JP2015204810A - 自然発酵システムを利用した発酵製品の製造方法及びその発酵製品並びに菌叢の拡張・利用方法 - Google Patents

自然発酵システムを利用した発酵製品の製造方法及びその発酵製品並びに菌叢の拡張・利用方法 Download PDF

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Abstract

【課題】自然発酵システムを利用した発酵製品の製造方法及びその発酵製品並びに菌叢の拡張・利用方法を提供する。
【解決手段】施栓可能な容器に原料を入れ、栓で開口部を塞いだ後、これを、容器詰めの状態の準密閉系で、制御された所定の低温度条件下に所定の期間保存する低温保存工程を含む保存工程で、原料に付着している自生微生物と原料由来糖分を利用して自然発酵させる自然発酵システムを利用して特定の菌叢を形成させ、これに夾雑物の除去処理を施して、非加熱で雑菌が不検出(1万個以下/g)の、該菌叢を含む発酵製品を製造する方法、及びその発酵製品、並びに菌叢の拡張・利用方法。
【効果】食品生産用基材(ベース素材;生もと)として有用な発酵製品を製造し、提供することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、自然発酵システムを利用した発酵製品の製造方法及びその発酵製品並びに菌叢の拡張・利用方法に関するものであり、更に詳しくは、本発明は、「自然発酵」システムを利用して形成させた特定の菌叢を拡張・利用して、各種食品の生産に適用できる当該食品生産用基材(ベース素材)としての該菌叢を含む発酵製品を製造する方法及びその発酵製品並びに菌叢の拡張・利用方法に関するものである。
酒造りの技法の中で最も伝統的な造り方として、「生もと造り」が知られている。この技法では、「酒母」を培養する際、雑菌や野生酵母が繁殖するのを防ぐため、乳酸を添加するのではなく、元々酒蔵や空気中に生育している自生の乳酸菌を取り込んで、それが生成する乳酸で雑菌や野生酵母を死滅、失活させることを特徴としている。
江戸時代に確立した「生もと造り」は、重労働を伴うため、明治以降になって、「山廃もと」、更に、「速醸もと」へ、簡略化、合理化される傾向が進められた。このような状況の中で、「生もと造り」では、予め培養された乳酸菌を添加せず、雑多な菌が生息する環境から、低温環境下において、植物性乳酸菌が生育し、それが生成する乳酸で雑菌が淘汰する特徴があり、それが「発酵の原点」と称されるが、ここでいう発酵は、酵母のアルコール発酵を利用した酒造りを目的としている。そして、近年でも、たとえば、生もと造りによる清酒の製造と類似した手法を採用しながらも、アルコールを含有しない米の発酵食品の製造方法が提案されている(特許文献1)。
一方、酒造りを目的とせず、酵母を添加することなく、空気中に生育している自生の乳酸菌を取り込んで、それが生成する乳酸で雑菌や野生酵母を死滅、失活させる技法の代表例として、漬物の発酵、キムチの発酵などの事例があげられる。これらの技法では、その発酵過程において、植物性乳酸菌と酵母が共生する菌叢が形成させると考えられるが、自然発酵でありながら、非加熱の状態では、上述の菌叢の形成が観察されると同時に、雑菌も不可避的に検出され、加熱処理を施さない条件下で雑菌が不検出の結果を得ることは困難とされている(非特許文献1〜6)。
従来、自然発酵とは、「木樽や空気中の微生物をそのまま使用すること。不要な野生酵母や微生物が混入する場合が多いことから、狙いどおりに発酵させることが難しいという側面をもつ。」(「お酒の用語辞典」より抜粋)。すなわち、従来、酒蔵や研究室など、単株を無菌状態にて培養する条件以外に、人にとって有用な菌のみが繁殖し得る安全性と、その発酵が安定し再現できる条件を示すことは極めて困難であった。
更に、従来法は、果物に生息する出芽酵母を発酵させる「自家製天然酵母」による発酵法が一般的であるが、当該発酵法では、好気的環境において、砂糖などの糖分を添加し、低温保存期間を設けず発酵させるため、特に、室温が20℃以上になる環境においては、好気性バクテリアが繁殖しやすいという問題があった。また、糖分を含んだ培地に酵母が増え、一方、果実・野菜を培地にすることで得られると考えられる旨味などを産生する酵母が増えにくく、食品としての安全性と味の多様性に欠ける場合があるという問題があった。
特開2011−234651号公報
農家が教える発酵食の知恵、農文協編、漬け物、なれずし、どぶろく、ワイン、酢、甘酒、ヨーグルト、チーズ、2010年2月20日、第一刷発行 乳酸菌 健康をまもる発酵食品の秘密、小崎道雄、株式会社八坂書房 酒と酵母のはなし、大内弘造、技報堂出版 乳酸菌革命、金鋒、株式会社評言社 自家製酵母でパンを焼く−四季おりおり、相田百合子、農文協 福井県産の梅果実「紅サシ」に関する研究−梅果汁の乳酸発酵と有機酸組成の変化、百木華奈子、高橋みなみ、小林恭一他
このような状況の中で、本発明者らは、上述の従来技術に鑑みて、酒造りを目的とせず、かつ酵母を添加することなく、自然発酵でありながら「非加熱で雑菌が不検出」の発酵製品を製造することを目標として鋭意研究を重ねた結果、「生もと造り」の特徴である、予め培養された乳酸菌を添加せず、雑多な菌が生息する自然環境から、低温環境下において自生の乳酸菌を生育させ、それが生成する乳酸で雑菌を淘汰することにより所期の目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、果実・野菜・穀物に生息する自生の低温性(低温で生息できる)乳酸菌と出芽酵母を使用し、低温期間を設けることで他バクテリアの繁殖を抑えること、更に、常温におく日数によって発酵状態のプロセスを区切り、菌叢の特性によって、砂糖ほか、添加物を使用しない無添加の発酵製品を作り、「自然発酵」により、乳酸菌と酵母の共生による安全性、再現性を実現すること、これにより、酒造りを目的とせず、酵母を添加することなく、植物性乳酸菌(球菌)と酵母が共生する特定の菌叢を形成すること、自然発酵でありながら「非加熱で雑菌が不検出」の各種食品の生産に適用できる当該食品生産用基材(ベース素材;これを「生もと」と呼称する)としての該菌叢を含む発酵製品を得ること、並びに該菌叢を拡張し、利用する方法を確立すること、を課題とするものである。
本発明は、「自然発酵」を利用して、果実・野菜に生息している自生の低温発酵性乳酸菌と出芽酵母を、その果実又は野菜(非加熱)又は穀物を培地として低温で発酵させる方法、特に、糖分を一切加えず、果実又は野菜又は穀物そのものの糖分を利用して発酵させる発酵方法及び各種食品の生産に適用できる当該食品生産用基材(ベース素材)としての該菌叢を含む発酵製品並びに菌叢の拡張・利用方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)施栓可能な容器に原料を入れ、施栓後、これを、容器詰めの状態の準密閉系で、制御された所定の低温度条件下に所定の期間保存する低温保存工程を含む保存工程で、原料に付着している自生の微生物と原料由来糖分を利用して自然発酵させる自然発酵システムを利用して膜状の表面形態を呈する特定の菌叢を形成させ、これに夾雑物の除去処理を施して、非加熱で雑菌が不検出(1万個以下/g)の、該菌叢を含む各種食品の生産に適用できる当該食品生産用基材(ベース素材)としての発酵製品を製造する方法であって、
1)施栓容器に果実及び/又は野菜を入れ、施栓後、2℃〜6℃の低温下で保存し、これを15℃〜30℃の常温下で保存してバクテリアと乳酸菌の生息がみられる菌叢Aを形成する工程A、
菌叢Aを、更に15℃〜30℃の常温下に保存して、菌叢Aに比べて、バクテリアが存在せず、乳酸菌が増えて、酵母の生息がみられる菌叢Bを形成する工程B、
菌叢Bを、更に15℃〜30℃の常温下に保存して、菌叢Bに比べて、乳酸菌と、酵母がより増えている菌叢Cを形成する工程C、あるいは、
2)施栓可能な容器に乳酸菌を含む水、蒸した穀物と麹を入れ、施栓後、2℃〜6℃の低温下で保存して、乳酸菌と酵母の生息がみられる菌叢Dを形成する工程D、
からなる容器詰めの状態の準密閉系での自然発酵システムにおいて、上記工程BからDのいずれかの工程で得られる菌叢を利用して、該菌叢を含む上記発酵製品を製造することを特徴とする発酵製品の製造方法。
(2)上記菌叢Aを、更に15℃〜30℃の常温下に保存して、菌叢Aに比べて、バクテリアが存在せず、乳酸菌が増えて、酵母の生息がみられる菌叢Bを形成する工程で得られる菌叢Bを利用して、該菌叢を含む発酵製品を製造する、前記(1)に記載の発酵製品の製造方法。
(3)上記菌叢Bを、更に15℃〜30℃の常温下に保存して、菌叢Bに比べて、乳酸菌と、酵母がより増えている菌叢Cを形成する工程で得られる菌叢Cを利用して、該菌叢を含む発酵製品を製造する、前記(1)に記載の発酵製品の製造方法。
(4)施栓可能な容器に乳酸菌を含む水、蒸し又は炊いた穀物と麹、水を入れ、施栓後、2℃〜4℃の低温下で保存して、乳酸菌と酵母が生息する菌叢Dを形成する工程で菌叢Dを作製して、そのまま、あるいは、該菌叢を凍結・乾燥又は乾燥処理して得られた乾燥物を包装して、該菌叢を含む発酵製品を製造する、前記(1)に記載の発酵製品の製造方法。
(5)前記(1)から(4)のいずれかに記載の方法で得られる発酵製品から構成される各種食品の生産に適用できる当該食品生産用基材(ベース素材;生もと)であって、菌叢BからDのいずれかの乳酸菌と酵母の共生する菌叢を含み、pH4.0〜4.3(ガラス電極法による)で、雑菌が不検出(1万個以下/g)であることを特徴とする上記発酵製品。
(6)前記(5)に記載の発酵製品に含まれる菌叢を拡張し、拡大(スケールアップ)して利用する方法であって、該発酵製品を室温(10〜30℃)におくステップ1、原料を合わせ室温環境2〜10℃で、30分〜36時間おいて、菌叢を形成する乳酸菌と酵母が共生する状態(ネットワーク)を拡張し、拡大(スケールアップ)するステップ2、次いで、菌叢が拡張し、拡大した状態をそのまま、又は更に焼成又は調味を施して二次加工した発酵製品とするステップ3、からなることを特徴とする上記菌叢の拡張・利用方法。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、自然発酵システムによって形成される菌叢を構成する乳酸菌と酵母によって、自然発酵でありながら、「加熱殺菌処理を施さない条件下の非加熱で雑菌が不検出(1万個以下/g)」の結果を得ることができる特定の菌叢の製造工程と、該菌叢を含む各種食品の生産に適用できる当該食品生産用の発酵製品の製造方法、及びその発酵製品、並びに菌叢の拡張・利用方法、を提供するものである。ここで、本発明でいう発酵製品とは、各種食品の生産に適用できる当該食品生産用基材(ベース素材)としての上記菌叢を含む発酵製品を意味する。
本発明による自然発酵システムによって形成される菌叢と該菌叢を構成する乳酸菌と酵母の質は、原料に付着している自生の微生物(乳酸菌と酵母)と原料由来糖分を利用して、制御された所定の低温条件下に所定の期間保存する低温保存工程を含む保存工程で形成された特定の菌叢と該菌叢を構成する特定の乳酸菌と酵母であることで特徴付けられる。
本発明において、乳酸菌とは、植物性乳酸菌であって、連鎖状の球菌のことである。乳酸菌が他の微生物、特に、病原菌や腐敗菌の生育を、乳酸菌が生成する抗菌性物質によって阻止する作用(バイオプリサバティブ)はよく知られているが、上記菌叢に含まれる乳酸菌は、有害細菌に制菌効果を発揮する乳酸菌であるラクトコッカス属、ロイコノストック属などに属する球菌であり、球状の形状を呈する形態上の特徴がある。
また、米などの穀物を原料とする自然発酵については、米などの糖化に使用する米麹、玄米麹などは、他原料による自然発酵液に比べると、タンパク質を分解する能力が高い、ラクトコッカス属などの乳酸菌を多く含む。
酵母は、サッカロミセス属などの多極出芽酵母であり、上記菌叢では、酵母に比べて乳酸菌(連鎖球菌)が優勢な状態にあるが、酵母の至適生育下(20〜25℃の好気的条件)に置かれると、2〜3日後に10の8乗(億単位)の増殖をする。これは、たとえば、製パンにおいては、製パン用イーストを補糖する条件で該製パン用イーストが増殖する期間と同等の発酵力といえるものであり、また、自家製酵母の増殖に必要とされる粉や糖類も必要ない。
上記菌叢を含む自然発酵液については、加熱殺菌処理を施さずとも大腸菌や大腸菌群などの雑菌は、雑菌が不検出であり、大腸菌:陰性/g、大腸菌群:陰性/g、pH4.0前後として表わされる。ここで、pH4.0前後とは、食中毒菌などの有害な細菌が生育できない弱酸性を意味する。
本発明は、施栓可能な容器に原料を入れ、糖分を加え又は加えることなく、施栓後、これを、容器詰めの状態の準密閉系で、制御された所定の低温度条件下に所定の期間保存する低温保存工程を含む保存工程で、原料に付着している自生の微生物と原料由来糖分を利用して自然発酵させる自然発酵システムを利用して形成させた所定の菌叢を利用して、非加熱で雑菌が不検出(1万個以下/g)の、該菌叢を含む各種食品の生産に適用できる当該食品生産用基材(ベース素材)としての該菌叢を含む発酵製品を製造することを特徴とするものである。
本発明では、上記工程おいて、1)施栓可能な容器に果実又は野菜を入れ、施栓後、2℃〜6℃の低温下で保存し、これを15℃〜30℃の常温下で保存してバクテリアと乳酸菌の生息がみられる菌叢Aを形成する工程A、菌叢Aを、更に15℃〜30℃の常温下に保存して、菌叢Aに比べて、バクテリアが存在せず、乳酸菌が増えて、酵母の生息がみられる菌叢Bを形成する工程B、菌叢Bを、更に15℃〜30℃の常温下に保存して、菌叢Bに比べて、乳酸菌と、酵母がより増えている菌叢Cを形成する工程C、が構成要素として採用される。
更に、本発明では、上記工程において、2)施栓可能な容器に乳酸菌を含む水、蒸した穀物と麹を入れ、施栓後、2℃〜6℃の低温下で保存して、乳酸菌と酵母の生息が見られる菌叢Dを形成する工程D、が構成要素として採用される。
本発明は、上記工程からなる容器詰めの状態の準密閉系での自然発酵システムにおいて、特に、上記工程BからDのいずれかの工程で得られる菌叢を拡張し、拡大(スケールアップ)して、該菌叢を含む各種食品の生産に適用できる当該食品生産用基材(ベース素材)としての発酵製品を製造することを特徴とするものである。
本発明は、施栓可能な容器に原料を入れ、施栓後、これを、容器詰めの状態の準密閉系で、制御された所定の低温度条件下に所定の期間保存すること、原料に付着している自生の微生物と原料由来糖分を利用して自然発酵させる自然発酵システムを利用して、特定の菌叢を形成させ、該菌叢を含む各種食品の生産に適用できる当該食品生産用基材(ベース素材)としての発酵製品を製造すること、を特徴としている。
本発明では、原料に付着している自生の微生物と原料由来糖分を利用して自然発酵させる自然発酵システムを利用して、特定の菌叢を形成することにより、菌叢Aに比べて、バクテリアが存在せず、乳酸菌が増えて、酵母の生息がみられる菌叢Bを形成し、更に、菌叢Bに比べて、乳酸菌と、酵母がより増えている菌叢Cを形成する。
本発明は、乳酸菌と酵母の共生により、非加熱で雑菌が製品1グラム中1万個以下の低レベルに安定して抑えられていて、非加熱で雑菌が不検出(1万個以下/g)という安全性を、自生の微生物と原料由来糖分を利用して自然発酵システムにより実現したこと、得られる発酵製品は、糖分や乳化剤などの食品添加物を添加しない無添加の自然発酵製品であり、該発酵製品において、膜状の物質が形成され、安定性を保つ作用や、たとえば、アレルギー反応を抑える作用などあること、などの特徴を有している。
本発明では、上述の膜状の物質が形成されて膜状の表面形態を呈するが、これは、細胞外多糖(EPS)による「つや膜」が形成されて「つや膜ネットワーク」が生成されることを意味する。ここで、細胞外多糖(EPS)とは、多くの微生物に共通して見られる細胞外構成物であり、微生物とそれ自身を取り巻く環境との間の相互作用や安定性にかかわる重要な因子の一つと考えられ、例えば、バイオフィルムの組織構造を維持する上でも重要な役割を果たしているものと想定される。
本発明でいう、「つや膜ネットワーク」は、野生の「乳酸菌と酵母」の共生関係を保つ細胞外多糖(EPS)によるものである。すなわち、本発明においては、生きている「乳酸菌と酵母」の菌体と、該菌体の産生物質である酵素、アミノ酸、ミネラル、ビタミンなどを内包し、微生物間の相互作用にかかわる成熟したつや膜ネットワークが発酵製品の表面及び内部に形成されて、該つや膜ネットワークが発酵製品の表面及び内部を組成的及びマトリックス的に安定に保持する機能を果たしている。本発明において、発酵製品の表面及び内部に形成される上述の膜状の物質を「つや膜」ないし「つや膜ネットワーク」としたのは、膜状の表面形態が外観的かつ目視的に「つや」(艶)を呈していることから、そのように定義したものである。
一般的に、微生物による細胞外多糖(EPS)の環境に対する機能として以下の役割が提示されている。
[病原性細菌]
1)病原性を決定する因子
2)細胞の付着に関する物質
3)宿主免疫系に対する抵抗性の上昇
4)乾燥に対する耐性能の増加
5)重金属の毒性からの細胞の保護
6)有機溶媒の毒性からの細胞の保護
7)ファージの溶菌作用からの細胞の保護
8)原生動物の食作用からの細胞の保護
[病原性細菌以外の微生物]
病原性細菌以外の微生物の研究では、粘性の高い細胞外多糖(EPS)の保水効果による乾燥に関する耐性能や細胞自身の水分活性を保持する機能など、細胞の水分保持に関する機能や、細胞外多糖(EPS)で細胞を覆い隠すことによるさまざまな刺激に対する防御、保護の機能などの報告例がある。
本発明では、自生の「乳酸菌と酵母」のうち、乳酸菌の特性は、連鎖球菌であるロイコノストック属によるものである。ロイコノストック属は、細胞外多糖(EPS)としてデキストラン産生能を有している。本発明で形成される「つや膜ネットワーク」により内包される成分として、酵素(アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼなど)、デキストリン(粘性多糖類)、必須アミノ酸ないしアミノ酸(グルタミン酸、アスパラギン酸、アルギニン、リジン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、アラニン、グリシン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、シスチン)、各種ミネラル、ビタミンB群などが検出される。
本発明では、容器詰めの状態の準密閉系による嫌気性の低温環境において自然発酵させるが、当該自然発酵システムにおける発酵の「始点」と「終点」について詳しく説明する。果実・野菜の自然発酵においては、低温自然発酵期間10日未満では、乳酸球菌が優勢ながら、細菌の繁殖も見られ(レベル1の状態)、低温期間10日〜14日、更に、常温(20〜25℃)環境において2〜3日経過すると、乳酸球菌と酵母が共生状態を作る菌叢が形成される状態(レベル2の状態)になる。また、穀物の米の自然発酵においては、たとえば、蒸し米と自然栽培麹、乳酸菌を含む水を準密閉系による嫌気性の低温環境において自然発酵させるが、低温自然発酵期間30日未満では、乳酸球菌が優勢ながら他の細菌の繁殖も見られ(レベル1の状態)、低温期間が30日〜40日経過すると、乳酸球菌と酵母の共生状態を作る菌叢が形成される状態(レベル2の状態)になる。
本発明では、果実・野菜、及び穀物の米の自然発酵は、「レベル2」と呼ばれる状態のスタート地点、すなわち、野生の「乳酸菌と酵母」の共生状態が強固になることで、「非加熱で雑菌が不検出」の結果が得られる段階を発酵の「始点」とする。
次に、果実・野菜、及び穀物の米の自然発酵において、低温期間後、常温(20〜25℃)期間が5日を超えると、乳酸球菌は生息しているものの、酵母が優勢の状態に移り(レベル3の状態)、更に、常温期間10日を過ぎると、酵母の他に乳酸桿菌や酢酸菌、他の細菌も繁殖する状態になる(レベル4の状態)。本発明では、野生の菌の共生状態により「非加熱で雑菌が不検出」の状態を保持することを目的としているため、「乳酸菌と酵母」が共生状態を形成していても、乳酸球菌から、酵母が優勢の状態へ移ることで、「雑菌が不検出」の品質は損なわれ易くなるといえる。
したがって、発酵の「終点」は、この「レベル3」〜「レベル4」の状態となる酵母が優勢の状態に移る以前となる。すなわち、本発明に係る自然発酵の始点〜終点は、最適ないし好適には、自生の「乳酸菌と酵母」が共生し、かつ、乳酸球菌が優勢の状態を保つ「レベル2」の、「非加熱で雑菌が不検出」の期間である。本発明に係る発酵製品は、1)準密閉系での自然発酵システムを利用していること、2)非加熱で雑菌が不検出(1万個以下/g)であること、かつ、3)表面に「つや膜」が形成されていること、という要件を満たしている点で、本発明の範囲を特定することができ、この点で、従来製品との本質的な区別性を識別することができる。
本発明による「つや膜ネットワーク」の形成により、乳酸球菌(連鎖球菌)が生き残り、生育することで、1)抗酸化・還元作用による酸化防止と水分の流出を防ぐ効果、2)保水・保湿作用による保水・保湿効果、3)酵素分解作用によるタンパク質・デンプン・脂肪の分解・消化効果、4)浸透作用による調味料などの有効成分の浸透効果、5)これらの総合作用による免疫力向上効果、などの効果が得られ、これらの作用効果を各種食品の生産に適用することで、食品の酸化を防ぎ、食品からの水分の流出を防ぎ、食品の保水・保湿力を高め、食品への調味料/油脂の浸透性、均一分散性及び乳化性などを高めることが可能となる。
本発明において、乳酸菌と酵母の共生状態をつくる第1の手段は、容器詰めの状態の準密閉系、である。乳酸菌と酵母は、嫌気性菌又は好気性菌がほとんどの中で、共通して通性嫌気性、すなわち、酸素があっても生きられる性質をもち、この条件を設定するために最適ないし好適な手段が、「容器詰め」の状態の「準密閉系」である。
ここで、「密閉系」とは、レトルト食品などにみられるように、加熱殺菌が施されている完全密封状態をいう。これに対して、本発明でいう「準密閉系」とは、容器や素材を殺菌せず、また、低温下の保存では蓋を締めて施栓するものの、特に、常温下での保存では、一日一回程度、蓋を開けて容器を開放状態にする、いわゆる「容器詰め」の状態であることを意味する。そのため、本発明でいう準密閉系とは、密閉系ないし開放系とは本質的に区別され、該密閉系ないし開放系には属さない状態をいう。
漬け物などを例にとると、流通する漬け物製品においては、通常、容器と素材を殺菌し、無菌状態にしてから、種菌を入れて発酵させ、保存料を入れ、味が不足するため、調味料などを添加することが行われる。これに対して、本発明でいう容器詰めの状態の準密閉系では、素材に付着する自生の有用菌を共生させ、その中から、該有用菌の乳酸菌と酵母が共生している共生状態で、乳酸菌や旨味を出す酵母など、さまざまな機能を持ちうる菌を自然培養する自然発酵システムが利用される。
本発明における乳酸菌と酵母の共生状態を作る第2の手段は、低温条件下での保持・保存である。本発明では、低温条件下に保持・保存することで、高温〜中温性菌の淘汰に加え、低温性乳酸菌が産生する乳酸によるバクテリア生育の抑制能力を利用する。乳酸によるバクテリア生育の抑制は、酵母とカビには通用しないが、カビについては低温保持・保存によるカビ生育の抑制がきくので、乳酸菌と酵母の共生状態が作り易くなる。
本発明は、「乳酸菌と酵母が共生状態にある菌叢の変化と、その菌叢を含む発酵生産物を作る」ことを目的とし、そのために、「原料由来の自生の菌と糖分を利用した容器詰めの状態の準密閉系で、所定の低温条件下で保存し、あるものは常温保存する」手段をとり、これによって、「自然発酵で不可能とされた、雑菌が関与しない安全性と、菌叢の再現性を通じた安定性」を実現する、自然発酵のシステムを利用して形成させた特定の菌叢を拡張・利用して、該菌叢を含む各種食品の生産に適用できる当該食品生産用基材(ベース素材)としての新規発酵製品及びその新規製造技術を提供するものである。本発明の発酵製品は、発酵液の形態に限らず、それを乾燥(凍結・乾燥など)した形態で製品化することができ、その製品形態は制限されない。
<条件1−原料>
ここで、本発明において、原料となる果実又は野菜の条件について説明する。原料となる果実又は野菜は、ショ糖、ブドウ糖、果糖などの糖分を含み、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸などの有機酸を含んでいる。原料となる果実又は野菜は、乳酸菌や酵母が好む品種であり、かつ、熟し過ぎておらず、糖分や有機酸が消費尽くされていないもの、が望ましい。原料となる果実又は野菜は、従来の慣行栽培作物に比較して、農薬の使用がない、又はその使用量が少ないもの、(化学)肥料の使用がない、又は完熟した有機肥料を適宜使用したもの、が望ましい。原料となる果実又は野菜の貯蔵温度は、年間を通して一定であることが望ましい。
<条件2−温度>
上記条件による原料を、具体的には施栓可能な容器内に、果実又は野菜を70容量%〜90容量%入れて、施栓し、2℃〜6℃、好ましくは2℃〜4℃で、7日間〜20日間、好ましくは10日間〜14日間、少なくとも2日に1回果汁をまんべんなく行き渡るように、かつ、果実又は野菜が崩れない程度に上記容器を軽く振って撹拌を繰り返し、カビの繁殖を防ぐ。
上記条件で保存することによって、嫌気・低温好環境で生息しにくいバクテリアの繁殖を抑制する。更に、低温環境に強い乳酸菌の増殖を促し、乳酸菌が産生する乳酸によって、低温環境に強いバクテリアの繁殖を抑える。上記条件で、7日間〜20日間、好ましくは10日間から14日間、保存した後、15℃〜30℃、好ましくは20℃〜28℃で、2日間〜20日間、保存する。
15℃〜30℃、好ましくは20℃〜28℃で、2日間〜20日間、保存する際、1日1回は、ビンなどの施栓可能な容器の蓋を開けて発酵状態を観察する。この時、15℃〜30℃を好む好気性バクテリアは、前出の乳酸菌が産生する乳酸の働きによって抑制される傾向にあるが、出芽酵母の働きは抑制されず、炭酸ガス、アルコール、アミノ酸、ミネラルほか、酵母による各種成分の産生がみられる状態になる。
次に、日数による発酵の進行を説明する。
<条件3−日数>
A(菌叢Aレベルに相当)
施栓可能な容器内に、果実又は野菜を(切る、すりおろすなど、素材によって適正な処置をした後)入れ、施栓後、2℃〜6℃、好ましくは2℃〜4℃で、7日間〜20日間、好ましくは10日間〜14日間、保存し、15℃〜30℃、好ましくは20℃〜28℃で、2〜3日間、保存する。上記条件により、菌叢Aは、主に、バクテリアと低温性乳酸菌の生息がみられる状態になる。
B(菌叢Bレベルに相当)
施栓可能な容器内に、果実又は野菜を(切る、すりおろすなど、素材によって適正な処置をした後)入れ、施栓後、2℃〜6℃、好ましくは2℃〜4℃で、7日間〜20日間、好ましくは10日間〜14日間、保存し、15℃〜30℃、好ましくは20℃〜28℃で、3〜4日間、保存する。上記条件により、菌叢Bは、同Aに比べて、他バクテリアが存在せず、低温性乳酸菌数が増えていて、出芽酵母の生息がみられる状態になる。
C(菌叢Cレベルに相当)
施栓可能な容器内に、果実又は野菜を(切る、すりおろすなど、素材によって適正な処置をした後)入れ、施栓後、2℃〜6℃、好ましくは2℃〜4℃で、7日間〜20日間、好ましくは10日間〜14日間保存し、15℃〜30℃、好ましくは20℃〜28℃で、4〜5日間、保存する。上記条件により、菌叢Cは、同Bに比べると、低温性乳酸菌に加え、出芽酵母の数がやや増えている状態になる。
<効果>
施栓可能な容器内に、果実又は野菜を(切る、すりおろすなど、素材によって適正な処置をした後)入れ、施栓後、2℃〜6℃、好ましくは2℃〜4℃で、7日間〜20日間、好ましくは10日間〜14日間、保存し、15℃〜30℃、好ましくは20℃〜28℃で、2日間〜20日間、保存する。
果実・果物を培地として生育する低温性乳酸菌が産生する乳酸の働きにより、従来の「自家製天然酵母」による発酵に比べて、低温でゆっくりと酵母が糖分を分解し、アミノ酸ほか有機酸、ミネラル、炭酸ガス、アルコールなどを産生する自然発酵の状態となる。従来、困難とされてきた、雑菌の影響を受けない「自然発酵」を実現することができる。
この自然発酵による発酵法は、発酵日数による、乳酸菌と出芽酵母を主とする菌叢の変化によって形成される特定の菌叢から構成される、たとえば、飲料、調味料、パン種などの各種食品の新しい生産に適用できる該食品生産用基材(ベース素材)としての、非加熱で雑菌が不検出(1万個以下/g)の発酵製品の製造を実現可能とする。この発酵製品は、従来、パンを含め、各種の食品に使用されている、砂糖や乳化剤など添加物を使用せず、人(腸)に負担をかけず、必要とする栄養、味、又はテクスチャーなどを含む無添加の発酵製品から構成される各種食品生産用基材(ベース素材)として有用である。
次に、無添加の発酵製品の適用例について、具体的に説明する。ここでは、菌叢を、「COBO」又は「COBO液」と略記することがある。
A(菌叢Aレベルに該当)
・ドリンク(COBO液を濾して飲むドリンク製品)
本発明の発酵製品(COBO液)を利用することで、乳酸菌によるバクテリア抑制効果により、食品の安全性と、培地にする野菜のアク成分が消え、すっきりと飲みやすいドリンク製品となる。
・甘味料(COBO液を濾して使用する甘味料製品)
本発明の発酵製品(COBO液)を利用することで、菓子、パンなど、製造時、「自然発酵」によって産生される果実・野菜由来の多糖類を使用し、砂糖や人工甘味料を添加しない甘味料製品となる。
B(菌叢Bレベルに該当)
・フレッシュ(非加熱)スープ製品
本発明の発酵製品(COBO液)を利用することで、COBO中に含まれる植物性乳酸菌による整腸作用が期待でき、具材に使用する野菜などのアク成分が消えた、COBO中に含まれる野生酵母が産生する天然のアミノ酸(旨味)が得られ、野生酵母が産生する炭酸ガスにより喉越しがよいスープ製品となる。
・豆乳ヨーグルト製品
本発明の発酵製品(COBO液)を利用することで、豆乳を植物性乳酸菌が産生する乳酸によって凝固させ、豆乳の豆臭さを消した豆乳ヨーグルト製品となる。
・マヨネーズ製品
本発明の発酵製品(COBO液)を利用することで、豆腐を植物性乳酸菌が産生する乳酸によって凝固させ、豆腐の豆臭さを消したマヨネーズ製品となる。
・ベーグル製品
本発明の発酵製品(COBO液)を利用することで、植物性乳酸菌が産生する多糖類によって、砂糖など添加せず、生地を作ることができるベーグル製品となる。
C(菌叢Cレベルに該当)
・パン製品
本発明の発酵製品(COBO液)を利用することで、COBO中に含まれる野生酵母の働きによって産生する炭酸ガスを利用して、工業用イーストや市販の天然酵母、糖分を添加せず、ふっくらとしたパンとなる。また、COBO中に含まれる乳酸菌の働きによって、生地のきめが細かくなり、しっとりやわらかな質感が得られ、消化にかかる負担を軽減するパン製品となる。完全無添加のパンは、10℃以下で、約1カ月の保存性をもつ。
・スコーン、ピザ
本発明の発酵製品(COBO液)を利用することで、COBO中に含まれる野生酵母の働きによって産生する炭酸ガスを利用して、工業用イーストや市販の天然酵母、糖分を添加せず、生地のふくらみを有する製品(スコーン、ピザ)が得られる。また、COBO中に含まれる乳酸菌の働きによって、生地のきめが細かくなり、しっとりやわらかな質感が得られ、消化にかかる負担を軽減し、COBO中に含まれるつや膜による乳化作用により、植物性油脂(紅花油、菜種油、オリーブオイルなど)を含む生地の消化にかかる負担を軽減する製品となる。
次に、本発明の他の実施態様について説明する。
<条件>
本発明は、他の実施態様として、原料に穀物、麹、水を使用し、穀物を「自然発酵」するものであり、穀物デンプンを麹菌の糖化作用を利用して糖化し、低温性乳酸菌と出芽酵母を、その穀物(加熱)を培地として発酵させる方法、特に糖分を一切加えず、長期低温発酵させる発酵方法と該発酵方法による発酵製品を提供するものである。
従来、穀物としての米を麹の働きを利用し発酵させる「甘酒」は、粥状のモチ米と麹を50℃〜60℃(60℃を越えると米を糖化する酵素が働かない)の温度設定により、5時間〜10時間で発酵させる。特に53℃〜58℃は、麹菌の働きを活性する温度帯であるが、穀物デンプンの糖化が急速に進むことで、放置するとバクテリアが繁殖しやすくなり、味に「雑」を生み出しやすい。また、5時間〜10時間の発酵では、糖度が高い状態になりやすい。
本発明においては、蒸した穀物と麹と乳酸菌を含む水を合わせたものを、密閉容器に入れ、2℃〜4℃で、20日間以上保存することにより、低温性乳酸菌の働きを促し、麹菌と酵母の働きを適度に抑えることで、「甘酒」に比べて、ゆっくりと糖分を分解し、乳酸菌による雑菌抑制効果を高め、酵母によるアミノ酸、ミネラル、ビタミンほか、成分を産生するため、「甘酒」より爽やかな酸味と甘みが特徴となる。
従来、穀物としての米を麹の働きを得て発酵させる「日本酒」は、乳酸菌の働きを利用した「生もと造り」においても、最終的に清酒酵母を増殖させ、アルコール発酵させるものである。また、「寒仕込み」の一定期間に仕込みが行なわれる。これに対して、本発明においては、一般的な酒造りに比べて、たとえば、小容量(900ml〜1.7l)で仕込み、2〜4℃を保つ冷蔵庫を利用することで、年間を通して仕込みを行うことができ、低温性乳酸菌と酵母の共生状態を長く保つことで、20日超の間に変化する菌叢と、乳酸菌と酵母が産生する成分変化に機能性が見られ、飲料、調味料、パン種など、さまざまな食品の生産に適用できる当該食品生産用基材(ベース素材)としての発酵製品を作ることができる。
<条件1−原料>
ここで、本発明の原料となる穀物(玄米、精米など)の条件を説明する。原料となる穀物は、玄米の場合、タンパク質とデンプンを主成分とし、精米の場合、デンプンを主成分とする。原料となる穀物は、従来の慣行栽培作物に比較して、農薬の使用がない、又は使用量が少ないもの、(化学)肥料の使用がない、又は完熟した有機肥料を適宜使用したものが望ましい。原料となる穀物の品種は、コシヒカリなど、モチ米の系統より、ササニシキなど、ウルチ米の系統が望ましい。原料となる穀物の貯蔵条件は、貯蔵温度が年間を通して一定であることが望ましい。
本発明の原料となる麹の条件を説明する。
1)穀物を「自然発酵」するためには、果実・野菜よりも長期間の発酵が必要となる。雑菌を淘汰するため、乳酸菌の前段階として、硝酸還元菌により亜硝酸を生成させる。蒸留水には、硝酸還元菌の養分となる硝酸塩は少ないため、たとえば、炊いた米を団子状にして布に包み、ボウルなどの容器に入れた水の中で揉み解し、硝酸還元菌が繁殖しやすい条件を作る。更に、このボウルなどの容器の底部分に、「自然発酵」の原料となる穀物を入れ、水に浸しておく。
2)上記条件にある、穀物と炊いた米のデンプンが溶け出た水が入ったボウルなどの容器を、10℃の温度で、2日間保存すると、硝酸還元菌が繁殖し、亜硝酸を生成し、亜硝酸の濃度が高まるにつれ、乳酸菌(はじめに乳酸球菌、次に、乳酸桿菌)が湧く。乳酸菌が繁殖すると、硝酸還元菌は淘汰され、亜硝酸もなくなる。乳酸が増え、更に、雑菌は抑制される。2日保存した後、ボウルなどの容器に入った水と、浸してあった穀物を分けておく。
3)「自然発酵」の原料となる穀物を、約20分〜40分蒸し、25℃以下に冷ます。穀物は、穀物全体に水分を浸透させるために、「蒸す」ことが望ましい。
4)スクリュー型の蓋付き900mlの容器に、上記2)にある乳酸菌が繁殖した水と混ぜた麹を入れる。次に、3)の蒸して冷ました穀物と、麹を、倍量の穀物と麹を4段に順に層になる様に重ね入れ、水を注ぎ入れ80%容量にする。
<条件2−温度>
5)上記4)の乳酸菌が繁殖した水と麹、蒸した穀物、麹、水を90%容量入れた900mlの密閉容器を、2℃〜4℃で、20日超えの間、保存する。
1)〜4)により、亜硝酸、乳酸、穀物の糖分という、雑菌を淘汰し、出芽酵母が繁殖しやすい条件が整っているが、2℃〜4℃で、20日超の間、保存することにより、雑菌のみならず、麹菌や出芽酵母も繁殖しにくい条件を作る。「甘酒」などに比べて、長期低温発酵することで、雑菌の影響を受けず、ゆっくりと麹菌の消化酵素がデンプンを糖化し、酵母が増殖することとなる。
次に、日数による発酵の進行を説明する。
<条件3−日数>
A(菌叢Dの発酵初期レベルに該当)
施栓可能な容器内に、乳酸菌を含む水、蒸した穀物と麹、水を90%容量入れ、施栓後、2℃〜4℃で、10〜30日間、保存する。
B(菌叢Dの発酵中期レベルに該当)
施栓可能な容器内に、乳酸菌を含む水、蒸した穀物と麹、水を90%容量入れ、施栓後、2℃〜4℃で、30〜80日間、保存する。
C(菌叢Dの発酵後期レベルに該当)
施栓可能な容器内に、乳酸菌を含む水、蒸した穀物と麹、水を90%容量入れ、施栓後、2℃〜4℃で、80〜120日間、保存する。
<効果>
施栓可能な容器内に、乳酸菌を含む水、蒸した穀物と麹を合わせ、水を90%容量入れ、施栓後、2℃〜4℃で、20日超の間、保存する方法によって、硝酸還元菌による亜硝酸生成と、乳酸菌による乳酸生成を利用し、従来の「甘酒」に比べて、低温でゆっくりと消化酵素がデンプンを糖化し、酵母が繁殖して糖分を分解し、アミノ酸ほか有機酸、ミネラル、炭酸ガス、アルコールなど人に有用な成分を産生する自然発酵を実現することができる。
本発明は、従来、困難とされた、雑菌の影響を受けない穀物の「自然発酵」に成功し、発酵日数による菌叢の変化によって形成される特定の菌叢から構成される、たとえば、飲料、調味料、パン種などの各種食品の生産に適用できる該食品生産用基材(ベース素材)としての、非加熱で雑菌が不検出(1万個以下/g)の発酵製品の製造を実現可能とする。この発酵製品は、従来、パンを含め各種の食品に使用されている、砂糖や乳化剤ほか、添加物を使用せず、人(腸)に負担をかけずに、必要とする栄養、味、又はテクスチャーなどを含む無添加の発酵製品から構成される各種食品生産用基材(ベース素材)として有用である。
本発明は、上述の自然発酵システムを利用して形成させた特定の菌叢を拡張・利用する方法を含むものである。すなわち、上記特定の菌叢を利用して該菌叢を含む各種発酵製品を製造する場合、該菌叢を拡張し、拡大(スケールアップ)してから利用することが必要とされる。その場合、「菌叢」をいわゆる「元種」的に用いることから、方法論として、該元種を「起こす」ための手法が重要となる。
そこで、第1ステップとして、自然発酵システムを利用して形成させた特定の菌叢を、室温(10〜30℃)におき、必要により水分を含む材料、たとえば、米のCOBO(フリーズドライパウダー)については、軟飯、米糠、小麦粉などの穀物と混ぜ合わせることで、「つや膜」に含まれる菌叢(乳酸菌と酵母)を起こす。そして、第2ステップとして、上記菌叢を含む発酵製品を、たとえば、小麦粉・米などの穀類、野菜、果物、肉、魚、卵、植物性油脂などを合わせ、温度環境2〜10℃で、30分〜36時間おく。その際に、撹拌、捏ねる、塗布などして、これらの材料を合わせる。
それにより、「つや膜」を維持しながら、菌叢を形成し、乳酸球菌と酵母が共生するこれらの菌のネットワークを拡張し、拡大(スケールアップ)させる。次に、第3ステップとして、「つや膜」を維持しながら乳酸球菌と酵母が共生する菌叢が拡張し、拡大(スケールアップ)した状態をそのまま、又は、更に焼成、調味などの二次加工を施して該菌叢を拡張・利用した応用製品である所定の発酵製品を作製する。本発明を実施する上で、上述の自然発酵システムを利用して形成した特定の菌叢を拡張・利用する方法は、本発明では、非加熱で殺菌が不検出(1万個以下/g)の状態で、菌叢を拡張し、拡大(スケールアップ)することが求められることから、その実施に欠くことのできない重要なプロセスである。
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)果実・野菜・穀物に生息する自生の低温性(低温で生息できる)乳酸菌と出芽酵母を使用し、低温期間を設けることで他バクテリアの繁殖を抑えること、それにより、酒造りを目的とせず、酵母を添加することなく、植物性乳酸菌(球菌)と酵母が共生する特定の菌叢を形成することができる。
(2)自然発酵でありながら「非加熱で雑菌が不検出」の発酵製品を得ることができる。
(3)常温におく日数によって発酵状態のプロセスを区切り、菌叢の特性によって、砂糖ほか、添加物を使用しない無添加の発酵製品から構成される各種食品生産用基材(ベース素材)を作り、「自然発酵」により、乳酸菌と酵母の共生による安全性、再現性を実現することができる。
(4)「自然発酵」を利用して、果実・野菜に生息している自生の低温発酵性乳酸菌と出芽酵母を、その果実又は野菜(非加熱)又は穀物を培地として低温で発酵させる方法、特に、糖分を一切加えず、果実又は野菜又は穀物そのものの糖分を利用して発酵させる発酵方法及び各種食品生産用基材(ベース素材)としての発酵製品を提供することができる。
トマト発酵製品(トマトCOBO)の菌叢の顕微鏡写真を示す。 米発酵製品(米COBO)の菌叢の顕微鏡写真を示す。 米発酵製品(米COBO)の粉末製品の菌叢の顕微鏡写真を示す。 本発明に係る発酵製品の「つや膜」の外観を示す。図中、左上:米COBOのつや膜、左中:柿COBOのつや膜、左下:トマトCOBOのつや膜、右上:りんごCOBOのつや膜、右中:ブドウCOBOのつや膜、を示す。 トマト由来自生乳酸菌と酵母の走査電子顕微鏡観察の画像を示す。酵母が、細胞内に胞子を内包している状態が観察される。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、以下の実施例は、本発明の好適な例を示すものであり、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
以下に示す具体的な実施例の記載では、いずれの実施例においても、施栓可能容器に入れる原料の割合は70%容量〜90%容量である。また、冷蔵庫の保存温度については、いずれの実施例においても10日間としているが、7日間〜20日間、好ましくは10日間〜14日間であればよい。また、冷蔵庫から取り出した後の発酵温度については、いずれの実施例においても25℃としているが、15℃〜30℃、好ましくは20℃〜28℃の範囲であればよい。更に、この20℃〜28℃の発酵期間は、いずれの実施例においても、発酵製品の種類によって2日間〜10日間で使い分けるようにすればよい。
[トマトCOBO(トマト発酵製品)の製造]
以下、具体的にトマトCOBOの実施例を示す。トマトは、熟し過ぎていないミニトマトを使用し、以下の工程によりトマトCOBOを製造した。
(1)ミニトマトのへたをとり、流水で洗い、スクリュー型の蓋付き450mlの容器(ビン)に、該トマトを約90%容量入れた。このとき、従来の天然酵母の製造に用いられている水も、砂糖などの糖分も一切加えないで、次の処理を行った。
(2)ミニトマトを約90%容量入れた容器に蓋をせず、麺棒を用いて、ビンの内部の上部から下部に向けてゆっくりと1回突く操作を施した。
(3)上記、麺棒で1回突いたミニトマトが入った容器の蓋を締めて施栓して、容器詰めの状態の準密閉系で、酸素やバクテリアの混入を防ぐようにした。
(4)上記ミニトマトが入った容器を、容器詰めの状態の準密閉系で、冷蔵庫で、10日間、保存した。2日に1回、冷蔵庫から容器を取り出し、上下にゆっくりと振って撹拌し、また、冷蔵庫に戻した。
(5)11日目に、冷蔵庫から容器を取り出し、蓋をしたまま、25℃で、2日間、保存した。その間に、時おり(1日1回〜)蓋を開けて、ビンの中の炭酸ガスやエチレンガスを外に発散させた。但し、長時間蓋を開けたままにしないようにした。25℃で、2日間、保存した段階で、容器の蓋を開け、ザルなどで、皮を残して濾して、トマトCOBOを得た。図4に、トマトCOBOの「つや膜」の外観(図中、左下)に示した。
[トマトCOBO(トマト発酵製品)の製造]
以下、具体的にトマトCOBOの実施例を示す。実施例1の場合と同様に、トマトは、熟し過ぎていないミニトマトを使用し、以下の工程によりトマトCOBOを製造した。
(1)ミニトマトのへたをとり、流水で洗い、スクリュー型の蓋付き450mlの容器(ビン)に、トマトを約90%容量入れた。このとき、従来の天然酵母の製造に用いられていた水も、砂糖などの糖分も一切加えないで、次の処理を行った。
(2)ミニトマトを約90%容量入れた容器に蓋をせず、麺棒を用いて、ビンの内部の上部から下部に向けてゆっくりと1回突く操作を施した。
(3)上記、麺棒で1回突いたミニトマトが入った容器の蓋を締めて施栓して、容器詰めの状態の準密閉系で、酸素やバクテリアの混入を防ぐようにした。
(4)上記ミニトマトが入った容器を、容器詰めの状態の準密閉系で、冷蔵庫で、10日間、保存した。2日に1回、冷蔵庫から容器を取り出し、上下にゆっくりと振って撹拌し、また、冷蔵庫に戻した。
(5)11日目に、冷蔵庫から容器を取り出し、蓋をしたまま、25℃で、3日間、保存した。その間に、時おり(1日1回〜)蓋を開けて、ビンの中の炭酸ガスやエチレンガスを外に発散させた。但し、長時間蓋を開けたままにしないようにした。25℃で、3日間、保存した段階で、容器の蓋を開け、ザルで、皮を残して濾して、トマトCOBOを得た。
[トマトCOBOの応用製品]
(6)上記、皮を残して濾して得たトマトCOBO液(200cc)に、オレンジの搾り汁(150cc)、塩(1つまみ)を加えて撹拌し、器に注ぎ入れて、トマトCOBOの応用製品であるフレッシュスープ製品を得た。
図1に、トマトCOBOの菌叢の顕微鏡写真を示した。pH4.2で、乳酸球菌が2億個/g、出芽酵母が700万個/g検出され、他バクテリアは検出されず、雑菌は不検出(1万個以下/g)であった。なお、参考例として、図5に、レベル4の状態の、トマト由来自生乳酸菌と酵母の走査電子顕微鏡観察の画像を示す。酵母が、細胞内に胞子を内包している状態が観察される。
[トマトCOBOの応用製品]
上記実施例1の(1)〜(5)により調製したものと同様の、皮を残して濾して得たトマトCOBO液(200cc)と、水切りした木綿豆腐(1丁)、オリーブオイル(大さじ3)、塩(小さじ1.5)を、ミキサーで撹拌した。これを、蓋付きの容器に入れ、冷蔵庫(2℃〜4℃)で、1〜2日間、保存して、トマトCOBOの応用製品であるマヨネーズ製品を得た。
[柿COBOの製造]
以下、具体的に柿COBOの実施例を示す。本実施例では、以下の工程により柿COBOを製造した。
(1)柿を流水で洗い、皮付きのまま8等分のくし切りにし、更に半分に切断した。これを、スクリュー型の蓋付き450mlの容器(ビン)に、該柿を、約90%容量入れた。
(2)柿を約90%容量入れた容器の蓋を締めて施栓して、容器詰めの状態の準密閉系で、酸素やバクテリアの混入を防ぐようにした。
(3)柿が入った容器を上下に10回振って、柿の実の切断面がやや軟らかくなるようにした。
(4)上記柿が入った容器を、容器詰めの状態の準密閉系で、冷蔵庫で、10日間、保存した。2日に1回、冷蔵庫から容器を取り出し、上下にゆっくりと振って撹拌し、また、冷蔵庫に戻した。
(5)11日目に、冷蔵庫から容器を取り出し、蓋をしたまま、25℃で、3日間、保存した。その間に、時おり(1日1回〜)蓋を開けて、ビンの中の炭酸ガスやエチレンガスを外に発散させた。但し、長時間蓋を開けたままにしないようにした。25℃で、3日間、保存した段階で、容器の蓋を開け、ザルで、皮を残して濾して、柿COBO液を得た。図4に、柿COBOの「つや膜」の外観(図中、左中)を示した。
[柿COBOの応用製品]
(6)強力粉(300g)に、上記、皮を残して濾した柿COBO液(200cc)、塩(3g)を添加し、10分間こねる処理を施して生地を調製した。
(7)まとまった生地を、蓋付き容器に入れて、22℃〜25℃で、4時間、一次発酵を行った。粉を指につけて生地を押し、あいた穴がすぐに戻らない状態で発酵を完了した。
(8)生地を分割、成形し、1分ほどゆでることで、ベーグルのタネを調製した。
(9)これを、200℃に予熱しておいたオーブンに入れ、180℃で、20分、焼いて、柿COBOの応用製品であるベーグルを得た。
[ブドウCOBOの製造]
以下、具体的にブドウCOBOの実施例を示す。本実施例では、以下の工程によりブドウCOBOを製造した。
(1)ブドウを、流水で洗い、粒を1つずつ房から取り外した。スクリュー型の蓋付き900mlの容器(ビン)に、ブドウを約90%容量入れた。このとき、従来の天然酵母の製造に用いられていた水も、砂糖などの糖分も一切加えないで、次の処理を行った。
(2)ブドウを約90%容量入れた容器に蓋をせず、麺棒を用いて、ビン内部の上部から下部に向けてゆっくりと1回突く操作を施した。
(3)上記、麺棒で1回突いたブドウが入った容器の蓋を締めて施栓して、容器詰めの状態の準密閉系で、酸素やバクテリアの混入を防ぐようにした。
(4)上記ブドウが入った容器を、冷蔵庫で、10日間、保存した。2日に1回、冷蔵庫から容器を取り出し、上下にゆっくりと振って撹拌し、また、冷蔵庫に戻した。
(5)11日目に、冷蔵庫から容器を取り出し、蓋をしたまま、25℃で、5日間、保存した。その間に、時おり(1日1回〜)蓋を開けて、ビンの中の炭酸ガスやエチレンガスを外に発散させた。但し、長時間蓋を開けたままにしないようにした。25℃で、5日間、保存した段落で、容器の蓋を開け、ザルで皮を残して濾して、ブドウCOBO液を得た。図4に、ブドウCOBOの「つや膜」の外観(図中、右中)を示した。
[ブドウCOBOの応用製品]
(6)強力粉(300g)に、上記、皮を残して濾したブドウCOBO液(200cc)、塩(3g)を添加し、10分間こねる処理を施して生地を調製した。
(7)まとまった生地を、蓋付き容器に入れて、22℃〜25℃で、3時間一次発酵を行った。粉を指につけて生地を押し、あいた穴がすぐに戻らない状態で発酵を完了した。
(8)生地を分割、成形し、30℃で、1時間、二次発酵を行った。
(9)これを、180℃に予熱しておいたオーブンに入れ、160℃で15分焼いて、ブドウCOBOの応用製品である丸パンを製造した。
[みかんCOBOの製造]
以下、具体的にみかんCOBOの実施例を示す。本実施例では、以下の工程によりみかんCOBOを製造した。
(1)温州みかんの厚い皮をむき、2〜3片とりおいた。うす皮つきのまま、ひと房ずつに分け、スクリュー型の蓋付き450mlの容器(ビン)に、みかんを約90%容量入れた。
(2)みかんを約90%容量入れた容器に蓋をせず、麺棒を用いて、ビンの内部の上部から下部に向けてゆっくりと1回突く操作を施した。
(3)上記、麺棒で1回突いたみかんの上に、とりおいた2〜3片の厚い皮をかぶせ、施栓可能な容器の蓋を締めて施栓して、容器詰めの状態の準密閉系で、酸素やバクテリアの混入を防ぐようにした。
(4)上記みかんが入った容器を、冷蔵庫で、10日間、保存した。2日に1回、冷蔵庫から容器を取り出し、上下にゆっくりと振って撹拌し、また、冷蔵庫に戻した。
(5)11日目に、冷蔵庫から容器を取り出し、蓋をしたまま、25℃で、6日間、保存した。厚い皮を取り除くとともに、時おり(1日1回〜)蓋を開けて、ビンの中の炭酸ガスやエチレンガスを外に発散させた。但し、長時間蓋を開けたままにしないようにした。25℃で、6日間、保存した段階で、容器の蓋を開け、ザルで、皮を残して濾して、みかんCOBO液を得た。
[みかんCOBOの応用製品]
(6)ボールに、強力粉(100g)、薄力粉(200g)、塩(2g)、植物性油脂(55g)を入れ、手ですり混ぜてから、上記、皮を残して濾したみかんCOBO液(85g)を回し注いだ。
(7)スケッパーを使って、生地を切り混ぜた状態で、両手でまとめた。薄力粉をふった台の上に、これをのせ、両手でひとまとめにした。
(8)生地をラップで包み、冷蔵庫で保存した。
(9)ラップを取り外し、麺棒で生地を伸ばして半分に折り畳む作業を繰り返した。厚さ2cmにして、セルクルで抜き、8個分の生地をとった。
(10)これを、180℃に予熱しておいたオーブンに入れ、160℃で20〜25分焼いて、みかんCOBOの応用製品であるスコーンを得た。
[米COBOの粉末製品の製造]
施栓可能な容器に、蒸した米と麹、乳酸菌を含む水を入れ、容器の開口部を栓で塞いだ後、2℃〜4℃の低温下で保存して、植物性乳酸菌(連鎖球菌)と酵母(多極出芽酵母)が生息する菌叢Dを形成し、これに夾雑物の除去処理を施した後、フリーズドライ乾燥することで、pH4.0(ガラス電極法)で、非加熱で雑菌が不検出の粉末発酵製品の米COBO[一般生菌/g:5.6×10、大腸菌群/g:陰性、大腸菌/g:陰性、乳酸菌/g:2.0×10、酵母/g:2.0×10](分析:株式会社食品微生物センター)を得た。図2に、米発酵製品(米COBO)の粉末製品の顕微鏡写真を示した。また、図4に、米COBOの「つや膜」の外観(図中、左上)を示した。
完全無農薬米ササニシキ、天然麹、乳酸菌を含む水を原料として、同様の操作手順で同様にして、低温の環境で長期熟成発酵させることにより、粉末発酵製品の米COBOを得た。当該米COBOの菌叢を分析した結果、乳酸球菌が2億個/g、出芽酵母が8000万個/g検出され、他バクテリアは検出されず、雑菌は不検出であった。図3に、米発酵製品(米COBO)の粉末製品の菌叢の顕微鏡写真を示した。
(1)「パン種」(『米のCOBO』)の拡張・拡大(スケールアップ)
菌叢を拡張・拡大する(元種を起こす)
菌叢元種(20g)を作製するために、米のCOBO(フリーズドライパウダー)を5g、水を15gを原料として、スクリュー型密閉ビン(150mD)に米のCOBO5g、水15gを入れて混ぜ、しっかりフタをしめて、室温25℃で、約36時間おいた。水面に泡が出て、フタをあけると空気が抜ける音がして、細かい泡が立ち上ることが観察された。
(2)中種(50g)を作製するために、元種を20g、強力粉を20g、水を10gを原料として、上記の起こした元種20gに、同量20gの強力粉を入れ、スプーンでくりかえし混ぜ、水10gを加え、なめらかになるまでよく混ぜる操作を行った。しっかりフタをしめ、室温25℃で、約2〜3時間ほどおいた。フタをあけたときに、空気が抜ける音がすることが観察された。
(3)生地(450g)を作製するために、材料として、強力小麦粉を250g、COBOを200g(上記中種を50g、水150g)、塩を3.5gを用いて、
1;ボウルに強力粉、塩を入れ、泡立て器でよく混ぜ、
2;COBO(中種+水を計量カップで混ぜた)を、上記1の粉に2〜3回に分けて注いだ。その際、ボウルの底を軽くたたいてゆすると、COBO液が粉をまとい、細かいフレーク状になることが観察された。
3;ボウルの底から、スケッパーですくい上げるように混ぜ、粒を大きくしていくことで、ひとまとめに、ボウルに付いた粉を拭き取るように、まとめていった。
4;上記3の生地を台の上に出し、手でのばしながら「菊練り」のような動きをくりかえし、5分ほどこね、両手でまとめ、蓋付き密閉容器に入れて発酵に供した。
〔一次発酵〕
生地を入れた蓋付き密閉容器を冷蔵庫(2〜4℃)に入れ、約24時間おいた。生地の料が増えたようにみえ、容器を底部分に、生地に気泡が入り、蟻の巣状になった。更に、生地を入れた密閉容器を、室温20〜25℃で、一次発酵のために、約3〜4時間おいた。生地表面につやが出ること、大きな気泡ができること、生地を指で押し、押した穴がすぐに戻ってこないようにふわふわすること、が観察された。
〔分割・成形〕
上記生地(450g)をスケッパーで150g×3個に分割し、手のひらで軽くたたいて無駄なガスを抜き、めん棒で平たくした。スケッパーを使い、生地の端から巻き込むようにして、細長くまとめた。とじ目をしっかりおさえて付け、前後に軽く転がし、整えた。
〔二次発酵〕
天板に、生地を離して並べ、室温20〜25℃で、約1.5時間、二次発酵に供した。生地の乾燥に注意し、霧吹きをして茶こしで薄く粉をふるう操作を行った。成形により張っていた生地がゆるみ、ふわっとすることが観察された。クープカッター又はパンナイフで切り込みを4本斜めに入れ、刷毛でオリーブオイルをぬる操作を行った。
260℃に予熱したオーブンに生地をのせた天板を入れ、霧吹きして、250℃に設定し、約12〜15分焼いた結果、5〜10分で生地がふわっと立ち上がり、クープがひらき10分以降は、生地が色づき、焼き色がついてからオーブンから出した。
以上詳述した通り、本発明は、自然発酵システムを利用した発酵製品の製造方法及びその発酵製品並びに菌叢の拡張・利用方法に係るものであり、本発明は、1)果実・野菜・穀物に生息する自生の低温性(低温で生息できる)乳酸菌と出芽酵母を使用し、低温期間を設けることで他バクテリアの繁殖を抑えること、それにより、酒造りを目的とせず、酵母を添加することなく、植物性乳酸菌(球菌)と酵母が共生する特定の菌叢を形成することができる、2)自然発酵でありながら「非加熱で雑菌が不検出」の発酵製品を得ることができる、3)常温におく日数によって発酵状態のプロセスを区切り、菌叢の特性によって、砂糖ほか、添加物を使用しない無添加の発酵製品を作り、「自然発酵」により、乳酸菌と酵母の共生による安全性、再現性を実現することができる、4)「自然発酵」を利用して、果実・野菜に生息している自生の低温発酵性乳酸菌と出芽酵母を、その果実又は野菜(非加熱)又は穀物を培地として低温で発酵させる方法、特に、糖分を一切加えず、果実又は野菜又は穀物そのものの糖分を利用して発酵させる発酵方法及び各種食品の生産に適用できる当該食品生産用基材(ベース素材)として有用な該発酵製品を提供することができる、という産業上の利用可能性を有するものとして有用である。

Claims (6)

  1. 施栓可能な容器に原料を入れ、施栓後、これを、容器詰めの状態の準密閉系で、制御された所定の低温度条件下に所定の期間保存する低温保存工程を含む保存工程で、原料に付着している自生の微生物と原料由来糖分を利用して自然発酵させる自然発酵システムを利用して膜状の表面形態を呈する特定の菌叢を形成させ、これに夾雑物の除去処理を施して、非加熱で雑菌が不検出(1万個以下/g)の、該菌叢を含む各種食品の生産に適用できる当該食品生産用基材(ベース素材)としての発酵製品を製造する方法であって、
    1)施栓容器に果実及び/又は野菜を入れ、施栓後、2℃〜6℃の低温下で保存し、これを15℃〜30℃の常温下で保存してバクテリアと乳酸菌の生息がみられる菌叢Aを形成する工程A、
    菌叢Aを、更に15℃〜30℃の常温下に保存して、菌叢Aに比べて、バクテリアが存在せず、乳酸菌が増えて、酵母の生息がみられる菌叢Bを形成する工程B、
    菌叢Bを、更に15℃〜30℃の常温下に保存して、菌叢Bに比べて、乳酸菌と、酵母がより増えている菌叢Cを形成する工程C、あるいは、
    2)施栓可能な容器に乳酸菌を含む水、蒸した穀物と麹を入れ、施栓後、2℃〜6℃の低温下で保存して、乳酸菌と酵母の生息がみられる菌叢Dを形成する工程D、
    からなる容器詰めの状態の準密閉系での自然発酵システムにおいて、上記工程BからDのいずれかの工程で得られる菌叢を利用して、該菌叢を含む上記発酵製品を製造することを特徴とする発酵製品の製造方法。
  2. 上記菌叢Aを、更に15℃〜30℃の常温下に保存して、菌叢Aに比べて、バクテリアが存在せず、乳酸菌が増えて、酵母の生息がみられる菌叢Bを形成する工程で得られる菌叢Bを利用して、該菌叢を含む発酵製品を製造する、請求項1に記載の発酵製品の製造方法。
  3. 上記菌叢Bを、更に15℃〜30℃の常温下に保存して、菌叢Bに比べて、乳酸菌と、酵母がより増えている菌叢Cを形成する工程で得られる菌叢Cを利用して、該菌叢を含む発酵製品を製造する、請求項1に記載の発酵製品の製造方法。
  4. 施栓可能な容器に乳酸菌を含む水、蒸し又は炊いた穀物と麹、水を入れ、施栓後、2℃〜4℃の低温下で保存して、乳酸菌と酵母が生息する菌叢Dを形成する工程で菌叢Dを作製して、そのまま、あるいは、該菌叢を凍結・乾燥又は乾燥処理して得られた乾燥物を包装して、該菌叢を含む発酵製品を製造する、請求項1に記載の発酵製品の製造方法。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の方法で得られる発酵製品から構成される各種食品の生産に適用できる当該食品生産用基材(ベース素材;生もと)であって、菌叢BからDのいずれかの乳酸菌と酵母の共生する菌叢を含み、pH4.0〜4.3(ガラス電極法による)で、雑菌が不検出(1万個以下/g)であることを特徴とする上記発酵製品。
  6. 請求項5に記載の発酵製品に含まれる菌叢を拡張し、拡大(スケールアップ)して利用する方法であって、該発酵製品を室温(10〜30℃)におくステップ1、原料を合わせ室温環境2〜10℃で、30分〜36時間おいて、菌叢を形成する乳酸菌と酵母が共生する状態(ネットワーク)を拡張し、拡大(スケールアップ)するステップ2、次いで、菌叢が拡張し、拡大した状態をそのまま、又は更に焼成又は調味を施して二次加工した発酵製品とするステップ3、からなることを特徴とする上記菌叢の拡張・利用方法。
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