮れる。柔らかさのある製菓においては、老化を長期間抑制し柔らかさを保つことができ、特に、1ヶ月を超え、例えば数ヶ月のような長期にわたり老化を抑制し、柔らかさを保つことができる。このような点から、本発明の製菓用生地改良剤は、焼き菓子、蒸し菓子、発酵菓子、パイなどの製菓に好適に用いることができる。これらのうち、例えば焼き菓子は、穀粉を必須とし、卵類、糖質、油脂などを用いて、例えば、シュガーバッター法、フラワーバッター法、オールインミックス法、卵白別立て法などによって生地を得た後、生地を焼成して得ることができる。
焼き菓子としては、硬質の焼き菓子、起泡や膨化させる軟質の焼き菓子などが挙げられる。これらは噛み始めのサクみ感と咀嚼中の崩壊感が好まれボリュームアップが望まれる食品であり、老化を抑制し、柔らかさを保つ点では、これらのうち軟質の焼き菓子に好適に用いることができる。
硬質の焼き菓子としては、例えば、クッキー、ビスケットなどが挙げられる。軟質の焼き菓子としては、例えば、ケーキ、焼きドーナツ、焼き饅頭などが挙げられる。これらのうちケーキとしては、例えば、スポンジケーキ、バターケーキ、パウンドケーキ、フルーツケーキ、マドレーヌ、ブッセ、フィナンシェ、ホットケーキ、ワッフルなどが挙げられる。蒸し菓子としては、例えば、蒸しパン、蒸しケーキ、蒸し饅頭などが挙げられる。発酵菓子としては、例えば、パネトーネ、シュトーレン、サバラン、ブッタークーヘン、パンドーロなどが挙げられる。 本発明の製菓用生地改良剤は、生地に練り込んで使用される。本発明の製菓用生地改良剤または可塑性油脂を用いた製菓用生地では、酵素Aにおける、BPNPG7比色法による40℃の酵素活性が穀粉100gに対して3~1100Uになるように製菓用生地改良剤を添加することが好ましく、5~1000Uであることがより好ましく、30~900Uであることがさらに好ましい。また、酵素Bにおける、キシラン糖化力測定法による酵素活性が穀粉100gに対して20~2500Uになるように製菓用生地改良剤を添加することが好ましく、30~2300Uであることがより好ましく、40~2000Uであることがさらに好ましい。これらの酵素活性が当該範囲内であると、製菓における噛み始めのサクさと咀嚼中の崩壊感が良好で、柔らかさのある製菓においては、老化を長期間抑制し柔らかさを保つことができる。
本発明の製菓練り込み用油脂組成物を用いた製菓用生地は、菓子の種類により相違するが、例えば穀粉100gに対して、5~130g配合することができる。
製菓用生地に配合される穀粉としては、特に限定されないが、例えば、小麦粉(強力粉、中力粉、薄力粉など)、大麦粉、全粒粉、米粉、とうもろこし粉、ライ麦粉、そば粉、大豆粉、雑穀(アワ、ヒエ、アマランサス等)、ジャガイモ粉などが挙げられる。製菓用生地には、その他に目的に応じて、特に限定されないが、水、糖質、卵、卵加工品、乳、乳製品、蛋白質、塩類、乳化剤、乳化起泡剤(乳化油脂)、可塑性油脂、粉末油脂、ベーキングパウダー、イースト(酵母)、イーストフード、カカオマス、ココアパウダー、アーモンドパウダー、アーモンドパウダー、チョコレート、コーヒー、紅茶、抹茶、野菜類、果物類、果実、果汁、ジャム、フルーツソース、肉類、魚介類、豆類、きな粉、豆腐、豆乳、大豆タンパク、膨張剤、甘味料、調味料、香辛料、着色料、フレーバーなどの原材料を配合することができる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。糖質としては、単糖(グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノースなど)、二糖類(ラクトース、スクロース、マルトース、トレハロースなど)、オリゴ糖、糖アルコール、ステビア、アスパルテームなどの甘味料、デンプン、デンプン分解物、難消化性デキストリン、多糖類などが挙げられる。乳としては、牛乳などが挙げられる。乳製品としては、脱脂乳、生クリーム、チーズ(ナチュラルチーズ、プロセスチーズなど)、醗酵乳、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖れん乳、加糖れん乳、無糖脱脂れん乳、加糖脱脂れん乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、蛋白質濃縮ホエイパウダー、ホエイチーズ(WC)、ホエイプロテインコンセントレート(WPC)、ホエイプロテインアイソレート(WPI)、バターミルクパウダー、トータルミルクプロテイン、カゼインナトリウム、カゼインカリウムなどが挙げられる。乳製品以外では、アーモンドミルク、ココナッツミルク、ライスミルクなどが挙げられる。蛋白質としては、大豆蛋白質、エンドウ豆蛋白質、小麦蛋白質などの植物蛋白質などが挙げられる。
以下に、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例の製菓用生地改良剤には、表1のマルトース生成α-アミラーゼ、マルトテトラオース生成α-アミラーゼ、α-アミラーゼ、ヘミセルラーゼを使用した。
マルトース生成α-アミラーゼ、マルトテトラオース生成α-アミラーゼ、α-アミラーゼの酵素活性は次の方法で測定した。
・α-アミラーゼ、マルトース生成α-アミラーゼ、マルトテトラオース生成α-アミラーゼの酵素活性測定法(BPNPG7比色法)
非還元末端をブロックしたパラニトロフェニルマルトヘプトシド(BPNPG7)に酵素を作用させ、生じたパラニトロフェニルオリゴ糖をαグルコシターゼで分解し、遊離したパラニトロフェニルを比色測定して求めた。酵素活性単位は、40℃(65℃)で反応させた場合にαグルコシターゼがBPNPG7から1分間に1μmolのパラニトロフェニルを解離させる酵素量を1Uとした(Megazyme社 α-Amylase assay kit 使用、緩衝液pH5)。
「糖濃度10質量%水溶液中での前記酵素活性の相対比率」は、糖濃度0質量%水溶液中での前記酵素活性に対する糖濃度10質量%水溶液中での前記酵素活性の相対比率である。糖濃度10質量%水溶液では、糖としてグラニュー糖を添加した。
「40℃の前記酵素活性に対する65℃の前記酵素活性」は、BPNPG7比色法による酵素活性において、40℃の前記酵素活性に対する65℃の前記酵素活性である。
Figure 0007407557000001
ヘミセルラーゼは、ヘミセルラーゼ「アマノ」90 天野エンザイム(株)製、90000U/g を使用した。
ヘミセルラーゼの酵素活性は次の方法で測定した。
・ヘミセルラーゼの酵素活性測定法
キシラナーゼ活性:キシラン糖化力測定法(ニトロ試薬法)
基質キシラン溶液(pH4.5)に酵素を作用させ、グルコシド結合の切断に伴って増加する還元力を測定して求めた。40℃で反応させた場合に1分間に0.01mgのキシロースに相当する還元糖を生成する酵素量を1Uとした。
表2~表5のエステル交換油脂1、2には、次のものを使用した。
(エステル交換油脂1)
パーム核極度硬化油25質量%、パーム極度硬化油25質量%、パーム油50質量%を混合し、触媒としてナトリウムメチラートを添加し、減圧下で、エステル交換反応した。エステル交換反応後、水洗、脱水、脱色しエステル交換油脂1を得た。
(エステル交換油脂2)
パーム分別軟質油を用いて、上記と同様な条件でエステル交換反応した。エステル交換反応後、水洗、脱水、脱色、脱臭しエステル交換油脂2を得た。
なお、表2~表5に示す油脂のヨウ素価は、基準油脂分析試験法(公益社団法人日本油化学会)の「2.3.4.1-2013ヨウ素価(ウィイス-シクロヘキサン法)」で測定した。
表2および表3に記載した各油脂において、トリグリセリドの2位に結合されたオレイン酸の含有量、トリグリセリドの2位に結合されたラウリン酸およびミリスチン酸の合計量、XOX、XOYの合計量は、ガスクロマトグラフ法(基準油脂分析試験法(公益社団法人日本油化学会)の「2.4.2.2-2013 脂肪酸組成(FID昇温ガスクロマトグラフ法)」と「奨2-2013 2位脂肪酸組成」)で測定した。
<製菓用生地改良剤および製菓用生地改良剤含有可塑性油脂の作製>
表2および表3に示す実施例1~12、比較例1~6の製菓用生地改良剤は、穀粉100gに対して同表記載の酵素活性(U)となるように糖分解酵素を混合して得た。 表2および表3に示す実施例13~22、比較例7~9の製菓用生地改良剤を含有した練り込み用可塑性油脂は、次の方法で得た。実施例13~22、比較例7~9の製菓練り込み用油脂組成物のうち、乳化剤を配合しないものは、同表に示す油脂配合で調合した油脂分を油相として65℃に加温し、可塑性油脂100gあたりの酵素活性(U)が同表記載の酵素活性(U)の5倍(当該可塑性油脂を穀粉100質量部あたり20質量部使用した際、穀粉100g中、同表の酵素活性(U)になるように調整)になるように糖分解酵素を油脂に添加、混合した。乳化剤を配合する場合には同表に示す油脂配合で調合した油脂分と乳化剤分を油相として65℃に加温し、可塑性油脂100gあたりの酵素活性(U)が同表記載の酵素活性(U)の5倍(当該可塑性油脂を穀粉100質量部あたり20質量部使用した際、穀粉100g中、同表の酵素活性(U)になるように調整)になるように糖分解酵素を油相に添加、混合した。いずれも酵素を混合した後、パーフェクターによって急冷捏和し、ショートニングタイプの生地改良剤含有練り込み用可塑性油脂を得た。
表4に示す実施例23~26の製菓用生地改良剤を含有した油中水型乳化練り込み用可塑性油脂は、次の方法で得た。あらかじめ表4に示す油脂配合で調合した油脂分のうち、1質量%に上記と同様に可塑性油脂100gあたり表4に示す酵素活性の5倍となるように各酵素を添加、混合して65℃に保持しておく。残りの油脂分に油溶性乳化剤(モノグリセリンステアリン酸エステル、プロピレングリコールステアリン酸エステル、クルードレシチン)を添加して65℃で加熱溶解したものを油相とし、水分に水溶性乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル)を添加して65℃で加熱溶解したものを水相とし、プロペラを用いて油中水型に乳化した。その後、前述のあらかじめ作製しておいた酵素を添加した油脂を添加し、パーフェクターによって急冷捏和して、マーガリンタイプの製菓用生地改良剤を含有した油中水型乳化練り込み用可塑性油脂を得た。
表5に示す実施例27、28、参考例の製菓用生地改良剤を含有した練り込み用可塑性油脂は、次の方法で得た。同表に示す油脂配合で調合した油脂分を油相として65℃に加温し、実施例27および実施例28では可塑性油脂100gあたりの酵素活性(U)が同表記載の酵素活性(U)の5倍(当該可塑性油脂を穀粉100質量部あたり20質量部使用した際、穀粉100g中、同表の酵素活性(U)になるように調整)になるように糖分解酵素を油脂に添加、混合した。参考例では酵素を油脂に添加しなかった。いずれもパーフェクターによって急冷捏和し、ショートニングタイプの生地改良剤含有練り込み用可塑性油脂を得た。
(1)クッキーの評価
<クッキーの作製1>
実施例1~12、比較例1~6に係る製菓用生地改良剤をバター60質量部とは別途に添加した下記(1)の配合で、実施例13~26、比較例7~9では、バター60質量部のうちバター20質量部を製菓用生地改良剤含有可塑性油脂に変更した下記(2)の配合で、クッキーを作製した。具体的には、まず、可塑性油脂およびバターと砂糖を充分にすり合わせ、全卵を徐々に加え合わせた後、(1)の配合ではあらかじめ製菓用生地改良剤を混ぜておいた薄力粉、(2)の配合では薄力粉を合わせて一晩冷蔵庫でリタードを取った。次の日、リタードした生地を4mmに伸ばし、直径40mmの円型に型抜きした。180℃のオーブンで12分焼成して実施例、比較例に係るクッキーを得た。
<クッキーの配合> 配合(1) 配合(2)
薄力粉 100質量部 100質量部
上白糖 40質量部 40質量部
全卵 15質量部 15質量部
バター 60質量部 40質量部
製菓用生地改良剤含有可塑性油脂 - 20質量部
製菓用生地改良剤 表2、表3記載相当量
さらに参考例として上記(1)の配合で製菓用生地改良剤を添加しない配合に変更したクッキーを上記製法で得た。
上記のクッキーについて、次の評価を行った。
[クッキーの噛み始めのサクみ感]
焼成したクッキーを食品用シリカゲルと共にビニール袋に入れ、20℃で3日間保管した。直径5mmの円型プランジャーを用いて、測定速度1mm/secで破断測定を行って応力を測定し、下記の基準によりクッキーの噛み始めのサクみ感を評価した。
評価基準
◎+:参考例のクッキーの応力と比較して80%未満
◎:参考例のクッキーの応力と比較して80%以上85%未満
○:参考例のクッキーの応力と比較して85%以上90%未満
△:参考例のクッキーの応力と比較して90%以上95%未満
×:参考例のクッキーの応力と比較して95%以上
[クッキーの噛み終わりの崩壊感]
焼成したクッキーを食品用シリカゲルと共にビニール袋に入れ、20℃で3日間保管した。パネル20名によりクッキーの口の中での崩壊感(細かく砕けて広がり、溶けていく様)を評価し、参考例のクッキー(バター使用)よりも噛み終わりの「崩壊感がある」と回答した人数によって、下記の基準で評価した。
なお、評価パネルは、20組の異なる食感および風味のクッキーを用意して、1対2点試験法(duo-trio test) (2種類の試料に対して、3個の試料を提示するが、どちらか一方の試料を標準試料として提示し、標準試料と同じものを選択する手法)を行い、正解率70%以上の人を選抜した。
評価基準
◎+:パネル20名中、17名以上が「崩壊感がある」と回答した。
◎:パネル20名中、15~16名が「崩壊感がある」と回答した。
○:パネル20名中、13~14名が「崩壊感がある」と回答した。
△:パネル20名中、9~12名が「崩壊感がある」と回答した。
×:「崩壊感がある」と回答したのはパネル20名中、9名未満であった。
<クッキーの作製2>
実施例27、28、参考例に係る製菓用生地改良剤含有可塑性油脂を使用して下記の配合で、クッキーを作製した。具体的には、まず、可塑性油脂と上白糖を充分にすり合わせ、重曹を溶解させた全卵を徐々に加え合わせた後、薄力粉と合わせて一晩冷蔵庫でリタードを取った。次の日、リタードした生地を7mmに伸ばし、直径40mmの円型に型抜きし、上面を塗り卵処理した。180℃のオーブンで12分焼成して実施例27、28、参考例に係るクッキーを得た。
<クッキーの配合> 配合
薄力粉 100質量部
上白糖 35質量部
全卵 18質量部
食塩 0.5質量部
重曹 0.3質量部
製菓用生地改剤含有可塑性油脂 60質量部
上記のクッキーについて次の評価を行なった。
[クッキーのボリューム]
クッキー8枚を積み重ねてその高さを測定し、参考例のクッキーの高さと比較して、
以下の基準によりクッキーのボリュームを評価した。
◎:1.1倍以上
○:1.05倍以上、1.1倍未満
△:1倍より大きく、1.05倍未満
×:1倍以下
[クッキーの噛み始めのサクみ感]および[クッキーの噛み終わりの崩壊感]の評価は前述した評価方法を用いて評価した。
上記の評価結果を表2~表5、図1に示す。
(3)パウンドケーキの評価
<パウンドケーキの作製>
実施例1~12、比較例1~6に係る製菓用生地改良剤をバター100質量部とは別途に添加した下記(1)の配合で、実施例13~26、比較例7~9では、バター100質量部のうちバター20質量部を製菓用生地改良剤含有可塑性油脂に変更した下記(2)の配合で、パウンドケーキを作製した。具体的には、まず、可塑性油脂およびバターと砂糖を充分にすり合わせ、比重を0.75にした。全卵を徐々に加え合わせた後、(1)の配合ではあらかじめベーキングパウダーと酵素を混ぜておいた薄力粉、(2)の配合ではあらかじめベーキングパウダーを混ぜておいた薄力粉を加えて合わせた。パウンド型に350g入れ、170℃のオーブンで40分焼成して実施例、比較例に係るパウンドケーキを得た。
<パウンドケーキの配合> 配合(1) 配合(2)
薄力粉 100質量部 100質量部
上白糖 100質量部 100質量部
全卵 100質量部 100質量部
ベーキングパウダー 2質量部 2質量部
バター 100質量部 80質量部
製菓用生地改良剤含有可塑性油脂 - 20質量部
製菓用生地改良剤 表2、表3記載相当量
さらに参考例として上記(1)の配合で製菓用生地改良剤を添加しない配合に変更したパウンドケーキを上記製法で得た。
上記のパウンドケーキについて、次の評価を行った。
[パウンドケーキの噛み始めのサクみ感]
焼成したパウンドケーキをビニール袋に入れ、20℃で1日間保管した。20mmの厚さにカットし、カット面を直径5mmの円型プランジャーを用いて、測定速度1mm/sec.で破断測定を行って応力を測定し、下記の基準によりパウンドケーキの噛み始めのサクみ感を評価した。
評価基準
◎+:参考例のパウンドケーキの応力と比較して80%未満
◎:参考例のパウンドケーキの応力と比較して80%以上85%未満
○:参考例のパウンドケーキの応力と比較して85%以上90%未満
△:参考例のパウンドケーキの応力と比較して90%以上95%未満
×:参考例のパウンドケーキの応力と比較して95%以上
[パウンドケーキの噛み終わりの崩壊感]
焼成したパウンドケーキをビニール袋に入れ、20℃で1日間保管した。パネル20名によりパウンドケーキの口の中での崩壊感(細かく砕けて広がり、溶けていく様)を評価し、参考例のパウンドケーキ(バター使用)よりも噛み終わりの「崩壊感がある」と回答した人数によって、下記の基準で評価した。
なお、評価パネルは、20組の異なる食感および風味のパウンドケーキを用意して、1対2点試験法(duo-trio test) (2種類の試料に対して、3個の試料を提示するが、どちらか一方の試料を標準試料として提示し、標準試料と同じものを選択する手法)を行い、正解率70%以上の人を選抜した。
◎+:パネル20名中、17名以上が「崩壊感がある」と回答した。
◎:パネル20名中、15~16名が「崩壊感がある」と回答した。
○:パネル20名中、13~14名が「崩壊感がある」と回答した。
△:パネル20名中、9~12名が「崩壊感がある」と回答した。
×:「崩壊感がある」と回答したのはパネル20名中、9名未満であった。
[パウンドケーキの老化抑制(柔らかさ)]
焼成したパウンドケーキを20mmの厚さにカットし、アンチモールドと共に1個ずつビニール袋に入れ、20℃で60日間保管した。カット面に対し、直径30mmの円型プランジャーを用いて、測定速度1mm/sec.で40%圧縮を行って応力を測定し、下記の基準によりパウンドケーキのやわらかさを評価した。
評価基準
◎+:1日後の応力と比較して1.3倍未満
◎:1日後の応力と比較して1.3倍以上1.4倍未満
○:1日後の応力と比較して1.4倍以上1.5倍未満
△:1日後の応力と比較して1.5倍以上1.7倍未満
×:1日後の応力と比較して1.7倍以上
なお、参考例に係るパウンドケーキは1日後の応力と比較して、1.7以上であった。
上記の評価結果を表2~表4に示す。
Figure 0007407557000002
Figure 0007407557000003
Figure 0007407557000004
Figure 0007407557000005

Claims (8)

  1. 製菓用生地改良剤を含有する可塑性油脂であって、
    前記製菓用生地改良剤は、下記に示す酵素Aおよび酵素Bを含み、かつ酵素Aは、BPNPG7比色法による40℃の酵素活性において、糖濃度0質量%水溶液中での前記酵素活性に対する糖濃度10質量%水溶液中での前記酵素活性の相対比率が20%以上であり、
    酵素Bにおける、キシラン糖化力測定法による酵素活性が可塑性油脂1gに対して0.15~500Uである、可塑性油脂
    酵素A:マルトース生成α-アミラーゼおよびマルトテトラオース生成α-アミラーゼから選ばれる少なくとも1種
    酵素B:へミセルラーゼ
  2. 酵素Aは、BPNPG7比色法による酵素活性において、40℃の前記酵素活性に対する65℃の前記酵素活性が2倍以上である請求項1に記載の可塑性油脂
  3. 酵素Bにおける、キシラン糖化力測定法による酵素活性1Uに対して、酵素Aにおける、BPNPG7比色法による40℃の酵素活性が0.001~55Uである請求項1または2に記載の可塑性油脂
  4. トリグリセリドの2位に結合されたオレイン酸の含有量が、トリグリセリドの2位に結合された脂肪酸全体の質量に対して30~65質量%である請求項に記載の可塑性油脂。
  5. トリグリセリドXOXおよびXOYの合計量が、トリグリセリド全体の質量に対して10~50質量%であり、かつトリグリセリドの2位に結合されたラウリン酸およびミリスチン酸の合計量が、トリグリセリドの2位に結合された脂肪酸全体の質量に対して0.1~5質量%である請求項に記載の可塑性油脂(但し、トリグリセリドXOXおよびXOYにおけるXとOとYは次のとおりである。)。
    X:炭素数16以上の飽和脂肪酸
    O:オレイン酸
    Y:炭素数16以上の不飽和脂肪酸
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載の可塑性油脂を用いて、
    酵素Aにおける、BPNPG7比色法による40℃の酵素活性が穀粉100gに対して3~1100Uになるように前記製菓用生地改良剤を添加する製菓用生地の製造方法。
  7. 請求項1~5のいずれか一項に記載の可塑性油脂を用いて、
    酵素Bにおける、キシラン糖化力測定法による酵素活性が穀粉100gに対して20~2500Uになるように前記製菓用生地改良剤を添加する製菓用生地の製造方法。
  8. 請求項またはに記載の製菓用生地の製造方法によって得られた製菓用生地を用い、焼き菓子および蒸し菓子から選ばれる製菓を製造する、製菓の製造方法
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