本発明は、BMPシグナリング経路を阻害する化合物、およびBMPシグナリングの阻害により利益を得る対象において、疾患または状態を処置または予防するための方法を提供する。
2013年3月4日に出願の、国際出願WO2009/114180および米国仮出願第61/772,465号に開示されている化合物は、BMPシグナル伝達経路を阻害し、BMPシグナリングの阻害により利益を得る対象における、疾患または状態を処置および予防する方法に使用するのに適した化合物である。主要な代謝分解経路を特定するため、反応性代謝産物形成を低減するための指針を提供するため、および修飾化合物において遮断または阻害され得る代謝活性部位を特定するため、2013年3月4日に出願の、国際出願WO2009/114180および米国仮出願第61/772,465号において開示されている化合物により表される構造タイプに関する代謝検討が行われた。代謝産物形成および代謝活性部位の特定に関連する検討により、特定される代謝に関連する難題を克服し得る化合物の探索が可能になり、これにより、インビボ効力が改善され、投与レジメンを単純化し、結局のところ患者の転帰が改善される。
提案される反応性イミニウム中間体は、「ソフト」な求核体であるグルタチオン(GSH)により捕捉されないが、「ハード」な求核体であるシアニド(KCN)により捕捉された。このイミニウムイオン自体は、「ハード」な求電子体であり、したがって、「ハード」な求核体と反応する可能性がより高い。実際に、これらの実験のいずれにおいても、グルタチオン付加物はまったく検出されなかった。
この検討から、2つの代謝性「ホットスポット」を特定した。1)その後のシアニドにより捕捉されるイミニウムイオンの形成、および2)キノリン部分の2位の酸化による、代謝産物422cの生成である。
化合物1により表される、第1のケモタイプは、LDN−193189のフェニル環の代わりに、ピリジン環を有する。イミニウム中間体は、シアニドにより捕捉されてM432を与えることにより証拠が示された(図13)。しかし、2−アミノピリジンは、アニリンと同じ毒特性を有していない。マウスまたはヒトサイトゾルの存在下での主要代謝産物は、おそらく、サイトゾルの存在下で、LDN−193189の代謝において見られる、キノリン環の2位の酸化物である、M423c(図13)であった。
化合物2により表される、第2のケモタイプは、アニリン窒素である窒素の隣に2つのメチル基を含む。これらのメチル基は、脱アルキル化して毒性のアニリン代謝産物を形成する方向に向かう第1のステップである、CYP450酵素が反応性イミニウム種を形成するのを立体的に遮断して予防するよう意図したものであった。MLMまたはHLMのどちらかとインキュベートした場合、先の例において観察された通り、シアニドによりイミニウムイオンは捕捉されず、このことは、両メチル基の立体効果は、イミニウムイオンを形成する酸化経路を首尾よく遮断する。サイトゾルの存在下では、やはり、主要代謝産物は、おそらくキノリンの2位における酸化物であるM450cであった(図16)。
化合物48により表される、最後のケモタイプは、アニリン窒素が完全に欠けている。MLMおよびHLMとのインキュベートにより、やはり、シアニド付加物を生成しなかった。マウスまたはヒトサイトゾルの存在下での主要代謝産物は、キノリンの2位の酸化物であり、M421dを与えた(図19)。
結論として、この検討により、(化合物2における場合と同様に)アニリンの隣接位の立体障害または(化合物48における場合と同様に)アニリン窒素の除去のどちらかを組み込むことにより、ピペラジンの脱アルキル化に向かう第1のステップである、反応性イミニウム種の酸化的形成をなくすことができることが示された。化合物1の場合、ピペラジン環の脱アルキル化は、アニリンの毒特性を有していない、2−アミノピリジンを与える。
これらの検討結果は、本発明者らが、1)毒性代謝産物をもたらすCYP450代謝、および2)不活性代謝産物を形成するAO酸化に対処するための実行可能な戦略を有していることを示している。したがって、本発明の化合物(例えば、式I、IIまたはIIIの化合物)は、特定される代謝に関連する難題を克服し、これによりインビボ効力の改善をもたらす。
用語「アシルアミノ」は、当分野において認識されており、アシル基により置換されているアミノ基を指し、例えば、式ヒドロカルビルC(O)NH−、好ましくはアルキルC(O)NH−により表すことができる。
用語「脂肪族」は、本明細書において使用される場合、完全に飽和しているか、または1つまたは複数の不飽和単位を含有する、直鎖状、鎖状、分岐状、または環状炭化水素を含む。脂肪族基は、置換されていてもよく、非置換であってもよい。
用語「アルコキシ」は、そこに結合しているアルキル基を有している酸素を指す。代表的なアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、tert−ブトキシなどが挙げられる。
用語「アルケニル」は、本明細書において使用される場合、少なくとも1つの二重結合を含有する脂肪族基を指し、「非置換アルケニル」および「置換アルケニル」の両方を含むことが意図され、これらの後者である置換アルケニルは、アルケニル基の1個または複数の炭素上の水素を置き換える置換基を有するアルケニル部分を指す。こうした置換基は、1つまたは複数の二重結合に含まれるかまたは含まれない1個または複数の炭素上に出現し得る。さらに、こうした置換基としては、安定性により許容されない場合を除いて、以下で議論される通り、アルキル基に対して企図されるすべてが挙げられる。例えば、アルキル基、カルボシクリル基、アリール基、ヘテロシクリル基またはヘテロアリール基からなる1つまたは複数のものによるアルケニル基の置換が企図される。好ましい実施形態において、直鎖状または分岐鎖状アルケニルは、その主鎖中に1〜12個の炭素、好ましくはその主鎖中に1〜8個の炭素、より好ましくはその主鎖中に1〜6個の炭素を有する。例示的なアルケニル基としては、アリル、プロペニル、ブテニル、2−メチル−2−ブテニルなどが挙げられる。
用語「アルキル」は、直鎖状アルキル基および分岐鎖状アルキル基を含めた、飽和脂肪族基のラジカルを指す。好ましい実施形態において、直鎖状または分岐鎖状アルキルは、その主鎖中に30個またはそれより少ない(例えば、直鎖の場合C1〜C30、分岐鎖の場合C3〜C30)、より好ましくは20個またはそれより少ない炭素原子を有する。ある特定の実施形態において、アルキル基は、低級アルキル基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチルおよびn−ペンチルである。
さらに、本明細書、実施例および特許請求の範囲全体を通して使用されている、用語「アルキル」(または「低級アルキル」)は、「非置換アルキル」および「置換アルキル」の両方を含むことが意図され、これらの後者である「置換アルキル」は、炭化水素主鎖の1個または複数の炭素上の水素を置き換える置換基を有するアルキル部分を指す。ある特定の実施形態において、直鎖状または分岐鎖状アルキルは、その主鎖中に30個またはそれより少ない炭素原子を有する(例えば、直鎖の場合、C1〜C30、分岐鎖の場合、C3〜C30)。好ましい実施形態において、上記の鎖は、その主鎖中に10個またはそれより少ない炭素(C1〜C10)原子を有する。他の実施形態において、上記鎖は、その主鎖中に6個またはそれより少ない炭素(C1〜C6)原子を有する。
こうした置換基としては、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミルまたはアシルなど)、チオカルボニル(チオエステル、チオアセテートまたはチオホルメートなど)、アルコキシル、アルキルチオ、アシルオキシ、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アラルキル、またはアリールもしくはヘテロアリール部分を挙げることができる。
用語「アルキニル」は、本明細書において使用される場合、少なくとも1つの三重結合を含有する脂肪族基を指し、「非置換アルキニル」と「置換アルキニル」の両方を含むことが意図され、これらの後者である置換アルキニルは、アルキニル基の1個または複数の炭素上の水素を置き換える置換基を有するアルキニル部分を指す。こうした置換基は、1つまたは複数の三重結合に含まれるかまたは含まれない1個または複数の炭素上に出現し得る。さらに、こうした置換基としては、安定性により許容されない場合を除いて、上で議論されている通り、アルキル基に対して企図されるものすべてが挙げられる。例えば、1つまたは複数のアルキル基、カルボシクリル基、アリール基、ヘテロシクリル基、またはヘテロアリール基によるアルキニル基の置換が企図される。好ましい実施形態において、アルキニルは、その主鎖中に1〜12個の炭素、好ましくはその主鎖中に1〜8個の炭素、より好ましくはその主鎖中に1〜6個の炭素を有する。例示的なアルキニル基としては、プロピニル、ブチニル、3−メチルペンタ−1−イニルなどが挙げられる。
用語「アリール」は、本明細書において使用される場合、環の各原子が炭素である、置換または非置換の単環式芳香族基を含む。好ましくは、この環は、5〜7員環であり、より好ましくは6員環である。アリール基としては、フェニル、フェノール、アニリンなどが挙げられる。
用語「炭素環」、「カルボシクリル」、および「炭素環式」は、本明細書において使用される場合、該環の各原子が炭素である、飽和または不飽和の非芳香族環を指す。好ましくは、炭素環の環は、3〜10個の原子、より好ましくは5〜7個の原子を含有する。
用語「シクロアルキル」は、本明細書において使用される場合、飽和脂肪族環のラジカルを指す。好ましい実施形態において、シクロアルキルは、その環構造中に3〜10個の炭素原子、より好ましくは、その環構造中に5〜7個の炭素原子を有する。適切なシクロアルキルとしては、シクロヘプチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロブチル、およびシクロプロピルが挙げられる。
用語「エーテル」は、本明細書において使用される場合、酸素を介して別のヒドロカルビル基に連結しているヒドロカルビル基を指す。したがって、ヒドロカルビル基のエーテル置換基は、ヒドロカルビル−O−であり得る。エーテルは、対称または非対称のいずれかであり得る。エーテルの例としては、以下に限定されないが、複素環−O−複素環およびアリール−O−複素環が挙げられる。エーテルには、一般式アルキル−O−アルキルにより表すことができる、「アルコキシアルキル」基が含まれる。
用語「ヘトアラルキル(hetaralkyl)」および「ヘテロアラルキル」は、本明細書において使用される場合、ヘトアリール(hetaryl)基により置換されているアルキル基を指す。
用語「ヘテロアリール」および「ヘトアリール」は、置換または非置換の、芳香族単環式構造、好ましくは5〜7員環、より好ましくは5〜6員環を含み、これらの環構造は、少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、O、NまたはS)、好ましくは1〜4個または1〜3個のヘテロ原子、より好ましくは1個または2個のヘテロ原子を含む。2個またはそれより多いヘテロ原子がヘテロアリール環中に存在する場合、それらのヘテロ原子は同じであってもよく、異なっていてもよい。用語「ヘテロアリール」および「ヘトアリール」はまた、2個またはそれより多い炭素が2つの隣り合っている環に共通している、二環式またはそれより多い環式環を有する多環式環系も含み、ここで、該環の少なくとも1つが、複素芳香族性であり、例えば、他の環式環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリールおよび/またはヘテロシクリルであり得る。好ましい多環式環系は、該環の両方が芳香族である二環式環を有する。ヘテロアリール基としては、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、キノリン、およびピリミジンなどが挙げられる。
用語「ヘテロシクリル」、「複素環」、および「複素環式」とは、置換または非置換の、非芳香族環構造、好ましくは3〜10員環、より好ましくは3〜7員環を指し、これらの環構造は、少なくとも1個のヘテロ原子、好ましくは1〜4個のヘテロ原子、より好ましくは1個または2個のヘテロ原子を含む。ヘテロシクリル基としては、例えば、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、モルホリン、ラクトン、ラクタムなどが挙げられる。
用語「ヒドロカルビル」は、本明細書において使用される場合、=O置換基または=S置換基を有していない、炭素原子を介して結合している基を指し、通常、少なくとも1個の炭素−水素結合、および主に炭素主鎖を有するが、場合によりヘテロ原子を含み得る。したがって、メチル、エトキシエチル、2−ピリジル、およびトリフルオロメチルのような基が本出願の目的のためのヒドロカルビルであると見なされるが、アセチル(連結炭素上に=O置換基を有する)、およびエトキシ(炭素ではなく、酸素を介して連結している)などの置換基は、そのように見なされない。ヒドロカルビル基としては、以下に限定されないが、アリール、ヘテロアリール、炭素環、複素環、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびこれらの組合せが挙げられる。
用語「低級」は、アシル、アシルオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアルコキシなどの化学部分と併せて使用される場合、置換基中に10個またはそれより少ない、好ましくは6個またはそれより少ない非水素原子がある基を含むことを意味する。「低級アルキル」は、例えば、10個またはそれより少ない、好ましくは6個またはそれより少ない炭素原子を含有するアルキル基を指す。直鎖状または分岐鎖状低級アルキルの例としては、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、ブチル、および第三級−ブチルなどが挙げられる。ある特定の実施形態において、本明細書において定義されているアシル、アシルオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニルまたはアルコキシ置換基は、それらが単独で現れても、またはアラルキルという列挙(この場合、例えば、アルキル置換基中の炭素原子を数える場合、そのアリール基内部の原子は数えない)における場合などの他の置換基と組み合わされて現れても、それぞれ、低級アシル、低級アシルオキシ、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、または低級アルコキシである。
用語「ポリシクリル」、「多環」、および「多環式」は、2個またはそれより多い環(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、および/またはヘテロシクリル)であって、2個またはそれより多い原子が2個の隣り合っている環と共通である環を指し、例えば、この環は「縮合環」である。好ましい多環は、2〜3個の環を有する。多環のそれぞれの環は、置換または非置換であり得る。ある特定の実施形態において、多環の各環は、その環中に3〜10個、好ましくは5〜7個の原子を含有する。
用語「置換されている」とは、主鎖の1個または複数の炭素上の水素を置き換える置換基を有する部分を指す。「置換」または「により置換されている」は、こうした置換が、置換された原子および置換基の容認される価数に従っており、かつその置換が、例えば、転移、環化、脱離などによるなどの変換を自発的に受けない、安定な化合物をもたらすという暗黙の条件を含むことが理解されよう。本明細書において使用される場合、用語「置換されている」は、有機化合物の許容可能な置換基をすべて含むことが企図される。広範な態様において、この許容可能な置換基としては、有機化合物の非環式および環式の、分岐状および非分岐状の炭素環式ならびに複素環式、芳香族ならびに非芳香族置換基が挙げられる。この許容可能な置換基は、適切な有機化合物の場合、1個または複数であり得、かつ同一でありまたは異なり得る。本発明の目的のために、窒素などのヘテロ原子は、水素置換基、および/またはそのヘテロ原子の価数を満足する、本明細書において記載されている有機化合物の任意の許容可能な置換基を有することができる。置換基としては、本明細書において記載されている任意の置換基、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、またはアシルなど)、チオカルボニル(チオエステル、チオアセテート、またはチオホルメートなど)、アルコキシル、アルキルチオ、アシルオキシ、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アラルキル、または芳香族もしくは複素芳香族部分を挙げることができる。
「非置換」と具体的に明記されていない限り、本明細書において化学部分に対する言及は、置換されているバリアントを含むものと理解される。例えば、「アリール」基または部分に対する言及は、置換されたバリアントと非置換のバリアントの両方を暗に含む。
本明細書中の様々な場所において、本発明の化合物の置換基は、群または範囲で開示されている。本発明は、そのような群および範囲の構成要素の、それぞれのおよびあらゆる個々の下位の組み合わせを含むことが、具体的に意図されている。例えば、用語「C1〜C6アルキル」は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチルなどを個々に開示するよう、具体的に意図される。
本明細書において使用される場合、障害または状態を「予防する」治療薬は、統計的サンプルにおいて、未処置の対照サンプルに比べて、処置されたサンプルにおける障害または状態の出現を低減させるか、または未処置の対照サンプルに比べて、障害もしくは状態の1つまたは複数の症状の発症を遅延させるか、その重症度を低下させる化合物を指す。
用語「プロドラッグ」は、生理的条件下で、本発明の治療活性剤(例えば、式I、式II、または式IIIの化合物)へ変換される化合物を包含することが意図される。プロドラッグを作製するための共通の方法は、生理的条件下で加水分解されて所望の分子を明らかにする、1つまたは複数の選択された部分を含むことである。他の実施形態において、プロドラッグは、宿主動物の酵素活性により変換される。例えば、エステル(例えば、アルコールまたはカルボン酸のエステル)は、本発明の好ましいプロドラッグである。本明細書において開示されている様々な実施形態(例えば、様々な化合物、組成物、および方法)において、上で表されている製剤中の、式Aの化合物の一部もしくはすべて、式I、式II、もしくは式IIIのいずれか1つの化合物、式I、式II、もしくは式IIIの化合物のすべてまたは一部分を、好適なプロドラッグにより置き換えることができ、例えば、ここで、親化合物中に存在するヒドロキシルまたはカルボン酸はエステルとして提示されている。
本明細書において使用される場合、用語「処置する(treating)」または「処置(treatment)」は、対象の状態を向上または安定化するように、症状、臨床的兆候、および状態の根本的な病因を、逆転させる、低減する、または抑止することを含む。本明細書において使用され、かつ当分野で十分に理解される通り、「処置」は、臨床的結果を含めた、有益または所望の結果を得るための手法である。有益または所望の臨床的結果には、以下に限定はされないが、検出可能か検出不可能かに関わらず、1つもしくは複数の症状または状態の緩和あるいは改善、疾患の程度の低下、疾患の状態の安定化(すなわち、悪化させない)、疾患の拡大の予防、疾患進行の遅延または減速、疾患状態の改善または一時的緩和、および寛解(一部であるか、全部であるかに関わらない)が含まれ得る。「処置」は、処置を受けていない場合の予期される生存と比べて、生存が延長することも意味することができる。
用語「低分子」とは、約2500amu未満、好ましくは約2000amu未満、さらにより好ましくは約1500amu未満、さらにより好ましくは約1000amu未満、または最も好ましくは約750amu未満の分子量を有する、有機分子を指す。好ましくは、低分子は、1個または複数のヘテロ原子を含有する。
「ALK2の活性」という句は、ALK−2酵素活性(例えば、キナーゼ活性など;BMP−応答性SMADタンパク質をリン酸化するALK−2の能力)、および/またはALK−2媒介性シグナリング(例えば、BMPリガンドの結合によりALK−2を活性化した後の、下流のシグナル伝達および転写活性を媒介する、ALK−2の能力など)を意味する。一部の実施形態において、「ALK2の活性」は、ALK2媒介性BMPシグナリングを意味する。一部の実施形態において、「ALK2の活性」は、ALK2媒介性BMP−応答性遺伝子転写(例えば、BMP/ALK2シグナル伝達により媒介される転写活性)を意味する。実施例1〜3において記載されているアッセイにより、ALK2活性の測定が可能である。
「ALK5の活性」という句は、ALK−5酵素活性(例えば、キナーゼ活性など;TGF−β応答性SMADタンパク質をリン酸化するALK−5の能力、SMAD2またはSMAD3をリン酸化するALK−5の能力)、および/またはALK−5媒介性シグナリング(例えば、TGF−βリガンドの結合によりALK−5を活性化した後の、下流のシグナル伝達および転写活性を媒介する、ALK−5の能力など)を意味する。一部の実施形態において、「ALK5の活性」は、ALK5媒介性TGF−βシグナリングを意味する。一部の実施形態において、「ALK5の活性」は、ALK5媒介性TGF−β応答性遺伝子転写(例えば、TGFβ/ALK5シグナル伝達により媒介される転写活性)を意味する。実施例1〜3において記載されているアッセイにより、ALK5活性の測定が可能である。
「ALK1の活性」という句は、ALK−1酵素活性(例えば、キナーゼ活性など;BMP応答性SMADタンパク質をリン酸化するALK−1の能力)、および/またはALK−1媒介性シグナリング(例えば、BMPリガンドの結合によりALK−1を活性化した後の、下流のシグナル伝達および転写活性を媒介する、ALK−1の能力など)を意味する。一部の実施形態において、「ALK1の活性」は、ALK1媒介性BMPシグナリングを意味する。一部の実施形態において、「ALK1の活性」は、ALK1媒介性BMP応答性遺伝子転写(例えば、BMP/ALK1シグナル伝達により媒介される転写活性)を意味する。実施例1〜3において記載されているアッセイにより、ALK1活性の測定が可能である。
「ALK3の活性」という句は、ALK−3酵素活性(例えば、キナーゼ活性など;BMP応答性SMADタンパク質をリン酸化するALK−3の能力)、および/またはALK−3媒介性シグナリング(例えば、BMPリガンドの結合によりALK−3を活性化した後の、下流のシグナル伝達および転写活性を媒介する、ALK−3の能力など)を意味する。一部の実施形態において、「ALK3の活性」は、ALK3媒介性BMPシグナリングを意味する。一部の実施形態において、「ALK3の活性」は、ALK3媒介性BMP応答性遺伝子転写(例えば、BMP/ALK3シグナル伝達により媒介される転写活性)を意味する。実施例1〜3において記載されているアッセイにより、ALK3活性の測定が可能である。
「ALK4の活性」という句は、ALK−4酵素活性(例えば、キナーゼ活性など;アクチビン応答性SMADタンパク質をリン酸化するALK−4の能力、SMAD2またはSMAD3をリン酸化するALK−4の能力)、および/またはALK−4媒介性シグナリング(例えば、アクチビンリガンドの結合によりALK−4を活性化した後の、下流のシグナル伝達および転写活性を媒介する、ALK−4の能力など)を意味する。一部の実施形態において、「ALK4の活性」は、ALK4媒介性アクチビンシグナリングを意味する。一部の実施形態において、「ALK4の活性」は、ALK4媒介性アクチビン応答性遺伝子転写(例えば、アクチビン/ALK4シグナル伝達により媒介される転写活性)を意味する。実施例1〜3において記載されているアッセイにより、ALK4活性の測定が可能である。
「ALK6の活性」という句は、ALK−6酵素活性(例えば、キナーゼ活性;BMP応答性SMADタンパク質をリン酸化するALK−6の能力など)、および/またはALK−6媒介性シグナリング(例えば、BMPリガンドの結合によりALK−6を活性化した後の、下流のシグナル伝達および転写活性を媒介する、ALK−6の能力など)を意味する。一部の実施形態において、「ALK6の活性」は、ALK6媒介性BMPシグナリングを意味する。一部の実施形態において、「ALK6の活性」は、ALK6媒介性GDF5シグナリングを意味する。一部の実施形態において、「ALK6の活性」は、ALK6媒介性BMP応答性遺伝子転写(例えば、BMP/ALK6シグナル伝達により媒介される転写活性)を意味する。実施例1〜3において記載されているアッセイにより、ALK6活性の測定が可能である。
ヒトALK2は、509アミノ酸タンパク質である。このタンパク質配列は、例えば、GeneBank受託番号NP_001104537.1(NM_001111067.2における対応するヌクレオチド配列を有する)、UniProtエントリーQ04771として公開されている。
ヒトALK5は、少なくとも2つのアイソフォームである、503アミノ酸タンパク質(アイソフォーム1)および426アミノ酸タンパク質を有する。ヒトALK5アイソフォーム1に関するタンパク質配列は、例えば、GeneBank受託番号NP_004603.1(NM_004612.2における、対応するヌクレオチド配列を有する)として公開されている。426アミノ酸アイソフォームに関するタンパク質配列は、例えば、GeneBank受託番号NP_001124388.1(NM_001130916.1における、対応するヌクレオチド配列を有する)として公開されている。両方のアイソフォームに関する情報は、UniProtエントリーP36897としても公開されている。
ヒトALK1は、503アミノ酸タンパク質である。このタンパク質配列は、例えば、GeneBank受託番号NP_001070869.1(NM_001077401.1において対応するヌクレオチド配列を有する;転写バリアント2)およびNP_000011.2(NM_000020.2において対応するヌクレオチド配列を有する;転写バリアント1)、UniProtエントリーP37023として公開されている。
ヒトALK3は、532アミノ酸タンパク質である。このタンパク質配列は、例えば、GeneBank受託番号NP_004320(NM_004329.2における対応するヌクレオチド配列を有する)、UniProtエントリーP36894として公開されている。
ヒトALK4は、少なくとも3つのアイソフォームを有する。アイソフォームaは、505アミノ酸タンパク質である。このタンパク質配列は、例えば、GeneBank受託番号NP_004293(NM_004302における対応するヌクレオチド配列を有する)、UniProtエントリーP36896として公開されている。
ヒトALK6のアイソフォームaは、532アミノ酸タンパク質であり、アイソフォームbは、502アミノ酸タンパク質である。ヒトALK6アイソフォームaに関するタンパク質配列は、例えば、GeneBank受託番号NP_001243722(NM_001256793.1における、対応するヌクレオチド配列を有する)として公開されている。ヒトALK6アイソフォームbに関するタンパク質配列は、例えば、GeneBank受託番号NP_001194(NM_001203.2における、対応するヌクレオチド配列を有する)として公開されている。
本発明の医薬組成物は、本発明の化合物が、薬学的に許容される他の担体に加えて、水溶液中で、ミセル、不溶性単一層、液晶、またはラメラ層として凝集形態で存在する脂質などの両親媒性剤と組み合わせた、リポソームまたはミセルの形態であり得る。リポソーム製剤に適した脂質としては、モノグリセリド、ジグリセリド、スルファチド、リゾレシチン、リン脂質、サポニン、胆汁酸などが挙げられるが、これに限定されるものではない。こうしたリポソーム製剤の調製は、これらのすべてが参照により本明細書に組み込まれている、例えば、米国特許第4,235,871号、同第4,501,728号、同第4,837,028号、および同第4,737,323号に開示されている通り、当分野の技術レベルの範囲内である。
用語「薬学的な有効量」または「治療有効量」は、本明細書において使用される場合、有意な患者の利益、例えば、生理的応答または状態(炎症性状態または疼痛など)の処置、治癒、予防、阻害もしくは改善、またはそのような状態の処置、治癒、予防、阻害もしくは改善の速度の増加を示すのに十分な、医薬組成物または方法の、活性な各構成成分の総量を意味する。上記用語を、単独で投与される個々の活性成分に適用する場合、その用語はその成分単独を指す。ある組合せに適用する場合、上記用語は、組み合わせて、連続して、または同時に投与されるかに関わらず、治療効果をもたらす活性成分の合わせた量を指す。
本発明の処置または使用の方法はそれぞれ、本明細書において記載される通り、こうした処置または使用を必要とする哺乳動物に、薬学的有効量もしくは治療有効量の本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくはエステル形態を投与するステップを含む。本発明の化合物は、単独または他の治療と組み合わせるかのいずれかで、本発明の方法に従って投与することができる。
医薬組成物において、または本発明の方法を実施するために使用される本発明の化合物の投与は、様々な慣習的手段で実施することができる。使用することができる、例示的な投与ルートとしては、経口、非経腸、静脈内、動脈内、皮膚内、皮下、筋肉内、局所、頭蓋内、眼窩内、眼内、硝子体内、心室内、嚢内、髄腔内、大槽内、腹腔内、鼻内、エアゾール、中枢神経系(CNS)投与、または座剤による投与が挙げられる。
治療有効量の本発明の化合物が経口投与される場合、本発明の化合物は、錠剤、カプセル剤、散剤、液剤またはエリキシル剤の形態であり得る。錠剤形態で投与される場合、本発明の医薬組成物は、ゼラチンなどの固体担体、またはアジュバントをさらに含有してもよい。錠剤、カプセル剤、および散剤は、約5%〜95%の本発明の化合物、および好ましくは約10%〜90%の本発明の化合物を含有することができる。液体形態で投与される場合、水、石油、動物もしくは植物由来の油、例えば落花生油、鉱物油、リン脂質、tweens、中鎖トリグリセリドを含むトリグリセリド、ダイズ油またはゴマ油などの液状担体、または合成油を加えることができる。本医薬組成物の液体形態は、生理食塩水溶液、デキストロース溶液もしくは他の糖溶液、またはエチレングリコール、プロピレングリコールもしくはポリエチレングリコールなどのグリコールをさらに含有することができる。液体形態で投与される場合、本医薬組成物は、通常、約0.5〜90重量%の本発明の化合物、好ましくは約1%〜50%の本発明の化合物を含有する。
治療有効量の本発明の化合物が静脈内、皮膚内または皮下注射により投与される場合、本発明の化合物は、発熱物質不含の、非経腸的に許容できる水溶液の形態であり得る。十分に考慮されたpH、等張性、安定性などを有する、こうした非経腸的に許容できる溶液の調製は、当分野の技術の範囲内である。静脈内、皮膚内または皮下注射用の好ましい医薬組成物は、本発明の化合物に加えて、塩化ナトリウム注射、リンガー液注射、デキストロース注射、デキストロースおよび塩化ナトリウム注射、乳酸加リンガー液注射などの等張性ビヒクル、または当分野において公知の他のビヒクルを含有すべきである。本発明の医薬組成物はまた、安定化剤、保存剤、緩衝剤、抗酸化剤、または当業者に公知の他の添加物も含有し得る。
本発明の医薬組成物中の本発明の化合物の量は、処置される状態の性質および重症度、ならびに患者が受けた以前の処置の性質に依存することになろう。最終的には、医師が、本発明の化合物の量を決め、その化合物を用いて個々の患者それぞれを処置する。最初に、医師は、低用量の本発明の化合物を投与して、患者の応答を観察することができる。患者に対して最適な治療効果が得られるまで、より多い用量の本発明の化合物を投与することができ、その時点で、投与量はさらに増加させない。本発明の方法を実施するために使用される様々な医薬組成物は、体重1kg当たり約0.1μg〜約100mg(好ましくは、約0.1mg〜約50mg、より好ましくは約1mg〜約2mg)の本発明の化合物を含有すべきであると企図される。
本発明の医薬組成物を使用する、静脈内治療の期間は、処置されている疾患の重症度、および個々の患者それぞれの状態および潜在的な特異体質応答に応じて、様々であろう。本発明の化合物の各適用期間は、連続的な静脈内投与の12〜24時間の範囲になることが企図される。最終的には、医師は、本発明の医薬組成物を用いる静脈内治療の適切な期間を決めることになろう。
本明細書において記載されている方法の反応は、有機合成の当業者により容易に選択することができる、適切な溶媒中で実施することができる。適した溶媒は、反応が実施される温度、すなわちその溶媒の凝固温度からその溶媒の沸騰温度までの範囲とすることができる温度で、出発原料(反応剤)、中間体、または生成物と実質的に非反応性であり得る。所与の反応は、1種の溶媒中、または2種以上の溶媒混合物中で実施することができる。特定の反応工程に応じて、特定の反応ステップに適した溶媒を選択することができる。
多様な病因からなる炎症の貧血におけるIL−6の上昇、インビボでの慢性IL−6投与の効果、およびIL−6欠損げっ歯類における貧血からの防御(Weissら、N. Engl. J. Med.352巻:1011〜1023頁、2005年)に基づくと、炎症性サイトカインIL−6は、炎症性状態におけるヘプシジン発現が上昇する主要な原因であると考えられる。IL−6による肝細胞癌細胞系を刺激すると、ヘプシジン発現が誘導される一方、BMP阻害剤による処置は、IL−6誘発性ヘプシジン発現を止めることが示されている(Yuら、Nat. Chem. Biol.4巻:33〜41頁、2008年)。さらに、本発明者らは、BMP阻害剤が、インビボでの病原性細菌の注入により誘発されるヘプシジン発現を阻害し得ることを見出している。マウスおよびゼブラフィッシュにおける鉄の全身投与は、BMP応答性SMADおよび肝臓でのヘプシジン発現を迅速に活性化すること、ならびにBMP拮抗作用は、これらの応答を効果的に遮断することも示されている(Yuら、Nat. Chem. Biol.4巻:33〜41頁、2008年)。鉄調節におけるBMPシグナリングの機能的重要性は、BMP阻害剤がヘプシジン発現を阻害して、インビボでの血清中の鉄レベルを上昇することができるという、本発明者らの知見によって支持される。総合すれば、これらのデータは、ヘプシジンの鉄媒介性および炎症媒介性調節および鉄の循環レベルの調節は、BMPシグナリングを必要とすることを示唆している。本明細書に記載されている化合物は、治療的利益のため、多様な状況における鉄の利用可能性を変えるために使用することができる。
本明細書に記載されている化合物は、(i)食事による鉄補給または経口による鉄補給(これらは、鉄の静脈内投与よりも安全である)の効力を高め、血清中の鉄濃度を増加させるため、(ii)手術を見越して血液中のヘモグロビン増強を高めるか、または手術を見越して自分自身用に献血することを可能にするため、(iii)エリスロポエチンおよびその関連物の効力を高め、これにより、エリスロポエチンの公知の毒性および副作用(すなわち、高血圧症、心血管イベント、および腫瘍成長)を最小化しながら、貧血のために投与されるエリスロポエチン用量の低下を可能にするため、および(iv)ヘプシジン発現を阻害して、炎症性腸疾患に伴う貧血を治す一助とするために、貧血状態において使用することができる(Wangら、Inflamm. Bowel Dis.2012年1月;18巻(1号):112〜9頁、Epub2011年2月23日)。
本明細書に記載されているBMP阻害剤は、非常に罹りやすい個体における自発的な骨形成を抑制するための慢性的治療として使用することができる。一時的な治療は、最も頻繁に外傷と関連して骨腫または病的な骨を発症するFOP個体において、その外傷的出来事の前、最中、または後にでも投与することによって、異常な骨形成を予防するために使用することができる。本明細書に記載されているBMP阻害剤による一時的な治療は、FOPを有する個体において、必要なもしくは緊急の内科的または外科的手順(および、重要な免疫処置および抜歯でさえも)の前、最中または直後に使用して、病的な石灰化を予防することができる。他の骨阻害剤、免疫調節薬または抗炎症薬(NSAID、ステロイド、シクロスポリン、シクロホスファミド、アザチオプリン、メトトレキサート、リツキシマブ(rituxumab)、エタネルセプト、または類似の薬など)との組合せ治療は、この障害における異所的骨形成の阻害において、BMP阻害剤の有効性を高めることができる。
Creリコンビナーゼの発現に向かわせるアデノウイルスにより遺伝的に改変されたマウスの膝窩に注射することによって、構成的に活性なALK2の変異形態の発現が誘発される、FOPのマウスモデルが開発されている。このモデルは、FOP患者において見られる異所性石灰化および身体障害を再現する。
BMP過剰発現またはBMP II型受容体欠損に関連するBMP活性の増加が疾患の発病の一因となる場合、BMP I型受容体(リガンドおよびII型受容体の両方の下流)のレベルで本明細書に記載されている化合物を使用してBMPシグナリング活性を阻害することは、BMPシグナリング活性の正常化、および腫瘍成長または転移の潜在的阻害の有効な手段となり得る。
本明細書に記載されている化合物は、補助的または一次化学療法のいずれかとして、臨床的利益のために、こうした腫瘍細胞(および、他の腫瘍構成体の細胞タイプ)の成長または転移を減速または抑止させるために使用することができる。同様に、本明細書に記載されているBMP阻害剤は、ある種のタイプのがん(例えば、前立腺癌および乳癌などの腺癌)の骨転移特性を妨げるために使用することができる。さらに、本明細書に記載されている化合物は、骨を形成する腫瘍または骨肉種などの骨に由来する腫瘍のいずれかにおける骨芽細胞活性を阻害するために、(補助的または一次化学療法として)使用することができる。さらに、本明細書に記載されている化合物は、破骨活性(BMP標的遺伝子であるRANKLの作用を介して、BMPによっても調節される)を阻害するために使用することができ、この破骨活性は、多発性骨髄腫および他の骨を標的とする腫瘍などの状態において病的に増加する。これらの状態におけるBMP阻害剤を適用すると、腫瘍の関与による骨溶解性病変および骨折の存在を低減することができる。
リンパ球および他の免疫細胞は、それらの細胞表面上にBMP受容体を発現し、BMPが様々な液性および細胞性免疫学的コンパートメントの発達および成熟を調節しているということ、ならびに成熟生物において液性および細胞性免疫応答を調節しているという証拠が増加している。免疫学的に重要な多数のサイトカインの効果について一般に知られているのと同様に、免疫細胞に及ぼすBMPシグナルの効果は状況特異的である可能性が高く、したがって、BMPシグナルの効果が、特定のリンパ球集団の発達または機能を増大させるかまたは減少させるかは、経験的に決定しなければならない。本明細書に記載されている化合物を使用するBMP拮抗作用は、治療の場合には、細胞性、自然もしくは液性免疫コンパートメントの発達を意図的に偏らせるための有効な戦略、または成熟した免疫系においては免疫応答を治療上逸脱させるための戦略になり得る。これらの戦略は、細胞性、自然もしくは液性免疫の持って生まれた障害を標的とすることができるか、または(例えば、他の手段による免疫処置が困難または無効である場合の抗原感作の成功を促進するためのアジュバントとして)免疫応答が不適切に弱い障害を標的とすることができるか、または免疫応答が過剰もしくは不適切である場合(例えば、自己免疫および自己感作)の障害を標的とすることができる。本明細書に記載されているBMP阻害剤はまた、いくつかの状況において、免疫寛容の意図的誘発(すなわち、同種移植または自己免疫において)にとって、ならびに自己免疫疾患および炎症性腸疾患(IBD)などの適応症にとって有効にもなり得る(Wangら、Inflamm. Bowel Dis.2012年1月;18巻(1号):112〜9頁、 Epub2011年2月23日)。本明細書に記載されているBMP阻害剤は、炎症性大腸炎のモデルにおいて、Salmonella typhimuriumに応答する、マクロファージ媒介性炎症も減衰し得る(Wang Lら、J Clin Invest.2009年;119巻(11号):3322頁)
筋肉への鈍的外傷性損傷は、ある特定の個体において、筋肉内に異常な骨形成を引き起こす恐れがあり、これによって外傷性骨化性筋炎と呼ばれる障害を生じる(Cushnerら、Orthop.Rev.21巻:1319〜1326頁、1992年)。頭部外傷および熱傷はまた、異所的骨形成を誘導する恐れもあり、これは、患者のリハビリテーションおよび回復に著しい弊害がある。場合によってこうした状態のために通常処方される抗炎症薬物(例えば、インドメタシンまたはイブプロフェンなどの非ステロイド系抗炎症性薬)の他に、本明細書に記載されているBMP阻害剤による処置は、罹患しやすい個体における病的な骨形成の予防、または最近もしくはかなり以前に罹患した個体における病変の縮小もしくは退行の一助となり得る。心筋を含めた他の筋肉が、損傷または外傷の存在下で骨化を発症すると記載されているのは非常にまれであり、本明細書に記載されているBMP阻害剤による類似の処置は、これらの状況において役立ち得る。
本明細書に記載されている化合物は、単独、またはアテローム性疾患、腎疾患、腎性骨形成異常症もしくは上皮小体疾患と組み合わせて、血管または弁の石灰化疾患を阻害するために使用することができる。
本明細書に記載されている化合物は、全身もしくは局部投与によって、または補綴物材料もしくは他のインプラントへの直接的組み込みによって(例えば、インプラントまたは補綴物のすべてまたは一部をコーティングまたは構成するポリマーを有する混合物中で)、血管または弁の補綴物材料の石灰化を阻害するために使用することができる。
一部の例において、骨折後の骨折治癒を遅延させること、または不適応な骨形成による機能障害を予防するために特定の場所において骨折治癒を意図的に阻害することが望ましい。例えば、骨折が生じ、医療的または実施上の理由のため、直ちに手術を行うことができない場合、完全な手術または手技を行うことができるまで、骨折治癒は、本明細書に記載されているBMP阻害剤の使用によって一時的に「延期」することができる。これは、例えば、骨フラグメントの適切な付着を確実とするために、後で意図的に再骨折を行う必要性を予防することができる。処置期間が比較的短い場合、BMP阻害剤を中止すると、正常な骨折治癒過程が確実となることが予期される。他の場合において、骨折が関節に直接、影響している場合など、新規の骨成長はどのような量であっても、機能を損なう恐れがある。これらの場合において、(局部インプラントまたはマトリックスからの拡散を介した、本明細書に記載されているBMP阻害剤の全身的または局部的送達による)BMP活性の全体的または局部阻害は、重症領域において、骨折治癒を阻害するため、または骨折仮骨を予防するために使用することができる。
上皮形成の向上−BMP6は皮膚損傷部において高度に発現し、高レベルのBMP6は、様々な病因の慢性的なヒト創傷において検出される(Kaiserら、J.Invest. Dermatol.111巻:1145〜1152頁、1998年)。これらの皮膚にBMP6を過剰発現しているマウスにおいて、再上皮形成および皮膚創傷の治癒は有意に遅延された(Kaiserら、J.Invest. Dermatol.111巻:1145〜1152頁、1998年)。上皮形成の向上は、瘢痕形成を低減し得る。本明細書に記載されているBMP阻害剤の局所または全身投与は、例えば、圧迫潰瘍(とこずれ)、または治癒していないかもしくは治癒が不十分の皮膚潰瘍(例えば、末梢血管疾患、糖尿病、静脈不全を有する患者における)の処置において、皮膚創傷の上皮形成を高めるために使用することができる。化合物はまた、瘢痕形成を低減することも予期される。
毛髪成長の促進−頭皮の毛包成長は3つの期:発育期(成長期)、退行期(退縮期)、および休止期(静止期)を有するサイクルである。最近の証拠は、BMPシグナルは休止期から発育期への移行を遅延させることを示唆している(Plikusら、Nature451巻:340〜344頁、2008年)。本明細書に記載されている化合物を使用するBMPシグナリングの阻害は、休止期を短縮し、発育期における毛包の数を増加することができる。本明細書に記載されている化合物は、毛包が不十分である状況、または毛髪が成長するよりも高い頻度で失われる場合の処置に使用することができる。これらの状況は、アンドロゲン性脱毛症(男性型脱毛症)、円形脱毛症、および休止期脱毛を含む。
乾癬の処置−乾癬は、炎症性皮膚障害であり、この障害は、時として皮膚外傷、ならびにその後の修復および炎症後に起こる(Koebner現象)。マウスの皮膚におけるBMP6の過剰発現は、乾癬を有する患者において見られるものと類似した皮膚病変をもたらすので(Blessingら、J.Cell.Biol.135巻:227〜239頁、1996年)、BMPは、修復、および乾癬を引き起こす炎症性メカニズムに関与する可能性がある。本明細書に記載されている化合物は、確立された乾癬を処置するため、または皮膚損傷後の乾癬発症を予防するため、局所または全身投与することができる。
角膜瘢痕化の処置−BMP6発現は、結膜の瘢痕化に関連する(Andreevら、Exp. Eye Res. 83巻:1162〜1170頁、2006年)。明細書に記載されている化合物は、角膜瘢痕化およびその結果として起こる失明を予防または処置するために使用することができる。
本明細書に記載されている化合物は、肺動脈性肺高血圧症のリスクがある患者(例えば、BMPRII変異を有する患者)においてこの疾患の発症を予防するため、または特発性もしくは後天性肺動脈性肺高血圧症を有する患者を処置するために使用することができる。本明細書に記載されている化合物により処置された個体における肺高血圧症の低減は、息切れ、右心室肥大、および右心室不全を低減することが予期される。
RGMaは脊髄損傷後の軸索成長および回復、ならびにシナプス再形成を阻害し、その効果は、RGMaに向かう抗体によって遮断される(Hataら、J. Cell. Biol.173巻:47〜58頁、2006年;Kyotoら、Brain Res.1186巻:74〜86頁、2007年)。RGMaはBMPシグナリングを増強し(Babittら、J. Biol. Chem. 280巻:29820〜29827頁、2005年)、これは、BMPシグナリングが、軸索成長および回復を妨げる原因となり得ることを示唆している。
これらの考察に基づくと、本明細書に記載されている化合物は、脊髄損傷後の軸索成長および回復を高めることが予期される。本明細書に記載されている化合物は、糖尿病を含む広範な障害に関連する神経障害を予防/処置することが予期される。本明細書に記載されている化合物は、神経障害に関連する疼痛および運動機能障害のどちらも処置することが予期される。
中枢神経系の炎症に関連する神経障害の処置−BMP4および5は、多発性硬化症およびクロイツフェルト−ヤコブ病の病変において検出されている(Deiningerら、Acta Neuropathol.90巻:76〜79頁、1995年)。BMPはまた、多発性硬化症の動物モデルである、実験的自己免疫脳脊髄炎を有するマウスにおいても検出されている(Araら、J.Neurosci.Res.86巻:125〜135頁、2008年)。本明細書に記載されている化合物は、多発性硬化症、および中枢神経系の炎症に関連するかまたはBMPシグナルによって媒介される不適応な損傷修復過程に関連する他の神経障害を予防または処置するために使用することができる。
認知症の処置−BMPシグナリングの阻害剤は、マウスの神経前駆細胞における神経発生を促進することができる(Koikeら、J. Biol. Chem.282巻:15843〜15850頁、2007年)。本明細書に記載されている化合物は、脳血管障害およびアルツハイマー病、ならびに他の認知症を含めた、ニューロンの加速度的喪失に関連する様々な神経障害において神経発生を増大するために使用することができる。
記憶および学習の変化−BMPシグナリングは、記憶および認知行動に関与するニューロンの発生および維持において重要な役割を有している。例えば、BMP阻害剤であるコーディンが欠損しているマウスは、空間学習は高まるが、新規の環境における探査的活動は低下する(Sunら、J. Neurosci.27巻:7740〜7750頁、2007年)。本明細書に記載されている化合物は、例えば麻酔のために起こる、またはストレスを引き起こす可能性のある他の状況における記憶喪失を含めた、記憶もしくは学習を変化または予防するため、あるいは心的外傷後ストレス障害を予防するために使用することができる。
マトリックスリモデリングに影響を及ぼすBMP、および多くのBMP誘発性遺伝子産生物が、初期アテローム硬化性病変において過剰発現しているので、BMPシグナルは、アテローム性プラーク形成および進行を促進することができる(Bostromら、J Clin Invest.91巻:1800〜1809頁、1993年;Dhoreら、Arterioscler Thromb Vasc Biol.21巻:1998〜2003頁、2001年)。したがって、アテローム性プラークにおけるBMPシグナリング活性は、不適応な損傷修復の一形態を表し得るか、または炎症の一因となり得る。BMPシグナルはまた、経時的に、骨芽細胞様細胞へと分化するよう、常在性または新生血管細胞集団を誘発し、これにより、血管内膜および内側の石灰化をもたらし得る(Hruskaら、Circ Res97巻:105〜112頁、2005年)。石灰化血管疾患または動脈硬化症は、血管進展性の低下ならびに心血管イベントのリスクおよび死亡率の増加に関連しており、根本となるアテローム硬化性疾患を伴う場合、特に問題となる(Bostromら、Crit Rev Eukaryot Gene Expr.10巻:151〜158頁、2000年)。しかし、アテローム硬化性および石灰化病変の進行の一因となるシグナルを妨害することができる場合、これらの病変はどちらも退行しやすいことがある(Sanoら、Circulation.103巻:2955〜2960頁、2001年)。ある特定の態様において、BMP I型受容体活性の阻害剤は、インビボにおいてアテローム性プラークおよび血管石灰化の進行を制限するために使用することができる(Derwallら、Arteriosclerosis、Thrombosis、and Vascular Biology.2012年;32巻:613〜622頁)。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載されているBMP阻害剤は、患者における、ApoB−100の循環レベルの低下に使用することができる。ある特定の実施形態において、本明細書に記載されているBMP阻害剤は、患者における、LDLの循環レベルの低下に使用することができる。したがって、本明細書に記載されているBMP阻害剤は、先天性または後天性の高コレステロール血症、高脂血症、または高リポタンパク質血症を含めた、高コレステロール血症、高脂血症、または高リポタンパク質血症の処置に使用することができる。
ある特定の実施形態において、この先天性の高コレステロール血症、高脂血症、または高リポタンパク質血症とは、常染色体優性高コレステロール血症(ADH)、家族性高コレステロール血症(FH)、多遣伝子性高コレステロール血症、家族性複合型高脂血症(FCHL)、高アポベータリポタンパク質血症、または低密度LDL症候群(LDL表現型B)である。
ある特定の実施形態において、後天性の高コレステロール血症、高脂血症、または高リポタンパク質血症は、糖尿病、高脂肪食および/または座ることの多いライフスタイル、肥満、代謝症候群、内在性または続発性肝臓疾患、原発性胆汁性肝硬変症または他の胆汁うっ滞障害、アルコール依存症、膵臓炎、ネフローゼ症候群、末期腎疾患、甲状腺機能低下症、チアジド、ベータ遮断薬、レチノイド、高活性抗レトロウイルス剤、エストロゲン、プロゲスチンまたはグルココルチコイドの投与による医原病に関連する。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載されているBMP阻害剤は、シトステロール血症、脳腱黄色腫症、または家族性低ベータリポタンパク質血症などの、脂質吸収または代謝の欠陥に関連する疾患、障害または症候群の処置に使用することができる。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載されているBMP阻害剤は、冠動脈疾患およびその兆候(例えば、心筋梗塞;狭心症;不安定狭心症などの急性冠動脈症候群、心筋梗塞により引き起こされるうっ血性心不全などの心機能不全、または心筋虚血症/梗塞に関連する不整脈)、脳の部分に供給している動脈の閉塞による発作、脳出血、末梢動脈疾患(例えば、腸間膜虚血、腎動脈狭窄、虚血肢および跛行;鎖骨下動脈盗血症候群;腹部大動脈瘤、胸部大動脈瘤、偽動脈瘤、壁内血腫;または穿通性大動脈潰瘍、大動脈解離、大動脈弁狭窄症、血管石灰化、腱または強膜および皮下の黄色腫に影響を及ぼす黄色腫などの黄色腫、黄色板症、または肝脂肪症などの高脂血症により引き起こされる疾患、障害または症候群の処置に使用することができる。ある特定の実施形態において、本明細書に記載されているBMP阻害剤は、正常な脂質循環レベルまたは代謝を示す個体における場合など、脂質循環レベルに関わらず、前記の疾患、障害または症候群の処置に使用することができる。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載されているBMP阻害剤は、冠動脈、脳、または末梢血管の疾患から発生する、続発性心血管イベントの低減に使用することができる。ある特定のこうした実施形態において、本明細書に記載されているBMP阻害剤は、コレステロールおよび脂質の正常な循環レベルを示す個体の処置に使用するなど、脂質レベルに関わらず、個体を処置するために使用することができる。ある特定のこうした実施形態において、本明細書に記載されているBMP阻害剤は、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤と共投与される。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載されているBMP阻害剤は、心血管リスク(例えば、C反応性タンパク質)のマーカーの高い個体、または例えば、フラミンガムリスクスコアの高い個体における場合などの、心血管疾患を予防するために使用することができる。ある特定のこうした実施形態において、本明細書に記載されているBMP阻害剤は、コレステロールおよび脂質の正常な循環レベルを示す個体における心血管疾患を予防するために使用することができる。
本明細書に記載されている1種または複数のBMP阻害剤を前記の疾患、障害または症候群に使用する、ある特定の実施形態において、処置される患者は、1つまたは複数の以下の状態:アテローム性動脈硬化症、自己免疫疾患、および他の脈管炎に関連する血管炎症;アテローム硬化性疾患、アテローム性プラーク、および/または血管石灰化;動脈瘤および/または動脈瘤形成;急性冠症候群(狭心症および心臓発作)、一過性脳虚血発作、発作、末梢血管疾患、または他の虚血性血管イベントの診断を受けていない、かつ/またはそれらを罹患していない。
本明細書に記載されている1種または複数のBMP阻害剤を前記の疾患、障害または症候群に使用する(例えば、患者におけるApoB−100および/もしくはLDLの循環レベル低下のため、先天性もしくは後天性の高コレステロール血症、高脂血症、もしくは高リポタンパク質血症を含めた、高コレステロール血症、高脂血症、もしくは高リポタンパク質血症の処置のため、脂質吸収もしくは代謝の欠陥に関連する疾患、障害もしくは症候群の処置のため、高脂血症により引き起こされる疾患、障害もしくは症候群の処置のため、冠動脈、脳、もしくは末梢血管の疾患から発生する続発性心血管イベントの低減のため、または冠動脈、脳、もしくは末梢血管の疾患から発生する続発性心血管イベントの低減のため)他の実施形態において、処置される患者は、1つまたは複数の以下の状態:アテローム性動脈硬化症、自己免疫疾患、および他の脈管炎に関連する血管炎症;アテローム硬化性疾患、アテローム性プラーク、および/または血管石灰化;動脈瘤および/または動脈瘤形成;急性冠症候群(狭心症および心臓発作)、一過性脳虚血発作、発作、末梢血管疾患、または他の虚血性血管イベントの診断をやはり受けている、かつ/またはそれらをやはり罹患している。
多くの幹細胞系列および前駆体系列は、拡大増殖するか、特異的な組織系列に分化するか、特定の組織型にたどり着いて統合するか、またはプログラム細胞死を受けるかを決定するために、BMPシグナルを必要とする。しばしば、BMPシグナルは、成長因子(bFGF、PDGF、VEGF、HBEGF、PlGF、およびその他)、ソニックヘッジホッグ(SHH)、ノッチ、およびWntシグナリング経路によって提供されるシグナルと相互作用し、上記のこうした変化に影響を及ぼす(Okitaら、Curr.Stem Cell Res.Ther.1巻:103〜111頁、2006年)。本明細書に記載されている化合物は、治療的用途のため、幹細胞(例えば、胚性幹細胞)または組織前駆細胞の特異的系列への分化を方向付けるために使用することができる(Parkら、Development131巻:2749〜2762頁、2004年;Pashmforoushら、Cell117巻:373〜386頁、2004年)。あるいは、ある種の細胞集団の場合、本明細書に記載されているBMP阻害剤は、臨床的用途に有効となるのに十分な数の細胞を生じるために、分化を防ぎ拡大増殖を促進する上で有効となり得る。BMP阻害剤と、成長因子またはシグナリング分子との厳格な組合せは、各細胞および組織型に対して非常に特異的となり得る。
例えば、ある種の胚性幹細胞系は、培養されたある種の胚性幹細胞系の分化を阻害して、多能性を維持するために、白血病阻止因子(LIF)との共培養を必要とする(Okitaら、Curr.Stem Cell Res.Ther.1巻:103〜111頁、2006年)。本明細書に記載されているBMP阻害剤の使用は、LIFの非存在下で多能性を維持するために使用することができる。他のES細胞系は、多能性を維持するために、特定のフィーダー細胞層との共培養を必要とする。本明細書に記載されているBMP阻害剤を単独または他の薬剤と組み合わせた使用は、フィーダー細胞層による汚染の懸念、またはそのDNAもしくはタンパク質の構成成分が、ヒト治療にとって細胞の使用を困難にするか、または妨げとなる場合、多能性を維持する上で有効となり得る。
別の例において、一部の状況では、培養物中でLIFの休止直前にノギンなどのタンパク質によってBMPシグナルに拮抗すると、心筋細胞系列への分化を誘発することができる(Yuasaら、Nat. Biotechnol.23巻:607〜611頁、2005年)。本明細書に記載されている薬理学的BMP阻害剤の使用は、類似の効果、もしそうでない場合、一層強力な効果を達成することができる。こうした分化細胞は、疾患のある心筋に治療的に導入することができる。あるいは、こうした処置は、実際には、既に疾患のある心筋にたどり着いている生着前駆細胞に対し、一層有効となり得る。ノギンなどのBMPのタンパク質阻害剤による全身的治療は、非常に費用がかかり、かつ複雑な投与を必要とする。本明細書に記載されているBMP阻害剤の全身的または局部的な送達は、インサイチュで、こうした前駆細胞の分化を、機能している心筋細胞へと偏らせることができる。
P.様々な程度の選択性を有する化合物の適用:特定のBMP I型受容体を介してBMPシグナリングを阻害する化合物、またはTGF−β、アクチビン、AMPキナーゼ、またはVEGF受容体を介したシグナリングにも影響を及ぼす化合物
ALK特異的阻害剤−ドルソモルフィンは、BMP I型受容体である、ALK2、ALK3およびALK6の活性を阻害する。ドルソモルフィンは、ALK2およびALK3を、ALK6よりも高い程度で阻害する(Yuら、Nat.Chem.Biol.4巻:33〜41頁、2008年)。本明細書に記載されている化合物のいくつかは、特定のBMP I型受容体に対し相対的により高い選択性を有するであろう。ある種の疾患の発病は、ある特定の受容体のシグナリングの機能障害に起因し得る。例えば、進行性骨化性線維異形成症は、異常な(構成的に活性な)ALK2機能によって引き起こされる疾患である(Yuら、Nat.Chem.Biol.4巻:33〜41頁、2008年)。そのような例において、一部のBMP I型受容体の機能に特異的に拮抗する本明細書に記載されている化合物は、毒性もしくは副作用の低下、またはより高い有効性、またはその両方の利点を有し得る。
本明細書に記載されている化合物の一部は、TGF−β、アクチビン、AMPキナーゼ、およびVEGF受容体のシグナリングに比べて、BMPに対して高い程度の選択性を有し得る。他の化合物は、特異性がより低いことがあり、BMPシグナリングに加えて他の経路も標的にすることがある。腫瘍の処置において、例えば、特定の患者の腫瘍の分子表現型決定が複数の経路の調節障害を明らかにする場合、BMPシグナリングおよび1つまたは複数の上記経路を阻害する薬剤は、有益な効果(例えば、腫瘍サイズの低下)を有し得る。
本明細書に記載されている一部の化合物は、ALK1またはALK3またはALK4またはALK5またはALK6と比べて、ALK2に対して高い程度の選択性を有する。ALK1またはALK3またはALK4またはALK5またはALK6と比べて、ALK2の選択的阻害は、望ましくない効果または毒性を最小化することができる。慢性的なALK3阻害により、腸管のクリプト幹細胞リサイクリングにおける公知の重要性による正常な上皮粘膜の代謝回転、および若年性家族性ポリポーシスにおけるALK3機能の関与が損なわれ得る。ALK1阻害により、正常な血管リモデリングが損なわれ、毛細血管からの漏出、AV奇形および出血などの、ヒト遺伝性毛細血管拡張症症候群2型(HHT2)に似た合併症をもたらし得る。したがって、ALK3およびALK1に比べて、ALK2を選択的に阻害する化合物は、非選択的な阻害剤の使用によって遭遇し得る、このタイプの毒性を回避する一助となり得る。
ある特定の実施形態において、本発明は、ヒトにおけるALK2の活性を阻害する方法であって、ヒトALK1の活性と比べて、ヒトALK2の活性を選択的に阻害する低分子をヒトに投与するステップを含む、方法を提供する。一部のこうした実施形態において、本低分子は、ヒトALK1の活性を阻害するそのIC50の約2分の1のIC50で、ヒトALK2の活性を阻害する。一部のこうした実施形態において、本低分子は、ヒトALK1の活性を阻害するそのIC50の5分の1のIC50で、ヒトALK2の活性を阻害する。一部のこうした実施形態において、本低分子は、ヒトALK1の活性を阻害するそのIC50の10分の1のIC50で、ヒトALK2の活性を阻害する。一部のこうした実施形態において、本低分子は、ヒトALK1の活性を阻害するそのIC50の15分の1、または20分の1、または30分の1、または40分の1、または50分の1、または100分の1、または200分の1、または300分の1、または400分の1、または500分の1、または600分の1、または800分の1、または1000分の1、または1500分の1、または2000分の1、または5000分の1、または10000分の1、または15,000分の1、または20,000分の1、または40,000分の1、または50,000分の1、または60,000分の1、または70,000分の1、または80,000分の1、または90,000分の1、または100,000の1のIC50で、ヒトALK2の活性を阻害する。ある特定の実施形態において、本低分子は、本明細書に記載されている式I、式II、または式IIIの構造を有する。
ある特定の実施形態において、本発明は、ヒトにおけるALK2の活性を阻害する方法であって、ヒトALK3の活性と比べて、ヒトALK2の活性を選択的に阻害する低分子をヒトに投与するステップを含む、方法を提供する。一部のこうした実施形態において、本低分子は、ヒトALK3の活性を阻害するそのIC50の15分の1のIC50で、ヒトALK2の活性を阻害する。一部のこうした実施形態において、本低分子は、ヒトALK3の活性を阻害するそのIC50の20分の1のIC50で、ヒトALK2の活性を阻害する。一部のこうした実施形態において、本低分子は、ヒトALK3の活性を阻害するそのIC50の30分の1のIC50で、ヒトALK2の活性を阻害する。一部のこうした実施形態において、本低分子は、ヒトALK3の活性を阻害するそのIC50の50分の1、または100分の1、または200分の1、または300分の1、または400分の1、または500分の1、または600分の1、または800分の1、または1000分の1、または1500分の1、または2000分の1、または5000分の1、または10000分の1、または15,000分の1、または20,000分の1、または40,000分の1、または60,000分の1、または70,000分の1、または80,000分の1、または90,000分の1、または100,000の1のIC50で、ヒトALK2の活性を阻害する。ある特定の実施形態において、本低分子は、本明細書に記載されている式I、式II、または式IIIの構造を有する。
ある特定の実施形態において、本発明は、ヒトにおけるALK2の活性を阻害する方法であって、ヒトALK4の活性と比べて、ヒトALK2の活性を選択的に阻害する低分子をヒトに投与するステップを含む、方法を提供する。一部のこうした実施形態において、本低分子は、ヒトALK4の活性を阻害するそのIC50の1000分の1のIC50で、ヒトALK2の活性を阻害する。一部のこうした実施形態において、本低分子は、ヒトALK4の活性を阻害するそのIC50の2000分の1のIC50で、ヒトALK2の活性を阻害する。一部のこうした実施形態において、本低分子は、ヒトALK4の活性を阻害するそのIC50の3000分の1のIC50で、ヒトALK2の活性を阻害する。一部のこうした実施形態において、本低分子は、ヒトALK4の活性を阻害するそのIC50の4000分の1、または5000分の1、または6000分の1、または7000分の1、または8000分の1、または9000分の1、または10,000分の1、または12,000分の1、または14,000分の1、または16,000分の1、または18,000分の1、または20,000分の1、または25,000分の1、または30,000分の1、または40,000分の1、または50,000分の1、または60,000分の1、または70,000分の1、または80,000分の1、または90,000分の1、または100,000分の1のIC50で、ヒトALK2の活性を阻害する。ある特定の実施形態において、本低分子は、本明細書に記載されている式I、式II、または式IIIの構造を有する。
ある特定の実施形態において、本発明は、ヒトにおけるALK2の活性を阻害する方法であって、ヒトALK6の活性と比べて、ヒトALK2の活性を選択的に阻害する低分子をヒトに投与するステップを含む、方法を提供する。一部のこうした実施形態において、本低分子は、ヒトALK6の活性を阻害するそのIC50の2分の1のIC50で、ヒトALK2の活性を阻害する。一部のこうした実施形態において、本低分子は、ヒトALK6の活性を阻害するそのIC50の5分の1のIC50で、ヒトALK2の活性を阻害する。一部のこうした実施形態において、本低分子は、ヒトALK6の活性を阻害するそのIC50の10分の1のIC50で、ヒトALK2の活性を阻害する。一部のこうした実施形態において、本低分子は、ヒトALK6の活性を阻害するそのIC50の15分の1、または20分の1、または30分の1、または40分の1、または50分の1、または100分の1、または200分の1、または300分の1、または400分の1、または500分の1、または600分の1、または800分の1、または1000分の1、または1500分の1、または2000分の1、または5000分の1、または10000分の1、または15,000分の1、または20,000分の1、または40,000分の1、または50,000分の1、または60,000分の1、または70,000分の1、または80,000分の1、または90,000分の1、または100,000の1のIC50で、ヒトALK2の活性を阻害する。ある特定の実施形態において、本低分子は、本明細書に記載されている式I、式II、または式IIIの構造を有する。
一態様において、本発明は、ヒトにおけるALK2の活性を阻害する方法であって、ヒトALK5の活性と比べて、ヒトALK2の活性を選択的に阻害する低分子をヒトに投与するステップを含む、方法を提供する。一部のこうした実施形態において、本低分子は、ヒトALK5の活性を阻害するそのIC50の1000分の1のIC50で、ヒトALK2の活性を阻害する。一部のこうした実施形態において、本低分子は、ヒトALK5の活性を阻害するそのIC50の2000分の1のIC50で、ヒトALK2の活性を阻害する。一部のこうした実施形態において、本低分子は、ヒトALK5の活性を阻害するそのIC50の3000分の1のIC50で、ヒトALK2の活性を阻害する。一部のこうした実施形態において、本低分子は、ヒトALK5の活性を阻害するそのIC50の4000分の1、または5000分の1、また6000分の1、または7000分の1、または8000分の1、または9000分の1、または10,000分の1、または12,000分の1、または14,000分の1、または16,000分の1、または18,000分の1、または20,000分の1、または25,000分の1、または30,000分の1、または40,000分の1、または50,000分の1、または60,000分の1、または70,000分の1、または80,000分の1、または90,000分の1、または100,000分の1のIC50で、ヒトALK2の活性を阻害する。ある特定の実施形態において、本低分子は、本明細書に記載されている式I、式II、または式IIIの構造を有する。
本明細書に記載されている化合物は、当業者により適切であると決定された、投与量および投与レジメンの使用により、対象(例えば、ヒト、家庭向けペット、家禽または他の動物)を処置するために使用することができ、これらのパラメータは、例えば、処置される障害のタイプおよび程度、対象の総合的な健康状態、その化合物の治療指数、および投与ルートに応じて様々となり得る。標準的な臨床試験を使用して、本発明の特定の医薬組成物のいずれについても用量および投与頻度を最適化することができる。使用することができる、例示的な投与ルートとしては、経口、非経腸、静脈内、動脈内、皮膚、筋肉内、局所、頭蓋内、眼窩内、眼内、心室内、嚢内、髄腔内、大槽内、腹腔内、鼻内、エアゾール、または座剤による投与が挙げられる。本発明に使用することができる製剤を作製する方法は、当分野で周知であり、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy(第20版、A.R. Gennaro(編))、Lippincott Williams & Wilkins、2000年において見出すことができる。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載されているBMP阻害剤は、以下に限定されないが、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(例えば、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、またはシンバスタチン)、フィブレート(例えば、ベザフィブレート、シプロフィブレート、クロフィブレート、ゲムフィブロジルまたはフェノフィブレート)、エゼチミブ、ナイアシン、コレステロールエステル転移タンパク質(CETP)阻害剤(例えば、トルセトラピブ、アナセトラピブ、またはダルセトラピブ)、コレスチルアミン、コレスチポール、プロブコール、デキストロチロキシン、胆汁酸隔離剤、または上記の組合せを含む、他の抗高脂血症剤または抗脂血症剤と共投与することができる。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載されているBMP阻害剤は、以下に限定されないが、スルホニルウレア(例えば、クロルプロパミド、トルブタミド、グリブリド、グリピジド、またはグリメピリド)、肝臓により産生されるグルコース量を低下させる薬物(例えば、メトホルミン)、メグリチニド(例えば、レパグリニドまたはナテグリニド)、腸からの炭水化物の吸収を低下させる薬物(例えば、アカルボースなどのアルファグルコシダーゼ阻害剤)、血糖制御を行う薬物(例えば、プラムリンチドまたはエクセナチド)、DPP−IV阻害剤(例えば、シタグリプチン)、インスリン処置剤、チアゾリジノン(例えば、トログリタゾン、シグリタゾン、ピオグリタゾン、またはロシグリタゾン)、オキサジアゾリジンジオン、アルファ−グルコシダーゼ阻害剤(例えば、ミグリトールまたはアカルボース)、ベータ細胞のATP依存性カリウムチャネルに作用する薬剤(例えば、トルブタミド、グリベンクラミド、グリピジド、グリカジド、またはレパグリニド)、ナテグリニド、グルカゴン阻害剤、糖新生および/またはグリコーゲン分解の刺激に関与する肝酵素の阻害剤、または上記の組合せを含む、糖尿病のための処置剤と一緒に共投与することができる。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載されているBMP阻害剤は、以下に限定されないが、オルリスタット、シブトラミン、フェンジメトラジン、フェンテルミン、ジエチルプロピン、ベンズフェタミン、マジンドール、デキストロアンフェタミン、リモナバント、セチリスタット、GT389−255、APD356、プラムリンチド/AC137、PYY3−36、AC162352/PYY3−36、オキシントモデュリン、TM30338、AOD9604、オレオイル−エストロン、ブロモクリプチン、エフェドリン、レプチン、シュードエフェドリン、または薬学的に許容されるそれらの塩、または上記の組合せを含む、肥満の処置剤と共投与することができる。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載されているBMP阻害剤は、以下に限定されないが、ベータ遮断薬(例えば、アルプレノロール、アテノロール、チモロール、ピンドロール、プロプラノロールおよびメトプロロール)、ACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害剤(例えば、ベナゼプリル、カプトプリル、エナラプリル、ホシノプリル、リシノプリル、キナプリルおよびラミプリル)、カルシウムチャネル遮断薬(例えば、ニフェジピン、フェロジピン、ニカルジピン、イスラジピン、ニモジピン、ジルチアゼムおよびベラパミル)、およびアルファ遮断薬(例えば、ドキサゾシン、ウラピジル、プラゾシン、およびテラゾシン)、または上記の組合せを含む降圧剤と共投与することができる。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載されているBMP阻害剤は、以下に限定されないが、赤血球生成促進剤(例えばエリスロポエチン)を含む、貧血(例えば、腎不全および血液透析に関連する炎症の貧血)の処置剤と共投与することができる。
SU−5416などのチロシンキナーゼ受容体阻害剤および本明細書に記載されているBMP阻害剤は、血管新生の阻害、特に腫瘍に対する抗血管新生療法において相乗効果を有することがある。BMPシグナル(BMP−4)は、造血/内皮共通前駆体への幹細胞または前駆細胞の運命決定にとって重要であると考えられており、血管新生に必要な成熟内皮細胞の増殖、生存、および移動を促進することができる(Parkら、Development131巻:2749〜2762頁、2004年)。したがって、本明細書に記載されている化合物を用いたBMPシグナルの拮抗は、内皮前駆体および内皮細胞レベルで、血管新生のさらなる阻害をもたらすことができる。同様に、本明細書に記載されているBMP阻害剤とイマチニブ(グリベック)などの他のチロシンキナーゼ受容体阻害剤との共処置は、血管リモデリングおよびある種の腫瘍の血管新生を阻害するために使用することができる。
BMP経路を阻害すると休止期を短くしながら、SHH活性が毛包の休止期(静止期)からの移行を刺激することが知られているので(Paladiniら、J. Invest. Dermatol125巻:638〜646頁、2005年)、ソニックヘッジホッグアゴニストと本明細書に記載されているBMP阻害剤との組合せは、毛髪の成長を促進するのに特に有用となり得る(Plikusら、Nature451巻:340〜344頁、2008年)。両者の使用は、発育期または成長期における時間の相対的増加を引き起こすことが予期される。
ノッチモジュレーター(例えば、ガンマ−セクレターゼ阻害剤)と本明細書に記載されているBMP阻害剤との組合せ使用は、両者の経路が協同して機能し、細胞分化および血管細胞移動をもたらすことを示唆する証拠が増加しているので(Kluppelら、Bioessays27巻:115〜118頁、2005年)、血管リモデリングまたは骨分化を阻害するように設計された適用において、どちらか一方の薬剤だけよりも有効となり得る。これらの治療は、一方または両方の経路が乱れている腫瘍の処置において相乗性を示し得る(Katoh、Stem Cell Rev.3巻:30〜38頁、2007年)。
インディアンヘッジホッグ(IHH)アンタゴニストと本明細書に記載されているBMP阻害剤との組合せ使用は、病的な骨形成を阻害することができる。IHHは、軟骨細胞または軟骨形成細胞への骨前駆体の運命決定の原因である。軟骨性骨形成は、軟骨形成(BMPシグナルおよびIHHシグナルによって促進される)と、BMPシグナルにより開始される無機質化プログラムによるその後の石灰化の両方の協調された活性を必要とする(Sekiら、J. Biol. Chem.279巻:18544〜18549頁、2004年;Mininaら、Development128巻:4523〜4534頁、2001年)。したがって、IHHアンタゴニストと本明細書に記載されているBMP阻害剤との共投与は、過剰に活性なBMPシグナリング(FOPにおけるものなど)による病的骨成長の阻害、または上記の病的骨形成の炎症性もしくは外傷性障害のいずれにおいても、一層有効となり得る。
神経膠芽腫の処置に対するSmo拮抗作用とBMP拮抗作用の両者の効果について、確固たる実験的証拠が存在する。本明細書に記載されている化合物は、神経膠芽腫を処置するため、Smoアンタゴニストと組み合わせて使用することができる。
治療法において患者に投与することに加えて、本明細書に記載されている化合物はまた、エクスビボで、患者に移植される細胞および組織、ならびに構造材料(上記参照)を処理するために使用することもできる。例えば、本化合物は、例えば移植において使用することができる、外植された組織を処理するために使用することができる。
ここで一般的に記述されている本発明は、単に、本発明のある特定の態様および実施形態の例示目的のために含まれている以下の実施例を参照することによってより容易に理解され、本発明を限定することを意図するものではない。
N
2により脱気したジオキサン中の4−(6−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン(0.325g、0.999mmol)(WO2009/114180A1、2009年)およびtert−ブチル4−(5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−カルボキシレート(0.584g、1.499mmol)からなる懸濁液に、Pd(PPh
3)
4(0.058g、0.050mmol)、次に、水性炭酸ナトリウム(2M、1.5mL)を加えた。この混合物を1.7時間、加熱して還流した。この混合物をEtOAc(30mL)と水(30mL)との間に分配した。有機層をブラインにより洗浄して乾燥(Na
2SO
4)し、ろ過して濃縮した。EtOHにより粗製物質を粉末にしてろ過し、固体をEtOHにより洗浄した。tert−ブチル4−(5−(3−(キノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−カルボキシレート(0.22g、0.433mmol、43.4%収率)が黄色固体として得られた。
tert−ブチル4−(5−(3−(キノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−カルボキシレート(0.20g、0.394mmol)をTFA(3mL)に溶解し、室温で撹拌した。1時間後、LC/MSにより反応の完結が示された。真空でTFAを除去すると、4−(6−(6−(ピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン,TFA(0.14g、0.268mmol、68.1%収率)が、オレンジ色フィルム状物として得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.71 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 9.16 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 9.09 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 8.85 (s, 3H), 8.73 (dd, J = 2.6, 0.7 Hz, 1H), 8.37 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 8.23 − 8.15 (m, 2H), 8.05 (d, J = 4.9 Hz, 1H), 7.96 (dd, J = 8.5, 6.9 Hz, 1H), 7.75 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.12 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 3.86 − 3.79 (m, 4H), 3.23 (s, 4H).
化合物2
トルエン(16mL)中の6−(4−ブロモフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(1.14g、4.16mmol)(WO2009/114180A1、2009年)および(3R,5S)−tert−ブチル3,5−ジメチルピペラジン−1−カルボキシレート(2.25g、10.50mmol)の懸濁液にN
2を通気した。ビス(トリ−t−ブチルホスフィノ)パラジウム(0)(0.106g、0.208mmol)、次に、ナトリウム2−メチルプロパン−2−オレート(0.600g、6.24mmol)を加えた。N
2下、100度の浴で加熱した。5時間後、溶媒を除去した。EAと水との間に分配した。セライトによりろ過して、酢酸エチルにより洗浄した。有機層をブラインにより洗浄して乾燥(Na
2SO
4)し、ろ過して濃縮した。25〜75%EA/hexにより溶出してBiotage(50g)上で精製した。後のピークから得られた固体をEtOH中で粉末にしてろ過すると、(3R,5S)−tert−ブチル3,5−ジメチル−4−(4−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート(0.234g、0.574mmol、13.81%収率)が、薄黄色固体として得られた。
(3R,5S)−tert−ブチル3,5−ジメチル−4−(4−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート(0.24g、0.589mmol)をDCM(8mL)に溶解した。氷浴中で冷却し、次に、DCM(3mL)中のN−ブロモスクシンイミド(0.105g、0.589mmol)を加えた。室温まで温めた。SMが消失するまで、10mg×2を加えた。室温で2時間。溶媒を真空で除去した。EAと2M Na
2CO
3との間に懸濁した。有機層を水、ブラインにより洗浄して乾燥(Na
2SO
4)し、ろ過して濃縮した。EtOH中で粉末にし、ろ過した。(3R,5S)−tert−ブチル4−(4−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)−3,5−ジメチルピペラジン−1−カルボキシレート(0.159g、0.327mmol、55.5%収率)が黄色固体として得られた。
ジオキサン(3.5mL)中の(3R,5S)−tert−ブチル4−(4−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)−3,5−ジメチルピペラジン−1−カルボキシレート(0.159g、0.327mmol)およびキノリン−4−イルボロン酸(0.113g、0.654mmol)に、2M Na
2CO
3(0.8mL)を加えた。溶液にN
2を5分間、通気し、次に、Pd(PPh
3)
4(0.038g、0.033mmol)を加えた。キャップをして、110度の浴中で加熱した。40分後、反応が完結した。EAと水との間に分配した。有機層をブラインにより洗浄(2×)して乾燥(Na
2SO
4)し、ろ過して真空で濃縮した。メタノールにより粉末にした後、(3R,5S)−tert−ブチル3,5−ジメチル−4−(4−(3−(キノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート(0.135g、0.253mmol、77%収率)がベージュ色固体として得られた。
スキーム2と類似の方法で、4−(6−(4−((2R,6S)−2,6−ジメチルピペラジン−1−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン,TFAが、(3R,5S)−tert−ブチル3,5−ジメチル−4−(4−(3−(キノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートから、黄色固体として86%収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.74 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.25 − 9.05 (m, 4H), 8.92 (s, 1H), 8.50 − 8.42 (m, 1H), 8.26 − 8.15 (m, 2H), 8.06 − 7.91 (m, 3H), 7.81 (ddd, J = 8.3, 6.8, 1.3 Hz, 1H), 7.34 − 7.26 (m, 2H), 3.52 − 3.34 (m, 4H), 2.88 (q, J = 10.1 Hz, 2H), 0.84 (d, J = 6.2 Hz, 6H).
化合物3
THF(3.5ml)中の4−(6−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン(0.326g、1.003mmol)の懸濁液に、臭化(5−フルオロピリジン−2−イル)亜鉛(II)(2.5mL、1.250mmol)の0.5M溶液を加えた。懸濁液にN
2を通気し、次に、Pd(PPh
3)
4(0.116g、0.100mmol)を加えた。溶液にN
2を通気し、次にキャップをして50度に加熱した。開始:8:15AM。1.5時間後、さらに0.8mLの有機亜鉛試薬を加え、次に、さらに30分間、撹拌した。反応が完結した。EAと10%クエン酸との間に分配した。懸濁液を得た。固体のNaHCO3により中和した。生成物が有機相に移った。有機層をブラインにより洗浄して乾燥(MgSO4)し、ろ過して濃縮した。EtOHにより生成物を粉末にしてろ過し、EtOHにより洗浄した。4−(6−(5−フルオロピリジン−2−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン(0.28g、0.820mmol、82%収率)が、ベージュ/黄色固体として得られた。
DMSO(3ml)中で4−(6−(5−フルオロピリジン−2−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン(0.28g、0.820mmol)とピペラジン(0.141g、1.641mmol)とを混合した。160度で10分間、mw中で加熱した。LC/MSにより、約50%の転換が示された。さらに15分間、mw中で加熱し、有意な改善がなかった。生成物を水(25mL)に注ぎ入れ、生成物を砕いてろ過した。暗灰色固体が得られた。20%MeOH/DCMに溶解し、次に、溶媒を除去した(残存水を共沸して)。DCMに溶解(暗色固体が一部不溶であった)し、次に、シリカプラグ(15g)に担持し、60%EA/hex、次に、10%MeOH/DCM(SMが溶出)、次に、25%MeOH/DCM(生成物が溶出)により溶出した。79mg得られた。この物質を粉末にしてろ過し、精製に供することになる52mgの黄色固体が得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.83 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.43 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.09 (d, J = 4.9 Hz, 1H), 8.84 (d, J = 17.5 Hz, 3H), 8.53 (d, J = 2.9 Hz, 1H), 8.39 − 8.32 (m, 1H), 8.22 − 8.11 (m, 2H), 8.03 (d, J = 4.9 Hz, 1H), 7.94 (ddd, J = 8.4, 6.8, 1.3 Hz, 1H), 7.74 (ddd, J = 8.4, 6.8, 1.3 Hz, 1H), 7.60 (dd, J = 8.9, 3.0 Hz, 1H), 3.59 − 3.51 (m, 4H), 3.29 (s, 4H).
化合物4
ベンジル3−ブロモプロパ−1−イン(6.2g、41.7mmol)およびピペラジン−1−カルボキシレート(4.04g、18.34mmol)の溶液に、炭酸カリウム(6.08g、44mmol)を加えた。2.5時間、80度まで加熱した。酢酸エチルと水(各200mL)との間に分配した。有機層をブライン(150mL)により洗浄して分離し、有機層をNa
2CO
3により乾燥してろ過し、濃縮した。ベンジル4−(プロパ−2−イニル)ピペラジン−1−カルボキシレート(4.21g、16.30mmol、89%収率)が黄色シロップ状物として得られた。
N
2を通気しながら、DMF(5mL)中の4−(6−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン(0.325g、0.999mmol)およびベンジル4−(プロパ−2−イニル)ピペラジン−1−カルボキシレート(0.336g、1.299mmol)の懸濁液に、塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(0.035g、0.050mmol)、次に、ヨウ化銅(0.019g、0.100mmol)およびトリエチルアミン(0.417ml、3.00mmol)を加えた。2分間、N
2を通気し、次にキャップをして2時間、80度の浴中で加熱した。水とEtOAcとの間に分配した。有機層をブラインにより洗浄して乾燥(MgSO
4)し、ろ過して濃縮した。50%EA/hexにより溶出したシリカプラグ(7g)上で精製し、より極性の低い不純物を除去し、次にEAにより生成物を追い出した。ベンジル4−(3−(3−(キノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)プロパ−2−イニル)ピペラジン−1−カルボキシレート(0.404g、0.804mmol、80%収率)が黄色固体として得られた。
ベンジル4−(3−(3−(キノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)プロパ−2−イニル)ピペラジン−1−カルボキシレート(0.1g、0.199mmol)をAcOH中の33%HBrに溶解し、超音波処理した。45分間、撹拌した後、沈殿物が形成した。LC/MSにより、脱Cbzが示されたが、HBrの付加も示された。固体をろ別し、次に、THF中に懸濁した。200mgのK−O−tBuを加えた。これで、LC/MSにより、正しい質量が示された。水とDCMとの間に分配した。有機層をブラインにより洗浄して乾燥(MgSO
4)し、ろ過して濃縮した。4−(6−(3−(ピペラジン−1−イル)プロパ−1−イニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン,TFA(0.034g、0.070mmol、35.4%収率)が、逆相精製後に得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.62 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 9.07 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 8.87 (s, 1H), 8.75 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 8.57 (s, 2H), 8.29 − 8.22 (m, 1H), 8.16 (dd, J = 8.3, 1.2 Hz, 1H), 7.97 − 7.87 (m, 2H), 7.71 (ddd, J = 8.3, 6.8, 1.3 Hz, 1H), 3.73 (s, 2H), 3.17 (d, J = 4.7 Hz, 4H), 2.85 − 2.77 (m, 4H).
化合物5
スキーム1と類似の方法で、4−(6−(2−クロロピリミジン−5−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリンが、4−(6−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン(0.325g、0.999mmol)および(2−クロロピリミジン−5−イル)ボロン酸から41.0%収率で得られた。
スキーム8と類似の方法で、4−(6−(2−(ピペラジン−1−イル)ピリミジン−5−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン,TFAが、4−(6−(2−クロロピリミジン−5−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン(0.147g、0.410mmol)およびピペラジンから13%収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.76 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.13 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.06 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 9.00 (s, 2H), 8.85 (d, J = 7.9 Hz, 3H), 8.31 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 8.17 (dd, J = 8.3, 1.2 Hz, 1H), 8.00 − 7.87 (m, 2H), 7.72 (ddd, J = 8.3, 6.7, 1.3 Hz, 1H), 4.04 (t, J = 5.3 Hz, 4H), 3.23 (s, 4H).
化合物6
スキーム3と類似の方法で、キノリン−4−イルボロン酸と(1S,4S)−tert−ブチル5−(4−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)−2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシレートとを反応させて、(1S,4S)−tert−ブチル5−(4−(3−(キノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)−2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシレートが81%収率で得られた。
スキーム4と類似の方法で、(1S,4S)−tert−ブチル5−(4−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)−2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシレートが、(1S,4S)−tert−ブチル5−(4−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)−2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシレートから89%収率で得られた。
スキーム5と類似の方法で、(1S,4S)−tert−ブチル5−(4−(3−(キノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)−2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシレートが、(1S,4S)−tert−ブチル5−(4−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)−2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシレートおよびキノリン−4−ボロン酸から81%収率で得られた。
スキーム2と類似の方法で、4−(6−(4−((1S,4S)−2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン,TFAが、(1S,4S)−tert−ブチル5−(4−(3−(キノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)−2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシレートから、75%収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.60 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.16 − 9.00 (m, 3H), 8.82 (s, 1H), 8.60 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 8.38 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 8.22 − 8.14 (m, 1H), 8.08 − 7.90 (m, 2H), 7.86 − 7.70 (m, 3H), 6.88 − 6.80 (m, 2H), 4.74 (s, 1H), 4.50 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 3.68 (d, J = 10.4 Hz, 1H), 3.36 − 3.14 (m, 3H), 2.19 (d, J = 10.8 Hz, 1H), 2.00 − 1.92 (m, 1H).
化合物7
水素化ナトリウム(2.46g、61.5mmol)を乾燥100mLナシ型フラスコ中に秤量した。ヘキサン、次に、ジエチルエーテルにより洗浄した。エーテル(100mL)中に懸濁して氷浴中で冷却し、次に、ギ酸エチル(24.84ml、308mmol)、次に3,3−ジエトキシプロパン酸エチル(5.98ml、30.8mmol)を加えた。得られた混合物を室温で15時間撹拌すると、反応が起こった。反応の完結を確認した後、この反応混合物を水に注ぎ入れ、次いでジエチルエーテルにより洗浄した。得られた水層を塩酸によりpH1にして、次いでジクロロメタンにより抽出した。得られた有機層を塩化ナトリウム水溶液により洗浄し、次に無水硫酸マグネシウムで脱水してろ過し、濃縮すると、2−ホルミル−3−オキソプロパン酸エチル(3.29g、22.83mmol、74.2%収率)が金色シロップ状物として得られた。
2−ホルミル−3−オキソプロパン酸エチル(3.29g、22.84mmol)および4−ブロモ−1H−ピラゾール−5−アミン(3.7g、22.84mmol)をエタノール(30mL)中で混合し、80分間、加熱して還流した。この混合物を冷却して、固体生成物をろ過により採集すると、エチル3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−カルボキシレート(6.17g、22.84mmol、100%収率)が茶色固体として得られた。
THF/H
2O1:1(200mL)中に、エチル3−(キノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−カルボキシレートを溶解した。LiOHを加え、90分間、撹拌した。2mLのAcOHを加えて、中和し、濃厚な沈殿物が形成した。ろ過して、一晩、吸引乾燥すると3−(キノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−カルボン酸(2.8g、9.65mmol、107%)がオレンジ色固体として得られた。
DCM(20mL)中で2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)酢酸(1.314g、7.5mmol)とベンジルピペラジン−1−カルボキシレート(1.652g、7.50mmol)とを混合し、次に、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(1.582g、8.25mmol)を加えた。室温で16時間、撹拌し、次に、DCMを除去した。水と酢酸エチルとの間に分配し、有機物を水、ブラインにより洗浄して乾燥(MgSO
4)し、ろ過して濃縮した。ベンジル4−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)アセチル)ピペラジン−1−カルボキシレート(2.24g、5.93mmol、79%収率)が無色油状物として得られた。
氷浴中の、ベンジル4−(2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)アセチル)ピペラジン−1−カルボキシレート(2.24g、5.93mmol)のMeOH(体積:25ml)溶液に12N HCl(1.5mL、18mmol、3当量)を滴下して加えた。45分間、還流し、次に真空で溶媒を除去した。
メタノールにより生成物を共沸(3×)し、次にジエチルエーテル(25mL)に懸濁して、ろ過して真空乾燥すると、ベンジル4−(2−アミノアセチル)ピペラジン−1−カルボキシレート,HCl(1.64g、5.23mmol、88%収率)が得られた。
3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−カルボン酸(0.3g、1.240mmol)およびベンジル4−(2−アミノアセチル)ピペラジン−1−カルボキシレート,HCl(0.506g、1.611mmol)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(0.356g、1.859mmol)からなる混合物に、トリエチルアミン(0.188g、1.859mmol)を加えた。この溶液を室温で16時間、撹拌した。この混合物をDCM(30mL)により希釈し、水(2×25mL)、次にブライン(25mL)により洗浄し、乾燥(MgSO
4)してろ過し、濃縮すると、ベンジル4−(2−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−カルボキサミド)アセチル)ピペラジン−1−カルボキシレート(0.451g、0.900mmol、72.6%収率)が黄色固体として得られた。
ベンジル4−(2−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−カルボキサミド)アセチル)ピペラジン−1−カルボキシレート(0.22g、0.439mmol)を2mLのピリジンに溶解し、次に、ローソン試薬(0.19g、0.470mmol)を加えた。150度で15分間、マイクロ波照射した。冷却して、次にEtOHにより希釈した。物質を粉砕した。ろ過して、固体をEtOHにより洗浄すると、ベンジル4−(2−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)チアゾール−5−イル)ピペラジン−1−カルボキシレート(0.188g、0.376mmol、86%収率)が得られた。
スキーム5と類似の方法で、ベンジル4−(2−(3−(キノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)チアゾール−5−イル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、ベンジル4−(2−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)チアゾール−5−イル)ピペラジン−1−カルボキシレートおよびキノリン−4−イルボロン酸から66%収率で得られた。
ベンジル4−(2−(3−(キノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)チアゾール−5−イル)ピペラジン−1−カルボキシレート(0.064g、0.117mmol)に、酢酸中の33%HBr(3mL)を加え、旋回撹拌して超音波処理した。LC/MSにより、望ましい質量(+HBr)が示された。酢酸を蒸散させて、次に、飽和NaHCO3により中和した。オレンジ色固体が黄色の沈殿物となった。ろ過して、水により洗浄した。5−(ピペラジン−1−イル)−2−(3−(キノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)チアゾール(.04g、0.097mmol、83%収率)が得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.68 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.14 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.05 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 8.83 (d, J = 12.4 Hz, 3H), 8.29 − 8.22 (m, 1H), 8.19 − 8.12 (m, 1H), 7.94 − 7.85 (m, 2H), 7.70 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.36 (s, 1H), 3.61 (s, 1H), 3.42 (t, J = 5.2 Hz, 4H), 3.32 (s, 4H).
化合物8
4−(6−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン(1g、3.1mmol)のDCM(10mL)溶液を、0℃でm−CPBA(77%、0.76g、1.1当量)により処理した。この反応混合物を室温で4時間撹拌した。この反応混合物をDCMにより希釈し、1N NaOHにより洗浄して、乾燥(Na
2SO
4)した。溶媒を減圧下で蒸発させると、4−(6−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン1−オキシド(0.99g、2.8mmol、94%)がベージュ色固体として得られた。
トルエン中の4−(6−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン1−オキシド(0.99g、2.8mmol)に、オキシ塩化リン(V)(2mL)を加え、この反応物を2時間、80℃に加熱した。この反応物を周囲温度まで冷却し、氷水(40mL)の上に注いだ。混合物を固体の炭酸水素ナトリウムにより中和し、ジクロロメタン(25mL)に抽出した。有機層を水により洗浄して無水硫酸マグネシウムで脱水し、ろ過して濃縮すると4−(6−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)−2−クロロキノリン(0.96g、2.66mmol、95%収率)が得られた。このまま使用する。
スキーム1と類似の方法で、tert−ブチル4−(4−(3−(2−クロロキノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、4−(6−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)−2−クロロキノリン(0.95g、2.64mmol)と(4−(4−(tert−ブトキシカルボニル)ピペラジン−1−イル)フェニル)ボロン酸との反応から80%収率で得られた。
スキーム2と類似の方法で、2−クロロ−4−(6−(4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン,TFAが、tert−ブチル4−(4−(3−(2−クロロキノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートから、95%収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.62 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.15 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 8.81 (s, 1H), 8.73 (s, 2H), 8.32 − 8.24 (m, 1H), 8.04 (dd, J = 8.4, 1.2 Hz, 1H), 7.93 − 7.80 (m, 4H), 7.69 (ddd, J = 8.3, 6.9, 1.3 Hz, 1H), 7.21 − 7.12 (m, 2H), 3.46 (dd, J = 6.7, 3.8 Hz, 4H), 3.26 (d, J = 6.9Hz, 4H).
化合物9
キャップしたマイクロ波用管中で、tert−ブチル4−(4−(3−(2−クロロキノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートを6N水性HClにより72時間、加熱した。溶媒を除去し、逆相精製した後、4−(6−(4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン−2−オール,TFAが、40%収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 11.85 − 11.80 (m, 1H), 9.56 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.06 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 8.72 (s, 2H), 8.63 (s, 1H), 7.86 − 7.75 (m, 3H), 7.55 (ddd, J = 8.4, 7.1, 1.3 Hz, 1H), 7.41 (dd, J = 8.4, 1.1 Hz, 1H), 7.22 − 7.12 (m, 3H), 6.76 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 3.46 (t, J = 5.2 Hz, 4H), 3.27 (s, 4H).
化合物10
4−クロロ−2−メチルキノリン(0.888g、5mmol)および4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ(1,3,2−ジオキサボロラン)(1.524g、6.00mmol)のTHF(体積:16ml)溶液に、3分間、N2を通気した。トリス(ジベンジリジンアセトン(dibenzylidineacetone))ジパラジウム(0.114g、0.125mmol)、次に、[1,1’−ビフェニル]−2−イルジシクロヘキシルホスフィン(0.175g、0.500mmol)を加え、次に、5分間、混合物にN
2を通気した。酢酸カリウム(1.080g、11.00mmol)を加え、次に、2分間、N
2を通気した。バイアルにキャップをして、80度の浴中で3.5時間、加熱した。冷却して、水と酢酸エチル(各60mL)との間に分配した。有機層をブラインにより洗浄して、セライトによりろ過し、乾燥(MgSO
4)し、ろ過して濃縮した。このまま使用する。
スキーム5と類似の方法で、tert−ブチル4−(4−(3−(2−メチルキノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル4−(4−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートおよび2−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)から77%収率で得られた。
スキーム2と類似の方法で、2−メチル−4−(6−(4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン,TFAが、tert−ブチル4−(4−(3−(2−メチルキノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートから、92%収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.67 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 9.18 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 8.86 (s, 1H), 8.80 (s, 2H), 8.39 (d, J = 4.3 Hz, 1H), 8.13 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 8.06 (s, 1H), 7.98 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.89 − 7.81 (m, 2H), 7.75 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.21 − 7.14 (m, 2H), 3.47 (t, J = 5.2Hz, 4H), 3.28 (d, J = 5.4 Hz, 4H), 2.86 (s, 3H).
化合物11
スキーム5と類似の方法で、(3R,5S)−tert−ブチル3,5−ジメチル−4−(4−(3−(2−メチルキノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、(3R,5S)−tert−ブチル4−(4−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)−3,5−ジメチルピペラジン−1−カルボキシレートおよび2−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)から75%収率で得られた。
スキーム2と類似の方法で、4−(6−(4−((2R,6S)−2,6−ジメチルピペラジン−1−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)−2−メチルキノリン,TFAが、(3R,5S)−tert−ブチル3,5−ジメチル−4−(4−(3−(2−メチルキノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートから、93%収率で得られた。
1H NMR (400MHz, DMSO−d
6) δ 9.74 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.21 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.12 (d, J = 10.7 Hz, 1H), 9.04 (s, 1H), 8.90 (s, 1H), 8.44 − 8.37 (m, 1H), 8.15 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 8.08 (s, 1H), 8.04 − 7.90 (m, 3H), 7.77 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.33 − 7.25 (m, 2H), 3.51 − 3.34 (m, 4H), 2.95 − 2.82 (m, 5H), 0.84 (d, J = 6.2 Hz, 6H).
化合物12
スキーム1と類似の方法で、tert−ブチル4−(5−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、6−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジンおよびtert−ブチル4−(5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−カルボキシレートから、61%収率で生成した。
スキーム4と類似の方法で、tert−ブチル4−(5−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル4−(5−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−カルボキシレートから、71%収率で生成した。
スキーム5と類似の方法で、tert−ブチル4−(5−(3−(2−メチルキノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル4−(5−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−カルボキシレートおよび2−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)キノリンから41%収率で生成した。
スキーム2と類似の方法で、2−メチル−4−(6−(6−(ピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン,TFAが、tert−ブチル4−(5−(3−(2−メチルキノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−カルボキシレートから、94%収率で生成した。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.74 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.21 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 8.94 − 8.87 (m, 3H), 8.74 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 8.43 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 8.24 − 7.97 (m, 4H), 7.83 − 7.68 (m, 1H), 7.13 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 3.83 (s, 3H), 3.24 (d, J = 5.7 Hz, 4H), 2.88 (s, 4H).
化合物13
スキーム32と類似の方法で、tert−ブチル4−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)ピペリジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル4−(4−ブロモフェニル)ピペリジン−1−カルボキシレートおよび4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ(1,3,2−ジオキサボロラン)から生成した。
スキーム1と類似の方法で、tert−ブチル4−(4−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペリジン−1−カルボキシレートが、6−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジンおよびtert−ブチル4−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)ピペリジン−1−カルボキシレートから、65%収率で生成した。
スキーム4と類似の方法で、tert−ブチル4−(4−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペリジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル4−(4−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペリジン−1−カルボキシレートから、91%収率で生成した。
スキーム5と類似の方法で、tert−ブチル4−(4−(3−(2−メチルキノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペリジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル4−(4−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペリジン−1−カルボキシレートおよび2−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)キノリンから62%収率で生成した。
スキーム2と類似の方法で、2−メチル−4−(6−(6−(ピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン,TFAが、tert−ブチル4−(5−(3−(2−メチルキノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−カルボキシレートから、92%収率で生成した。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.72 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 9.19 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 8.90 (s, 1H), 8.74 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 8.52 (d, J = 11.8 Hz, 1H), 8.41 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 8.16 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 8.12 − 7.84 (m, 4H), 7.82 − 7.68 (m, 1H), 7.47 − 7.39 (m, 2H), 3.42 (d, J = 12.4 Hz, 2H), 3.12 − 2.81 (m, 6H), 2.04 − 1.95 (m, 2H), 1.86 (qd, J = 13.5, 4.2 Hz, 2H).
化合物14
DCM(4mL)中でtert−ブチル4−(4−(3−(7−(ヒドロキシメチル)キノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート(0.054g、0.101mmol)を懸濁し、次に、トリエチルアミンの1M DCM(0.4mL、0.400mmol)溶液を滴下して加えた。塩化メタンスルホニルの1M DCM(0.30mL、0.300mmol)溶液を滴下して加えた。5分間、撹拌し(濁りのない黄色溶液になった)、次に、エタノールアミン5滴を加えた。50度の浴中で、45分間、加熱した。LC/MSにより、アミンに完全に転換したことが示された。溶媒を蒸発させて、次に、TFA2mLを加えて5分間、撹拌し、溶媒を蒸発させた。2−(((4−(6−(4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン−7−イル)メチル)アミノ)エタノール,2TFA(0.033g、0.047mmol、46.6%収率)が、逆相クロマトグラフィー後に得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.61 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 9.10 − 9.00 (m, 4H), 8.73 (s, 3H), 8.32 − 8.25 (m, 2H), 7.91 − 7.80 (m, 3H), 7.73 (dd, J = 8.8, 1.8 Hz, 1H), 7.20 − 7.13 (m, 2H), 4.45 (t, J = 5.6 Hz, 2H), 3.70 (t, J = 5.4 Hz, 2H), 3.46 (t, J = 5.2 Hz, 4H), 3.28 (s, 4H), 3.07 (s, 2H).
化合物15
スキーム46と類似の方法で、3−((2,2−ジメチル−4,6−ジオキソ−1,3−ジオキサン−5−イリデン)メチルアミノ)安息香酸エチルが、3−アミノ安息香酸エチル、オルトギ酸トリエチルおよび2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオンから88%収率で生成した。
スキーム47と類似の方法で、エチル4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−7−カルボキシレートが、3−((2,2−ジメチル−4,6−ジオキソ−1,3−ジオキサン−5−イリデン)メチルアミノ)安息香酸エチルから89%収率で生成した。
スキーム48と類似の方法で、エチル4−クロロキノリン−7−カルボキシレートが、エチル4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−7−カルボキシレートから55%収率で生成した。
スキーム32と類似の方法で、エチル4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)キノリン−7−カルボキシレートが、エチル4−クロロキノリン−7−カルボキシレートから生成した。
スキーム5と類似の方法で、エチル4−(6−(4−(4−(tert−ブトキシカルボニル)ピペラジン−1−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン−7−カルボキシレートが、エチル4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)キノリン−7−カルボキシレートから、75%収率で生成した。
エチル4−(6−(4−(4−(tert−ブトキシカルボニル)ピペラジン−1−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン−7−カルボキシレート(0.20g、0.35mmol)のTHF/水(1:1、78mL)溶液に、LiOH(83mg、3.5mmol)の水溶液(2mL)を滴下して加えた。30分後、この反応物を酢酸エチルと10%クエン酸(各25mL)との間に分配した。有機層を水、ブラインにより洗浄し、乾燥(MgSO
4)してろ過すると、4−(6−(4−(4−(tert−ブトキシカルボニル)ピペラジン−1−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン−7−カルボン酸(0.18g、95%)が得られた。
DCM(3mL)中に4−(6−(4−(4−(tert−ブトキシカルボニル)ピペラジン−1−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン−7−カルボン酸(0.055g、0.100mmol)を懸濁した。トリエチルアミン(0.056mL、0.402mmol)を加えた。HATU(0.057g、0.151mmol)を加えた。DMF(1mL)を加えた。懸濁液が溶液になった。30分間、撹拌し、次に、溶液にNH
3ガスを5分間通気した。沈殿物が形成した。DCMを除去し、水(20mL)により希釈してろ過し、固体を水で洗浄して乾燥した。tert−ブチル4−(4−(3−(7−カルバモイルキノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートが53%収率で得られた。
スキーム2と類似の方法で、4−(6−(4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン−7−カルボキサミド,TFAが、tert−ブチル4−(4−(3−(7−カルバモイルキノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートから、92%収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.61 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 9.12 − 9.03 (m, 2H), 8.77 (s, 3H), 8.65 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 8.37 − 8.25 (m, 2H), 8.06 (dd, J = 8.8, 1.9 Hz, 1H), 7.92 (d, J = 4.6 Hz, 1H), 7.88 − 7.79 (m, 2H), 7.62 (s, 1H), 7.24 − 7.12 (m, 2H), 3.46 (dd, J = 6.6, 3.8 Hz, 4H), 3.27 (s, 4H).
化合物16
三フッ化ホウ素エーテル錯体(0.277mL、2.184mmol)のTHF(60mL)溶液をエチル4−クロロキノリン−7−カルボキシレート(1.17g、4.96mmol)のTHF(100mL)溶液に加え、ここに、水素化ホウ素ナトリウム(0.263mL、7.45mmol)を加えた。この混合物を2時間、加熱して還流し、次に氷浴中で冷却した。水(30mL)を加えることによりこの反応をクエンチし、10分間激しく撹拌した。THFを真空で除去し、生成物をCH
2Cl
2に抽出した。有機層をブラインにより洗浄し、乾燥(MgSO
4)してろ過し、濃縮すると、(4−クロロキノリン−7−イル)メタノール(0.857g、4.43mmol、89%収率)がオフホワイトの固体として得られた。
スキーム32と類似の方法で、粗製(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)キノリン−7−イル)メタノールが、(4−クロロキノリン−7−イル)メタノールから得られた。
スキーム5と類似の方法で、tert−ブチル4−(4−(3−(7−(ヒドロキシメチル)キノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル4−(4−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートおよび(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)キノリン−7−イル)メタノールから81%収率で得られた。
スキーム2と類似の方法で、(4−(6−(4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン−7−イル)メタノール,TFAが、tert−ブチル4−(4−(3−(7−(ヒドロキシメチル)キノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートから、78%収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.65 (d, J = 2.3Hz, 1H), 9.15 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 9.07 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 8.85 (s, 1H), 8.75 (s, 2H), 8.35 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 8.11 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 8.05 (s, 1H), 7.89 − 7.80 (m, 2H), 7.72 − 7.65 (m, 1H), 7.21 − 7.14 (m, 2H), 4.80 (s, 2H), 3.47 (t, J = 5.2 Hz, 4H), 3.27 (s, 4H).
化合物17
アニリン(0.316g、3.39mmol)および2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン(0.538g、3.73mmol)のエタノール(7mL)溶液に、2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン(0.538g、3.73mmol)を加えた。この混合物を1.5時間、加熱して還流した。この混合物を氷/水浴中で冷却し、この間に固体が結晶化した。固体を採集して冷エタノールにより洗浄し、次に、乾燥すると2,2−ジメチル−5−((フェニルアミノ)(2H)メチレン)−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン(0.733g、2.95mmol、87%収率)が得られた。
250度に加熱したジフェニルエーテル(8mL)に、固体の2,2−ジメチル−5−((フェニルアミノ)(2H)メチレン)−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン(0.73g、2.94mmol)を加えた。4分間後、この混合物を除熱し、室温にした。形成した沈殿物をろ過し、ヘキサンにより洗浄して乾燥すると、2−(2H)キノリン−4(1H)−オン(0.183g、1.252mmol、42.6%収率)が黄褐色固体として得られた。
オキシ塩化リン(V)(3mL)中の2−(2H)キノリン−4(1H)−オン(0.182g、1.245mmol)を1時間、加熱して還流した。氷水(60mL)上に注ぎ、炭酸水素ナトリウム(8g)を加えて過剰の試薬を中和した。ジクロロメタン(50mL)により抽出し、有機層を水、ブラインにより洗浄して乾燥(MgSO
4)し、ろ過して濃縮した。4−クロロ−2−(2H)キノリン(0.192g、1.166mmol、94%収率)がベージュ色固体として得られた。
スキーム32と類似の方法で、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボラン−2−イル)−2−(2H)キノリンが、4−クロロ−2−(2H)キノリンから得られた。
スキーム5と類似の方法で、tert−ブチル4−(5−(3−(2−(2H)キノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル4−(5−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−カルボキシレートおよび4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボラン−2−イル)−2−(2H)−キノリンから61%収率で生成した。
スキーム2と類似の方法で、4−(6−(6−(ピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン,TFAが、tert−ブチル4−(5−(3−(2−(2H)キノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−カルボキシレートから、94%収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.71 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 9.15 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 8.85 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 8.73 (dd, J = 2.6, 0.7 Hz, 1H), 8.40 − 8.33 (m, 1H), 8.23 − 8.14 (m, 2H), 8.04 (s, 1H), 7.95 (ddd, J = 8.3, 6.9, 1.4 Hz, 1H), 7.75 (ddd, J = 8.3, 6.9, 1.3 Hz, 1H), 7.12 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 3.83 (dd, J = 6.3, 4.2 Hz, 4H), 3.24 (d, J = 8.6 Hz, 4H).
化合物18
スキーム63と類似の方法で、N−メチル−1−(4−(6−(4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン−7−イル)メタンアミン,2TFAが、tert−ブチル4−(4−(3−(7−(ヒドロキシメチル)キノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートおよびTHF中のメチルアミンの溶液から、47%で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.61 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 9.10 − 8.96 (m, 4H), 8.79 (s, 2H), 8.74 (s, 1H), 8.34 − 8.23 (m, 2H), 7.92 − 7.79 (m, 3H), 7.69 (dd, J = 8.7, 1.9 Hz, 1H), 7.20 − 7.13 (m, 2H), 4.42 (t, J = 5.8 Hz, 2H), 3.46 (t, J = 5.2 Hz, 4H), 3.28 (s, 4H), 2.66 (t, J = 5.3 Hz, 3H).
化合物19
スキーム63と類似の方法で、N,N−ジメチル−1−(4−(6−(4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン−7−イル)メタンアミン,2TFAが、tert−ブチル4−(4−(3−(7−(ヒドロキシメチル)キノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートおよびTHF中のジメチルアミンの溶液から、62%収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.90 (s, 1H), 9.61 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 9.11 − 9.01 (m, 2H), 8.74 (s, 3H), 8.36 − 8.26 (m, 2H), 7.93 − 7.80 (m, 3H), 7.71 (dd, J = 8.7, 1.9 Hz, 1H), 7.20 − 7.13 (m, 2H), 4.56 (d, J = 5.0 Hz, 2H), 3.46 (t, J = 5.2 Hz, 4H), 3.27 (s, 4H), 2.83 (d, J = 4.4 Hz, 6H).
化合物20
スキーム63と類似の方法で、(4−(6−(4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン−7−イル)メタンアミン,2TFAが、tert−ブチル4−(4−(3−(7−(ヒドロキシメチル)キノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートおよび水酸化アンモニウムから、55%収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.61 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.10 − 8.99 (m, 2H), 8.81 (s, 2H), 8.74 (s, 1H), 8.38 (s, 3H), 8.29 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 8.25 − 8.19 (m, 1H), 7.92 − 7.79 (m, 3H), 7.69 (dd, J = 8.8, 1.9 Hz, 1H), 7.20 − 7.13 (m, 2H), 4.33 (q, J = 5.8 Hz, 2H), 3.46 (t, J = 5.2 Hz, 4H), 3.28 (d, J = 5.5 Hz, 4H).
化合物21
スキーム63と類似の方法で、4−(6−(4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)−7−(ピロリジン−1−イルメチル)キノリン,2TFAが、tert−ブチル4−(4−(3−(7−(ヒドロキシメチル)キノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートおよびピロリジンから、45%収率で得られた。
1H NMR (400MHz, DMSO−d
6) δ 10.11 (s, 1H), 9.61 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 9.11 − 9.02 (m, 2H), 8.83 (s, 2H), 8.74 (s, 1H), 8.36 − 8.29 (m, 2H), 7.91 (d, J = 4.6 Hz, 1H), 7.88 − 7.79 (m, 2H), 7.74 (dd, J = 8.7, 1.9 Hz, 1H), 7.21 − 7.12 (m, 2H), 4.64 (d, J = 5.5 Hz, 2H), 3.50 − 3.41 (m, 6H), 3.28 (s, 4H), 2.09 (h, J = 7.5 Hz, 2H), 1.89 (q, J = 6.2 Hz, 2H).
化合物22
スキーム46と類似の方法で、2−((2,2−ジメチル−4,6−ジオキソ−1,3−ジオキサン−5−イリデン)メチルアミノ)安息香酸エチルが、2−アミノ安息香酸エチル、オルトギ酸トリエチルおよび2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオンから80%収率で生成した。
スキーム47と類似の方法で、エチル4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−8−カルボキシレートが、2−((2,2−ジメチル−4,6−ジオキソ−1,3−ジオキサン−5−イリデン)メチルアミノ)安息香酸エチルから78%収率で生成した。
スキーム48と類似の方法で、エチル4−クロロキノリン−8−カルボキシレートが、エチル4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−8−カルボキシレートから68%収率で生成した。
スキーム32と類似の方法で、エチル4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)キノリン−8−カルボキシレートが、エチル4−クロロキノリン−8−カルボキシレートから得られた。
スキーム5と類似の方法で、エチル4−(6−(4−(4−(tert−ブトキシカルボニル)ピペラジン−1−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン−8−カルボキシレートが、エチル4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)キノリン−8−カルボキシレートから、67%収率で生成した。
スキーム57と類似の方法で、4−(6−(4−(4−(tert−ブトキシカルボニル)ピペラジン−1−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン−8−カルボン酸が、エチル4−(6−(4−(4−(tert−ブトキシカルボニル)ピペラジン−1−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン−7−カルボキシレートから、93%収率で得られた。
スキーム2と類似の方法で、逆相精製後、4−(6−(4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン−8−カルボン酸,TFAが、4−(6−(4−(4−(tert−ブトキシカルボニル)ピペラジン−1−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン−8−カルボン酸から、38%で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.64 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 9.20 − 9.11 (m, 2H), 8.83 (s, 1H), 8.76 (s, 2H), 8.70 − 8.57 (m, 2H), 8.11 (d, J = 4.9 Hz, 1H), 7.91 − 7.80 (m, 3H), 7.21 − 7.12 (m, 2H), 3.47 (dd, J = 6.7, 3.9 Hz, 4H), 3.27 (d, J = 7.0 Hz, 4H).
化合物23
スキーム58と類似の方法で、tert−ブチル4−(4−(3−(8−カルバモイルキノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、4−(6−(4−(4−(tert−ブトキシカルボニル)ピペラジン−1−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン−8−カルボン酸から、62%収率で得られた。
スキーム2と類似の方法で、4−(6−(4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン−8−カルボキサミド,TFAが、tert−ブチル4−(4−(3−(8−カルバモイルキノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートから、82%収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 10.20 (s, 1H), 9.62 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 9.13 − 9.06 (m, 2H), 8.75 (s, 3H), 8.62 (dd, J = 7.3, 1.5 Hz, 1H), 8.42 (dd, J = 8.4, 1.6 Hz, 1H), 7.94 (d, J = 4.7 Hz, 2H), 7.88 − 7.80 (m, 2H), 7.75 (dd, J = 8.4, 7.3 Hz, 1H), 7.20 − 7.13 (m, 2H), 3.46 (dd, J = 6.6, 3.8 Hz, 4H), 3.28 (d, J = 7.5Hz, 4H).
化合物24
スキーム60と類似の方法で、(4−クロロキノリン−7−イル)メタノールが、エチル4−クロロキノリン−7−カルボキシレートから77%収率で得られた。
スキーム32と類似の方法で、(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)キノリン−8−イル)メタノールが、(4−クロロキノリン−8−イル)メタノールから得られた。
スキーム5と類似の方法で、tert−ブチル4−(4−(3−(8−(ヒドロキシメチル)キノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル4−(4−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートおよび(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)キノリン−8−イル)メタノールから5.2%収率で得られた。
スキーム2と類似の方法で、(4−(6−(4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン−8−イル)メタノール,TFAが、tert−ブチル4−(4−(3−(8−(ヒドロキシメチル)キノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートから、80%収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.59 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.08 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 8.96 (d, J = 4.6 Hz, 1H), 8.71 (s, 1H), 8.10 (d, J = 8.3Hz, 1H), 7.93 − 7.80 (m, 4H), 7.63 (dd, J = 8.5, 7.0 Hz, 1H), 7.20 − 7.13 (m, 2H), 5.23 (s, 2H), 3.50 − 3.42 (m, 4H), 3.27 (s, 4H).
化合物25
スキーム63と類似の方法で、(4−(6−(4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン−8−イル)メタンアミン,2TFAが、tert−ブチル4−(4−(3−(8−(ヒドロキシメチル)キノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートおよび水酸化アンモニウムから、66%収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.61 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 9.11 − 9.01 (m, 2H), 8.75 (d, J = 16.5 Hz, 3H), 8.32 − 8.24 (m, 4H), 7.95 − 7.78 (m, 4H), 7.67 (dd, J = 8.6, 7.0 Hz, 1H), 7.17 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 4.67 (q, J = 5.7 Hz, 2H), 3.47 (m, 4H), 3.27 (bs, 4H).
化合物26
スキーム46と類似の方法で、7−アセトアミド−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸が3’−アミノアセトアニリドから93%収率で生成した。
スキーム47に類似の方法で、N−(4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−7−イル)アセトアミドが7−アセトアミド−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸から56%収率で得られた。
スキーム48と類似の方法で、N−(4−クロロキノリン−7−イル)アセトアミドが、N−(4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−7−イル)アセトアミドから73%収率で得られた。
スキーム32と類似の方法で、N−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)キノリン−7−イル)アセトアミドが、N−(4−クロロキノリン−7−イル)アセトアミドから得られた。
スキーム5と類似の方法で、tert−ブチル4−(4−(3−(7−アセトアミドキノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル4−(4−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートおよびN−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)キノリン−7−イル)アセトアミドから45%収率で得られた。
スキーム2と類似の方法で、N−(4−(6−(4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン−7−イル)アセトアミド,TFAが、tert−ブチル4−(4−(3−(7−アセトアミドキノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートから、52%収率で得られた。
1H NMR (400MHz, DMSO−d
6) δ 10.61 (s, 1H), 9.66 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.17 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 9.01 (d, J = 5.3 Hz, 1H), 8.87 (s, 1H), 8.74 (s, 2H), 8.68 (s, 1H), 8.38 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 8.01 (s, 1H), 7.89 − 7.74 (m, 3H), 7.17 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 3.51 − 3.43 (m, 4H), 3.27 (s, 4H), 2.18 (s, 3H).
化合物27
5mLのmw用バイアル中、6N HCl(4mL)中で、tert−ブチル4−(4−(3−(7−アセトアミドキノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート(0.050g、0.089mmol)を懸濁した。マイクロ波中、150度で15分間、加熱した。溶媒を除去して、逆相クロマトグラフィー後に、4−(6−(4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン−7−アミン,TFAが得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.68 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 9.20 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 8.91 − 8.72 (m, 4H), 8.23 (d, J = 9.3 Hz, 1H), 7.89 − 7.80 (m, 3H), 7.27 − 7.07 (m, 5H), 6.98 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 3.47 (dd, J = 6.7, 3.8 Hz, 4H), 3.27 (s, 4H).
化合物28
スキーム46と類似の方法で、5−((3−(ベンジルオキシ)フェニルアミノ)メチレン)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオンが、3−(ベンジルオキシ)アニリンから98%収率で得られた。
スキーム47と類似の方法で、7−(ベンジルオキシ)キノリン−4(1H)−オンが、5−((3−(ベンジルオキシ)フェニルアミノ)メチレン)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオンから87%収率で得られた。
スキーム48と類似の方法で、7−(ベンジルオキシ)−4−クロロキノリンが、7−(ベンジルオキシ)キノリン−4(1H)−オンから95%収率で得られた。
5mLマイクロ波用管中、AcOH(2mL)中の33%HBr中に、7−(ベンジルオキシ)−4−クロロキノリン(0.54g、2.002mmol)を溶解した。マイクロ波中、100度で10分間、加熱した。混合物を飽和NaHCO
3により中和し、EtOAcに抽出し、有機層を水により、次にブラインにより洗浄した。有機層をMgSO
4により乾燥してろ過し、濃縮すると、4−クロロキノリン−7−オール(0.284g、1.581mmol、79%収率)が白色固体として得られた。
スキーム32と類似の方法で、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)キノリン−7−オールが、4−クロロキノリン−7−オールから得られた。
スキーム5と類似の方法で、tert−ブチル4−(4−(3−(7−ヒドロキシキノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル4−(4−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートから、48%収率で得られた。
スキーム2と類似の方法で、4−(6−(4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン−7−オール,TFAが、tert−ブチル4−(4−(3−(7−ヒドロキシキノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートから、60%収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 11.37 (s, 1H), 9.68 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.20 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 9.00 (d, J = 5.7 Hz, 1H), 8.90 (s, 1H), 8.85 (s, 2H), 8.40 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 8.04 (d, J = 5.7 Hz, 1H), 7.90 − 7.81 (m, 2H), 7.48 − 7.35 (m, 2H), 7.22 − 7.13 (m, 2H), 3.47 (dd, J = 6.7, 3.8 Hz, 4H), 3.28 (s, 4H).
化合物29
スキーム5と類似の方法で、6−(6−フルオロピリジン−3−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンが、市販の6−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジンと(6−フルオロピリジン−3−イル)ボロン酸との反応から75%収率で得られた。
スキーム4と類似の方法で、3−ブロモ−6−(6−フルオロピリジン−3−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンが、6−(6−フルオロピリジン−3−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンから92%収率で得られた。
スキーム5と類似の方法で、5−(6−(6−フルオロピリジン−3−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリンが、3−ブロモ−6−(6−フルオロピリジン−3−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンおよび市販のキノリン−5−イルボロン酸から得られた。
5mLのmw用バイアル中、DMSO(3mL)に、5−(6−(6−フルオロピリジン−3−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン(0.068g、0.199mmol)を加えた。室温で撹拌し、次に2−(ピペリジン−1−イル)エタノール(0.257g、1.992mmol)を加えた。1分間、撹拌し、次に、カリウム2−メチルプロパン−2−オレート(0.201g、1.793mmol)を加えた。赤紫色(burgandy)に着色した。マイクロ波中、80度で15分間、加熱した。LC/MSにより反応の完結が示された。混合物を水(20mL)とジクロロメタン(80mL)との間に分配した。有機層をブラインにより洗浄し、乾燥(MgSO
4)してろ過し、濃縮すると、逆相精製後に5−(6−(6−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)ピリジン−3−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン,TFAが60%収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.69 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.38 (s, 1H), 9.01 (q, J = 1.8 Hz, 2H), 8.74 (dd, J = 2.6, 0.8 Hz, 1H), 8.64 (s, 1H), 8.51 (dt, J = 8.5, 1.3 Hz, 1H), 8.31 (dd, J = 8.7, 2.6 Hz, 1H), 8.11 (dt, J = 8.4, 1.1 Hz, 1H), 7.98 − 7.82 (m, 2H), 7.60 (dd, J = 8.6, 4.3 Hz, 1H), 7.07 (dd, J = 8.6, 0.7 Hz, 1H), 4.73 − 4.65 (m, 2H), 3.55 (dd, J = 10.0, 4.5 Hz, 4H), 3.03 (dt, J = 13.5, 9.5 Hz, 2H), 1.85 (d, J = 13.9 Hz, 2H), 1.70 (q, J = 15.6, 14.0 Hz, 3H), 1.41 (dd, J = 17.6, 9.3 Hz, 1H).
化合物30
5mLのmw用バイアル中、DMSO(3mL)に、5−(6−(6−フルオロピリジン−3−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン(0.068g、0.199mmol)を加えた。ピペラジン(0.172g、1.992mmol)を加えた。マイクロ波中、160度で10分間、加熱した。LC/MSにより反応の完結が示された。水(20mL)を加え、この水性混合物をジクロロメタン(80mL)により2回抽出した。有機層をブラインにより洗浄し、乾燥(MgSO
4)してろ過し、濃縮すると、逆相精製後に5−(6−(6−(ピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン,TFA(44%)が得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.62 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.07 − 8.98 (m, 2H), 8.85 (s, 2H), 8.73 − 8.65 (m, 1H), 8.64 − 8.54 (m, 2H), 8.21 − 8.08 (m, 2H), 8.00 − 7.82 (m, 2H), 7.64 (dd, J = 8.6, 4.4 Hz, 1H), 7.11 (dd, J = 8.9, 0.9 Hz, 1H), 5.13 (s, 2H), 3.85 − 3.78 (m, 4H), 3.24 (d, J = 8.8 Hz, 4H).
化合物31
スキーム5と類似の方法で、4−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェノールが、6−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジンおよび4−ヒドロキシフェニルボロン酸から88%収率で得られた。
スキーム4と類似の方法で、4−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェノールが、4−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェノールから77%収率で得られた。
スキーム5と類似の方法で、4−(3−(キノリン−5−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェノールが、4−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェノールおよびキノリン−5−ボロン酸から89%収率で得られた。
DCM(10mL)に、4−(3−(キノリン−5−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェノール(0.073g、0.216mmol)を懸濁した。2−(ピペリジン−1−イル)エタノール(0.279g、2.157mmol)、次に、トリフェニルホスフィン(0.0425g、1.62mmol)およびジイソプロピルアゾジカルボキシレート(0.325g、1.62mmol)を加えた。室温で45分間、撹拌した。反応物を水とDCM(各60mL)との間に分配した。有機層をブラインにより洗浄して乾燥(MgSO
4)し、ろ過して濃縮した。15CVかけて、4〜14%MeOH/DCMにより溶出して、Biotage(SNAP 10g)上で精製した。5−(6−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン,TFA(48%)が、逆相精製後に得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.58 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.45 (s, 1H), 9.05 − 8.97 (m, 2H), 8.61 (s, 1H), 8.54 (dd, J = 8.6, 1.4 Hz, 1H), 8.11 (dt, J = 8.3, 1.1 Hz, 1H), 7.98 − 7.83 (m, 4H), 7.61 (dd, J = 8.6, 4.3 Hz, 1H), 7.23 − 7.14 (m, 2H), 4.43 (t, J = 5.0 Hz, 2H), 3.03 (dt, J = 13.2, 9.4 Hz, 2H), 1.89 − 1.81 (m, 2H), 1.78 − 1.63 (m, 3H), 1.42 (t, J = 13.3 Hz, 1H).
化合物32
1−アミノ−2−メチルプロパン−2−オール(0.9g、10.10mmol)および細かく粉砕した炭酸カリウム(4.19g、30.3mmol)を含有する50mL丸底フラスコ中に、1,5−ジブロモペンタン(2.55g、11.11mmol)を加えた。この混合物を80度で40分間、撹拌した。この反応物を氷水(75mL)に注ぎ入れ、次に、ジクロロメタン(100mL)により2回、抽出した。合わせた有機抽出物をブラインにより洗浄し、乾燥(MgSO
4)してろ過し、濃縮すると、2−メチル−1−(ピペリジン−1−イル)プロパン−2−オール(0.90g、5.72mmol、56.7%収率)が得られた。
2−メチル−1−(ピペリジン−1−イル)プロパン−2−オール(0.9g、5.72mmol)のDMF溶液に、水素化ナトリウム(鉱物油中60%、0.32g、8mmol)を加えた。5分間の撹拌後、1−フルオロ−4−ニトロベンゼン(0.808g、5.72mmol)を加えた。この混合物を25分間、80℃まで加熱し、次に、氷水(60mL)上に注ぎ、ジクロロメタン(75mL)により2回、抽出した。合わせた抽出物を乾燥(MgSO
4)してろ過し、濃縮すると、カラム精製後に1−(2−メチル−2−(4−ニトロフェノキシ)プロピル)ピペリジン(1.22g、4.38mmol、77%収率)が得られた。
1−(2−メチル−2−(4−ニトロフェノキシ)プロピル)ピペリジン(1.2g、4.31mmol)の酢酸エチル/エタノール(1:1、60mL)溶液に、塩化スズ(II)二水和物(1.436mL、17.24mmol)を加えた。この混合物を80度で45分間、加熱した。この混合物を、激しく撹拌した、酢酸エチル(200mL)、水(40mL)および炭酸水素ナトリウム(8g)の懸濁液に加えることにより中和した。中和後、セライト(10g)を上記のスラリーに加え、この混合物をセライトプラグによりろ過した。このプラグをさらなる酢酸エチル(150mL)により溶出した。合わせた有機物をブラインにより洗浄し、乾燥(MgSO
4)してろ過し、濃縮すると、4−((2−メチル−1−(ピペリジン−1−イル)プロパン−2−イル)オキシ)アニリン(0.68g、2.74mmol、63.5%収率)が黄色シロップ状物として得られた。
アセトニトリル(20mL)、p−トルエンスルホン酸一水和物(1.250g、6.57mmol)、亜硝酸t−ブチル(0.391mL、3.29mmol)、および臭化ナトリウム(0.563g、5.48mmol)中の4−((2−メチル−1−(ピペリジン−1−イル)プロパン−2−イル)オキシ)アニリン(0.68g、2.74mmol)の溶液に、臭化銅(6.12mg、0.027mmol)を加えた。この反応混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒が真空にあった。固体を水により洗浄し、CH
2Cl
2により抽出した。得られた溶液を無水MgSO4で脱水し、この溶媒を減圧下で除去すると、カラムクロマトグラフィー後に、1−(2−(4−ブロモフェノキシ)−2−メチルプロピル)ピペリジン(0.33g、1.057mmol、38.6%収率)が得られた。
スキーム32と類似の方法で、1−(2−メチル−2−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェノキシ)プロピル)ピペリジンを、1−(2−メチル−2−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェノキシ)プロピル)ピペリジンから得られた。
スキーム5と類似の方法で、6−(4−((2−メチル−1−(ピペリジン−1−イル)プロパン−2−イル)オキシ)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンが、1−(2−メチル−2−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェノキシ)プロピル)ピペリジンから65%収率で得られた。
6−(4−((2−メチル−1−(ピペリジン−1−イル)プロパン−2−イル)オキシ)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(0.20g、0.571mmol)の酢酸(4mL)溶液に、酢酸カリウム(0.102g、0.856mmol)、次に、臭素(0.091g、0.571mmol)の酢酸(1mL)溶液を加えた。10分後、この反応混合物を、激しく撹拌した炭酸水素ナトリウム(10g)の水溶液(100mL)に加えた。20分間、激しく撹拌した後、この生成物をジクロロメタン(75mL)により抽出した。有機相を水、ブラインにより洗浄し、乾燥(MgSO
4)してろ過し、濃縮すると、3−ブロモ−6−(4−((2−メチル−1−(ピペリジン−1−イル)プロパン−2−イル)オキシ)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(0.18g、0.419mmol、73.5%収率)がベージュ色固体として得られた。
スキーム5と類似の方法で、5−(6−(4−((2−メチル−1−(ピペリジン−1−イル)プロパン−2−イル)オキシ)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン,TFAが、3−ブロモ−6−(4−((2−メチル−1−(ピペリジン−1−イル)プロパン−2−イル)オキシ)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンおよびキノリン−5−ボロン酸から、逆相精製後に34%収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.61 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.00 (dd, J = 3.9, 1.9 Hz, 3H), 8.62 (s, 1H), 8.54 − 8.46 (m, 1H), 8.10 (dt, J = 8.4, 1.1 Hz, 1H), 7.96 − 7.82 (m, 4H), 7.59 (dd, J = 8.6, 4.2 Hz, 1H), 7.33 − 7.24 (m, 2H), 3.59 (d, J = 12.1 Hz, 2H), 3.49 (d, J = 4.7 Hz, 2H), 3.16 (q, J = 6.8 Hz, 2H), 1.84 (dq, J = 7.7, 4.4 Hz, 4H), 1.68 (dt, J = 13.5, 4.7 Hz, 1H), 1.43 (s, 7H).
化合物33
スキーム3と類似の方法で、(3R,5S)−tert−ブチル3,5−ジメチル−4−(ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、(3S,5R)−tert−ブチル3,5−ジメチルピペラジン−1−カルボキシレートおよび2−ブロモピリジンから91%収率で得られた。
スキーム111と類似の方法で、(3R,5S)−tert−ブチル4−(5−ブロモピリジン−2−イル)−3,5−ジメチルピペラジン−1−カルボキシレートが、(3R,5S)−tert−ブチル3,5−ジメチル−4−(ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−カルボキシレートから89%収率で得られた。
スキーム32と類似の方法で、6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンが、6−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジンから得られた。このまま使用する。
スキーム5と類似の方法で、(3R,5S)−tert−ブチル3,5−ジメチル−4−(5−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンから、37%収率で得られた。
スキーム4と類似の方法で、(3R,5S)−tert−ブチル4−(5−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−2−イル)−3,5−ジメチルピペラジン−1−カルボキシレートが、(3R,5S)−tert−ブチル3,5−ジメチル−4−(5−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−カルボキシレートから、72%収率で得られた。
スキーム5と類似の方法で、(3R,5S)−tert−ブチル3,5−ジメチル−4−(5−(3−(キノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、(3R,5S)−tert−ブチル4−(5−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−2−イル)−3,5−ジメチルピペラジン−1−カルボキシレートおよびキノリン−4−ボロン酸から、75%収率で得られた。
スキーム2と類似の方法で、4−(6−(6−((2R,6S)−2,6−ジメチルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン,TFAが、(3R,5S)−tert−ブチル3,5−ジメチル−4−(5−(3−(キノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−カルボキシレートから、定量的収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.70 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.40 (d, J = 6.5 Hz, 1H), 9.16 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.10 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 8.98 (s, 1H), 8.86 (s, 1H), 8.76 (dd, J = 2.6, 0.7 Hz, 1H), 8.39 (dd, J = 8.3, 1.3 Hz, 1H), 8.23 − 8.14 (m, 2H), 8.08 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 7.97 (ddd, J = 8.4, 6.9, 1.4 Hz, 1H), 7.77 (ddd, J = 8.3, 6.9, 1.3 Hz, 1H), 6.98 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 4.82 − 4.71 (m, 2H), 3.41 − 3.32 (m, 2H), 3.26 (d, J = 9.9 Hz, 2H), 1.30 (d, J = 7.0 Hz, 6H).
化合物34
スキーム5と類似の方法で、(3R,5S)−tert−ブチル3,5−ジメチル−4−(5−(3−(キノリン−5−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、(3R,5S)−tert−ブチル4−(5−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−2−イル)−3,5−ジメチルピペラジン−1−カルボキシレートおよびキノリン−5−ボロン酸から、72%収率で得られた。
スキーム2と類似の方法で、(3R,5S)−tert−ブチル3,5−ジメチル−4−(4−(3−(キノリン−5−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、(3R,5S)−tert−ブチル4−(4−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)−3,5−ジメチルピペラジン−1−カルボキシレートから、72%収率で得られた。
1H NMR (400MHz, DMSO−d
6) δ 9.60 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 9.38 (s, 1H), 9.06 − 8.98 (m, 2H), 8.95 (s, 1H), 8.73 (dd, J = 2.5, 0.7 Hz, 1H), 8.63 − 8.52 (m, 2H), 8.19 − 8.07 (m, 2H), 7.99 − 7.84 (m, 2H), 7.62 (dd, J = 8.6, 4.3 Hz, 1H), 6.96 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 4.75 (p, J = 6.6 Hz, 2H), 3.36 (d, J = 12.6 Hz, 2H), 3.25 (d, J = 9.5 Hz, 2H), 1.30 (d, J = 7.0 Hz, 6H).
化合物35
スキーム3と類似の方法で、tert−ブチル4−(2−クロロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル1−ブロモ−2−クロロベンゼンおよび1−ピペラジンカルボキシレートから69%収率で得られた。
スキーム4と類似の方法で、tert−ブチル4−(4−ブロモ−2−クロロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル4−(2−クロロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートから92%収率で得られた。
スキーム32と類似の方法で、tert−ブチル4−(2−クロロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル4−(4−ブロモ−2−クロロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートから得られた。
スキーム5と類似の方法で、tert−ブチル4−(2−クロロ−4−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル4−(2−クロロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートから、66%収率で得られた。
スキーム4と類似の方法で、tert−ブチル4−(4−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)−2−クロロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル4−(2−クロロ−4−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートから、90%収率で得られた。
スキーム5と類似の方法で、tert−ブチル4−(2−クロロ−4−(3−(キノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル4−(4−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)−2−クロロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートおよびキノリン−4−ボロン酸から、61%収率で得られた。
スキーム2と類似の方法で、4−(6−(3−クロロ−4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン,TFAが、tert−ブチル4−(2−クロロ−4−(3−(キノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートから、逆相精製後に66%収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.74 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 9.14 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 9.07 (d, J = 4.9 Hz, 1H), 8.82 (d, J = 15.2 Hz, 3H), 8.35 − 8.28 (m, 1H), 8.17 (dd, J = 8.6, 1.2 Hz, 1H), 8.09 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 8.01 − 7.86 (m, 3H), 7.72 (ddd, J = 8.3, 6.8, 1.3 Hz, 1H), 7.38 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 3.33 − 3.22 (m, 8H).
化合物36
スキーム5と類似の方法で、tert−ブチル4−(2−クロロ−4−(3−(キノリン−5−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル4−(4−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)−2−クロロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートおよびキノリン−5−ボロン酸から、7%収率で得られた。
スキーム2と類似の方法で、5−(6−(3−クロロ−4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン,TFAが、tert−ブチル4−(2−クロロ−4−(3−(キノリン−5−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートから、定量的収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.66 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 9.03 − 8.95 (m, 2H), 8.75 (s, 2H), 8.62 (s, 1H), 8.49 − 8.42 (m, 1H), 8.13 − 8.03 (m, 2H), 7.95 − 7.80 (m, 3H), 7.57 (dd, J = 8.6, 4.2 Hz, 1H), 7.37 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 3.33 − 3.21 (m, 8H).
化合物37
スキーム3と類似の方法で、tert−ブチル4−(2−クロロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル2−クロロベンゾニトリルおよび1−ピペラジンカルボキシレートから71%収率で得られた。
スキーム4と類似の方法で、tert−ブチル4−(4−ブロモ−2−シアノフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル4−(2−シアノフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートから86%収率で得られた。
スキーム32と類似の方法で、tert−ブチル4−(2−クロロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル4−(4−ブロモ−2−クロロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートから得られた。
スキーム5と類似の方法で、tert−ブチル4−(2−シアノ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル4−(4−ブロモ−2−シアノフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートから、53%収率で得られた。
スキーム4と類似の方法で、tert−ブチル4−(4−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)−2−シアノフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル4−(2−シアノ−4−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートから、88%収率で得られた。
スキーム5と類似の方法で、tert−ブチル4−(2−シアノ−4−(3−(キノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル4−(4−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)−2−シアノフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートおよびキノリン−4−ボロン酸から、59%収率で得られた。
スキーム2と類似の方法で、2−(ピペラジン−1−イル)−5−(3−(キノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ベンゾニトリル,TFAが、tert−ブチル4−(2−シアノ−4−(3−(キノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートから、逆相精製後に44%収率で得られた。1H), 8.85 (s, 1H), 8.40 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 8.31 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 8.25 − 8.13 (m, 2H), 8.00 − 7.87 (m, 2H), 7.71 (ddd, J = 8.2, 6.8, 1.3 Hz, 1H), 7.42 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 3.46 (dd, J = 6.0, 4.0 Hz, 4H), 3.34 (s, 4H).
化合物38
スキーム5と類似の方法で、tert−ブチル4−(2−シアノ−4−(3−(キノリン−5−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル4−(4−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)−2−シアノフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートおよびキノリン−5−ボロン酸から、45%収率で得られた。
スキーム2と類似の方法で、2−(ピペラジン−1−イル)−5−(3−(キノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ベンゾニトリル,TFAが、tert−ブチル4−(2−シアノ−4−(3−(キノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートから、78%収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.71 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 9.06 − 8.96 (m, 2H), 8.86 (s, 2H), 8.63 (s, 1H), 8.47 (dt, J = 8.6, 1.3 Hz, 1H), 8.37 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 8.18 (dd, J = 8.7, 2.4 Hz, 1H), 8.10 (dt, J = 8.4, 1.1 Hz, 1H), 7.96 − 7.81 (m, 2H), 7.58 (dd, J = 8.6, 4.3 Hz, 1H), 7.41 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 3.44 (dd, J = 6.7, 3.4 Hz, 4H), 3.34 (s, 4H).
化合物39
スキーム3と類似の方法で、tert−ブチル4−(2−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、1−ブロモ−2−フルオロベンゼンから73%収率で得られた。
スキーム4と類似の方法で、tert−ブチル4−(4−ブロモ−2−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル4−(2−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートから86%収率で得られた。
スキーム32と類似の方法で、tert−ブチル4−(2−フルオロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル4−(4−ブロモ−2−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートから得られた。
スキーム5と類似の方法で、tert−ブチル4−(2−フルオロ−4−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル4−(2−フルオロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートおよび6−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジンから、53%収率で得られた。
スキーム4と類似の方法で、tert−ブチル4−(4−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)−2−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル4−(2−フルオロ−4−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートから、100%収率で得られた。
スキーム5と類似の方法で、tert−ブチル4−(2−フルオロ−4−(3−(キノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル4−(4−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)−2−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートおよびキノリン−4−ボロン酸から、26%収率で得られた。
スキーム2と類似の方法で、tert−ブチル4−(4−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)−2−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル4−(2−フルオロ−4−(3−(キノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートから、逆相精製後に56%収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.72 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 9.15 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 9.07 (d, J = 4.9 Hz, 1H), 8.84 (s, 3H), 8.37 − 8.29 (m, 1H), 8.21 − 8.13 (m, 1H), 8.03 − 7.83 (m, 3H), 7.80 − 7.66 (m, 2H), 7.32 − 7.20 (m, 1H), 3.31 (s, 8H).
化合物40
スキーム5と類似の方法で、tert−ブチル4−(2−フルオロ−4−(3−(キノリン−5−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル4−(4−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)−2−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートおよびキノリン−5−ボロン酸から、30%収率で得られた。
スキーム2と類似の方法で、4−(6−(3−フルオロ−4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン,TFAが、tert−ブチル4−(2−フルオロ−4−(3−(キノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートから、逆相精製後に56%収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.64 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 9.01 (dd, J = 5.1, 2.0 Hz, 2H), 8.83 (s, 2H), 8.62 (s, 1H), 8.51 (dt, J = 8.4, 1.3 Hz, 1H), 8.10 (dt, J = 8.4, 1.1Hz, 1H), 7.97 − 7.80 (m, 3H), 7.72 (dd, J = 8.3, 2.2 Hz, 1H), 7.60 (dd, J = 8.6, 4.3 Hz, 1H), 7.25 (dd, J = 9.4, 8.4 Hz, 1H), 3.31 (s, 8H).
化合物41
スキーム106と類似の方法で、tert−ブチル4−(2−((5−ブロモピリジン−2−イル)オキシ)エチル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、5−ブロモ−2−フルオロピリジンとtert−ブチル4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−カルボキシレートとの反応から89%収率で得られた。
スキーム32と類似の方法で、tert−ブチル4−(2−((5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−2−イル)オキシ)エチル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル4−(2−((5−ブロモピリジン−2−イル)オキシ)エチル)ピペラジン−1−カルボキシレートから得られた。
スキーム5と類似の方法で、tert−ブチル4−(2−((5−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−2−イル)オキシ)エチル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル4−(2−((5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−2−イル)オキシ)エチル)ピペラジン−1−カルボキシレートおよび6−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジンから、80%収率で得られた。
スキーム111と類似の方法で、tert−ブチル4−(2−((5−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−2−イル)オキシ)エチル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル4−(2−((5−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−2−イル)オキシ)エチル)ピペラジン−1−カルボキシレートから、88%収率で得られた。
スキーム5と類似の方法で、tert−ブチル4−(2−((5−(3−(キノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−2−イル)オキシ)エチル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル4−(2−((5−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−2−イル)オキシ)エチル)ピペラジン−1−カルボキシレートおよびキノリン−4−ボロン酸から、56%収率で得られた。
スキーム2と類似の方法で、4−(6−(6−(2−(ピペラジン−1−イル)エトキシ)ピリジン−3−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン,TFAが、tert−ブチル4−(2−((5−(3−(キノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−2−イル)オキシ)エチル)ピペラジン−1−カルボキシレートから、98%収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.74 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 9.13 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.06 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 8.84 (s, 1H), 8.73 (dd, J = 2.7, 0.8 Hz, 1H), 8.61 (s, 2H), 8.34 − 8.25 (m, 2H), 8.20 − 8.13 (m, 1H), 7.99 − 7.87 (m, 2H), 7.71 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.03 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 4.52 (s, 2H), 3.18 (s, 4H), 2.96 − 2.88 (m, 6H).
化合物42
スキーム5と類似の方法で、tert−ブチル4−(2−((5−(3−(キノリン−5−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−2−イル)オキシ)エチル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル4−(2−((5−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−2−イル)オキシ)エチル)ピペラジン−1−カルボキシレートおよびキノリン−5−ボロン酸から、76%収率で得られた。
スキーム2と類似の方法で、5−(6−(6−(2−(ピペラジン−1−イル)エトキシ)ピリジン−3−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン,TFAが、tert−ブチル4−(2−((5−(3−(キノリン−5−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−2−イル)オキシ)エチル)ピペラジン−1−カルボキシレートから、95%収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.67 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 9.00 (dq, J = 2.9, 1.6, 1.2 Hz, 2H), 8.71 (dd, J = 2.6, 0.8 Hz, 1H), 8.63 (s, 1H), 8.49 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 8.27 (dd, J = 8.7, 2.6 Hz, 1H), 8.10 (dt, J = 8.3, 1.1 Hz, 1H), 7.96 − 7.81 (m, 2H), 7.58 (dd, J = 8.6, 4.3 Hz, 1H), 7.02 (dd, J = 8.6, 0.8 Hz, 1H), 4.54 (t, J = 5.2 Hz, 2H), 3.21 (s, 4H), 2.98 (s, 6H).
化合物43
4−(6−(6−(2−(ピペラジン−1−イル)エトキシ)ピリジン−3−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン,TFA(0.03g、0.053mmol)を1:1THF/DCE(4mL)に溶解した。37%水性ホルムアルデヒド溶液500uLを加えた。トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.112g、0.530mmol)を加え、この混合物をキャップしたバイアル中、4時間、80度まで加熱した。この溶媒を除去して、2M Na
2CO
32mLを加え、この時点で、生成物を粉砕した。固体をDCM(20mL)に抽出し、乾燥(MgSO4)してろ過し、濃縮すると、逆相精製後に4−(6−(6−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ)ピリジン−3−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン,TFA(42%)が得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.73 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 9.12 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.05 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 8.84 (s, 1H), 8.71 (dd, J = 2.7, 0.8 Hz, 1H), 8.61 (s, 2H), 8.33 − 8.24 (m, 2H), 8.20 − 8.13 (m, 1H), 7.99 − 7.87 (m, 2H), 7.71 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.02 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 4.51 (s, 2H), 3.17 (s, 4H), 2.96 − 2.88 (m, 6H), 2.77 (s, 3H).
化合物44
スキーム157と類似の方法で、5−(6−(6−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ)ピリジン−3−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン,TFAが、5−(6−(6−(2−(ピペラジン−1−イル)エトキシ)ピリジン−3−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン,TFAから、逆相精製後に27%収率で得られた。
1H NMR (400MHz, DMSO−d
6) δ 9.66 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 8.99 (dd, J = 5.8, 1.9 Hz, 2H), 8.70 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 8.63 (s, 1H), 8.47 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 8.26 (dd, J = 8.7, 2.6Hz, 1H), 8.13 − 8.05 (m, 1H), 7.95 − 7.80 (m, 2H), 7.57 (dd, J = 8.6, 4.3 Hz, 1H), 7.00 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 4.49 (s, 2H), 3.19 (s, 4H), 3.02 (s, 6H), 2.78 (s, 3H).
化合物45
スキーム5と類似の方法で、2−クロロ−4−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェノールが、(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)ボロン酸および6−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジンから73%収率で得られた。
トリフェニルホスフィン(1.153g、4.40mmol)のDCM(体積:15mL)溶液に、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(0.889g、4.40mmol)を滴下して加えた。この混合物を5分間、撹拌し、次に、2−クロロ−4−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェノール(0.72g、2.93mmol)を加えた。5分間の撹拌後、2−(ピペリジン−1−イル)エタノール(1.136g、8.79mmol)を加えた。20分間、この反応物を熟成させた後、酢酸エチル、次に10%メタノール/DCMにより、生成物が溶出するまでシリカプラグ(30g)上で精製した。6−(3−クロロ−4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン(0.73g、2.046mmol、69.8%収率)が得られた。
スキーム111と類似の方法で、3−ブロモ−6−(3−クロロ−4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンが、6−(3−クロロ−4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンから94%収率で得られた。
スキーム5と類似の方法で、4−(6−(3−クロロ−4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン,TFAが、3−ブロモ−6−(3−クロロ−4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンおよびキノリン−4−ボロン酸から、逆相精製後に54%収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.73 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 9.39 (s, 1H), 9.13 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 9.04 (d, J = 4.7 Hz, 1H), 8.81 (s, 1H), 8.27 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 8.18 − 8.09 (m, 2H), 7.97 − 7.84 (m, 3H), 7.69 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.41 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 4.53 (t, J = 4.9 Hz, 2H), 3.60 (d, J = 5.1 Hz, 4H), 3.12 (d, J = 11.4 Hz, 2H), 1.87 (d, J = 13.3 Hz, 2H), 1.71 (s, 3H), 1.42 (s, 1H).
化合物46
スキーム5と類似の方法で、4−(6−(3−クロロ−4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン,TFAが、3−ブロモ−6−(3−クロロ−4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンおよびキノリン−5−ボロン酸から、逆相精製後に61%収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.66 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 9.40 (s, 1H), 9.00 (dd, J = 12.0, 3.2 Hz, 2H), 8.62 (s, 1H), 8.46 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 8.09 (dd, J = 8.3, 1.7 Hz, 2H), 7.95 − 7.80 (m, 3H), 7.56 (dd, J = 8.6, 4.3 Hz, 1H), 7.40 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 4.52 (t, J = 4.8 Hz, 2H), 3.61 (dd, J = 10.3, 5.3 Hz, 4H), 3.10 (dd, J = 12.6, 9.3 Hz, 2H), 1.87 (d, J = 13.7 Hz, 2H), 1.71 (s, 3H), 1.42 (s, 1H).
化合物47
2−キノリンカルボン酸(1.73g、10mmol)を、D
2O(10mL)を含有するDMSO(50mL)に溶解した。炭酸銀(0.28g、1mmol)を加え、この混合物を120度で16時間加熱した。この固体をセライト床によりろ別し、酢酸エチル(200mL)により洗浄した。ろ液を水により洗浄して分離し、有機層をブラインにより洗浄して乾燥(MgSO
4)し、ろ過して濃縮すると2−
2H−キノリンが、95%収率で得られた。
2−
2H−キノリン(1.25g、9.5mmol)の濃H
2SO
4(15mL)溶液に、室温でNBS(3.5g、19.7mmol)を加えた。この反応混合物を8時間撹拌した。この反応混合物を砕いた氷(5×H
2SO
4の体積)の上に注ぎ、濃NH
3水溶液を使用してpHを9.0に調節し、次に、このアルカリ性スラリーをジエチルエーテル(3×H
2SO
4の体積の2倍)により抽出した。合わせた有機フラクションを1.0M NaOH、次に水により洗浄し、乾燥(MgSO
4)してろ過し、蒸発乾固して、カラムクロマトグラフィー(溶離液:CH
2Cl
2−Et
2O、9:1)により精製すると、5−ブロモ−2−
2H−キノリン(0.87g、4.2mmol)が44%収率で得られた。
スキーム32と類似の方法で、5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2−
2H−キノリンが、5−ブロモ−2−
2H−キノリンから得られた。
スキーム5と類似の方法で、6−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−オールが、2−ブロモ−5−ヒドロキシピリジンから56%収率で得られた。
スキーム160と類似の方法で、6−(5−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)ピリジン−2−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンが、6−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−オールおよび2−(ピペリジン−1−イル)エタノールから、68%収率で得られた。
スキーム111と類似の方法で、3−ブロモ−6−(5−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)ピリジン−2−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンが、6−(5−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)ピリジン−2−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンから87%収率で得られた。
スキーム5と類似の方法で、5−(6−(5−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)ピリジン−2−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)−2−
2H−キノリン,TFAが、3−ブロモ−6−(5−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)ピリジン−2−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンおよび5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2−
2H−キノリンから、逆相精製後に40%収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.81 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 9.66 (s, 1H), 9.30 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 8.66 (d, J = 1.4 Hz, 1H), 8.59 − 8.48 (m, 2H), 8.24 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 8.12 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.95 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.88 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 7.65 (ddd, J = 14.7, 8.7, 2.1 Hz, 2H), 4.53 (t, J = 4.8 Hz, 2H), 3.66 − 3.43 (m, 4H), 3.04 (q, J = 11.4, 10.7 Hz, 2H), 1.85 (d, J = 13.6 Hz, 2H), 1.73 (t, J = 12.8 Hz, 3H), 1.42 (t, J = 13.6 Hz, 1H).
化合物48’
スキーム32と類似の方法で、2−メチル−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)キノリンが、5−ブロモ−2−メチルキノリンから得られた。
スキーム5と類似の方法で、2−メチル−5−(6−(5−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)ピリジン−2−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン,TFAが、3−ブロモ−6−(5−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)ピリジン−2−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンおよび2−メチル−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)キノリンから、逆相精製後に33%収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.86 − 9.76 (m, 2H), 9.30 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 8.73 − 8.65 (m, 2H), 8.50 (d, J = 2.9Hz, 1H), 8.24 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 8.12 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 8.03 (t, J = 7.9 Hz, 1H), 7.93 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.72 − 7.62 (m, 2H), 4.53 (t, J = 4.8 Hz, 2H), 3.64 − 3.50 (m, 4H), 3.05 (t, J = 10.9 Hz, 2H), 2.85 (s, 3H), 1.85 (d, J = 13.5 Hz, 2H), 1.73 (t, J = 13.2 Hz, 3H), 1.40 (d, J = 13.1 Hz, 1H).
化合物49
スキーム160と類似の方法で、tert−ブチル4−(2−((6−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)エチル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、6−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−オールおよびtert−ブチル4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−カルボキシレートから67%収率で得られた。
スキーム111と類似の方法で、tert−ブチル4−(2−((6−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)エチル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル4−(2−((6−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)エチル)ピペラジン−1−カルボキシレートから、89%収率で得られた。
スキーム5と類似の方法で、tert−ブチル4−(2−((6−(3−2−
2H−(キノリン−5−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)エチル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル4−(2−((6−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)エチル)ピペラジン−1−カルボキシレートから、28%収率で得られた。
スキーム2と類似の方法で、5−(6−(5−(2−(ピペラジン−1−イル)エトキシ)ピリジン−2−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)−2−
2H−キノリン,TFAが、tert−ブチル4−(2−((6−(3−2−
2H−(キノリン−5−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)エチル)ピペラジン−1−カルボキシレートから、74%収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.80 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.30 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 8.77 (s, 2H), 8.65 (s, 1H), 8.57 − 8.45 (m, 2H), 8.21 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 8.11 (dt, J = 8.4, 1.1 Hz, 1H), 7.94 (dd, J = 8.4, 7.2 Hz, 1H), 7.87 (dd, J = 7.1, 1.3 Hz, 1H), 7.67 − 7.58 (m, 2H), 4.37 (s, 2H), 3.24 (s, 4H), 3.17 (s, 2H), 3.04 (s, 4H).
化合物50
スキーム5と類似の方法で、tert−ブチル4−(2−((6−(3−(2−メチルキノリン−5−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)エチル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル4−(2−((6−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)エチル)ピペラジン−1−カルボキシレートおよび2−メチル−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)キノリンから21%収率で得られた。
スキーム2と類似の方法で、2−メチル−5−(6−(5−(2−(ピペラジン−1−イル)エトキシ)ピリジン−2−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン,TFAが、tert−ブチル4−(2−((6−(3−(2−メチルキノリン−5−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)エチル)ピペラジン−1−カルボキシレートから、81%収率で得られた。
1H NMR (400MHz, DMSO−d
6) δ 9.81 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.30 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 8.66 (s, 1H), 8.47 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 8.21 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 8.07 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.99 (t, J = 8.1 Hz, 1H), 7.90 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.67 − 7.59 (m, 2H), 4.33 (s, 2H), 3.20 (s, 4H), 3.06 (s, 2H), 2.93 (s, 4H), 2.82 (s, 3H).
化合物51
5−(6−(5−(2−(ピペラジン−1−イル)エトキシ)ピリジン−2−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)−2−
2H−キノリン,TFA(0.13g、0.287mmol)をDCE/THF(2:1、9mL)に懸濁し、次に、40%ホルマリン溶液(3mL)を加えた。トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.609g、2.87mmol)を加え、バイアルにキャップをし、14時間、80度まで加熱した。混合物を飽和NaHCO
3と共に、10分間激しく撹拌した。DCMと水(各60mL)との間に分配した。有機層をMgSO
4により乾燥してろ過し、濃縮した。5−(6−(5−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ)ピリジン−2−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)−2−
2H−キノリンが、逆相精製後に33%収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.78 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.28 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 8.64 (s, 1H), 8.55 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 8.51 − 8.41 (m, 1H), 8.19 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 8.10 (dt, J = 8.4, 1.1Hz, 1H), 7.94 (dd, J = 8.4, 7.1 Hz, 1H), 7.87 (dd, J = 7.2, 1.3 Hz, 1H), 7.61 (dq, J = 8.8, 2.7 Hz, 2H), 4.31 (t, J = 5.2 Hz, 2H), 3.42 (s, 2H), 3.24 (s, 4H), 3.03 (s, 4H), 2.78 (s, 3H).
化合物52
スキーム5と類似の方法で、(3R,5S)−tert−ブチル3,5−ジメチル−4−(4−(3−(2−
2H−キノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、(3R,5S)−tert−ブチル4−(4−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)−3,5−ジメチルピペラジン−1−カルボキシレートおよび4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2−
2H−キノリンから44%収率で得られた。
スキーム2と類似の方法で、4−(6−(4−((2R,6S)−2,6−ジメチルピペラジン−1−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)−2−
2H−キノリン,TFAが、(3R,5S)−tert−ブチル3,5−ジメチル−4−(4−(3−(2−
2H−キノリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートから、75%収率で得られた。
1H NMR (400MHz, DMSO−d
6) δ 9.82 (s, 1H), 9.40 (s, 1H), 9.28 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 9.05 (s, 1H), 8.64 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 8.46 − 8.37 (m, 2H), 8.16 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 8.02 (s, 2H), 7.94 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.37 (s, 2H), 4.10 (s, 4H), 3.42 (s, 2H), 0.90 (s, 6H).
化合物53
スキーム5と類似の方法で、5−(6−(4−((2R,6S)−2,6−ジメチルピペラジン−1−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)−2−
2H−キノリンが、(3R,5S)−tert−ブチル4−(4−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)−3,5−ジメチルピペラジン−1−カルボキシレートおよび5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2−
2H−キノリンから39%収率で得られた。
スキーム2と類似の方法で、5−(6−(4−((2R,6S)−2,6−ジメチルピペラジン−1−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)2−
2H−キノリン,TFAが、5−(6−(4−((2R,6S)−2,6−ジメチルピペラジン−1−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)−2−
2H−キノリンから、88%収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.63 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 9.03 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 9.00 (s, 2H), 8.66 − 8.55 (m, 2H), 8.12 (dt, J = 8.3, 1.1Hz, 1H), 8.00 − 7.86 (m, 4H), 7.64 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.33 − 7.22 (m, 2H), 3.45 − 3.32 (m, 4H), 2.86 (q, J = 10.9 Hz, 2H), 0.82 (d, J = 6.3 Hz, 6H).
化合物54
スキーム5と類似の方法で、(3R,5S)−tert−ブチル3,5−ジメチル−4−(4−(3−(2−メチルキノリン−5−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートが、(3R,5S)−tert−ブチル4−(4−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)−3,5−ジメチルピペラジン−1−カルボキシレートおよび2−メチル−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)キノリンから45%収率で得られた。
スキーム2と類似の方法で、5−(6−(4−((2R,6S)−2,6−ジメチルピペラジン−1−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)−2−メチルキノリン,TFAが、(3R,5S)−tert−ブチル3,5−ジメチル−4−(4−(3−(2−メチルキノリン−5−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)ピペラジン−1−カルボキシレートから、76%収率で得られた。
1H NMR (400MHz, DMSO−d
6) δ 9.64 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.03 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 8.97 (s, 2H), 8.65 (s, 2H), 8.11 − 7.95 (m, 2H), 7.95 − 7.88 (m, 3H), 7.64 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 7.32 − 7.25 (m, 2H), 3.57 − 3.24 (m, 4H), 2.93 − 2.80 (m, 5H), 0.82 (d, J = 6.3 Hz, 6H).
化合物55
スキーム160と類似の方法で、4−(2−((6−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)エチル)モルホリンが、6−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−オールおよび2−モルホリノエタノールから66%収率で得られた。
スキーム111と類似の方法で、4−(2−((6−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)エチル)モルホリンが、4−(2−((6−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)エチル)モルホリンから56%収率で得られた。
スキーム5と類似の方法で、4−(2−((6−(3−(2−
2H−キノリン−5−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)エチル)モルホリン,TFAが、4−(2−((6−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)エチル)モルホリンおよび5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2−
2H−キノリンから、逆相精製後に33%収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 10.16 (s, 1H), 9.82 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 9.30 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 8.66 (s, 1H), 8.57 − 8.49 (m, 2H), 8.24 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 8.11 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.99 − 7.84 (m, 2H), 7.72 − 7.58 (m, 2H), 4.54 (t, J = 4.7 Hz, 2H), 4.00 (s, 2H), 3.65 (t, J = 4.7 Hz, 2H), 3.55 (s, 2H), 3.24 (s, 2H).
化合物56
スキーム5と類似の方法で、4−(2−((6−(3−(2−メチルキノリン−5−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)エチル)モルホリン,TFAが、4−(2−((6−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)エチル)モルホリンおよび5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2−
2H−キノリンおよび2−メチル−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)キノリンから、逆相精製後に28%収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 10.27 (s, 1H), 9.83 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.31 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 8.67 (s, 2H), 8.54 − 8.48 (m, 1H), 8.24 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 8.09 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 8.01 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.91 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 7.71 − 7.62 (m, 2H), 4.54 (t, J = 4.8 Hz, 2H), 3.99 (s, 2H), 3.74 (s, 2H), 3.64 (d, J = 5.4 Hz, 2H), 3.55 (s, 2H), 3.24 (s, 2H), 2.83 (s, 3H).
化合物57
スキーム160と類似の方法で、6−(5−((2−メチル−1−(ピペリジン−1−イル)プロパン−2−イル)オキシ)ピリジン−2−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンが、6−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−オールおよび2−メチル−1−(ピペリジン−1−イル)プロパン−2−オールから、72%収率で得られた。
スキーム111と類似の方法で、3−ブロモ−6−(5−((2−メチル−1−(ピペリジン−1−イル)プロパン−2−イル)オキシ)ピリジン−2−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンが、6−(5−((2−メチル−1−(ピペリジン−1−イル)プロパン−2−イル)オキシ)ピリジン−2−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンから84%収率で得られた。
スキーム5と類似の方法で、5−(6−(5−((2−メチル−1−(ピペリジン−1−イル)プロパン−2−イル)オキシ)ピリジン−2−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)−2−
2H−キノリン,TFAが、3−ブロモ−6−(5−((2−メチル−1−(ピペリジン−1−イル)プロパン−2−イル)オキシ)ピリジン−2−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンおよび5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2−
2H−キノリンから、逆相精製後に47%収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.86 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.32 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.01 (s, 1H), 8.67 (s, 1H), 8.59 − 8.46 (m, 2H), 8.27 − 8.20 (m, 1H), 8.10 (dt, J = 8.4, 1.1 Hz, 1H), 7.97 − 7.83 (m, 2H), 7.79 (dd, J = 8.7, 2.8 Hz, 1H), 7.59 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 3.60 (d, J = 12.6 Hz, 2H), 3.52 (d, J = 4.7 Hz, 2H), 3.16 (dq, J = 13.9, 7.3 Hz, 2H), 1.88 − 1.81 (m, 4H), 1.74 − 1.64 (m, 1H), 1.54 − 1.41 (m, 1H), 1.45 (s, 6H).
化合物58
スキーム5と類似の方法で、2−メチル−5−(6−(5−((2−メチル−1−(ピペリジン−1−イル)プロパン−2−イル)オキシ)ピリジン−2−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン,TFAが、3−ブロモ−6−(5−((2−メチル−1−(ピペリジン−1−イル)プロパン−2−イル)オキシ)ピリジン−2−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンおよび2−メチル−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)キノリンから、逆相精製後に29%収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.87 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.32 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.00 (s, 1H), 8.68 (s, 1H), 8.56 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 8.24 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 8.05 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.94 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.89 − 7.76 (m, 2H), 7.57 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 3.60 (d, J = 12.7 Hz, 2H), 3.52 (d, J = 4.7 Hz, 2H), 3.16 (dq, J = 13.8, 7.2 Hz, 2H), 2.78 (s, 3H), 1.84 (t, J = 4.7 Hz, 4H), 1.68 (dd, J = 8.9, 4.6 Hz, 1H), 1.49 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 1.45 (s, 6H).
化合物59
スキーム160と類似の方法で、6−(5−((1−メチルピペリジン−4−イル)オキシ)ピリジン−2−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンが、6−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−オールおよび1−メチルピペリジン−4−オールから、75%収率で得られた。
スキーム111と類似の方法で、3−ブロモ−6−(5−((1−メチルピペリジン−4−イル)オキシ)ピリジン−2−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンが、6−(5−((1−メチルピペリジン−4−イル)オキシ)ピリジン−2−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンから84%収率で得られた。
スキーム5と類似の方法で、5−(6−(5−((1−メチルピペリジン−4−イル)オキシ)ピリジン−2−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)−2−
2H−キノリン,TFAが、3−ブロモ−6−(5−((1−メチルピペリジン−4−イル)オキシ)ピリジン−2−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンおよび5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2−
2H−キノリンから、逆相精製後に37%収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.81 (t, J = 2.5 Hz, 1H), 9.58 (d, J = 11.4 Hz, 1H), 9.30 (dd, J = 2.2, 1.4 Hz, 1H), 8.65 (s, 1H), 8.58 − 8.44 (m, 2H), 8.21 (dd, J = 8.8, 5.7 Hz, 1H), 8.19 − 8.08 (m, 1H), 7.99 − 7.84 (m, 2H), 7.69 (ddd, J = 8.9, 3.0, 1.0 Hz, 1H), 7.69 − 7.58 (m, 1H), 4.93 (s, 1H), 4.71 (dt, J = 10.8, 6.0 Hz, 1H), 3.36 (d, J = 12.4 Hz, 1H), 3.23 (t, J = 11.0 Hz, 1H), 3.11 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 2.89 − 2.80 (m, 3H), 2.34 (d, J = 14.3 Hz, 1H), 2.14 (d, J = 15.3 Hz, 1H), 2.02 (t, J = 14.1 Hz, 1H), 1.90 − 1.72 (m, 1H).
化合物60
スキーム5と類似の方法で、2−メチル−5−(6−(5−((1−メチルピペリジン−4−イル)オキシ)ピリジン−2−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン,TFAが、3−ブロモ−6−(5−((1−メチルピペリジン−4−イル)オキシ)ピリジン−2−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンおよび2−メチル−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)キノリンから、逆相精製後に23%収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.82 (dd, J = 3.2, 2.2 Hz, 1H), 9.70 (s, 1H), 9.30 (dd, J = 2.2, 1.2 Hz, 1H), 8.67 (s, 2H), 8.51 (dd, J = 11.4, 2.9 Hz, 1H), 8.21 (dd, J = 8.8, 5.5 Hz, 1H), 8.09 (d, J = 8.4Hz, 1H), 8.00 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.91 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 7.74 − 7.61 (m, 2H), 4.96 − 4.68 (m, 1H), 3.55 (d, J = 12.7 Hz, 1H), 3.36 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 3.18 (dt, J = 39.1, 11.1 Hz, 2H), 2.88 − 2.81 (m, 3H), 2.83 (s, 3H), 2.34 (d, J = 13.7 Hz, 1H), 2.14 (d, J = 15.4 Hz, 1H), 2.03 (t, J = 13.8 Hz, 1H), 1.80 (q, J = 10.4 Hz, 1H).
化合物61
スキーム160と類似の方法で、tert−ブチル4−((6−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートが、6−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−オールおよびtert−ブチル4−ヒドロキシピペリジン−1−カルボキシレートから68%収率で得られた。
スキーム111と類似の方法で、tert−ブチル4−((6−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル4−((6−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートから、77%収率で得られた。
スキーム5と類似の方法で、tert−ブチル4−((6−(3−(2−
2H−キノリン−5−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル4−((6−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートおよび5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2−
2H−キノリンから50%収率で得られた。
スキーム2と類似の方法で、5−(6−(5−(ピペリジン−4−イルオキシ)ピリジン−2−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)−2−
2H−キノリンが、tert−ブチル4−((6−(3−(2−
2H−キノリン−5−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートから、73%収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.81 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.30 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 8.65 (s, 1H), 8.53 − 8.45 (m, 4H), 8.21 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 8.10 (dt, J = 8.3, 1.1 Hz, 1H), 7.92 (dd, J = 8.4, 7.2 Hz, 1H), 7.86 (dd, J = 7.2, 1.4 Hz, 1H), 7.69 (dd, J = 8.9, 2.9 Hz, 1H), 7.58 (d, J = 8.6Hz, 1H), 4.83 (p, J = 4.0 Hz, 1H), 3.29 (s, 2H), 3.11 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 2.14 (s, 2H), 1.87 (dtd, J = 11.9, 8.2, 7.8, 3.4 Hz, 2H).
化合物62
スキーム5と類似の方法で、tert−ブチル4−((6−(3−(2−メチルキノリン−5−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートが、tert−ブチル4−((6−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートおよび2−メチル−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)キノリンから34%収率で得られた。
スキーム2と類似の方法で、2−メチル−5−(6−(5−(ピペリジン−4−イルオキシ)ピリジン−2−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン,TFAが、tert−ブチル4−((6−(3−(2−メチルキノリン−5−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートから、68%収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.82 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.30 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 8.66 (s, 1H), 8.56 (s, 3H), 8.50 (d, J = 2.9 Hz, 1H), 8.21 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 8.07 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.98 (t, J = 7.8Hz, 1H), 7.88 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 7.69 (dd, J = 8.9, 3.0 Hz, 1H), 7.62 (d, J = 8.8Hz, 1H), 4.84 (dt, J = 7.8, 4.1 Hz, 1H), 3.30 (s, 2H), 3.12 (d, J = 9.7 Hz, 2H), 2.81 (s, 3H), 2.20 − 2.10 (m, 2H), 1.94 − 1.80 (m, 2H).
化合物63
スキーム160と類似の方法で、(R)−tert−ブチル3−((6−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)ピロリジン−1−カルボキシレートが、6−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−オールおよび(S)−tert−ブチル3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシレートから84%収率で得られた。
スキーム111と類似の方法で、(R)−tert−ブチル3−((6−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)ピロリジン−1−カルボキシレートが、(R)−tert−ブチル3−((6−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)ピロリジン−1−カルボキシレートから、66%収率で得られた。
スキーム5と類似の方法で、(R)−tert−ブチル3−((6−(3−(2−
2H−キノリン−5−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)ピロリジン−1−カルボキシレートが、(R)−tert−ブチル3−((6−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)ピロリジン−1−カルボキシレートおよび5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2−
2H−キノリンから32%収率で得られた。
スキーム2と類似の方法で、(R)−5−(6−(5−(ピロリジン−3−イルオキシ)ピリジン−2−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)−2−
2H−キノリン,TFAが、(R)−tert−ブチル3−((6−(3−(2−
2H−キノリン−5−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)ピロリジン−1−カルボキシレートから、68%収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.82 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.30 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.14 (s, 1H), 8.98 (s, 1H), 8.65 (s, 1H), 8.53 − 8.44 (m, 2H), 8.23 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 8.10 (dt, J = 8.3, 1.1 Hz, 1H), 7.92 (dd, J = 8.4, 7.2 Hz, 1H), 7.86 (dd, J = 7.2, 1.3 Hz, 1H), 7.67 (dd, J = 8.9, 3.0Hz, 1H), 7.59 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 5.34 (d, J = 4.9 Hz, 1H), 3.48 (s, 2H), 3.35 (dq, J = 12.3, 6.2 Hz, 2H), 2.38 − 2.23 (m, 1H), 2.21 (s, 1H).
化合物64
スキーム5と類似の方法で、(R)−tert−ブチル3−((6−(3−(2−メチルキノリン−5−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)ピロリジン−1−カルボキシレートが、(R)−tert−ブチル3−((6−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)ピロリジン−1−カルボキシレートおよび2−メチル−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)キノリンから44%収率で得られた。
スキーム2と類似の方法で、(R)−2−メチル−5−(6−(5−(ピロリジン−3−イルオキシ)ピリジン−2−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン,TFAが、(R)−tert−ブチル3−((6−(3−(2−メチルキノリン−5−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)ピロリジン−1−カルボキシレートから、82%収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.83 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.30 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.17 (s, 1H), 9.02 (s, 1H), 8.66 (s, 1H), 8.56 (s, 1H), 8.47 (d, J = 2.9 Hz, 1H), 8.23 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 8.06 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.96 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.87 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 7.67 (dd, J = 8.9, 3.0 Hz, 1H), 7.59 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 5.34 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 3.48 (s, 2H), 3.36 (s, 2H), 2.79 (s, 3H), 2.29 (td, J = 9.3, 4.8 Hz, 1H), 2.19 (d, J = 14.7 Hz, 1H).
化合物65
スキーム160と類似の方法で、(S)−tert−ブチル3−((6−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)ピロリジン−1−カルボキシレートが、6−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−オールおよび(R)−tert−ブチル3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシレートから74%収率で得られた。
スキーム111と類似の方法で、(S)−tert−ブチル3−((6−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)ピロリジン−1−カルボキシレートが、(S)−tert−ブチル3−((6−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)ピロリジン−1−カルボキシレートから、55%収率で得られた。
スキーム5と類似の方法で、(S)−tert−ブチル3−((6−(3−(2−
2H−キノリン−5−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)ピロリジン−1−カルボキシレートが、(S)−tert−ブチル3−((6−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)ピロリジン−1−カルボキシレートおよび5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2−
2H−キノリンから39%収率で得られた。
スキーム2と類似の方法で、(S)−5−(6−(5−(ピロリジン−3−イルオキシ)ピリジン−2−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)−2−
2H−キノリン,TFAが、(S)−tert−ブチル3−((6−(3−(2−
2H−キノリン−5−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)ピロリジン−1−カルボキシレートから、68%収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.83 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.30 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.22 (s, 1H), 9.10 (s, 1H), 8.67 (s, 2H), 8.47 (dd, J = 2.9, 0.6 Hz, 1H), 8.26 − 8.19 (m, 1H), 8.08 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.99 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.89 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 7.71 − 7.60 (m, 2H), 5.38 − 5.30 (m, 1H), 3.47 (s, 2H), 3.42 − 3.28 (m, 2H), 2.82 (s, 3H), 2.37 − 2.14 (m, 2H).
化合物66
スキーム5と類似の方法で、(S)−tert−ブチル3−((6−(3−(2−メチルキノリン−5−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)ピロリジン−1−カルボキシレートが、(S)−tert−ブチル3−((6−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)ピロリジン−1−カルボキシレートおよび2−メチル−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)キノリンから44%収率で得られた。
スキーム2と類似の方法で、(S)−2−メチル−5−(6−(5−(ピロリジン−3−イルオキシ)ピリジン−2−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン,TFAが、(S)−tert−ブチル3−((6−(3−(2−メチルキノリン−5−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)ピリジン−3−イル)オキシ)ピロリジン−1−カルボキシレートから、82%収率で得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.83 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.30 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 9.17 (s, 1H), 9.02 (s, 1H), 8.66 (s, 1H), 8.56 (s, 1H), 8.47 (d, J = 2.9 Hz, 1H), 8.23 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 8.06 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.96 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.87 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 7.67 (dd, J = 8.9, 3.0 Hz, 1H), 7.59 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 5.34 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 3.48 (s, 2H), 3.36 (s, 2H), 2.79 (s, 3H), 2.29 (td, J = 9.3, 4.8 Hz, 1H), 2.19 (d, J = 14.7 Hz, 1H).
化合物67および化合物68
5−ブロモ−2−クロロキノリン(2.40g、10mmol)のメタノール(60mL)溶液に、0度で水素化ナトリウム(60%油性分散体、0.60g、1.5当量)を加えた。この混合物を室温にし、1時間、撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム(25mL)溶液を加え、この混合物を酢酸エチルと水との間に分配した。有機層を水、ブラインにより洗浄し、乾燥(MgSO
4)してろ過し、濃縮すると、クロマトグラフィー後に、5−ブロモ−2−メトキシキノリン(1.88g、79%)が得られた。
スキーム32と類似の方法で、2−メトキシ−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)キノリンが、5−ブロモ−2−メトキシキノリンから得られた。
スキーム5と類似の方法で、(3S,5R)−tert−ブチル4−(4−(3−(2−メトキシキノリン−5−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)−3,5−ジメチルピペラジン−1−カルボキシレートが、(3S,5R)−tert−ブチル4−(4−(3−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)−3,5−ジメチルピペラジン−1−カルボキシレートおよび2−メトキシ−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)キノリンから54%収率で得られた。
12N HCl(0.5mL)中で、(3S,5R)−tert−ブチル4−(4−(3−(2−メトキシキノリン−5−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−イル)フェニル)−3,5−ジメチルピペラジン−1−カルボキシレート(0.13g、0.23mmol)を40分間還流し、冷却して濃縮すると、逆相精製後に5−(6−(4−((2S,6R)−2,6−ジメチルピペラジン−1−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)−2−メトキシキノリン,TFAおよび5−(6−(4−((2S,6R)−2,6−ジメチルピペラジン−1−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン−2(1H)−オン,TFAが得られた。化合物67:1H NMR (400 MHz, DMSO−d6) δ 9.60 (d, J = 2.2Hz, 1H), 9.01 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 8.90 (s, 2H), 8.57 (s, 1H), 8.26 (dd, J = 9.1, 0.8 Hz, 1H), 7.95 − 7.87 (m, 2H), 7.86 − 7.72 (m, 2H), 7.63 (dd, J = 7.1, 1.4 Hz, 1H), 7.27 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.00 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 4.03 (s, 3H), 3.37 (d, J = 10.1 Hz, 4H), 2.86 (d, J = 9.9 Hz, 2H), 0.82 (d, J = 6.2 Hz, 6H).化合物68:1H NMR (400 MHz, DMSO−d6) δ 11.85 (s, 1H), 9.59 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 9.02 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 8.92 (s, 2H), 8.51 (s, 1H), 7.91 (dd, J = 9.3, 2.6 Hz, 3H), 7.59 (t, J = 7.9Hz, 1H), 7.39 − 7.31 (m, 2H), 7.31 − 7.23 (m, 2H), 6.46 (dd, J = 9.8, 2.1 Hz, 1H), 3.37 (d, J = 11.5 Hz, 4H), 2.86 (d, J = 10.1 Hz, 2H), 0.82 (d, J = 6.2 Hz, 6H).
(実施例2)酵素アッセイ
化合物は、ALK1〜6酵素アッセイで評価した。具体的には、ヒトALK1〜6酵素(ALK1:Life Technologies、ALK2〜6:Carna Biosciences)に対して、LANCE(登録商標)Ultra ULight(商標)technology(Perkin Elmer)を使用して化合物をアッセイした。手短に言うと、ALK酵素(10nM)をキナーゼ緩衝液(50mM HEPES、pH7.5、10mM MgCl2、3mM MgCl2、0.005%Tween−20および2mM DTT)中で調製し、白色のソリッドボトム1536ウェルマイクロタイタープレート(Greiner、789175−F)に、2.5μL/ウェルで分注した。このアッセイの陰性対照は、キナーゼ緩衝液しか含有していない1本のカラムを追加することにより生成した。DMSO溶液中の化合物をNX−TRピンツールワークステーション(pin tool workstation)(WAKO、San Diego、CA)により、23nL/ウェルでアッセイ用プレートに移し、周囲温度で10分間、酵素と一緒にインキュベートした。10μΜまたは1000μΜのATPのいずれかを含有するキナーゼ緩衝液中で、ULight Topo IIa基質(50nM)を調製し、2.5μL/ウェルでアッセイ用プレートに分注した。周囲温度で1時間のインキュベート後、12mM EDTAを含有する1× LANCE検出用緩衝液中で、ユーロピウム抗ホスホDNAトポイソメラーゼ2−アルファ抗体(4nM)を調製し、5μL/ウェルで上記のアッセイ用プレートに分注した。励起320nmおよび発光615nmおよび665nmで、En Visionプレートリーダー(Perkin Elmer)を使用してプレートを測定した。
本発明のいくつかの化合物に関する、FOP酵素アッセイからの結果を表1に示す。ある特定のアッセイにおいて、ある特定の化合物に関して複数の試験を行ったある種の場合、表1に示されているデータは、個々の結果の平均を表す。
(実施例3)細胞ルシフェラーゼアッセイ
ルシフェラーゼレポーター遺伝子(BRE−Luc)に融合したId1プロモーター由来のBMP応答性エレメントで安定的にトランスフェクトした筋線維芽細胞C2C12、およびルシフェラーゼレポーター遺伝子(CAGA−Luc)に融合したPAI−1プロモーター由来のTGF−β応答性エレメントで安定的にトランスフェクトしたヒト胎児由来腎臓293T細胞を、10%FBS、L−グルタミン、およびペニシリン/ストレプトマイシンを補充したDMEM(Life Technologies)中、37℃および10%CO2で培養した。組織培養処理済み96ウェルプレート(Costar(登録商標)3610;Corning)中に、C2C12 Bre−Lucおよび293T CAGA−Luc細胞を、ウェルあたり、2%FBSを補充したDMEM80μL中の20,000個の細胞で播種した。この細胞を37℃および10%CO2で1時間、インキュベートし、定着して付着させた。目的の化合物を、1〜100μMの範囲の最終濃度の10倍でDMEMに希釈し、10μLの一定量で加えた。陽性対照は、一定量の化合物を、ちょうど10μLのDMEMで置き換えることにより生成した。次に、これらの細胞を37℃および10%CO2で30分間、インキュベートした。最後に、BMP6およびTGF−β1リガンドの一定量10μLを加えて、それぞれ50ngmL−1および5ngmL−1の最終濃度に到達させた。陰性対照は、化合物と一定量のアデノウイルスの両方をちょうど20μLのDMEMで置き換えることにより生成した。プレートを37℃および10%CO2で16〜24時間、一晩、放置してインキュベートした。製造業者の指示書により、MTT(臭化3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム)比色アッセイ(CellTiter96(登録商標);Promega)を使用して、細胞生存率を決定した後、培地を廃棄し、受動的溶解緩衝液(Promega)30μLを加え、このプレートを室温で15分間、振とう器上でインキュベートした。マルチチャネルピペットを使用して、ルシフェラーゼアッセイ系(Promega)溶液15μLを各ウェルに加え、このプレートを15秒間、穏やかに振とうした。ウェルあたり1秒の積分時間に設定した自動範囲を使用するSpectramax Lルミノメーター(Molecular Devices)を使用し、光の出力を測定した。データは、バックグラウンドとしての陰性対照を差し引いた、100%BMP活性またはTGF−βシグナリング活性における陽性対照に正規化した。GraphPad Prism(登録商標)ソフトウェアを可変ヒル係数を用いるS字用量−応答によるグラフ作成および回帰分析に使用した。
本発明のいくつかの化合物に関する、FOP SMAD1/SMAD3細胞をベースとするアッセイからの結果を表2に示す。ある特定のアッセイにおいて、ある特定の化合物に関して複数の試験を行ったある種の場合、表2に示されているデータは、個々の結果の平均を表す。
(実施例4)マウス、ラット、イヌ、ウサギ、サルおよびヒト肝ミクロソームおよびサイトゾルにおける、LDN−193189のインビトロ代謝
まとめ
それぞれサイトゾルで強化され、かつNADPHおよびUDPGAを補充した、マウス、ラット、イヌ、ウサギ、サルおよびヒト肝ミクロソームの存在下で、LDN−193189の代謝を検討した。可能性のある反応性中間体の形成を見極めるため、NADPHで強化したインキュベート混合物に、求核性捕捉剤であるグルタチオン(GSH)およびシアン化カリウム(KCN)を加えた。サイトゾルの存在下で、様々な種に由来する非P450媒介性代謝産物の形成も検討した。LC/UVおよび質量スペクトル技法を用いて、LDN−193189の代謝産物プロファイルおよび代謝的なソフトスポットを得た。
1時間のインキュベート後、とりわけ、ラットおよびイヌを除くすべての種に由来する肝サイトゾルの存在下で、LDN−193189は広範に代謝されて、酸化された代謝産物M422cになることが分かった。肝サイトゾルを含有する代謝系において、LDN−193189が代謝産物M422cに転換される順位は、サル>ウサギ>ヒト>マウスであった。アルデヒドオキシダーゼの特異的阻害剤であるメナジオンの存在下では、M422cの形成は阻害され、これにより、このサイトゾル酵素がこの化合物の代謝の主要経路の原因であることが示唆される。さらに、代謝産物M422cの構造は、合成参照標準であるNIH−Q55(4−(6−(4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン−2(1H)−オン)により、HPLC保持時間および質量スペクトルのフラグメントパターンの比較に基づいて確認した。代謝産物の構造は、AO媒介性代謝が、キノリン窒素のα−炭素上で起こることを示唆した。
しかし、サイトゾルの非存在下では、この化合物は、依然として、ウサギおよびイヌ肝ミクロソームの存在下ではかなり代謝され、マウス、サルおよびヒトでは中程度に代謝され、ラット肝ミクロソームではごくわずに代謝されることが分かった。ミクロソームの代謝の程度は、イヌ>ウサギ>マウス>ヒト〜サル>ラットとして順位付けることができた。肝ミクロソーム抽出物において見出された代謝産物の構造は、質量スペクトルデータに基づいて、暫定的に帰属した。アルデヒドオキシダーゼ媒介性代謝産物であるM422cは、キノリンのアルファ−炭素の酸化により産生したものと提示され、一方、M422aおよびM422bは、該分子中の塩基性窒素の酸化により形成すると仮定される。ミクロソーム代謝産物の質量スペクトルの特徴付けにより、やはり、LDN−193189は、ラクタム誘導体M420、およびピペラジン環開裂代謝産物M337、M380、M381、M395およびM438を含め、ピペリジン部分上に広範な代謝を受けることが示唆された。ピペラジン部分の切断により、一級および二級アニリンとなり、これらは、すべての種において見られた。これらの種のいずれにおいても、グルクロニドコンジュゲートは観察されなかった。
KCNの存在下で、すべての種において、シアニド付加物M431およびM445が観察され、これにより、反応性求電子性中間体の形成が示唆される。こうした付加物をもたらし得る反応性中間体は、ピペラジン部分のイミニウム誘導体であると提示される。捕捉剤としてGSHを使用する検討により、グルタチオンなどのソフトな求核体により通常捕捉されるなんらかのソフトな求電子体の存在が示されなかった。
一般に、ヒト肝ミクロソームおよびサイトゾル(cyrosol)により産生される代謝産物は、他の種においてもやはり観察された。すなわち、本検討で観察された代謝産物は、ヒトに特有なものではなかった。
序論
この検討は、NADPHおよびUDPGAの存在下で、それぞれサイトゾルで強化した、マウス、ラット、イヌ、ウサギ、サルおよびヒト肝ミクロソームにおける、LDN−193189の代謝を調べるものであった。反応性中間体の形成は、GSHまたはKCNをインキュベート混合物に添加することにより見極めた。
物質および方法
物質
LDN−193189塩酸塩およびNIH−Q55は、使用するまで−20℃で保管した。LDN−193189およびNIH−Q55(M422cの合成参照標準)の構造は以下の通りである:
貯めておいた肝ミクロソームおよびサイトゾルは、それぞれ、CD−1マウス(ロット番号0310190およびロット番号0610024)、ラット(ロット番号0710104およびロット番号0710103)、イヌ(ロット番号452601およびロット番号0710436)、ウサギ(ロット番号0810371およびロット番号0510023)、サル(ロット番号0510003およびロット番号0310071)およびヒト(ロット番号452161およびロット番号01610370)に由来する肝ミクロソームおよびサイトゾルを含めた、商業的供給元(Xenotech、KS)から得た。Sigma Aldrich(St Louis、MO)から得た以下の試薬をインビトロ検討のために使用した。MgCl2、NADPH再生成系(NADP+、グルコース−6−リン酸およびグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ)、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)、GSH(グルタチオン、還元型)、KCN、マナジオン(特異的アルデヒドオキシダーゼ阻害剤)、アロプリノール(キサンチンオキシダーゼ阻害剤)、およびUDPGA。クロマトグラフ分析に使用した溶媒は、HPLCグレードまたはACS試薬グレードであり、EMD Chemicals(Gibbstown、NJ)、または他の商業的供給業者から購入した。他の試薬はすべて、分析グレードまたはACS試薬グレードであった。
方法
インキュベート用の保存溶液の調製
LDN−193189HClの保存溶液(5mM)は、化合物を1.78mg含有するバイアルにDMSO/ACN(50/50、v/v)0.877mLを添加することにより作製した。100%ACNを使用することによりさらに希釈を行い、1mM溶液を作製し、これをインキュベートに使用した。
異なる種に由来する肝ミクロソームおよびサイトゾルとのインキュベート
0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)中の、NADPH再生成系{(グルコース−6−リン酸(3.6mM)、NADP+(1.3mM)、およびグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(dehdrogenase)(0.4単位/mL)}、MgCl
2(10mM)およびUDPGA(2mM)の存在下で、サイトゾル(2mg/mL)含有/不含のマウス、ラット、イヌ、ウサギ、サルおよびヒト肝ミクロソーム(1mg/mL)と共に、LDN−193189(10μΜ)をインキュベートした。適切な補因子を含有する肝ミクロソームまたはサイトゾルはまた、KCN(0.1mM)もしくはGSH(2mM)により、またはメナジオン(1mM)もしくはアロプリノール(0.1mM)により強化した。本化合物の代謝を理解するために使用した様々なインキュベート条件を以下の表3に示す。全インキュベート体積は、1mLであった。代謝反応は、37℃で5分間、予備インキュベートした後、補因子、NADPH再生成系およびUDPGAを添加することにより開始した。このインキュベート混合物を、震とうした37℃の水浴中に60分間、置いた。反応の終了時に、アセトニトリルの3体積分を加え、次いでボルテックスして遠心分離にかけ、タンパク質を除去した。この上澄み液を清潔な管に移し、周囲温度の窒素気流下で完全に乾燥した。この乾燥残留物を水中の25%MeOH500μLにより再構成し、LC/UV/MS分析を行うために、HPLC用バイアルに移した。
補因子の非存在下で、対照のインキュベートを類似条件下で行った。陽性対照としてヒト肝ミクロソームと共に、100μΜのテストステロンをインキュベートして、ミクロソーム調製物のバイアビリティを実証し、このインキュベート条件は、LDN−193189に関するものを使用した。しかし、インキュベート時間は、20分間に短縮した。アセトアミノフェンおよびニコチンを、それぞれGSHおよびKCN捕捉検討用の陽性対照として使用した。
代謝産物プロファイリングおよび特定を行うためのLC/UV/MS条件
ミクロソームインキュベート抽出物における代謝産物プロファイリングおよび代謝産物の特徴付けは、LTQイオントラップ質量分析計に接続した、ポンプ、オートサンプラーおよびダイオードアレイ検出器を備えたSurveyor HPLCシステムからなるLC/MSシステム(Thermo Scientific、San Jose、CA)を使用して行った。クロマトグラフィーは、Phenomenex Luna、C8(2)カラム、3.0×250mm、5μm(Torrance、CA)で実施した。カラムは、試料の分析中、周囲温度に維持した。使用した移動相グラジエントは、表4に示す。HPLC流の最初の4分間は、代謝産物を見極める前に廃棄に流した。炭素またはヘテロ原子の酸化の区別を容易にするため、アッセイの他の条件を変えないで維持しながら、水性移動相(H2O)をD2Oに置き換えることにより、水素/ジュウテリウム(H/D)交換実験を行った。200〜400nmのUV吸収スペクトルを、ダイオードアレイ検出器を使用して記録した。
ThermoFinnigan LTQ XL質量分析計(Thermo Scientific、San Jose、CA)は、エレクトロスプレーイオン化(ESI)インターフェースを装備し、代謝産物プロファイリングおよび特定のため、ポジティブイオン化モードで操作した。質量スペクトルは、全スキャン(MS)(m/z200〜1000)およびデータ依存スキャン(MS2、MS3およびMS4)モードで取得した。この分析に使用したLTQ質量分析計に関するパラメータ設定は、表5に示されている。
データ分析
Xcalibur(バージョン2.07)を使用して、質量スペクトルおよびUV吸収データを取得して加工した。Xcaliburは、LC/UV/MSシステムの様々なコンポーネントを制御するためにも使用した。
結果
代謝産物プロファイル
LDN−193189の代謝産物プロファイルは、LC/UV/MS分析を使用し、マウス、ラット、イヌ、ウサギ、サルおよびヒト肝ミクロソーム調製物とのインキュベート後に得た。様々な種に関して得られたLDN−193189の代謝産物プロファイル(λ310〜315nmでのLC/UV)を図1〜図6に示している。ラットおよびイヌを除くすべての種において、重要な代謝産物であるM422cが観察された。M422cの形成は、サイトゾル酵素により媒介されているように思われ、このことは、M422cがアルデヒドオキシダーゼ(AO)またはキサンチンオキシダーゼ(XO)のいずれかにより産生したことを示唆している。M422c形成の原因である酵素の正体を確認するために、LDN−193189を、メナジオン(アルデヒドオキシダーゼの特異的阻害剤)もしくはアロプリノール(キサンチンオキシダーゼの特異的阻害剤)が添加されたマウスまたはヒトサイトゾルと共にインキュベートした。これらの結果をそれぞれ、図7および図8に示している。M422c形成の阻害が、メナジオンの存在下で観察され、これにより、代謝産物の産生は、アルデヒドオキシダーゼにより媒介されることが確認された。種間のLC/UVプロファイルの比較により、サイトゾルが肝ミクロソームに添加されると、LDN−193189は迅速にM422cに転換されるように思われることが示された。M422cへの代謝転換速度は、サル>ウサギ>ヒト>マウスのように思われ、ラットおよびイヌの肝臓調製物では、転換が観察されなかった。しかし、サイトゾルがインキュベート混合物から除かれる場合、本化合物は、本質的に、NADPH依存性CYP450などの、CYP450ミクロソーム酵素により代謝された。肝ミクロソーム(サイトゾル(cytsosol)を無添加)の存在下での、代謝転換の順位は、イヌ>ウサギ>マウス>ヒト〜サル>ラットであった。
LDN−193189に関する代謝経路は、様々なインキュベート条件下で見出された代謝産物の正体に基づいて提示された(図9を参照されたい)。代謝産物の特定は、全スキャンおよびMS/MSスペクトルデータに基づいて行った。
LDN−193189は、肝ミクロソームとのインキュベート後に、ピペラジン部分上で主に代謝が起こり、M337、M380、M381、M395およびM438を含む、様々なピペラジン環開裂誘導体が産生した。ピペラジン環の酸化された誘導体(ラクタム)であるM420も、すべての種において実証された。酸化的代謝産物である、2つのM422aおよびM422bは、H/D交換検討により得られた質量スペクトルデータに基づくと、LDN−193189のN−オキシド/ヒドロキシルアミンアナログであると考えられる。代謝産物M422aおよびM422bは、ジュウテリウム交換検討において、親化合物と交換可能なプロトン数が同じであることを示した。対照的に、炭素における酸化により形成したと提示される、代謝産物M422cは、さらに交換可能なプロトン(ヒドロキシル基による)をもたらす。興味深いことに、この検討では、ヒドロキシル化/酸化された代謝産物の形成があるにも関わらず、グルクロニドコンジュゲートは観察されなかった。
シアニドコンジュゲートであるM431、およびさらに酸化された誘導体であるM445が、インキュベート混合物にKCNを添加した場合、すべての種において観察された。これにより、LDN−193189は生体活性化されて、シアニドなどのハードな求核体により捕捉され得る、反応性中間体を形成し得ることが示唆された。質量スペクトルデータに基づくと、この生体活性化は、イミニウム誘導体を形成する、ピペラジン部分上に局在化していた。ニコチンなどの脂環式アミンに由来するイミニウム中間体の形成を記載する文献には十分な先例が存在する(Gorrod JW and Aislaitner G(1994年):The metabolism of alicyclic amines to reactive iminium ion imtermediates. European Journal of Drug metabolism and Pharmacokinetics、19巻、209〜217頁;Murphy, P(1972年): Enzymatic oxidation of nicotine to nicotine Δ1’(5’) iminium ion. Journal of Biological Chemistry、248巻、2796〜2800頁)。GSHにより行われた捕捉検討により、すべての種に由来する、肝ミクロソームの存在下で、LDN−193189から産生する「ソフトな求電子体」は存在しないことが示された。
提示されるLDN−193189の代謝経路を図9に示している。ヒト肝調製物において観察されたすべての代謝産物は、他の非臨床種によっても産生されることが観察された。すなわち、本検討で観察された代謝産物は、ヒトに特有なものではなかった。
質量分析による代謝産物の特徴付け
マウス、ラット、ウサギ、イヌ、サルおよびヒトに由来する、肝ミクロソームおよびサイトゾルの存在下で産生する、LDN−193189の代謝産物を、LC/MS/MS分析により暫定的に特定した。酸化的代謝産物の特定を容易にするため、H/D交換実験も実施した。ジュウテリウム交換検討からのデータにより、本発明者らは、炭素−ヒドロキシル化(C−OH)代謝産物対ヘテロ原子が酸化された誘導体(例えば、N→O)との間の区別が可能になった。酸化された代謝産物の質量スペクトルにおける、さらに交換可能なプロトンにより、炭素原子上のヒドロキシル化が示唆された一方、ヘテロ原子の酸化は、交換可能なプロトンをもたらさない。
代謝産物の構造は、同一実験条件下で、LDN−193189により産生したものとの質量スペクトルフラグメントパターンの比較に基づいて、暫定的に帰属した。この検討において、すべての代謝産物の質量スペクトルは、ポジティブイオン化モードで取得し、構造の解明を補助するために、最大MS4タンデム質量スペクトルが必要であった。代謝産物の命名(特定/参照目的のための代謝産物の名称)は、代謝産物の質量スペクトルにおいて観察される疑似分子イオン([M+H]+)から決定される代謝産物の名目分子量に基づいた。例えば、M422は、m/z423の[M+H]+を有する代謝産物に相当する。
LDN−193189の質量スペクトルは、m/z407において観察されたプロトン化された分子イオンを示し、化学式C25H22N6およびLDN−193189の構造に一致した。プロトン化分子イオンから観察された最も強度の高いフラグメントイオンは、m/z364、350および337など、ピペラジン部分の開裂により生成する。さらに、m/z169の弱いフラグメントイオンは、ピラゾール部分の開裂と組み合わさったピペラジンの開裂などの、フラグメント化のいくつかのステップ後に生成し得るものであった。
図9に示されている代謝産物の暫定的な構造解明は、質量スペクトル分析により得た。
代謝産物特定の検証的検討をM422cで実施した。主要代謝産物M422cの正体を確認するため、インビトロ代謝抽出物の分析に使用したものと同じLC/MS条件を使用して、合成参照標準を分析した。M422cのHPLC保持時間および質量スペクトルフラグメントパターンを、合成標準のそれと比較した。質量スペクトルフラグメントパターンは、M422cと合成参照標準との間で同一であることが分かった。さらに、ヒトサイトゾルインキュベート抽出物において観察されたM422cのHPLC保持時間は、合成標準により生成したものと同一であった(図10を参照されたい)。すなわち、M422cの構造は、(4−(6−(4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)キノリン−2(1H)−オン)であると確認された。
結論
それぞれサイトゾルで強化された、マウス、ラット、イヌ、ウサギ、サルおよびヒト肝ミクロソームを使用して、LDN−193189の代謝を検討した。代謝の主要経路は、キノリン窒素のアルファ−炭素の酸化によるものであり、M422cになることが分かった。M422cの正体は、合成標準との比較により、疑う余地なく立証された。この代謝産物は、マウス、ウサギ、サルおよびヒトに由来する、サイトゾルを強化した肝ミクロソームにおいてかなりの量で形成した。AOが欠損していることが知られている、ラットおよびイヌは、この代謝産物を産生しなかった。この検討において、AO活性が低いことが公知の種であるラットでは、M422cが観察されなかった。この代謝産物の形成は、サイトゾル酵素であるアルデヒドオキシダーゼ(AO)により媒介されると提示され、アルデヒドオキシダーゼは、ラットおよびイヌ以外のほとんどの種において十分に発現する。代謝産物プロファイルは、異なる種において、AOが天然に豊富に存在することと一致した。さらに、AOの特異的阻害剤であるメナジオンを使用し、マウスおよびヒト肝サイトゾルの存在下で、M422c形成が阻害されることを実証した(図7および図8を参照されたい)。
LDN−193189はまた、一部の種では、サイトゾルがミクロソームのインキュベート物から除かれると、かなり広範に代謝されることも分かった。このことは、M422c以外に、かなりの量の代謝産物を産生するイヌおよびウサギ肝ミクロソームにおいて、特に明白であった。ミクロソームCYP450酵素により媒介される代謝の主要経路は、ピペラジン部分の修飾によるものと思われる。例えば、イヌ肝ミクロソームでは、M380およびM420は、ピペラジン環が修飾された結果として産生する主要代謝産物と思われる。ピペラジンのその後の開裂により、遊離アニリンであるM337およびM380が形成し、これらは、M337がラットにおいて見られなかったことを除いて、すべての種において見られた。興味深いことに、この検討において得られた代謝産物プロファイルにより、ラット肝ミクロソーム(サイトゾルを含むか含まない)の存在下で、最も大きな代謝安定性が示されたことが示された。さらに、HLMから得られた代謝産物プロファイルにより、CYP450媒介性代謝は最小限であったので、HLMの代謝の場合、AOにかなり依存することが示された(図6を参照されたい)。すなわち、ヒトにおいてこの化合物を用いて行われた検討において、その代謝クリアランスに関して、AOにこのようにかなり依存することが暗示され得る。AOは、ヒトでは異なって発現すること、およびこの化合物のクリアランスがAOに依存する場合、対象では、曝露値にかなりのばらつきが観察され得ることが周知である。
ヘテロ原子(この場合、窒素)の酸化の結果としての代謝産物の形成は、特にウサギにおいてやはり明白であった。ヘテロ原子における酸化は、窒素または硫黄上の代謝のうってつけの検証(酸素の挿入)となることが多い、ジュウテリウム交換検討により確認した。LDN−193189の窒素上のこうした酸化の原因となる酵素は、CYPおよびFMO媒介性となり得るので、この段階では公知ではない。
LDN−193189が生体活性化されて反応性中間体を形成することは、すべての種に由来する肝ミクロソーム抽出物における、シアニド付加物の存在により実証された。ピペラジン部分のイミニウム誘導体は、反応性中間体として産生され、この中間体は、続いて、シアニドにより捕捉されることが提示される。
(実施例5)マウスおよびヒト肝ミクロソームおよびサイトゾルにおける、化合物1、化合物2および化合物48のインビトロ代謝
略語のリスト:
AO アルデヒドオキシダーゼ
GLP 優良試験所基準
GSH グルタチオン
HLM ヒト肝ミクロソーム
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
KCN シアン化カリウム
LC/UV/MS 液体クロマトグラフィー/紫外光/質量分析法
LSC 液体シンチレーション計測器
m/z 質量対電荷比
MS 質量分析法
NA 該当なし/適用せず
NADPH ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸
PO 経口用量(口腔による)
QA 品質保証
QC 品質管理
SD 標準偏差
SOP 標準作業手順書
まとめ
それぞれサイトゾルで強化され、かつNADPHおよびUDPGAを補充した、マウスおよびヒト肝ミクロソームの存在下で、化合物1、化合物2および化合物48の代謝を検討した。可能性のある反応性中間体の形成を見極めるため、NADPHで強化したインキュベート混合物に、求核性捕捉剤であるグルタチオン(GSH)およびシアン化カリウム(KCN)を加えた。サイトゾルの存在下で、様々な種に由来する、考えられる非P450媒介性代謝産物の形成も検討した。液体クロマトグラフィー/紫外光(LC/UV)および質量スペクトル技法を用いて、試験化合物の代謝産物プロファイルおよび代謝的なソフトスポットを得た。
1時間のインキュベート後、マウスおよびヒト肝サイトゾル断片の存在下で、化合物1は、広範に代謝されて、酸化された代謝産物M423cになることが分かった。この代謝産物の形成は、実施例4において記載されている通り、構造的アナログである、LDN−193189を用いて行った検討からの結果に基づくと、アルデヒドオキシダーゼ(AO)媒介性であると提示される。酸化部位は、AO媒介性代謝産物M422cおよび合成参照標準の比較により実証される通り、LDN−193189のキノリン窒素のアルファ−炭素であることが分かった。さらに、化合物1は、NADPHにより強化した肝ミクロソームの存在下で、それぞれM423aおよびM423bを産生するN−ヒドロキシル化およびN−酸化により代謝されることが分かった。ピペラジン部分の酸化により形成される産生物(おそらく、ラクタムである)であるM421が、同様に、肝ミクロソーム抽出物において観察された。この化合物を用いても、グルクロニドコンジュゲートは見られなかった。この化合物は、そのアナログである、P450酵素によるLDN−193189ほど広範に代謝されなかった。例えば、LDN−193189に関する重要な代謝経路である、ピペラジン環の開裂は観察されなかった。さらに、LDN−193189を用いて観察された二級または一級芳香族アニリン(アニリンアナログ)は、この化合物とのミクロソームのインキュベートでは検出されなかった。KCNの存在下で、両方の種において、シアニド付加物M432が観察され、これにより、反応性求電子性中間体(イミニウム誘導体)の形成が示唆される。この観察はまた、この反応性中間体の形成が、LDN−193189のフェニル部分をピリジン部分(化合物1中と同様)で置き換えることにより低減されないことを示唆する。反応性中間体の捕捉剤であるGSHを用いた検討により、ミクロソームのインキュベート物において、いかなるソフトな求電子体の存在も示されることはなかった。
マウスおよびヒトに由来する肝サイトゾルの存在下での、化合物2の主要な代謝経路は、キノリン窒素のアルファ−炭素の酸化を経由して、M450cになることが分かった。やはり、両方の種において、M450c形成の媒介に、AOが関与していることが暗示される。さらに、M450a(ヒドロキシルアミン)およびM450b(N−オキシド)などのN−酸化産生物は、NADPHにより強化したミクロソームのインキュベートにおいて見られた。微量のアニリン産生物が、ミクロソーム抽出物のLC/MS分析の間に観察された。この化合物の構造は、合成参照標準との比較により確認した。参照標準を用いるさらなる検討により、このアニリンは、化合物2に存在する不純物であり、代謝産物ではないことが確認された。KCNにより捕捉され得る、可能性ある反応性代謝産物は、質量分析技法により検出されなかった。これにより、ピペラジン部分の窒素に隣接するメチル基を導入すると、可能性あるイミニウム反応性中間体の形成が低減されることが示唆された。グルクロニドおよびGSHコンジュゲートは、この化合物を用いても観察されなかった。
他の2つのアナログに構造が類似している化合物48は、主にキノリン環の酸化により代謝された。主要代謝産物であるM421dもAOにより形成することが推測される。NADPHにより強化されたミクロソームの存在下で、ピペリジン部分の酸化により形成される代謝産物であるM421aが観察された。さらに、N−酸化産生物であるM421bおよびM421cも、NADPHにより強化されたミクロソームにおいて観察された。KCNまたはGSHにより捕捉され得る反応性中間体は観察されなかった。グルクロニドコンジュゲートも同様に観察されなかった。
一般に、ヒト肝ミクロソームおよびサイトゾルにより産生する代謝産物は、マウスでも、これら3つの化合物すべてについて観察された。すなわち、本検討で観察された代謝産物は、ヒトに特有なものではなかった。
序論
これらの検討は、NADPHおよびUDPGAの存在下で、それぞれサイトゾルで強化されたマウスおよびヒト肝ミクロソームにおける、化合物1、化合物2および化合物48の代謝を調べるために実施した。反応性中間体の形成は、GSHまたはKCNをインキュベート混合物に添加することにより見極めた。
物質および方法
物質
インビトロ代謝検討のための、試験品である化合物1、化合物2および化合物48は、対応するそれらのTFA塩として提供され、使用するまで−20℃に保管した。試験品の構造は、以下の通りである:
貯めておいた肝ミクロソームおよびサイトゾルは、それぞれ、CD−1マウス(ロット番号0310190およびロット番号0610024)、およびヒト(ロット番号452161およびロット番号01610370)に由来する肝ミクロソームおよびサイトゾルを含めた、商業的供給源(Xenotech、KS)から得た。Sigma Aldrich(St Louis、MO)から得た以下の試薬を、インビトロ検討のために使用した。MgCl2、NADPH再生成系(NADP+、グルコース−6−リン酸およびグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ)、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)、GSH(グルタチオン、還元型)、KCN、およびUDPGA。クロマトグラフ分析に使用する溶媒は、HPLCグレードまたはACS試薬グレードであり、EMD Chemicals(Gibbstown、NJ)、または他の商業的供給業者から購入した。他の試薬はすべて、分析グレードまたはACS試薬グレードであった。
方法
インキュベート用の保存溶液の調製
化合物1、化合物2および化合物48の保存溶液(10mM)は、化合物1、化合物2および化合物48をそれぞれ1.17mg、1.05mgおよび1.22mg含有するバイアルに、DMSO/ACN(50/50、v/v)を0.224mL、0.191mLおよび0.235mL添加することにより作製した。メタノール:水の1:1(v/v)混合物を使用することによりさらに希釈を行い、1mM溶液を作製し、これをインキュベートに使用した。
マウスおよびヒトに由来する肝ミクロソームおよびサイトゾルとのインキュベート
0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)中の、NADPH再生成系{(グルコース−6−リン酸(3.6mM)、NADP+(1.3mM)およびグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(0.4単位/mL)}、MgCl
2(10mM)、およびUDPGA(2mM)の存在下で、サイトゾル(2mg/mL)含有/不含のマウスおよびヒト肝ミクロソーム(1mg/mL)と共に、試験化合物である化合物1、化合物2および化合物48(10μΜ)をインキュベートした。適切な補因子を含有するする肝ミクロソームまたはサイトゾルはまた、KCN(0.1mM)またはGSH(2mM)により強化した。本化合物の代謝を理解するために使用した様々なインキュベート条件を表6に示す。全インキュベート体積は、1mLであった。代謝反応は、37℃で5分間、予備インキュベートした後、補因子、NADPH再生成系およびUDPGAを添加することにより開始した。インキュベート混合物を、震とうした37℃の水浴中に60分間、置いた。反応の終了時に、アセトニトリルの3体積分を加え、次いでボルテックスして遠心分離にかけ、タンパク質を除去した。この上澄み液を清潔な管に移し、周囲温度の窒素気流下で完全に乾燥した。この乾燥残留物を水中の25%MeOH500μLにより再構成し、LC/UV/MS分析するために、HPLC用バイアルに移した。
100μΜのテストステロンを、陽性対照としてのヒト肝ミクロソームと共に20分間、インキュベートし、ミクロソーム調製物のバイアビリティを実証した。
アセトアミノフェンおよびニコチンを、それぞれGSHおよびKCN捕捉検討用の陽性対照として使用した。
代謝産物プロファイリングおよび特定を行うためのLC/UV/MS条件
ミクロソームインキュベート抽出物における代謝産物プロファイリングおよび代謝産物の特徴付けは、LTQイオントラップ質量分析計に接続した、ポンプ、オートサンプラーおよびダイオードアレイ検出器を備えたSurveyor HPLCシステムからなるLC/MSシステム(Thermo Scientific、San Jose、CA)を使用して行った。クロマトグラフィーは、Phenomenex Luna、C8(2)カラム(3.0×250mm、5μm(Torrance、CA))で実施した。カラムは、試料の分析中、周囲温度に維持した。使用した移動相グラジエントは、表7に示す。最初の4分間のHPLC溶離液は、代謝産物を見極める前に、廃棄に流した。代謝産物の特定(炭素またはヘテロ原子上のどちらの酸化であるかの区別)を容易にするため、他の条件を変えないで維持しながら、水性移動相をD2Oに置き換えることにより、H/D交換実験を行った。200〜400nmのUV吸収スペクトルを、ダイオードアレイ検出器を使用して記録した。
ThermoFinnigan LTQ XL質量分析計(Thermo Scientific、San Jose、CA)は、エレクトロスプレーイオン化(ESI)インターフェースを装備し、代謝産物プロファイリングおよび特定のため、ポジティブイオン化モードで操作した。質量スペクトルは、全スキャン(MS)(m/z200〜1000)およびデータ依存スキャン(MS2、MS3およびMS4)モードで取得した。この分析に使用したLTQ質量分析計に関するパラメータ設定は、表8に示されている。
データ分析
Xcalibur(バージョン2.07)を使用して、質量スペクトルおよびUV吸収データを取得して加工した。Xcaliburは、LC/UV/MSシステムの様々なコンポーネントを制御するためにも使用した。
結果
化合物1の代謝産物プロファイル
化合物1の代謝産物プロファイルは、LC/UV/MS分析を使用し、マウスおよびヒト肝ミクロソーム調製物とのインキュベート後に得た。両方の種に関して得られた化合物1の代謝産物プロファイル(λ310〜315nmでのLC/UV)を、それぞれ図11および図12に示している。両方の種において、重要な代謝産物であるM423cが観察された。M423cの形成は、実施例4において記載されている通り、LDN−193189を用いて行った先の検討からの結果に基づくと、サイトゾル酵素であるアルデヒドオキシダーゼ(AO)により媒介されたように思われる。肝ミクロソームとのインキュベート後、化合物1の窒素の代謝的酸化が観察された。ミクロソーム抽出物中に観察された、酸化的代謝産物である2つのM423aおよびM423bは、H/D交換検討により得られた質量スペクトルデータに基づくと、化合物1のヒドロキシルアミンおよびN−オキシドアナログであると考えられる。代謝産物M423aおよびM423bは、ジュウテリウム交換検討において、親化合物と交換可能なプロトン数が同じであることを示した。このことは、これらの代謝産物が、窒素の直接酸化により形成されたことを強力に示唆した(すなわち、さらに交換可能なプロトンがない)。対照的に、炭素における酸化により形成したと提示される、代謝産物M423cは、さらなる交換可能なプロトン(ヒドロキシル基による)をもたらす。ピペラジン環の酸化された誘導体(ラクタム)であるM421も、両方の種において観察された。興味深いことに、この検討では、ヒドロキシル化/酸化された代謝産物の形成があるにも関わらず、グルクロニドコンジュゲートは観察されなかった。
シアニドコンジュゲートであるM432は、インキュベート混合物にKCNを添加した場合、両方の種において観察された。これにより、化合物1は生体活性化されて、シアニドなどのハードな求核体により捕捉され得る、反応性中間体を形成し得ることが示唆された。質量スペクトルデータにより、ピペラジン部分が生体活性化されて、シアニド付加物(m/z433という[M+H]を有するM432)として捕捉されたイミニウム誘導体になることが支持された。ニコチンなどの脂環式アミンに由来するイミニウム中間体の形成を記載する文献には十分な先例が存在する(Gorrod JW and Aislaitner G(1994年):The metabolism of alicyclic amines to reactive iminium ion imtermediates. European Journal of Drug metabolism and Pharmacokinetics、19巻、209〜217頁;Murphy, P(1972年):Enzymatic oxidation of nicotine to nicotine Δ1’(5’) iminium ion. Journal of Biological Chemistry、248巻、2796〜2800頁)。GSHにより行われた捕捉検討は、両方の種に由来する肝ミクロソームの存在下で、化合物1から産生する「ソフトな求電子体」が存在しないことを示した。
この検討において観察された代謝産物を表9にまとめている。ヒト肝調製物において観察されたすべての代謝産物は、マウスによっても産生されたことが観察された。すなわち、本検討で観察された代謝産物は、ヒトに特有なものではなかった。提示される化合物1の代謝経路を図13に示している。
質量分析法による化合物1の代謝産物の構造解明
マウスおよびヒトに由来する、肝ミクロソームおよびサイトゾルの存在下で産生した化合物1の代謝産物を、LC/MS/MS分析により暫定的に特定した。酸化的代謝産物の特定を容易にするため、H/D交換実験を実施した。ジュウテリウム交換検討からのデータにより、本発明者らは、炭素−ヒドロキシル化(C−OH)代謝産物対ヘテロ原子の酸化誘導体(例えば、N→O)との区別が可能になった。酸化された代謝産物の質量スペクトルにおける、さらに交換可能なプロトンにより、炭素原子上でのヒドロキシル化が示唆された一方、ヘテロ原子の酸化は、交換可能なプロトンをもたらさない。
代謝産物の構造は、同一実験条件下で、化合物1により産生したものとの質量スペクトルフラグメントパターンの比較に基づいて、暫定的に帰属した。この検討において、すべての代謝産物の質量スペクトルは、ポジティブイオン化モードで取得し、構造の解明を補助するために、最大MS4タンデム質量スペクトルが必要であった。代謝産物の命名(特定/参照目的のための代謝産物の名称)は、代謝産物の質量スペクトルにおいて観察される疑似分子イオン([M+H]+)から決定される代謝産物の名目分子量に基づいた。例えば、M423は、m/z424の[M+H]+を有する代謝産物に相当する。
化合物1の質量スペクトルは、m/z408において観察されたプロトン化された分子イオンを示し、化学式C24H27N7および化合物1の構造に一致した。プロトン化分子イオンから観察された最も強度の高いフラグメントイオンは、m/z365、351および338などの、ピペラジン部分の開裂により生成する。さらに、m/z198の弱いフラグメントイオンは、ピペラジンおよびピラゾール部分の開裂などの、フラグメント化の複数のステップによるものであると考えられる。
化合物2の代謝産物プロファイル
化合物2の代謝産物プロファイルは、LC/UV/MS分析を使用し、マウスおよびヒト肝ミクロソーム調製物とのインキュベート後に得た。両方の種に関して得られた化合物2の代謝産物プロファイル(λ310〜315nmでのLC/UV)を、それぞれ図14および図15に示している。そのアナログである化合物1を用いて観察された通り、アルデヒドオキシダーゼ媒介性代謝産物(M450c)は、マウスとヒト肝サイトゾル断片の両方において、最も重要な産生物として観察された。肝ミクロソームとのインキュベート後に、化合物2は、該分子の窒素上の酸化により、主に代謝された。酸化的代謝産物である、2つのM450aおよびM450bは、H/D交換検討から得られた質量スペクトルデータに基づいて、化合物2のN−オキシド/ヒドロキシルアミンアナログであると提示される。少量のジヒドロキシル化代謝産物も、両方の種において観察された。この検討では、ヒドロキシル化/酸化された代謝産物の形成があるにも関わらず、グルクロニドコンジュゲートは観察されなかった。その構造的アナログであるLDN−193189と比べて、化合物2のピペラジン部分は、両方の種のミクロソーム抽出物において、環開環アナログが検出されないので、より安定であることが分かった。興味深いことに、どちらの種でも、シアニド付加物は観察されなかった。これにより、ピペラジン部分上にメチル基を導入すると、該分子が反応性イミニウム中間体に代謝されるのを保護することが示唆された。メチル基の存在による立体障害は、反応性イミニウム代謝産物の形成を効果的に低減することができる。GSHにより行われた捕捉検討により、いずれかの種に由来する、肝ミクロソームの存在下で、化合物2から産生する「ソフトな求電子体」は存在しないことが示された。化合物2の保存溶液のさらなる分析により、アニリン不純物は低いレベルで存在していることが実証され、この正体は、後で、合成参照標準との比較により確定された。
この検討において観察された代謝産物を表10にまとめている。ヒト肝調製物において観察されたすべての代謝産物は、マウスによっても産生されることが観察された。すなわち、本検討で観察された代謝産物は、ヒトに特有なものではなかった。提示される化合物2の代謝経路を図16に示している。
質量分析法による化合物2の代謝産物の構造解明
マウスおよびヒトに由来する肝ミクロソームおよびサイトゾルの存在下で産生する化合物2の代謝産物を、LC/MS/MS分析により暫定的に特定した。化合物1を用いて既に行った通り、酸化的代謝産物の特定は、H/D交換実験により容易になった。
代謝産物の構造は、同一実験条件下で、化合物2により産生したものとの質量スペクトルフラグメントパターンの比較に基づいて、暫定的に帰属した。
化合物2の質量スペクトルは、m/z435において観察されたプロトン化された分子イオンを示し、化学式C27H26N6および化合物2の構造に一致した。プロトン化分子イオンから観察された最も強度の高いフラグメントイオンは、m/z378、364および337などの、ピペラジン部分の開裂により生成する。
化合物48の代謝産物プロファイル
化合物48の代謝産物プロファイルは、LC/UV/MS分析を使用し、マウスおよびヒト肝ミクロソーム調製物とのインキュベート後に得た。両方の種に関して得られた化合物48の代謝産物プロファイル(λ310〜315nmでのLC/UV)を、それぞれ図17および図18に示している。他の2つのアナログを用いて観察されたものと同様に、AO媒介性代謝産物であるM421dは、マウスとヒト肝サイトゾルインキュベート抽出物の両方において観察された、化合物48の最も重要な産生物であった。肝ミクロソームとのインキュベート後に、化合物48は、ピペリジン部分の炭素または窒素の酸化のどちらかにより代謝された。C−酸化によりM421aが形成した一方、窒素の酸化は、H/D交換検討により得られた質量スペクトルデータに基づくと、化合物48のN−オキシドまたはヒドロキシルアミンアナログ(M421bおよびM421c)を産生した。さらに、両方の種において、代謝産物M419が観察された。このことは、H/D交換データおよび代謝産物のタンデム質量スペクトルに基づくと、該分子のニトロン誘導体であると提示された。この検討では、ヒドロキシル化/酸化された代謝産物の形成があるにも関わらず、グルクロニドコンジュゲートは観察されなかった。どちらの種でも、この化合物を用いても、シアニド付加物は観察されなかった。このことは、ピペラジン部分(LDN−193189に存在している)のピペリジン(化合物48におけるものと同様)への置き換えにより、イミニウム中間体を形成する代謝生体活性化がなくなることを示唆している。やはり、他の2つのアナログの様に、GSHにより行われた捕捉検討により、両方の種に由来する肝ミクロソームの存在下で、化合物48から産生する「ソフトな求電子体」は存在しないことが示された。
この検討において観察された代謝産物を表11にまとめている。ヒト肝調製物において観察されたすべての代謝産物は、マウスによっても産生されることが観察された。すなわち、本検討で観察された代謝産物は、ヒトに特有なものではなかった。提示される化合物48の代謝経路を図19に示している。
質量分析法による化合物48の代謝産物の構造解明
マウスおよびヒトに由来する肝ミクロソームおよびサイトゾルの存在下で産生する、化合物48の代謝産物を、LC/MS/MS分析により暫定的に特定した。やはり、酸化的代謝産物の特定を容易にするため、H/D交換実験を実施した。
代謝産物の構造は、同一実験条件下で、化合物48により産生したものとの質量スペクトルフラグメントパターンの比較に基づいて、暫定的に帰属した。
化合物48の質量スペクトルは、m/z406において観察されたプロトン化された分子イオンを示し、化学式C26H23N5および化合物48の構造に一致した。プロトン化分子イオンから観察された最も強度の高いフラグメントイオンは、m/z361および336などのピペリジン部分の開裂、およびm/z323である該分子の残りに連結しているピペリジン部分の開裂により生成する。芳香族環の開裂に対応する、診断的な質量スペクトルイオンは観察されなかった。
結論
それぞれサイトゾルで強化されたマウスおよびヒト肝ミクロソームを使用する、化合物1、化合物2および化合物48の代謝を検討した。一般に、代謝の主要経路は、3つの化合物すべてのキノリン窒素のアルファ−炭素上のアルデヒド−オキシダーゼ媒介性酸化であることが分かった。これらの代謝産物は、マウスおよびヒトに由来する(NADPHを含まない)、サイトゾルを強化した肝ミクロソームにおいて、3つの化合物すべてからかなりの量で形成した。これらの代謝産物の形成は、サイトゾル酵素であるアルデヒドオキシダーゼ(AO)により媒介されるものと提示された。LDN−193189を用いる先の検討により、代謝の主要経路はAOによるものであることが示された。
ヘテロ原子(この場合、窒素)の酸化の結果としての代謝産物の形成も明白であった。ヘテロ原子における酸化は、窒素または硫黄上の代謝(酸素の挿入)のうってつけの検証となることが多い、ジュウテリウム交換検討により確認した。3つの試験化合物のこれらのヘテロ原子の酸化の原因になる酵素は、この段階で公知ではない。
LDN−193189を用いて実証された通り、化合物1を使用すると、生体活性化されて反応中間体が形成することが観察されたが、化合物2および化合物48では観察されなかった。この知見は、ピペラジン部分上の反応性イミニウムの形成に関して提示されるメカニズムと一致している。こうした反応性中間体は、シアニドイオンなどのハードな求核体により捕捉可能である。この生体活性化は、化合物2のピペラジン部分上にメチル基を導入することにより阻害されるか、または化合物48のピペラジンをピペリジンに置き換えることによりなくすことができた。
LDN−193189と比べて、ピペラジン部分上の構造的な修飾は、アルデヒドオキシダーゼ(AO)により代謝されることになる、試験化合物である化合物1、化合物2および化合物48の性質を変えなかった。この非P450代謝経路は、これが臨床に関与している可能性があるので、さらに検討を行うべきである。AO媒介性代謝の部位を遮断することにより、おそらくは薬理学的活性が維持されながらも、より安定な化合物になる可能性がある。
化合物1と化合物2の両方の保存溶液とインキュベート抽出物の両方のLC/MS分析により、LC/MSクロマトグラム(XIC、化合物1の場合m/z339、および化合物2の場合m/z338、図20を参照されたい)に基づくと、アニリン不純物が存在している可能性が示唆された。合成参照標準、化合物49、化合物2のアニリン誘導体を調製した。HPLC保持時間および質量スペクトルデータに基づいて、化合物2中に存在している不純物は、アニリン化合物49であることが確認された。この結果に基づくと、化合物1(m/z338を有する。図20を参照されたい)の保存溶液中、およびミクロソーム抽出物中で特定された不純物は、同様にアニリン生成物である可能性が最も高いことが示唆される。しかし、化合物1および化合物2における不純物としてのこれらのアニリン生成物の起源は、現在のところ公知ではないか、または理解されていない。不純物の量はインキュベート後に変化せず、したがって、代謝の結果ではなかった。参照標準中のこれらの不純物の起源をよりよく理解するための、さらなる検討は当然なことである。さらに、出発原料中のこれらの不純物の存在は、こうしたアニリンが、マウスおよびヒトに由来する肝ミクロソームの存在下で、代謝産物としてやはり産生することができるかどうかの結論づけを困難にしている。
(実施例6)ヒト肝ミクロソームおよびサイトゾルにおける化合物17および化合物12のインビトロ代謝
序論
これらの検討は、NADPHおよびUDPGAの存在下で、それぞれサイトゾルで強化されたヒト肝ミクロソームにおける、化合物17および化合物12の代謝を検討するために実施した。反応性中間体の形成は、GSHまたはKCNをインキュベート混合物に添加することにより見極めた。
方法
ヒトに由来する肝ミクロソームおよびサイトゾルとのインキュベート
この検討設計は、上の実施例5に記載されているものと類似したものであり、ヒト肝ミクロソームだけしか検査せず、以下に基づいた。
基質濃度:10μM
ヒト肝ミクロソーム:1mg/mL
ヒトサイトゾル2mg/mL
NADPH:100uM
UDPGA:4mM
GSH:4mM
KCN:1mM
37℃で1時間のインキュベート。
本化合物の代謝を理解するために使用した様々なインキュベート条件を表12に示す。
代謝産物プロファイリングおよび特定を行うためのLC/UV/MS条件
ミクロソームインキュベート抽出物中の代謝産物の代謝産物プロファイリングおよび代謝産物の特徴付けは、上の実施例5と類似の方法で行い、ヒト肝ミクロソームだけしか検査せず、以下に基づいた。
LC/UV/MSシステム:LTQ−Orbitrap質量分析計(ThermoFinnigan)に接続したAgilent1100HPLC(ポンプ、オートサンプラーおよびPDA)
HPLCカラム:Luna C18(2)カラム、250×2.0mm、5μm;および
LTQ質量分析計:全スキャン(m/z150〜1000)およびデータ依存的MSn(n=4)分析。
すべての試験品に使用したHPLC移動相グラジエントを表13に示す。
結果
化合物17の代謝産物プロファイル
化合物17の代謝産物プロファイルは、LC/UV/MS分析を使用し、ヒト肝ミクロソーム調製物とのインキュベート後に得た。代謝は、ピペラジン部分上で主に観察された。アニリン誘導体が観察された。酸化的代謝産物は、NADPHを含まないインキュベートでは観察されず、このことは、AO媒介性代謝が起こらなかったことを示唆した。多量のシアニド付加物が観察されたが、その形成メカニズムは未知である。グルクロニドコンジュゲートは観察されなかった。化合物17の代謝産物プロファイルは、LC/UV/MS分析を使用し、ヒト肝ミクロソーム調製物とのインキュベート後に得た。化合物17の代謝産物プロファイル(λ270〜280nmでのLC/UV)を図21に示している。
この検討において観察された代謝産物を表14にまとめている。提示された化合物17の代謝経路を図22に示している。
化合物12の代謝産物プロファイル
化合物12の代謝産物プロファイルは、LC/UV/MS分析を使用し、ヒト肝ミクロソーム調製物とのインキュベート後に得た。代謝は、ピペラジン部分上で主に観察された。アニリン誘導体が観察された。酸化的代謝産物は、NADPHを含まないインキュベートでは観察されず、このことは、AO媒介性代謝が起こらなかったことを示唆した。多量のシアニド付加物が観察されたが、その形成メカニズムは未知である。グルクロニドコンジュゲートは観察されなかった。化合物12の代謝産物プロファイルは、LC/UV/MS分析を使用し、ヒト肝ミクロソーム調製物とのインキュベート後に得た。化合物12の代謝産物プロファイル(λ270〜280nmでのLC/UV)を図23に示している。
この検討において観察された代謝産物を表15にまとめている。提示された化合物12の代謝経路を図24に示している。
本明細書に引用されている刊行物および特許はすべて、それらの全体が、参照により本明細書に組み込まれている。
当業者は、型通りの実験だけを使用して、本明細書に記載されている、本発明の具体的な実施形態に対する多くの等価物を認識するか、または確認することができよう。こうした等価物は、以下の特許請求の範囲により包含されることが意図される。