JP2017201921A - 野菜入り小麦ベース食品およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】野菜臭が低減された、かつ膨張性、弾力性または保水性が改善された野菜入り小麦ベース食品およびその製造方法を提供する。【解決手段】エンテロコッカス(Enterococcus)属乳酸菌、ペディオコッカス(Pediococcus)属乳酸菌またはその混合物を含む乳酸菌を用いて野菜の粉砕物もしくは磨砕物を発酵させて得られる野菜発酵物を、小麦ベース穀粉を含む生地に混合し、野菜入り小麦ベース食品を製造することを含む、未発酵野菜を含有する対照と比べて野菜臭が低減された、かつ膨張性、弾力性または保水性が改善された野菜入り小麦ベース食品の製造方法、ならびに該方法により得られる野菜入り小麦ベース食品。【選択図】図1

Description

本発明は、野菜臭が低減された、かつ膨張性、弾力性または保水性が改善された野菜入り小麦ベース食品およびその製造方法を提供する。ここで、野菜は、エンテロコッカス(Enterococcus)属およびペディオコッカス(Pediococcus)属からなる群から選ばれる少なくとも1種の乳酸菌による野菜の発酵物である。
発酵食品は、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品をはじめとして多数知られている。このような食品は、人体に有害でない酵母、カビ、乳酸菌、バチルス属細菌などの微生物による発酵を利用したものであり、具体的には、チーズ、ヨーグルト、味噌、醤油、塩辛、魚醤、漬物、納豆などが代表的である。とりわけ野菜の発酵食品にはピクルス、キムチなどの漬物が含まれる。また、最近では健康志向ブームのために野菜ジュースの消費が高いが、漬物以外の野菜発酵食品に関する特許出願が多く見られるようになってきた。そのような発酵食品の具体例のいくつかを以下に記載する。
特許文献1には、加熱殺菌処理された不溶性固形分50重量%以上の野菜の破砕物を、密閉条件で、ビフィドバクテリウム属、ラクトバチルス属、ペディオコッカス属およびエンテロコッカス属からなる群から選ばれる1種以上の乳酸菌により20〜45℃で酸度上昇の終点まで乳酸発酵を行うことが開示されている。
特許文献2には、小麦粉および水を含むサワー生地製造用の配合原材料に乳酸菌を添加した混合物を混捏し、23〜30℃で少なくとも24時間培養する工程を包含し、乳酸菌として、高温性乳酸菌(Streptococcus属およびLactobacillus属)と中温性乳酸球菌(Lactococcus属)を組み合わせて用いることを特徴とするサワー生地を製造する方法が開示されている。
特許文献3には、タンパク質および脂質を分解する能力を有し、過剰な酸味を生産しない乳酸菌であって、受託番号:NITE P−332として寄託されているエンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)AK−1である新規乳酸菌を含むスターターカルチャーを原料に添加して発酵させる、発酵食品の製造方法が開示されている。
特許文献4には、キャベツ、ダイコン、カブ、タマネギ、ナス、キュウリ、ニンニク、ホウレンソウ、ピ−マン、パセリ、ニンジン、バナナ、スイカ、パイナップル、ブドウ、ナシ、カキ、リンゴおよびキウイからなる群から選ばれた1種または2種以上の野菜および/または果実を、エンテロコッカス・フェカリスを所定の比率以上含む乳酸菌で発酵させた発酵物を主成分とする液状または粉末状の乳酸発酵食品が開示されている。
特許文献5には、炭水化物を8重量%以上含む野菜の破砕物、磨砕物を、少なくともペディオコッカス属菌とエンテロコッカス属菌との組み合わせからなる乳酸菌で発酵させた乳酸菌発酵食品素材が開示されており、ここで、ペディオコッカス属菌がペディオコッカス・ペントサセウスおよび/またはペディオコッカス・アシディラクティシであり、エンテロコッカス属菌がエンテロコッカス・フェシウムおよび/またはエンテロコッカス・フェカリスであり、炭水化物を8重量%以上含む野菜が人参、小豆、大豆、ニンニク、とうもろこし、サツマイモ、かぼちゃ、ジャガイモ、サトイモ、枝豆、ソラマメ、ゴマ、ハス、栗などの野菜から少なくとも1種選択されてなる野菜であることが記載されている。
特開2008−245573号公報 特許4728769号公報 特許5114770号公報 特開2004−357509号公報 特許5116178号公報
小麦ベース食品には、小麦粉を主成分とするパン、麺類などが含まれる。このような食品には、糖類、塩などの添加物成分の他に、例えばパンなどの場合には、豆類、木の実、果実などを生地に含有させることも通常行われている。これに対して、パン、麺、ギョウザの皮などの小麦ベース食品の生地に野菜を練り込むことは、保存性、野菜臭、味、外観などの面での課題のために、商業ベースでは積極的に行われていない。
また、本発明者らは、パン生地に未発酵野菜(ピューレ状)を練り込み、ベーキングして得られたパンでは膨張性や弾力性が低下することを見出している。
さらにまた、調味料として増粘剤、着色料などの添加物を含む野菜発酵物(ピューレ状、水分含量約94重量%)は知られているが、該野菜発酵物は、味や匂い、膨張性や弾力性などの面で多くとも10重量%程度までしかパン生地などの小麦ベース食品に使用することができなかった。
このような情況下で、野菜の効能は周知されているので、上記のような課題を解決し、できる限り多量の野菜を含む商品価値のある野菜入り小麦ベース食品を提供することは健康面で意味のあることである。したがって、本発明は、野菜臭が低減された、かつ膨張性、弾力性または保水性が改善された野菜入り小麦ベース食品およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の特徴を含む。
(1)エンテロコッカス(Enterococcus)属乳酸菌、ペディオコッカス(Pediococcus)属乳酸菌またはその混合物を含む乳酸菌を用いて野菜の粉砕物もしくは磨砕物を発酵させて得られる野菜発酵物を、小麦ベース穀粉を含む生地に混合し、野菜入り小麦ベース食品を製造することを含む、未発酵野菜を含有する対照と比べて野菜臭が低減された、かつ膨張性、弾力性または保水性が改善された野菜入り小麦ベース食品の製造方法。
(2)上記エンテロコッカス属乳酸菌が、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)およびエンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)からなる群から選択される少なくとも1種の乳酸菌である、上記(1)に記載の方法。
(3)上記ペディオコッカス属乳酸菌が、ペディオコッカス・ペントサセウス(Pediococcus pentosacceus)、ペディオコッカス・ダムノサス(Pediococcus damnosus)、ペディオコッカス・ハロフィルス(Pediococcus halophilus)およびペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)からなる群から選択される少なくとも1種の乳酸菌である、上記(1)または(2)に記載の方法。
(4)上記野菜発酵物が、pH3.4〜5.0の範囲のpHを有する、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5)上記野菜が、葉菜類、果菜類、根菜類および豆類からなる群から選択される少なくとも1種である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6)上記野菜の粉砕物もしくは磨砕物が、ピューレの形態である、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7)上記小麦ベース穀粉が、小麦粉を50〜100重量%の量で含む、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の方法。
(8)上記野菜入り小麦ベース食品が、パン、麺、ギョウザの皮、ピザ、およびケーキスポンジからなる群から選択される、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の方法。
(9)エンテロコッカス(Enterococcus)属乳酸菌、ペディオコッカス(Pediococcus)属乳酸菌またはその混合物を含む乳酸菌による野菜発酵物、および小麦ベース穀粉由来の生地を含有すること、ならびに、未発酵野菜を含有する対照と比べて野菜臭が低減された、かつ膨張性、弾力性または保水性が改善されたことを特徴とする野菜入り小麦ベース食品。
(10)上記エンテロコッカス属乳酸菌が、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)およびエンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)からなる群から選択される少なくとも1種の乳酸菌である、上記(9)に記載の野菜入り小麦ベース食品。
(11)上記ペディオコッカス属乳酸菌が、ペディオコッカス・ペントサセウス(Pediococcus pentosacceus)、ペディオコッカス・ダムノサス(Pediococcus damnosus)、ペディオコッカス・ハロフィルス(Pediococcus halophilus)およびペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)からなる群から選択される少なくとも1種の乳酸菌である、上記(9)または(10)に記載の野菜入り小麦ベース食品。
(12)上記野菜発酵物が、生地に混入させる時点でpH3.4〜5.0の範囲のpHを有する、上記(9)〜(11)のいずれかに記載の野菜入り小麦ベース食品。
(13)上記野菜が、葉菜類、果菜類、根菜類および豆類からなる群から選択される少なくとも1種である、上記(9)〜(12)のいずれかに記載の野菜入り小麦ベース食品。
(14)上記野菜発酵物が、ピューレの形態である、上記(9)〜(13)のいずれかに記載の野菜入り小麦ベース食品。
(15)上記小麦ベース穀粉が、小麦粉を50〜100重量%の量で含む、上記(9)〜(14)のいずれかに記載の野菜入り小麦ベース食品。
(16)上記野菜入り小麦ベース食品が、パン、麺、ギョウザの皮、ピザ、およびケーキスポンジからなる群から選択される、上記(9)〜(15)のいずれかに記載の野菜入り小麦ベース食品。
本発明によれば、野菜発酵物(好ましくはpH約3.4〜約5.0)を小麦ベース生地に混合することによって、野菜臭が低減された、かつ膨張性、弾力性または保水性が改善された野菜入り小麦ベース食品が製造可能になる。
この図は、発酵野菜ニンジンピューレを含むパン(左、本発明)と未発酵野菜ニンジンピューレを含むパン(右、対照)の膨張性の違いを示す。明らかに本発明のパンが対照と比べて膨らみが大きい。 この図は、発酵野菜ニンジンピューレを含むパン(◆、本発明)と未発酵野菜ニンジンピューレを含むパン(■、対照)のかたさ(Hardness、縦軸の単位g)の経日変化(製造0日目、1日目および2日目)を示す。 この図は、発酵野菜ニンジンピューレを含むパン(◆、本発明)と未発酵野菜ニンジンピューレを含むパン(■、対照)の弾力性(Springiness、縦軸の単位なし)の経日変化(製造0日目、1日目および2日目)を示す。 この図は、発酵野菜ニンジンピューレを含むパン(◆、本発明)と未発酵野菜ニンジンピューレを含むパン(■、対照)の凝集性(Cohesiveness、縦軸の単位なし)の経日変化(製造0日目、1日目および2日目)を示す。 この図は、発酵野菜ニンジンピューレを含むパン(◆、本発明)と未発酵野菜ニンジンピューレを含むパン(■、対照)のガム性(Gumminess、縦軸の単位g)の経日変化(製造0日目、1日目および2日目)を示す。 この図は、発酵野菜ニンジンピューレを含むパン(◆、本発明)と未発酵野菜ニンジンピューレを含むパン(■、対照)の咀嚼性(Chewiness、縦軸の単位g)の経日変化(製造0日目、1日目および2日目)を示す。 この図は、発酵野菜ニンジンピューレを含むパン(◆、本発明)と未発酵野菜ニンジンピューレを含むパン(■、対照)の復元性(Resilience、縦軸の単位なし)の経日変化(製造0日目、1日目および2日目)を示す。
本発明をさらに具体的に説明する。
本発明は、野菜入り小麦ベース食品の製造方法、ならびに該方法によって得られる野菜入り小麦ベース食品を提供する。
具体的には、本発明の方法は、エンテロコッカス(Enterococcus)属乳酸菌、ペディオコッカス(Pediococcus)属乳酸菌またはその混合物を含む乳酸菌を用いて野菜の粉砕物もしくは磨砕物を発酵させて得られる野菜発酵物を、小麦ベース穀粉を含む生地に混合し、野菜入り小麦ベース食品を製造することを含む、未発酵野菜を含有する対照と比べて野菜臭が低減された、かつ膨張性、弾力性または保水性が改善された野菜入り小麦ベース食品の製造方法である。
また、上記の方法によって得られる野菜入り小麦ベース食品は、エンテロコッカス(Enterococcus)属乳酸菌、ペディオコッカス(Pediococcus)属乳酸菌またはその混合物を含む乳酸菌による野菜発酵物、および小麦ベース穀粉由来の生地を含有すること、ならびに、未発酵野菜を含有する対照と比べて野菜臭が低減された、かつ膨張性、弾力性または保水性が改善されたことを特徴とする。
本発明の特徴についてさらに説明する。
1.野菜発酵物
本発明で使用される野菜発酵物を製造するための野菜には、例えば葉菜類、果菜類、根菜類、豆類などが含まれ、本明細書中では、葉菜類、果菜類、根菜類、豆類などを総称して「野菜」と称する。
葉菜類の例として、非限定的に、ホウレン草、キャベツ、レタス、シュンギク、ニンニク、レタス、タマネギ、ハクサイ、アスパラガス、セロリーなどが挙げられる。
果菜類の例として、非限定的に、トマト、ミニトマト、カボチャ、トウモロコシ、ナス、トウガラシ、キュウリ、イチゴ、スイカ、メロン、ニガウリ、ピーマンなどが挙げられる。
根菜類の例として、非限定的に、ジャガイモ、サトイモ、サツマイモ、ニンジン、タマネギ、ダイコン、カブ、レンコン、ショウガ、ヤマイモ、ジネンジョ、ユリ根などが挙げられる。
豆類の例として、エダマメ、インゲン、ソラマメ、サヤエンドウ、アズキなどが挙げられる。
上記野菜の発酵のために使用される乳酸菌は、エンテロコッカス(Enterococcus)属乳酸菌、ペディオコッカス(Pediococcus)属乳酸菌、またはそれらの混合物である。
エンテロコッカス(Enterococcus)属乳酸菌の例は、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)などを含む。エンテロコッカス・フェカリスの加熱処理された死菌は免疫賦活作用が高いことが知られている。
エンテロコッカス属乳酸菌の培養は、窒素源および炭素源を含有する培地(pH約5〜約7)中、培養温度約20〜約45℃、培養時間約10〜約72時間、好気的条件下で振盪もしくは撹拌することによって行うことができる。培地中の窒素源は、非限定的に、例えば肉エキス、ペプトン、大豆粉、大豆加水分解物、グルテン、カゼイン、酵母エキス、アミノ酸などであり、炭素源は、非限定的に、例えばグルコース、スクロース、フラクトース、ラクトース、ソルビトール、イノシトール、水飴、麹汁、澱粉、バカス、フスマ、糖蜜などである。その他、ビタミン類、無機物、例えば硫酸アンモニウム、リン酸カリウム、塩化マグネシウム、食塩、炭酸カルシウム、鉄、マンガン、モリブデンなどを添加することが好ましい。
ペディオコッカス属(Pediococcus)属乳酸菌の例は、ペディオコッカス・ペントサセウス(Pediococcus pentosacceus)、ペディオコッカス・ダムノサス(Pediococcus damnosus)(ペディオコッカス・セレヴィシエ(Pediococcus cerevisiae)ともいう)、ペディオコッカス・ハロフィルス(Pediococcus halophilus)、ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)などを含む。
ペディオコッカス属乳酸菌の培養は、pH約4〜7の培地(ただし、培地成分は上記と同じである。)中、培養温度約20〜約45℃、培養時間約10〜約72時間、嫌気的条件下で振盪もしくは撹拌することによって行うことができる。
好ましい乳酸菌の例は、エンテロコッカス・フェシウムおよびペディオコッカス・ペントサセウスの混合菌である。
野菜の発酵に際しては、上記の乳酸菌の他に、必要に応じて、ロイコノストック属乳酸菌、ラクトバチルス属乳酸菌などの有益菌の少なくとも1種を含有させてもよい。
ロイコノストック属乳酸菌は、例えばロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、ロイコノストック・パラメセンテロイデス(Leuconostoc paramesenteroides)、ロイコノストック・シトロボラム(Leuconostoc citrovorum)、ロイコノストック・クレモリス(Leuconostoc cremoris)などである。
ロイコノストック属乳酸菌の培養は、pH約4〜7の培地(ただし、培地成分は上記と同じである。)中、培養温度約20〜40℃、培養時間約10〜72時間、嫌気的条件下で振盪もしくは撹拌することによって行うことができる。
ラクトバチルス属乳酸菌は、例えばラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・ヘルベチカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・サケィ(Lactobacillus sakei)、ラクトバチルス・デルブルッキー(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバチルス・キムチ(Lactobacillus kimchii)などである。
ラクトバチルス属乳酸菌の培養は、pH約5.5〜約7の培地(ただし、培地成分は上記と同じである。)中、培養温度約20〜約40℃、培養時間約10〜約72時間、好気的条件下で、静置によって、または振盪もしくは撹拌することによって行うことができる。
野菜発酵物の製造は、例えば、みじん切り野菜(殺菌済み)またはピューレ状もしくはペースト状の野菜(殺菌済み)のいずれかを出発原料として、以下のいずれかの方法によって行うことができる。
(1)カット野菜(殺菌済み)→発酵→ミキサー等による微粉砕(例えば、ピューレ化、ペースト化など)→(殺菌)→野菜発酵物。
(2)ピューレ状もしくはペースト状の野菜(殺菌済み)→発酵→(殺菌)→野菜発酵物(例えば、ピューレ、ペーストなどの形態)。
上記の2つの方法において「(殺菌)」は、発酵後に乳酸菌類が殺菌されてもよいし、あるいは殺菌されずに生菌として存在させてもよいことを表す。
上記出発原料を製造するために、野菜の前処理として、野菜類を常法に従って、生のものを洗浄後、必要に応じて剥皮し、適当なサイズに切断、スライス等の処理をし、その後、蒸煮するかもしくは熱水中で加熱処理する。野菜ピューレもしくはペーストを作製する場合、上記蒸煮または加熱処理後の野菜を、水を加えないか、あるいは水を加えて、ピューレ製造機、例えば高速ミキサー、マスコロイダー、破砕機、裏ごし機などを用いて破砕もしくは磨砕する、場合により煮詰める、ことによりピューレもしくはペースト形態とすることができる。
発酵条件および手順は、非限定的に、例えば次のように行うことができる。
培養装置内に、乳酸菌の合計量1×10〜1×10cfu/gを含む培養液約10重量%、上記の野菜ピューレ約50〜約90重量%、糖0〜約10重量%(好ましくは0〜約2重量%)を仕込み、場合により(バランスとして)加水し、約20〜40℃、約20〜48時間、好ましくは約24時間、静置もしくは攪拌して発酵を行うことができる。野菜の発酵は、好ましくはpH約3.4〜約5.0の範囲内になったとき終了するのがよい。培養液には、乳酸菌を増殖させるための、糖類、イーストエキス、イーストペプトン、豆乳などの食品において認可されている炭素源および窒素源、その他、無機塩などが含まれる。
発酵終了後、上記(1)の方法の場合、ピューレ製造機によって微粉砕形態、あるいは、ピューレもしくはペースト形態になるまで粉砕もしくは磨砕処理する、場合により煮詰める、ことにより粉砕物もしくは磨砕物を形成する。次いで、好ましくは殺菌処理を行い、野菜発酵物を得る。
殺菌処理は、発酵がさらに進むことによって風味や香味などの味に悪影響する問題点などを避けるために好ましい。殺菌処理は、加熱殺菌、オートクレーブ殺菌などの一般的な殺菌方法によって行うことができる。
2.野菜入り小麦ベース食品の製造
上記の方法によって製造された野菜発酵物を、小麦ベース穀粉を含む生地に混合し、野菜入り小麦ベース食品を製造する。
小麦ベース穀粉と野菜発酵物の重量比について、小麦ベース穀粉100重量%あたり野菜発酵物が少なくとも約1.3重量%、好ましくは約1.3〜約15重量%(いずれも、乾燥重量換算)である。このような比率の範囲であれば、本発明の食品における膨張性、弾力性または保水性、味、匂いなどの性質が未発酵野菜や他の発酵野菜(発酵の際の乳酸菌などの微生物の種類が異なる。)を含む同様の食品(対照)と比べて有意に改善される。因みに、従来公知の野菜発酵物を小麦ベース食品に使用した場合、小麦ベース穀粉100重量%あたり野菜発酵物約1.3重量%以上になると、該食品において野菜臭があり、また該食品の膨張性、弾力性または保水性に問題があった。
小麦ベース穀粉は、野菜入り小麦ベース食品の種類によって小麦粉の含有率が異なり、通常、小麦粉の含有率は100重量%であるが、該食品が例えばパンである場合には、小麦粉を少なくとも50重量%の量で含むことができる。
本明細書中で使用する「小麦ベース」とは、小麦粉の含有量が約50〜100重量%、好ましくは約70〜100重量%であり、その他の穀粉の合計含有量が約50重量%以下、好ましくは約30重量%〜0重量%であることを意味する。
その他の穀粉には、非限定的に例えば米粉、ライ麦粉、燕麦粉などが含まれうる。小麦粉以外の穀粉の含有率は、より高いほど食品の膨張性、弾力性などの性質を妨げるため、約50重量%以下、好ましくは約30重量%以下、より好ましくは約20重量%以下、例えば約10重量%以下である。
野菜入り小麦ベース食品は、上記の野菜発酵物を含み、かつ小麦粉を主成分とする生地を含む加工食品であって、各種食品の形態に加工・成形したのち、加熱処理をしたかもしくは処理しない、あるいは乾燥処理をしたかもしくは処理しない食品を指し、該食品として、例えば麺類(うどん、焼きそばめん、中華めん、そーめんなど)、パスタ(マカロニ、スパゲッティなど)、ギョウザの皮、ピザ生地、パン類、ケーキスポンジなどを挙げることができる。
上記以外の他の添加成分として、例えば、糖、塩、かん水、植物油、牛乳、卵、バターなどを食品の種類に応じて添加することができる。
上記の食品は、その種類によって製法が異なる。
小麦粉には、タンパク質含量の違いによって薄力粉(6〜9%)、中力粉(9〜11%)、強力粉(11〜13%)に分類されており、食品用途によって使い分けがされている。薄力粉は、例えば、カステラ、ケーキなどに使用される。中力粉は、例えば即席めん、うどん、中華めんなどに使用される。強力粉は、食パン、菓子パン、フランスパンなどのパン類、中華めん、ギョウザの皮などに使用される。実際には、上記の3種類の小麦粉を適宜混ぜ合わせて使用されることが多い。また、マカロニやスパゲッティなどのパスタの場合には、デュラム小麦粉(タンパク質含有率11〜14%)が使用される。
麺類の場合、小麦粉、野菜発酵物(pH約3.4〜約5.0)、水、塩を混合したのち、通常、捏ね、熟成、圧延、切断などの工程、場合によりさらに乾燥(そうめん、うどんなど)、熱水中での加熱(うどんなど)などを含む手順によって麺類を製造しうる。添加成分の配合量は、小麦ベース穀粉:野菜発酵物の重量比を除いて特に制限はなく、公知の配合比を使用することができる。
食パンの場合、小麦粉、野菜発酵物(pH約3.4〜約5.0)、水、塩、砂糖、ドライイースト(パン酵母)を混合したのち、捏ね、熟成、一次発酵、成形、二次発酵、成形、ベーキングなどを含む手順によってパンを製造しうる。添加成分の配合量は、小麦ベース穀粉:野菜発酵物の重量比を除いて特に制限はなく、公知の配合比を使用することができる。
本発明の野菜入り小麦ベース食品は、次の性質を有する。
(i)エンテロコッカス属乳酸菌、ペディオコッカス(Pediococcus)属乳酸菌またはその混合物を含む乳酸菌による野菜発酵物が小麦ベース穀粉を含む生地に含有する。ここで、野菜発酵物中の乳酸菌は生菌または死菌のいずれであってもよく、好ましくは殺菌されることが好ましい。
(ii)未発酵野菜を含有する対照と比べて野菜臭が低減された、かつ膨張性、弾力性、または保水性が改善されている。野菜入り小麦ベース食品のなかで、パン類、ケーキスポンジなどは膨張性および/または弾力性の面で改善されるし、また麺類、ギョウザの皮、ピザ(生地)などは弾力性および/または保水性の面で改善される。
市販の野菜発酵物を対照として確認実験を行った結果、味や匂い、膨張性や弾力性などの面で多くとも10重量%程度までしかパン生地などの小麦ベース食品に使用することができなかった。
エンテロコッカス属乳酸菌およびペディオコッカス属乳酸菌の菌種、野菜発酵物、ならびに小麦ベース澱粉については、上で説明したとおりである。
パンの膨張性については、パン酵母が発酵するときに発生する炭酸ガスと、捏ねるときに生地のなかに入りこむ気泡の役割が知られているが、未発酵野菜をパン生地に練り込むときには膨張性が著しく低下することや弾力性が減少することを本発明者らは確認している(図1)。
また、麺の腰の強さについて、従来、腰の強い麺を作るには塩の役割が推定されており、小麦粉に存在するグリアジン、グルテニンというタンパク質が水を吸収して捏ねるときに粘弾性のあるグルテンが形成され、塩の存在下でこのグルテンが塩により引き締めされて粘弾性が増すため、腰の強い麺ができると言われている。しかし、添加物の種類によっては、そのような膨張性や腰の強さを減損させることがある。添加物として例えば未発酵野菜や市販の野菜発酵物(上記)と比較したときには、本発明における野菜発酵物を使用した麺の弾力性が良くなった。
本発明の野菜入り小麦ベース食品は、要約すると、以下の特徴を有する。
(1)エンテロコッカス(Enterococcus)属乳酸菌、ペディオコッカス(Pediococcus)属乳酸菌またはその混合物を含む乳酸菌による野菜発酵物、および小麦ベース穀粉由来の生地を含有すること、ならびに、未発酵野菜を含有する対照と比べて野菜臭が低減された、かつ膨張性、弾力性または保水性が改善されたことを特徴とする野菜入り小麦ベース食品。
(2)上記エンテロコッカス属乳酸菌が、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)およびエンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)からなる群から選択される少なくとも1種の乳酸菌である。
(3)上記ペディオコッカス属乳酸菌が、ペディオコッカス・ペントサセウス(Pediococcus pentosacceus)、ペディオコッカス・ダムノサス(Pediococcus damnosus)、ペディオコッカス・ハロフィルス(Pediococcus halophilus)およびペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)からなる群から選択される少なくとも1種の乳酸菌である。
(4)上記乳酸菌が、好ましくはエンテロコッカス・フェシウムおよびペディオコッカス・ペントサセウスの混合菌である。
(5)上記野菜発酵物が、生地に混入させる時点でpH約3.4〜約5.0の範囲のpHを有する。
(6)上記野菜が、葉菜類、果菜類、根菜類および豆類からなる群から選択される少なくとも1種である。
(7)上記野菜発酵物が、ペーストもしくはピューレの形態、好ましくはピューレの形態である。
(8)上記小麦ベース穀粉が、小麦粉を約50〜100重量%、好ましくは約70〜100重量%、さらに好ましくは約90〜100重量%の量で含む。
(9)上記食品が、各種食品の形態に加工・成形されたのち、加熱処理をしたかもしくは処理しない、あるいは乾燥処理をしたかもしくは処理しない食品である。
(10)上記野菜入り小麦ベース食品が、パン、麺、ギョウザの皮、ピザ、およびケーキスポンジからなる群から選択される。
本発明をさらに下記の実施例を参照しながら具体的に説明するが、本発明の技術的範囲は、これらの実施例によって制限されないものとする。
[参考例1]
<発酵野菜ピューレの製造>
野菜類(ニンジン、ホウレン草、トマト、サトイモ、イチゴまたはカボチャ)を粉砕または蒸煮し、野菜の種類に応じて加水し、または加水しないで、ミキサーによりピューレ化し、野菜ピューレを得た。
乳酸菌(エンテロコッカス・フェシウムおよびペディオコッカス・ペントサセウスの混合菌(商品名「ラクトバイオEP−118」、スノー商事(株)製))にグラニュー糖、イーストエキス、イーストペプトン、及び水を加え、撹拌しながら35℃、約24時間培養した。次いで、この培養液、上記野菜ピューレ、グラニュー糖、及び水を混合し、35℃、約24時間発酵を行った。このとき、培養液は全量の10重量%、グラニュー糖は1重量%であり、野菜ピューレと水の量は野菜ごとに異なる。例えばニンジンの場合、ニンジンピューレ60重量%、水29重量%である。発酵終了後、発酵野菜ピューレを回収し、85℃で30〜60分殺菌した。野菜ピューレのpHは、ニンジンの場合4.2±0.3、トマトの場合4.3±0.3、カボチャの場合4.6±0.3、ホウレン草の場合4.6±0.3、サトイモの場合4.7±0.3、イチゴの場合3.7±0.3であった。
後述の実施例1での対照として使用する未発酵ニンジンピューレ(pH5.61)は、上記のニンジンピューレ60重量%、乳酸菌0重量%、培養液の代替としての水10重量%、グラニュー糖1重量%、および(バランスとしての)水29重量%を混合することによって作製された。
<発酵野菜ピューレの特性>
発酵野菜ピューレおよび未発酵野菜ピューレのそれぞれ10gを異なるバイアル瓶に採取し、EG Silicone Twister(登録商標)またはTwister(登録商標)(いずれもGERSTEL社)を入れた状態で密封し、40℃、24時間香気成分を吸着した。吸着剤から加熱脱着した香気成分を、微量香気成分分析装置(Agilent Technologies社、Gilent 6890GC/5973MSD;栃木県産業技術センター)ガスクロマトグラフィーで分析し、同時に匂い嗅ぎ装置(ODP)で匂いの確認を行った。なお、分析法は、GC−MS ODWAX2(Agilent Technologies社)で行い、210℃で加熱脱着を行った。
その結果、いずれの野菜についても発酵野菜ピューレの方が固有の野菜臭が大きく減少した。
具体的には、発酵野菜ニンジンピューレの場合、ニンジン臭の原因となるテルピノレンが38%減少し、ミリスチシンが63%減少した。また、GABA(γ−アミノ酪酸;抗ストレス作用)が0.671mg/dlまで増加した(未発酵野菜ニンジンピューレの場合0.506mg/dl)。発酵野菜ホウレン草ピューレの場合、薬品臭(フェノール)、燻製・香辛料臭(4−エチルグアイアコール)がほぼ消失した。発酵野菜トマトピューレの場合、ヘキサナール、2−ヘキセナールなどのトマト特有の香気的寄与の高い成分が消失し、フレッシュな香りを提供するリナロール(linalool)が約3倍増加した。発酵野菜カボチャピューレの場合、酢酸臭がほぼ消失し、酒の匂い(エタノール)、果実臭(イソアミルホルメート)、甘い香り(2−(2−メトキシエトキシ)エタノール)が増加した。
[実施例1]
<発酵野菜入りパンの製造>
パンミックス(250g)に水(120g)、参考例1の発酵野菜ピューレ(ニンジン、pH4.08、水分91.7%、100g)、食塩(適量)、砂糖(適量)を添加し、パン生地混合物を作製し、その混合物にドライイースト(パン酵母)(3g)を添加し、Panasonic社製のライスブレッドクッカーSD−RBM1000の容器に仕込み、小麦パンコースの指定手順(ねり→発酵→焼き上げ(全時間;2時間47分〜3時間50分))に従ってパンを作製した。
発酵野菜入りパンの特性(製造0日目(D+0)、1日目(D+1)、2日目(D+2))、すなわち、パンスライサーで2cm幅にスライスした後、包丁で2cm角にカットしたものについて、かたさ、弾力性、凝集性、ガム性、咀嚼性および復元性の程度を測定した。このとき、テクスチャー測定装置TA.XT.Plus(Stable Micro Systems社製)を用い、また75mmφ平板プローブ(アルミニウム製)を使用し、圧縮率70%で行った。またここで、かたさは、物質を変形させるのに要する力である。弾力性は、外力による変形を復元する性質である(2回の圧縮間の復元)。凝集性は、形態を構成する内部的結合に要する力である。ガム性は、半固形食品を嚥下可能まで崩壊するのに要するエネルギーであり、かたさと凝集性に関係がある。咀嚼性は、固形食品を嚥下可能まで咀嚼するのに要するエネルギーであり、かたさと凝集性と弾力性に関係する。復元性は、外力による変形を復元する性質(1回の圧縮における復元)である。
上記の測定結果を図2〜図7に示した。
上記の未発酵野菜ピューレ21.1重量%(ニンジン、pH5.61、水分91.7%)を含有する「対照」と比較して、パンの高さおよび膨らみがよい(図1)、かたさの経日変化が小さい、すなわち柔らかい(図2)、弾力性が大きい(図3)などの特性を有する。また、パンの凝集性、ガム性、咀嚼性および復元性も対照と比較した。その結果、凝集性については、本発明によるパンの方が内部的結合力が幾分強い傾向を示した(図4)。ガム性については、対照の方が崩壊するのにエネルギーを要する傾向があった(図5)。咀嚼性については、対照の方が咀嚼するのにエネルギーを要する傾向があった(図6)。復元性については、本発明によるパンの方が復元性の低下が幾分緩やかであった(図7)。
上記の実験を通して、本発明の方法によって得られた発酵野菜ピューレのpHは、野菜の種類により幾分異なり、3.4〜5.0の範囲がよいことが判明し、必要であれば乳酸等の酸でpHを調整することができる。
[実施例2]
<発酵野菜入りうどんの製造>
強力粉(日清手打ちうどんの小麦粉(日清フーズ))250g、冷水50g、参考例1の発酵野菜ピューレ(ニンジン、pH4.08)50g、および食塩2gを製麺機(フィリップスヌードルメーカーHR2365/01(PHILIPS社))に仕込み、5分捏ねたのち、2.5mm角麺(PHILIPS社の製麺用キャップ使用)のサイズのうどんを作製した。
比較のために、対照として、未発酵野菜ピューレ(ニンジン、pH5.61)50gを発酵野菜ピューレと置換した以外は同様の手法でうどんを作製した。
特性を比較した結果は次のとおりである。
本発明のうどんは、対照うどんと比較して、弾力性があり(麺腰とは少し違う弾力性がある)、保水性があり(時間が経過してもみずみずしさが残る)、のどごしがより良好(みずみずしく、つるつるした食感)であった。このような特性は、時間が経過するにつれて、対照との差異が明確になった。
[実施例3]
<発酵野菜入りギョウザの皮の製造>
強力粉(日清カメリア強力小麦粉(日清フーズ))250g、冷水50g、参考例1の発酵野菜ピューレ(ニンジン、pH4.08)49.4g、および食塩3gを製麺機(フィリップスヌードルメーカーHR2365/01(PHILIPS社))に仕込み、5分捏ねたのち、製麺用キャップ(PHILIPS社)を用いて厚さ0.8mmのシート生地に成形した。
比較のために、対照として、未発酵野菜ピューレ(ニンジン、pH5.61)49.4gを発酵野菜ピューレと置換した以外は同様の手法でギョウザの皮を作製した。
特性を比較した結果は次のとおりである。
本発明の発酵野菜入りギョウザの皮は、対照と比較して、柔らかく、弾力性(特に焼ギョウーザの場合)があり、つるんとしていてみずみずしさ(特に水ギョウザの場合)があり、保水性があって時間が経過しても乾燥しにくい(生地状態の保持)という特徴があった。
本発明により、小麦ベース生地に野菜発酵物を練り込むことによって野菜臭が低減された、かつ膨張性、弾力性または保水性が改善された野菜入り小麦ベース食品を製造することが可能となり、これによって消費者に受け入れられやすい野菜入り小麦ベース食品を提供することができる。

Claims (16)

  1. エンテロコッカス(Enterococcus)属乳酸菌、ペディオコッカス(Pediococcus)属乳酸菌またはその混合物を含む乳酸菌を用いて野菜の粉砕物もしくは磨砕物を発酵させて得られる野菜発酵物を、小麦ベース穀粉を含む生地に混合し、野菜入り小麦ベース食品を製造することを含む、未発酵野菜を含有する対照と比べて野菜臭が低減された、かつ膨張性、弾力性または保水性が改善された野菜入り小麦ベース食品の製造方法。
  2. 前記エンテロコッカス属乳酸菌が、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)およびエンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)からなる群から選択される少なくとも1種の乳酸菌である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ペディオコッカス属乳酸菌が、ペディオコッカス・ペントサセウス(Pediococcus pentosacceus)、ペディオコッカス・ダムノサス(Pediococcus damnosus)、ペディオコッカス・ハロフィルス(Pediococcus halophilus)およびペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)からなる群から選択される少なくとも1種の乳酸菌である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記野菜発酵物が、pH3.4〜5.0の範囲のpHを有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記野菜が、葉菜類、果菜類、根菜類および豆類からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記野菜の粉砕物もしくは磨砕物が、ピューレの形態である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記小麦ベース穀粉が、小麦粉を50〜100重量%の量で含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記野菜入り小麦ベース食品が、パン、麺、ギョウザの皮、ピザ、およびケーキスポンジからなる群から選択される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. エンテロコッカス(Enterococcus)属乳酸菌、ペディオコッカス(Pediococcus)属乳酸菌またはその混合物を含む乳酸菌による野菜発酵物、および小麦ベース穀粉由来の生地を含有すること、ならびに、未発酵野菜を含有する対照と比べて野菜臭が低減された、かつ膨張性、弾力性または保水性が改善されたことを特徴とする野菜入り小麦ベース食品。
  10. 前記エンテロコッカス属乳酸菌が、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)およびエンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)からなる群から選択される少なくとも1種の乳酸菌である、請求項9に記載の野菜入り小麦ベース食品。
  11. 前記ペディオコッカス属乳酸菌が、ペディオコッカス・ペントサセウス(Pediococcus pentosacceus)、ペディオコッカス・ダムノサス(Pediococcus damnosus)、ペディオコッカス・ハロフィルス(Pediococcus halophilus)およびペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)からなる群から選択される少なくとも1種の乳酸菌である、請求項9または10に記載の野菜入り小麦ベース食品。
  12. 前記野菜発酵物が、生地に混入させる時点でpH3.4〜5.0の範囲のpHを有する、請求項9〜11のいずれか1項に記載の野菜入り小麦ベース食品。
  13. 前記野菜が、葉菜類、果菜類、根菜類および豆類からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項9〜12のいずれか1項に記載の野菜入り小麦ベース食品。
  14. 前記野菜発酵物が、ピューレの形態である、請求項9〜13のいずれか1項に記載の野菜入り小麦ベース食品。
  15. 前記小麦ベース穀粉が、小麦粉を50〜100重量%の量で含む、請求項9〜14のいずれか1項に記載の野菜入り小麦ベース食品。
  16. 前記野菜入り小麦ベース食品が、パン、麺、ギョウザの皮、ピザ、およびケーキスポンジからなる群から選択される、請求項9〜15のいずれか1項に記載の野菜入り小麦ベース食品。
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